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発明の名称 金型変形量測定システム及び金型変形量測定方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−893(P2007−893A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−183126(P2005−183126)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
発明者 谷上 康英
要約 課題
鋳造金型内に溶融材料が充填されて高温となり、金型が最も大きく変形している熱間条件下において、最も大きく熱変形している部分の金型の熱変形量を、直接測定できるシステム及び方法を提案する。

解決手段
検出体21と検出体治具22とで成る検出体ユニット20と、検出体21の被検出部321を一側端に設けた被検出体31と、被検出体治具34とで成る被検出体ユニット30と、検出体21の検出値に基づいて被検出体31の変位量を計測する変位計41とで金型変形量測定システムを構成した。検出体治具22には、検出体21を冷却する冷却機構を備えた。前記被検出体31は、一側端部に被検出部321を支持した棒状部材32と、該棒状部材32を摺動可能に内挿する筒状部材33とで構成し、被検出部321が前記検出体21に対峙するとともに他側端部が金型の変位測定部位に当接する位置に被検出体治具34にて保持した。
特許請求の範囲
【請求項1】
鋳造金型の熱変形量を測定するための金型変形量測定システムであって、
被検出体の変位を検出する検出体と、該検出体を保持する検出体治具とから成る検出体ユニットと、
前記検出体により検出される被検出部を一側端部に設けた被検出体と、該被検出体の他側端部が金型の変位測定部位に当接し、且つ、被検出部が前記検出体に対峙した位置に被検出体を保持する被検出体治具とから成る被検出体ユニットと、
前記検出体に接続され、該検出体の検出値に基づいて被検出体の変位量を計測する変位計とを備え、
前記検出体治具に、検出体を冷却する冷却機構を構成するとともに、
前記被検出体を、被検出部と、該被検出部を一側端部で支持する棒状部材と、該棒状部材を摺動可能に内挿する筒状部材とで構成した
ことを特徴とする金型変形量測定システム。
【請求項2】
前記検出体治具の冷却機構が、
検出体治具に形成された冷却気体を導通させる冷却回路である、
請求項1に記載の金型変形量測定システム。
【請求項3】
前記被検出体の棒状部材をセラミックス製とし、
筒状部材を金属製とした、
請求項1又は請求項2に記載の金型変形量測定システム。
【請求項4】
前記被検出体の被検出部を設けた一側端部が金型外部に位置し、且つ、他側端部が、溶融材料が充填されて製品が成形される金型内に位置するように、該被検出体を金型を通じて設置し、
前記検出体を金型外部に設置した、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の金型変形量測定システム。
【請求項5】
前記検出体ユニットを、
金型から製品を押し出す押出ピンを植設した押出ピンプレートに設けた、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の金型変形量測定システム。
【請求項6】
検出体と、前記検出体により検出される被検出部を設けた被検出体と、前記検出体に接続され、該検出体の検出値に基づいて被検出体の変位量を計測する変位計とを備えた金型変形量測定システムにて、内部にキャビティを形成した鋳造金型の熱変形量を測定する方法であって、
被検出体の被検出部を設けた一側端部が金型外部に位置し、且つ、他側端部がキャビティ内部の変位計測部位に当接するように、該被検出体を金型を通じて設置し、
金型外部に配置した検出体で、前記被検出体の被検出部の変位を検出することを
特徴とする金型変形量測定方法。
【請求項7】
前記検出体を、該検出体の冷却機構を備えた治具にて金型外部に保持した、
請求項6に記載の金型変形量測定方法。
【請求項8】
前記被検出体を、被検出部と、該被検出部を一側端部で支持する棒状部材と、該棒状部材を摺動可能に内挿する筒状部材とで構成した、
請求項6又は請求項7に記載の金型変形量測定方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造金型等の金型の熱変形量を測定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミダイカストなどの鋳造プロセスでは、金型に形成されたキャビティに高温の溶融材料(溶湯)を充填し、冷却したのち金型を開いて鋳造製品を取り出す。前記鋳造プロセスでは、溶融材料を充填する際に皺などが発生しないように金型が予め昇温され、また、金型に溶融材料が充填されると該溶融材料からの熱伝導により金型の温度が上昇する。このように、鋳造プロセスでは、金型は温度変化しこれに伴い熱変形する。
【0003】
例えば、図13に示すように、鋳造金型10は、主に下金型12と上金型11とで構成され、該上金型11と下金型12との間に溶融材料が充填されるキャビティ15が形成される。この鋳造金型10のうち、金型の略中央部分が最も熱変形量が大きい。特に、図13に例示される鋳造金型10の場合、下金型12の下方に溶融材料51を保持する溶融炉50が配置され、該下金型12を通じて溶融材料51がキャビティ15に供給されるため、上金型11よりも下金型12の方が鋳造プロセス中の温度の上昇が大きく、従って、下金型12の方が大きく熱変形する。
【0004】
金型が熱変形した状態で該金型に充填された溶融材料が凝固することで、製品形状が定まるため、金型の熱変形量及び材料の熱変形量を考慮して、金型は製品形状に予め所定の熱変形補正量を加えた形状に設計される。この熱変形補正量は、実際に試験を行い、該試験で得られた金型の熱変形量や材料の熱変形量の値に基づいて決定される。
【0005】
従来、金型の熱変形量を測定し熱変形補正量を決定するために、以下に示すような熱変形量測定方法が採用されている。
例えば、図14に示すように、近接センサ71等の計測手段を用いて金型間に生じる間隙を計測して、金型の全体的な熱変形量を推量し、熱変形補正量を決定する方法(特許文献1)がある<従来法1>。また、例えば、図15に示すように、試験的に鋳造された試験製品Wの外形形状をノギス72等の計測手段を用いて計測することにより、金型の熱変形量を推量し、熱変形補正量を決定する方法がある<従来法2>。また、例えば、図16に示すように、鋳造プロセス直後の金型の変形量をストレートエッジ(直定規)73等の計測手段を用いて直接測定して、この値から金型の熱変形量を推量し、熱変形補正量を決定する方法がある<従来法3>。
【特許文献1】特開平9−141384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記背景技術に記載の熱変形量測定方法は、金型のうち最も変形量の大きい金型略中央部を、最も熱変形量が大きい時点で直接計測するものではない。
上記<従来法1>では、最も熱変形量の大きい時点での計測が可能であるが、計測されるのは金型の周縁部の間隙であり、最も変形量の大きい部分を直接計測するものではない。また、上記<従来法2>では、試験製品は凝固時に収縮するため、計測される値は最も熱変形量の大きい時点のものではなく、この計測された代用値から熱変形量を推定するのであって直接測定するものではない。また、上記<従来法3>では、金型において最も熱変形量の大きい部分の計測をすることができるが、金型の温度が低下した状態でしか計測することはできず、計測された代用値に基づいて最も熱変形量の大きい時点での熱変形量を推定するのであって、直接測定するものではない。
【0007】
上述のように、金型のうち最も熱変形量の大きい部分を、最も熱変形量の大きい時点で、その熱変形量を直接測定しないのは、金型及びその周辺が測定に耐えることのできない高温となるためである。つまり、金型内外共に、高温(例えば、アルミダイカストであれば約300〜500℃)になり、例えば、非接触レーザー変位測定器等の一般的な変位計測手段を用いて計測しようと欲しても、その検出体の耐熱温度領域(200℃以下程度)以上の測定環境となるため、検出体が焼損したり正常に作動しなかったり等の不具合が生じてしまうのである。
【0008】
しかし、製品の形状精度を向上させるためには、金型の熱変形量をより精確に把握し、この数値に基づいて決定した熱変形補正量を加味した金型を設計することが好ましい。金型の熱変形量をより精確に把握するためには、金型が最も大きく変形している熱間条件下で、最も大きく熱変形している部分の熱変形量を測定する必要がある。
【0009】
上記課題の解決のためには、市販購入できる一般的な変位計測手段の耐熱温度領域を越えない測定環境・測定方法とすることが必要となる。
また、特に、図13に例示するような鋳造金型10では、下金型12の略中央部が最も大きく変形するが、金型内に溶融材料が充填された状態では、下金型12に直接検出体を取り付けて計測することは困難であるため、直接下金型12の変形量を測定し得るための構造が必要となる。
【0010】
そこで、本発明では上記課題に鑑み、金型内に溶融材料が充填されて高温となり、金型が最も大きく変形している熱間条件下において、該金型の最も大きく熱変形している部分の熱変形量を、良好な精度をもって、直接測定できるシステム及び方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1においては、鋳造金型の熱変形量を測定するための金型変形量測定システムであって、被検出体の変位を検出する検出体と、該検出体を保持する検出体治具とから成る検出体ユニットと、前記検出体により検出される被検出部を一側端部に設けた被検出体と、該被検出体の他側端部が金型の変位測定部位に当接し、且つ、被検出部が前記検出体に対峙した位置に被検出体を保持する被検出体治具とから成る被検出体ユニットと、前記検出体に接続され、該検出体の検出値に基づいて被検出体の変位量を計測する変位計とを備え、前記検出体治具に、検出体を冷却する冷却機構を構成するとともに、前記被検出体を、被検出部と、該被検出部を一側端部で支持する棒状部材と、該棒状部材を摺動可能に内挿する筒状部材とで構成したものである。
【0013】
請求項2においては、前記検出体治具の冷却機構が、検出体治具に形成された冷却気体を導通させる冷却回路であるものである。
【0014】
請求項3においては、前記被検出体の棒状部材をセラミックス製とし、筒状部材を金属製としたものである。
【0015】
請求項4においては、前記被検出体の被検出部を設けた一側端部が金型外部に位置し、且つ、他側端部が、溶融材料が充填されて製品が成形される金型内に位置するように、該被検出体を金型を通じて設置し、前記検出体を金型外部に設置したものである。
【0016】
請求項5においては、前記検出体ユニットを、金型から製品を押し出す押出ピンを植設した押出ピンプレートに設けたものである。
【0017】
請求項6においては、検出体と、前記検出体により検出される被検出部を設けた被検出体と、前記検出体に接続され、該検出体の検出値に基づいて被検出体の変位量を計測する変位計とを備えた金型変形量測定システムにて、内部にキャビティを形成した鋳造金型の熱変形量を測定する方法であって、被検出体の被検出部を設けた一側端部が金型外部に位置し、且つ、他側端部がキャビティ内部の変位計測部位に当接するように、該被検出体を金型を通じて設置し、金型外部に配置した検出体で、前記被検出体の被検出部の変位を検出するものである。
【0018】
請求項7においては、前記検出体を、該検出体の冷却機構を備えた治具にて金型外部に保持したものである。
【0019】
請求項8においては、前記被検出体を、被検出部と、該被検出部を一側端部で支持する棒状部材と、該棒状部材を摺動可能に内挿する筒状部材とで構成したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0021】
請求項1においては、検出体に冷却機構を備えるので、検出体の焼損を防止するとともに、検出体の周囲を該検出体が精確に動作できる環境とすることができ、高温下での変位測定が可能となる。また、被検出体を棒状部材とするので、変位測定部位から離れた位置に検出体の被検出部を配置することができ、金型内部の最も熱変形量の大きい位置の変位計測が可能となる。さらに、被検出体を二重管構造とするので、被検出体を金型内の溶融材料に接する位置に配置したときに、溶融材料が凝固しても被検出体が変位検出部位に当接した状態に保持される。
【0022】
請求項2においては、検出体が、検出体治具の冷却回路に導通された冷却気体により冷却されて、検出体の焼損を防止するとともに、検出体の周囲を該検出体が精確に動作できる環境とすることができ、高温下での変位測定が可能となる。
【0023】
請求項3においては、被検出体のうち変位検出部位に当接する棒状部材は熱膨張が比較的小さい部材として変位測定をより精確なものとすることができ、また、筒状部材にて棒状部材を保護し該棒状部材の折損を防止することができる。
【0024】
請求項4においては、金型内部の最も熱変形量の大きい位置の変位を、最も熱変形量が大きい時点で計測することが可能となる。
【0025】
請求項5においては、既存の金型設備に設置することができ、金型に大幅な改造を施すことなく、測定システムを備えることができる。
【0026】
請求項6においては、金型の最も熱変形量の大きい部位の熱変形量を測定することが可能となる。
【0027】
請求項7においては、検出体に冷却機構を備えるので、検出体の焼損を防止するとともに、検出体の周囲を該検出体が精確に動作できる環境とすることができ、高温下での変位測定が可能となる。
【0028】
請求項8においては、さらに、被検出体を二重管構造とするので、被検出体を金型内の溶融材料に接する位置に配置したときに、溶融材料が凝固しても被検出体が変位検出部位に当接した状態に保持される。また、筒状部材にて棒状部材を保護し該棒状部材の折損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は金型の熱変形量の変化を説明する図である。
図2は金型変形量測定システムを備えた鋳造金型の全体的な構造を示す図、図3は金型変形量測定システムの制御構成を示すブロック図である。
図4は検出体ユニットの斜視図、図5は検出体ユニットの構造を示す図、図6は図5におけるY−Y端面断面図である。
図7は被検出体ユニットの構造を示す図、図8は被検出体治具に被検出体を設置する手順を説明する図である。
図9は計測時の金型変形量測定システムを示す図、図10は金型から製品を押し出す様子を示す図、図11は金型変形量測定の流れを説明する図である。
図12は中子の変形量を測定する金型変形量測定システムを備えた鋳造金型の全体的な構造を示す図である。
図13は従来の鋳造金型の構造の一例を示す図、図14は従来の熱変形量測定方法の一例を説明する図、図15は従来の熱変形量測定方法の一例を説明する図、図16は従来の熱変形量測定方法の一例を説明する図である。
【0030】
図1では、鋳造プロセスを複数サイクル繰り返した場合の、鋳造金型の変形量と時間との関係を示している。
鋳造プロセスの一サイクル毎に金型の温度は上昇・下降し、これに伴い、金型の熱変形量も増大・縮小する。従来では、金型の最も変形量の大きい部分を測定する場合、冷却されて変形量が小さくなった時点での測定しかできなかった。
これに対し、本発明に係る金型の熱変形量測定方法、及び、本発明の実施例に係る金型の熱変形量測定システムによれば、金型の最も変形量の大きい部分を測定する場合においても、熱変形量の最も大きい時点(図1に示す計測点)での金型の変形量を測定することが可能である。
【0031】
前記熱変形量測定システムでの測定により、金型の最も熱変形量の大きい部分の、熱変形量の最も大きい時点の熱変形量の値を得て、この値を利用して金型設計において金型の形状を定める一要素となる熱変形補正量を定めることができる。計測された熱変形量の値は、代用値ではなく実測値であるので、計測された値に補正等を加える必要なく、精確な熱変形量を得て、熱変形補正量の値の精度、ひいては、金型形状の精度を向上させることができる。また、熱変形量を得るための試験回数を低減することができ、早期に熱変形補正量を定めることが可能となり、型設計に係る工期の短縮に寄与することができる。
【0032】
続いて、本発明の実施例に係る熱変形量測定システムを備えた鋳造金型10について説明する。
なお、本発明は以下に示す鋳造金型10の形態に限定されるものではなく、広く、鋳造に供する金型に適用させることができる。また、鋳造金型10を用いて鋳造する製品の材料は、例えば、金属材料や、樹脂材料とすることができる。
【0033】
図2に示すように、鋳造金型10は、上金型11と、下金型12と、該上金型11と下金型12との間に配置されるスライド入子13等で構成される。上金型11は、下金型12に対して離接する方向に移動可能であり、前記スライド入子13は、上金型11の移動方向と略直交する方向に移動可能である。これら、上金型11、下金型12、スライド入子13とで、溶融材料が充填されて製品Wを形成するキャビティ15が画成される。
【0034】
前記上金型11の、製品Wと接しない一側(図2では上側)には、上金型11に対して離接する方向に移動可能な押出プレート16が設けられ、該押出プレート16には、該上金型11から製品Wを押し外すための複数の押出ピン17・17・・・が設けられる。
【0035】
上記鋳造金型10には、下金型12の熱変形を計測するための、金型変形量測定システムが構成される。該金型変形量測定システムは、主に、検出体21を備えた検出体ユニット20と、前記検出体21にて検出される被検出体31を備えた被検出体ユニット30と、変位計41とで構成される。前記検出体ユニット20は、上記鋳造金型10の押出プレート16と上金型11との間において該押出プレート16に設けられ、前記被検出体ユニット30は、押出プレート16と下金型12との間において上金型11に設けられる。
【0036】
図3に示すように、前記変位計41は、前記検出体21に接続され該検出体21の検出値に基づいて被検出体31の変位量を計測するものである。本実施例では、変位計41として歪ゲージを採用している。また、変位計41は制御機能や出力機能などを有する制御手段42に接続される。
【0037】
ここで、前記金型変形量測定システムを構成する検出体ユニット20について説明する。
【0038】
前記検出体ユニット20には、検出体21を冷却するための冷却機構が備えられる。検出体21が配置される上金型11と押出プレート16との間の空間は、鋳造プロセス時には金型の温度上昇を受けて高温となるが、検出体ユニット20に冷却機構を備えることで検出体21周囲の温度上昇を抑制して、検出体21の焼損を防止するとともに、該検出体21が精確に機能する温度を維持している。
【0039】
前記検出体ユニット20は、図4乃至図6に示すように、押出プレート16に穿設された検出体ユニット取付部162に、嵌設される。押出プレート16のように既存の鋳造金型10の設備に検出体ユニット20を設けることで、大幅な改造を要せず金型に変形量測定システムを備えることを可能としている。
検出体ユニット20は、主に、検出体治具22と、該検出体治具22に保持された検出体21とで構成される。検出体治具22は、筒状の治具ケース23と、該治具ケース23に挿入された治具本体25とで構成される。
【0040】
前記検出体治具22を構成する治具本体25は、押出プレート16に検出体ユニット20を固定するためのフランジ部258と、検出体21を保持する検出体取付部251と、フランジ部258と検出体取付部251との間を繋ぐ胴部259とが、一体的に形成される。
【0041】
治具本体25には、フランジ部258と胴部259と検出体取付部251を通じて貫通するコード通路254が穿設される。コード通路254の検出体取付部251側には、検出体21の検出体本体211が取り付けられ、検出体21のコード212は、コード通路254を通じてフランジ部258側へ導出される。なお、治具本体25のフランジ部258には、コード通路254の一側を閉塞する蓋24が取り付けられるが、この蓋24とコード212との干渉を避けるために、コード通路254からコード212を外部へ導き出すコード通路257が設けられる。
【0042】
前記検出体治具22を構成する治具ケース23は筒状体であって、治具本体25のうち胴部259と検出体取付部251とが内挿される。なお、治具本体25と治具ケース23とは、これらを貫通するノックピン27で相対的に固定される。
【0043】
治具ケース23のケース本体231の側面には、押出プレート16に設けられた導気路161に対して開口する導気口233が設けられ、該導気口233は、治具本体25に設けられた導気路256を介して、該治具本体25のコード通路254と連通される。
【0044】
また、ケース本体231の内周面と、治具本体25の胴部259の外周面との間には、ケース本体231の内径と、胴部259の外径との差による間隙が形成され、ここが通気路Hとされる。この通気路Hと、コード通路254とは、通気路255で連通される。
【0045】
さらに、図6にも示すように、治具本体25の検出体取付部251の外周面と、治具ケース23のケース本体231の内周面とは接するが、検出体取付部251の外周面には通気路Hと、治具本体25の下面とを連通する複数の通気路252・252・・・が形成される。
【0046】
上述のように、治具本体25と治具ケース23とから成る検出体治具22には、コード通路254や、各通気路252・255・256・Hにより冷却回路が形成され、該冷却回路に冷却気体を導通させて検出体21を冷却することができる。
【0047】
上記冷却回路において、押出プレート16の導気路161を通じて、治具ケース23の導気口233より導入された冷却気体が、治具本体25の導気路256を通じてコード通路254に導入される。該コード通路254に導入された冷却気体の一部は、そのままコード通路254を通じて検出体本体211を冷却する。また、コード通路254に導入された冷却気体の一部は通気路255を通じて通気路Hに導入され、検出体本体211を冷却しながら通気路252・252・・・を通過し、通気路255の検出体取付部251側の端部へ導出される。治具ケース23の端部には返し232が形成されており、通気路255の検出体取付部251側の端部へ導出された冷却気体は、該返し232に当たって、検出体本体211に吹きつけられ、該検出体本体211を冷却する。
【0048】
上記のように、検出体ユニット20には、検出体21の検出体本体211及びコード212を冷却する冷却機構が構成される。検出体21は検出体治具22により押出プレート16よりも上金型11により近い位置に保持されるが、前記冷却機構により、検出体21の環境は、適正に作動することのできる温度範囲内(例えば、200℃以下)に保持される。
【0049】
続いて、前記金型変形量測定システムを構成する被検出体ユニット30について説明する。
【0050】
図2及び図7に示すように、被検出体ユニット30は、被検出体31と、該被検出体31を上金型11に保持する被検出体治具34とで構成される。
被検出体31は、被検出部321と、該被検出部321を一側端部に支持する棒状部材32と、該棒状部材32を摺動可能に挿通する筒状部材33とから成る。棒状部材32の被検出部321に対する反対側端部は、金型の変位計測部位に当接して該金型の変位を受ける計測部322であって、変位計測時には金型の変位計測部位に当接した状態に設置される。
【0051】
被検出体31を棒状の長尺部材とすることで、金型の変位計測部位に当接して該金型の変位を受ける部分と、検出体21にて検出される被検出部321とを離れた位置に設けることが可能となり、被検出体31の計測部322を金型内のキャビティ15に配置し、被検出体31の被検出部321を金型外部に配置することができる。
【0052】
前記被検出体31の棒状部材32に設けられた被検出部321は、上述の検出体ユニット20に備えられる検出体21によりその変位を検出されるものであり、金属材料で構成される。一方、棒状部材32は、セラミックスで構成される。棒状部材32をセラミックス製とすることで、高温においても比較的熱膨張が小さいという特性から、下金型12の変位計測部位の熱変形量を精確に測定することを可能としている。但し、棒状部材32はセラミックス製とすることが好ましいが、金属製とすることも可能である。
【0053】
前記棒状部材32を挿通する筒状部材33は、棒状部材32に対して相対移動可能とされる。なお、筒状部材33の内径よりも、棒状部材32に設けられる被検出部321の外径が大径であって、棒状部材32は筒状部材33の内周を摺動可能であるが、落脱しない構成とされる。
筒状部材33は金属材料で構成され、該筒状部材33の一側端部である下端332は、キャビティ15に溶融材料を充填する前の時点において、下金型12の変位測定部位に当接した状態に配置される。
【0054】
前記被検出体治具34は、上金型11に被検出体31を係止させるものである。被検出体治具34には、被検出体31が内挿される筒部341と、上金型11に対して固定するためのフランジ部342とが備えられる。被検出体治具34のフランジ部342は、上金型11にボルト等の締結部材により固定される。
【0055】
被検出体治具34の筒部341には、被検出体31のうち筒状部材33の外周面に形成された周状溝である係合部331に、係合する係止体343が設けられる。係止体343は、被検出体治具34の筒部341の内周側へ進退可能であって、内周側へ付勢されている。本実施例において、係止体343はボールプランジャである。
【0056】
図8に示すように、予め上金型11に固定された被検出体治具34に対して、被検出体31を固定する際には、上金型11側から被検出体治具34に被検出体31を挿入する(図8a)。そして、筒状部材33の係合部331と、被検出体治具34の係止体343が係合する位置に到ると、被検出体31は被検出体治具34より自重にて脱落しない状態に保持される(図8b)。なお、被検出体31による垂直荷重よりも大きな力が、該被検出体31を被検出体治具34より挿脱する方向に加わると、被検出体治具34の係止体343と筒状部材33の係合部331との係合は解除され、被検出体治具34に対して被検出体31が移動することができる。
【0057】
なお、前記被検出体31を、被検出部321を設けた棒状部材32のみで構成し、該棒状部材32を直接被検出体治具34に挿通させることも考え得る。しかし、棒状部材32は、セラミックス製であり、熱衝撃により折れる虞がある。また、棒状部材32に接している溶融材料が凝固する際に、凝固に伴う体積の縮小により、下金型12の変位計測部位に接した状態に配置されていた棒状部材32の下端332が変位計測部位より離れてしまい、下金型12の精確な変形量を計測することができない事態が生じる。
そこで、被検出体31を棒状部材32と筒状部材33とで二重管構造とすることで、筒状部材33で棒状部材32を熱衝撃より保護するとともに、溶融材料が凝固する際には、該溶融材料が接する筒状部材33のみが溶融材料の凝固に伴って変位計測部位より離れ(図9)、棒状部材32の計測部322は変位計測部位に接した状態を保持できるようにしている。
【0058】
続いて、上記構成の金型変形量測定システムによる金型の熱変形量測定の流れについて説明する。
【0059】
金型の熱変形量測定に際して、予め、押出プレート16に検出体ユニット20を備え付けるとともに、上金型11に被検出体ユニット30のうち被検出体治具34を備え付ける。このとき、検出体ユニット20の検出体21と、被検出体ユニット30の被検出体31の被検出部321とが対峙する位置に配置されるように、検出体ユニット20と被検出体治具34の位置が決定される。
また、上金型11と、下金型12と、スライド入子13・13・・・と、押出プレート16などから成る鋳造金型10を、例えば、図13に示すように、溶融炉50や汲上筒53などを備えた鋳造機に搬入する。
【0060】
図11の流れ図に示すように、まず、型を開いて(S11)、上金型11と下金型12とスライド入子13・13・・・で画成されるキャビティ15内に中子14を設置するとともに、被検出体31を被検出体治具34に取り付ける(S12)。
【0061】
続いて、型を閉じて(S13)、金型の熱変形量の計測を開始する(S14)。計測においては、常に、検出体ユニット20に構成した冷却機構を機能させるべく、押出プレート16の導気路161に冷却気体を送気する。計測が開始されれば、検出体ユニット20の検出体21により、被検出体ユニット30の被検出体31の被検出部321の変位が検出され、変位計41にて測定される。
【0062】
なお、図9に示すように、本実施例では、検出体ユニット20と被検出体ユニット30から成る計測システムで、下金型12の熱変形量を測定し、上金型11の熱変形量は、同じく押出プレート16に備えられた検出体ユニット80にて検出する。
【0063】
前記検出体ユニット80は、押出プレート16に穿設された取付部164に嵌設された治具本体82内に、上金型11の表面の変位を検出する変位計の検出体81を備えたものである。前記押出プレート16に設けられた被検出体ユニット取付部162と、取付部164とは、通気路165にて連通され、導気路161から被検出体ユニット30へ送気される冷却気体を、通気路165を通じて前記治具本体82の内部に取り込まれる。このようにして、検出体ユニット80に備えられた検出体81も冷却される。
【0064】
そして、上述の如く閉じられた鋳造金型10のキャビティ15に、溶融材料が充填され(S15)、ダイタイム(S16)を経て、型を開き(S17)、計測を終了する(S18)。
【0065】
型開きにおいては、スライド入子13・13・・・が開かれ、続いて、上金型11と下金型12とが開かれる。この結果、型を開いた状態では上金型11に製品Wが固着している。これを、図10に示すように、押出プレート16を上金型11に対して近接させる方向に移動させて、押出ピン17・17・・・にて上金型11より製品Wを押し出す(S19)。この押し出しに際し、被検出体31の筒状部材33は、製品Wに固着しているため、製品Wとともに、被検出体31が一体となって上金型11より外れる。
製品Wが上金型11より外れたら、次のサイクルに移行する。
【0066】
上述のように、本発明に係る金型変形量測定システムによれば、キャビティ15に溶融材料が充填され、最も鋳造金型10が高温となっている時点での、下金型12の熱変形量を測定することができる。しかも、下金型12の熱変形量が最も大きい、該下金型12の略中央部での変形量を直接計測することができる。
【0067】
また、鋳造プロセスのうち、型を閉じてから型を開くまでの過程(例えば、型内の気体を排出して低圧にする過程、溶融材料を充填する過程、溶融材料が凝固する過程など)の熱変形量を継続して測定したり、計測時を限定して断続的に測定したりすることが可能である。
【0068】
なお、本実施例においては、検出体ユニット20と被検出体ユニット30とから成る金型変形量測定システムで、下金型12の略中央部での熱変形量を計測しているが、測定部位は略中央部に限定されるものではなく、その周縁部とすることもできる。また、計測対象は下金型12に限定されず、上金型11や、中子14とすることもできる。
【0069】
例えば、図12では、重力鋳造金型での鋳造プロセスにおいて、中子14の熱変形量を測定するために、検出体ユニット20と被検出体ユニット30とから成る金型変形量測定システムを備えた様子を示している。金型が最も高温となった時点での、中子の熱変形量を直接測定することが可能であり、中子の寸法補正量を早期に決定することができ、しかも直接測定することから測定値の精度が高いので、精度の良好な寸法補正量を定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】金型の熱変形量の変化を説明する図。
【図2】金型変形量測定システムを備えた鋳造金型の全体的な構造を示す図。
【図3】金型変形量測定システムの制御構成を示すブロック図。
【図4】検出体ユニットの斜視図。
【図5】検出体ユニットの構造を示す図。
【図6】図5におけるY−Y端面断面図。
【図7】被検出体ユニットの構造を示す図。
【図8】被検出体治具に被検出体を設置する手順を説明する図。
【図9】計測時の金型変形量測定システムを示す図。
【図10】金型から製品を押し出す様子を示す図。
【図11】金型変形量測定の流れを説明する図。
【図12】中子の変形量を測定する金型変形量測定システムを備えた鋳造金型の全体的な構造を示す図。
【図13】従来の鋳造金型の構造の一例を示す図。
【図14】従来の熱変形量測定方法の一例を説明する図。
【図15】従来の熱変形量測定方法の一例を説明する図。
【図16】従来の熱変形量測定方法の一例を説明する図。
【符号の説明】
【0071】
10 鋳造金型
11 上金型
12 下金型
13 スライド入子
14 中子
16 押出プレート
17 押出ピン
20 検出体ユニット
21 検出体
22 検出体治具
23 治具ケース
25 治具本体
30 被検出体ユニット
31 被検出体
32 棒状部材
321 被検出部
322 計測部
33 筒状部材
34 被検出体治具





 

 


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