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発明の名称 電子ビーム溶接方法及び溶接装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−14980(P2007−14980A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197750(P2005−197750)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
発明者 渡辺 元喜
要約 課題
電子ビームで円周溶接を行なう場合に、溶接開始部と溶接終了部のオーバーラップ部位でのスパッタ発生等を抑制し、電子ビーム溶接を良好に行なう。

解決手段
電子銃より発せられた電子ビームを、二以上のワークが互いに接して形成される継手部分に略垂直に照射させ、該電子ビームと該二以上のワークを相対回転させて、該二以上のワークを接合する電子ビーム溶接方法であって、溶接スタート部より該二以上のワークの周方向に該電子ビームを略垂直に照射し、一周又は複数周して該溶接スタート部に到達した後、電子ビーム電流値を低下させつつ該電子ビーム方向を偏向させて斜め照射することを特徴とする電子ビーム溶接方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
電子銃より発せられた電子ビームを、二以上のワークが互いに接して形成される継手部分に略垂直に照射させ、該電子ビームと該二以上のワークを相対回転させて、該二以上のワークを接合する電子ビーム溶接方法であって、溶接スタート部より該二以上のワークの周方向に該電子ビームを略垂直に照射し、一周又は複数周して該溶接スタート部に到達した後、電子ビーム電流値を低下させつつ該電子ビーム方向を偏向させて斜め照射することを特徴とする電子ビーム溶接方法。
【請求項2】
前記電子ビーム照射が溶接スタート部に到達した後、電子ビーム電流値を低下させつつ該電子ビーム方向を偏向させて斜め照射する際に、斜め照射の偏向角度を徐々に大きくしつつ該電子ビーム照射を行なうことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム溶接方法。
【請求項3】
前記溶接スタート部より該二以上のワークの周方向に該電子ビームを略垂直に照射する前に、該電子ビーム方向を偏向させて斜め照射し、且つ斜め照射の偏向角度を徐々に小さくしつつ該電子ビーム照射を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の電子ビーム溶接方法。
【請求項4】
電子ビームを発生させる電子銃を備え、二以上のワークが互いに接して形成される継手部分に対して、該電子ビームを略垂直に照射させることによって、該二以上のワークを接合する電子ビーム溶接装置であって、該電子ビームと該二以上のワークを相対回転させる手段と、該電子ビームの照射方向を偏向する手段とが付設されていることを特徴とする電子ビーム溶接装置。
【請求項5】
前記電子ビームの照射方向を偏向する手段が偏向コイルであることを特徴とする請求項4に記載の電子ビーム溶接装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、二以上のワーク(部材)が互いに接して形成される継手部分に高エネルギの電子ビームを照射して、前記二以上のワークを接合する電子ビーム溶接方法及び溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム溶接方法は、高電圧で加速された電子からなるエネルギ束を、例えば、突き合わされた二以上のワークが互いに接して形成される継手部分に照射することで、該継手部分を溶融、蒸発させるとともに急速に凝固させ、それら二以上のワークを接合する溶接方法である。なお、電子ビーム溶接では、被溶接物が真空容器内に配置されるのが一般的な形態である。これは電子の平均自由行程を大きくし、それがもつエネルギを被溶接物に有効に伝えるための措置である。
【0003】
電子ビーム溶接は、従来の溶接方法に較べて、被溶接物に与える熱変形や溶接歪が小さいこと等から、一般に高品位な溶接を実現できることが知られている。したがって、より高い精度が求められるワーク(部材)の組立などには非常に有効な接合手段であり、精密部品から大型構造部品まで幅広く応用されている。
【0004】
特に、比較的大型の構造部品において電子ビーム溶接を適用する場合には、その溶接部が、サブマージアーク溶接やTIG溶接で通常用いられる断面U字型(突き合わせ時)の開先とは異なり、通常、I型開先とされる。したがって、開先加工にともなう手間を省略することが可能であるとともに、溶接自体もワンパス(one−pass)溶接で行われることとなり、従来に較べて大幅に工数を低減することが可能である。
【0005】
このように、電子ビーム溶接は、高品位で低コストな溶接を実現することが可能な優れた接合手段であるということができる。
【0006】
ところで、電子ビームを用いて円周溶接を行なう場合、溶接開始部(スタート部)と溶接終了部がオーバーラップし、その重複部でのスパッタ発生が溶接不良率の増加を招いている。
【0007】
そこで、下記特許文献1には、継手の全周面を完全に溶接するとともに、溶接時の入熱量を全周面に対して均等化して溶接後の収縮による円周体の屈曲を防止することを目的として、円形開口部を有する二つの部材を、該円形開口部で当接させ、該当接部全周を電子ビームにより溶接する電子ビーム溶接法において、該電子ビームの電流を、溶接開始以降徐々に増加させて部材内周部まで完全な溶接が可能な一定値とし、ビーム電流を一定に保ったまま円筒体円周方向の溶接を少なくとも二周行い、最終溶接周回時に溶接位置が溶接開始点に達したら、以後はビーム電流が一定値に達した円筒体円周方向位置で零になるようにビーム電流を減少させることが開示されている。
【0008】
また、下記特許文献2には、円筒体の軸線方向の収縮量が円筒体円周方向のいずれの位置でも均一になるようにすることを目的として、円形開口部を有する二つの部材を、該円形開口部で当接させ、該当接部全周を電子ビームにより溶接する電子ビーム溶接法法において、溶接開始時に、ビーム電流を徐々に増加させ、円筒体継手部分を通って裏側へ透過する透過ビーム電流を円筒体円周方向位置に対応して記憶させ、該透過電流が予め求めておいた適正な溶接ができる目標透過ビーム電流になったら該透過ビーム電流を一定に保持して円筒体円周方向の溶接を行ない、溶接が一周して溶接開始時の透過ビーム電流が零でない位置まで来たら、以降の目標透過ビーム電流を該適正な溶接ができる目標透過ビーム電流と記憶させておいた透過ビーム電流の差になるように溶接することが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−97376号公報
【特許文献2】特開昭63−132785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1及び特許文献2に開示されているように、電子ビームで円周溶接を均一に行なって溶接不良率を抑制する試みがなされているが、いずれも不十分であり、より高精度に低コストで円周溶接を均一に行なう技術の開発が求められていた。
【0011】
そこで、本発明は、電子ビームで円周溶接を行なう場合に、溶接開始部と溶接終了部のオーバーラップ部位でのスパッタ発生等を抑制することによって、溶接を良好に行なうことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、電子ビームのフォーカスをぼかしながら電子ビーム電流値を低下させることによって上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち、第1に、本発明は、電子銃より発せられた電子ビームを、二以上のワークが互いに接して形成される継手部分に略垂直に照射させ、該電子ビームと該二以上のワークを相対回転させて、該二以上のワークを接合する電子ビーム溶接方法の発明であり、溶接スタート部より該二以上のワークの周方向に該電子ビームを略垂直に照射し、一周又は複数周して該溶接スタート部に到達した後、電子ビーム電流値を低下させつつ該電子ビーム方向を偏向させて斜め照射することを特徴とする電子ビーム溶接方法である。
【0014】
本発明において、前記電子ビーム照射が溶接スタート部に到達した後、電子ビーム電流値を低下させつつ該電子ビーム方向を偏向させて斜め照射する際に、斜め照射の偏向角度を徐々に大きくしつつ該電子ビーム照射を行なうことが好ましい。
【0015】
上記説明では、電子ビーム照射が溶接スタート部に到達した後に、電子ビーム方向を偏向させて斜め照射したが、これに加えて、溶接スタート部より該二以上のワークの周方向に該電子ビームを略垂直に照射する前に、該電子ビーム方向を偏向させて斜め照射させても良い。
【0016】
第2に、本発明は、電子ビームを発生させる電子銃を備え、二以上のワークが互いに接して形成される継手部分に対して、該電子ビームを略垂直に照射させることによって、該二以上のワークを接合する電子ビーム溶接装置の発明であり、該電子ビームと該二以上のワークを相対回転させる手段と、該電子ビームの照射方向を偏向する手段とが付設されていることを特徴とする電子ビーム溶接装置である。
【0017】
本発明において、前記電子ビームの照射方向を偏向する手段としては偏向コイルが好ましく例示される。
【発明の効果】
【0018】
電子ビームは、前記したように高速に加速された電子のエネルギ束である。つまり、エネルギの担い手は、一価のマイナス電荷を帯びた粒子(電子)である。したがって、電子が飛行する空間に磁場が存在している場合には、電子はその磁場より電磁力を受けて飛行経路が曲げられることになる。本発明では、電子ビーム方向を偏向させて斜め照射すること、及び電子ビームの照射方向を偏向する手段を採用している。
【0019】
溶接開始部と溶接終了部のオーバーラップ部位で電子ビーム方向を偏向させて斜め照射することで、電子ビームのフォーカスがぼかしながら、電子ビーム電流値を低下させることになる。これによって、溶融池の表面積を広くし、溶融池内部のガス放出を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図6に、従来の電子ビーム溶接方法における溶接スタート部と溶接終了部のオーバーラップの概略を示す。従来は、溶接面に対して垂直もしくは、半径方向に斜めに電子ビームを照射しており、円周溶接時の終了時(溶接スタート部とラップする部分)にスパッタが発生し易い。溶接スタート点aから溶接スタートビードbが始まり、円筒体を一周して溶接終了ビードcは溶接終端点dで終わる。このとき、溶接スタートビードbと溶接終了ビードcは一部オーバーラップしている。
【0021】
従来の、円周溶接を行う場合、溶接スタート時から溶接終了直前までの間に蓄積された溶融池内部のガスが、溶接終了時に噴出し、スパッタ、クレーター等の溶接不良が発生する。従来技術では、溶接終了時において、ビーム電流を低下させるだけの制御であるため、溶融池表面積が急激に減少(図6中の溶接終端部d)し、内部ガスを効果的に排出させることができない。これによって、スパッタ、クレーターが発生する。
【0022】
図1に、本発明の溶接方法の概略図を示す。溶接スタート点aから溶接スタートビードbが始まる。円周溶接を行う場合、溶接終了ビードは必ず溶接スタートビードbの部分にオーバーラップして溶接を終える。本溶接方法では、その溶接終了部のビームを以下の順で照射する。
(A)図中矢印方向からビームが動いてくる。この時の電子ビーム1、2、3は照射面に対して略垂直である。
(B)溶接スタート点aにさしかかったポイントから徐々にビーム電流を下げると共に、溶接スタート点aを偏向部の起点として電子ビームを偏向させ(電子ビーム4→5)、斜め照射とする。電子ビームは偏向コイル6によって溶接スタート点aより偏向する。
【0023】
電子ビームを3→4→5と斜めにして行くと、電子ビームの道のりが長くなっていくため、フオーカスが徐々にボケて行く。これによって、溶接終了時の溶融池表面積を大きくすることが可能であるため、溶融池内部に溜まったガスが抜け易くなり、従来は溶接終了時に多く発生したスパッタを低減することができる。
【0024】
図2は、本発明の電子ビーム溶接方法における溶接スタート部と溶接終了部付近のビード部を上方から見た概略図である。溶接スタート点aから溶接スタートビードbが始まり、円筒体を一周または数周して溶接終了ビードcは溶接終端部dで終わる。このとき、溶接スタートビードbと溶接終了ビードcは一部オーバーラップしている。溶接スタートビードbと溶接終了ビードcは図2の様に溶融池面積を確保したまま終了することができ、従来技術のように終了ビードが先細りにならない。
【0025】
[実施例1]
図3に、本発明の実施例の電子ビーム溶接装置の概念図を示す。この電子ビーム溶接装置は、図外の電子ビームと該二以上のワークを相対回転させる手段を有する他に、電子ビームの照射方向を偏向する手段として偏向コイル6、7、8を有する。従来との相違点を明確にするために、図7に従来の電子ビーム溶接装置の概念図を示す。
【0026】
本発明の電子ビーム溶接装置では、溶接終了時に溶接線に沿ってビームを偏向させるため、図7の偏向コイル7、8に加えて、図3に示す様に偏向コイル6を1箇所追加する。これによって、溶接スタート〜溶接終了直前までは図7のような垂直ビーム照射を行うが、溶接終了時、即ち溶接スタートビードと溶接終了ビードをオーバーラップさせる部分、では、偏向コイル6の作用によって前述の効果が得られ、スパッタやクレーターを防止する事ができる。
【0027】
更に、図4に、シャフトとカバーの電子ビーム溶接例を示す。溶接スタート〜溶接終了直前まではビーム9の様に垂直照射させ、溶接終了時にはビーム10の様に溶接線方向に偏向させて前述したスパッタやクレーターの抑制を図る。
【0028】
[実施例2]
図5に、本発明の他の実施例の電子ビーム溶接スタート時と溶接終了時の概念図を示す。本溶接方法では、その溶接スタート部及び溶接終了部のビームを以下の順で照射する。
(A)溶接スタート点から徐々にビーム電流を上げると共に、溶接スタート点より電子ビームを偏向させ(電子ビーム11→12)、斜め照射とし徐々に垂直照射(電子ビーム13)する。電子ビームは図外の偏向コイルによって偏向する。
(B)円筒体溶接物の周を一周して、図中矢印方向からビームが動いてくる。この時の電子ビーム1、2、3は照射面に対して略垂直である。
(C)溶接スタート点aにさしかかったポイントから徐々にビーム電流を下げると共に、溶接スタート点aを偏向部の起点として電子ビームを偏向させ(電子ビーム4→5)、斜め照射とする。電子ビームは図外の偏向コイルによって溶接スタート点aより偏向する。
【0029】
電子ビーム(11→12)を斜めから垂直にして行くと(13→14)、電子ビームの道のりが短くなっていくため、ボケたフオーカスが徐々に集中して行く。また、垂直から3→4→5と斜めにして行くと、電子ビームの道のりが長くなっていくため、フオーカスが徐々にボケて行く。これによって、溶接スタート部に重ねて溶接終了時の溶融池表面積を大きくすることが可能であるため、溶融池内部に溜まったガスが抜け易くなり、スパッタを低減することができる。
【0030】
更に、図5中の干渉物16、例えばワークの姿勢を安定させるのに必要な治具など、が存在する場合でも、これに干渉されること無く円周溶接を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の電子ビーム方向を偏向させて斜め照射すること、及び電子ビームの照射方向を偏向する手段を設けることにより、電子ビームで円周溶接を行なう場合に、溶接開始部と溶接終了部のオーバーラップ部位でのスパッタ発生等を抑制することが可能となり、電子ビーム溶接を良好に行なうことができる。この結果、電子ビーム溶接の実用性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の溶接方法の概略図を示す。
【図2】本発明の電子ビーム溶接方法における溶接スタート部と溶接終了部付近のビード部を上方から見た概略図を示す。
【図3】本発明の実施例の電子ビーム溶接装置の概念図を示す。
【図4】シャフトとカバーの電子ビーム溶接例を示す。
【図5】本発明の他の実施例の電子ビーム溶接スタート時と溶接終了時の概念図を示す。
【図6】従来の電子ビーム溶接方法における溶接スタート部と溶接終了部のオーバーラップの概略を示す。
【図7】従来の電子ビーム溶接装置の概念図を示す。
【符号の説明】
【0033】
1,2,3:垂直電子ビーム、4,5:斜め電子ビーム、6,7,8:偏向コイル、9:垂直電子ビーム、10:斜め電子ビーム、11,12,13:斜め電子ビーム、14,15:垂直電子ビーム、16:干渉物、a:溶接スタート点、b:溶接スタートビード、c:溶接終了ビード、d:溶接終端点。




 

 


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