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研磨方法および研磨部材 - トヨタ自動車株式会社
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発明の名称 研磨方法および研磨部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21589(P2007−21589A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−202707(P2005−202707)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
発明者 黒柳 知也
要約 課題
工程を増やすことなく、短時間にかつ高精度に研磨を行うことができる研磨方法および研磨部材を提供する。

解決手段
研磨材層3が形成された研磨部材2により被研磨部材1の被研磨面1aを研磨する研磨方法において、前記研磨材層3が、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒4と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒7と、それら大小の研磨用砥粒を保持する保持部材5とにより形成されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
研磨材の層が形成された研磨部材により被研磨部材の被研磨面を研磨する研磨方法において、
前記研磨材の層が、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒と、それら大小の研磨用砥粒を保持する保持部材とにより形成されていることを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
前記研磨材の層は、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒が混入されている第1の研磨層と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒が混入されている第2の研磨層とを有し、研磨を開始する際に、前記被研磨面と接する位置に前記第1の研磨層が設けられ、前記第1の研磨層と前記研磨部材との間に前記第2の研磨層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記研磨部材は、互いに接触した状態で動作する複数の機械要素のうちのいずれかの機械要素であり、前記被研磨材は、前記複数の機械要素のうちの他の機械要素であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記研磨部材は、互いに噛み合う二つの歯車のうちいずれか一方の歯車であり、前記被研磨部材は、前記二つの歯車のうち他方の歯車であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項5】
前記研磨部材は、互いに噛み合う二つの歯車のうち相対的に歯数の多い方の歯車であり、
前記被研磨部材は、互いに噛み合う二つの歯車のうち相対的に歯数の少ない方の歯車であることを特徴とする請求項4に記載の研磨方法。
【請求項6】
被研磨部材の被研磨面を研磨する研磨材の層が形成された研磨部材において、
前記研磨材の層が、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒と、それら大小の研磨用砥粒を保持する保持部材とにより形成されていることを特徴とする研磨部材。
【請求項7】
前記研磨材の層は、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒が混入されている第1の研磨層と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒が混入されている第2の研磨層とを有し、前記被研磨面と接する位置に前記第1の研磨層が設けられ、前記第1の研磨層と前記研磨部材との間に前記第2の研磨層が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の研磨部材。
【請求項8】
前記研磨部材は、互いに接触した状態で動作する複数の機械要素のうちのいずれかの機械要素であることを特徴とする請求項6または7に記載の研磨部材。
【請求項9】
前記研磨部材は、互いに噛み合う二つの歯車のうちいずれか一方の歯車であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の研磨部材。
【請求項10】
前記研磨部材は、互いに噛み合う二つの歯車のうち相対的に歯数の多い方の歯車であることを特徴とする請求項9に記載の研磨部材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、研磨材の層が被覆された研磨部材により被研磨部材の被研磨面を研磨する研磨方法および研磨部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種機械装置に用いられる歯車においては、その動力伝達効率を向上させるため、例えば歯車の歯面の摩擦係数を低下させて、歯面の面性状を向上させることが課題となっている。そのため、歯車を製作する際に、歯面部分の歯切り加工やシェービング、所定の熱処理等が行われた後、例えば熱処理により生じた歪みを除去して歯面の面精度を向上させるための仕上げ加工として、ホーニングやラッピングなどの歯面の研磨加工が行われる場合がある。この歯面の仕上げ加工に関連して、歯面の研磨(ギヤホーニング)を行う砥石を目立て(ドレッシングあるいはツルーイング)する砥石ドレッシング工具(いわゆるドレスギヤ)およびその製造方法に関する発明が、特許文献1に記載されている。
【0003】
この特許文献1に記載されている砥石ドレッシング工具およびその製造方法によれば、CBN(立方晶窒化ホウ素)砥粒層よりも硬度が低い砥粒(Al23砥粒またはSiC砥粒)層を有する研磨用砥石のドレッシングを行うドレスギヤ表面の所要部分に、CBN砥粒層が形成された後、そのCBN砥粒層よりも硬度が高いダイヤモンド砥粒層を有する他のドレスギヤにより、上記のCBN砥粒層の修正加工が行われる。そのため、同等の硬度の砥粒層の組み合わせで修正加工を行う場合と比較して、より短時間で高精度の修正加工を行うことができる、とされている。
【0004】
なお、特許文献2には、耐摩耗性大、耐焼き付き性大、相手攻撃性小という特性を有したまま、潤滑油中での低摩擦係数化、耐摩耗性向上を図ることができる硬質被膜とその被覆部材とを得るために、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)中にCrが粒子状に複合された第一層と、DLC中にNとTiとの化合物が粒子状に複合された第二層との積層構造とされた被膜および被覆部材が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、素子基板の材料を任意に選択することができ、かつ素子基板の分離を迅速に行うための方法として、素子基板を機械的に粗研磨または粗研削した後、素子基板の残部を精密研磨または精密研削して磁気ヘッドが形成されるようにした薄膜磁気ヘッドの製造方法が記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、歯車の歯面に、結合材と添加物との混合物からなる、運転中に摩耗により除去される被膜を形成することにより、互いに噛み合う歯車の歯の間に所望のバックラッシュを設定する方法が記載されている。
【0007】
そして、特許文献5には、粘弾性樹脂基材に、ダイヤモンド粉粒あるいは各種セラミックスのラッピング砥粒を混練した歯科用咬合調整材が記載されている。
【特許文献1】特開平9−201721号公報
【特許文献2】特開2001−192864号公報
【特許文献3】特開平4−298806号公報
【特許文献4】特表2004−515732号公報
【特許文献5】特開平1−97448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1に記載されている発明は、製作される歯車(ワーク)の歯面の研磨用砥石をドレッシングする工具(ドレスギヤ)およびその製造方法に関するものであって、歯面の研磨用砥石およびドレスギヤの修正加工としての研磨を、短時間でかつ高精度で行うことができるとされているものの、歯車の歯面の研磨加工の改良方法に関する具体的な記載はない。すなわち、歯面の研磨用の砥石をドレッシングするドレスギヤの修正加工を短時間でかつ高精度で行うことができるようにすることで、歯面の研磨加工も高精度で行うことができるとされている以外に、その歯面の研磨加工を改良する技術に関しては具体的に考慮されていない。
【0009】
また、歯面の研磨方法として、砥粒を分散させた研磨剤もしくは研磨部材を歯車の歯面(ワーク)と工具(ラップ)との間に介在させた状態で、両者を擦り合わせることにより歯面を研磨するラッピングも知られている。このラッピングにより歯面を研磨する場合、例えば、初めに粗研磨として、相対的に粒径の大きい砥粒を用いてラッピングを行い、その後、仕上げ研磨として、相対的に粒径の小さい砥粒を用いてラッピングを行うことにより、研磨に要する時間を短縮し、高精度の研磨加工を行うことができる。しかしながら、この場合、粗研磨と仕上げ研磨との少なくとも二つ工程の研磨加工を行わなければならず、より短時間で研磨加工を行うためには課題がある。
【0010】
このように、従来の歯面の研磨に関する技術において、歯車の動力伝達効率の向上を目的として歯面の面性状を向上させるために行われる歯面の研磨加工を、より短時間でかつ高精度で行うためには、未だ改良の余地があった。
【0011】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、工程を増やすことなく、短時間にかつ高精度に研磨を行うことができる研磨方法および研磨部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、研磨材の層が形成された研磨部材により被研磨部材の被研磨面を研磨する研磨方法において、前記研磨材の層が、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒と、それら大小の研磨用砥粒を保持する保持部材とにより形成されていることを特徴とする研磨方法である。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記研磨材の層が、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒が混入されている第1の研磨層と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒が混入されている第2の研磨層とを有し、研磨を開始する際に、前記被研磨面と接する位置に前記第1の研磨層が設けられ、前記第1の研磨層と前記研磨部材との間に前記第2の研磨層が設けられていることを特徴とする研磨方法である。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記研磨部材が、互いに接触した状態で動作する複数の機械要素のうちのいずれかの機械要素であり、前記被研磨材が、前記複数の機械要素のうちの他の機械要素であることを特徴とする研磨方法である。
【0015】
またさらに、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記研磨部材が、互いに噛み合う二つの歯車のうちいずれか一方の歯車であり、前記被研磨部材が、前記二つの歯車のうち他方の歯車であることを特徴とする研磨方法である。
【0016】
そして、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記研磨部材が、互いに噛み合う二つの歯車のうち相対的に歯数の多い方の歯車であり、前記被研磨部材が、互いに噛み合う二つの歯車のうち相対的に歯数の少ない方の歯車であることを特徴とする研磨方法である。
【0017】
一方、請求項6の発明は、被研磨部材の被研磨面を研磨する研磨材の層が形成された研磨部材において、前記研磨材の層が、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒と、それら大小の研磨用砥粒を保持する保持部材とにより形成されていることを特徴とする研磨部材である。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記研磨材の層が、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒が混入されている第1の研磨層と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒が混入されている第2の研磨層とを有し、前記被研磨面と接する位置に前記第1の研磨層が設けられ、前記第1の研磨層と前記研磨部材との間に前記第2の研磨層が設けられていることを特徴とする研磨部材である。
【0019】
さらに、請求項8の発明は、請求項6または7の発明において、前記研磨部材が、互いに接触した状態で動作する複数の機械要素のうちのいずれかの機械要素であることを特徴とする研磨部材である。
【0020】
またさらに、請求項9の発明は、請求項6ないし8のいずれかの発明において、前記研磨部材が、互いに噛み合う二つの歯車のうちいずれか一方の歯車であることを特徴とする研磨部材である。
【0021】
そして、請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記研磨部材が、互いに噛み合う二つの歯車のうち相対的に歯数の多い方の歯車であることを特徴とする研磨部材である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒と相対的に小さい粒径の研磨用砥粒とが保持部材により保持されて研磨材の層が形成され、その研磨材の層が表面に形成された研磨部材により被研磨部材の被研磨面が研磨されることによって、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒により短時間で被研磨面を研磨することができ、相対的に粒径の小さい研磨用砥粒により高精度に被研磨面を研磨することができる。また、それら大小の粒径の研磨用砥粒を有する研磨材の層が研磨部材に形成されているため、研磨工程を複数回に分ける必要がなくなり、より短時間で被研磨面を研磨することができる。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、先ず初めに相対的に大きい粒径の研磨用砥粒が混入されている第1の研磨層により被研磨面が研磨され、その第1の研磨層が研磨により摩滅するのに伴って、引き続き相対的に小さい粒径の砥粒が混入されている第2の研磨層により被研磨面が研磨される。そのため、研磨工程を複数回に分けることなく、より短時間でかつ高精度に被研磨面を研磨することができる。
【0024】
さらに、請求項3の発明によれば、互いに接触した状態で動作する複数の機械要素のうちのいずれかが研磨部材となり、その表面に研磨材の層が形成される。そして、他の機械要素が被研磨部材となり、その表面が被研磨面となって研磨材の層と接触した状態とされる。そのため、研磨工程を別途設けなくとも、それら複数の機械要素を動作させることによって研磨材の層と被研磨面とが擦り合わされ、その結果、被研磨面を短時間でかつ高精度に研磨することができる。
【0025】
またさらに、請求項4の発明によれば、互いに噛み合う二つの歯車のうち、一方の歯車が研磨部材となり、その歯車の歯面に研磨材の層が形成される。そして、他方の歯車が被研磨部材となり、その歯車の歯面が被研磨面となって、研磨材の層が形成された研磨部材としての歯車の歯面と接触するようにそれらの二つの歯車が噛合される。そのため、研磨工程を別途設けなくとも、研磨部材および被研磨部材としての二つの歯車を互いに噛み合った状態で駆動することにより、研磨材の層と被研磨面とが擦り合わされ、その結果、被研磨面としての歯車の歯面を短時間でかつ高精度に研磨することができる。
【0026】
そして、請求項5の発明によれば、互いに噛み合う二つの歯車のうち、相対的に歯数が多い方の歯車が研磨部材となり、その歯車の歯面に研磨材の層が形成される。そして、相対的に歯数が少ない方の歯車が被研磨部材となり、その歯車の歯面が被研磨面となって、研磨材の層が形成された研磨部材としての歯車の歯面と接触するようにそれらの二つの歯車が噛合される。そのため、研磨工程を別途設けなくとも、研磨部材および被研磨面としての二つの歯車を互いに噛み合った状態で駆動することにより、研磨材の層と被研磨面とが擦り合わされ、その結果、被研磨面を短時間でかつ高精度に研磨することができる。また、相対的に歯数が多い方の歯車の歯面に研磨材の層が形成されていることによって、被研磨面側の研磨部材との総接触面積に対して、研磨部材側の被研磨面との総接触面積を大きくすることができ、例えば研磨材の層の厚さに制限がある場合であっても、効果的に被研磨面を研磨することができる。
【0027】
一方、請求項6の発明によれば、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒と相対的に小さい粒径の研磨用砥粒とが保持部材により保持された研磨材の層が、被研磨部材の被研磨面を研磨する研磨部材の表面に形成される。そのため、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒により、短時間で被研磨面を研磨することができ、相対的に粒径の小さい研磨用砥粒により、高精度に被研磨面を研磨することができる。また、それら大小の粒径の研磨用砥粒を有する研磨材の層が研磨部材に形成されるため、研磨部材により被研磨面を研磨する際に、研磨工程を複数回に分ける必要がなくなり、より短時間で被研磨面を研磨することができる。
【0028】
また、請求項7の発明によれば、研磨部材の基となる母材の表面に、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒が混入されている第2の研磨層が設けられ、その第2の研磨層の表面に、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒が混入されている第1の研磨層が設けられることによって、研磨部材の表面に第1,第2の二つの研磨層を有する研磨材の層が形成される。そのため、研磨部材により被研磨面を研磨する際に、先ず初めに相対的に大きい粒径の研磨用砥粒が混入されている第1の研磨層により、短時間で被研磨面を研磨することができ、その第1の研磨層が研磨により摩滅するのに伴って、引き続き相対的に小さい粒径の研磨用砥粒が混入されている第2の研磨層により、高精度に被研磨面を研磨することができる。また、研磨工程を複数回に分ける必要がなくなるため、より短時間でかつ高精度に被研磨面を研磨することができる。
【0029】
さらに、請求項8の発明によれば、互いに接触した状態で動作する複数の機械要素のうちの一方が研磨部材となり、その表面に研磨材の層が形成される。そして、他の機械要素が被研磨部材となり、その表面が被研磨面となって研磨材の層と接触した状態とされる。そのため、研磨工程を別途設けなくとも、複数の機械要素を動作させることによって研磨材の層と被研磨面とが擦り合わされ、その結果、被研磨面を短時間でかつ高精度に研磨することができる。
【0030】
またさらに、請求項9の発明によれば、互いに噛み合う二つの歯車のうち、一方の歯車が研磨部材となり、その歯車の歯面に研磨材の層が形成される。そして、被研磨部材としてその歯面が被研磨面となる他方の歯車と、研磨材の層が形成された研磨部材としての歯車とが噛合される。そのため、研磨工程を別途設けなくとも、研磨部材および被研磨部材としての二つの歯車を互いに噛み合った状態で駆動することにより、研磨材の層と被研磨面とが擦り合わされ、その結果、被研磨面としての歯車の歯面を短時間でかつ高精度に研磨することができる。
【0031】
そして、請求項10の発明によれば、互いに噛み合う二つの歯車のうち、相対的に歯数が多い方の歯車が研磨部材となり、その歯車の歯面に研磨材の層が形成される。そして、相対的に歯数が少ない方の歯車が被研磨部材となり、その歯車の歯面が被研磨面となって、研磨材の層が形成された研磨部材としての歯車の歯面と接触するようにそれらの二つの歯車が噛合される。そのため、研磨工程を別途設けなくとも、研磨部材および被研磨面としての二つの歯車を互いに噛み合った状態で駆動することにより、研磨材の層と被研磨面とが擦り合わされ、その結果、被研磨面を短時間でかつ高精度に研磨することができる。また、相対的に歯数が多い方の歯車の歯面に研磨材の層が形成されていることによって、被研磨面側の研磨部材との総接触面積に対して、研磨部材側の被研磨面との総接触面積を大きくすることができ、例えば研磨材の層の厚さに制限がある場合であっても、効果的に被研磨面を研磨することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。前述したように、歯車の動力伝達効率を向上させるためには、歯面の面性状を向上させること、特に歯面の摩擦係数を低下させることが必要とされる。すなわち、歯面の摩擦係数を低下させるために、例えば歯面の表面粗さを細かく(小さく)する必要がある。歯面の表面粗さを細かくするためには、例えば熱処理等により不可避的に発生する変形や歯面の歪みなどを除去する研磨加工を行う必要があり、この研磨加工を短時間でかつ高精度に行うことが従来より課題とされていた。
【0033】
そこでこの発明では、以下のような研磨方法および研磨部材を用いることによって、短時間でかつ高精度に研磨加工が行われるように構成されている。図1は、この発明を歯車の歯面の研磨に適用した例を説明するための図であって、図1の(A)は平歯車に、図1の(B)ははすば歯車に適用した例を示している。図1に示す歯車対は、相対的に歯数の少ない方の歯車(小歯車)1と、相対的に歯数の多い方の歯車(大歯車)2との互いに噛み合う二つの歯車によって構成されている。
【0034】
これら大小の歯車1,2のうち、小歯車1は、例えば切削加工、シェービング、熱処理等の所定の加工が行われた後の状態の歯車であって、熱処理加工後の歯面の研磨加工が行われる前の状態の歯車である。したがって、この小歯車1が、被研磨部材(ワーク)1であり、その小歯車1の歯面が被研磨面1aとなっている。一方、大歯車2は、例えば切削加工、シェービング、熱処理等の所定の加工が行われた後の状態、もしくは、所定の研削加工あるいは研磨加工まで行われた後の状態の歯車であって、そのような状態の大歯車2が母材となり、その歯面部分に、保持部材(バインダ)によってそれぞれ保持された、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒とを有する研磨材層3が形成されている。
【0035】
そして、小歯車1と大歯車2とが互いに噛み合わされている。すなわち、小歯車1と大歯車2との噛み合い部分において、被研磨面1aと研磨材層3とが互いに接触させられている。そのため、小歯車1と大歯車2とが駆動されることによって、被研磨面1aと研磨材層3とが互いに擦り合わされて、被研磨面1aを研磨することができる。したがって、この大歯車2が、被研磨部材1の被研磨面1aを研磨する研磨部材2となっている。
【0036】
研磨部材2に形成された研磨材層3について、図2を参照して具体的に説明する。大歯車(研磨部材)2に、大歯車2の歯面部分2aが母材となって研磨材層3が形成されている。その研磨材層3は、相対的に粒径の大きい研磨用砥粒4が混入されてバインダ5により保持されている第1の研磨層6と、相対的に粒径の小さい研磨用砥粒7が混入されてバインダ5により保持されている第2の研磨層8との二層構造となっている。
【0037】
すなわち、大歯車2の歯面部分2aの表面に第2の研磨層8が形成されていて、その第2の研磨層8の表面に第1の研磨層6が形成されている。そして、小歯車1と大歯車2との噛み合い部分において、第1の研磨層6の表面が小歯車1の被研磨面1aと接するようになっている。言い換えると、小歯車1と大歯車2とが噛み合わされる際、すなわち研磨部材2により被研磨面1aの研磨が開始される際に、被研磨面1aと接する位置に第1の研磨層6が設けられ、その第1の研磨層6と研磨部材2(歯面部分2a)との間に第2の研磨層8が設けられることによって研磨材層3が形成されている。
【0038】
ここで、研磨用砥粒4,7、バインダ5について具体的に説明すると、研磨用砥粒4,7は、それぞれ、例えば炭化珪素(SiC)を材料としていて、研磨用砥粒4としては、粒径が10μm程度、研磨用砥粒7としては、粒径が1μm程度の砥粒が用いられる。研磨用砥粒4の粒径は、第1の研磨層6で被研磨面1aを研磨する際に所望する研磨量もしくは研磨速度や、研磨の際に研磨用砥粒4が第1の研磨層6から脱落して、例えば歯車装置の潤滑油中に混入した場合の影響度などを考慮して、相対的に大きな任意の粒径とすることができる。上記の10μm程度の粒径は、研磨用砥粒4が脱落して潤滑油中に混入した場合に、例えば軸受や歯車各部に異常摩耗などを引き起こすことがない最大の粒径として適宜設定されている。
【0039】
また、研磨用砥粒7の粒径は、第2の研磨層8で被研磨面1aを研磨する際に所望する被研磨面1aの面性状、具体的には所望する被研磨面1aの表面粗さなどを考慮して、相対的に小さな任意の粒径とすることができる。上記の1μm程度の粒径は、研磨後に所望する被研磨面1aの表面粗さを、例えば算術平均粗さ(Ra)の値で0.1μmとした場合に、研磨材として適当な粒径として適宜設定されている。
【0040】
そして、研磨用砥粒4,7の材料は、研磨の際に適当な砥粒の硬度、あるいは砥粒の形状などを考慮して、適宜に選択することができる。なお、上記に示したSiC以外の砥粒の材料として、例えばダイヤモンド、あるいはアルミナ(Al23)などを用いることもできる。また研磨用砥粒4,7の材料は、同一の材料とすることができ、あるいはそれぞれ異なる材料を組み合わせることも可能である。
【0041】
バインダ5としては、例えば、ポリアミドイミド(PAI)などの熱硬化性樹脂が用いられる。その場合、このバインダ5を用いた第1の研磨層6および第2の研磨層8の生成方法としては、研磨用砥粒4,7をそれぞれ混合したバインダ5が、例えばスプレーコーティングなどの方法により、それぞれ研磨部材2もしくは第2の研磨層8の表面に塗布され、その後、高温(PAIを用いた場合は約180〜200℃程度)の雰囲気内で熱硬化性樹脂が硬化されることによって研磨層が生成(焼成)される。
【0042】
上記のように構成された研磨部材2により、被研磨面1aを研磨する方法について簡単に説明する。第1の研磨層6と第2の研磨層8とを有する研磨材層3が形成された研磨部材(大歯車)2と、被研磨面(歯面)1aを有する被研磨部材(小歯車)1とが、前述の図1に示すように、互いに噛み合った状態に設置される。そして、それらの互いに噛み合う二つの歯車が駆動される。この場合、駆動側の歯車は小歯車1もしくは大歯車2のいずれであってもよい。そして被駆動側歯車に所定の負荷が掛けられる。この所定の負荷は、被研磨面1aを研磨する際に、所望する研磨量もしくは研磨速度、あるいは被研磨面1aのRa値などを考慮して、任意の大きさに適宜設定することができる。
【0043】
小歯車1および大歯車2による歯車対が駆動されると、その噛み合い部分において、先ず初めに第1の研磨層6と被研磨面1aとが接触し、歯車対の回転に伴ってそれらの接触部分が摺動して、すなわち第1の研磨層6と被研磨面1aとが互いに擦り合わされて第1の研磨層6により被研磨面1aが研磨される。そして、その状態で研磨が進められると、第1の研磨層6が次第に摩滅し、やがて第2の研磨層8と被研磨面1aとが接触するようになる。そして歯車対の回転に伴ってそれらの接触部分が摺動して、すなわち第2の研磨層8と被研磨面1aとが互いに擦り合わされて第2の研磨層8により被研磨面1aが研磨される。そして被研磨面1aにおいて所定の面性状を得るために設定された所定時間の間歯車対が駆動される。研磨後は、例えば潤滑油を交換して研磨の際に脱落した砥粒や研磨滓などを除去し、歯車対を洗浄する、いわゆるフラッシングが行われて、一連の研磨加工が終了される。
【0044】
以上のように、この発明に係る研磨方法および研磨部材によれば、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒4と相対的に小さい粒径の研磨用砥粒7とが保持部材(バインダ)5により保持されて研磨材層3が形成され、その研磨材層3が表面に形成された研磨部材(大歯車)2により被研磨部材(小歯車)1の被研磨面(小歯車1の歯面)1aが研磨されることによって、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒4により短時間で被研磨面1aを研磨することができ、相対的に粒径の小さい研磨用砥粒7により高精度に被研磨面を研磨することができる。
【0045】
これらの相対的に大きい粒径の研磨用砥粒4と相対的に小さい粒径の研磨用砥粒7とは、研磨材層3の中にそれぞれ混合された状態で保持されることもできるが、上記の具体例のように、相対的に大きい粒径の研磨用砥粒4が混入された第1の研磨層6と、相対的に小さい粒径の研磨用砥粒7が混入された第2の研磨層8との二層に分けられた状態で研磨材層3の中にそれぞれ保持されることができる。その場合、先ず初めに相対的に大きい粒径の研磨用砥粒4が混入されている第1の研磨層6により被研磨面1aが研磨され、その第1の研磨層6が研磨により摩滅するのに伴って、引き続き相対的に小さい粒径の研磨用砥粒7が混入されている第2の研磨層8により被研磨面1aが研磨される。そのため、研磨工程を複数回に分ける必要がなくなり、より短時間でかつ高精度に被研磨面1aを研磨することができる。
【0046】
また、互いに噛み合う二つの歯車1,2のうち、一方の歯車を被研磨部材1として、その歯車の歯面を被研磨面1aとし、他方の歯車を研磨部材2として、その歯面部分2aに第1の研磨層6と第2の研磨層8とを有する研磨材層3が形成されることにより、研磨工程を別途設けなくとも、被研磨部材1および研磨部材2としての二つの歯車1,2を互いに噛み合った状態で駆動することによって、研磨材層3と被研磨面1aとが擦り合わされ、その結果、被研磨面1aを短時間でかつ高精度に研磨することができる。
【0047】
さらに、互いに噛み合う二つの歯車1,2のうち、特に、相対的に歯数が多い方の歯車(大歯車)2を研磨部材2として、その歯面部分2aに第1の研磨層6と第2の研磨層8とを有する研磨材層3を形成することによって、被研磨面1a側の研磨部材2との総接触面積に対して、研磨部材2側の被研磨面1aとの総接触面積を大きくすることができ、例えば研磨材層3の厚さに制限がある場合であっても、効果的に被研磨面1aを研磨することができる。
【0048】
なお、上記の具体例では、この発明に係る研磨方法および研磨部材を、歯車装置に適用した例を示しているが、歯車装置以外に、例えば、ベルト伝動装置におけるプーリおよび伝動ベルト、あるいはチェーン伝動装置におけるチェーンおよびスプロケット、あるいはすべり軸受および軸、あるいは転がり軸受における転動体および内輪および外輪などの、互いに接触した状態で動作する複数の機械要素、もしくはそのような機械要素を備えた装置に適用することができる。その場合、上記の具体例と同様に、研磨工程を別途設けなくとも、複数の機械要素を動作させることによって研磨材の層と被研磨面とが擦り合わされ、その結果、被研磨面を短時間でかつ高精度に研磨することができる。
【0049】
また、上記のような作用・効果を奏するこの発明に係る研磨方法および研磨部材を、例えばトランスミッションなどの車両の動力伝達装置における歯車機構に適用すれば、その歯車機構における各歯車の歯面の面性状を向上させること、すなわち歯面を高精度に研磨して摩擦係数を低下させることによって、歯車機構における動力伝達効率を向上させ、ひいては、車両の動力伝達効率を向上させて、燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明に係る研磨方法および研磨部材の例を概略的に説明する模式図である。
【図2】この発明に係る研磨方法および研磨部材の例を詳細に説明する模式図である。
【符号の説明】
【0051】
1…被研磨部材(ワーク、小歯車)、 1a…被研磨面、 2…研磨部材(大歯車)、 2a…歯面部分、 3…研磨材層、 4,7…研磨用砥粒、 5…保持部材(バインダ)、 6…第1の研磨層、 8…第2の研磨層。




 

 


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