米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 樹脂部品および樹脂部品の接合方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1116(P2007−1116A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−183125(P2005−183125)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
発明者 今田 桂輔 / 福西 篤志
要約 課題
接合時に樹脂部品の突起の根元部分が溶融したり巣が発生したりすることを防止し、十分な接合強度を達成することが可能な樹脂部品、および樹脂部品の接合方法を提供する。

解決手段
接合面11に設けられた突起12を被接合物70に設けられた孔70aに貫装し、該突起の先端部に超音波振動子2を当接して該突起の先端部を溶融および変形させることにより該被接合物に接合される樹脂部品1に、該突起と該接合面との境界部に沿ってリング状の熱応力逃がし溝13を設けた。
特許請求の範囲
【請求項1】
接合面に設けられた突起を被接合物に設けられた孔に貫装し、該突起の先端部に超音波振動子を当接して該突起の先端部を溶融および変形させることにより該被接合物に接合される樹脂部品であって、
該突起と該接合面との境界部に沿って熱応力逃がし溝を設けた樹脂部品。
【請求項2】
前記熱応力逃がし溝の底部の断面形状を略U字型とした請求項1に記載の樹脂部品。
【請求項3】
前記熱応力逃がし溝の前記突起側の壁面と該壁面の反対側の壁面とを連結する単数または複数の補強連結部を設けた請求項1または請求項2に記載の樹脂部品。
【請求項4】
超音波振動子において前記突起と当接する部分に略球面形状の窪みを設けた請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂部品。
【請求項5】
前記突起の先端部の形状を前記超音波振動子の窪みと略同じ曲率半径の略球面状とした請求項4に記載の樹脂部品。
【請求項6】
前記超音波振動子の窪みに該窪みの略中心部から周縁部に延びた単数または複数の流れ溝を設けた請求項4または請求項5に記載の樹脂部品。
【請求項7】
前記超音波振動子の窪みの周縁部に前記突起の突出方向に延びた嵩高部を設けた請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の樹脂部品。
【請求項8】
樹脂部品の接合面に設けられた突起を被接合物に設けられた孔に貫装し、該突起の先端部に超音波振動子を当接して該突起の先端部を溶融および変形させることにより該樹脂部品を該被接合物に接合する樹脂部品の接合方法であって、
該突起と該接合面との境界部に沿って熱応力逃がし溝を設けた樹脂部品の接合方法。
【請求項9】
前記熱応力逃がし溝の底部の断面形状を略U字型とした請求項8に記載の樹脂部品の接合方法。
【請求項10】
前記熱応力逃がし溝の前記突起側の壁面と該壁面の反対側の壁面とを連結する単数または複数の補強連結部を設けた請求項8または請求項9に記載の樹脂部品の接合方法。
【請求項11】
超音波振動子において前記突起と当接する部分に略球面形状の窪みを設けた請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載の樹脂部品の接合方法。
【請求項12】
前記突起の先端部の形状を前記超音波振動子の窪みと略同じ曲率半径の略球面状とした請求項11に記載の樹脂部品の接合方法。
【請求項13】
前記超音波振動子の窪みに該窪みの略中心部から周縁部に延びた単数または複数の流れ溝を設けた請求項11または請求項12に記載の樹脂部品の接合方法。
【請求項14】
前記超音波振動子の窪みの周縁部に前記突起の突出方向に延びた嵩高部を設けた請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の樹脂部品の接合方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品の超音波接合の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂部品を被接合物に接合する方法の一つとして超音波接合が知られている。
超音波接合は一般に、樹脂部品に超音波振動を付与することにより、当該樹脂部品の一部を溶融・凝固させて被接合物に接合するものである。
このような超音波接合の実施の一形態として、樹脂部品の接合面に樹脂からなる突起を設け、当該突起を被接合物に設けられた孔に貫装し、該突起の先端部に当接した超音波ホーンにより超音波振動を付与して該突起の先端部を溶融および凝固させて接合する方法が知られている。例えば、特許文献1から特許文献5までに記載の如くである。
【0003】
また、従来は自動車のECU(Engine Control Unit)を構成する車載基板に孔を設け、当該孔にネジを通してネジ止めすることにより樹脂部品を車載基板に取り付けていたが、部品点数削減およびコスト削減の観点から、上記超音波接合を利用して樹脂部品を車載基板に接合する方法も検討されている。
【特許文献1】特開2000−351159号公報
【特許文献2】特開2004−262041号公報
【特許文献3】特開2000−127248号公報
【特許文献4】特開平6−315984号公報
【特許文献5】特開平10−205985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1から特許文献5に記載の超音波接合の場合、樹脂部品の接合面に対向する方の被接合物に設けられた孔のエッジ部分と、樹脂部品に設けられた突起と樹脂部品の接合面との境界部とが当接している。そのため、超音波ホーンにより突起に超音波振動を付与すると当該境界部の周囲が溶融し、場合によっては突起の根元部分に巣(気泡)が発生する。このように突起の根元部分が溶融したり巣が発生したりすると、当該根元部分の強度が著しく低下して突起が破断し易くなり、ひいては樹脂部品の接合強度の著しい低下を招く。
本発明は以上の如き状況に鑑み、接合時に樹脂部品の突起の根元部分が溶融したり巣が発生したりすることを防止し、十分な接合強度を達成することが可能な樹脂部品、および樹脂部品の接合方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、
接合面に設けられた突起を被接合物に設けられた孔に貫装し、該突起の先端部に超音波振動子を当接して該突起の先端部を溶融および変形させることにより該被接合物に接合される樹脂部品であって、
該突起と該接合面との境界部に沿って熱応力逃がし溝を設けたものである。
【0007】
請求項2においては、
前記熱応力逃がし溝の底部の断面形状を略U字型としたものである。
【0008】
請求項3においては、
前記熱応力逃がし溝の前記突起側の壁面と該壁面の反対側の壁面とを連結する単数または複数の補強連結部を設けたものである。
【0009】
請求項4においては、
前記超音波振動子において前記突起と当接する部分に略球面形状の窪みを設けたものである。
【0010】
請求項5においては、
前記突起の先端部の形状を前記超音波振動子の窪みと略同じ曲率半径の略球面状としたものである。
【0011】
請求項6においては、
前記超音波振動子の窪みに該窪みの略中心部から周縁部に延びた単数または複数の流れ溝を設けたものである。
【0012】
請求項7においては、
前記超音波振動子の窪みの周縁部に前記突起の突出方向に延びた嵩高部を設けたものである。
【0013】
請求項8においては、
樹脂部品の接合面に設けられた突起を被接合物に設けられた孔に貫装し、該突起の先端部に超音波振動子を当接して該突起の先端部を溶融および変形させることにより該樹脂部品を該被接合物に接合する樹脂部品の接合方法であって、
該突起と該接合面との境界部に沿って熱応力逃がし溝を設けたものである。
【0014】
請求項9においては、
前記熱応力逃がし溝の底部の断面形状を略U字型としたものである。
【0015】
請求項10においては、
前記熱応力逃がし溝の前記突起側の壁面と該壁面の反対側の壁面とを連結する単数または複数の補強連結部を設けたものである。
【0016】
請求項11においては、
前記超音波振動子において前記突起と当接する部分に略球面形状の窪みを設けたものである。
【0017】
請求項12においては、
前記突起の先端部の形状を前記超音波振動子の窪みと略同じ曲率半径の略球面状としたものである。
【0018】
請求項13においては、
前記超音波振動子の窪みに該窪みの略中心部から周縁部に延びた単数または複数の流れ溝を設けたものである。
【0019】
請求項14においては、
前記超音波振動子の窪みの周縁部に前記突起の突出方向に延びた嵩高部を設けたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0021】
請求項1においては、樹脂部品を被接合物に十分な接合強度で接合することが可能である。
【0022】
請求項2においては、接合時に熱応力逃がし溝の周辺に熱応力が集中することを防止し、樹脂部品の接合強度の低下を防止することが可能である。
【0023】
請求項3においては、超音波振動の付与時に超音波振動子の特定の部分に応力が集中することを防止することが可能であり、超音波振動子の耐久性が向上する。
【0024】
請求項4においては、突起の側方への曲げ強度が向上し、接合時の破損を防止することが可能である。
【0025】
請求項5においては、突起の先端部を超音波振動子の窪みに略均等に当接して溶融することが可能であり、溶融の初期の段階で突起の先端部の特定の部分が先行して溶融し、溶融樹脂が窪みの外部に流出してバリが発生することを防止することが可能である。
【0026】
請求項6においては、溶融樹脂を下方にスムーズに流すことが可能である。
【0027】
請求項7においては、突起において接合後に被接合物の孔の周縁部に係止される部分を大きく形成することが可能であり、接合強度が向上する。
【0028】
請求項8においては、樹脂部品を被接合物に十分な接合強度で接合することが可能である。
【0029】
請求項9においては、接合時に熱応力逃がし溝の周辺に熱応力が集中することを防止し、樹脂部品の接合強度の低下を防止することが可能である。
【0030】
請求項10においては、超音波振動の付与時に超音波振動子の特定の部分に応力が集中することを防止することが可能であり、超音波振動子の耐久性が向上する。
【0031】
請求項11においては、突起の側方への曲げ強度が向上し、接合時の破損を防止することが可能である。
【0032】
請求項12においては、突起の先端部を超音波振動子の窪みに略均等に当接して溶融することが可能であり、溶融の初期の段階で突起の先端部の特定の部分が先行して溶融し、溶融樹脂が窪みの外部に流出してバリが発生することを防止することが可能である。
【0033】
請求項13においては、溶融樹脂を下方にスムーズに流すことが可能である。
【0034】
請求項14においては、突起において接合後に被接合物の孔の周縁部に係止される部分を大きく形成することが可能であり、接合強度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下では図1乃至図10、および図20を用いて本発明に係る樹脂部品の実施の一形態である樹脂部品1の構成について説明する。なお、以下の説明では便宜上矢印Aの方向を「上方」とする。
本実施例の樹脂部品1は自動車のECU(Engine Control Unit)に用いられる車載基板70に接合される部品であり、その材質として樹脂を含むものである。車載基板70は自動車のエンジンルームに配置され、高温や振動といった過酷な条件で使用される。従って、樹脂部品1には車載基板70への高い接合強度が求められる。
【0036】
車載基板70は本出願における「被接合物」の実施の一形態であるが、本出願における「被接合物」は樹脂部品の接合面に設けられた突起を貫装するための孔が設けられた部材であれば良く、その材質や形状については特に限定されるものではない。
【0037】
本出願における「樹脂」は、主として熱可塑性樹脂、すなわち温度が上昇すると軟化し、温度が下降すると固化する性質を有する樹脂、を広く指すものとする。
また、上記樹脂にガラス繊維や炭素繊維を添加したもの(例えばFRP)や、上記樹脂に熱可塑性エラストマーを添加したもの等も、本出願における「樹脂」に含まれる。
【0038】
本出願における「樹脂」の具体例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素樹脂類(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PTP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルオライド(PVF)等)、ポリアセタール(POM)、スチレン系樹脂類(アタクチックポリスチレン(APS)、アイソタクチックポリスチレン(IPS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ABS樹脂(ABS)、AS樹脂等)、ポリカーボネイト(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリサルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド類(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニール(PVC)、熱可塑性のポリウレタン(PUR)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリメチルペンテン(PMP)等が挙げられる。
【0039】
図1および図2に示す如く、樹脂部品1には平滑な接合面11が形成され、接合面11に略円柱形状の突起12が設けられる。突起12の先端部の形状は、曲率半径がR1の略球面状である。なお、以下では便宜上突起12が突出している方向(以下、「突出方向」という)を矢印Aの方向とを略一致させた状態で説明する。
突起12と接合面11との境界部に沿ってリング状の熱応力逃がし溝13が形成される。本実施例の場合、熱応力逃がし溝13の底部から接合面11までの高さに相当する熱応力逃がし溝13の深さDは約0.3mm、熱応力逃がし溝13の外周側の壁面13aから内周側の壁面13bまでの距離に相当する熱応力逃がし溝13の幅Wは約0.3mmである。
また、本実施例の熱応力逃がし溝13の断面形状は略U字型であり、熱応力逃がし溝13の壁面13a・13bと熱応力逃がし溝13の底面との境界にエッジが形成されないようにしている。
【0040】
なお、図20に示す如く、樹脂部品101に設けられた突起112と接合面111との境界部(図20の場合、エッジ112a)から離れた位置にリング状の溝113を設けた場合は、本出願における「該突起と該接合面との境界部に沿って設けた」に該当しない。すなわち、「該突起と該接合面との境界部に沿ってリング状の溝を設けた」というためには、図1および図2に示す如く、熱応力逃がし溝13の内周側の壁面13bと突起12の外周面とが略面一であることが必要である。なお、「略面一である」とは、熱応力逃がし溝13の内周側の壁面13bと突起12の外周面とが同一の平面または曲面を形成していることを指す。
なお、本実施例の接合面11は、接合面11と当接する車載基板70の表面の形状に対応して平滑としたが、これに限定されるものではない。すなわち、樹脂部品の接合面の形状は被接合物の表面形状に応じて適宜選択される。
【0041】
以下では、図3および図4を用いて本発明に係る超音波振動子の実施の一形態である超音波ホーン2の構成について説明する。
超音波ホーン2は、突起12の先端部に所定の圧力を付与しつつ当接するとともに接合面11に対して略垂直な方向または略水平な方向に超音波振動することにより、突起12に超音波振動を付与するものである。超音波ホーン2はアルミニウム合金、チタン合金、鉄鋼材料等により構成される。超音波ホーン2は図示せぬ超音波振動源の昇降アクチュエータ(例えば油圧シリンダ)に取り付けられ、上下方向に移動可能であるとともに当該超音波振動源により超音波振動が付与される。
超音波ホーン2に付与される超音波振動の周波数、ひいては超音波ホーン2に当接する樹脂部品1に付与される超音波振動の周波数の範囲は、5kHz程度から150kHz程度である。
超音波ホーン2の下面には略球面形状の窪み2aが設けられる。窪み2aは突起12との当接部、すなわち超音波ホーン2において突起12と当接する部分である。また、窪み2aには、窪み2aの略中心部から周縁部に延びた流れ溝21・21・21・21が設けられる。
【0042】
以下では、図3、図5、図6および図7を用いて本発明に係る樹脂部品の接合方法の実施の一形態について説明する。
【0043】
図3に示す如く、樹脂部品1の接合面11に設けられた突起12を、被接合物たる車載基板70に設けられた孔70aに貫装する。本実施例の場合、車載基板70の下面が樹脂部品1の接合面11に当接し、突起12は孔70aを貫通し、その先端部が車載基板70の上面側に突出する。
【0044】
次に、図5に示す如く、超音波ホーン2を下降し、突起12の先端部に超音波ホーン2の窪み2aを当接させ、突起12の先端部に超音波振動を付与する。
本実施例の場合、突起12の先端部の形状は略球面状であり、その曲率半径R1(図3参照)は、超音波ホーン2の窪み2aの曲率半径R2(図3参照)と略同じである。すなわち、突起12の先端部の形状を超音波ホーン2の窪みと略同じ曲率半径の略球面状としている。
超音波ホーン2により超音波振動を付与された突起12の先端部は、超音波ホーン2との摩擦熱によりその温度が上昇して溶融し、溶融樹脂14を形成する。溶融樹脂14は突起12の外周面を伝って下方に流れていく。このとき、溶融樹脂14の余剰分は熱応力逃がし溝13に流れ込む。従って、溶融樹脂14の余剰分が窪み2aの外部に流出して凝固し、バリが発生することを防止することが可能である。
【0045】
続いて、図6に示す如く、超音波ホーン2の下面が車載基板70の上面に当接する位置まで超音波ホーン2を下降し、超音波ホーン2の超音波振動を停止する。溶融樹脂14は超音波ホーン2の窪み2a、車載基板70の上面、および未溶融の突起12で囲まれた空間内で凝固し、かしめ部12aを形成する。かしめ部12aの凝固が完了したら図7に示す如く、超音波ホーン2を上昇する。
かしめ部12aの直径は孔70aの直径よりも大きいため、かしめ部12aは孔70aの周縁部に係止され、樹脂部品1が車載基板70に脱落不能に固定される。すなわち、超音波ホーン2から付与される超音波振動により、突起12を溶融および変形させた後、凝固させることで、樹脂部品1は車載基板70に接合される。
【0046】
以上の如く、本発明に係る樹脂部品の実施の一形態である樹脂部品1は、
接合面11に設けられた突起12を車載基板70に設けられた孔70aに貫装し、突起12の先端部に超音波ホーン2を当接して突起12の先端部を溶融および変形させることにより車載基板70に接合される樹脂部品であって、
突起12と接合面11との境界部に沿ってリング状の熱応力逃がし溝13を設けたものである。
【0047】
このように構成することは、以下の利点を有する。
仮に、樹脂部品1に熱応力逃がし溝13を設けない場合、車載基板70の孔70aの下面側のエッジと、突起12と接合面11との境界部と、が当接するが、この状態で突起12に超音波振動を付与すると、突起12と接合面11との境界部が車載基板70の孔70aの下面側の周縁部との摩擦により温度上昇し、ひどい場合には溶融して突起12の根元部に巣(気泡)が発生する。すると、当該根元部分の強度が著しく低下して突起が樹脂部品から破断し易くなり、ひいては樹脂部品の接合強度が大幅に低下する。
本実施例の如く樹脂部品1の突起12と接合面11との境界部に沿ってリング状の熱応力逃がし溝13を設けることにより、車載基板70の孔70aの下面側の周縁部が樹脂部品1の接合面11に当接しないので、接合時の突起12の根元部分の温度上昇および巣の発生を防止し、樹脂部品1を車載基板70に十分な接合強度で接合することが可能である。
また、熱応力逃がし溝13には溶融樹脂14の余剰分が流れ込むため、これが窪み2aの外部に流出して凝固してバリが発生することを防止し、かしめ部12aを所望の形状に成形して十分な接合強度を達成することが可能である。さらに、バリに起因する車載基板70の短絡を防止することが可能である。
なお、本実施例では突起12と接合面11との境界部の全周にわたって熱応力逃がし溝13を形成することにより熱応力逃がし溝13をリング状としているが、突起と接合面との境界部の一部にのみ熱応力逃がし溝を形成する構成としても略同様の効果を奏する。
【0048】
また、樹脂部品1は、
熱応力逃がし溝13の底部の断面形状を略U字型とするものである。
【0049】
このように構成することは、以下の利点を有する。
本実施例の樹脂部品1は上記の如く熱応力逃がし溝13を設けたことにより突起12の根元部分の温度上昇は抑えられているが、それでも接合時には突起12の先端部は高温となっており、突起12の外周面に沿って高温の溶融樹脂14が流れるため、突起12の根元部分は溶融しない範囲である程度までは温度上昇する。このとき、仮に熱応力逃がし溝13の底部の断面形状をV字型等のエッジが形成される形状とすると、当該エッジ部分に温度上昇による熱応力が集中し、突起12の根元部分の強度低下、ひいては接合強度の低下の原因となる場合がある。
本実施例の如く熱応力逃がし溝13の底部の断面形状を略U字型とすることにより、接合時に熱応力逃がし溝13の周辺に熱応力が集中することを防止し、樹脂部品1の接合強度の低下を防止することが可能である。
【0050】
また、樹脂部品1は、
超音波ホーン2において突起12と当接する部分に略球面形状の窪み2aを設けたものである。
【0051】
このように構成することは、以下の利点を有する。
仮に、超音波ホーンに略円柱形状の窪みを設けた場合、当該超音波ホーンに超音波振動を付与すると、当該略円柱形状の窪みの最も奥のエッジ部分に応力が集中しやすいため、超音波ホーンの耐久性が低下する(超音波ホーンが破損する)場合がある。
本実施例の如く、突起12の先端部を溶融および凝固するための超音波ホーン2の突起12との当接部に略球面形状の窪みを設けることにより、超音波振動の付与時に超音波ホーン2の特定の部分に応力が集中することを防止することが可能であり、超音波ホーン2の耐久性が向上する。
【0052】
また、図8に示す如く、樹脂部品1の熱応力逃がし溝13の突起側の壁面(壁面13b)と、該壁面の反対側の壁面(壁面13a)と、を連結する補強連結部15a・15b・15c・15dを設けることも可能である。
このように構成することにより、突起12の側方(突出方向に略垂直な方向)への曲げ強度が向上し、接合時の破損(座屈等)を防止することが可能である。
なお、本実施例では計四箇所に補強連結部15a・15b・15c・15dを設けたが、これらの数は樹脂部品1を構成する樹脂の種類(材質)、突起12の形状等に応じて適宜選択することが望ましい。
【0053】
また、樹脂部品1は、
突起12の先端部の形状を超音波ホーン2の窪み2aと略同じ曲率半径の略球面状としたものである。
このように構成することにより、突起12の先端部を超音波ホーン2の窪み2aに略均等に当接して溶融することが可能である。
従って、溶融の初期の段階で突起12の先端部の特定の部分が先行して溶融し、溶融樹脂14が窪み2aの外部に流出してバリが発生することを防止することが可能である。
【0054】
また、樹脂部品1は、
超音波ホーン2の窪み2aに、窪み2aの略中心部から周縁部に延びた流れ溝21・21・21・21を設けたものである。
このように構成することにより、溶融樹脂14を下方にスムーズに流すことが可能である。
従って、突起12において接合後に車載基板70の孔70aの周縁部に係止される部分、すなわち、かしめ部12aを所望の形状に確実に成形することが可能である。
なお、本実施例では窪み2aの四箇所に流れ溝21・21・21・21を設けたが、流れ溝の本数については溶融樹脂14の流れの状況に応じて適宜選択することが望ましく、本実施例に限定されるものではない。
【0055】
また、図9および図10に示す如く、超音波ホーン2の窪み2aの周縁部に突起12の突出方向(本実施例の場合、矢印Aの方向)に延びた嵩高部22を設けることも可能である。
このように構成することにより、突起12において接合後に車載基板70の孔70aの周縁部に係止される部分、すなわち、かしめ部12aを大きく形成することが可能であり、接合強度が向上する。
【0056】
以下では、図11乃至図19を用いて本発明に係る樹脂部品の別実施例である樹脂部品30・40・50について説明する。
図11、図12および図13に示す如く、樹脂部品30・40・50は、突起32・42・52と該接合面31・41・51との境界部に沿ってリング状の熱応力逃がし溝33・43・53が設けられている点は樹脂部品1と略同じである。
樹脂部品30・40・50が樹脂部品1と異なる点は、突起32・42・52の先端部の形状である。すなわち、樹脂部品30の突起32の先端部には平滑な面が形成され、樹脂部品40の突起42の先端部は尖った略円錐形状であり、樹脂部品50の突起52の先端部には擂り鉢状に凹み52aが設けられている。
【0057】
樹脂部品の突起の先端部の形状は、当該突起の先端部の接合時における溶融および凝固の挙動に応じて適宜選択することが望ましい。
【0058】
図12、図14および図15に示す樹脂部品40の場合、突起42の先端部が尖っているため、当該尖っている部分にのみ超音波ホーン2を当接し、超音波振動を付与して溶融することが可能である。従って、熱を局所に集中させて短時間で溶融樹脂44を形成することが可能である。
樹脂部品40の突起42の形状は、溶融している部分からの熱伝達により突起42全体の温度が上昇して熱応力が発生することに起因する突起42の強度低下を防止する場合に適している。
【0059】
図13、図16および図17に示す樹脂部品50の場合、突起52の先端部には凹み52aが設けられているため、突起52の先端部のうち、凹み52aの周縁部が最初に超音波ホーン2に当接し、溶融する。このときに形成される溶融樹脂54は、大半が凹み52aに流入する。そのため、初期に形成される溶融樹脂が窪み2aの外部に流出して凝固し、バリが発生することを防止することが可能である。
【0060】
また、図11、図18および図19に示す如く、突起42の先端部が平滑な場合でも、超音波ホーン2の窪み2aに凸部23を設けて突起42の先端部のエッジ部分に当接させることにより、当該エッジ部分を局所的に温度上昇させて短時間に溶融し、溶融樹脂34を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る樹脂部品の第一実施例を示す要部側面断面図。
【図2】本発明に係る樹脂部品の第一実施例を示す斜視図。
【図3】接合前の本発明に係る樹脂部品の第一実施例を示す要部側面断面図。
【図4】本発明に係る超音波振動子の第一実施例を示す底面図。
【図5】接合途中の本発明に係る樹脂部品の第一実施例を示す要部側面断面図。
【図6】接合終期の本発明に係る樹脂部品の第一実施例を示す要部側面断面図。
【図7】接合後の本発明に係る樹脂部品の第一実施例を示す要部側面断面図。
【図8】本発明に係る樹脂部品の第二実施例を示す斜視図。
【図9】本発明に係る超音波振動子の第二実施例を示す要部側面断面図。
【図10】同じく本発明に係る超音波振動子の第二実施例を示す要部側面断面図。
【図11】本発明に係る樹脂部品の第三実施例を示す要部側面断面図。
【図12】本発明に係る樹脂部品の第四実施例を示す要部側面断面図。
【図13】本発明に係る樹脂部品の第五実施例を示す要部側面断面図。
【図14】接合前の本発明に係る樹脂部品の第四実施例を示す要部側面断面図。
【図15】接合途中の本発明に係る樹脂部品の第四実施例を示す要部側面断面図。
【図16】接合前の本発明に係る樹脂部品の第五実施例を示す要部側面断面図。
【図17】接合途中の本発明に係る樹脂部品の第四実施例を示す要部側面断面図。
【図18】本発明に係る超音波振動子の第三実施例を示す要部側面断面図。
【図19】同じく本発明に係る超音波振動子の第三実施例を示す要部側面断面図。
【図20】本発明に係る樹脂部品と異なる樹脂部品の実施例を示す要部側面断面図。
【符号の説明】
【0062】
1 樹脂部品
2 超音波ホーン(超音波振動子)
11 接合面
12 突起
13 熱応力逃がし溝
70 車載基板(被接合物)
70a 孔




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013