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発明の名称 ゴルフクラブヘッド
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−151831(P2007−151831A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−351284(P2005−351284)
出願日 平成17年12月5日(2005.12.5)
代理人 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
発明者 島崎 秀夫 / 松永 英夫 / 坂 航
要約 課題
ゴルフクラブヘッドの組立作業に支障を来たすことなく、フェースプレートと粘弾性体との密着性を向上し得るゴルフクラブヘッドを提供すること。

解決手段
ヘッド本体と、前記ヘッド本体の正面側に取り付けられ、フェース面を構成するフェースプレートと、前記ヘッド本体に形成され、前記フェースプレート側に開口した空洞部と、前記空洞部と前記フェースプレートとにより形成される空間内に圧縮状態で装填される粘弾性体と、を備えたゴルフクラブヘッドにおいて、前記空洞部を画定する周壁の前記フェースプレート側の端面が、前記フェースプレートの背面に当接する当接部と、前記フェースプレートの背面から離間し、前記フェースプレートの背面との間で前記空洞部と連通した空隙を形成する離間部と、を有することを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の正面側に取り付けられ、フェース面を構成するフェースプレートと、
前記ヘッド本体に形成され、前記フェースプレート側に開口した空洞部と、
前記空洞部と前記フェースプレートとにより形成される空間内に圧縮状態で装填される粘弾性体と、
を備えたゴルフクラブヘッドにおいて、
前記空洞部を画定する周壁の前記フェースプレート側の端面が、
前記フェースプレートの背面に当接する当接部と、
前記フェースプレートの背面から離間し、前記フェースプレートの背面との間で前記空洞部と連通した空隙を形成する離間部と、
を有することを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記粘弾性体の正面と背面とが平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記粘弾性体の背面側において前記空洞部に装填され、前記粘弾性体の背面に当接する平坦面を有し、前記粘弾性体を前記フェースプレート側へ押圧するスペーサ部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記スペーサ部材が、前記粘弾性体とは制振性能が異なる粘弾性体であることを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記空洞部と前記フェースプレートとにより形成される空間内には、制振性能が異なる複数種類の粘弾性体が圧縮状態で装填されることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記粘弾性体は、
前記フェースプレートに沿う方向の幅が、その上部から下方へ向かうに従い幅広であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記空洞部は、前記ヘッド本体の下部側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ヘッド本体が、
前記空洞部の側方に形成された第2の空洞部を有することを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ゴルフクラブヘッドは、アイアン型のゴルフクラブヘッドであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに関し、特にゴルフクラブヘッドへの粘弾性体の装填構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インパクト時の打感の向上や打音の調整のため、フェース面を構成するフェースプレートの背面に粘弾性体を装填したゴルフクラブヘッドが提案されている(特許文献1及び2)。粘弾性体をフェースプレートの背面に装填しておくことで、インパクト時の振動が粘弾性体により吸収され、打感が向上されると共にプレイヤーに耳障りとなる打音を低減することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−89434号公報
【特許文献2】特開2005−218510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インパクト時の振動を粘弾性体により効果的に制振するためには粘弾性体がフェースプレートの背面に密着していることが望ましい。このためには粘弾性体をゴルフクラブヘッドのヘッド本体とフェースプレートとにより形成される装填空間内に圧縮状態で装填することが望ましい。
【0005】
ここで、粘弾性体を圧縮状態で装填するためには粘弾性体を装填空間よりも若干大きく形成しておき、圧縮代を確保しておくことが必要となる。しかし、圧縮代を大きくすると本体部にフェースプレートを取り付ける際に、ヘッド本体とフェースプレートとが粘弾性体を噛んでしまう場合があり、ゴルフクラブヘッドの組立作業に支障を来たす。逆に、圧縮代を小さくすると、粘弾性体とフェースプレートとの密着性が悪くなり、或いは、密着面積が小さくなる。
【0006】
従って、本発明の目的は、ゴルフクラブヘッドの組立作業に支障を来たすことなく、フェースプレートと粘弾性体との密着性を向上し得るゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ヘッド本体と、前記ヘッド本体の正面側に取り付けられ、フェース面を構成するフェースプレートと、前記ヘッド本体に形成され、前記フェースプレート側に開口した空洞部と、前記空洞部と前記フェースプレートとにより形成される空間内に圧縮状態で装填される粘弾性体と、を備えたゴルフクラブヘッドにおいて、前記空洞部を画定する周壁の前記フェースプレート側の端面が、前記フェースプレートの背面に当接する当接部と、前記フェースプレートの背面から離間し、前記フェースプレートの背面との間で前記空洞部と連通した空隙を形成する離間部と、を有することを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される。
【0008】
本発明のゴルフクラブヘッドでは前記離間部を設けて前記空隙を形成することにより、圧縮状態の前記粘弾性体の一部が当該空隙内へはみ出すことが許容される。従って、前記粘弾性体の圧縮代を大きくしても、前記ヘッド本体に前記フェースプレートを取り付ける際に、前記ヘッド本体と前記フェースプレートとが前記粘弾性体を噛んでしまう場合を防止することができる。また、前記粘弾性体の一部が前記空隙にはみ出すことにより、前記粘弾性体と前記フェースプレートとの密着面積もより大きくなる。
【発明の効果】
【0009】
以上述べた通り、本発明によれば、ゴルフクラブヘッドの組立作業に支障を来たすことなく、フェースプレートと粘弾性体との密着性を向上し得るゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドAの分解斜視図、図2(A)はゴルフクラブヘッドAが分解状態での図1の線X−Xに沿う断面図、図2(b)はゴルフクラブヘッドAを組み立てた状態での図1の線X−Xに沿う断面図、図3は図2(A)の線Y−Yに沿う断面図である。
【0011】
ゴルフクラブヘッドAはアイアン型のゴルフクラブヘッドであり、ヘッド本体10と、ヘッド本体10の正面側に取り付けられ、フェース面20aを構成するフェースプレート20とを備える。本実施形態ではアイアン型のゴルフクラブヘッドを例示するが、他の形式のゴルフクラブヘッドに対しても本発明は適用可能である。
【0012】
ヘッド本体10はシャフトに連結されるホゼル部10aと、ソール部10bと、バック部10cと、が一体に形成されており、例えば、ステンレス鋼や軟鉄から構成される。ヘッド本体10の上部はその正面側から背面側に貫通する開口部10dが形成され、ヘッド本体10の軽量化及び低重心化が図られている。また、ヘッド本体10の正面にはフェースプレート20の装着空間を画定するリブ10eが形成されていると共にフェースプレート20の背面が当接する当接部10fが形成されている。
【0013】
フェースプレート20は、その正面にフェース面20aが、その周縁に段部20bが形成されており、その背面は平坦な面をなしている。フェースプレート20は例えばステンレス鋼、マルエージング鋼、真鍮、銅合金(例えば、ベリリウム銅、青銅)、チタン、チタン合金、ジュラルミン、アモルファス金属、FRM等から構成される。
【0014】
ヘッド本体10にはフェースプレート20側に開口し、バック部10c側で閉じた空洞部11が形成されている。空洞部11はヘッド本体10に一体的に形成された周壁12乃至14により画定されている。周壁12乃至14のフェースプレート20側の端面のうち、空洞部11の上部の周壁12の端面は当接部10fと面一でフェースプレート20の背面に当接する当接部12aと、当接部12aの内側においてフェースプレート20の背面から離間する離間部12bと、を有する。また、空洞部11の底部の周壁14の端面は当接部10fと面一でフェースプレート20の背面に当接する当接部14aのみから構成されている。更に、空洞部11の両側部の周壁13の端面はフェースプレート20の背面から離間し、離間部12bと面一の離間部13aを有する。離間部13aは離間部12bと異なり、周壁13の厚み方向全域に渡って形成されている。
【0015】
空洞部11とフェースプレート20とにより形成される空間内には粘弾性体30が圧縮状態で装填される。粘弾性体30は例えばNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)等の粘弾性材料から構成される。粘弾性体30は、上記粘弾性材料に例えば金属粉末等を混入して形成し、その比重を調整することもできる。本実施形態では、空洞部11には粘弾性体30に加えてスペーサ部材40が装填される。スペーサ部材40は粘弾性体30をフェースプレート側へ押圧するために装填されている。
【0016】
空洞部11の両側には第2の空洞部15がそれぞれ形成されている。空洞部15はヘッド本体10を軽量化するために設けられている。本実施形態では空洞部15を空洞部11の両側に設けているが片側にだけ設けることもできる。また、本実施形態では空洞部15は空洞のままとするが、ここにゴルフクラブヘッドAの重心位置を調整するための錘等を装填することも可能である。
【0017】
係る構成からなるゴルフクラブヘッドAでは、その組立に際し、まず、ヘッド本体10の空洞部11に粘弾性体30とスペーサ部材40とが挿入される。次に、図2(B)に示すように、フェースプレート20の背面がヘッド本体10の当接部10fにぴったりと当接するようにフェースプレート20がリブ10eに画定されるヘッド本体10の装着空間内に挿入される。その後、リブ10eがフェースプレート20の段部20bへカシメられ、フェースプレート20がヘッド本体10に固定される。粘弾性体30とスペーサ部材40とはスペーサ部材40とフェースプレート20との間で粘弾性体30が圧縮されるようにその大きさが設計される。
【0018】
しかして、本実施形態のゴルフクラブヘッドAでは空洞部11を画定する周壁12及び13の端面に離間部12b及び13aを設けることで、周壁12及び13の端面に空洞部11と連通した空隙が形成される。このため、圧縮状態の粘弾性体30の一部が当該空隙内へはみ出すことが許容される。図2(B)は粘弾性体30の一部が離間部12bとフェースプレート20との間の空隙にはみ出している状態を示している。従って、粘弾性体30の圧縮代を大きくしても、ヘッド本体10にフェースプレート20を取り付ける際に、ヘッド本体10とフェースプレート20とが粘弾性体30を噛んでしまう場合を防止することができる。特に、本実施形態の場合、離間部13aにより形成される空隙は空洞部11のみならず、空洞部15とも連通しているので、粘弾性体30がはみ出すことが許容される量が多くなり、一層ヘッド本体10とフェースプレート20とが粘弾性体30を噛んでしまう場合を防止することができる。また、粘弾性体30の一部が離間部12b及び13aとフェースプレート20との間の空隙にはみ出すことにより、粘弾性体30とフェースプレート20との密着面積もより大きくなる。
【0019】
ここで、本実施形態では粘弾性体30の正面30aと背面30bとが平行に形成されて板状をなしており、周縁を除いてその厚みが均一に形成されている。スペーサ部材40はその正面40aが粘弾性体30の背面に当接する平坦面を構成している。粘弾性体30とスペーサ部材40とは、正面30a、30b並びに正面40aがフェースプレート20の背面と平行になるように、それらの形状並びに空洞部11の形状が設計される。この構成により、粘弾性体30の正面30aが略均一な圧力でフェースプレート20の背面に密着し、密着性を向上できる。
【0020】
また、本実施形態では、空洞部11はヘッド本体10の下部側に形成されており、空洞部11に装填される粘弾性体30はヘッド本体10の下部側に位置している。この構成により、ゴルフクラブヘッドAの重心位置を下げることができ、低重心化を図ることができる。また、アイアン型のゴルフクラブではゴルフボールの打点位置がフェース面20aの下部寄りとなるので、ゴルフボールの打点位置の略背後に粘弾性体30が位置することになり、粘弾性体30による制振効果を向上できる。
【0021】
また、本実施形態では粘弾性体30はフェースプレート20に沿う方向の幅(図1のd)が、その上部から下方へ向かうに従い幅広となっており、空洞部11もこれに対応した形状となっている。このため、粘弾性体30の重心位置は下部寄りになっており、これによりゴルフクラブヘッドAの重心位置を下げることができ、更に低重心化を図ることができる。
【0022】
また、本実施形態ではスペーサ部材40を設けたが、スペーサ部材40を設けずに、空洞部11の背面側が粘弾性体30の背面30bに直接当接する構成とすることもできる。しかし、ヘッド本体10を軽量化するためには空洞部11がなるべく大きい方が望ましい。このため、スペーサ部材40を設け、かつ、ヘッド本体10よりも比重の軽い材料からスペーサ部材40を構成することでヘッド本体10の軽量化を図ることができる。
【0023】
ここで、インパクト時に生じるゴルフクラブヘッドの振動はその周波数が多岐に及ぶ。また、粘弾性材料が振動吸収に効果的な周波数帯もその粘弾性材料に応じて一定の範囲がある。そこで、スペーサ部材40は粘弾性体30とは制振性能が異なる粘弾性体とすることもできる。この構成によれば、より広周波数帯の振動に対して制振効果を高めることができる。例えば、例えば、粘弾性体30とスペーサ部材40とを損失係数(tanδ)の温度依存性が異なる粘弾性材料により構成することができる。損失係数の温度依存性が異なれば、振動吸収に効果的な周波数帯も変わるからである。
【0024】
また、上記実施形態では粘弾性体30を単体としたが、制振性能が異なる複数種類の粘弾性体からこれを構成し、空洞部11とフェースプレート20とにより形成される空間内に圧縮状態で装填することもできる。図4(A)乃至(E)はその例を示す図である。ゴルフクラブヘッドの振動はゴルフボールの打点位置によりその周波数が異なるものとなる。図4(A)乃至(E)の例はゴルフボールの打点位置に応じて異なる制振性能の粘弾性体を配設することで、各種の周波数の振動の低減に効果を発揮する。
【0025】
図4(A)の例は粘弾性体30に代わる粘弾性体300を左右に分割した構成とし、制振性能が異なる粘弾性体300aと粘弾性体300bとから構成したものである。この構成は、ゴルフボールの打点位置がヒール寄りの場合とトウ寄りの場合とで、ゴルフクラブヘッドが異なる周波数の振動を発生する場合に対応するものである。
【0026】
図4(B)の例は粘弾性体30に代わる粘弾性体301を上下に分割した構成とし、制振性能が異なる粘弾性体301aと粘弾性体301bとから構成したものである。この構成は、ゴルフボールの打点位置が上側の場合と下側の場合とで、ゴルフクラブヘッド異なる周波数の振動を発生する場合に対応するものである。
【0027】
図4(C)の例は粘弾性体30に代わる粘弾性体302を左右に3分割した構成とし、制振性能が異なる粘弾性体302aと粘弾性体302bと粘弾性体302cとから構成したものである。この構成は、ゴルフボールの打点位置が、いわゆるスイートスポット近傍の場合とヒール寄りの場合とトウ寄りの場合とで、ゴルフクラブヘッドが異なる周波数の振動を発生する場合に対応するものである。
【0028】
図4(D)の例は粘弾性体30に代わる粘弾性体303をその厚み方向に分割した構成とし、制振性能が異なる粘弾性体303aと粘弾性体303bとから粘弾性体303bが粘弾性体303aの周縁及び背部を覆うように構成したものである。この構成は、ゴルフボールの打点位置が、いわゆるスイートスポット近傍の場合と、その他の場合とで、ゴルフクラブヘッドが異なる周波数の振動を発生する場合に対応するものである。図4(E)の例は図4(D)の例について粘弾性体303bとスペーサ部材40とを一体化した粘弾性体40’としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドAの分解斜視図である。
【図2】(A)はゴルフクラブヘッドAが分解状態での図1の線X−Xに沿う断面図、(B)はゴルフクラブヘッドAを組み立てた状態での図1の線X−Xに沿う断面図である。
【図3】図2(A)の線Y−Yに沿う断面図である。
【図4】(A)乃至(E)はゴルフクラブヘッドAに装填される粘弾性体の例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
A ゴルフクラブヘッド
10 本体部
11 空洞部
12〜14 周壁
10f、12a、14a 当接部
12b、13a 離間部
15 空洞部
20 フェースプレート
30 粘弾性体
40 スペーサ部材




 

 


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