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発明の名称 脚式ロボットとその制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−7801(P2007−7801A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−193277(P2005−193277)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
代理人 【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
発明者 内原 誠文
要約 課題
脚式ロボットにおいて、支持脚の足平の実際の配置を計測し、計測された足平配置と目標とする足平配置との差異に基づいて、動作計画を更新しながら歩行することが可能な技術を提供する。

解決手段
本発明のロボットは、動作計画に基づいて関節群を駆動して歩行する脚式ロボットである。その脚式ロボットは、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表点の位置を検出する手段と、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表線の方向を検出する手段と、ロボットの関節群の関節角群を検出する手段と、検出された代表点の位置と検出された代表線の方向と検出された関節角群に基づいてロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの支持脚の足平配置を特定する手段と、特定された支持脚の足平配置と目標とする支持脚の足平配置経路に基づいて動作計画を修正する手段とを備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
動作計画に基づいて関節群を駆動し、脚リンクの足平を接地して接地した脚リンクを支持脚とする動作を繰り返して歩行する脚式ロボットであって、
ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表点の位置を検出する手段と、
ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表線の方向を検出する手段と、
ロボットの関節群の関節角群を検出する手段と、
検出された代表点の位置と、検出された代表線の方向と、検出された関節角群に基づいて、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの支持脚の足平配置を特定する手段と、
特定された支持脚の足平配置と、目標とする支持脚の足平配置経路に基づいて、動作計画を修正する手段と、
を備える脚式ロボット。
【請求項2】
前記動作計画を修正する手段は、
特定された支持脚の足平配置と、動作計画に基づいて、当該支持脚が次に接地する足平配置を推定する手段と、
目標とする支持脚の足平配置経路から、当該支持脚が次に接地する目標足平配置を特定する手段と、
推定された当該支持脚が次に接地する足平配置と、特定された当該支持脚が次に接地する目標足平配置との差異を特定する手段と、
特定された差異に基づいて、当該支持脚が次に接地する足平配置が、当該支持脚が次に接地する目標足平配置へ近づくように、動作計画を修正する手段と
を備えることを特徴とする請求項1の脚式ロボット。
【請求項3】
前記支持脚の足平配置を特定する手段は、
検出された代表点の位置と、検出された代表線の方向と、検出された関節角群に基づいて、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの支持脚の足平配置を計算する手段と、
計算された支持脚の足平配置の時間平均を計算して、支持脚の足平配置を特定する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から2の脚式ロボット。
【請求項4】
前記代表点は、ロボットの頭部に位置することを特徴とする、請求項1から3の脚式ロボット。
【請求項5】
前記代表線は、ロボットの頭部に位置することを特徴とする、請求項1から4の脚式ロボット。
【請求項6】
動作計画に基づいて関節群を駆動し、脚リンクの足平を接地して接地した脚リンクを支持脚とする動作を繰り返して歩行する脚式ロボットを制御する方法であって、
ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表点の位置を検出する工程と、
ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表線の方向を検出する工程と、
ロボットの関節群の関節角群を検出する工程と、
検出された代表点の位置と、検出された代表線の方向と、検出された関節角群に基づいて、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの支持脚の足平配置を特定する工程と、
特定された支持脚の足平配置と、目標とする支持脚の足平配置経路に基づいて、動作計画を修正する工程と
を備える脚式ロボットの制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、体幹(胴部)に対して脚リンクが揺動可能に連結されている機械(脚式ロボットの機械系)を制御して歩行させる技術に関する。詳しくは、支持脚の実際の足平配置を計測し、目標とする足平配置経路に復帰するように歩容を修正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
左足リンクと体幹と右足リンクの相対的姿勢を変化させることによって歩行する脚式ロボットが開発されている。
脚式ロボットが歩行するためには、左足先と体幹と右足先の運動を指示するデータを必要とする。そのうちの体幹の位置と姿勢は、足先の位置と姿勢に対して適当な値である必要があり、その値が適当でなければロボットは転倒してしまう。
脚式ロボットが転倒しない体幹の位置と姿勢を得るためには、ロボットのダイナミクスを考慮に入れた複雑な計算を必要とする。その計算過程は大略下記のものである。
(1)ロボットの左足先と右足先の位置と姿勢を指示する経時的データを指定する。
(2)足先の位置と姿勢を考慮してロボットのZMPが存在しなければならない位置を指定する。ZMP(zero moment point)は、ロボットに作用する重力や床反力や慣性力の合力のモーメントがゼロになる床上の点をいう。ZMPが接地脚の足平内にあればロボットは転倒しない。逆にいうと、ロボットが転倒しないためには、ZMPが接地脚の足平内になければならない。そこで接地脚の足先の位置と姿勢を考慮し、下記の関係を満たす目標ZMPを指定する。即ち、一方の脚リンク(例えば左脚)が遊脚になっている間は接地脚(右脚)の足平内に存在し、その一方の脚(左脚)が接地して両足接地状態になった時に新たに接地した脚(左脚)の足平内に向けて移動開始し、それまでに接地していた脚(右脚)が遊脚となる前に新たに接地した脚(左脚)の足平内に移動し終えるZMPを指定する。このようにして指定されたZMPは、目標ZMPと呼ばれる。実際のZMPが目標ZMPのとおりに移動すれば、ロボットは転倒することなく歩行しつづける。
(3)足先の位置と姿勢の変化とそれに追従して変化する目標ZMPが指定されると、体幹の位置と姿勢の経時的変化を仮定してロボットのダイナミクスを計算する。計算する時点で、足先の位置と姿勢の経時的変化が指定されているために、ロボットの体幹の位置と姿勢を仮定すると、ロボットの全身の姿勢が決まる。ロボットの全身の姿勢が決まると、その姿勢におけるZMPの位置を計算することが可能となる。ZMPの位置を計算するためには、静的な要素に加えて、ロボットに作用する慣性力の影響を織り込まなければならない。仮定した体幹の位置と姿勢の経時的変化を計算に含めることで、ロボットのダイナミクスまで考慮してZMPの位置を計算することが可能となる。体幹の位置と姿勢の経時的変化を仮定するとZMPの位置を計算することができることから、目標ZMPに一致するZMPを実現する体幹の位置と姿勢の経時的変化を探求することができる。
上記によって探求された体幹の位置と姿勢の経時的変化を示すデータを体幹歩容データといい、もともと指定されている足先の位置と姿勢の経時的変化を示すデータを足先歩容データといい、両者を総称して歩容データという。歩容データに従ってロボットが歩行すれば、実際のZMPが目標ZMPに一致し、ロボットは転倒せずに歩行しつづけることができる。
【0003】
歩容データは、時間に対する位置および姿勢の経時的変化で与えられる。位置と速度と加速度は関連しており、そのうちの一つの量から他の量を計算することができるために、位置の代わりに速度または加速度の経時的変化を扱ってもよい。姿勢は座標軸に対する回転角度で表現されるが、角度と角速度と角加速度は関連しており、そのうちの一つの量から他の量を計算することができるために、角度の代わりに角速度または角加速度の経時的変化を扱ってもよい。本明細書では、歩容データが、位置・速度・加速度のいずれかと、角度・角速度・角加速度のいずれかで記述されるために、運動を記述するデータということにする。
【0004】
目標ZMPに一致するZMPをもたらす体幹運動を算出する手法は、目標足先運動の変化に追従してロボットが歩行しつづけることを可能とする目標体幹運動の経時的変化を算出する手法の典型例であり、それには限られない。一般的にいうと、脚式ロボットは、体幹と体幹に対して揺動可能に連結されている脚リンクを備えており、目標とする足先運動の経時的変化を記述する足先歩容データが指示されると、目標足先運動の変化に追従して歩行しつづけることを可能とする目標体幹運動の経時的変化を記述する体幹歩容データを算出し、指示された足先歩容データと算出された体幹歩容データを用いて歩行する。
【0005】
歩容データに基づいて関節群を駆動すると、ロボットは歩行動作を実現する。実現される歩行動作が、想定した歩容データで表現される歩行動作と一致していれば、実現されるZMPは支持脚の足平内に維持されるため、ロボットは転倒することなく安定して歩行動作を継続することができる。
【0006】
ロボットが歩行をしている間に、ロボットに予期せぬ外乱力が作用して、目標とする動作と、実際の動作との間にズレが生じることがある。路面の予期せぬ凹凸によって予期せぬ外乱力が作用することもあるし、ロボットに外界から押したり引いたりする外力が加えられることもある。ロボットの構造上のたわみや、ロボットの関節のガタや、ロボットの応答遅れ等に起因して歩容データから外れれば、予期せぬ外乱力が作用したのと同じことになる。
ロボットの実際の動作が目標とする動作からズレた場合、実際のロボットのZMPと目標ZMPの間に相違が生じ、ZMPが支持脚の足平内へ維持されなくなって、ロボットは転倒する可能性がある。このような事態を防ぐために、ロボットが実際に動作している状態を検出して、目標とする動作にフィードバックして、安定な動作を実現する技術が開発されている。
特許文献1に記載の技術では、ロボットに作用する床反力あるいは床反力モーメントを測定してZMP位置を実測する。実測されたZMP位置を目標ZMP位置と比較し、その偏差を両足平の目標位置や姿勢へフィードバックすることで歩行の安定化をはかっている。
【特許文献1】特開平5−305579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から提案されている脚式ロボットの歩行を制御する技術の多くは、ロボットに作用する力や加速度を計測し、計画された動作に対してフィードバック制御を加える。このような制御技術によれば、ロボットの動力学的な安定性を確保することが可能であり、安定して歩行し続けるロボットを実現することができる。上記の制御技術によると、ロボットは必ずしも所望の配置で脚リンクの足平を接地するわけではないが、少なくとも安定した歩行を実現することができる。
【0008】
しかしながら、ロボットの脚リンクの足平が所望の配置で接地するように制御したい場合がある。例えば床上に障害物が点在する室内をロボットが歩行する場合、障害物を踏まないように、接地する足平の配置を制御したい。また階段を昇降する場合、段を踏み外したり、段に躓いたりすることなく、歩行するように制御したい。
【0009】
ロボットが接地するときの足平の配置を制御するためには、支持脚が実際に接地しているときの足平の配置を計測し、ロボットの動作に反映することが望ましい。そのためには、支持脚の足平の実際の配置を計測する手段が必要となる。しかしながら、脚リンクの足先は装置搭載スペースが少なく、位置や方向の計測に必要な機器を搭載することが困難であるという問題がある。また、足先は衝撃荷重を繰返し受ける部位であり、足先に搭載する機器には衝撃や振動が繰返し負荷されるため、位置や方向の計測に用いる機器に故障を生じやすいという問題もある。従って、脚リンクの足先に計測機器を搭載して、足平の配置を直接計測することは現実的ではない。
【0010】
このような背景から、従来の技術では、接地している脚リンクの足平の実際の配置を計測してロボットの動作に反映することができなかった。接地している脚リンクの足平の実際の配置が、目標とする足平の配置経路からずれている場合であっても、それを修正することができなかった。
【0011】
本発明は上記課題を解決する。本発明のロボットは、支持脚の足平の実際の配置を計測し、計測された足平配置と目標とする足平配置との差異に基づいて、動作計画を更新しながら歩行することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のロボットは、動作計画に基づいて関節群を駆動し、脚リンクの足平を接地して接地した脚リンクを支持脚とする動作を繰り返して歩行する脚式ロボットである。その脚式ロボットは、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表点の位置を検出する手段と、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表線の方向を検出する手段と、ロボットの関節群の関節角群を検出する手段と、検出された代表点の位置と検出された代表線の方向と検出された関節角群に基づいてロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの支持脚の足平配置を特定する手段と、特定された支持脚の足平配置と目標とする支持脚の足平配置経路に基づいて動作計画を修正する手段とを備えている。
【0013】
本明細書で「動作計画」とは、ロボットに実現させる動作を特徴づけるデータであり、例えば歩容データであってもよいし、関節群の関節角群の経時的変化を記述するデータであってもよい。通常、動作計画はロボットが実際に動作を実現する前に予め与えられている。
本明細書で「足平配置」とは、脚リンクの足平が床と接地するときの、足平に当接する床上の領域を記述する情報のことを指す。このような情報としては、例えば足平が床と接地した状態で、足平の基準となる点に当接する床上の点の位置を示す情報であってもよい。また、足平が床と接地した状態で、足平の基準となる点に当接する床上の点の位置と、足平の基準となる方向(例えば踵から爪先へ向かう方向)に一致する床に沿う方向の両者を示す情報であってもよい。
上記の「代表点」はロボットの一部分に対して固定された点のことであって、ロボットが位置や姿勢を変化させるのに従って、ロボットの外部に固定された座標系から見た代表点の位置は変化する。
上記の「代表線」はロボットの一部分に対して固定された線のことであって、ロボットが位置や姿勢を変化させるのに従って、ロボットの外部に固定された座標系から見た代表線の方向は変化する。
【0014】
上記のロボットは、動作計画に基づいて関節群を駆動して動作をしている間、代表点の位置と、代表線の方向と、関節群の関節角群を計測する。動作中のロボットの姿勢は関節群の関節角群から一意に特定することができる。従って、外部の座標系から見たロボットの代表点の位置と、外部の座標系から見たロボットの代表線の方向が分かれば、特定されたロボットの姿勢に応じて、外部の座標系から見たときのロボットの支持脚の足平配置を特定することができる。上記のロボットは、特定された支持脚の足平配置と、目標とする支持脚の足平配置経路に基づいて、動作計画を修正する。
【0015】
上記のロボットによれば、支持脚の実際の足平配置に基づいて、その後の動作計画を修正することができる。従って、ロボットの支持脚の足平配置が、目標とする足平配置経路から外れた場合であっても、目標とする足平配置経路へ復帰するように、その後の歩行動作を修正することができる。
【0016】
上記の脚式ロボットでは、動作計画を修正する手段は、特定された支持脚の足平配置と動作計画に基づいて当該支持脚が次に接地する足平配置を推定する手段と、目標とする支持脚の足平配置経路から当該支持脚が次に接地する目標足平配置を特定する手段と、推定された当該支持脚が次に接地する足平配置と特定された当該支持脚が次に接地する目標足平配置との差異を特定する手段と、特定された差異に基づいて当該支持脚が次に接地する足平配置が当該支持脚が次に接地する目標足平配置へ近づくように動作計画を修正する手段とを備えることが好ましい。
【0017】
上記のロボットによれば、実際の足平配置を特定された支持脚が遊脚となって浮遊して再び接地するまでの間の動作を、特定された実際の足平配置に基づいて修正することが可能となる。このように動作を修正することで、ロボットの動作を急激に変化させることなく、目標とする足平配置経路へ復帰させることが可能となり、ロボットの動作の安定性が確保される。
【0018】
上記の脚式ロボットでは、支持脚の足平配置を特定する手段は、検出された代表点の位置と検出された代表線の方向と検出された関節角群に基づいてロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの支持脚の足平配置を計算する手段と、計算された支持脚の足平配置の時間平均を計算して、支持脚の足平配置を特定する手段とを備えることが好ましい。
【0019】
代表点の位置と代表線の方向と関節角群に基づいて計算される支持脚の足平配置は、理想的には、その支持脚が接地している間、変動することがない。しかしながら、代表点の位置や代表線の方向を計測する際の計測誤差等の影響によって、計算される支持脚の足平配置が時間とともに変動する場合がある。
上記のロボットによれば、計算される支持脚の足平配置の時間平均を計算して支持脚の足平配置を特定するため、上記した計測誤差の影響を抑制し、目標とする足平配置経路へ正確に復帰させることが可能となる。
【0020】
上記した脚式ロボットでは、前記代表点がロボットの頭部に位置することが好ましい。
上記したロボットでは、位置の計測に必要な機器を頭部に搭載する。位置を計測する機器は、多くの場合、位置が既知である外部の位置基準装置からの信号を受信して、信号の伝播に要した時間から、ロボットの位置を特定する。ロボットの頭部は、全方位からの信号受信が可能であり、ロボットがどのような姿勢を取っても、信号が遮蔽されることなく、好適に信号を受信することが可能である。従って、安定して代表点の位置の計測を行うことができる。
またロボットの頭部は、歩行に伴う振動や衝撃の影響が小さいため、位置の計測に用いる機器が故障や誤動作を起こしにくいという利点もある。
【0021】
上記した脚式ロボットでは、前記代表線はロボットの頭部に位置することが好ましい。
代表線の方向を計測する機器は、多くの場合、複数個の位置を計測する機器を用いる。位置を計測する機器は、多くの場合、位置が既知である外部の位置基準装置からの信号を受信して、信号の伝播に要した時間から、ロボットの位置を特定する。ロボットの頭部は、全方位からの信号受信が可能であり、ロボットがどのような姿勢を取っても、信号が遮蔽されることなく、好適に信号を受信することが可能である。従って、安定して位置の計測を行うことが可能であり、安定して代表線の方向の計測を行うことができる。
またロボットの頭部は、歩行に伴う振動や衝撃の影響が小さいため、方向の計測に用いる機器が故障や誤動作を起こしにくいという利点もある。
【0022】
本発明は方法としても具現化される。本発明の方法は、動作計画に基づいて関節群を駆動し、脚リンクの足平を接地して接地した脚リンクを支持脚とする動作を繰り返して歩行する脚式ロボットを制御する方法である。その方法は、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表点の位置を検出する工程と、ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表線の方向を検出する工程と、ロボットの関節群の関節角群を検出する工程と、検出された代表点の位置と検出された代表線の方向と検出された関節角群に基づいてロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの支持脚の足平配置を特定する工程と、特定された支持脚の足平配置と目標とする支持脚の足平配置経路に基づいて動作計画を修正する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0023】
本発明のロボットおよびその制御方法を用いることで、実際の支持脚の足平配置を検出し、目標とする足平配置経路からの差異に基づいて動作計画を更新しながら歩行するロボットを実現することができる。所望の足平配置で脚リンクの足平を接地させながら歩行するロボットを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具現化した実施例について図面を参照して説明する。最初に実施例の主要な特徴を列記する。
(形態1) 動作計画に基づいて関節群を駆動し、脚リンクの足平を接地して接地した脚リンクを支持脚とする動作を繰り返して歩行する脚式ロボットであって、
関節群を駆動するアクチュエータ群と、
関節群の関節角群を計測するエンコーダ群と、
ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表点の位置を検出する手段と、
ロボットの外部に固定された座標系から見たロボットの代表線の方向を検出する手段と、
制御装置を備え、
前記制御装置は、
動作計画を記憶する手段と、
エンコーダ群から入力される関節角群と、前記位置を検出する手段から入力される代表点の位置と、前記方向を検出する手段から入力される代表線の方向に基づいて、支持脚の足平配置を特定する手段と、
特定された支持脚の足平配置と、動作計画に基づいて、当該支持脚が次に接地する足平配置を推定する手段と、
推定された当該支持脚が次に接地する足平配置と、当該支持脚が次に接地する目標足平配置に基づいて、動作計画における補正量を計算する手段と、
計算された補正量に基づいて、動作計画を修正する手段と、
修正された動作計画に基づいて、関節群の関節角群を計算する手段と、
計算された関節角群となるようにアクチュエータ群を駆動する手段と
を備える脚式ロボット。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
図1に示すロボット6は、頭部18と、体幹12と、右脚20と、左脚22を備えている。ロボット6は、右脚20が接地している間に左脚22を遊脚として軌道7のように移動させ、左脚22が接地すると今度は右脚20を遊脚として軌道8のように移動させ、以下同様に、左脚22を遊脚として軌道9のように移動させ、次には右脚20を遊脚として軌道10のように移動させて歩行を続ける。
【0026】
ロボット6の歩行を制御するために、ロボット6の体幹12にコンピュータ装置14が搭載されている。コンピュータ装置14は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク等を有する。コンピュータ装置14のハードウェア構成は汎用のコンピュータと同じであり、説明は省略する。コンピュータ装置14は歩容データを記憶しており、それに基づいてロボット6の関節群を制御する。
【0027】
ロボット6が歩行を続けるためには、足先の運動を記述する足先歩容データと、体幹12の運動を記述する体幹歩容データを備える歩容データが必要とされる。
足先歩容データは予めオペレータによって指定される。体幹歩容データはロボットの力学モデルを用いて計算されるZMP軌道が目標ZMP軌道に一致する関係に設定される。
【0028】
本実施例では、図1に示すように、ロボット6の外部の床に固定された座標系を(x, y, z)とし、ロボット6の支持脚の基準点に固定された座標系を(x', y', z')とする。座標系(x', y', z')は、ロボット6が右脚20を支持脚としているときは基準点 R に固定されており、ロボット6が左脚22を支持脚としているときは、基準点 L に固定されている。座標系(x', y', z')では、足平に沿って踵から爪先へ伸びる方向をx' 軸とし、足平に沿って x' 軸と直交する方向を y' 軸とし、足平に垂直な方向を z' 軸とする。通常は、x' 軸はロボットが歩行する方向に相当し、y' 軸はロボットの体側方向に相当し、z' 軸はロボットの高さ方向に相当する。
【0029】
足先歩容データは、ロボット6の足先の位置と姿勢の経時的変化を表す。例えば右脚20に関して、足先歩容データは、足先基準点 R の位置 xR, yR, zR の経時的変化と、基準点 R から足平の法線方向に伸びるベクトル Rr のオイラー角 αR, βR, γR の経時的変化を備えている。左脚22に関しても同様に、足先歩容データは、足先基準点 L の位置 xL, yL, zL の経時的変化と、基準点 L から足平の法線方向に伸びるベクトル Lr のオイラー角 αL, βL, γL の経時的変化を備えている。
体幹歩容データは、体幹の位置と姿勢の経時的変化を表す。体幹歩容データは、体幹基準点 W の位置 xW, yW, zW の経時的変化と、基準点 W から体幹に沿って頭部に向けて伸びるベクトル Wr のオイラー角 αW, βW, γW の経時的変化を備えている。
【0030】
ロボット6の頭部18には、頭部位置検出装置220と、頭部方向検出装置222が搭載されている。頭部位置検出装置220は、ロボット6の外部の座標系から見た頭部18の基準点Hの位置xh, yh, zh を検出して、コンピュータ装置14に送信する。頭部方向検出装置222は、ロボット6の外部の座標系から見た頭部18の方向を検出して、コンピュータ装置14に送信する。頭部18の方向は、基準点 H から頭部18の前方に向けて伸びるベクトル Hr のオイラー角 αh, βh, γh で表現される。本実施例のロボット6では、基準点Hが頭部18の代表点に相当し、ベクトルHr の始点と終点を結ぶ線が頭部18の代表線に相当する。
【0031】
図2は、コンピュータ装置14の機能をブロック化して示す図である。図2に示す要素のうち、ロボットの機械系216、エンコーダ218、頭部位置検出装置220、頭部方向検出装置222を除いた部分がコンピュータ装置14の構成要素である。コンピュータ装置14は、全体が物理的に1つの装置に含まれていてもよいし、物理的に分離された装置ごとに分けて収容されていてもよい。
【0032】
歩容データ記憶装置210には、オペレータによって指定された足先歩容データが記憶されている。
足先歩容データは、加算器230によって補正され、関節角群計算装置212へ入力される。補正された足先歩容データは、体幹歩容計算装置232において、体幹歩容データの計算にも用いられる。
また歩容データ記憶装置210には、目標とする足平配置経路として、支持脚の接地位置 X'k, Y'k(k = 1, 2,・・・)と接地方向Γ'k(k = 1, 2,・・・)が、一歩ごとに記憶されている。支持脚の接地位置 X'k, Y'k(k = 1, 2,・・・)は、足先歩容データに従って関節群を駆動したときの一歩ごとの支持脚の接地位置を示しており、支持脚が接地した状態における足先の基準点の位置をロボット6の外部の座標系で表現したものである。また支持脚の接地方向Γ'k(k = 1, 2,・・・)は、足先歩容データに従って関節群を駆動したときの支持脚の足平の接地方向を示しており、支持脚が接地した状態において足先の基準点に固定された座標系(x', y', z')の x' 軸が、外部の座標系(x, y, z)の x 軸と成す角度を表現したものである。支持脚の接地位置 X'k, Y'k(k = 1, 2,・・・)および接地方向Γ'k(k = 1, 2,・・・)は、補正量計算装置228へ入力される。
さらに歩容データ記憶装置210には、支持脚の二歩ごとの相対的な接地位置 ΔX'k, ΔY'k(k = 1, 2,・・・)と相対的な接地方向ΔΓ'k(k = 1, 2,・・・)が、一歩ごとに記憶されている。本実施例のロボット6は、右脚と左脚を交互に接地して支持脚としながら歩行するため、支持脚の二歩ごとの相対的な接地位置と接地方向は、同一の脚リンクについて連続する2つの足平配置での位置の変化量と方向の変化量を示している。支持脚の相対的な接地位置ΔX'k, ΔY'k(k = 1, 2,・・・)は、支持脚の接地位置を二歩前の支持脚の接地位置から見た相対的な位置を示している。支持脚の相対的な接地方向ΔΓ'k(k = 1, 2,・・・)は、支持脚の接地方向を二歩前の支持脚の接地方向から見た相対的な方向である。支持脚の相対的な接地位置ΔX'k, ΔY'k(k = 1, 2,・・・)および相対的な接地方向ΔΓ'k(k = 1, 2,・・・)は、着地配置計算装置226へ入力される。
【0033】
体幹歩容生成装置232は、加算器230から入力される補正された足先歩容データに基づいて、体幹歩容データを生成する。体幹歩容生成装置232は、入力される足先歩容データに基づいて、支持脚の足平内に維持される目標ZMPを特定し、実現されるZMPが目標ZMPと一致するような体幹の位置と姿勢の経時的変化を特定する。
生成された体幹歩容データは、加算器230で補正された足先歩容データとともに、関節角群計算装置212へ入力される。
【0034】
関節角群計算装置212は、入力された足先歩容データと体幹歩容データに基づいて、いわゆる逆キネマティクスを解くことでロボット6の各関節角θ'i(t)(i = 1,2,・・・,n)を計算する。計算された関節角群データは、アクチュエータ制御部214に入力される。
【0035】
アクチュエータ制御部214は、ロボット6の関節群を回転させるアクチュエータ群を制御する。アクチュエータ群はロボットの機械系216に存在している。アクチュエータ群を制御すると、ロボット6の関節角群を計算された関節角群に調整できる。アクチュエータ制御部214がアクチュエータ群を駆動すると、ロボット6は歩容データに従って歩行する。
【0036】
ロボット6の各関節には、エンコーダ218が設けられている。エンコーダ218は、ロボット6の各関節角θi(t)(i = 1,2,・・・,n)を計測し、計測された関節角群を支持脚足平配置計算装置224へ出力する。
【0037】
頭部位置検出装置220は、ロボット6の外部に固定された座標系における頭部18の位置xh(t), yh(t), zh(t) を計測し、計測された頭部18の位置を支持脚足平配置計算装置224へ出力する。このような位置計測装置としては、例えばGPS受信機を用いることができる。また超音波を用いて距離を計測する装置であってもよいし、レーザー光を用いて距離を計測する装置であってもよいし、電磁波を用いて距離を計測する装置であってもよい。あるいはカメラ等を用いて外部の状況を撮影して、撮影されたデータに基づいて頭部の位置を特定してもよい。
頭部位置検出装置220は、頭部18の頭頂部に搭載されている。これによって、ロボット6の機体によって位置計測に使用する信号が遮蔽されることを防止することができる。ロボット6がどのような姿勢をとっても、安定して精度よく頭部18の位置を計測することができる。
上記のほかにも、頭部位置検出装置220は加速度センサと積分器の組合せであってもよい。この場合、頭部位置検出装置220は加速度センサで加速度を計測し、計測された加速度を積分して速度を計測し、計測された速度を積分して位置を計測する。
上記のほかにも、頭部位置検出装置220は、従来から知られている種々の位置計測技術によって、その位置を計測することができる。
【0038】
頭部方向検出装置222は、ロボット6の外部に固定された座標系における、頭部18の方向αh(t), βh(t), γh(t) を計測し、計測された頭部18の方向 αh(t), βh(t), γh(t) を支持脚足平配置計算装置224へ出力する。
上記した頭部方向検出装置222は、2つの位置検出装置の組み合わせであってもよい。この場合、頭部方向検出装置222は、一方の位置検出装置で計測される位置から、他方の位置検出装置で計測される位置までの位置偏差ベクトルを計算し、計算された位置偏差ベクトルと、各位置検出装置の頭部18における取り付け位置から、頭部18の方向を計算することができる。
上記のほかにも、頭部方向検出装置222は、ジャイロセンサと積分器の組合せであってもよい。この場合、頭部方向検出装置222は、ジャイロセンサで角速度を計測し、計測された角速度を積分して方向角を計測する。また上記した頭部方向検出装置222としては、例えば地磁気センサを用いることもできる。
上記のほかにも、頭部方向検出装置222は、従来から知られている種々の方向計測技術によって、その方向を計測することができる。
【0039】
支持脚足平配置計算装置224は、エンコーダ218、頭部位置検出装置220、頭部方向検出装置222からの入力に基づいて、支持脚が接地している位置 Xk(t), Yk(t) と、接地方向Γk(t) を算出する。
支持脚足平配置計算装置224は、エンコーダ218から入力される各関節の関節角θi(t)(i = 1, 2,・・・,n)に基づいて、頭部18の基準点 H から見た、支持脚の基準点 L または R の相対的な位置と、頭部18のベクトル Hr に対する、支持脚の足平の相対的な方向を算出する。そして、算出された相対的な位置および方向と、頭部位置検出装置220から入力される位置 xh(t), yh(t), zh(t) と、頭部方向検出装置222から入力される方向 αh(t), βh(t), γh(t) から、支持脚の接地位置 Xk(t), Yk(t) および接地方向Γk(t) を計算する。
【0040】
エンコーダ218、頭部位置検出装置220、頭部方向検出装置222による計測が理想的に行われていれば、支持脚が切替わるまでの間、支持脚の接地位置 Xk(t), Yk(t) や接地方向Γk(t) は変化しないはずである。しかしながら、計測誤差に起因して、上記で計算される支持脚の接地位置Xk(t), Yk(t) や接地方向 Γk(t) が時間とともに変動することがある。本実施例のロボット6では、支持脚が切り替わらない期間において、上記で計算される支持脚の接地位置 Xk(t), Yk(t) および接地方向Γk(t) のそれぞれの時間平均を算出し、支持脚の接地位置 Xk, Ykおよび接地方向 Γk を特定する。
支持脚足平配置計算装置224は、逐次支持脚の接地位置 Xk(t), Yk(t) および接地方向Γk(t) を計算しながら、支持脚の切替わりを監視している。支持脚足平配置計算装置224は、支持脚が切替わった時点で、それまでに計算されている接地位置 Xk(t), Yk(t) および接地方向Γk(t) をそれぞれ時間に関して積分して平均値を算出し、算出された平均値を特定された支持脚の接地位置Xk, Yk および接地方向 Γk として着地配置計算装置226へ出力する。
【0041】
着地配置計算装置226は、それまで支持脚であった脚リンクが、その後遊脚となって足平配置Xk, Yk, Γk から浮遊し、再び着地するときの足平配置 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 を計算する。着地配置計算装置226は、支持脚足平配置計算装置224から入力される支持脚の足平配置 Xk, Yk, Γk と、歩容データ記憶装置210から入力される相対位置および方向ΔXk+2, ΔYk+2, ΔΓk+2 から、支持脚の着地配置 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 を計算する。着地配置計算装置226は、計算された支持脚の着地配置 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 を、補正量計算装置228へ出力する。
【0042】
補正量計算装置228は、足先歩容データ xk+2(t), yk+2(t), zk+2(t), αk+2(t), βk+2(t), γk+2(t) についての補正量Δxk+2(t), Δyk+2(t), Δzk+2(t), Δαk+2(t), Δβk+2(t), Δγk+2(t) を計算する。補正量計算装置228は、着地配置計算装置226から入力される2歩先の着地配置の推定値 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 と、歩容データ記憶装置210から入力される2歩先の着地配置の目標値 X'k+2, Y'k+2, Γ'k+2 の偏差を算出し、その偏差に応じた補正量Δxk+2(t), Δyk+2(t), Δzk+2(t), Δαk+2(t), Δβk+2(t), Δγk+2(t) を計算する。計算される補正量Δxk+2(t), Δyk+2(t), Δzk+2(t), Δαk+2(t), Δβk+2(t), Δγk+2(t) は、算出された偏差にゲインを乗じたものである。このゲインは時間とともに変化するものであって、現在の支持脚から切替わった時点では0であり、徐々に増加し、2歩先の支持脚が接地する時点で最大となるように、規定されている。またこのゲインは歩行速度、歩幅、動作種類(前進・後退・旋回・足踏みなど)等によっても変化し、ロボット6の動作を変更することで挙動が不安定となりやすい状況では、補正量の大きさは低く設定される。これによって、ロボット6の動作の安定性が確保される。
補正量計算装置228から出力される補正量Δxk+2(t), Δyk+2(t), Δzk+2(t), Δαk+2(t), Δβk+2(t), Δγk+2(t) は、加算器230によって足先歩容データ xk+2(t), yk+2(t), zk+2(t), αk+2(t), βk+2(t), γk+2(t) に加算される。
【0043】
ロボット6は、歩容データ記憶装置210から足先歩容データを読出し、必要であればその足先歩容データを補正し、体幹歩容データを計算し、関節角群を計算し、アクチュエータを制御する。アクチュエータの駆動によって、各関節が回転し、ロボット6は歩行を実現する。
【0044】
ロボット6が動作を実施している間、コンピュータ装置14は図3のフローチャートに示す処理を並行して実施している。以下では、図3に示す処理について説明する。
【0045】
ステップS302では、現在の歩数kを更新する。歩数kは現在接地している支持脚が、ロボット6が歩行を開始してから何歩目に該当するかを示す数である。
ステップS304では、ロボット6の外部の座標系から見た頭部18の位置 xh(t), yh(t), zh(t) を計測する。頭部18の位置 xh(t), yh(t), zh(t) は、頭部18に搭載された頭部位置検出装置220によって計測される。
ステップS306では、ロボット6の外部の座標系から見た頭部18の方向 αh(t), βh(t), γh(t) を計測する。頭部18の方向 αh(t), βh(t), γh(t) は、頭部18に搭載された頭部方向検出装置222によって計測される。
ステップS308では、ロボット6の関節群の関節角θi( i = 1, 2,・・・,n )を計測する。関節群の関節角θi( i = 1, 2,・・・,n )は、エンコーダ218によって計測される。
ステップS310では、その時点での支持脚であるk歩目の支持脚の足平配置 Xk(t), Yk(t), Γk(t) を計算する。現在接地している支持脚の足平配置 Xk(t), Yk(t), Γk(t) は、ステップS302で計測された頭部18の位置 xh(t), yh(t), zh(t) と、ステップS304で計測された頭部18の方向 αh(t), βh(t), γh(t) と、ロボット6の関節群の関節角θi( i = 1, 2,・・・,n )に基づいて、ヤコビ行列を用いて算出される。
ステップS312では、支持脚が切替わったか否かを判断する。支持脚が切替わった場合(ステップS312でYESの場合)、処理はステップS314へ進む。支持脚がまだ切替わっていない場合(ステップS312でNOの場合)、処理はステップS304へ進み、ステップS304からステップS312までの処理を繰返し実施する。
ステップS314では、k歩目の支持脚の足平配置 Xk(t), Yk(t), Γk(t) の平均値 Xk, Yk, Γk を計算する。支持脚の足平配置の平均値 Xk, Yk, Γk は、ステップS310で時々刻々計算されたk歩目の支持脚の足平配置 Xk(t), Yk(t), Γk(t) の時間平均を算出することで取得する。上記の平均値算出は、k歩目の支持脚に切替わった時点から、k+1歩目の支持脚に切替わった時点までの期間について行う。ステップS314の処理を実施する時点で、k+1歩目の支持脚は接地しており、ステップS314の処理によって、先ほどまで接地していたk歩目の支持脚の足平配置 Xk, Yk, Γk が特定される。
【0046】
図4はロボット6の支持脚の足平配置の推移を示している。k歩目の支持脚が足平配置412に接地すると、ステップS302からステップS312までの処理が制御サイクルごとに繰返し実施される。k-1歩目で支持脚だった脚リンクは、支持脚が切替わった後に、k-1歩目の足平配置410から浮遊して遊脚となり、k+1歩目の足平配置416へ向けて移動する。この間、k歩目の支持脚の足平配置412は、ステップS302からステップS312までの処理で繰返し計算されている。k+1歩目の支持脚が足平配置416に接地して、支持脚が切替わると、ステップS314でk歩目の支持脚の足平配置412の時間平均が計算され、足平配置412が特定される。
【0047】
図3のフローチャートに戻り、ステップS316では、k+2 歩目の支持脚の足平配置 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 (図4の418)を推定する。足平配置 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 は、ステップS314で特定されたk歩目の支持脚の足平配置 Xk, Yk, Γk (図4の412)と、歩容データ記憶装置210に記憶されたk+2歩目の支持脚の相対的な接地位置および接地方向ΔXk+2, ΔYk+2, ΔΓk+2に基づいて推定する。
【0048】
ステップS318では、補正量計算装置228が、k+2歩目の支持脚に関して、推定された足平配置X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 (図4の418)と、目標とする足平配置 X'k+2, Y'k+2, Γ'k+2(図4の420)との偏差を計算する。k+2歩目の支持脚の推定された足平配置 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 は、ステップS316で計算されている。k+2歩目の支持脚の目標足平配置 X'k+2, Y'k+2, Γ'k+2 は、歩容データ記憶装置210に記憶されている。
【0049】
ステップS320では、補正量計算装置228が、ステップS318で計算された偏差を許容値と比較する。計算された偏差が許容値を超えている場合(ステップS320でYESの場合)、足先歩容データを補正するために、処理はステップS322へ進む。計算された偏差が許容値以下である場合(ステップS320でNOの場合)、足先歩容データを補正することなく、処理はステップS302へ進む。この場合補正量計算装置228は、加算器230に入力する補正量として0を出力する。
【0050】
ステップS322では、補正量計算装置228が、足先歩容データの補正量を算出する。足先歩容データの補正量は、偏差にゲインを乗じて算出される。図5に示すように、このゲインは k 歩目で支持脚だった脚リンクが足平配置 Xk, Yk, Γk (図4の412)から浮遊して遊脚となる時点から、次の足平配置 X*k+2, Y*k+2, Γ*k+2 (図4の418)へ着地する時点までの期間で定義され、当初は0であり、時間とともに増大するように設定されている。またこのゲインは歩行速度、歩幅、動作種類(前進・後退・旋回・足踏みなど)等によっても変化し、ロボット6の動作を変更することで挙動が不安定となりやすい状況では、補正量の大きさは低く設定される。算出された補正量は、足先歩容データへ加算される。ロボット6は補正量が加算された足先歩容データに基づいて関節群を駆動して、歩行を継続する。
その後処理はステップS302へ以降し、上記した処理が繰り返される。ステップS302へ以降した後、コンピュータ装置14は、k+1 歩目の支持脚について、上記した処理と同様の処理を実施する。
【0051】
図4を参照すると、特定された k 歩目の足平配置412に基づいて、上述のステップS316で k+2 歩目の足平配置418が推定される。ステップS318で k+2 歩目の推定された足平配置418と目標とする足平配置420の偏差が計算され、その偏差が許容値を超えている場合には、足先歩容データの修正がなされる。
上述のステップS316からステップS322の処理は、k+1 歩目の支持脚がすでに接地し、k 歩目で支持脚だった脚リンクが、その足先を k 歩目の足先配置412から k+2 歩目の足先配置418へ向けて移動させている間に実行される。上述した処理によって、k+2 歩目の足先配置418が目標とする足先配置420へ近づくように、遊脚の足先の歩容データが修正される。
【0052】
本実施例のロボット6によれば、実際の支持脚の足平配置を計測し、計測された足平配置と目標とする足平配置との差異に基づいて、動作計画を更新しながら歩行することができる。本実施例のロボット6によれば、所望の配置で脚リンクの足平を接地させながら歩行することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。例えば、歩容データには、時間と位置で経時的変化を記述する実施例を紹介したが、時間と速度、あるいは時間と加速度の関係で、足先や腕先や体幹の運動の経時的変化を記述してもよい。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は脚式ロボット6の歩行の概略を示す図である。
【図2】図2はコンピュータ装置14の機能をブロック化して示す図である。
【図3】図3はコンピュータ装置14が実施する処理を説明するフローチャートである。
【図4】図4は脚式ロボット6の支持脚の足平配置の推移を示す図である。
【図5】図5は脚式ロボット6の足先軌道の修正に用いるゲインの特徴を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
6・・・脚式ロボット
7,8,9,10・・・足先軌道
12・・・体幹
14・・・コンピュータ装置
18・・・頭部
20・・・右脚
22・・・左脚
210・・・歩容データ記憶装置
212・・・関節角群計算装置
214・・・アクチュエータ制御部
216・・・ロボットの機械系
218・・・エンコーダ
220・・・頭部位置検出装置
222・・・頭部方向検出装置
224・・・支持脚足平配置計算装置
226・・・着地配置計算装置
228・・・補正量計算装置
230・・・加算器
232・・・体幹歩容計算装置




 

 


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