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発明の名称 透析治療装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−238(P2007−238A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−181721(P2005−181721)
出願日 平成17年6月22日(2005.6.22)
代理人 【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
発明者 杉岡 明 / 森 義博 / 豊田 将弘
要約 課題

透析治療において、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合、当該ΔBVとは異なる他のバイタルサインとの比較を容易に行わせることができ、ショック症状の前兆なのか否かを容易に特定することができる透析治療装置を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
体外循環する患者の血液に対して血液透析処理及び除水して透析治療を行う透析治療装置において、
透析治療時間経過に伴って患者の循環血液量の変化率を逐次検出する循環血液量変化率検出手段と、
透析治療時間経過に伴って患者のバイタルサインを逐次検出するバイタルサイン検出手段と、
前記循環血液量変化率検出手段による検出値とバイタルサイン検出手段による検出値とを時系列毎に同一画面で表示し得る表示手段と、
を具備したことを特徴とする透析治療装置。
【請求項2】
透析治療時間経過に伴って血液透析処理及び除水に関わる透析条件を逐次検出する透析条件検出手段を具備するとともに、前記表示手段は、循環血液量変化率検出手段による検出値及びバイタルサイン検出手段による検出値に加え、当該透析条件検出手段にて検出された検出値を時系列毎に同一画面で表示し得ることを特徴とする請求項1記載の透析治療装置。
【請求項3】
前記表示手段は、逐次検出された各検出値を横軸を時間軸としたグラフにて表示することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の透析治療装置。
【請求項4】
前記表示手段は、逐次検出された各検出値を時間軸を共通として複数のグラフを重ね合わせて表示することを特徴とする請求項3記載の透析治療装置。
【請求項5】
前記表示手段は、重ね合わせて表示するグラフのうち任意選択した検出値に関するグラフのみを表示することを特徴とする請求項4記載の透析治療装置。
【請求項6】
前記表示手段は、透析治療に関して患者に影響が及ぼされる外的要因及び当該外的要因が及ぼされた時間を表示し、前記時系列毎の検出値と対比させ得ることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の透析治療装置。
【請求項7】
過去の透析治療において時系列毎に検出された循環血液量変化率検出手段による検出値を記憶する記憶手段を具備するとともに、前記表示手段は、現在の透析治療における循環血液量変化率検出手段による検出値及びバイタルサイン検出手段による検出値に加え、前記記憶手段で記憶された過去の検出値を時系列毎に同一画面で表示し得ることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の透析治療装置。
【請求項8】
前記記憶手段で記憶された過去の検出値から、前記循環血液量変化率検出手段による検出値の理想的な推移の範囲を求め、当該範囲に基づく上限値又は下限値を時系列毎に同一画面で表示し得ることを特徴とする請求項7記載の透析治療装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外循環する患者の血液に対して血液透析処理及び除水して透析治療を行う透析治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、透析治療においては、患者の血液を体外循環させるための血液回路と、該血液回路の途中に接続されたダイアライザと、しごき型の血液ポンプと、ダイアライザとの間で透析液の導入又は導出を行って血液透析処理を行いつつ除水可能な透析装置本体とを有した透析治療装置が用いられる。尚、血液回路は、先端に動脈側穿刺針が取り付けられる動脈側血液回路と、先端に静脈側穿刺針が取り付けられる静脈側血液回路とから主に構成されている。
【0003】
そして、動脈側及び静脈側の穿刺針を患者に穿刺した状態で血液ポンプを駆動させると、動脈側穿刺針から患者の血液が採取され、その血液が、動脈側血液回路、ダイアライザ及び静脈側血液回路を経て、静脈側穿刺針から患者の体内に戻るようになっている。かかるダイアライザの内部には、血液浄化膜としての複数の中空糸が配設されており、それぞれの中空糸の内部に血液を流通させるとともに、当該中空糸の外部(即ち、中空糸の外周面と筐体の内周面との間)に透析装置本体から供給される所定濃度の透析液を流通させ、中空糸内部を通過する血液の老廃物等が血液浄化膜を透過して透析液内に排出されるようになっている。
【0004】
これにより、老廃物等が排出されて清浄化された血液が静脈側血液回路を介して患者の体内に戻るようになっている。一方、透析装置本体内には、患者の血液から余剰な水分を取り除くための除水ポンプが配設されており、透析治療時に血液浄化膜を介して除水が行われるように構成されている。かかる除水ポンプによる除水時において除去すべき水分量(除水速度)は、除水ポンプの駆動を制御することにより行われる。
【0005】
然るに、除水すべき量(水分除去量)が多い場合、除水速度を速くする必要があるため、患者の健康状態によっては、しばしば低血圧などのショック症状を引き起こす可能性がある。かかるショック症状の前兆を把握すべく、従来、透析治療中における患者の血液のヘマトクリット値(血液中の血球成分の体積分率)を検出し、このヘマトクリット値から患者の循環血液量の変化率(ΔBV)を算出して監視する装置が提案されている。
【0006】
即ち、通常、除水によって患者の循環血液量の変化率(ΔBV)は治療時間の経過に伴い低下するのであるが、急激なΔBVの低下が生じた場合には低血圧などのショック症状が生じる前兆であると予想され、当該急激なΔBVの低下時に何らかの処置(補液処置や透析治療の停止等)を施せばショック症状を未然に防止することが可能と考えられるのである。しかして、透析治療中において、患者のヘマトクリット値を逐次測定し、そのヘマトクリット値から患者の循環血液量の変化率(ΔBV)を検出し得る透析治療装置が例えば特許文献1にて開示されている。
【特許文献1】特開2004−97781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の透析治療装置においては、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)を監視してショック症状が引き起こされる前兆をある程度把握し得るものの、バイタルサイン(例えば血圧や脈拍等、透析治療中における患者の生体情報)との比較が困難であるという問題があった。即ち、ΔBVの急激な変化が必ずしもショック症状の前兆であるとは限らず、例えば除水速度の変化など透析条件の変化や、横臥状態から着座する場合など体位の変化或いは食事や薬剤の摂取などの外的要因などによってもΔBVは急激に変化するため、ΔBVの急激な低下がショック症状の前兆なのか否かを特定することができないのである。
【0008】
尚、ΔBVとは別個にバイタルサイン(例えば血圧など)を逐次検出して表示させるものも提供されており、これらΔBVやバイタルサインをそれぞれ別個の表示手段(同一の表示手段において切り替え表示される別個の画面であってもよい。)にて表示させ、これらの動向を比較することによりΔBVの急激な低下があった場合の原因の特定を行わせることが考えられる。しかしながら、その場合、それぞれの表示画面(同一の表示手段における別個の画面である場合は切り替え表示されるそれぞれの画面)に目を移して比較する必要があり、医療従事者等による監視作業が煩わしく、パラメータ同士の比較を良好に行えないためΔBVの急激な低下がショック症状の前兆なのか否かを容易に特定するのは困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透析治療において、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合、当該ΔBVとバイタルサインとの比較を容易に行わせることができ、ショック症状の前兆なのか否かを容易に特定することができる透析治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、体外循環する患者の血液に対して血液透析処理及び除水して透析治療を行う透析治療装置において、透析治療時間経過に伴って患者の循環血液量の変化率を逐次検出する循環血液量変化率検出手段と、透析治療時間経過に伴って患者のバイタルサインを逐次検出するバイタルサイン検出手段と、前記循環血液量変化率検出手段による検出値とバイタルサイン検出手段による検出値とを時系列毎に同一画面で表示し得る表示手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の透析治療装置において、透析治療時間経過に伴って血液透析処理及び除水に関わる透析条件を逐次検出する透析条件検出手段を具備するとともに、前記表示手段は、循環血液量変化率検出手段による検出値及びバイタルサイン検出手段による検出値に加え、当該透析条件検出手段にて検出された検出値を時系列毎に同一画面で表示し得ることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の透析治療装置において、前記表示手段は、逐次検出された各検出値を横軸を時間軸としたグラフにて表示することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の透析治療装置において、前記表示手段は、逐次検出された各検出値を時間軸を共通として複数のグラフを重ね合わせて表示することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の透析治療装置において、前記表示手段は、重ね合わせて表示するグラフのうち任意選択した検出値に関するグラフのみを表示することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の透析治療装置において、前記表示手段は、透析治療に関して患者に影響が及ぼされる外的要因及び当該外的要因が及ぼされた時間を表示し、前記時系列毎の検出値と対比させ得ることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の透析治療装置において、過去の透析治療において時系列毎に検出された循環血液量変化率検出手段による検出値を記憶する記憶手段を具備するとともに、前記表示手段は、現在の透析治療における循環血液量変化率検出手段による検出値及びバイタルサイン検出手段による検出値に加え、前記記憶手段で記憶された過去の検出値を時系列毎に同一画面で表示し得ることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の透析治療装置において、前記記憶手段で記憶された過去の検出値から、前記循環血液量変化率検出手段による検出値の理想的な推移の範囲を求め、当該範囲に基づく上限値又は下限値を時系列毎に同一画面で表示し得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、循環血液量変化率検出手段により逐次検出された検出値とバイタルサイン検出手段により逐次検出された検出値とを時系列毎に同一画面で表示し得るので、透析治療において、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合、当該ΔBVとバイタルサインとの比較を容易に行わせることができ、ショック症状の前兆なのか否かを容易に特定することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、循環血液量変化率検出手段による検出値及びバイタルサイン検出手段による検出値に加え、当該透析条件検出手段にて検出された検出値を時系列毎に同一画面で表示し得るので、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合、透析条件の変化によるものか否かの判別を容易に行わせることができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、逐次検出された各検出値を横軸を時間軸としたグラフにて表示するので、各検出値の傾向(動向)を感覚的に把握でき、これら検出値の比較を容易に行わせることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、逐次検出された各検出値を時間軸を共通として複数のグラフを重ね合わせて表示するので、各検出値の傾向(動向)を感覚的に把握でき、これら検出値の比較をより視覚的に行わせて、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合の原因の特定をより容易に行わせることができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、重ね合わせて表示するグラフのうち任意選択した検出値に関するグラフのみを表示するので、表示手段におけるグラフの視認性をより向上させ、必要な検出値同士の傾向(動向)をより容易且つ正確に比較することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、透析治療に関して患者に影響が及ぼされる外的要因及び当該外的要因が及ぼされた時間を表示し、時系列毎の検出値と対比させ得るので、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合、外的要因によるものか否かの判別を容易に行わせることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、現在の透析治療における循環血液量変化率検出手段による検出値及びバイタルサイン検出手段による検出値に加え、記憶手段で記憶された過去の検出値を時系列毎に同一画面で表示し得るので、過去の循環血液量の変化率の傾向と、現在の循環血液量の変化率の傾向とを容易に比較させることができ、適正な透析治療を行わせることができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、過去の循環血液量変化率検出手段による検出値から、理想的な推移の範囲を求め、当該範囲に基づく上限値又は下限値を時系列毎に同一画面で表示し得るので、現在における循環血液量変化率検出手段の検出値が理想的な推移からずれているか否かがリアルタイムに把握でき、ずれた場合のバイタルサイン検出手段による検出値との比較を容易に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る透析治療装置は、患者の血液を体外循環させつつ血液透析処理及び除水を行うためのもので、図1に示すように、患者の血液を体外循環させるための血液回路1と、該血液回路1に接続されて血液透析処理を行うためのダイアライザ2と、該ダイアライザ2に接続されて透析液を供給しつつ除水する透析装置本体6とから主に構成されている。血液回路1は、同図に示すように、可撓性チューブから成る動脈側血液回路1a及び静脈側血液回路1bから主に構成されており、これら動脈側血液回路1aと静脈側血液回路1bの間にダイアライザ2が接続されている。
【0027】
動脈側血液回路1aには、その先端に動脈側穿刺針aが接続されているとともに、途中にしごき型の血液ポンプ3、及びヘマトクリットセンサ5が配設されている。一方、静脈側血液回路1bには、その先端に静脈側穿刺針bが接続されているとともに、途中に除泡用のドリップチャンバ4が接続されている。
【0028】
ヘマトクリットセンサ5は、例えばLED等の発光素子及びフォトダイオード等の受光素子を備え、発光素子から血液に所定波長の光を照射するとともに、その透過した光或いは反射した光を受光素子にて受光することにより、血液回路1内を流れる患者の血液の濃度を示すヘマトクリット値を測定するものである。即ち、ヘマトクリット値とは、血液の濃度を示す指標であり、具体的には、全血に占める赤血球の容積率で表されるものである。
【0029】
そして、動脈側穿刺針a及び静脈側穿刺針bを患者に穿刺した状態で、血液ポンプ3を駆動させると、患者の血液は、動脈側血液回路1aを通ってダイアライザ2に至り、該ダイアライザ2によって血液浄化が施され、ドリップチャンバ4で除泡がなされつつ静脈側血液回路1bを通って患者の体内に戻る。即ち、患者の血液を血液回路1にて体外循環させつつダイアライザ2にて浄化するのである。
【0030】
ダイアライザ2は、その筐体部に、血液導入ポート2a、血液導出ポート2b、透析液導入ポート2c及び透析液導出ポート2dが形成されており、このうち血液導入ポート2aには動脈側血液回路1aの基端が、血液導出ポート2bには静脈側血液回路1bの基端がそれぞれ接続されている。また、透析液導入ポート2c及び透析液導出ポート2dは、透析装置本体6から延設された透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されている。
【0031】
ダイアライザ2内には、複数の中空糸が収容されており、該中空糸内部が血液の流路とされるとともに、中空糸外周面と筐体部の内周面との間が透析液の流路とされている。中空糸には、その外周面と内周面とを貫通した微少な孔(ポア)が多数形成されて中空糸膜を形成しており、該膜を介して血液中の不純物等が透析液内に透過し得るよう構成されている。
【0032】
一方、透析装置本体6は、図2に示すように、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2に跨って形成された複式ポンプPと、透析液排出ラインL2において複式ポンプPを迂回して接続されたバイパスラインL3と、該バイパスラインL3に接続された除水ポンプ8とから主に構成されている。そして、透析液導入ラインL1の一端がダイアライザ2(透析液導入ポート2c)に接続されるとともに、他端が所定濃度の透析液を調製する透析液供給装置7に接続されている。
【0033】
また、透析液排出ラインL2の一端は、ダイアライザ2(透析液導出ポート2d)に接続されるとともに、他端が図示しない廃液手段と接続されており、透析液供給装置7から供給された透析液が透析液導入ラインL1を通ってダイアライザ2に至った後、透析液排出ラインL2及びバイパスラインL3を通って廃液手段に送られるようになっている。
【0034】
除水ポンプ8は、ダイアライザ2中を流れる患者の血液から水分を除去するためのものである。即ち、かかる除水ポンプ8を駆動させると、複式ポンプPが定量型であるため、透析液導入ラインL1から導入される透析液量よりも透析液排出ラインL2から排出される液体の容量が多くなり、その多い容量分だけ血液中から水分が除去されるのである。尚、かかる除水ポンプ8以外の手段(例えば所謂バランシングチャンバ等を利用するもの)にて患者の血液から水分を除去するようにしてもよい。尚、複式ポンプP及び除水ポンプ9は、体外循環する患者の血液に対し血液透析処理及び除水を行うための透析処理手段を構成する。
【0035】
ここで、本実施形態に係る透析装置本体6は、バイタルサイン検出手段9と電気的に接続されている。このバイタル検出手段9は、透析治療中の患者に取り付けられ、透析治療時間経過に伴ってバイタルサインとしての血圧及び脈拍を逐次検出するとともに、その検出値を透析装置本体6(具体的には、図4で示す制御手段12)に出力し得るよう構成されている。バイタルサインとは、透析治療中における患者の生体情報をいい、上述した患者の血圧や脈拍の他、呼吸、体温、酸素飽和度、発汗量など生体が生きていることを示す兆候をいう。
【0036】
また、透析装置本体6には、図3に示すように、現在の透析治療状況(治療経過時間や除水速度など)等を例えばタッチパネル式の液晶画面13a上に表示し得る表示手段13が配設されている。かかる表示手段13は、図4に示すように、制御手段12と電気的に接続されるとともに、該制御手段12は、循環血液量変化率検出手段(以下、ΔBV検出手段という。)10及び透析条件検出手段11と電気的に接続されている。
【0037】
ΔBV検出手段10は、前述したヘマトクリットセンサ5と電気的に接続されており、当該ヘマトクリットセンサ5から送信されたヘマトクリット値に基づき循環血液量変化率(ΔBV)を演算して検出するためのものである。因みに、ヘマトクリットセンサ5にて得られるヘマトクリット値をHtとおくと、循環血液量の変化率ΔBVは、(透析開始時のHt−測定時のHt)/測定時のHt×100なる演算式から求めることができる。これにより、透析治療時間経過に伴って患者の循環血液量の変化率(ΔBV)を逐次検出することができる。
【0038】
透析条件検出手段11は、透析治療時間経過に伴って血液透析処理及び除水に関わる透析条件(除水速度や静脈側血液回路1bにおけるドリップチャンバ4の空気層側内圧を検出することにより得られる静脈圧等)を逐次検出するためのものである。かかる透析条件検出手段11と、前記のΔBV検出手段10及びバイタルサイン検出手段9とによる検出値は、何れも制御手段12へ送られ、所定の処理が施され、表示手段13にて表示されることとなる。
【0039】
具体的には、制御手段12は、各検出手段(バイタルサイン検出手段9、ΔBV検出手段10及び透析条件検出11)による検出値を時系列毎に同一画面で並列表示させるよう制御するためのもので、これにより、表示手段13の画面13aには例えば図5に示す如き表示がなされる。同図において、横軸を時間軸(現在(今回)の透析治療開始からの経過時間)としたグラフa〜dが同一画面13aにて表示されている。尚、画面13aには、グラフa〜dの他、現在の透析治療における各種情報(例えば透析液圧、除水積算量、透析液温度など)も数字として表示されている。また、透析治療開始からの経過時間と検出値の推移とをグラフや表等で表すことを「時系列に表示」という。
【0040】
グラフaは、ΔBV検出手段10にて逐次検出されたΔBV値を時系列にプロットして得られるもの、グラフbは、透析条件検出手段11にて逐次検出された静脈圧を時系列にプロットして得られるもの、グラフc、dは、バイタルサイン検出手段9にて逐次検出された血圧及び脈拍を時系列にプロットして得られたものであり、このように同一画面に各グラフを同時に並列表示させることで、現在(今回)の各検出値の傾向(動向)を感覚的に把握でき、これら検出値の比較を容易に行わせることができる。
【0041】
本実施形態によれば、現在(今回)の透析治療におけるΔBV検出手段10により逐次検出された検出値とバイタルサイン検出手段9により逐次検出された検出値とを時系列毎に同一画面で表示し得るので、透析治療において、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合、当該ΔBVと他のバイタルサイン(血圧や脈拍)との比較を容易に行わせることができ、ショック症状の前兆なのか否かを容易に特定することができる。
【0042】
また、ΔBV検出手段10による検出値及びバイタルサイン検出手段9による検出値に加え、透析条件検出手段11にて検出された検出値(本実施形態においては静脈圧)を時系列毎に同一画面13aで表示し得るので、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合、透析条件の変化によるものか否かの判別を容易に行わせることができる。尚、少なくともΔBVのグラフaが表示されていれば、他のグラフ(バイタルサイン又は透析条件等を示すグラフ)の表示を任意選択可能なものとしてもよい。
【0043】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係る透析治療装置は、上記第1の実施形態と同様、患者の血液を体外循環させつつ血液透析処理及び除水を行うためのもので、同実施形態と比べ、制御手段12による表示手段13に対する表示制御のみが異なるものである。即ち、制御手段12は、表示手段13にて、図6に示すように、各検出手段(バイタルサイン検出手段9、ΔBV検出手段10及び透析条件検出11)による検出値を時系列毎に同一画面で表示させ、且つ、逐次検出された各検出値を時間軸を共通として複数のグラフを重ね合わせて表示させるものである。
【0044】
グラフaは、ΔBV検出手段10にて逐次検出されたΔBV値を時系列にプロットして得られるもの、グラフeは、透析条件検出手段11にて逐次検出された除水速度を時系列にプロットして得られるもの、グラフcは、バイタルサイン検出手段9にて逐次検出された血圧を時系列にプロットして得られたものであり、このように同一画面に各グラフを重ね合わせ表示させることで、各検出値の傾向(動向)を感覚的に把握でき、これら検出値の比較を容易に行わせることができる。
【0045】
また、同一画面に各グラフを重ね合わせ表示することで、各検出値の傾向(動向)を感覚的に把握でき、これら検出値の比較をより視覚的に行わせて、患者の循環血液量の変化率(ΔBV)の急激な低下があった場合の原因の特定をより容易に行わせることができる。尚、各グラフの表示色を互いに異ならせることにより、視覚的な比較をより容易に行わせることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、重ね合わせて表示するグラフのうち任意選択した検出値に関するグラフのみを表示し得るよう構成されている。例えば、ΔBVのグラフaと血圧のグラフcの2つを選択すれば、他のグラフ(この場合除水速度のグラフe)は非表示となり、表示されなくなる。かかる構成によれば、表示手段13におけるグラフの視認性をより向上させ、必要な検出値同士の傾向(動向)をより容易且つ正確に比較することができる。
【0047】
更に、本実施形態においては、タッチパネル式の画面13aに操作部位A(「イベント」なる文字表記がなされた部位)が表示されており、この操作部位Aを触れることにより、透析治療に関して患者に影響が及ぼされる外的要因(イベント)及び当該外的要因が及ぼされた時間を入力して表示手段13にて表示させ得るよう構成されている。かかる外的要因とは、例えば横臥状態から着座する場合など体位の変化或いは食事や薬剤の摂取など検出されるΔBV値に影響を与えるであろう要因のことをいう。
【0048】
具体的には、図6に示すように、患者の体位の変化があったとき医療従事者等が操作部位Aに触れ、その旨(体位変化があったこと)を入力すると、その時間に該当するグラフaの所定位置に体位変化があったことを示す矢印fが表示される。また、投薬等が継続的になされた場合も、操作部位Aに触れ、その旨(投薬があったこと)を入力すると、その時間に該当する時間軸方向に矢印gが表示される。この矢印gは、例えば投薬開始時及び終了時にそれぞれ操作部位Aを触れることにより表示されるものや、投薬開始時に当該操作部位Aを触れた後、時間を入力することにより表示されるもの等であってもよい。尚、外的要因を示す各矢印には、体位変化であるのか或いは投薬なのか等の識別のための番号又はアイコンなどを付与するようにしてもよく、或いは矢印に代えて他の記号を付すようにしてもよい。
【0049】
これにより、透析治療に関して患者に影響が及ぼされる外的要因及び当該外的要因が及ぼされた時間を表示し、時系列毎の検出値と対比させ得るので、ΔBVの急激な低下があった場合、外的要因によるものか否かの判別を容易に行わせることができる。尚、画面13aには、操作部位B(「愁訴」なる文字表記がなされた部位)が表示されており、この操作部位Bを触れることにより、患者が訴える体調の悪化(吐き気や頭痛など)を入力して、「イベント」の入力時と同様、表示手段13にて表示させ得るよう構成されている。
【0050】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば前回やそれより前の過去の透析治療において時系列毎に検出されたΔBV検出手段10による検出値を記憶する記憶手段を具備させるとともに、表示手段13にて、先の実施形態の如き現在(今回)の透析治療におけるΔBV検出手段10による検出値及びバイタルサイン検出手段9による検出値に加え、当該記憶手段で記憶された過去の検出値を時系列毎に同一画面で表示し得るよう構成してもよい。この場合、過去の循環血液量の変化率の傾向と、現在の循環血液量の変化率の傾向とを容易に比較させることができ、適正な透析治療を行わせることができる。
【0051】
特に、記憶手段で記憶された過去の検出値から、ΔBV検出手段10による検出値の理想的な推移の範囲を求め、図7のグラフaに示すように、当該範囲に基づく上限値Ma及び下限値Miを時系列毎に同一画面で表示するのが好ましい。かかる理想的なΔBVの推移とは、過去のΔBVの推移と愁訴、何らかの処置の有無、透析結果(除水や血液検査値の適正さ)などから医師等医療従事者が適正と判断されたもの等である。
【0052】
このように、過去のΔBV検出手段10による検出値から、理想的な推移の範囲を求め、当該範囲に基づく上限値又は下限値を時系列毎に同一画面13aで表示すれば、現在におけるΔBV検出手段10の検出値が理想的な推移からずれているか否かがリアルタイムに把握でき、ずれた場合のバイタルサイン検出手段9による検出値との比較を容易に行わせることができる。
【0053】
尚、過去の検出値の表示は、グラフに限らずΔBVの予想値や適正な数値のみを同一画面13aにて表示させるようにしてもよく、或いは上記の如くΔBVの理想的な推移を表示する場合は、その上限から下限まで幅を持った帯状のグラフとして表示してもよい。また、過去の複数のΔBVの推移を元に回帰曲線(上限及び下限を示す一対のグラフとは異なり単一の曲線)を求め、その曲線を同一画面13aにて表示するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、ヘマトクリットセンサ5にて検出されたヘマトクリット値Htに基づきΔBVを演算して検出しているが、他のパラメータに基づいた演算又は推計によりΔBVを検出するようにしてもよい。更に、本実施形態においては、バイタルサイン検出手段9にて患者の血圧及び脈拍を検出しているが、治療中の患者のバイタルサインであれば他のパラメータであってもよい。
【0055】
また更に、本実施形態においては、逐次検出された各検出値をグラフとして表示手段13の画面13aに表示しているが、例えば表など時系列毎に同一画面で表示するようにしてもよい。尚、表示手段13における画面13aに対する時間軸の長さを一定(所定より全体の透析治療時間が長い場合は時間軸を縮小、短い場合は時間軸を拡大)とし、治療時間に対する経過時間を標準化して表示するよう構成してもよい。表示手段13は、タッチパネル式の画面とされているが、他の画面(タッチパネル式でない液晶画面など)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
循環血液量変化率検出手段による検出値とバイタルサイン検出手段による検出値とを時系列毎に同一画面で表示し得る表示手段を具備した透析治療装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る透析治療装置の構成を示す模式図
【図2】同透析治療装置における透析装置本体の内部構成を示す模式図
【図3】同透析治療装置における透析装置本体の外観を示す斜視図
【図4】同透析治療装置における透析装置本体の内部構成を示すブロック図
【図5】同透析装置本体の表示手段で表示される画面を示す模式図
【図6】本発明の第2の実施形態に係る透析治療装置であって、その透析装置本体の表示手段で表示される画面を示す模式図
【図7】本発明の他の実施形態に係る表示手段で表示される画面を示す模式図
【符号の説明】
【0058】
1 血液回路
1a 動脈側血液回路
1b 静脈側血液回路
2 ダイアライザ(透析処理手段)
3 血液ポンプ
4 静脈側ドリップチャンバ
5 ヘマトクリットセンサ
6 透析装置本体
7 透析液供給装置
8 除水ポンプ
9 バイタルサイン検出手段
10 ΔBV検出手段(循環血液量変化率検出手段)
11 透析条件検出手段
12 制御手段
13 表示手段
13a 画面




 

 


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