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発明の名称 ゴルフボール用材料、ゴルフボール、及びゴルフボール用材料の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−29668(P2007−29668A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−227691(P2005−227691)
出願日 平成17年8月5日(2005.8.5)
代理人 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
発明者 江頭 嘉則 / 竹鼻 栄治
要約 課題
ゴルフボール材料の熱安定性、流動性、成形性が良好で、しかも反発性を損なうことなく、耐久性、耐擦過傷性、適正硬度等に優れる高性能のゴルフボールを得ることができる。

解決手段
(A)酸含有ポリマー組成物中の酸基の少なくとも一部を中和できる酸素含有無機金属化合物の微粒子金属酸化物、またはマスターバッチ、(B)ジエン系ポリマー、熱可塑性ポリマー、及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる樹脂組成物、及び(C)酸含量0.5〜30質量%を有するポリマーとからなり、(B)成分及び(C)成分からなる配合物に対して(A)成分を配合してなることを特徴とするゴルフボール材料及びその製造方法を提供する。
特許請求の範囲
【請求項1】
(A)金属イオン種の超微粒子(A1)及び/又は金属イオン種のマスターバッチ(A2)と、
(B)ジエン系ポリマー,熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマーと、
(C)オレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体,オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体,不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる酸含量0.5〜30質量%を有するポリマー
とからなり、(B)成分及び(C)成分からなる配合物に対して(A)成分を配合してなることを特徴とするゴルフボール材料。
【請求項2】
(B)成分が、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアクリレート系ポリマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ジエン系ポリマー、ポリアセタール、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、及びABS系樹脂よりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマー組成物である請求項1記載のゴルフボール用材料。
【請求項3】
上記(B)成分及び(C)成分の配合割合が、質量比で99/1〜1/99である請求項1又は2記載のゴルフボール用材料。
【請求項4】
上記(B)成分が熱硬化性ポリマーであり、かつ上記(B)成分及び(C)成分の配合割合が、質量比で49/51〜1/99である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
【請求項5】
上記(B)成分がポリブタジエンであり、かつこのポリブタジエンがシス1,4結合を60%以上、1,2ビニル結合を4%以下有し、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))35〜65、質量平均分子量(Mw)450,000〜850,000、かつその質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比が5以下のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
【請求項6】
上記(B)成分であるポリブタジエンを、単独使用するか、及び/又は、酸無水物及びラジカル発生剤の混合組成物として使用した請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフボール材料。
【請求項7】
上記(B)成分がポリブタジエンであると共に、(B)成分及び(C)成分の樹脂組成物全体中の(B)成分の占める割合が1〜50質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
【請求項8】
上記(B)成分が、衝撃強度値35〜130J/m、曲げ弾性率2.50〜3.10GPaの範囲内を有するポリアセタールホモポリマー及び/又はポリアセタールコポリマーである請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
【請求項9】
上記(B)成分がポリアセタールであり、(B)成分の占める割合が樹脂組成物全量に対して1〜50重量%の割合で配合してなる請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
【請求項10】
上記(B)成分及び(C)成分ポリマー組成物に対する上記(A1)成分及び/又は(A2)成分の配合量が、上記(B)成分及び(C)成分の混合組成物中の酸基の中和度によって選定される請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
【請求項11】
上記(A)成分の金属イオン種が、酸素含有無機金属化合物の超微粒子(A1)であり、その平均粒径が0.005〜0.1μmであり、その粒度分布が0.001〜1.0μmである請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴルフボール材料。
【請求項12】
上記酸素含有金属化合物の微粒子(A1)が、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,酸化マグネシウム,酸化亜鉛及び酸化カルシウムの群から選ばれる化合物の1種又は2種以上である請求項11記載のゴルフボール材料。
【請求項13】
上記(A)成分が、酸素含有無機金属化合物をマスターバッチ化したもの(A2)であり、その酸素含有無機金属化合物の平均粒径が0.005〜50μmであり、その粒度分布が0.001〜300μmであることを請求項11記載のゴルフボール材料。
【請求項14】
上記酸素含有金属化合物が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、及び酸化亜鉛の群から選ばれる化合物の1種又は2種以上である請求項11記載のゴルフボール材料。
【請求項15】
上記酸素含有無機金属化合物をマスターバッチ化したもの(A2)が、酸素含有無機金属化合物を20〜80質量%配合したMFR10g/10分以上のベースポリマー材料からなる請求項11記載のゴルフボール材料。
【請求項16】
上記酸素含有無機金属化合物をマスターバッチ化したもの(A2)が、ニーダーと強制フィーダ付き二軸一軸押出機,タンデム型押出機及び真空ベント付き二軸押出機のいずれかを使用し、混練温度が50℃〜220℃の条件下で調製されたものである請求項11記載のゴルフボール材料。
【請求項17】
(A)金属イオン種の超微粒子(A1)及び/又は金属イオン種のマスターバッチ(A2)と、
(B)ジエン系ポリマー,熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマーと、
(C)オレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体,オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体,不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる酸含量0.5〜30質量%を有するポリマー
を配合してなるゴルフボール材料の製造方法において、上記(B)成分及び(C)成分の樹脂組成物に対して、(A1)及び/又は(A2)により、ワンステップで酸含有ポリマー中の酸中和反応を行なうことを特徴とするゴルフボール材料の製造方法。
【請求項18】
上記の(A1)及び/又は(A2)による酸含有ポリマー組成物の酸中和反応を、ワンステップで行う反応押出機として、ニーディングディスクゾーンを有するスクリューセグメント配置の二軸押出機を使用した請求項17記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項19】
L/Dが20以上の二軸押出機を使用した請求項18記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項20】
上記二軸押出機のスクリューセグメント配置について、ニーディングディスクゾーンのL/Dが全体L/Dの10〜90%である請求項18又は19記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項21】
上記二軸押出機のニーディングディスクゾーンの構成ディスクが、RKD(Right−handed Kneading Disc)、LKD (Left−handed Kneading Disc)、リバース(Reverse Disc)、各種ニュートラル(Neutral Disc)からなる請求項18〜20のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項22】
上記二軸押出機のスクリュー直径が15mmΦ以上である請求項18〜21のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項23】
上記二軸押出機が、ベントポート及びそれに連結した真空ラインを有する請求項18〜22のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項24】
上記二軸押出機が、液体滴下又は液体圧注入付帯設備を有する請求項18〜23のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項25】
上記液体として、ROH(Rは水素又はアルキル基)で示される液体を使用し、その添加量が樹脂押出量に対して0.1〜10重量%である請求項24記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項26】
上記二軸押出機の中和反応条件として、設定温度110℃〜260℃、押出量が二軸押出機スクリュー径(D)32mmΦで、2Kg/hr〜60Kg/hrであると共に、スクリュー径比D1/D2(但し,D2よりもD1の方が径が大きい)をAとすると、A1.0〜A3.0の範囲内において二軸押出機のスケールアップ時の押出量がAに比例する請求項18〜25のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
【請求項27】
請求項1〜16のいずれか1項記載のゴルフボール用材料の成形物を構成要素として用いることを特徴とするゴルフボール。
【請求項28】
請求項1〜16のいずれか1項記載のゴルフボール用材料を、コアと該コアを被覆するカバーとからなるツーピースソリッドゴルフボール、又は、1層以上のコアと該コアを被覆する2層以上の中間層と該中間層を被覆する1層以上のカバーとからなるマルチピースソリッドゴルフボールにおけるカバー材又は中間層材として用いることを特徴とするゴルフボール。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱安定性、流動性、成形性が良好で、しかも反発性や耐久性等に優れる高性能のゴルフボールを得ることができるゴルフボール用材料、該ゴルフボール用材料の成形物を構成要素として具備するゴルフボール、及び該ゴルフボール用材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年より、ゴルフボールのカバー材にはアイオノマー樹脂が広く用いられている。アイオノマー樹脂は、エチレン等のオレフィンと、アクリル酸、メタクリル酸あるいはマレイン酸等の不飽和カルボン酸からなるイオン性共重合体の酸性基を、部分的にナトリウム,リチウム,亜鉛,マグネシウム等の金属イオンで中和したもので、耐久性、反発性、耐擦過傷性などの面で優れた性質を有している。
【0003】
現在、アイオノマー樹脂はゴルフボールカバー材のベース樹脂の主流であるが、常にユーザーからは高反発性を有し飛行特性に優れたゴルフボールが求められており、様々な改良が行われている。
【0004】
例えば、アイオノマーカバー材の反発性、コスト性を改善する提案として、アイオノマー樹脂に多量の金属せっけんを添加したカバー材(特許文献1:米国特許第5312857号明細書,特許文献2:米国特許第5306760号明細書,特許文献3:国際公開第98/46671号パンフレット)等を挙げることができる。
【0005】
しかしながら、これら提案は、カバー材中の金属せっけんが射出成形時に分解・気化して多量の脂肪酸ガスを発生させるため、成形不良を起こし易く、発生したガスが成形物の表面に付着して塗装性を著しく低下させる。また、これらカバー材は、金属せっけん未配合の同硬度のアイオノマーカバーと比較しても反発性能に大差はなく、せいぜい同程度が若干の金属せっけん配合による効果として認められる程度で、著しく反発性を向上させるものではない。しかも、金属せっけんの種類によっては、成形性、反発性を著しく損なわせる場合があり、実用レベルからは程遠いものである。
【0006】
また、最近、ゴルフボール材料用アイオノマーで、第一成分として、例えばエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、第二成分として、異種の熱可塑性樹脂を用い、両者を混練後、その樹脂組成物中に分散された第一成分の酸を、第三成分として、金属イオン種を配合して中和し、IPN構造を有する、均一相で高反発弾性の材料が開発されている(米国特許公開公報第2004/0044136号明細書)。しかしながら、この製法においては、金属イオン種である金属酸化物、金属水酸化物、または金属炭酸塩などの固体(粉、粒状)を直接使用するため、しかも第一成分の酸含量が多いと酸の中和に要する金属イオン種を多量に配合する必要があるため、金属イオン種の配合時、分散不良を起こし、未反応の金属イオン種が残存する場合があり、また、部分中和反応(不完全中和度)を起こし、押出機でのワンステップ(一段反応)では目標とする中和度に達することができず、数回パスをするため、生成したアイオノマー材料の物性低下に繋がることが懸念された。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5312857号明細書
【特許文献2】米国特許第5306760号明細書
【特許文献3】国際公開第98/46671号パンフレット
【特許文献4】米国特許公開公報第2004/0044136号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、金属イオン種により、ワンステップで、酸含有ポリマー組成物中の酸中和反応を完結させ、目標とする酸の中和度を達成することによって、熱安定性、流動性、成形性が良好で、しかも反発性を損なうことなく、耐久性、耐擦過傷性、適正硬度等に優れる高性能のゴルフボールを得ることができるゴルフボール用材料、該ゴルフボール用材料の成形物を構成要素として具備するゴルフボール、及び該ゴルフボール用材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)金属イオン種の超微粒子(A1)及び/又は金属イオン種のマスターバッチ(A2)を使用すると共に、ニーディングディスクゾーンを有する反応用二軸押出機の使用により、(B)ジエン系ポリマー,熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマー組成物、及び(C)オレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体,オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体,不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる酸含量0.5〜30質量%を有するポリマーとを配合して得られる(B)成分及び(C)成分の酸含有ポリマー組成物に、上記(A)成分を配合した場合、(A)成分による(B)成分及び(C)成分中の酸の中和反応がスムーズに進み、ワンステップで均一な材料が得られることを知見にした。そして、上記ゴルフボール材料は、意外にも熱安定性、流動性、成形性が良好であり、射出成形に適しており、しかも成形物の反発性を損なうことなく、耐久性、耐擦過傷性、適正硬度等に優れる高性能のゴルフボールを形成するのに最適な材料であることを知見した。
【0010】
また、本発明者らは更に検討を行ったところ、上記ゴルフボール用材料の成形物を構成要素(例えば、コアとこのコアを被覆するカバーとからなるツーピースソリッドゴルフボール、又は、一層以上のコアとこのコアを被覆する一層以上の中間層とこの中間層を被覆する一層以上のカバーとからなるマルチピースソリッドゴルフボールにおけるカバー材又は中間層材)として具備したゴルフボールは、反発性を損なうことなく、優れた耐久性、耐擦過傷性、適正硬度を有することを知見し、本発明をなすに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記のゴルフボール用材料、ゴルフボール、及びゴルフボール用材料の製造方法を提供する。
請求項1:
(A)金属イオン種の超微粒子(A1)及び/又は金属イオン種のマスターバッチ(A2)と、
(B)ジエン系ポリマー,熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマーと、
(C)オレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体,オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体,不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる酸含量0.5〜30質量%を有するポリマーと、
とからなり、(B)成分及び(C)成分からなる配合物に対して(A)成分を配合してなることを特徴とするゴルフボール材料。
請求項2:
(B)成分が、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアクリレート系ポリマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ジエン系ポリマー、ポリアセタール、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、及びABS系樹脂よりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマー組成物である請求項1記載のゴルフボール用材料。
請求項3:
上記(B)成分及び(C)成分の配合割合が、質量比で99/1〜1/99である請求項1又は2記載のゴルフボール用材料。
請求項4:
上記(B)成分が熱硬化性ポリマーであり、かつ上記(B)成分及び(C)成分の配合割合が、質量比で49/51〜1/99である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
請求項5:
上記(B)成分がポリブタジエンであり、かつこのポリブタジエンがシス1,4結合を60%以上、1,2ビニル結合を4%以下有し、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))35〜65、質量平均分子量(Mw)450,000〜850,000、かつその質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比が5以下のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
請求項6:
上記(B)成分であるポリブタジエンを、単独使用するか、及び/又は、酸無水物及びラジカル発生剤の混合組成物として使用した請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフボール材料。
請求項7:
上記(B)成分がポリブタジエンであると共に、(B)成分及び(C)成分の樹脂組成物全体中の(B)成分の占める割合が1〜50質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
請求項8:
上記(B)成分が、衝撃強度値35〜130J/m、曲げ弾性率2.50〜3.10GPaの範囲内を有するポリアセタールホモポリマー及び/又はポリアセタールコポリマーである請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
請求項9:
上記(B)成分がポリアセタールであり、(B)成分の占める割合が樹脂組成物全量に対して1〜50重量%の割合で配合してなる請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
請求項10:
上記(B)成分及び(C)成分ポリマー組成物に対する上記(A1)成分及び/又は(A2)成分の配合量が、上記(B)成分及び(C)成分の混合組成物中の酸基の中和度によって選定される請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料。
請求項11:
上記(A)成分の金属イオン種が、酸素含有無機金属化合物の超微粒子(A1)であり、その平均粒径が0.005〜0.1μmであり、その粒度分布が0.001〜1.0μmである請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴルフボール材料。
請求項12:
上記酸素含有金属化合物の微粒子(A1)が、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,酸化マグネシウム,酸化亜鉛及び酸化カルシウムの群から選ばれる化合物の1種又は2種以上である請求項11記載のゴルフボール材料。
請求項13:
上記(A)成分が、酸素含有無機金属化合物をマスターバッチ化したもの(A2)であり、その酸素含有無機金属化合物の平均粒径が0.005〜50μmであり、その粒度分布が0.001〜300μmであることを請求項11記載のゴルフボール材料。
請求項14:
上記酸素含有金属化合物が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、及び酸化亜鉛の群から選ばれる化合物の1種又は2種以上である請求項11記載のゴルフボール材料。
請求項15:
上記酸素含有無機金属化合物をマスターバッチ化したもの(A2)が、酸素含有無機金属化合物を20〜80質量%配合したMFR10g/10分以上のベースポリマー材料からなる請求項11記載のゴルフボール材料。
請求項16:
上記酸素含有無機金属化合物をマスターバッチ化したもの(A2)が、ニーダーと強制フィーダ付き二軸一軸押出機,タンデム型押出機及び真空ベント付き二軸押出機のいずれかを使用し、混練温度が50℃〜220℃の条件下で調製されたものである請求項11記載のゴルフボール材料。
請求項17:
(A)金属イオン種の超微粒子(A1)及び/又は金属イオン種のマスターバッチ(A2)と、
(B)ジエン系ポリマー,熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマーと、
(C)オレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体,オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体,不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる酸含量0.5〜30質量%を有するポリマーとを配合してなるゴルフボール材料の製造方法において、上記(B)成分及び(C)成分の樹脂組成物に対して、(A1)及び/又は(A2)により、ワンステップで酸含有ポリマー中の酸中和反応を行なうことを特徴とするゴルフボール材料の製造方法。
請求項18:
上記の(A1)及び/又は(A2)による酸含有ポリマー組成物の酸中和反応を、ワンステップで行う反応押出機として、ニーディングディスクゾーンを有するスクリューセグメント配置の二軸押出機を使用した請求項17記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項19:
L/Dが20以上の二軸押出機を使用した請求項18記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項20:
上記二軸押出機のスクリューセグメント配置について、ニーディングディスクゾーンのL/Dが全体L/Dの10〜90%である請求項18又は19記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項21:
上記二軸押出機のニーディングディスクゾーンの構成ディスクが、RKD(Right−handed Kneading Disc)、LKD (Left−handed Kneading Disc)、リバース(Reverse Disc)、各種ニュートラル(Neutral Disc)からなる請求項18〜20のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項22:
上記二軸押出機のスクリュー直径が15mmΦ以上である請求項18〜21のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項23:
上記二軸押出機が、ベントポート及びそれに連結した真空ラインを有する請求項18〜22のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項24:
上記二軸押出機が、液体滴下又は液体圧注入付帯設備を有する請求項18〜23のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項25:
上記液体として、ROH(Rは水素又はアルキル基)で示される液体を使用し、その添加量が樹脂押出量に対して0.1〜10重量%である請求項24記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項26:
上記二軸押出機の中和反応条件として、設定温度110℃〜260℃、押出量が二軸押出機スクリュー径(D)32mmΦで、2Kg/hr〜60Kg/hrであると共に、スクリュー径比D1/D2(但し,D2よりもD1の方が径が大きい)をAとすると、A1.0〜A3.0の範囲内において二軸押出機のスケールアップ時の押出量がAに比例する請求項18〜25のいずれか1項に記載のゴルフボール用材料の製造方法。
請求項27:
請求項1〜16のいずれか1項記載のゴルフボール用材料の成形物を構成要素として用いることを特徴とするゴルフボール。
請求項28:
請求項1〜16のいずれか1項記載のゴルフボール用材料を、コアと該コアを被覆するカバーとからなるツーピースソリッドゴルフボール、又は、1層以上のコアと該コアを被覆する2層以上の中間層と該中間層を被覆する1層以上のカバーとからなるマルチピースソリッドゴルフボールにおけるカバー材又は中間層材として用いることを特徴とするゴルフボール。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゴルフボール用材料及びその製造方法によれば、ワンステップで、酸含有ポリマー中の酸中和反応を完結することができ、熱安定性、流動性、成形性が良好で、しかも反発性を損なうことなく、耐久性、耐擦過傷性、適正硬度等に優れる高性能のゴルフボールを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明は、(A)金属イオン種の超微粒子と、(B)ジエン系ポリマー,熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマーと、(C)オレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体,及び不飽和カルボン酸無水物,不飽和ジカルボン酸及び又は不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる酸含有ポリマーとを配合してなることを特徴とする。
【0014】
本発明では、ワンステップで目標とする中和度の中和反応を完結させ、数回パスによって得られるポリマー材料の熱履歴を回避し、より良いゴルフボール材料を製造することを目的として、使用する金属イオン種(A)として、酸素含有無機化合物の超微粒子(A1)が選択されるものである。
本発明の超微粒子(A1)は、その平均粒径が0.005〜0.1μm、その粒度分布が0.001から1.0μmであることが好ましい。この粒子を用いれば、通常の粒径が数十μmの粒子と比較して、その表面が活性であり、酸に対する反応性が高く、また分散性も良好であることから、本発明の中和反応には好適である。
【0015】
上記金属イオン種(A)は、従来から使用された酸素含有無機化合物を使用することができる。通常、酸素含有無機化合物をそのまま使用し、酸含有ポリマー組成物中の酸中和反応を行うと、未反応の酸素含有無機化合物が未分散塊状物になって残り、何回も押出機をパスすることによって、目標とする中和度の中和反応を完結させている。一例としては、金属イオン種として、水酸化マグネシウムを使用し、酸含有ポリマーを中和するために二軸押出機を数回パスした例が米国特許公開公報第2004/0044136号明細書に記載されている。
【0016】
上記金属イオン種(A)である酸素含有無機化合物の超微粒子(A1)としては、低吸湿性の金属酸化物、金属炭酸塩、及び金属水酸化物から選ばれることが好ましい。また、金属イオン種(A)は、周期率表第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIA、VIB、VIIB及びVIIIBから選択される。酸素含有無機化合物の超微粒子(A1)の具体例としては、これに限定されるものではないが、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,酸化マグネシウム,酸化亜鉛,酸化カルシウム,及び水酸化マグネシウムなどが挙げられ、それらの1種又は2種以上が使用される。これらの酸素含有無機化合物の微粒子(A1)を、酸含有ポリマー組成物中の酸中和反応に使用すれば、(1)スムーズに起こり(酸基に対し、高い中和反応性を示す)、(2)金属酢酸塩(中和後、脱酢酸)などに比較し、製造設備への腐食性が小さい、などの利点がある。
【0017】
また、金属イオン種(A)として、酸素含有無機化合物のマスターバッチ化したもの(A2)を使用することができる。この場合、上述した酸素含有無機化合物の超微粒子(A1)に代えて、又はこれと併用して(A2)成分を使用することができる。マスターバッチ化に使用される酸素含有無機金属化合物の平均粒径は、通常0.005〜50μmであり、その粒度分布は、通常0.001〜300μmである。その粒径に関しては、上記の酸素含有無機化合物の超微粒子ほど微細化したものを使用する必要はないが、平均粒径が大きすぎると、中和反応が完結しない場合があり、一方、小さすぎると、マスターバッチ化時に分散不良を起こす場合がある。ここで、本発明において平均粒径及び粒度分布とは、レーザー回折式粒度分布測定(レーザー回折・散乱法)に準拠して測定した値を意味するものである。
【0018】
酸素含有無機化合物のマスターバッチ化したもの(A2)(以下、単に「マスターバッチ(A2)」と言う。)を使用することにより、酸含有ポリマー組成物(B)成分及び(C)成分中の酸中和反応において、酸素含有無機金属化合物を均一に分散させることができ、更に均一な反応を促し、ゴルフボール用材料の均一性を付与することができる。一方、マスターバッチ化せず、酸素含有無機金属化合物を上記ポリマー組成物(B)成分及び(C)成分中に直接配合する場合では、そのポリマー組成物中に酸素含有無機金属化合物を均一分散することが困難となる場合があり、未分散の塊状物となり、結果として不均一な反応となり、ゴルフボール用材料の不均一性を招くことになる。特に、粗粉末状の酸素含有無機金属化合物を用いると、ゴルフボール用材料中に未分散塊状物が残存することになる。また、中和反応後に有機酸を遊離しない非有機酸の酸素含有無機金属化合物を優先的にマスターバッチ化することにより、反応を促進させ、均一な材料を得ることも可能である。
【0019】
マスターバッチ(A2)を使用する場合、これに含まれる金属イオン種としては、金属酸化物、金属炭酸塩、または金属水酸化物であり、金属イオン種は、周期率表第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIA、VIB、VIIB及びVIIIBから選択される。具体例としては、これに限定されるものではないが、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸マグネシウム,炭酸亜鉛,水酸化マグネシウム,酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,酸化カルシウム及び酸化亜鉛などが挙げられ、1種又は2種以上が使用される。
【0020】
上記酸素含有無機金属化合物の濃度は、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。マスターバッチ(A2)中の酸素含有無機金属化合物の濃度が高くなり過ぎると、マスターバッチのMFRが0.1g/10min未満と極端に低下してしまう場合がある。この場合、上記(B)成分及び(C)成分に上記マスターバッチを配合した際、マスターバッチ中の酸素含有無機金属化合物の分散不良が起こり、逆に、低濃度の場合、マスターバッチの添加量が多くなり、マスターバッチに使用される高MFRのベースポリマー(特に、エチレン系ワックス、低酸含量高MFRのエチレン系ポリマー等)の影響が出てしまい、ゴルフボール用材料の物性を大きく低下させるおそれがある。
【0021】
この場合、マスターバッチ(A2)に用いられるベースポリマー材料としては、高いMFR値を有するものが好適であり、具体的には、MFR値(g/10min)が、好ましくは10g/10min以上、より好ましくは50g/10min以上、更に好ましくは100g/10minのものが用いられる。また、液状のワックスも使用することができ、例えば、高MFRのエチレン系ワックス、低酸含量高MFRのエチレン系ポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンワックスAC5120(アクリル酸含有量15質量%、MFR1000g/10分以上、トーメンプラスチック社製),Nucrel 599(メタクリル酸含有量10質量%、MFR450g/10分、DuPont社製),Nucrel 699(メタクリル酸含有量11質量%、MFR100g/10分、DuPont社製),ニュクレル N0200H(メタクリル酸含有量2質量%、MFR130g・10min、三井・デュポンポリケミカル社製)などが例示される。
【0022】
本発明のゴルフボール用材料の製造法は、金属イオン種(A)により、2種以上の異種ポリマー(B)成分及び(C)成分からなる酸含有ポリマー組成物中の酸中和反応をワンステップ(一段反応)で行なう方法である。このワンステップで中和反応を行うため、使用される金属イオン種(A)の配合については、中和反応用押出機、特に、ニーディングディスクゾーンを有するスクリューセグメント配置を有する二軸押出機が使用される。
【0023】
本発明の金属イオン種(A)の配合量については、上記酸含有ポリマー組成物(B)成分及び(C)成分配合組成物中に含まれる酸基の目標中和度になるよう、必然的に決定される。配合量が多すぎると、過剰中和度になり、ゴルフボール用材料としての流動性(MFR)が低下し、成形性が損なわれる。一方、配合量が少なすぎると、ゴルフボール用材料としての物性、反発弾性や耐久性が損なわれるおそれがある。
【0024】
上記のマスターバッチ(A2)の調製法としては、加圧ニーダー等のニーダーと強制フィーダ付き二軸一軸押出機(ニーダールーダー含む)、タンデム型押出機(上段:二軸ローター、下段:真空ベント付き押出機)、または真空ベント付き二軸押出機のいずれかを使用することができる。より好ましくは、ニーダーと強制フィーダ付き二軸一軸押出機、又はタンデム型押出機を使用し、これらの機械により酸素含有無機化合物とベースポリマー材料とのドライブレンド物をホッパーに投入し混練後、ペレット化し、MFR0.1〜100g/minの範囲のマスターバッチ(A2)を得る。なお、上記に代えて、酸素含有無機化合物とベースポリマー材料とをそれぞれ個別フィードに投入して混練することも可能である。マスターバッチの混練温度については、50℃〜220℃、好ましくは80℃〜180℃の範囲で調製される。
【0025】
本発明のゴルフボール用材料は、例えば、混練型二軸押出機,バンバリー,ニーダー,ラボプラストミル等のインターナルミキサー等を用いて上述の各成分を混合することにより得ることができる。製造押出機としては、二軸押出機を使用することが好適であり、特に、下記(i)〜(v)の特徴を有する二軸押出機を用いることが好適である。
【0026】
(i)スクリュー有効長L/D(スクリューの長さとスクリューの直径との比率)が20以上、好ましくはL/Dが25以上、更に好ましくはL/Dが30以上であること
(ii)スクリューセグメント配置に関して、ニーディングディスクゾーンのL/Dが全体L/Dの10〜90%、好ましくは20〜80%、更に好ましくは30から70%であること
なお、ニーディングディスクゾーンの構成ディスクは、RKD(Right−handed Kneading Disc),LKD (Left−handed Kneading Disc),リバース(Reverse Disc),各種ニュートラル(Neutral Disc)から構成される。
(iii)スクリューの直径が15mmΦ以上であること
(iv)ベントポート及びこれに連結した真空ラインを有すること
(v)液体滴下又は液体圧注入付帯設備を有すること
【0027】
本発明のワンステップの中和反応では、上記(B)成分と上記(C)成分とを溶融混合し、溶融状態のポリマー組成物(B)成分及び(C)成分を調製した後、その溶融状態の樹脂組成物に更に上記(A)成分、即ち(A1)及び又は(A2)を配合し、上記ポリマー組成物(B)成分及び(C)成分中に含まれる酸基の少なくとも一部を中和する反応を促進するために、液体を添加(圧注入または滴下)してもよい。この場合、上記の液体としてはROH(Rは水素又はアルキル基)で示される液体を使用することが好ましい。また、上記の液体の添加量は、樹脂押出量全量に対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、更に好ましくは1.0〜5.0質量%であることが好適である。
【0028】
ここで、加熱条件としては、例えば100〜250℃とすることができるが、上記(B)成分の融点及び(C)成分の融点のいずれをも超える温度で溶融混合することが好適である。
また、混合方法としても特に制限されるものではないが、(A)成分をより良好に微分散させる観点から、予め(B)成分と(C)成分とを十分に溶融混合したポリマー組成物(B)成分及び(C)成分を得た後に、(A)成分、即ち(A1)成分及び/又は(A2)成分を配合し混練することが好適である。添加剤を配合する場合には、(A)成分を混練した後に添加剤を加えて混練することも可能である。
【0029】
本発明では、酸素含有無機金属化合物(A1)及び/又は(A2)による酸含有ポリマー組成物(B)成分及び(C)成分へ酸中和反応を、ワンステップで行うものであるが、この場合に使用される二軸押出機の中和反応条件としては、設定温度110℃〜260℃、好ましくは130〜240℃、更に好ましくは170℃〜230℃とする。そして、押出量は二軸押出機スクリュー径(D)32mmΦで、2Kg/hr〜60Kg/hr、好ましくは5Kg〜50Kg、更に好ましくは10Kg/hr〜40Kg/hrである。また、スクリュー径比D1/D2(但し,D2よりもD1の方が径が大きい)をAとすると、A1.0〜A3.0の範囲内において二軸押出機のスケールアップ時の押出量がAに比例することが好ましく、特に好ましくは、A1.5〜A2.7の範囲内である。
【0030】
本発明のゴルフボール用材料は、射出成形に特に適した流動性を確保し、成形性を改良するため、一定範囲のメルトフローレート(MFR)値を具備することが好適である。MFR値としては、通常0.1g/10min以上、好ましくは0.5g/10min以上、上限として通常50g/10min以下、好ましくは30g/10min以下である。MFRが大きすぎても小さすぎても加工性が著しく低下する場合がある。なお、本発明においてMFRとは、JIS−K7210に準拠し、試験温度190℃、試験荷重21.18N(2.16kgf)条件下での測定値を意味する。
【0031】
また、本発明のゴルフボール用材料は、FT−IR測定において、1690〜1710cm-1にカルボニル伸縮振動に帰属する吸収ピーク及び1530〜1630cm-1にカルボン金属塩のカルボキシアニオン伸縮振動に帰属する吸収ピークがあること、即ち、中和反応とイオン架橋の存在を確認している。
【0032】
本発明のゴルフボール用材料を用いた成形物のショアD硬度としては、通常50以上、好ましくは52以上、上限として75以下、好ましくは70以下である。 ショアD硬度が高すぎると形成されたゴルフボールの打撃時のフィーリングが著しく低下する場合があり、ショアD硬度が低すぎると反発性が低下する場合がある。
【0033】
本発明における(B)成分は、ジエン系ポリマー,熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマーである。具体的には、ポリオレフィン系エラストマー,ポリスチレン系エラストマー,ポリアクリレート系ポリマー,ポリアミド系エラストマー,ポリウレタン系エラストマー,ポリエステル系エラストマー,ジエン系ポリマー,ポリアセタール(POM),エポキシ樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,シリコーン樹脂,及びABS系樹脂よりなる群から選択された1種又は2種以上からなるポリマー組成物などを挙げることができる。
【0034】
上記(B)成分がジエン系ポリマーである場合、特にポリブタジエンであることが好ましい。このポリブタジエンとしては、シス1,4結合を60%以上有すると共に、1,2ビニル結合を4%以下有し、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))35〜65、質量平均分子量(Mw)450,000〜850,000、かつ質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比が5以下の関係を満足するものを用いることが好適である。例えば、ニッケル触媒系ポリブタジエンやランタノイド系ポリブタジエンなどが挙げられ、好ましくは後者である。
【0035】
また(B)成分であるポリブタジエンをそのまま使用することができる。或いは、酸無水物及び過酸化物等のラジカル発生剤を混合した混合組成物として使用することができる。更には、(C)成分とそのブタジエン混合組成物を混練し、(A)成分である金属イオン種、即ち(A1)及び又は(A2)により中和反応を行なう。これにより、金属イオン架橋を行うと同時に、酸無水物のグラフト化(反応)及びポリブタジエンの共有結合架橋からなる均一な相を有する材料を得ることができる。射出成形材料を考慮すると、(C)成分をマトリックスにする必要があり、(B)成分のポリブタジエンの配合割合を(B)成分及び(C)成分が質量比で5/95〜45/55となるように適宜調製することが好ましい。また、(A)成分による中和反応により得られるゴルフボール材料については、(B)成分であるポリブタジエンが(C)成分マトリックス中に配合されているにも拘わらず、耐熱性に優れたものである。
【0036】
上記(B)成分がポリアセタールである場合、衝撃強度値(23℃、1/4インチノッチ付き、ASTM D256)が35〜130J/m、曲げ弾性率(ASTM D790)が2.50〜3.10GPaの範囲にあるポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上のポリアセタール系を用いることが好ましい。
【0037】
この場合、ポリアセタールホモポリマーとしては、例えば、テナック5050,テナック7010(いずれも旭化成ケミカルズ社製),デルリン500P(デュポン社製),ポリアセタールコポリマーとしては,例えば、アミラスS731,アミラスS761(いずれも東レ社製),ジュラコンM140S(ポリプラスチック社製),テナック7520(旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。なお、ポリアセタールコポリマー中のコモノマー成分としては、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソランなどアルキレンオキサイド系が使用される。
【0038】
上記(B)成分のポリアセタールと上記(C)成分との配合(B)成分/(C)成分については、質量比で通常50/50〜1/99、好ましくは45/55〜5/95の割合である。(B)ポリアセタールの配合量が多すぎると、(B)と(C)との相溶性が低下すると共に、配合組成物全体が脆くなり、耐久性が著しく低下する場合がある。
【0039】
上記(B)成分は、比重コントロール(比重1.0以上)、耐疲労性、寸法安定性、耐摩耗性、耐衝撃性、成形性、打撃時のフィーリング(適正硬度、曲げ弾性率)をより一層向上させるための必須成分であり、耐疲労性、寸法安定性、耐摩耗性、耐衝撃性、曲げ弾性率、熱安定性、及び成形性に優れた材料であるポリアセタールが好適である。また、高硬度の付与するために、硬度アップ材料としても好適であり、(A)成分に均一分散できれば、10〜15質量%程度の酸含量で高硬度のアイオノマーゴルフボール材料が具現化されるメリットがある。
【0040】
本発明において、(B)成分が熱硬化性ポリマーである場合、上記酸含有ポリマー組成物(B)成分及び(C)成分中の配合比としては、(B)/(C)が49/51〜1/99(質量比)の割合に調整することが好適である。
【0041】
上記(C)成分としては、オレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体,オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体,不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーよりなる群から選択された1種又は2種以上からなる酸含量0.5〜30質量%を有するポリマー組成物が用いられる。
【0042】
上記(C)成分がオレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体の場合、オレフィンが有する炭素数としては通常2以上、上限として通常8以下、特に6以下である。このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン,プロピレン,ブテン,ペンテン,ヘキセン,ヘプテン,オクテン等を挙げることができ、特に、エチレンが好適に用いられる。また、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸,メタクリル酸,(無水)マレイン酸,フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。
【0043】
また、上記(C)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体中の場合、オレフィンと不飽和カルボン酸は、上記のオレフィン−不飽和カルボン酸2元共重合体と同じものを挙げることができ、また、不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、上述した不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルを好適に用いることができ、例えば、メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸プロピル,アクリル酸ブチル等を挙げることができる。特に、アクリル酸ブチル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル)が好適に用いられる。
【0044】
更に、上記(C)成分が、不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーの中から選ばれる場合、不飽和無水カルボン酸,不飽和ジカルボン酸,不飽和ジカルボン酸ハーフエステルから選ばれる少なくとも1種とオレフィンとからなるポリマーが好ましい。ここで、上記不飽和無水カルボン酸としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を挙げることができ、特に、無水マレイン酸が好適であり、また、不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を、不飽和ジカルボン酸ハーフエステルとしては、それらジカルボン酸のモノエステルであり、例えば、マレイン酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、イタコン酸モノエチルエステル等を挙げることができ、特にマレイン酸モノエチルエステルが好適に用いられる。一方、上記オレフィンとしては、炭素数が通常2以上、上限として通常8以下、特に6以下であることが好ましい。このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン,プロピレン,ブテン,ペンテン,ヘキセン,ヘプテン,オクテン等を挙げることができ、特に、エチレンが好適に用いられる。
【0045】
また、上記(C)成分における不飽和カルボン酸無水物含有ポリマー,不飽和ジカルボン酸含有ポリマー及び不飽和ジカルボン酸ハーフエステル含有ポリマーの具体例としては、下記のポリマーを挙げることができるが、これらのポリマーに限定されるものではない。
(i)不飽和無水カルボン酸,不飽和ジカルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸でグラフト化したオレフィン系ポリマー、
(ii)不飽和無水カルボン酸,不飽和ジカルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸でグラフト化したオレフィン−不飽和カルボン酸ポリマー、
(iii)不飽和無水カルボン酸,不飽和ジカルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸でグラフト化したオレフィン−不飽和カルボン酸エステルポリマー、
(iv)不飽和無水カルボン酸,不飽和ジカルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸でグラフト化したオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルポリマー、
(v)オレフィン−不飽和無水カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルポリマー、
(vi)オレフィン−不飽和ジカルボン酸−不飽和カルボン酸エステルポリマー、
(vii)オレフィン−不飽和ジカルボン酸ハーフエステル−不飽和カルボン酸エステルポリマー、
【0046】
それぞれ上述した材料を公知の方法で共重合及びグラフトさせることにより得ることができる。上記共重合体中の酸含量が少なすぎると反発性や強度(破断点引張強度)が低下する場合があり、多すぎると加工性が低下する場合がある。
【0047】
上記(C)成分の具体的な市販品としては、オレフィン−不飽和カルボン酸ポリマーは、例えば、Nucrel 960,Nucrel 2806(いずれもDuPont社製),ESCOR5200,ESCOR5100,ESCOR5000(いずれもExxon−Mobil Chemical社製)などを挙げることができる。
【0048】
オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルポリマーとしては、例えば、Bynel 2002, Bynel 2014, Bynel 2022, Bynel E403(いずれもDuPont社製),ESCOR ATX325,ESCOR ATX320,ESCOR ATX310(いずれもExxon−Mobil Chemical社製)等を挙げることができる。
【0049】
不飽和無水カルボン酸系ポリマーとしては、MODIPER A8100,MODIPERA8200,MODIPER A8400(いずれもNOR Corp.社製),LOTADER 3200,LOTADER 3300,LOTADER 5500,LOTADER 6200,LOTADER 7500,LOTADER 8200, LOTADER TX8030(いずれもATOFINA社製)などが例示される。
【0050】
不飽和無水カルボン酸グラフト化ポリマーとしては、市販品を使用してもよく、例えば、Polybond 3009,Polybond 3200,Royaltough 498(いずれもUniroyal Chemical社製), ADOMER NF518,ADOMER QE800(三井化学社製),Bynel2167, Bynel 2174, Bynel 4206, Bynel 4288, Bynel 50E561, Bynel 50E571(いずれもDuPont社製),Exxelor VA1801,Exxelor VA1803,Exxelor VA1840,Exxelor PO1020(いずれもExxonMobil Chemical社製)等を挙げることができる。
【0051】
本発明のゴルフボール用材料には、更に任意の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。本発明のゴルフボール用材料をカバー材として用いる場合には、上記(A)〜(C)に加え、例えば、顔料,分散剤,老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤などを加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量としては、上記(A)〜(C)の総和100質量部に対して通常0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、上限として通常10質量部以下、好ましくは4質量部以下である。
【0052】
本発明のゴルフボール用材料の比重としては、通常0.9以上、好ましくは0.92以上、より好ましくは0.94以上、上限として通常1.3以下、好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.05以下である。
【0053】
本発明のゴルフボールは、上記本発明のゴルフボール用材料を使用して形成された成形物を構成要素とするゴルフボールであり、上記ゴルフボール用材料の成形物が用いられる箇所はゴルフボールの一部又は全部のいずれであってもよく、
例えば、カバーが単層又は2層以上の多層構造を有する糸巻きゴルフボールのカバー,ワンピースゴルフボール,ツーピースソリッドゴルフボール,スリーピースソリッドゴルフボール等のマルチピースゴルフボールにおけるソリッドコア、中間層、カバー等を挙げることができる。本発明のゴルフボール用材料の成形物を構成要素として具備するゴルフボールであれば、ゴルフボールの種類は特に制限されるものではない。
【0054】
特に、本発明のゴルフボール用材料は、コアと該コアを被覆するカバーとからなるツーピースソリッドゴルフボールや、1層以上のコアと該コアを被覆する1層以上の中間層と該中間層を被覆する1層以上のカバーとからなるマルチピースソリッドゴルフボールにおけるカバー材、中間層材として好適に使用される。
【0055】
上記に記載された製造法で得られたゴルフボール材料を射出成形によりカバーに使用し、BR系コアーのツーピースソリッドゴルフボールを作成し、ゴルフボール評価を行った結果、下記の機能又は効果を有するゴルフボールが得られる。この場合、比較対象として、同程度の金属イオン種含有アイオノマー[(A)成分及び(C)成分配合組成物と同等]と(B)成分のメルドブレンド配合物をカバー材に使用したゴルフボールを用い、本発明と比較したものである。
a)カバー表面が均一性に優れている。
b)耐擦過傷性に優れている。
c)耐久性(打撃回数)に優れている。
d)高硬度である。
e)耐熱性に優れている。
f)部分的な分子間相互侵入網目構造を有する。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、実施例に使用した中和反応用二軸押出機は、スクリュー径32mmΦ、全体L/D41、ニーディングディスクゾーンL/Dが全体L/Dの40%である。
【0057】
〔実験例1〕
5リットル加圧ニーダー(ナニワ製造機械社製、設定温度100℃)を使用し、マスバッチ用ベースポリマーにA−C580/Nucrel 599の配合比30/70(質量比)を用い、酸化亜鉛ZnO−2(平均粒径0.6μm)を使用した。A−C580/Nucrel 599とZnO−2の配合比が50/50(質量比)で2.0Kg仕込み、ローター回転数35rpm、混練温度が120℃〜130℃の範囲になるようにコントロールしながら、0.49MPaの加圧下、20分間混練した。その混練物を二軸一軸押出機40mmΦ(ナニワ製造機械社製、温度設定180℃)でストランド化し、冷却水槽、エアーナイフ及びペレタイザーを通して、ペレット化した。得られたZnO−2含有量50質量%のZnO−2マスターバッチのMFRは2.1g/10min(190℃、2160g荷重)であった。得られたマスターバッチをZnO−2MBと略す。
【0058】
A−C580
トーメンプラスチック社製、ポリエチレンワックス、アクリル酸含有量9.6質量%、650cps 140℃。
Nucrel599
DuPont社製、エチレン−メタアクリル酸ポリマー、メタクリル酸含有量10質量%、MFR450g/10分。
【0059】
〔実施例1〕
表1に記載した配合割合で、ゴルフボール材料を調製した。BR01とEMAA−1を所定の割合、2.5Kg仕込み、設定温度80℃とした。これ以外は、実験例1と同じ5リットル加圧ニーダーの操作を繰り返した。その混練物を取り出し、設定温度130℃以外は、実験例1と同じ二軸一軸押出機の操作を繰り返した。設定温度を160℃とした二軸押出機に、得られたBR01/EMAA−1混練物のペレットとZnO−1とを表1記載の所定割合で別々に、二軸押出機ホッパーへフィードした。そして、スクリュー回転数70回転/分、押出量16Kg/hrの条件下、二軸押出機の途中から液体圧注入ポンプによる水を樹脂押出量に対して2質量%になるように圧入しながら、真空ベントによる揮発分留去の条件下、溶融混練した。次いで、二軸押出機ダイから押出されるストランドを冷却用水槽に通し、エアーナイフで水切り後、ペレタイザーでペレット化し、均一な混合組成物を得た。この得られた均一で透明な混合組成物のペレットを使用し、ホットプレス成形機にて、縦・横150mmの3mm厚みシートを作成し、目視にて、ZnO−1の未反応物及び未分散塊状物がないことを確認した。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表1に記載した。
【0060】
〔実施例2〕
ZnO−1の代わりに、実験例1で調製したZnO−2MBを使用する以外は、表1に示した配合割合で、実施例1の操作を繰り返し、均一で透明なBR01/EMAA−1/ZnO−2MBの混合組成物を得た。この得られた均一で透明な混合組成物のペレットを使用し、ホットプレス成形機にて、縦・横150mmの3mm厚みシートを作成し、目視にて、ZnO−2の未反応物及び未分散塊状物がないことを確認した。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表1に記載した。
【0061】
〔比較例1〕
ZnO−2マスターバッチの代わりに、ZnO−2を使用する以外は、表1に示した配合割合で、実施例1と同じ操作を繰り返した。得られたBR01/EMAA−1/ZnO−2の混合組成物のペレットを使用し、ホットプレス成形機にて、縦・横150mmの3mm厚みシートを作成し、目視にて、多数の未反応物ZnO−2(白斑点)の存在を確認した。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価し、結果を表1に記載した。
【0062】
【表1】


【0063】
実験例1のZnO−1使用と実施例1のZnO−2MB使用の両者の物性は、ほぼ同等であるが、それらの実施例に比較し、比較例のZnO−2使用の物性は、高MFR、低硬度、低反発など物性的に劣っていた。
【0064】
各商品名又はアルファベット名の詳細は以下の通りである。
BR01
ポリブタジエンBR01、JSR社製、シス−1,4−結合含有量96%、ニッケル系重合触媒。
BR02
100質量部のBR01に対し無水マレイン酸2質量部を混合し、この混合物100質量部に対し1質量部のジクミルパーオキサイドを加え約80℃で10分間混合した生成物。
ZnO−1
堺化学工業製、 酸化亜鉛NANOFINE−50、平均粒径20nm、粒度分布1〜100nm。粒径0.05μm以下の成分割合約60%。
ZnO−2
堺化学工業製、酸化亜鉛1種、平均粒径0.8μm、粒度分布0.07〜3.00μm。
POM
アミラスS761、東レ社製、ポリアセタールコポリマー、MFR9.6g/10min、融点166℃、Rockwell硬度(Rスケール)115。
EMAA−1
Nucrel 2050H、三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体、MFR500g/10min。
EMAA−2
Nucrel 1560、三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体、MFR60g/10min。
S8940
DuPont社製、エチレン−メタクリル酸共重合体ナトリウムアイオノマー、MFR3.0g/10min。
【0065】
MFR(g/10min)
JIS−K7210に準拠し、試験温度190℃、試験荷重21.18N(2.16kgf)条件下での測定値。
ショアD硬度
ASTM D−2240に準じて測定したショアD硬度。
反発弾性
トリプソン式反発弾性装置を用い、JIS−K6255、ISO4662に準じた測定値。
破断伸び(%),引っ張り強度(MPa)
JIS−K7161に準じて測定した。
【0066】
以上のように、単なる微粒子の金属イオン種(ZnO−2)の直接添加では、酸含有ポリマー中の酸中和を完結させることが難しいこと、及びその中和反応を完結させるために数回、押出機パスが必要であることが判明した。本発明のように、超微粒子(ZnO−1)又はマスターバッチ化したもの(ZnO−2MB)の金属イオン種を使用することが好適であることが確認される。以下、ZnO−1及びZnO−2MBを使用し、ゴルフボール材料製造法とそれらの物性を評価した。
【0067】
〔実施例3〕
BR01の代わりにBR02を使用し、二軸押出機の設定温度を160℃から180℃に変更する以外は、表2に示す配合で、実施例1と同じ操作を繰り返し、均一なBR02/EMAA−1/ZnO−1混合組成物を得た。得られた均一で透明な混合組成物のペレットを使用し、ホットプレス成形機にて、縦・横150mmの3mm厚みシートを作成し、目視にて、ZnO−1の未反応物及び未分散塊状物がないことを確認した。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0068】
〔実施例4〕
表2で示した配合割合で、POMとEMAA−1をドライブレンドし、実施例1で使用した二軸押出機(設定温度180℃)のホッパーへフィードし、スクリュー回転数80回転/分、押出量20Kg/hr、真空ベントによる揮発分留去の条件下、溶融混練し、二軸押出機ダイから押出されるストランドを冷却用水槽に通し、エアーナイフで水切り後、ペレタイザーでペレット化し、均一なPOM/EMAA−1の混練物を得た。BR01/EMAA−1混練物の代わりに得られたPOM/EMAA−1を、ZnO−1の代わりにZnO−2MBを使用し、表2に示した配合割合でドライブレンドし、設定温度を160℃から190℃に変更し、実施例1と同じ二軸押出機の操作を繰り返し、均一なPOM/EMAA−1/ZnO−2MB混合組成物を得た。得られた均一で透明な混合組成物のペレットを使用し、ホットプレス成形機にて、縦・横150mmの3mm厚みシートを作成し、目視にて、ZnO−2の未反応物及び未分散塊状物がないことを確認した。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0069】
〔実施例5〕
EMAA−1の代わりにEMAA−2を、ZnO−2MBの代わりにZnO−1を使用し、表2に示した配合割合で、実施例4と同じ操作を繰り返し、均一なPOM/EMAA−2/ZnO−1混合組成物を得た。得られた均一で透明な混合組成物のペレットを使用し、ホットプレス成形機にて、縦・横150mmの3mm厚みシートを作成し、目視にて、ZnO−2の未反応物及び未分散塊状物がないことを確認した。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0070】
〔実施例6〕
実施例5で得られたPOM/EMAA−2/ZnO−1混合組成物とS8940を、表2に示した配合割合でドライブレンドし、実施例1で使用した二軸押出機(設定温度190℃)のホッパーへフィードし、スクリュー回転数80回転/分、押出量20Kg/hr、真空ベントによる揮発分留去の条件下、溶融混練した。そして、二軸押出機ダイから押出されるストランドを冷却用水槽に通し、エアーナイフで水切り後、ペレタイザーでペレット化し、POM/EMAA−2/ZnO−1/S8940の均一な混合組成物を得た。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0071】
〔比較例2〕
実施例3の二軸押出機の押出条件(設定温度180℃、水圧注入)で、EMAA−1とZnO−1とを中和反応した均一なEMAA−1/ZnO−1を得た。これにBR02を、表2で示した配合割合でドライブレンドし、実施例4におけるPOM/EMAA−1の二軸押出機条件の(設定温度180℃)で、溶融混練し、ペレット化し、EMAA−1/ZnO−1/BR02の不均一な混合組成物を得た。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0072】
〔比較例3〕
実施例3の二軸押出機の押出条件(設定温度180℃、水注入)で、EMAA−1とZnO−2MBとを中和反応した均一なEMAA−1/ZnO−2MBを得た。これに、表2で示した配合割合でPOMをドライブレンドし、実施例6で使用した二軸押出機(設定温度190℃)の押出条件で、溶融混練し、ペレット化後、EMAA−1/ZnO−2MB/POMの白濁不均一な混合組成物を得た。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0073】
〔比較例4〕
実施例3の二軸押出機の押出条件(設定温度180℃、水注入)で、EMAA−2とZnO−1とを中和反応した均一なEMAA−2/ZnO−1を得た。これに、表2で示した配合割合でPOMをドライブレンドし、実施例6で使用した二軸押出機(設定温度190℃)の押出条件で、溶融混練し、ペレット化後、EMAA−2/ZnO−1/POMの白濁不均一な混合組成物を得た。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0074】
〔比較例5〕
比較例4で得られたEMAA−2/ZnO−1/POMの白濁不均一な混合組成物に、S8940を、表2で示した配合割合で、ドライブレンドし、実施例6で使用した二軸押出機(設定温度190℃)の押出条件で、溶融混練した。ペレット化後、EMAA−2/ZnO−1/POM/S8940の白濁不均一な混合組成物を得た。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。結果を表2に記載した。
【0075】
〔参考例〕
参考として、実施例におけるBR02やPOMを配合せず、EMAA−1とZnO−1を、表2で示した配合割合で、二軸押出機の設定温度を160℃から180℃に変更する以外は、実施例1の押出条件で、均一で透明なEMAA−1/ZnO−1の混合組成物を得た。これに、S8940を、表2で示した配合割合でドライブレンドし、実施例6で使用した二軸押出機(設定温度190℃)の押出条件で、溶融混練した。ペレット化後、EMAA−1/ZnO−1の均一で透明な混合組成物を得た。得られたゴルフボール用材料の諸特性を評価した。
【0076】
【表2】


【0077】
実施例3〜実施例6と比較例2〜比較例5とをそれぞれ比較すると、本実施例においては、混合系が均一であること、硬度及び引張強度が高い傾向にあること、線状構造のPOM配合時、高MFRであること、反発弾性は損なわれていなかった。また、参考例と比較すると、高硬度の傾向にあった。更に、これらの特徴がゴルフボールに反映されるか、実際にゴルフボールを作成し、評価を行った。
【0078】
〔実施例7〜9〕
次に、実施例3、実施例5及び実施例6で得られた材料をツーピースゴルフボールのカバー材に使用し、コアにBR架橋体(外径38.9mmΦ、質量36.0g、圧縮歪3.35mm)を用い、射出成形機(設定温度ホッパー:160℃、C1〜ヘッド:180〜200℃)を使用し、射出圧力5.9MPa、保持圧力4.9MPa、射出・保持時間8秒、冷却時間25秒の条件下、射出成形を行い、ツーピースゴルフボール(直径42.7mmΦ、質量45.5g)を作製した。これらのゴルフボール評価を行い、その結果を表3に記載した。
【0079】
〔比較例6〜8〕
上記の実施例7、実施例8及び実施例9に相当する比較として、比較例2、比較例4及び比較例5の材料をツーピースゴルフボールのカバー材に使用し、実施例8〜10と同じ射出成形条件下、ツーピースゴルフボールを作製した。これらのゴルフボール評価を行い、その結果を表3に併記した。
【0080】
【表3】


【0081】
たわみ量 *1
ゴルフボールを硬板の上に置き、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)に負荷したときのゴルフボールのたわみ量(mm)。
表面硬度 *2
ASTM D−2240に準じて測定したショアD硬度。
初速 *3
初速は、R&Aの承認する装置であるUSGAのドラム回転式の初速計と同方式の初速測定器を用いて測定した。ボールは23±1℃の温度で3時間以上温調し、室温23±2℃の部屋でテストされた。250ポンド(113.4kg)のヘッド(ストライキングマスク)を使って打撃速度143.8ft/s(43.83m/s)にてボールを打撃した。1ダースのボールを各々4回打撃して6.28ft(1.91m)の間を通過する時間を計測し、初速を計算した。約15分間でこのサイクルを行った。
反発係数(C.O.R) *4
空気砲弾によりボールをスチール板に向けて43m/sで発射させたとき、その跳ね返り速度を計測する。反発係数(C.O.R)は、ボール初速と跳ね返り速度との比率である。
耐久性 *5
米国AUTOMATED DESIGN CORPORATION製のADC BALL COR DURABILITY TESTERによりゴルフボールの耐久性(Durability)を評価した。この試験機は、ゴルフボールを空気圧で発射させた後、平行に設置した2枚の金属板に連続的に衝突させる機能を有する。ボールが割れるまでに要した発射回数の平均値を耐久性とした。この場合、平均値とは、同種のボールを7個用意し、それぞれのボールを発射させて7個のボールがそれぞれ割れるまでに要した発射回数を平均化した値である。
試験機のタイプは横型CORであり、金属板への入射速度は43m/sであった。
耐擦過傷性 *6
ボールを23℃に保温し、ピツチングウェッジをスイングロボットマシンに取り付け、ヘッドスピード33m/sにて打撃し、打撃傷を目視で判断した。下記の基準で評価した。
良好: 傷がない、もしくは使用上、全く気にならない程度の傷。
悪い: 表面が毛羽立つ、ディンプルが欠ける、などの傷
耐摩耗性 *7
内容量5リットルの筒状物に15個のゴルフボールと1.7リットルの砂を入れて、50rpm,2時間ミキシングした。その後にボールを取り出し、摩耗による表面の傷つきの度合い、光沢減少の度合いを目視により評価した。
良好: 傷が少ない又は使用上全く気にならない程度の傷、光沢低下なし
悪い: 傷が目立つ、やや光沢低下
【0082】
実施例7と比較例6、実施例8と比較例7、及び実施例9と比較例8をそれぞれ比較すると、本実施例の方が耐久性(打撃回数)、耐擦過傷性及び射出成形時の耐熱性に大きく優れていた。また、初速度、及びC.O.Rは、ほぼ同等であり、損なわれる傾向は無かった。




 

 


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