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発明の名称 体幹部内臓及び/又は皮下脂肪の測定方法及び装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−159702(P2007−159702A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−357467(P2005−357467)
出願日 平成17年12月12日(2005.12.12)
代理人 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
発明者 増尾 善久
要約 課題
体幹部に蓄積される内臓及び/又は皮下脂肪組織を精度よく測定可能とする方法および装置等を提供すること。

解決手段
体幹部の体幹背部を支持しつつ、電流印加電極及び前記電圧計測電極を体幹部の体幹腹部に接触させ、電流印加電極に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定して、測定された電位差から前記体幹部のインピーダンスを求め、体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織情報を求める。
特許請求の範囲
【請求項1】
体幹部に電流を流すため電流印加電極対に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定することにより、前記体幹部のインピーダンスを求め、体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織情報を求める、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法であって、
前記体幹部の体幹背部を支持しつつ、前記電流印加電極及び前記電圧計測電極を前記体幹部の体幹腹部に接触させる工程、
電流印加電極に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定する工程、及び、
測定された電位差から前記体幹部のインピーダンスを求め、体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織情報を求める工程、
を含む、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法。
【請求項2】
さらに、
前記体幹部の体幹腹部に対向するように、電流印加電極及び電圧計測電極を配置する工程、
を含む、請求項1に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法。
【請求項3】
さらに、
前記体幹部の体幹背部に対向するように、電流印加電極及び電圧計測電極を配置する工程、
を含み、前記体幹背部を支持する際に、前記体幹背部に対向するように配置された電流印加電極及び電圧計測電極を前記体幹部の体幹背部に接触させ、前記電流印加電極に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定する際に、該体幹部の体幹背部に接触させた電流印加電極及び/又は電圧計測電極を使用する、請求項1又は2に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法。
【請求項4】
さらに、
把持することにより掌に接触するように、電流印加電極及び電圧計測電極を配置する工程、
を含み、前記電流印加電極に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定する際に、把持することにより掌に接触させた電流印加電極及び/又は電圧計測電極を使用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法。
【請求項5】
さらに、
前記体幹部の体幹腹部に対向する前記電流印加電極及び電圧計測電極の位置を、前記体幹部の寸法に合わせて調整する工程、
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法。
【請求項6】
前記電流印加電極及び/又は電圧計測電極が、着脱可能な導電性を有する保水性高分子のパッドを備えており、該パッドを交換する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法。
【請求項7】
体幹部に電流を印加するための電流印加電極対と、前記体幹部に生じた電位差を測定するための電圧計測電極対とを備え、前記電圧計測電極対に生じた電位差を測定することにより、体幹部のインピーダンスを求め、それにより前記体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織情報を求める装置であって、
本体部と、
前記本体部の両側部から外側へ向かって延びるアーム部と、
前記本体部と対向して配置された背面支持部と、
中央付近で前記アーム部と、一方の端部で前記背面支持部と、それぞれ回動自在に連結されたハンドル部と、
を備え、
前記本体部の前記体幹部に面する側に、電流印加電極及び電圧計測電極が設けられており、
前記ハンドル部の他方の端部に、グリップ部が設けられている、
ことを特徴とする、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項8】
さらに、前記背面支持部の前記体幹部に面する側に、電流印加電極及び電圧計測電極が設けられている、請求項7に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項9】
さらに、前記グリップ部の手で把持する部分に、左右両方のグリップ部又はいずれか一方のグリップ部に電流印加電極及び電圧計測電極が設けられているか、あるいはいずれか一方のグリップ部に電流印加電極が、他方のグリップ部に電圧計測電極が設けられている、請求項7又は8に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項10】
前記アーム部に、前記ハンドル部が前記アーム部に対して回動する支点の位置を、前記体幹部の寸法に合わせて調整するための支点調整機構部が設けられている、請求項7〜9のいずれか1項に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項11】
前記ハンドル部に、前記ハンドル部が前記アーム部に対して回動する支点の位置を、前記体幹部の寸法に合わせて調整するための支点調整機構部が設けられている、請求項7〜9のいずれか1項に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項12】
前記電流印加電極及び電圧計測電極の少なくともいずれかは、導電性を有する保水性高分子のパッドを備えている、請求項7〜11のいずれか1項に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項13】
前記保水性高分子のパッドは、十分な水を含むことができ、十分な水を含んだとき粘着性がなくなる、請求項12に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項14】
前記保水性高分子のパッドは着脱可能である、請求項12又は13に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項15】
前記保水性高分子のパッドは、ホックによりベース面に取り付けられる、請求項14に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
【請求項16】
前記保水性高分子のパッドは、バネ枠によりベース面に取り付けられる、請求項14に記載の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪の測定方法及び装置、並びに測定情報を用いた健康指針アドバイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体電気インピーダンスを利用した体脂肪組織の推定技術は、体脂肪組織および体脂肪率を計測する技術として世に広がってきたが、実際には、脂肪組織を直接的に測定するものとはなっておらず、脂肪組織以外の水が支配的な除脂肪組織を電気的に計測したものである。特に、全身(Whole Body)計測では、旧来のタイプでは仰臥位姿勢で片手-片足間を1つの円柱でモデル化している(片手-片足間誘導法)し、簡易型としては、立位姿勢で測定する両掌間誘導法や、体重計と一体になった両脚裏間誘導法、上肢と下肢又は、上肢と下肢と体幹部、又は、左右上肢、左右下肢、体幹部の様に5セグメントに分けて個別に円柱モデルを適用可能としてインピ−ダンスを計測した技術も顕在化してきている。また、インピ−ダンスCT計測技術を簡略して体幹部臍囲に電流印加・電圧計測電極を配置して腹部のインピ−ダンスを計測し、内臓脂肪組織量を推定する計測技術について、特許出願がなされている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3396677号
【特許文献2】特許第3396674号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、体脂肪組織の情報は、糖尿病や高血圧および高脂血症などの生活習慣病のスクリ−ニング用としての有用性が特に問われており、内臓器組織近辺に付着、蓄積した内臓脂肪組織や皮下脂肪組織層に関して、その計測の重要性が日に日に高まってきている。
【0005】
特に、内臓脂肪組織は、体幹部の腹部付近に集中的に分布する体脂肪組織で、X線CТやMRI等による腹部横断画像でその体脂肪組織の横断面積で判断されてきていた。しかし、装置が大掛かりで、また、X線の場合被曝の問題もあり、費用面もあり、フィールドおよび家庭用での計測に適さない。そこで、内臓脂肪組織は、全身脂肪組織との相関又は、全身の除脂肪組織との相関から推定するのが一般的で、スクリーニング用としても、十分な信頼性を確保するにいたらなかった。
【0006】
最近では、体幹部の臍囲周辺に電極を配置し、体幹部の内部インピ−ダンスを計測して、内臓脂肪組織情報を推定するといった方法も開発中である。しかしながら、この方法は、骨格筋組織層と皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織の間に有意な相関が存在することに基づくものであり、いずれかの組織の情報が捕捉出来ればおおよその情報の推定が可能であることを前提とするものである。このため、非常に有意な相関が存在し得る自立性の高い健康域の被験者については良好な結果が期待できるが、各組織間の相関が異なる対象者、例えば、内臓脂肪組織が顕著に肥大し、かつ、皮下脂肪組織層や骨格筋組織層との相関性が顕著に低い被験者における計測結果については大きな誤差を含んだものとなり得る。つまり、この開発中の方法にあっても、健康な自立生活が可能な被験者であれば、臍部全周囲のどこに電極を配置しても何とか計測の可能性は考えられるが、麻痺・介護患者等、特にベッド上の寝たきり患者での計測となると課題が大きい。
【0007】
また、この開発中の方法は、測定対象としている組織部位を腹部表面から電流を印加通電させて、内部の組織に関連するインピ−ダンス値を取得している点で高い技術と言えるが、測定部位である体幹部が有する内部構造上の問題から、測定されたインピ−ダンス情報そのものが内臓脂肪組織に対してほとんど有用な感度を有していないのが実情である。即ち、測定部位である体幹部は太短く、多層構造、つまり、測定対象である内臓脂肪組織は内臓器組織や背骨組織とともに非常に良好な導電性を示す骨格筋組織層で覆われ、更に、この骨格筋組織層は電気導電性が非常に悪い皮下脂肪組織層で覆われているといった構造になっている。特に、測定対象である内臓脂肪組織周辺は、骨格筋組織層より導電性が劣る内臓器組織とこの内臓器組織に付着、蓄積した導電性が悪い内臓脂肪組織が混在した複雑な構成のため、骨格筋組織層より内部の導電性はかなり劣るものと推測される。このため、単純に電流印加電極を腹周囲に配置したとしても、大半は、骨格筋組織層を通じた通電になり、電流密度分布も、骨格筋組織層に支配的な電位分布として表面計測電極から観測されることになる。さらに、電流印加電極の表面積又は腹周囲方向への電極幅で印加電流密度の分布が決まり、電極直下の皮下脂肪組織層における電流密度が高い拡がり抵抗領域での観測情報が支配的となってしまう。
【0008】
更に言えば、測定部位である体幹部は太短いため、電流印加電極直下の電流密度集中(広がり抵抗)領域の皮下脂肪組織層における感度が高くなり、さらに、骨格筋組織は脂肪組織に比べて導電性が相当高いことから、皮下脂肪組織層を通過した電流の大半が骨格筋組織層を介して対向する電流印加電極側に皮下脂肪組織層を通って戻るル−トを取り、結果的に、内部での電位分布はこの骨格筋組織層で大幅に歪められてしまう。よって、従来の方法では、測定される電位の大半は、皮下脂肪組織層の情報となってしまい、測定対象である内臓脂肪組織、即ち、内臓器組織およびその周囲に付着、蓄積する内臓脂肪組織の複合組織層への通電はほとんど期待できず、全インピ−ダンス計測区間の10%以下の極めて計測感度の低い情報しか捕捉出来ていないのである。
【0009】
これらの問題を回避するために、皮下脂肪組織層(横断)面積と相関性が高い腹囲長を推定式に組み込むことで、その推定誤差の拡大を防止する方法も考えられてはいるが、この方法はあくまで構成組織間の相関性による間接推定にほかならず、腹部中央に必要な通電感度を確保した計測法とは言いづらい。つまり、統計的相関デザインからずれる個々人の誤差は、保証出来ず、特に病的に皮下や内臓脂肪組織が多い場合や、中間の骨格筋組織層が多い/少ない場合などは顕著な誤差が生じ得る。尚、皮下脂肪組織層面積が腹囲長と相関性が高いのは、人間の体幹部は同心円状の組織配列デザインとなっており、皮下脂肪組織層は、最も外側の配置であるため、外周囲長と皮下脂肪組織層厚でその面積が決まることになるからである。
【0010】
体幹部に対しての電極配置にも通常は、四電極法が用いられる。この方法は、被験者の体内に電流を印加するとともに、印加電流によって被験者の測定部位区間に生じた電位差を測定して測定部位区間の生体電気インピーダンスを測定するというものである。体幹部のような太短い測定部位に四電極法を適用した場合、電流が広がり始めの電流密度集中(即ち、広がり抵抗領域)が、例えば、電流印加電極直下のため、皮下脂肪組織層付近で大きな電位差を生じ、電圧計測電極間で計測される電位差の大半を占めることになる。この広がり抵抗による影響を小さくするためには、電流印加電極と電圧計測電極間距離を十分確保する配置とすることが重要である。一般的な測定では、測定区間が長く電圧計測電極間距離が十分確保できる条件での測定であるため、いわゆるS/N感度(Nは広がり抵抗による影響(ノイズ)、Sは電圧計測電極間で計測される信号)は十分確保されるはずである。しかしながら、体幹部のような太短い測定部位の場合は、Nを小さくすべく、電流印加電極からの距離を確保しようとして電圧計測電極を遠ざけると、逆に、電圧計測電極区間距離が小さくなり、この結果、Sが小さくなって、結局、S/Nは悪くなってしまう。さらに、電流密度が高い広がり抵抗部は、皮下脂肪組織層部であり、厚みがある肥満傾向の被験者が一般的であるため、かなり大きなNとなってしまい、二重にS/Nが悪くなってしまう。このように、体幹部のような太短い測定部位に対して四電極法を用いる場合には、単に臍囲周上に電極を配置しただけでは、内臓脂肪組織への有用なS/N感度を確保することにかなり無理があると推測される。尚、S/Nに関しては、後述する実施例についての説明において更に詳述する。
【0011】
本発明の目的は、これら従来技術における問題点を解消することにあり、通電性の悪い内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層領域においても測定に必要な感度を確保し、体幹部に蓄積される脂肪組織、特に、内臓器組織周辺に付着、蓄積する内臓脂肪組織及び皮下層に蓄積する皮下脂肪組織層の情報を高精度で簡便に測定可能とすることに加えて、複雑に混在する組織による誤差要素を排除した、測定再現性の高い、信頼性の高い測定結果情報を提供できる体幹内臓及び/又は皮下脂肪測定方法及び装置、並びに測定情報を用いた健康指針アドバイス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つの観点によれば、体幹部に電流を流すため電流印加電極対に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定することにより、前記体幹部のインピーダンスを求め、体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織情報を求める、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法であって、前記体幹部の体幹背部を支持しつつ、前記電流印加電極及び前記電圧計測電極を前記体幹部の体幹腹部に接触させる工程、電流印加電極に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定する工程、及び、測定された電位差から前記体幹部のインピーダンスを求め、体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織情報を求める工程を含む、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定方法が提供される。
【0013】
本発明の一つの実施の形態によれば、前記体幹部の体幹腹部に対向するように、電流印加電極及び電圧計測電極を配置する工程を含むこととしてよい。
本発明の一つの実施の形態によれば、さらに、前記体幹部の体幹背部に対向するように、電流印加電極及び電圧計測電極を配置する工程を含み、前記体幹背部を支持する際に、前記体幹背部に対向するように配置された電流印加電極及び電圧計測電極を前記体幹部の体幹背部に接触させ、前記電流印加電極に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定する際に、該体幹部の体幹背部に接触させた電流印加電極及び/又は電圧計測電極を使用することとしてよい。
【0014】
本発明の別の実施の形態によれば、さらに、把持することにより掌に接触するように、電流印加電極及び電圧計測電極を配置する工程を含み、前記電流印加電極に電流を印加し、電圧計測電極対に生じた電位差を測定する際に、把持することにより掌に接触させた電流印加電極及び/又は電圧計測電極を使用することとしてよい。
【0015】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、さらに、前記体幹部の体幹腹部に対向する前記電流印加電極及び電圧計測電極の位置を、前記体幹部の寸法に合わせて調整する工程、
を含むのが好ましい。
【0016】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電流印加電極及び/又は電圧計測電極が、着脱可能な導電性を有する保水性高分子のパッドを備えており、該パッドを交換する工程を含むのが好ましい。
【0017】
本発明の別の観点によれば、体幹部に電流を印加するための電流印加電極対と、前記体幹部に生じた電位差を測定するための電圧計測電極対とを備え、前記電圧計測電極対に生じた電位差を測定することにより、体幹部のインピーダンスを求め、それにより前記体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織情報を求める装置であって、本体部と、前記本体部の両側部から外側へ向かって延びるアーム部と、前記本体部と対向して配置された背面支持部と、中央付近で前記アーム部と、一方の端部で前記背面支持部と、それぞれ回動自在に連結されたハンドル部とを備え、前記本体部の前記体幹部に面する側に、電流印加電極及び電圧計測電極が設けられており、前記ハンドル部の他方の端部に、グリップ部が設けられていることを特徴とする、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置が提供される。
【0018】
本発明の一つの実施の形態によれば、さらに、前記背面支持部の前記体幹部に面する側に、電流印加電極及び電圧計測電極が設けられていてよい。
【0019】
本発明の別の実施の形態によれば、さらに、前記グリップ部の手で把持する部分に、電流印加電極及び電圧計測電極が設けられていてよい。
【0020】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記アーム部に、前記ハンドル部が前記アーム部に対して回動する支点の位置を、前記体幹部の寸法に合わせて調整するための支点調整機構部が設けられているのが好ましい。
【0021】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記ハンドル部に、前記ハンドル部が前記アーム部に対して回動する支点の位置を、前記体幹部の寸法に合わせて調整するための支点調整機構部が設けられているのが好ましい。
【0022】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記電流印加電極及び電圧計測電極の少なくともいずれかは、導電性を有する保水性高分子のパッドを備えているのが好ましい。
【0023】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記保水性高分子のパッドは、十分な水を含むことができ、十分な水を含んだとき粘着性がなくなるものとすることができる。
【0024】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記保水性高分子のパッドは着脱可能であるのが好ましい。
【0025】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記保水性高分子のパッドは、ホックによりベース面に取り付けられるものとすることができる。
【0026】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記保水性高分子のパッドは、バネ枠によりベース面に取り付けられるものとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層への通電量及び感度を引き上げて、体幹部内臓脂肪組織を精度よく測定できる。また、ノイズとなる骨格筋組織層による電位の乱れによるN成分も、筋腹組織を外す位置で電圧計測電極を配置することでS/N特性を改善できる。
【0028】
更に、腹部への電極装着により、測定部位を被験者が意識できることによって、意識的拘束による測定精度の向上及びモチベ−ションの確保に有益となる。
【0029】
更に、内臓器組織付近付着、蓄積脂肪の蓄積具合を従来の簡易計測法との組み合わせ及び簡便性を踏襲する中で、必要なレベルに応じた精度の高いスクリーニング情報を顕在化させることができる。
【0030】
更に、本発明によれば、小型で簡便な装置にて体幹部内臓脂肪組織や皮下脂肪組織層を精度よく測定できるので、家庭用として最適なものとすることもできる。しかも、測定前の腹部コンディションチェック、すなわち、内臓器組織等での炎症や病的な体液分布異常の早期チェック等も可能で、それに応じた適切な健康指針アドバイスも与えることができる。したがって、ユーザにとっては、食事および運動による日々のダイエットを適正に行い且つそのためのモチベーションを維持し、継続可能な健康の維持増進の自己管理をする上で役立つ諸情報を簡便な仕方で得ることができ、非常に有用なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施の形態及び実施例について詳細に説明する前に、本発明による体幹部の内臓及び/又は皮下脂肪組織測定の原理について説明する。本発明は、基本的には、生体電気インピーダンス情報と身体特定化情報を用いて、体幹部(体幹腹部)の内臓脂肪組織情報(横断面積量、体積量又は重量)、更に言えば、体幹部に蓄積される脂肪組織、特に内臓器組織周辺に付着、蓄積する内臓脂肪組織及び皮下層に蓄積する皮下脂肪組織層情報を、高精度で簡便に測定可能とする方法等に関する。
【0032】
本発明は、このため次のような手法を駆使する。
(1)体幹部の生体電気インピーダンス情報に含まれる組織情報を、骨格筋組織層と内臓器組織と内臓脂肪組織で直並列の等価回路モデルを仮定すること。ここでは内臓器組織と内臓脂肪組織を直列に考える(したがって、内臓脂肪組織の大小により通電量の変化を期待できる)。
【0033】
(2)腹囲長が身体特定化情報として確保できる場合は、皮下脂肪組織量も、等価回路モデルに含めた、高精度モデルとして、皮下脂肪組織層と骨格筋組織層と内臓器組織と内臓脂肪組織で直並列の等価回路モデルを仮定すること。
【0034】
(3)皮下脂肪組織層も、等価回路モデルに含めた、高精度モデルとして、皮下脂肪組織層と骨格筋組織層と内臓器組織と内臓脂肪組織で直並列の等価回路モデルで仮定すること。
皮下脂肪組織量推定は、身体特定化情報のうち腹囲長を主体的な説明変数とした重回帰式で構成されること。さらに、腹囲長の二乗を主体的説明変数と置く。本発明技術によって、皮下脂肪組織層厚の情報を支配的に有する体幹部インピーダンスが得られる場合には、この体幹部インピーダンスと腹囲長(一乗)の積を主体的説明変数とする。
【0035】
(4)内臓器組織情報の確定は、身体特定化情報のうち、身長情報が主体的な説明変数とした重回帰式で構成し、内臓脂肪組織情報推定のための未確定情報の確定に用いる。
【0036】
(5)各組織を定量化するための重回帰分析(検量線作成手法)に用いる組織の基準測定は、臍位でのX線CT断層画像からの組織横断面積(CSA)やMRI法によるCSA及び体幹部全体でのDEXA法、MRI法(長さ方向へ、スライス毎の積分処理)を用いた組織体積量,重量(体積量から重量への変換は、先行研究による組織密度情報より算出可能)で実現できる。DEXA法では、腹部内臓脂肪組織と皮下脂肪組織層の合計の総脂肪組織情報を基準測定できる。
【0037】
(6)上記のような手法を用いて内臓脂肪組織の情報を高精度に捕捉可能とするためには、呼吸等による体幹部の計測インピ−ダンス情報の変動を一定条件値に置き換える手立てが必要となり、インピーダンス計測サンプリング周期を一般的な呼吸周期の1/2以内とし、呼吸変化を時系列的にモニタリングして、呼吸周期及び呼吸周期毎の最大値と最小値を呼吸周期毎に判別し、安静呼吸の中央値を捕捉可能とすること。
【0038】
(7)更に、測定前の飲食及び膀胱尿の貯留などによる悪影響の事前チェックも、計測インピーダンス情報より可能とする。一般に、体幹部のインピーダンス値は、健康な一般的な被験者集団では、骨格筋組織層の情報が支配的に反映される。また、体幹の骨格筋組織層の情報は、測定値としては非常に小さく個々人毎で大きな違いが認められない。理由は、地球重力下で自重を支えて発達する抗重力筋との相関の高いデザインとなるため、特別に寝たきりで重力の影響を受けない被験者とか、自重の数倍のストレスが加わる種目のアスリートなど、特殊な集団以外ではほぼ身体サイズで決定されてしまうためである。ここで、骨格筋組織層及び前記呼吸変動以外で体幹部のインピーダンスに影響が大きいのは、飲食及び膀胱尿の貯留などによる悪影響である。よって、集団デ−タとして体幹部のインピーダンス値を収集し、平均値[mean]と偏差[SD]で見ると、飲食及び膀胱尿の貯留などによる影響は、2SDを超える範囲にあることがわかった。ただ、ある程度のアスリート等の準一般的集団まで踏まえると、3SDをクライテリアとすることで、本影響のスクリーニングを可能と出来る。
【0039】
次に、前述したような手法に基づく本発明の測定原理につき、更に詳述する。
【0040】
1.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化
(1)体幹部は、主として、皮下脂肪組織層と、骨格筋組織層(腹筋群、背筋群)と、内臓器組織とその隙間に付着する内臓脂肪組織から成ると考えることが出来る。骨組織を構成組織として挙げていないのは、骨組織は骨格筋組織層と量的相関が非常に高く、一体の組織体として考えられるからである。体積抵抗率も、生体内では骨髄組織なども含めることでかなり導電性が良く、骨格筋組織層や内臓器組織に近い特性を有するものと考えられる。よって、この4組織を電気的な等価回路モデルで表すと、内臓器組織と内臓脂肪組織を直列に構成し、その直列の複合組織層に対して、皮下脂肪組織層及び骨格筋組織層がそれぞれ並列に構成される。この等価回路モデルについては、図7〜図9についての説明において詳述する。このモデルによると、体幹の長さ方向への通電に対しては、骨格筋組織層に支配的に電流が流れる。内臓脂肪組織は、内臓器組織の周辺の隙間に付着することから、内臓脂肪組織が無い時、又は少ない時、内臓器組織が骨格筋組織層に近い導電性を示すことから、内臓器組織側にも電流が通電されることになる。また、内臓脂肪組織が多くなるほど、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合体としての複合組織層への通電量が低下してゆくことになる。体幹部の計測インピーダンスと、それを構成する4組織を等価回路モデルで表した時のモデル式は、下記の様に表現できる。
Ztm = ZFS//ZMM//(ZVM+ZFV) ・・・式1
ここで、
体幹部全体のインピーダンス:Ztm
皮下脂肪組織層のインピーダンス:ZFS・・・体積抵抗率は、大きい。
骨格筋組織層のインピーダンス:ZMM・・・体積抵抗率は、小さい。
内臓器組織のインピーダンス:ZVM・・・骨格筋組織層に近い体積抵抗率と考えられている。
内臓脂肪組織のインピーダンス:ZFV・・・体積抵抗率は、皮下脂肪組織層と同等かそれよりも、やや小さ目と考えられる。脂肪組織の合成分解が皮下脂肪組織層に比べて速いことから、組織内血管及び血液量が多いものと考えられる。
【0041】
組織間の電気的特性は、インピーダンスよりはむしろ体積抵抗率ρ[Ωm]で決まる。上の関係から、各組織の電気的特性値は一般に以下の関係で説明される。
ρMM<<ρ(VM+FV)<ρFS
ρVM<<ρFV
ρMM=ρVM、若しくは、ρMM<ρVM
ρFV=ρFS、若しくは、ρFV<FS
ここで、
皮下脂肪組織層の体積抵抗率:ρFS
骨格筋組織層の内側の内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層の体積抵抗率:ρ(VM+FV)
骨格筋組織層の体積抵抗率:ρMM
よって、式1との関連により、各組織間の電気的特性の比較関係は、
ZFS >>(ZVM+ZFV) >> ZMM・・・式2
となる。
【0042】
(2)従来の方法で腹部臍囲周上に電極を配置するだけでは、電流印加電極直下での広がり抵抗の影響により、皮下脂肪組織層のインピ−ダンス分が支配的な計測となり、本来の理想的な四電極法による皮下脂肪組織層の分離除去が実現できなかった。本発明によれば、新電極配置法を適用することで、理想的な四電極法を実現可能とし、皮下脂肪組織層のインピ−ダンス分を分離と削除可能とした。
【0043】
2.体幹部骨格筋組織横断面積量[AMM]及び体幹部骨格筋組織層インピーダンス[ZMM]の推定
(3)骨格筋組織量は、横断面積量や体積量と高い相関が考えられるため、ここでは横断面積量で考える。体幹腹部の骨格筋組織層の横断面積量AMMは、身体特定化情報でおおよそ推定できる。理由は、身体の骨格筋組織層の発達デザインは、地球重力下で自重を支えるための発達・適応でほとんど決まってしまうからである。よって、アスリ−トとか、麻痺患者や介護者などの重力非適応者を除けば、身体特定化情報で推定可能となる。この推定は、身長H、体重W、年齢Ageを以下の式に代入することによって行う。
AMM=a*H+b*W+c*Age+d・・・式5
ここで、a、b、c、dは、男女で別の値を与える定数である。
【0044】
(4)体幹部骨格筋組織層インピーダンス[ZMM]は、体幹部骨格筋組織横断面積量[AMM]を用いて、次の式で表すことができる。
ZMM=a0*H/AMM+b0・・・式6
ここで、a0、b0は、定数である。
【0045】
3.内臓器組織量[AVM]及び内臓器組織インピーダンス[ZVM]の推定
(5)体幹部の内臓器組織量[VM]は、身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報から推定することが出来る。説明変数の中で、身長項の影響が大きい。
内臓器組織量[AVM] = a1*身長[H]+ b1*体重[W] + c1*年齢[Age] + d1・・・式7
ここで、a1、b1、c1、d1は、男女で別の値を与える定数である。
【0046】
(6)次に、内臓器組織のインピーダンスZVMを推定する。
内臓器組織のインピーダンスZVMは、身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報から推定することが出来る。説明変数の中で、身長項の影響が大きい。便宜上、ここでは上で求めた内臓器組織量AVMを利用する。この推定は、以下の式を用いて行うことができる。
ZVM=a2*H/AVM+b2・・・式8
ここで、a2、b2は、定数である。
【0047】
4.内臓脂肪組織インピーダンス[ZFV]及び内臓脂肪組織量[AFV]の推定
(7)次に、内臓脂肪組織のインピーダンスZFVを推定する。
式4を変形すると、
1/Ztm = 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式9
式9からZFVを誘導すると、次のようになり、内臓脂肪組織の情報を有するインピーダンス情報を求めることができる。
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM] − ZVM・・・式10
本式において、Ztmは実測値である。また、体幹部骨格筋組織層インピーダンスZMMと内臓器組織のインピ−ダンスZVMは、上述したように身体特定化情報により推定できるので、その推定値を代入することで、ZFVが抽出できる。すなわち、式10に、式6及び式8を代入することによって、算出できる。
【0048】
(8)内臓脂肪組織量AFVは、ここでは内臓脂肪組織横断面積として取り扱う。内臓脂肪組織量AFVは、上記インピーダンス情報と身長情報から算出することができ、
AFV=aa*H/ZFV+bb・・・式11
ここで、aa、bbは定数である。
【0049】
5.皮下脂肪組織量[AFS]の推定
(9)体幹部の皮下脂肪組織量AFSは、皮下脂肪組織層のインピーダンス情報ZFSと腹囲長Lwから推定することが出来る。
皮下脂肪組織量[AFS] = aa0*ZFS*Lw+bb0・・・式12
ここで、aa0、bb0は、定数である。
【0050】
6.体幹部内臓脂肪/皮下脂肪比[V/S]の推定
(10)内臓脂肪/皮下脂肪比[V/S]は、式12からの皮下脂肪組織量[AFS]と式11からの内臓脂肪組織量[AFV]から求めることが出来る。
V/S=AFV/AFS・・・式13
【0051】
7.体幹部(中部)のインピーダンスによる内臓器組織異常判定の考え方
(11)内臓脂肪組織量推定に必要な体幹部のインピーダンスZtmは、呼吸及び飲食等により変動が大きな部位でもあることから、安定性及び信頼性の高い情報の計測が必要となる。よって、次の様な処理を加えることで、信頼性の高い体幹部のインピーダンス情報を確保出来る。また、一部体幹の体液分布の乱れに関連する情報としての視点から、体幹部の組織異常の判定も可能と出来る。
【0052】
(12)呼吸による変動の影響除去処理
(a)一般的な呼吸周期時間の1/2より短いサンプリング周期で、体幹部のインピーダンスを測定する。
(b)サンプリング毎の測定デ−タに対して移動平均等によるスムージング処理を施す。
(c)処理後の時系列データより、呼吸の周期性と周期毎の最大値と最小値を検出する。
(d)毎周期毎の最大値と最小値を各々別個に平均処理する。
(e)最大値と最小値の平均処理後の値を平均して、呼吸の中央値を算出する。
(f)呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断し、確定した中央値のインピ-ダンス値を体幹部のインピーダンス値として登録し、測定を完了とする。
【0053】
(13)飲食及び膀胱等への水分貯留(尿等)による異常値判定処理
(a)体幹部のインピーダンスは、26.7±4.8Ω(mean±SD)が集団の一般的な値となる。
(b)反面、便秘及び膀胱尿の貯留や胃での飲食物の充満時の値は、mean±3SDの範囲を超える。
(c)よって、3SDを超える測定値が得られる場合には、飲食及び膀胱尿等の影響の可能性を被験者へ報知し、最善の環境で測定に望んで貰う様促す。ただし、実際にこれらの影響なしに骨格筋組織層発達及び内臓器組織が標準サイズとは異なる被験者においては、測定を継続出来る様に進める。
(d)さらに、測定感度を上げる方法としては、性別、体重、身長別で規定値を細分化する。又は、体重で割るか、身長で割って単位別の値として規定値を規定する。
【0054】
次に、前述したような本発明の測定原理に基づいて、本発明による体幹内臓及び/又は皮下脂肪測定方法及び装置、並びに測定情報を用いた健康指針アドバイス装置の実施例について説明する。
【0055】
図1は、本発明の第1の実施形態による体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置の概略図である。図2は、図1の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置を体幹部の周囲に装着する手順を示す概略図である。図3は、図1の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置のグリップ部を把持して、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置の本体部に設けられている電極を体幹腹部に押し当てている状態を示す概略図である。図4は、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置に含まれる本体部のブロック図である。
【0056】
図1に示すように、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置1は、本体部11と、本体部11の両側部から外側へ向かって延びるアーム部15と、本体部と対向して配置されている背面支持部12と、中央付近でアーム部15と、一方の端部で背面支持部12と、それぞれ回動自在に連結されたハンドル部16とを備えている。本体部11の体幹腹部に面する側には、電流印加電極13a及び電圧計測電極14aが設けられている。また、この実施形態では、背面支持部12の体幹背部に面する側にも、電流印加電極13b及び電圧計測電極14bが設けられている。ハンドル部16の他方の端部には、グリップ部17が設けられている。さらに、この実施形態では、グリップ部17の手で把持する部分にも、電流印加電極13c,13d及び電圧計測電極14c,14dが設けられている。
【0057】
図2(A)〜(C)は、図1の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置を体幹部の周囲に装着して測定を行う際の手順を示す。はじめに、アーム部15とハンドル部16とを連結しているピン(図示せず)のうち左右いずれか一方を外して、連結を解除する(A)。アーム部15とハンドル部16とで体幹部を取り囲むようにし、外したピンを元の状態に戻して、体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置を体幹部の周囲に装着する(B)。この際、アーム部15に設けられた支点調整機構部18を用いて、ハンドル部16がアーム部15に対して回動する支点の位置を、体幹部の寸法に合わせて調整しておく。なお、この実施形態では、支点調整機構部18はアーム部15に設けられているが、支点調整機構部18をハンドル部16に設けることとしてもよい。最後に、左右のグリップ部17を手で握ってハンドル部16を左右に開ける方向に引き寄せることにより、背面支持部12で体幹背部を支持しつつ、本体部11の電流印加電極13a及び電圧計測電極14aが体幹腹部に接触するよう押し当て、その後測定を開始する(C)。
【0058】
図3は、図1の体幹部内臓及び/又は皮下脂肪測定装置のグリップ部17を把持して、ハンドル部16を左右に開ける方向に引き寄せ、本体部11の電流印加電極13a及び電圧計測電極14aを体幹腹部に接触させて、必要に応じて電極の最適位置が見つかるまでこれを繰り返し実施している状態を示す。
【0059】
本体部11の前面には、操作・入力部51と表示部52を有する操作表示パネル5と、報知ブザー22とが、設けられている。報知ブザー22は、測定したインピーダンスに応じた周波数のブザー音を発生する。又は、インピーダンスに応じた繰返し周期のブザー音を発生する。
【0060】
操作・入力部51は、身長、体重を含む身体特定情報の入力に使用することができ、操作表示パネル5の表示部52には、各種測定結果、アドバイス情報等が表示される。この操作表示パネル5は、操作・入力部51と表示部52とが一体となったタッチパネル式の液晶表示器として形成されてもよい。表示部52には、測定したインピーダンスを表示するようにしても良い。
【0061】
図4に示すように、本体部11の内部には、演算・制御部28、電源部18、記憶部(メモリ)4、印刷部31等が設けられている。演算・制御部28は、操作・入力部51から入力された身体特定化情報(身長、体重等)、計測したインピーダンス、前述した式等に基づいて、体幹部の内臓脂肪組織量、皮下脂肪組織量、内臓脂肪/皮下脂肪比等を演算したり、呼吸による変動の影響除去処理や、内臓器組織異常判定等の処理を行ったり、その他、各種の入出力、測定、演算等を行う。
【0062】
電源部18は、本装置の電気系統各部に電力を供給する。
メモリ4は、身長、体幹部長等の身体特定化情報や、前述した式等を記憶する他、後述するような健康指針アドバイスのための適当なメッセージ等も記憶する。
【0063】
印刷部31は、表示部52に表示される各種結果、アドバイス情報等を印刷する。
【0064】
本体部11のインピーダンス測定部は、被験者の測定部位に電流を印加するための複数の電流印加電極13a〜n、被験者の測定部位における電位差を計測するための複数の電圧計測電極14a〜n、電流印加電極13a〜nに電流を供給する電流源12、使用態様に応じて所定の電圧計測電極14a〜nを選択するための電圧計測電極選択部20、使用態様に応じて所定の電流印加電極13a〜nを選択するための電流印加電極選択部21を含む。また、測定された電位差を増幅する差動増幅器23、フィルタリングのためのバンドパスフィルタ24、検波部25、増幅器26、及び、A/D変換器27を含む。尚、電流印加電極電極10a〜nと、電圧計測電極14a〜nの数は、使用態様に応じて決定されるものであり、特に限定されるものではない。
【0065】
また、本発明では、電極の交換パッドを含水状態とすることで、皮膚との電気的接触安定性を確保する以外に、長時間浸水して過剰含水状態とすることで、皮膚との電気的安定接触以外に滑り性を持たせることができる。
【0066】
図5は、本発明の実施形態によるディスポーザブル電極の概略図である。このディスポーザブル電極は、ベース電極面150に交換粘着パッド151をバネ枠152で固定する。電極のコネクタ部153をコネクタ154に差し込んで使用するものである。
【0067】
交換粘着パッドは、水洗いして再使用可能なものを一定時間水につけて置き、過剰含水状態として、皮膚表面上を滑らせて利用するものである。
【0068】
図6は、本発明の別の実施形態によるディスポーザブル電極の概略図である。このディスポーザブル電極は、ベース電極面150に設けた凹部155と、交換粘着パッド151に設けた凸部156を留めて、固定するようになっている。
【0069】
図7は、体幹腹部(中部)の構造を模式的に示す図であり、体幹腹部を構成する組織は、皮下脂肪組織層(FS)、骨格筋組織層(MM)、内臓器組織(VM)、その隙間に付着する内臓脂肪組織(FV)と考えることができる。体幹部へ通電する場合には、骨格筋組織層へ大半の電流が通電すると考えられる。何故ならば、骨格筋組織層の電気導電性が他の組織に比べて良いからである。内臓器組織は、内臓脂肪組織と直列に考えられ、内臓脂肪組織の大小により、通電量の変化を期待できることがわかる。
【0070】
図8は、図7の体幹腹部の構造を電気的等価回路として表したもので、皮下脂肪組織層を省略して考えた簡略化体幹腹部等価回路を示しており、前述したアプローチ1の手法にて考慮される体幹腹部の等価回路である。また、図9は、同様に、図7の体幹腹部の構造を電気的等価回路として表したもので、皮下脂肪組織層を省略せずに考えた体幹腹部等価回路を示しており、アプローチ2の手法にて考慮される体幹腹部の等価回路である。なお、これらの図において使用されている符号は、前述したとおり、Ztmは、体幹中部全体のインピーダンス、ZFSは、皮下脂肪組織層のインピーダンス、ZMMは、骨格筋組織層のインピーダンス、ZVMは、内臓器組織のインピーダンス、ZFVは、内臓脂肪組織のインピーダンスをそれぞれ示している。そして、前述したとおり、図8の等価回路においては、
Ztm ≒ ZMM//(ZVM+ZFV)の関係式が成り立ち、
図9の等価回路においては、Ztm = ZFS//ZMM//(ZVM+ZFV)の関係式が成り立つ。
【0071】
<皮下脂肪組織層測定、或いは、皮下脂肪組織層及び内臓脂肪組織の選択測定>
特に、皮下脂肪組織層測定、或いは、皮下脂肪組織層及び内臓脂肪組織の選択測定に用いられる技術を説明する。
【0072】
図10は、図7に示された体幹部の模式図を臍高さにおける腹囲周横断面にてモデル化した図である。この図に示すように、体幹部断面は、最も外側にある皮下脂肪組織層(FS)と、そのすぐ内側にある骨格筋組織層(MM)と、最も内側にある内臓器組織(VM)とそれに取り巻く内臓脂肪組織(FV)を含む。
【0073】
図11は、図10に示された模式図を更に電気的な等価回路として表したものである。例えば、電流印加電極10e、10fにおいて電流(I)を印加し、電圧計測電極11e、11fで電位差(V)を測定するものとした場合、この等価回路における電気抵抗は、主として、臍背付近の皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS1、ZFS2)と、腹周囲方向の皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS0)と、臍の左右各側の骨格筋組織層のインピーダンス(ZMM1、ZMM2)と、臍背付近の内臓脂肪組織のインピーダンス(ZFV1、ZFV2)、更に、体幹部中心付近の内臓器組織のインピーダンス(ZVM)として現れる。
【0074】
図12に、図11を更に簡略化した回路を示す。ZFS1とZFS2は略同じ大きさと考えられるため、ここでは、それらを同値のZFSとして表し、また、ZMM1とZMM2、或いは、ZFV1とZFV2は、それぞれ、ZMM、ZFVとして表している。また、導電性が他の領域に比べて著しく低いと考えられるZFS0は省略した。これを省略できる点は、前述した「1.体幹部構成組織の電気的等価回路モデル化」(1)の記載から明らかであろう。
【0075】
次に、図13を参照して、四電極法における電極間距離と広がり抵抗の関係を説明する。図13は、電極間距離と広がり抵抗の関係を示したものである。図中、丸い点線で囲った部分30は広がり抵抗領域を示す。電流印加電極からの電流は、印加後に徐々に被験者の体内に広がるが、印加直後の領域、即ち、広がり抵抗領域においては、それほど大きくは広がっておらず、このため、これらの領域では電流密度が他の領域に比べて非常に高くなる。したがって、電流印加電極10e、10fと電圧計測電極11e、11fをあまりに接近させて配置した場合には、電圧計測電極11e、11fにおいて測定される電位差は広がり抵抗領域における電流の影響を大きく受けてしまう。
【0076】
例えば、前述した式2より明らかなように、臍付近における皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS)と、腹周囲における皮下脂肪組織層のインピーダンス(ZFS0)、骨格筋組織層のインピーダンス(ZMM)、内臓脂肪組織のインピーダンス(ZFV)、及び、体幹部中心付近の内臓器組織のインピーダンス(ZVM)の間には、
ZFS >> (ZVM+ZFV) >> ZMM
の関係がある。
したがって、I−V電極間距離がほとんど無く近接して配置されたときの電位差計測インピーダンスΣZ1は、
ΣZ1=2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)≒2*ZFS
となる。これにより明らかなように、広がり抵抗の影響でZFSが数倍に増幅されるため、ここでは、ZFSによる情報が支配的となる。
【0077】
広がり抵抗の影響を小さくするには、電流印加電極と電圧計測電極の間の距離を大きくする必要がある。例えば、I−V電極間距離を10cm程度確保して配置した場合の電位差計測インピーダンスΣZ2は、
ΣZ2≒2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)
である。明らかなように、I−V電極間距離を広げることによって、広がり抵抗の影響は多少小さくなっているが、この程度離しただけでは、まだZFSの情報が支配的である。
【0078】
この広がり抵抗の影響を詳細に検討するため、図14に示すように、電極11e、11f、11g、11hにおけるI−V電極間及びV−V電極間相互の距離が各々1/3程度になるよう10cm程度確保して配置した場合を考える。ただし、電極10e、11eや、電極10f、11hは、前記I−V電極間距離がほとんど無い近接配置とする。この場合の電位差計測インピーダンスΣZ3は、
ΣZ3≒2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)である。
このとき電極間で計測される電圧降下(電位差)の関係は、おおよそ次のようになる。
V1=I*ZMM//(ZVM+ZFV)
V2+V3=I*2*ZFS
V1:(V2+V3)≒1〜2:10〜20=S:N
上式におけるSの1〜2やNの10〜20のバラツキは、皮下脂肪組織層の厚みの個人差と骨格筋組織層の発達具合によるものである。この結果からも分かるように、たとえ電極間距離を調節しても、十分なS/Nが確保できるとは言いがたい。
【0079】
また、ほとんどの電流は骨格筋組織層で支配的に通電されるため、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層への通電感度を十分に確保することはできない。即ち、骨格筋組織層に流れる電流をI1、測定対象である内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層に流れる電流をI2とすれば、
V1=I*ZMM//(ZVM+ZFV)=I1*ZMM=I2*(ZVM+ZFV)
I=I1+I2
となり、よって、
ZMM:(ZVM+ZFV)=I2:I1≒1:2〜5
となる。これより明らかなように、たとえ広がり抵抗の影響を排除できたとしても、骨格筋組織層に流れる電流は内臓器組織と内臓脂肪組織に流れる電流の2〜5倍にも及ぶため、この結果、S/N特性は更に悪くなる。このように、体幹部のような太短い測定部位においては、たとえ電極間距離を調整しても、電流印加電極間距離で上限が決まってしまうことから、S/N特性の改善には限界がある。
【0080】
例えば、皮下脂肪組織層計測電極と内臓脂肪組織(通電の主流は、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織体への通電によって計測される組織層情報)計測電極の両配置を同時に持ち、図4の電流印加電極選択部21及び電圧計測電極選択部20によって電流印加電極対及び電圧計測電極対を適当に選択することによって、両組織情報を分離計測できる。
【0081】
両組織情報を同時に計測することによって、呼吸等による測定中の変動誤差要因を呼吸の変動より速いサンプリングタイミングで計測する等、両測定を同じ環境で同時に測定できるので、その誤差要因を相対的に除去できる。よって、呼吸以外に心拍等による影響も除去できる。スピードを早くする以外に、同一測定環境でのスムージング処理等でも、同様の効果が得られる。
【0082】
図15(A)〜(D)に、本発明の他の実施形態による測定装置の外観図を示す。尚、上の実施形態と同様の部材には同様の番号を付すものとする。図1に示されている上記実施形態(図15(B)に相当)に対し、本体部11に設けられた電流印加電極13a及び電圧計測電極14aと、背面支持部12に設けられた電流印加電極13b及び電圧計測電極14bとの間でのみ測定を行う場合には、グリップ部17には電極を設けないこととすることができる(A)。同様に、本体部11に設けられた電流印加電極13a’及び電圧計測電極14aと、グリップ部17の手で把持する部分に設けられた電流印加電極13c,13d及び電圧計測電極14c,14dを用いた測定を行う場合には、背面支持部12には電極を設けないこととすることができる(C)。さらに、本体部11に設ける電極につき、電流印加電極13a’を電圧計測電極14aに比べて臍から離れた位置に配置してもよく(C)、あるいは電圧計測電極14a’を電流印加電極13a’ に比べて臍から離れた位置に配置してもよい(D)。
【0083】
<電極配置位置の組み合わせ>
次に、図16を参照して、四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置による脂肪組織、ここでは特に、内臓脂肪組織の測定を説明する。本発明によれば、体幹部に配置した電流印加電極のうち1つを体幹部上を滑らせながら、電流印加電極の最適位置を探索することが出来る。
【0084】
図16A、Bに、通電用の電流印加電極の一方を(グリップ電極部として)掌部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、2つの電圧計測電極対の一方を電流印加電極と左右対向する掌部に(グリップ電極部として)設け、他方を体幹腹部上に配置する電極配置を示す。
【0085】
図16Aは、特に、Organらの誘導法による右腕−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極13dを(グリップ電極部として)右手の掌部に設け、他方の電流印加電極13eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V10、V10’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極14cを電流印加電極13dと左右対向する掌部に(グリップ電極部として)設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極14e、14fを、体幹腹部上に、それぞれ配置して、皮下脂肪及び内臓脂肪組織を測定する電極配置を示す。
【0086】
図16Bは、電流I2を印加して電位差V11、V11’を計測するための、Organらの誘導法による左腕−体幹腹部通電計測に関するものである。
【0087】
更に、図17及び18を参照して、四肢部と体幹組み合わせ電極配置による脂肪組織、ここでは特に、皮下脂肪組織層を計測するための電極配置を説明する。
【0088】
図17C乃至Eに、通電用の電流印加電極の一方(グリップ電極部)を掌部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、その他2つの電圧計測電極対を体幹腹部上に配置する電極配置を示す。
【0089】
図17Cは、特に、右腕−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1a、I1bを印加するため、共通する電流印加電極対の一方の電流印加電極13dを(グリップ電極部として)右手の掌部に設け、他方の電流印加電極13e(右側)、13f(左側)を腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)の臍Aを中心とした左右各側に設け設け、更に、電位差V1、V1’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極14eを電流印加電極13e、13fから十分離して体幹腹部上に設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極14f(右側)、14g(左側)をそれぞれ、電流印加電極13e、13fに近接させて配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0090】
図17Dは、電流I2a、I2bを印加して電位差V2a、V2bを計測するための、左腕−体幹腹部通電計測に関するものであって、図17Cとは、電極の配置位置を左右対称としたものである。
【0091】
図17Eは、両腕−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I3a、I3bを印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極13dと13cとをショート(短絡配線)するとともに、13dを(グリップ電極部として)右手の掌部に、かつ13cを(グリップ電極部として)左手の掌部に設け、印加電流I3bに対応する他方の電流印加電極13fを腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)の臍Aを中心とした左側に設け、印加電流I3aに対応する他方の電流印加電極13eを腹部用のものとして体幹腹部内(腱膜上)の臍Aを中心とした右側に設け、更に、V3b、V3b’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極14eを電流印加電極13e、13fから十分離して体幹腹部上に設け、2つの電圧計測電極対のうちの他方の電圧計測電極14f(右側)、14g(左側)をそれぞれ、電流印加電極13e、13fに近接させて配置して、皮下脂肪組織層を、或いは、皮下脂肪組織層と内臓脂肪組織を選択的に測定する電極配置を示す。
【0092】
図18に、通電用の電流印加電極の一方を(グリップ電極部として)掌部に設け、他方の電流印加電極を体幹腹部内(腱膜上)に設け、2つの電圧計測電極対の一方を電流印加電極と左右対向する掌部に(グリップ電極部として)設け、他方を体幹腹部上に配置する電極配置を示す。
図18は、特に、Organらの誘導法による右腕−体幹腹部通電計測に関するものであって、電流I1を印加するため、電流印加電極対の一方の電流印加電極13dを(グリップ電極として)右手の掌部に設け、他方の電流印加電極13eを体幹腹部内(腱膜上)に設け、更に、電位差V5、V5’を計測するため、電圧計測電極対それぞれに共通する一方の電圧計測電極14cを電流印加電極13dと左右対向する左手の掌部に(グリップ電極部として)設け、他方を電流印加電極13eに近接させて体幹腹部上におけるその左右各側にそれぞれ配置して、皮下脂肪組織層を選択的に測定する電極配置を示す。
【0093】
<フローチャート>
次に、図19に示す基本フローチャートと図20〜図25に示すサブルーチンフローチャートを参照して、本発明の実施例での体幹内臓及び/又は皮下脂肪測定装置の操作及び動作について説明する。
【0094】
図19に示す基本フローチャートにおいては、先ず、操作部51における電源スイッチ(図示していない)がオンされると、電源部18から電気系統各部に電力を供給し、表示部52により身長等を含む身体特定化情報(身長、体重、性別、年齢等)を入力するための画面が表示される(ステップS1)。
【0095】
続いて、この画面にしたがって、ユーザは、操作部51から身長、体重、性別、年齢等を入力する(ステップS2)。この場合において、体重については、操作部51から入力してもよいが、本体部11に接続された体重測定装置(図示されていない)により測定したデータを自動的に入力して、演算・制御部28により身体目方特定情報(体重)を演算するようにしてもよい。これら入力値は、メモリ4に記憶される。
【0096】
次に、ステップS3にて、体幹長、腹囲長等の形態計測実測値を入力するか否かの判断を行い、それら形態計測実測値を入力する場合には、ステップS4にて、形態計測を実施して、体幹長、腹囲長等の実測値を操作部51から入力し、ステップS6へ移行する。ステップS3において、形態計測実測値を入力しないと判断する場合には、ステップS5に移行する。これら入力値も、メモリ4に記憶される。同様に、以下の処理において得られる数値情報等は、メモリ4に記憶される。
【0097】
ステップS5において、演算・制御部28は、メモリ4に記憶された身長、体重、性別、年齢等の身体特定化情報から、体幹中部長、腹囲長等を推定する形態計測情報推定処理(例えば、人間身体情報データベースから作成する検量線使用)を行う。
【0098】
続いて、ステップS6において、インピーダンス測定部により、体幹インピーダンス(Zx)計測処理を行う。この体幹インピーダンス計測処理において、体幹中部インピーダンス(Ztm)及び皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFS)を計測する。この体幹インピーダンス計測処理については、図23等に示すサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0099】
次に、ステップS7において、演算・制御部28により、体幹部骨格筋組織横断面積量(AMM)の推定処理を行う。この演算処理は、例えば、メモリ4に記憶された身長H、体重W、年齢Ageを用いて、前述の式5に基づいて行われる。
【0100】
次に、ステップS8において、演算・制御部28により、体幹部骨格筋組織層インピーダンス(ZMM)の推定処理を行う。このZMMは、メモリ4に記憶された身長Hと、ステップS7で求めたAMMとを用いて、前述の式6に基づいて行われる。
【0101】
次に、ステップ9は、演算・制御部28により、皮下脂肪組織量(AFS)の推定処理を行うものである。このステップ9については、図20に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0102】
ステップS10は、演算・制御部28により、内臓器組織量(AVM)及び内臓器組織インピーダンス(ZVM)の推定処理を行うものである。このステップ10については、図21に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0103】
ステップS11は、演算・制御部28により、内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)及び内臓脂肪組織量(AFV)の推定処理を行うものである。このステップ11については、図22に示すサブルーチンフローチャートを参照して後で詳述する。
【0104】
次に、ステップS12において、演算・制御部28により、内臓脂肪/皮下脂肪比(V/S)の演算処理を行う。この処理は、メモリ4に記憶された前述した式13に従って行われる。
【0105】
次に、ステップS13において、演算・制御部28により、体格指数(BMI)の演算処理を行う。この演算処理は、メモリ4に記憶された体重Wと身長Hから次の式にて算出され得る。
BMI=W/H2
【0106】
更に、ステップS14において、演算・制御部28により、体幹部体脂肪率(%Fatt)の演算処理を行う。この演算処理は、メモリ4に記憶された皮下脂肪組織量(AFS)、内臓脂肪組織量(AFV)、体幹部骨格筋組織横断面積量(AMM)、及び、内臓器組織量(AVM)から次の式にて算出されるものである。
%Fatt=(AFS+AFV)/[(AFS+AFV)+AMM+AVM]*100
【0107】
次に、ステップS15において、演算・制御部28により、内臓脂肪率(%VFat)の演算処理が行われる。この処理は、前述の演算処理により算出されメモリ4に記憶された体幹部体脂肪率(%Fatt)、内臓脂肪/皮下脂肪比(V/S)から次の式にて行われる。
%VFat=%Fatt*(V/S)/[(V/S)+1]
【0108】
最後に、ステップS16において、演算・制御部28は、前述したような演算処理にて求められた内臓脂肪組織情報(AFV、%VFat)、体組成情報(%Fatt、AMM、AFS、AVM)、体格指数(BMI)や、後述する処理によって得られるアドバイス指針等を、表示部52に表示させるような表示処理を行う。これにより、一連の処理を終了する(ステップS17)。
【0109】
次に、前述のステップS9の皮下脂肪組織量(AFS)の推定処理について、図21のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS18にて、メモリ4に記憶された諸数値及び前述の式12を用いて行われる。
【0110】
次に、前述のステップS10の内臓器組織量(AVM)及び内臓器組織インピーダンス(ZVM)の推定処理について、図22のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS19において、メモリ4に記憶された諸数値及び前述の式7を用いて内臓器組織量(AVM)を算出し、ステップS20において、メモリ4に記憶された諸数値及び前述の式8を用いて実行される。
【0111】
次に、前述のステップS11の内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)及び内臓脂肪組織量(AFV)の推定処理について、図22のサブルーチンフローチャートを参照して詳述する。この推定処理は、ステップS21において、メモリ4に記憶された諸数値及び前述の式10を用いて内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)を算出し、ステップS22において、メモリ4に記憶された身長H及び算出した内臓脂肪組織インピーダンス(ZFV)及び前述の式11を用いて内臓脂肪組織量(AFV)を算出するものである。
【0112】
次に、ステップS6の体幹インピーダンス(Zx)計測処理について、第1の実施形態を示す図23のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。この第1形態においては、前項7.(12)及び(13)において説明したような「呼吸による変動の影響除去処理」及び「飲食及び膀胱等への水分貯留(尿等)による異常値判定処理」を行うものである。先ず、ステップS23において、演算・制御部28は、操作部51等からの指示に基づいて、カウンター等の初期設定、例えば、体幹中部のインピーダンスZtmの測定データのサンプル数及びフラッグFの初期設定を行う。Fは、“1”、“0”のフラッグの記号である。
【0113】
続いて、ステップS24において、演算・制御部28は、測定タイミングか否かの判定を行う。そして、測定タイミングと判定された場合には、ステップS25a〜S25bにて、演算・制御部28は、体幹中部インピーダンス(Ztm)及び皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFS)の測定電極配置設定処理を行い、体幹中部インピーダンス(Ztmx)及び皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFSx)の計測処理を行う。このサブルーチンフローチャートでは、図20、図21又は図22に示されたような電極配置例によって、体幹中部インピーダンス(Ztm)及び皮下脂肪組織層インピーダンス(ZFS)の計測値を得る場合を想定しており、この場合において、演算・制御部28は、各体幹中部インピーダンスの計測値(Ztmx)及び(ZFSx)の計測処理を行う。すなわち、図20、図21又は図22に示すような回路配置を行って、内臓脂肪組織計測用電位差V1又は皮下脂肪組織層計測電位差V2及びV3を計測してその計測値から、Ztmx及びZFSxを算出する。
【0114】
次いで、ステップS24において測定タイミングでないと判定された場合には、ステップS26に移行して、計測インピーダンス(Zx)データスムージング処理(移動平均処理等)を行う。それから、ステップ27において、体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理を行う。この補正処理については、図24のサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0115】
続いて、ステップS28にて、演算・制御部28は、各部位毎の計測インピーダンスの時系列安定性確認処理を行う。これは、ステップS27の体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理後の各値が所定回数所定変動以内の値に収束したかどうかを判定することによって行われる。
【0116】
ステップS29において、演算・制御部28は、測定したZtmx及びZFSxが安定条件を満足するか否かの判定を行う。この判定は、呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断するようなものである。このステップS29にて、安定条件が満足されたと判定される場合には、ステップS30に移行して、確定した中央値のインピーダンス値を体幹中部のインピーダンス値として、最終安定条件判定値を測定結果値としてメモリ4に登録する。一方、ステップS29において、安定条件が満足されないと判定される場合には、ステップS24に戻って同様の処理が繰り返される。
【0117】
ステップS30に続いて、ステップS31において、演算・制御部28は、飲食及び膀胱尿貯留等による異常値判定処理を行い、更に、ステップS32において、測定の完了を報知器ブザー22(図4参照)等を用いてブザー等で報知し、測定を完了する。尚、ステップ31の異常値判定処理については、図25のサブルーチンフローチャートを参照して後述する。
【0118】
次に、ステップS27の体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理について、図24のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。先ず、ステップS33において、演算・制御部28は、ステップS27にて処理後の時系列データから変極点検知処理を行う。ステップS34において、変極点か否かの判定を行う。これは、前後の微係数又は差分値の極性変化位置のデータを検知することにより行われる。ステップS34にて変極点であると判定される場合には、ステップS35に進み、最大値か否かの判定がなされる。これは、最大値と最小値の振り分けを行うステップである。最大値でない場合には、ステップS36にて、メモリ4に記憶された次の式にて最小値判定データ移動平均化処理が行われる。
[Ztm]minx←([Ztm]minx-1+[Ztm]minx)/2
【0119】
ステップS35において最大値と判定される場合には、ステップS37において、メモリ4に記憶された次の式にて最大値判定データ移動平均化処理が行われる。
[Ztm]maxx←([Ztm]maxx-1+[Ztm]maxx)/2
【0120】
続いて、ステップS38において、一呼吸周期分の最大値と最小値データが確保されたかの判定がなされる。ステップS38において、そのデータが確保されたと判定された場合には、ステップS39にて、メモリ4に記憶された次の式にて呼吸変動中央値演算処理(最大値と最小値データの平均値演算)がなされる。
Ztmx←([Ztm]maxx+[Ztm]minx)/2
【0121】
次に、ステップS31の飲食及び膀胱尿貯留等による異常値判定処理について、図25のサブルーチンフローチャートを参照して、詳述する。先ず、ステップS40において、演算・制御部28は、メモリ4に記憶された次の式にて、体幹部インピーダンス(Ztm)が正常許容範囲内かのチェックを行う。
Mean−3SD≦Ztm≦Mean+3SD
ここで、許容値例としては、26.7±4.8(Mean±3SD)が考えられる。
【0122】
ステップS41において、体幹部インピーダンスが許容範囲内かの判定がなされる。許容範囲内でないと判定される場合には、ステップS42に移行して、演算・制御部28にて、体幹部(腹部)コンディション異常に関するメッセージ報知処理がなされ、表示部52に適切なアドバイスの表示等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹コンディション異常につき、排便、排尿等の準備処理を実施」等の報知が考えられる。また、準備処理後も同様の判定結果となる場合は、異常値を用いて測定を完了させ、測定の中止はしないようにすることもできる。
【0123】
ステップS41において許容範囲内で判定される場合には、ステップS43において、演算・制御部28は、体幹部(腹部)コンディション正常に関するメッセージ報知処理がなされ、表示部52に適切なアドバイスの表示等がなされる。このアドバイスとしては、例えば、「体幹コンディション正常」等の報知が考えられる。
【0124】
このような操作及び動作にて、本発明によれば、体幹部(体幹腹部)の内臓脂肪組織情報を求めることができ、しかも、呼吸による変動の影響除去処理や飲食及び膀胱等への水分貯留(尿等)による異常判定処理を行い、それに応じたアドバイス情報も提供できる。なお、前述の実施例では、体幹内臓脂肪組織情報として脂肪率として求めるものとしたが、本発明は、これに限らず、適当な変換式等を用いることにより、横断面積量や、体積量や重量等として求めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明による体幹内臓及び/又は皮下脂肪測定装置の一実施例の外観を示す概略図である。
【図2】図1の装置の使用法を示す図である。
【図3】図1の装置の使用法を示す図である。
【図4】図1の体幹部内臓脂肪組織測定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態の電極を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態の電極を示す図である。
【図7】体幹腹部の構造を模式的に示す図である。
【図8】体幹腹部の構造を、皮下脂肪組織層を省略して考えた体幹腹部の電気的等価回路として示す図である。
【図9】体幹腹部の構造を、皮下脂肪組織層を省略せずに考えた体幹腹部の電気的等価回路として示す図である。
【図10】体幹部の模式図を臍高さにおける腹囲周横断面にてモデル化した図である。
【図11】図10のモデル図を電気的等価回路として表した図である。
【図12】図11の回路を簡略化して示したものである。
【図13】電極間距離と広がり抵抗の関係を説明する図である。
【図14】電極間距離と広がり抵抗の関係を説明する図である。
【図15】本発明による体幹内臓及び/又は皮下脂肪測定装置の他の実施例の外観を示す概略図である。
【図16】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置例である。
【図17】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置例である。
【図18】四肢部と体幹部の組み合わせ電極配置例である。
【図19】本発明の一実施例による体幹内臓及び/又は皮下脂肪測定用の基本フローチャートを示す図である。
【図20】図19の基本フローのサブルーチンとしての皮下脂肪組織量の推定処理フローを示す図である。
【図21】図19の基本フローのサブルーチンとしての内臓器組織量及び内臓器組織インピーダンスの推定処理フローを示す図である。
【図22】図19の基本フローのサブルーチンとしての内臓脂肪組織インピーダンス及び内臓脂肪組織量の推定処理フローを示す図である。
【図23】図19の基本フローのサブルーチンとしての体幹インピーダンス計測処理フローを示す図である。
【図24】図23の体幹インピーダンス計測処理フローのサブルーチンとしての体幹中部インピーダンス計測データ呼吸変動補正処理フローを示す図である。
【図25】図23の体幹インピーダンス計測処理フローのサブルーチンとしての飲食及び膀胱尿貯留等による異常値判定処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0126】
1 体幹内臓及び/又は皮下脂肪測定装置
5 操作表示パネル
11 本体部
12 背面支持部
13 電流印加電極
14 電圧計測電極
15 アーム部
16 ハンドル部
17 グリップ部
18 支点調整機構部
28 演算・制御部
51 操作部
52 表示部
30 腹直筋組織層




 

 


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