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発明の名称 金型の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−7775(P2007−7775A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191698(P2005−191698)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
発明者 田村 有孝
要約 課題
簡単な構成で、異なる環境温度で加工された複数の構成部品を容易に且つ確実に組付けることができる金型の製造方法を提供する。

解決手段
ポンチ1とリング2のスライドプレート10、20の摺動面10a、20aを摺動するように所定寸法に加工し組み付けてなる金型の製造方法であって、ポンチ1とリング2のスライドプレート10、20の摺動面10a、20aについての切削加工するときのそれぞれの想定環境温度と組み付けるときの想定環境温度との差T1,T2を求め、ポンチ1とリング2の素材の環境温度変化による膨張/収縮量の特性とから摺動面10a、20aのそれぞれの想定寸法変形量を求め、この想定寸法変化量に基づいて摺動面10a、20aの寸法設定を補正し、補正された寸法設定で摺動面10a、20aを切削加工し、ポンチ1とリング2を組み付ける。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の構成部品を所定寸法に加工し組み付けてなる金型の製造方法であって、
各構成部品についての加工時の想定環境温度と組付け時の想定環境温度の差から環境温度変化による想定寸法変化量を求める工程と、
各構成部品の寸法設定を想定寸法変化量に基づいて補正する工程と、
補正された寸法設定で各構成部品を加工する工程と、
加工された各構成部品を組み付ける工程と、
を有することを特徴とする金型の製造方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型の製造方法に関し、特に、複数の構成部品を所定寸法に加工し組み付けてなる金型の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する背景技術としては、特許文献1が知られている。特許文献1は、微細形状を金型に形成するための加工方法および加工装置に係るもので、特に、微細形状を金型に形成するための加工方法および加工装置にサブミクロンオーダーの微細形状を金型からの転写成形により微細プリズム形状、マイクロレンアレイ形状などを有する成形品を得るための転写原型となる金型の加工方法と加工装置に関するものである。そして、特許文献1は、加工装置の外部温度変化と加工時の装置X−Yテーブル移動に起因した加工ヘッドとX−Yテーブルの相対位置変化による精度低下を抑止し、高精度な微細形状を高速でかつ高精度に金型に形成するための加工方法および加工装置を提供することを目的としている。
【0003】
特許文献1には、被加工物を保持し滑らかに水平方向に移動する加工テーブルと、加工テーブル上部に位置し、被加工物を加工するための加工工具を保持し、加工工具を垂直方向に移動して被加工物と加工工具との相対位置を位置決め可能な加工ヘッドと、前記加工ヘッドと前記加工テーブルとの距離を測定する変位計測検出装置を具備し、加工の際に前記変位計測検出装置を用いて加工ヘッドと加工テーブルの相対距離を測定し加工ヘッドへの位置決め指令値に反映させて加工を行うことなどが開示されている。そして、特許文献1には、切削工具と被加工物である金型とを相対的に移動させることによって、切削工具で金型の表面に微細形状の加工を行うことが開示されている。
【0004】
ところで、複数の構成部品を組み付けてなる金型として例えば、図4に示すように、ポンチ1’の周囲にリング状のダイクッション(以下、リングと称する)2’を摺動可能に嵌合するよう組み付けて下型を構成する場合、一般に、ポンチ1’の外周面とリング2’の内周面との互いに対応する位置には、スライドプレート10’、20’が設けられる。そして、ポンチ1’とリング2’は、それぞれ鋳造などによってスライドプレート10’、20’と一体に成形され、その摺動面10a’、20a’が互いに接した状態で摺動可能に組み付けることができるように切削加工や研削加工などの除去加工(以下、切削などの加工という)によって所定の寸法に加工される。この切削などの加工は、通常、所謂CADデータに従いCAMによって加工工具3を数値制御して移動させることにより、行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−311589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各構成部品を加工し組付けて金型を構成する場合、金型を製造する設備や製造計画などの理由から、各構成部品の切削などの加工を含む製造時間帯が異なり、また、各構成部品を組付ける時間帯も異なることが一般に多い。さらには、各構成部品の製造時季と組み付け時季とが異なることもある。そして、この製造と組み付けの時間帯や時季などが異なることに起因して、周囲の温度すなわち環境温度も異なることとなる。
【0007】
例えば上述したようにポンチ1’とリング2’を組付けて金型を構成する場合、そのスライドプレート10’、20’の摺動面10a’、20a’を切削などの加工を行うための加工工具3の移動軌跡は、CADデータに従いCAMによって数値制御される。この加工工具3の移動軌跡の設定は、通常、一般的な平均気温などの常温状態(中温状態)を想定している。
【0008】
これに対して、リング2のスライドプレート20’の摺動面20a’を切削などの加工をするときが日中の気温が高い時間帯あるいは夏のような時季、すなわち中温状態より環境温度が高い状態(高温状態)の場合、リング2’は、図5に矢印で示すように、膨張した状態となっている。そのため、図6に示すように、スライドプレート20’の鋳造などによって成形された表面(二点鎖線を参照)から切削などの加工を行う量(取り代)が少なくなり、摺動面20a’の位置は、常温で切削される場合(一点鎖線を参照)よりも内側となる。
また、ポンチ1’のスライドプレート10’の摺動面10a’を切削などの加工をするときが早朝などの気温が低い時間帯あるいは冬のような時季、すなわち中温状態より環境温度が低い状態(低温状態)の場合、ポンチ1’は、図7に矢印で示すように、収縮した状態となっている。そのため、図8に示すように、スライドプレート10’の鋳造などによって成形された表面(二点鎖線を参照)から切削などの加工を行う量(取り代)が少なくなり、摺動面10a’の位置は、常温で切削される場合(一点鎖線を参照)よりも外側となる。
そして、このようにスライドプレート10’、20’の摺動面10a’、20a’がそれぞれ取り代を少ない状態で切削などの加工をされたポンチ1’とリング2’を組付けるに際して、高温状態の場合では、図9の(a)に示すように、リング2’は変化しないが、ポンチ1’が膨張して、スライドプレート10’、20’が互いに干渉することとなる。また、ポンチ1’とリング2’を組付けるに際して、中温状態の場合では、図9の(b)に示すように、リング2’が収縮するとともにポンチ1’が膨張して、スライドプレート10’、20’が互いに干渉することとなる。さらに、ポンチ1’とリング2’を組付けるに際して、低温状態の場合では、図9の(c)に示すように、ポンチ1’は変化しないが、リング2’が収縮して、スライドプレート10’、20’が互いに干渉することとなる。このように、いずれの場合にも、スライドプレート10’、20’が互いに干渉するため、従来の技術では、スライドプレート10’、20’の摺動面10a’、20a’を再度切削などの加工をして調整作業を行う必要があるという問題があった。
【0009】
一方、リング2”のスライドプレート20”の摺動面20a”を切削などの加工をするときが低温状態の場合、リング2”は、図10に矢印で示すように、収縮した状態となっている。そのため、図11に示すように、スライドプレート20”の鋳造などによって成形された表面(二点鎖線を参照)から、切削などの加工を行う量(取り代)が多くなり、摺動面20a”の位置は、常温で切削される場合(一点鎖線を参照)よりも外側となる。
また、ポンチ1”のスライドプレート10”の摺動面10a”を切削などの加工をするときが高温状態の場合、ポンチ1”は、図12に矢印で示すように、膨張した状態となっている。そのため、図13に示すように、スライドプレート10”の鋳造などによって成形された表面(二点鎖線を参照)から、切削などの加工を行う量(取り代)が多くなり、摺動面10a”の位置は、常温で切削される場合(一点鎖線を参照)よりも内側となる。
そして、このようにスライドプレート10”、20”の摺動面10a”、20a”がそれぞれ取り代を多い状態で切削などの加工をされたポンチ10”とリング20”を組付けるに際して、高温状態の場合では、図14の(a)に示すように、ポンチ1”は変化しないが、リング2”が膨張して、スライドプレート10”、20”が互いに接することなく隙間が生じてガタが発生することとなる。また、ポンチ1”とリング2”を組付けるに際して、中温状態の場合では、図14の(b)に示すように、リング2”が膨張するとともにポンチ1”が収縮して、スライドプレート10”、20”が互いに接することなく隙間が生じてガタが発生することとなる。さらに、ポンチ1”とリング2”を組付けるに際して、低温状態の場合では、図14の(c)に示すように、リング2”は変化しないが、ポンチ1”が収縮して、スライドプレート10”、20”が互いに接することなく隙間が生じてガタが発生することとなる。このように、いずれの場合にも、スライドプレート10”、20”の間に生じた間隙を無くすようにするため、従来の技術では、スライドプレート10”、20”の間にシムなどのプレートを介装するなどの調整作業を行う必要があるという問題があった。
【0010】
このように、構成部品毎に加工するときの環境温度が異なり、さらに、組付けるときの環境温度が異なると、上記特許文献1によって、加工装置の設置されている温度環境要因にて装置に微小な伸び縮みが生じることに起因して加工ヘッドとX−Yテーブルとの相対位置が変化することによる加工精度の低下を抑止して、金型を構成する各構成部品が加工時に精度良く加工できたとしても、各構成部品が組み付け時に環境温度の変化により伸縮・変形し、加工時と組付時とでその寸法に誤差が生じるという問題があった。その結果、所定寸法に精度良く加工されたはずの各部品が干渉して組み付けることができなかったり、組み付けた部品の間にガタが発生するため、従来では、各部品を組み付ける際に調整作業を行う必要があることから、煩雑で手間がかかるなどの問題があった。
【0011】
本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、簡単な構成で、異なる環境温度で加工された複数の構成部品を容易に且つ確実に組付けることができる金型の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の金型の製造方法に係る発明は、上記目的を達成するため、複数の構成部品を所定寸法に加工し組み付けてなる金型の製造方法であって、各構成部品についての加工時の想定環境温度と組付け時の想定環境温度の差から環境温度変化による想定寸法変化量を求める工程と、各構成部品の寸法設定を想定寸法変化量に基づいて補正する工程と、補正された寸法設定で各構成部品を加工する工程と、加工された各構成部品を組み付ける工程と、を有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項1の発明では、各構成部品についての加工時の想定環境温度と組付け時の想定環境温度の差から環境温度変化による想定寸法変化量を求め、この想定寸法変化量に基づいて各構成部品の寸法設定を補正し、補正された寸法設定で各構成部品を加工することにより、各構成部品を異なる環境温度で加工しても組み付ける際の寸法精度が良好となるため、各構成部品を確実に組付けて適切な金型を製造することが可能な金型の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、各構成部品についての加工時の想定環境温度と組付け時の想定環境温度の差から環境温度変化による想定寸法変化量を求める工程と、各構成部品の寸法設定を想定寸法変化量に基づいて補正する工程と、補正された寸法設定で各構成部品を加工する工程と、加工された各構成部品を組み付ける工程と、を有することにより、異なる環境温度で加工された構成部品であっても、組み付ける際の寸法精度が良好となるため、各構成部品を確実に組付けて適切な金型を製造することが可能な方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の金型の製造方法の実施の一形態を、組み付けられる金型の構成部品として、ポンチ1とその周囲に嵌合するよう組み付けられるリング2であり、ポンチ1とリング2が同じ素材により成形されたものであり、所定寸法に加工する対象がスライドプレート10、20であり、加工が切削である場合により、図1および図2を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の金型の製造方法は、概略、複数の構成部品1、2を所定寸法に加工し組み付けてなる金型の製造方法であって、各構成部品1、2についての加工時の想定環境温度と組付け時の想定環境温度の差から環境温度変化による想定寸法変化量を求める工程と、各構成部品1、2の寸法設定を想定寸法変化量に基づいて補正する工程と、補正された寸法設定で各構成部品1、2を加工する工程と、加工された各構成部品1、2を組み付ける工程と、を有するものである。
【0016】
上記従来の技術で説明したのと同様に、金型の構成部材としてポンチ1の周囲にリング2を嵌合するよう組み付けることにより、下型が構成される。ポンチ1とリング2は、それぞれ鋳造などによって成形される。ポンチ1の外周面とリング2の内周面との互いに対応する位置には、スライドプレート10、20が取り代を含む大きさで一体に形成される。そして、スライドプレート10、20の互いの摺動面10a、20aは、互いに接した状態で摺動することができるような寸法に切削加工される。この切削加工は、回転駆動される切削工具3がCAMによって数値制御され、CADデータに従って摺動面10a、20aが型中心から所定の寸法に位置するようにX−Y−Z方向に移動されることにより行われる。
【0017】
ここで、図1に示すように、リング2のスライドプレート20の摺動面20aを切削加工するときの環境温度を、早朝あるいは寒い時季である場合のように比較的低い5℃と想定し、ポンチ1のスライドプレート10の摺動面10aを切削加工するときの環境温度を、日中あるいは暖かい時季である場合のように比較的高い20℃と想定し、また、ポンチ1とリング2を組み付けるときの環境温度を中間の15℃と想定する。すなわち、この実施の形態においては、図1に示すように、リング2のスライドプレート20の摺動面20aを切削加工するときから後にポンチ1と組み付けるときまでに環境温度が10℃上昇することにより膨張し、ポンチ1のスライドプレート10の摺動面10aを切削加工するときから後にリング2と組み付けるときまでに環境温度が5℃下降することにより収縮することとなる。
【0018】
そこで、本発明では、図2に示すような処理を行うべく〈1〉〜〈3〉の工程をCAMのプログラムに含める。
すなわち、〈1〉の工程では、切削工具3のCADデータに基く移動動作の軌跡を計算する。
〈2〉の工程では、(1)ポンチ1とリング2のスライドプレート10、20の摺動面10a、20aを切削加工するときの予測した各想定環境温度20℃と5℃をそれぞれ入力するとともに、(2)ポンチ1とリング2を組み付けるときの予測した想定環境温度15℃を入力し、また、(3)型中心から加工部位である両スライドプレート10、20の摺動面10a、20aの相対距離(寸法)Lを計算し、(4)ポンチ1とリング2の素材の環境温度変化による膨張/収縮量の特性Mと、ポンチ1とリング2の切削加工時から組み付け時までの予測される各想定環境温度の変化Tとに基いて、加工位置である両スライドプレート10、20の摺動面10a、20aの補正量を求める。より具体的には、この実施の形態の場合、リング2のスライドプレート20の摺動面20aを切削加工するときからポンチ1と組み付けるときまでに環境温度が10℃上昇(環境温度変化T2=+10℃)するものと予測し、ポンチ1のスライドプレート10の摺動面10aを切削加工するときからリング2と組み付けるときまでに環境温度が5℃下降(環境温度変化T1=−5℃)するものと予測し、この環境温度が10℃上昇することと5℃下降することによる膨張/収縮変形量をそれぞれ求める。この膨張/収縮変形量の絶対値が先に求めた型中心から両スライドプレート10、20の摺動面10a、20aの相対距離に対する補正量H1、H2となる。
〈3〉の工程では、加工位置である両スライドプレート10、20の摺動面10a、20aの補正方向を計算する。すなわち、ポンチ1とリング2の環境温度変化に伴う膨張/収縮変形が型中心から放射状に起きると考えられるため、ポンチ1とリング2のスライドプレート10、20の摺動面10a、20aが一致するように、加工部位の法線方向を求めることとする。
このようなプログラムを含むCAMでは、求められた補正量と補正方向に基いて切削工具3の動作軌跡を修正し、数値制御する。なお、ポンチ1とリング2の形状によっては、切削加工するときの環境温度上昇による膨張(プラス)と環境温度下降による収縮(マイナス)の変形量から補正方向が一義的に求まるため、〈3〉の工程を省略することができる場合もある。
【0019】
以上のようにして構成された本発明によるポンチ1とリング2は、それぞれを切削加工するときと組み付けるときの想定環境温度の変化を予測して、その予測した想定環境温度の変化によるポンチ1とリング2の寸法の変形量を求め、この変化量を見込んでスライドプレート10、20の摺動面10a、20aの加工位置の補正値H1、H2を求める。そして、スライドプレート10、20の摺動面10a、20aは、求められた補正値H1、H2に従って補正した上で切削加工されている。そのため、ポンチ1とリング2を製造するための設備や製造計画による加工時季にとらわれることなく、互いのスライドプレート10、20の摺動面10a、20aが接した状態で摺動するよう無理なく確実に組み付けることができる。
【0020】
次に、本発明の別の実施の形態を主に図3を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態においては、上述した実施の形態と異なる部分のみを説明することとし、同様または相当する部分については、その説明を省略する。
図3に示すように、この実施の形態における金型は、相対向して開閉可能に設けられた上型5と下型6により構成されている。上型5と下型6は、同じ素材により成形されている。上型5と下型6の角隅部には、部分的なスライドプレート50、60がそれぞれ対応するように一体に取り代を含む大きさで形成されており、スライドプレート50、60の互いの摺動面50a、60aは、互いに接した状態で摺動することができるように、切削加工される。この実施の形態では、下型6のスライドプレート60が外側で上型5のスライドプレート50が内側に位置するよう構成されている。
【0021】
ここで、この実施の形態では、上述した実施の形態よりもさらに具体的な数値を参照しながら説明する。図3の(e)に概念的に示すように、上型5と下型6を近接させて両スライドプレート50、60の摺動面50a、60aが接した状態で摺動できるようにするために、(a)および(c)に示すように、型中心Cから両スライド50、60の摺動面の中央までの組み付け時における設定距離Lをそれぞれ2m(=2000mm)とし、また、上型5と下型6の素材の環境温度変化による膨張/収縮量の特性Mを1℃の環境温度変化Tによって1mにつき0.01mm膨張/収縮するものとする。また、下型6のスライドプレート60の摺動面60aを切削加工するときの予測される想定環境温度を5℃、上型のスライドプレートの摺動面を切削加工するときの予測される想定環境温度を20℃、下型6と上型5を組み付けるときの予測される想定環境温度を15℃とする。
【0022】
下型6は、そのスライドプレート60の摺動面60aを切削加工するときから上型5と組み付けられるときの予測される環境温度の変化量(差)T1が(15−5=)+10℃となる。このときの下型6の型中心Cから各スライド60の摺動面60aの中央までの組み付け時における距離の変化(膨張)に対して必要な補正量H2はL×M×T1=2(m)×0.01(mm)×(+10℃)=0.2mmとなる。よって、予測される環境温度が5℃の下で下型6のスライドプレート60の摺動面60aを切削加工するときの型中心Cからの補正後の距離L2が、設定距離L+補正量H2=2000(mm)−0.2(mm)=1999.8mmとなるようにCAMにより数値制御される切削加工工具の動作軌跡が設定される。
【0023】
上型5は、そのスライドプレート50の摺動面50aを切削加工するときから下型6と組み付けられるときの予測される環境温度の変化量(差)T1が(15−20=)−5℃となる。このときの上型5の型中心Cから各スライド50の摺動面50aの中央までの組み付け時における距離の変化(収縮)に対して必要な補正量H1はL×M×T2=2(m)×0.01(mm)×(−5℃)=−0.1mmとなる。よって、予測される環境温度が20℃の下で上型5のスライドプレート50の摺動面50aを切削加工するときの型中心Cからの補正後の距離L1が、設定距離L+補正量H1=2000(mm)−(−0.1mm)=2000.1mmとなるようにCAMにより数値制御される切削加工工具の動作軌跡が設定される。
【0024】
以上のようにして構成された本発明による上型5と下型6は、そのスライドプレート50、60の摺動面の位置が、それぞれを切削加工するときと組み付けるときの予測される環境温度の差を考慮して補正した上で切削加工されている。そのため、上型5と下型6を製造するための設備や製造計画による加工時季にとらわれることなく、図3の(e)に示すように、互いのスライドプレート50、60の摺動面50a、60aが型中心Cから距離Lで接した状態で摺動するよう無理なく確実に組み付けることができる。
【0025】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、組み付けられて金型を構成する部品がポンチ1とリング2、或いは、上型5と下型6以外のものにも適用することができる。また、加工時の環境温度には、加工工具による摩擦熱やクーラントの温度などを加味することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態を説明するために概念的に示した断面図である。
【図2】本発明に基いて行われる処理内容を説明するために示したブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態を説明するために概念的に示した平面または底面図である。
【図4】本発明に関連して組み付けることにより金型を構成する部品の例として示したポンチとリングの断面図である。
【図5】組み付け時よりも高温でリングのスライドプレートの摺動面を切削加工する状態を説明するために概念的に示した断面図である。
【図6】取り代が少ない状態を説明するために示した図5の拡大図である。
【図7】組み付け時よりも低温でポンチのスライドプレートの摺動面を切削加工する状態を説明するために概念的に示した断面図である。
【図8】取り代が少ない状態を説明するために示した図7の拡大図である。
【図9】図5〜図8に示したように各摺動面が切削加工されたリングとポンチを各環境温度の下で組み付けようとして、いずれの場合にも両スライドプレートが干渉する状態を示した概念図である。
【図10】組み付け時よりも低温でリングのスライドプレートの摺動面を切削加工する状態を説明するために概念的に示した断面図である。
【図11】取り代が多い状態を説明するために示した図10の拡大図である。
【図12】組み付け時よりも高温でポンチのスライドプレートの摺動面を切削加工する状態を説明するために概念的に示した断面図である。
【図13】取り代が多い状態を説明するために示した図12の拡大図である。
【図14】図10〜図13に示したように各摺動面が切削加工されたリングとポンチを各環境温度の下で組み付けようとして、いずれの場合にも両スライドプレートが離れて間隙が生じる状態を示した概念図である。
【符号の説明】
【0027】
1:ポンチ(金型構成部品)、 2:リング(金型構成部品)、 10:スライドプレート(加工部位)、 20:スライドプレート(加工部位)、 10a:摺動面(加工位置)、 20a:摺動面(加工位置)、 5:上型(金型構成部品)、 6:下型(金型構成部品)、 50:スライドプレート(加工部位)、 60:スライドプレート(加工部位)、 50a:摺動面(加工位置)、 60a:摺動面(加工位置)、





 

 


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