米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 医学 -> 日機装株式会社

発明の名称 血液浄化装置及び血液浄化方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−143815(P2007−143815A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−341720(P2005−341720)
出願日 平成17年11月28日(2005.11.28)
代理人 【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
発明者 大石 貴行 / 杉岡 明
要約 課題
任意速度で除水を行う第1期間の治療と、第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療とが行われる血液浄化装置において、治療中の患者の血圧低下をより確実に防止することができる血液浄化装置及び血液浄化方法を提供する。

解決手段
浄化処理または除水する血液処理手段と、ΔBV(循環血液量変化率)を経時的に測定する第1測定手段6と、除水速度を制御する制御手段9と、患者の脈拍または血圧を経時的に測定する第2測定手段7とを具備した血液透析装置であって、任意速度で除水を行う第1期間の治療と、ΔBVが所定値となるよう除水を行う第2期間の治療とを行うとともに、測定された脈拍または血圧が設定値(α)に到達したことを条件として、当該第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう制御手段9による制御がなされるものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
体外循環する患者の血液に対して浄化処理または除水する血液処理手段と、
当該患者の血液の状態を示す血液パラメータを経時的に測定する第1測定手段と、
除水速度を制御する制御手段と、
患者の生体パラメータを経時的に測定する第2測定手段と、
を具備した血液浄化装置であって、
任意速度で除水を行う第1期間の治療と、
前記第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療と、
を行うとともに、前記第2測定手段にて測定された生体パラメータが設定値に到達したことを条件として、当該第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう前記制御手段による制御がなされることを特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
前記設定値は、予め患者毎に把握された生体パラメータの許容限界値近傍であることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記第2測定手段は、測定された生体パラメータ、または前記血液処理手段による除水速度に基づき、測定間隔が可変とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記第1期間の治療は、目標除水量を治療時間で除した平均除水速度の所定値倍の高速で除水が行われることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記第1測定手段により測定された血液パラメータに基づいて血漿再充填速度を算出する算出手段を具備するとともに、前記第2期間の治療は当該算出手段で算出された血漿再充填速度に基づき除水速度が設定されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記第2期間の治療は、前記第1測定手段による血液パラメータの測定時点における目標値と測定値との差に基づき、前記制御手段によるフィードバック制御が行われることを特徴とする請求項5に記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記第2期間の治療は、前記第2測定手段で測定された生体パラメータに基づき前記所定値が可変とされたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項8】
患者の治療状況が一時的に変化するイベント情報を入力し得る入力手段を具備するとともに、イベント時には前記制御手段による制御を当該イベントの内容に基づき可変とすることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項9】
前記血液パラメータは、血液の濃度から導き出される循環血液量変化率であることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項10】
体外循環する患者の血液に対して浄化処理または除水する血液処理手段と、当該患者の血液の状態を示す血液パラメータを経時的に測定する第1測定手段と、除水速度を制御する制御手段と、患者の生体パラメータを経時的に測定する第2測定手段とを具備した血液浄化装置によって治療する血液浄化方法であって、
任意速度で除水を行う第1期間の治療と、
前記第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療と、
が行われるとともに、前記第2測定手段にて測定された生体パラメータが設定値に到達したことを条件として、当該第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう前記制御手段による制御がなされることを特徴とする血液浄化方法。
【請求項11】
前記設定値は、予め患者毎に把握された生体パラメータの許容限界値近傍であることを特徴とする請求項10記載の血液浄化方法。
【請求項12】
前記第2測定手段は、測定された生体パラメータ、または前記血液処理手段による除水速度に基づき、測定間隔が可変とされたことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の血液浄化方法。
【請求項13】
前記第1期間の治療は、目標除水量を治療時間で除した平均除水速度の所定値倍の高速で除水が行われることを特徴とする請求項10〜請求項12の何れか1つに記載の血液浄化方法。
【請求項14】
前記第1測定手段により測定された血液パラメータに基づいて血漿再充填速度を算出するとともに、前記第2期間の治療は算出された血漿再充填速度に基づき除水速度が設定されることを特徴とする請求項10〜請求項13の何れか1つに記載の血液浄化方法。
【請求項15】
前記第2期間の治療は、前記第1測定手段による血液パラメータの測定時点における目標値と測定値との差に基づき、前記制御手段によるフィードバック制御が行われることを特徴とする請求項14に記載の血液浄化方法。
【請求項16】
前記第2期間の治療は、前記第2測定手段で測定された生体パラメータに基づき前記所定値が可変とされたことを特徴とする請求項10〜請求項15の何れか1つに記載の血液浄化方法。
【請求項17】
患者の治療状況が一時的に変化するイベント時には前記制御手段による制御を当該イベントの内容に基づき可変とすることを特徴とする請求項10〜請求項16の何れか1つに記載の血液浄化方法。
【請求項18】
前記血液パラメータは、血液の濃度から導き出される循環血液量変化率であることを特徴とする請求項10〜請求項17の何れか1つに記載の血液浄化方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外循環する患者の血液に対して浄化処理または除水するための血液浄化装置及び血液浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、透析治療においては、患者の血液を体外循環させるべく可撓性チューブから主に構成された血液回路を使用する。この血液回路は、患者から血液を採取する動脈側穿刺針が先端に取り付けられた動脈側血液回路と、患者に血液を戻す静脈側穿刺針が先端に取り付けられた静脈側血液回路とから主に成り、これら動脈側血液回路と静脈側血液回路との間に血液浄化器としてのダイアライザを介在させ得るものである。かかるダイアライザは、透析液の供給及び排出を行う透析装置本体と接続され、血液中の老廃物等が排出されて清浄化されるようになっている。
【0003】
また、透析装置本体内には、患者の血液から水分を取り除くための除水ポンプが配設されており、透析治療時に除水が行われるように構成されている。かかる除水時において除去すべき水分量(除水速度)は、除水ポンプの駆動を制御することにより行われるのであるが、急激或いは過度の除水を行うと、患者の循環血液量を過剰に減少させ、それによって血圧低下やショック等を引き起こす虞がある一方、除水速度が遅いと、治療時間全体が延びてしまい却って患者に負担を強いる虞があった。
【0004】
そこで従来より、例えば特許文献1及び特許文献2で開示されているように、患者の血液状態を監視しながら除水速度を制御する血液浄化装置(具体的には血液透析装置)が提案されている。これら従来の血液浄化装置は、治療における前半において、目標制御線を利用して循環血液量を標準血液量(適正血液量)(BVst)に近づける除水の制御を行い、該標準血液量になった時点で後半に移行し、後半においては、当該標準血液量を実質的に維持しながら除水を行うよう構成されていた。これにより、前半の治療で、比較的高速で除水を行うことができるとともに、後半の治療で、患者に対する負担を確実に軽減して除水を行うことができる。
【特許文献1】国際公開W02003/009888号公報
【特許文献2】特開2004−290493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の血液浄化装置においては、以下の如き問題があった。
上述のように、循環血液量(循環血液量変化率)の低下は、血圧の低下と強い関連があるものの、必ずしも相関するわけではなく、例えば自律神経機能の異常、酢酸不耐性、透析膜の生体不適合、或いは心機能障害等により生じることもあることから、当該循環血液量(循環血液量変化率)のみを指標とした従来の血液浄化装置においては、患者の血圧低下を確実に防止するのには不十分であるという問題があった。
【0006】
特に、糖尿病患者にあっては、水分の血管透過性が低く血漿再充填が悪いことが多いため、循環血液量(循環血液量変化率)と血圧の低下との相関が小さいと言われている。また、通常、循環血液量(循環血液量変化率)を正確には算出することができず、それを閾値として前半の治療と後半の治療とを切り替える従来の方法では、患者の血圧低下を生じさせる可能性があり問題である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、任意速度で除水を行う第1期間の治療と、第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療とが行われる血液浄化装置において、治療中の患者の血圧低下をより確実に防止することができる血液浄化装置及び血液浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、体外循環する患者の血液に対して浄化処理または除水する血液処理手段と、当該患者の血液の状態を示す血液パラメータを経時的に測定する第1測定手段と、除水速度を制御する制御手段と、患者の生体パラメータを経時的に測定する第2測定手段とを具備した血液浄化装置であって、任意速度で除水を行う第1期間の治療と、前記第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療とを行うとともに、前記第2測定手段にて測定された生体パラメータが設定値に到達したことを条件として、当該第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう前記制御手段による制御がなされることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記設定値は、予め患者毎に把握された生体パラメータの許容限界値近傍であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の血液浄化装置において、前記第2測定手段は、測定された生体パラメータ、または前記血液処理手段による除水速度に基づき、測定間隔が可変とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記第1期間の治療は、目標除水量を治療時間で除した平均除水速度の所定値倍の高速で除水が行われることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記第1測定手段により測定された血液パラメータに基づいて血漿再充填速度を算出する算出手段を具備するとともに、前記第2期間の治療は当該算出手段で算出された血漿再充填速度に基づき除水速度が設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の血液浄化装置において、前記第2期間の治療は、前記第1測定手段による血液パラメータの測定時点における目標値と測定値との差に基づき、前記制御手段によるフィードバック制御が行われることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記第2期間の治療は、前記第2測定手段で測定された生体パラメータに基づき前記所定値が可変とされたことを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の血液浄化装置において、患者の治療状況が一時的に変化するイベント情報を入力し得る入力手段を具備するとともに、イベント時には前記制御手段による制御を当該イベントの内容に基づき可変とすることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記血液パラメータは、血液の濃度から導き出される循環血液量変化率であることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、体外循環する患者の血液に対して浄化処理または除水する血液処理手段と、当該患者の血液の状態を示す血液パラメータを経時的に測定する第1測定手段と、除水速度を制御する制御手段と、患者の生体パラメータを経時的に測定する第2測定手段とを具備した血液浄化装置によって治療する血液浄化方法であって、任意速度で除水を行う第1期間の治療と、前記第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療とが行われるとともに、前記第2測定手段にて測定された生体パラメータが設定値に到達したことを条件として、当該第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう前記制御手段による制御がなされることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の血液浄化方法において、前記設定値は、予め患者毎に把握された生体パラメータの許容限界値近傍であることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項10又は請求項11記載の血液浄化方法において、前記第2測定手段は、測定された生体パラメータ、または前記血液処理手段による除水速度に基づき、測定間隔が可変とされたことを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項10〜請求項12の何れか1つに記載の血液浄化方法において、前記第1期間の治療は、目標除水量を透析治療時間で除した平均除水速度の所定値倍の高速で除水が行われることを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の発明は、請求項10〜請求項13の何れか1つに記載の血液浄化方法において、前記第1測定手段により測定された血液パラメータに基づいて血漿再充填速度を算出するとともに、前記第2期間の治療は算出された血漿再充填速度に基づき除水速度が設定されることを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の発明は、請求項14に記載の血液浄化方法において、前記第2期間の治療は、前記第1測定手段による血液パラメータの測定時点における目標値と測定値との差に基づき、前記制御手段による制御が行われることを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の発明は、請求項10〜請求項15の何れか1つに記載の血液浄化方法において、前記第2期間の治療は、前記第2測定手段で測定された生体パラメータに基づき前記所定値が可変とされたことを特徴とする。
【0024】
請求項17記載の発明は、請求項10〜請求項16の何れか1つに記載の血液浄化方法において、患者の治療状況が一時的に変化するイベント時には前記制御手段による制御を当該イベントの内容に基づき可変とすることを特徴とする。
【0025】
請求項18記載の発明は、請求項10〜請求項17の何れか1つに記載の血液浄化方法において、前記血液パラメータは、血液の濃度から導き出される循環血液量変化率であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1又は請求項10の発明によれば、任意速度で除水を行う第1期間の治療と、第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療とが行われる血液浄化装置において、生体パラメータが設定値に到達したことを条件として、第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう前記制御手段による制御がなされるので、治療中の患者の血圧低下をより確実に防止することができる。
【0027】
請求項2又は請求項11の発明によれば、第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるためのトリガである設定値は、予め患者毎に把握された生体パラメータの許容限界値(容態悪化のボーダーライン)近傍であるので、各患者固有の体質などに合致した治療を行わせることができるとともに、その患者の過度な血圧低下をより確実に防止することができる。
【0028】
請求項3又は請求項12の発明によれば、測定された生体パラメータ、または血液処理手段による除水速度に基づき、第2測定手段による測定間隔が可変とされたので、同一の治療過程において、必要に応じて測定の頻度を高くしてより緻密に生体パラメータの測定を行う場合と、測定の頻度を低くして患者の負担を低減させる場合とで選択的な治療を行わせることができる。
【0029】
請求項4又は請求項13の発明によれば、第1期間の治療が、目標除水量を治療時間で除した平均除水速度の所定値倍の高速で除水が行われるので、体内から除去すべき水分が多く存在して除水による血圧の低下が生じにくい第1期間の治療で高速に除水を行わせ、血管外から血液内への血漿再充填を早期に促すべく血管内外の膠質浸透圧較差を生じさせることができる。
【0030】
請求項5又は請求項14の発明によれば、第1測定手段により測定された血液パラメータに基づいて血漿再充填速度を算出するとともに、第2期間の治療は算出された血漿再充填速度に基づき除水速度が設定されるので、より確実に第1測定手段で測定される血液パラメータが例えば所定範囲内に収まるよう略一定とすべき値の如き所定値となるよう除水を行うことができる。
【0031】
請求項6又は請求項15の発明によれば、第2期間の治療は、第1測定手段による血液パラメータの測定時点における目標値と測定値との差に基づき、制御手段によるフィードバック制御が行われるので、より安定した制御を行わせることができる。
【0032】
請求項7又は請求項16の発明によれば、第2期間の治療は、第2測定手段で測定された生体パラメータに基づき所定値(目標値)が可変とされたので、当該第2期間の治療において患者の容態等に応じてより適切な治療を行わせることができる。
【0033】
請求項8又は請求項16の発明によれば、患者の治療状況が一時的に変化するイベント時には制御手段による制御を当該イベントの内容に基づき可変とするので、食事や投薬等のイベント時において血液パラメータが一時的に変化しても、容易に且つ確実に対応させることができる。
【0034】
請求項9又は請求項17の発明によれば、血液パラメータが血液の濃度から導き出される循環血液量変化率であるので、簡易に且つ素早く血液パラメータを得ることができ、制御手段による制御をスムースに行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、透析治療を施すための血液透析装置に適用されたものであり、例えば図1及び図2に示すように、体外循環する患者の血液に対して浄化処理または除水する血液処理手段と、患者の血液の状態を示す血液パラメータを経時的に測定する第1測定手段6と、除水速度を制御する制御手段9と、患者の生体パラメータを経時的に測定する第2測定手段7とから主に構成されている。
【0036】
より具体的には、血液処理手段は、動脈側ドリップチャンバ4が接続された動脈側血液回路1a及び静脈側ドリップチャンバ5が接続された静脈側血液回路1bから成る血液回路1と、血液浄化器としてのダイアライザ2と、しごき型の血液ポンプ3と、透析装置本体8内の複式ポンプ10及び除水ポンプ11とから主に構成されている。また、動脈側血液回路1a先端及び静脈側血液回路1b先端には、それぞれ動脈側穿刺針a及び静脈側穿刺針bが接続されている。
【0037】
ダイアライザ2は、その筐体部に、血液導入ポート2a、血液導出ポート2b、透析液導入ポート2c及び透析液導出ポート2dが形成されており、このうち血液導入ポート2aには動脈側血液回路1aが、血液導出ポート2bには静脈側血液回路1bがそれぞれ接続されている。また、透析液導入ポート2c及び透析液導出ポート2dは、透析装置本体8から延設された透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されている。
【0038】
然るに、ダイアライザ2内には、複数の中空糸が収容されており、該中空糸内部が血液の流路とされるとともに、中空糸外周面と筐体部の内周面との間が透析液の流路とされている。中空糸には、その外周面と内周面とを貫通した微少な孔(ポア)が多数形成されて中空糸膜を形成しており、該膜を介して血液中の不純物等が透析液内に透過し得るよう構成されている。
【0039】
一方、透析装置本体8は、図2に示すように、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2に跨って形成された複式ポンプ10と、透析液排出ラインL2において複式ポンプ10を迂回して接続されたバイパスラインL3と、該バイパスラインL3に接続された除水ポンプ11とから主に構成されている。尚、透析液導入ラインL1の先端は、ダイアライザ2(透析液導入ポート2c)に接続されるとともに、基端が所定濃度の透析液を調製する透析液供給装置(不図示)に接続されている。
【0040】
また、透析液排出ラインL2の先端は、ダイアライザ2(透析液導出ポート2d)に接続されるとともに、基端が図示しない廃液手段と接続されており、透析液供給装置から供給された透析液が透析液導入ラインL1を通ってダイアライザ2に至った後、血液を浄化処理した後、透析液排出ラインL2及びバイパスラインL3を通って廃液手段に送られるようになっている。
【0041】
除水ポンプ11は、ダイアライザ2中を流れる患者の血液から水分を除去するためのものである。即ち、かかる除水ポンプ11を駆動させると、複式ポンプ10が定量型であるため、透析液導入ラインL1から導入される透析液量よりも透析液排出ラインL2から排出される液体の容量が多くなり、その多い容量分だけ血液中から水分が除去(除水)されるのである。
【0042】
しかして、血液ポンプ3の駆動により動脈側穿刺針aから採取された血液は、動脈側血液回路1aを介してダイアライザ2に至り、該ダイアライザ2にて浄化処理及び除水がなされた後、静脈側血液回路1bを介して患者に戻されるのである。即ち、本実施形態に係る血液処理手段は、血液回路1にて体外循環する血液に対して浄化処理及び除水を行い得るようになっている。尚、本実施形態においては、複式ポンプ10による透析液の供給及び排出がなされるものであるが、これに代えて他の形態のもの(例えばチャンバ方式のもの)とすることができる。
【0043】
第1測定手段6は、血液回路1における動脈側血液回路1aに接続されたヘマトクリットセンサから成るもので、かかるヘマトクリットセンサは、例えばLED等の発光素子及びフォトダイオード等の受光素子を備え、発光素子から血液に光(例えば、所定波長の近赤外線)を照射するとともに、その透過した光或いは反射した光を受光素子にて受光することにより、血液回路1内を流れる患者の血液の濃度を示すヘマトクリット値を測定するものである。
【0044】
測定されたヘマトクリット値が高くなるとΔBVが低下するのであるが、当該ΔBVの値が患者固有の値より低下すると、血圧低下やショックを生じさせる虞があると言われており、除水(除水に限らず血液浄化処理全般を含む)中の患者の状態を示す指標として用いることができる。本実施形態においては、かかるヘマトクリット値を用いてΔBV(循環血液量変化率)を算出し、これを患者の状態を示す指標として用いている。このΔBVは、(透析開始時のHt−測定時のHt)/測定時のHt×100なる演算式にて求めることができる。尚、本実施形態においては、ΔBV(循環血液量変化率)を経時的に求めるため、上述の如くヘマトクリット値を用いているが、他のパラメータ(血漿蛋白濃度、ヘモグロビン濃度等の血漿指標)を用いて算出することができる。
【0045】
第2測定手段7は、患者の脈拍または血圧(生体パラメータ)を経時的に測定可能なものであり、例えば治療中の患者における腕や指等に直接配設されたセンサ等から構成される。尚、ここでいう生体パラメータとは、本実施形態における脈拍や血圧などの他、発汗や体内の血流量など患者の容態を示す指標のことをいう。
【0046】
制御手段9は、図2に示すように、除水ポンプ11、第1測定手段6及び第2測定手段7と電気的に接続され、第1測定手段6により測定されたΔBV(循環血液量変化率)に基づき除水ポンプ11の駆動を制御することによって除水速度を任意に制御するためのものである。ここで、本実施形態においては、任意速度(高速)で除水を行う第1期間の治療と、第1測定手段6で測定されるΔBVが所定値(例えば所定範囲内に収まるよう略一定)となるよう除水を行う第2期間の治療とが行われるよう制御手段9による制御がなされる。
【0047】
具体的には、図3に示すように、透析治療全般に亘って第1測定手段6によるΔBVの測定、及び第2測定手段7による患者の脈拍及び血圧の測定が行われるとともに、透析治療の初期(T1)において第1期間の治療条件、後期(T2〜)において第2期間の治療条件に基づき除水が行われることとなる。以下、透析治療全般に亘る制御方法について説明する。
【0048】
まず、設定された除水の目標量と治療時間から平均除水速度を求め、その値を除水速度(UFT0)として除水ポンプ11による除水を行わせる(同図T0期間)。平均除水速度(UFT0)は、除水の目標量を治療時間で除する演算(UFT0(L/h)=除水の目標量(L)/治療時間(h))にて求められる。そして、この期間T0において、第1測定手段6によるΔBVの測定が開始されることとなる。尚、この期間T0における除水速度は任意であれば足り、上記除水速度に限定されるものではない。
【0049】
かかるT0期間は、透析治療に先だち行われた血液回路1のプライミング時に使用された生理食塩水等が当該血液回路1内に残留していると正確な循環血液量変化率(ΔBV)を測定できないことから、生理食塩水が血液回路1から排出される時間(血液ポンプの駆動量を基準とした時間でもよい)を目安として設定された準備期間である。かかる期間T0が終了した時点で、期間T1(第1期間の治療)に移行することとなる。
【0050】
期間T1(第1期間の治療)では、T1に移行した時点での残りの除水の目標量と残りの治療時間から平均除水速度を求め、それの所定値倍の高速で除水が行われるよう制御される。かかる倍率(所定値)は任意に設定され、例えば倍率をXとした場合、除水速度(UFT1)=(残りの除水の目標量/残りの治療時間)×Xなる演算式により求められるとともに、その値(UFT1)を除水速度として除水ポンプ11による除水を行わせることとなる。これにより、体内から除去すべき水分が多く存在して除水による血圧の低下が生じにくい第1期間の治療でその日の除水の目標量と治療時間に応じて高速に除水を行わせ、血管外から血液内への血漿再充填を早期に促すべく血管内外の膠質浸透圧較差を生じさせることができるのである。尚、第1期間の治療においては、任意の除水速度であれば足り、例えば高速で除水中に一時的にそれより低速な除水を行わせるものであってもよい。
【0051】
一方、制御手段9は、第2測定手段7にて一定時間毎に測定された患者の脈拍(Pulse)または最高血圧(SYS)が予め設定した設定値(α)に到達したか否かを経時的に判定し、当該設定値(α)に到達したことを条件として、第1期間の治療(期間T1)から第2期間の治療(T2〜)に移行させるよう制御される。即ち、患者の脈拍または血圧をトリガとして第1期間の治療から第2期間の治療に移行するよう制御されているのである。
【0052】
トリガである設定値(α)は、予め患者毎に把握された脈拍または血圧の許容限界値(容態悪化のボーダーライン)近傍とするのが好ましい。即ち、ある患者の過去の治療における容態変化した時点の生体パラメータ(脈拍または血圧)を医師等医療従事者が予め把握しておき、かかる生体パラメータをその患者の許容限界値としてトリガに設定する。このとき、設定値としての血圧は許容限界値より高い値、脈拍は低い値に設定するのが好ましい。例えば、その患者の最高血圧(例えば90mmHg以下)、脈拍(例えば100bps以上)の他、平均血圧(例えば70mmHg以下)及び最低血圧(例えば60mmHg以下)の何れか或いは任意の組み合わせをトリガとしての設定値とすることができる。
【0053】
これにより、各患者固有の体質などに合致した治療を行わせることができるとともに、その患者の過度な血圧低下をより確実に防止することができる。尚、血圧の低下前には、患者の急激な発汗や血圧を維持しようとする自律神経による血管の収縮で血流量の減少が伴うことを鑑み、脈拍や血圧に加え、これら生体パラメータをトリガとしての設定値に用いればより精度を向上させることができる。
【0054】
期間T2〜(第2期間の治療)では、第1測定手段6で測定されるΔBVが所定値(例えば、所定範囲内に収まるよう略一定)となるよう除水を行うべき制御が行われる。ここで、本実施形態における制御手段9には、第1測定手段6により測定されたΔBVに基づいて血漿再充填速度を算出する算出手段12が接続されており、第2期間の治療においては、当該算出手段12で算出された血漿再充填速度に基づき除水速度が設定されることとなる。
【0055】
即ち、第1測定手段6により測定されたΔBVに基づき算出手段12にて血漿再充填速度(PRR)を算出するとともに、算出された血漿再充填速度に基づき除水速度が設定されるのである。ここで、血漿再充填とは、循環血液量の減少に対して血管外から血管内への水分の移動が生じることにより当該循環血液量を維持しようとする働きのことをいい、その原動力は血管内外の膠質浸透圧較差と静水圧較差とされる。この血漿再充填の速さを血漿再充填速度(血漿補充速度ともいう)という。しかして、除水ポンプ11による除水速度が血漿再充填速度と等しければ、理論上、循環血液量変化率(ΔBV)の実質的な変化はないこととなり、一般的には患者への負担が少ない透析治療がなされることとなる。
【0056】
以下、第2期間の治療(期間T2〜)における除水速度の制御に係る具体的内容について説明する。
まず、測定区間における循環血液量の変化量を、(患者の体重×血液循環量の体重比×測定区間における起点のΔBVと現時点のΔBVの変化量)なる演算式にて求め、この求められた循環血液量の変化量と測定区間の除水量とから血漿再充填速度(PRR)を求める。すなわち、血漿再充填速度(PRR)は、PRR=(測定区間の除水量+上記の如く求められた循環血液量の変化量)/(測定区間の時間)なる演算式にて求めることができる。尚、血液循環量の体重比は、一般に1/13とされるが、医師等医療従事者による判断にて任意設定することができる。
【0057】
然るに、制御されるべき除水速度は、血漿再充填速度(PRR)+除水速度補正値にて算出される。この除水速度補正値は、現時点(測定時点)におけるΔBV(測定値)と目標とするΔBVとの差から求められ、例えば、除水速度補正値=(患者の体重×血液循環量の体重比×現時点のΔBVと現時点のΔBVの目標値との差×倍率)/(測定区間の時間)なる演算式にて求められる。かかる演算式中の倍率は、医師等医療従事者が任意に判断し設定し得るものであり、このような倍率を用いることで、ΔBVの目標値への追従性を調整することができる。
【0058】
即ち、第2期間の治療は、図4に示すように、測定時点t(n)のΔBV値(測定値)とそれより前の測定時点t(n−1)のΔBV値(測定値)と測定区間の除水量から血漿再充填速度(PRR)を求めるとともに、測定時点t(n)でのΔBV値の目標値と、測定値と、当該血漿再充填速度(PRR)から除水速度を求める所謂フィードバック制御がなされるのである。
【0059】
ΔBVの目標値は、第1期間の治療から第2期間の治療への移行時に達したΔBVを目標としてもよく、或いはそれを基準に新たに所定値分移動した値を目標としてもよい。更に、第1期間の治療から第2期間の治療への移行時に達したΔBVを起点とし、治療の終了時点のΔBVを終点(或いは起点から設定値移動したΔBVを終点)とした直線又は曲線を求め、これを目標としてもよい。また更に、第2測定手段7にて測定された血圧等の生体パラメータの変化に応じて、自動的にΔBVの目標値を設定するようにしてもよい。この場合、例えば予め設定した閾値より血圧が低下した場合には自動的に予め設定された値だけΔBVの目標値を上げ、これとは逆の場合は、自動的に予め設定された値だけΔBVの目標値を下げるよう制御してもよい。
【0060】
このように、本実施形態においては、隣り合う測定時点t(n−1)及びt(n)のΔBV値の測定値に基づくフィードバック制御にて除水速度が制御されるので、従来の如き将来(t(n+1))のΔBVの目標値を用いるフィードフォーワード制御によるものに比べ、より安定した制御を行わせることができる。すなわち、フィードフォーワード制御は、現時点の制御値と測定値との変化に基づいて次ぎの制御値を決定する手法であるため、外乱等により自ら制御を乱してしまい、制御が安定しないという問題があったのに対し、本実施形態においては、かかる不具合を回避できるのである。
【0061】
因みに、治療における循環血液量変化は、フィードフォーワード制御を適用しなければならないほどの素早い応答性は要求されず、除水速度の変化に対して循環血液量変化は緩やかに応答しているのが実情であるので、安全上の観点から外乱に対してそれが突発的な変化であるか否かを見極めた上で制御できるフィードバック制御の方が、患者にとって安定した除水を行うことができるのである。
【0062】
また、算出手段12による血漿再充填速度(PRR)の算出、或いはそれに基づく除水速度の変更(更新)は、任意に設定した時間(例えば10分など)、除水速度に応じて求められた時間(例えば、除水速度0.50L/h未満で15分、除水速度0.50〜0.99L/hで10分、除水速度1.00L/h以上で5分など)、第2測定手段7にて測定した血圧値(最高血圧、平均血圧、最低血圧)や脈拍値に応じて求められた時間(例えば最高血圧130mmHg以上で20分、最高血圧100〜129mmHgで10分、最高血圧100未満で5分など)の何れかのタイミング或いは組み合わせにて行わせることができる。
【0063】
ところで、本実施形態に係る制御手段9には、入力手段13が接続されており、この入力手段13により患者の治療状況が一時的に変化するイベント情報を入力し得るよう構成されている。イベントとしては、例えば食事や投薬、或いは患者の体位変化(臥位から上半身を起こすなど)が挙げられる。例えば体位の変化や生理食塩水の投与等で急激に血液が希釈されてΔBVが増加した場合は、上述の如き除水速度の制御が継続されると患者の状態(患者の血漿再充填)に無関係に除水速度が急激に速くなってしまう。尚、これと反対の場合には、患者の状態(患者の血漿再充填)に無関係に除水速度が急激に遅くなってしまう。
【0064】
そこで、本実施形態においては、イベント時には制御手段9による制御を当該イベントの内容に基づき可変とするよう構成されている。具体的には、入力手段13は、食事や投薬などのイベント時に押圧操作可能な操作ボタンなどから成り、これによりイベントが認識されるので、例えば予め定めた設定値又は直前の除水速度の設定倍の除水速度になるよう制御手段9による制御がなされる。
【0065】
また、イベント時の制御は、入力手段13としての操作ボタンなどによるオン、オフにて切り替え可能としてもよく、或いは予想されるイベントの時間を予め認識させておき、当該時間が経過するまでイベント時の制御を継続させ、その後、自動的に通常の制御手段9による制御(イベントが入力されない状態の制御)を行わせるようにしてもよい。更に、食事の時刻を予め設定しておき、その時刻になると食事によるイベントがあるとみなして、或いはスケールベッド(重さが計測可能なベッド)を用いて食事の時刻であり、且つ、スケールベッドで測定した重さが増加しているときを食事によるイベントがあるとみなして、イベント時の制御を割り込ませることができる。また更に、体位変動や生理食塩水の投与等によって急激にΔBVが変化した場合は、その変化を自動的に検出して一時的に除水速度の制御を行わないようにすることで安全性を向上させることができる。
【0066】
上記した実施形態によれば、高速で除水を行う第1期間の治療と、第1測定手段6で測定されるΔBVが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療とが行われる血液透析装置において、血圧または脈拍が予め設定した設定値(α)に到達したことを条件として、第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう制御手段9による制御がなされるので、例えば標準血液量(BVst)などが設定値に到達したことを条件として前半の治療条件から後半の治療条件に移行させる従来のものに比べ、治療中の患者の血圧低下をより確実に防止することができる。
【0067】
また、患者の治療状況が一時的に変化するイベント時には制御手段9による制御を当該イベントの内容に基づき可変とするので、食事や投薬等のイベント時においてΔBVが一時的に変化しても、容易に且つ確実に対応させることができる。更に、食事時刻に基づきイベント時の制御が行われるもの等とすれば、入力手段13に対する操作も省略することができる。
【0068】
また更に、血液パラメータが血液の濃度から導き出される血液透析装置においては汎用的な循環血液量変化率(ΔBV)であるので、他のパラメータを用いた場合に比べ、より簡易に且つ素早く血液パラメータを得ることができ、制御手段9による制御をスムースに行わせることができる。
【0069】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、測定された生体パラメータ(脈拍や血圧など)、又は除水ポンプ11の除水速度に基づき、第2測定手段7の測定間隔が可変とするようにしてもよい。例えば、測定された脈拍や血圧の変化が大きい状態では第2測定手段7は高い頻度で測定を行い、変化が小さい状態では低い頻度で測定を行わせることができる。
【0070】
また、治療の終盤においては除水量が目標に近づくため除水速度が低くなることから、除水速度のみに基づき測定の頻度を可変とした場合、測定間隔が大きくなることが予想されるが、例えば血圧が低下傾向にあるときは測定間隔を小さくし、頻繁な測定を行わせるようにしてもよい。これにより、同一の治療過程において、必要に応じて測定の頻度を高くしてより緻密に生体パラメータの測定を行う場合と、測定の頻度を低くして患者の負担を低減させる場合とで選択的な治療を行わせることができる。
【0071】
更に、本実施形態に係る第2期間の治療では、第1測定手段6で測定される血液パラメータ(ΔBV)が所定値(略一定)となるよう除水を行う制御されているが、これに代えて、例えば期間T1から期間T2に移行した時点での残りの除水量(L/h)を残りの治療時間(h)で除した値を除水速度としてもよい。残りの除水量(L)は、この治療で目標とする除水量(L)−期間T2に移行した時点までに行った除水量(L)なる演算式にて求めることができる。勿論、残りの治療時間(h)は、この治療で目標とする治療時間(h)−期間T2に移行した時点までの経過時間なる演算式にて求めることができる。
【0072】
尚、第2期間での除水速度の設定は、医療従事者などによるボタン操作など手動によって設定し得るよう構成してもよい。また、期間T1からT2へ移行した後の除水速度を如何に制御すべきかの選択を別個の入力手段等にて行わせるようにしてもよく、その場合、選択のための入力時期は、治療開始前或いは期間T1が終了する直前であってもよい。更に、第2期間の治療では、血液の濃縮が進んでいるため、過濃縮の状態を生じさせないように血液流量に対する除水速度の制限を設けてもよい。かかる除水速度の制限は、第1期間の治療において設けるようにしてもよい。
【0073】
特に、第2期間の治療においては、第1期間の治療に引き続き、第2測定手段にて生体パラメータを測定するとともに、その測定された生体パラメータに基づいて目標値(近づけようとする血液パラメータの所定値)を可変とするようにしてもよい。即ち、生体パラメータが良好であるときは、ΔBVの目標値(所定値)を下げるようにし、反対に生体パラメータが悪化しているときは、ΔBVの目標値(所定値)を上げる如く自動的に変化させるのである。これにより、第2期間の治療において患者の容態等に応じてより適切な治療を行わせることができる。
【0074】
また更に、本実施形態においては、第1測定手段6にてΔBVを測定(厳密には血液濃度を測定し、そこから算出される)し、制御手段9の制御のためのパラメータとしているが、これに代えて、血液の濃度自体、循環血液量など他の血液パラメータ(例えば、ヘマトクリット値、血漿蛋白濃度、ヘモグロビン濃度等の血漿指標など)としてもよい。尚、本実施形態においては、透析治療で使用される血液透析装置に適用しているが、血液透析濾過、血液濾過、持続緩徐式血液濾過、血液吸着或いは血漿交換などで使用される他の血液浄化装置に適用してもよい。また、本実施形態においては、透析装置本体と透析液を作製する手段とが別個とされて当該透析装置本体に作製された透析液が供給されるものとされているが、透析装置本体毎に透析液を作製する手段を具備させた所謂個人用の血液透析装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
任意速度で除水を行う第1期間の治療と、前記第1測定手段で測定される血液パラメータが所定値になるよう除水を行う第2期間の治療とが行われるとともに、前記第2測定手段にて測定された生体パラメータが設定値に到達したことを条件として、当該第1期間の治療条件から第2期間の治療条件へ移行させるよう制御手段による制御がなされる血液浄化装置又は血液浄化方法であれば、血液処理手段における血液回路等の形態等が異なるもの、或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る血液透析装置(血液浄化装置)を示す模式図
【図2】同血液透析装置における透析装置本体の詳細及びそれと接続された構成要素等を示す模式図
【図3】同血液透析装置における制御方法を適用した場合のΔBVの推移、及び脈拍及び血圧の推移を示すグラフ
【図4】同血液透析装置における制御方法を適用した場合であって、第2期間の治療における制御方法を説明するためのグラフ
【符号の説明】
【0077】
1 血液回路
1a 動脈側血液回路
1b 静脈側血液回路
2 ダイアライザ
3 血液ポンプ
4 動脈側ドリップチャンバ
5 静脈側ドリップチャンバ
6 第1測定手段
7 第2測定手段
8 透析装置本体
9 制御手段
10 複式ポンプ
11 除水ポンプ
12 算出手段
13 入力手段




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013