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発明の名称 ニコチン含有経皮吸収製剤
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−31427(P2007−31427A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2006−162306(P2006−162306)
出願日 平成18年6月12日(2006.6.12)
代理人 【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
発明者 黒田 英利 / 齋藤 純一 / 二宮 和久 / 里田 史朗
要約 課題
良好な粘着性と凝集力を有し、剥離時の皮膚への低刺激性と良好な貼付感が両立されたニコチン含有経皮吸収製剤を提供すること。

解決手段
粘着剤層にニコチンフリー塩基及び粘着剤と相溶しうる液状成分を含み、粘着剤層が架橋処理されており、該液状成分が粘着剤層全体100重量部に対し20〜75重量部含まれていることを特徴とするニコチン含有経皮吸収製剤。
特許請求の範囲
【請求項1】
粘着剤層にニコチンフリー塩基及び粘着剤と相溶しうる液状成分を含み、粘着剤層が架橋処理されており、該液状成分が粘着剤層全体100重量部に対し20〜75重量部含まれていることを特徴とするニコチン含有経皮吸収製剤。
【請求項2】
前記液状成分が、脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、外皮に貼付してニコチンを体内へ経皮吸収させるニコチン含有経皮吸収製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
煙草中に含まれるニコチンが習慣的喫煙に大きく影響することはよく知られている。喫煙を減少させる方法として、喫煙以外の形でニコチンを生体内に投与することによって習慣的喫煙を抑制することが提案されており、世界中で禁煙の機運の高まりとともに、種々のニコチン投与方法が提案されている。これらの方法はいわゆるニコチン補充療法と呼ばれ、具体的には以下に述べる方法がある。
【0003】
一つはチューインガム(Chewing gum)や薬用ドロップ(Lozenge)中にニコチンを含有させ、口腔内より体内に投与する方法である。この投与方法は、患者がガムや薬用ドロップを口腔内で咀嚼しながら、口腔内の粘膜よりニコチンを吸収させる方法であるが、実際は唾液に伴って多量のニコチンが嚥下される結果、通常の薬物を経口投与したのと同じように肝臓通過に際して当該ニコチンがほとんど代謝され血中から除去されるため、有効な効力が望めない。また、この方法は、一時的な投与方法であるため、頻繁な適用が必要となる上、ニコチンが口中や食道の内壁に直接触れるために不味感、胸焼け、吐き気、しゃっくりといった不快な副作用を引き起こす欠点がある。
【0004】
次にニコチン含有溶液をプラスチック製の一単位容器又は多数回容器に入れ、これを鼻孔内に挿入して容器内のニコチン溶液を鼻粘膜から直接投与する方法がある。しかし、この方法は、容器が鼻粘膜と直接接触するため衛生上好ましくなく、しかも取り扱いや管理が困難であるほか、先と同様一時的な効果しかなく、頻繁に投与する必要があり、特にこの方法は容器を鼻孔内に挿入するものであるから人前での投与がはばかられる等の問題がある。
【0005】
上記の2つの投与方法の問題点が解決された方法として、近年、ニコチン含有経皮吸収製剤により、経皮的にニコチンを投与する方法が実用化されるようになった(例えば、特許文献1参照)。ニコチン含有経皮吸収製剤による方法では、1回の貼付により長時間にわたってニコチンの血中濃度を一定に保つことができ、口腔内で投与する方法のような不快な副作用もなく、使用にあたり取り扱い等も容易で利便性が高いため、経皮吸収によるニコチンの連続投与方法が主流となっている。
【0006】
これらのニコチン含有経皮吸収製剤の使用には、禁煙を達成するため、禁煙プログラムが設定されていて、一般にこの禁煙プログラムでは数週間にわたって一日一回の貼付が求められている。ニコチンの一日あたりの投与量を徐々に減らす目的でパッチサイズの変更を伴うが、一般にプログラムが終了するまで最大で8〜10週間にわたる。その間患者は、毎日のニコチン含有経皮吸収製剤の貼り換えを求められる。
【0007】
ニコチン含有経皮吸収製剤のこのような使用において、製剤を皮膚に貼付し固定するための粘着剤層の粘着剤として通常のアクリル系粘着剤やゴム系粘着剤を用いたニコチン含有経皮吸収製剤では、貼り換え時の剥離の際に皮膚刺激が生じるという問題があった。また、当該製剤は製造方法の都合上、不織布や紙が製剤の粘着剤層内に挿入され、製剤全体が分厚くなっており、貼付中に物理的刺激によるゴワゴワ感が起こりやすく、貼付感は必ずしも良いとはいえなかった。
ここに、貼付感が良いとは、一般には、貼付剤の皮膚への固定性、ソフト感等が良好であり、患者が製剤貼付部位付近に異物感を感じないことをいい、貼付感が悪いとは、一般には、貼付剤の皮膚への固定性、ソフト感等が悪く、患者が製剤貼付部位付近に異物感(ゴワゴワ感等)を感じることをいう。
【0008】
また、通常のゴム系の粘着剤は、乾いた皮膚とはよく接着するが、粘着剤の親水性が低いため、貼付している最中に皮膚と粘着面の界面に汗がたまり、浮きが生じて剥がれやすくなり、使用中に脱落する危険性がある。さらに、汗によるムレによって刺激が発生しやすく、貼付感は必ずしも良好とはいえなかった。
【0009】
ゴム系粘着剤の中で代表的なポリイソブチレン(PIB)系粘着剤においては、ヒト皮膚に対する良好な粘着性と凝集力を付与するため、高分子量成分と低分子量成分とを混合させる技術(例えば、特許文献2参照)があるが、良好な皮膚接着性を得るためには幾分凝集力を犠牲にしなければならず、粘着性を優先すると、凝集力の低下によって、保存時に製剤のエッジから粘着剤が流れでる、いわゆるコールドフロー(低温流れ)が発生するという問題があった。このコールドフローは、粘着剤が包装材内で付着し、包装材からの取り出し性の悪化を招くものである。特にニコチンは粘着剤に対して強力な可塑化作用を呈するものであるので、ニコチン含有経皮吸収製剤においては上記コールドフロー現象が顕著に発現する。
【0010】
このように、ニコチン含有経皮吸収製剤においては、粘着剤層が良好な粘着性と凝集力を有するものが未だ知られていない。
上記事情により現在は、ニコチン含有経皮吸収製剤の使用に際し、貼り付け中の皮膚刺激を考慮して、貼付部位を製剤を交換する毎に変えることが望ましいとされている状況であり、また、毎日新しい製剤に貼りかえることから、剥離時に発生する刺激も無視することができない。
そのため、良好な粘着性と凝集力を有し、剥離時の皮膚への低刺激性と良好な貼付感が両立されたニコチン含有経皮吸収製剤の開発が望まれている。
【0011】
更に、ニコチンは非常に揮散性及び毒性の強い薬物であり、その性質を考慮した、様々なニコチン含有経皮吸収製剤の製造方法が知られている。揮散性の高いニコチン化合物を不織布のような吸収物質に含浸し、粘着剤層で挟み込む方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、当該製造方法では粘着剤層間に不織布が用いられるが、この不織布はいわゆる工程の都合上で使用される構成物であり、製剤としてはなんら機能しておらず、粘着剤層で挟み込むこの不織布の分、製剤が厚くなってしまい、得られる製剤のソフト感がなくなり、その結果、貼付感に悪影響を及ぼしている。
【0012】
また、シリコーン粘着剤を低沸点のヘキサンなどの溶媒に溶解させた粘着剤塗工液を調製し、低温で塗工することでニコチンの揮散をできるだけ少なくする、といった製造方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかし、当該方法は、低温で塗工を行うものの、ニコチンの揮散の問題が完全に解決されておらず、目標量のニコチンを得るには増し仕込みする操作が必要となっている。さらに、当該製造方法は、その方法の特殊性のため、非常に煩雑なものとなっており、また、得られる経皮吸収製剤も、粘着性に劣るものである。
【特許文献1】米国特許第4597961号明細書
【特許文献2】特許第3035346号公報
【特許文献3】特許第2708391号公報
【特許文献4】特表2002−531488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、良好な粘着性と凝集力を有し、剥離時の皮膚への低刺激性と良好な貼付感が両立されたニコチン含有経皮吸収製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、ニコチン含有経皮吸収製剤に、ニコチンフリー塩基及び後述の特定の範囲の配合割合で粘着剤と相溶しうる液状成分を含み架橋した粘着剤層を用いることで、良好な粘着性と凝集力を有し、皮膚への低刺激と良好な貼付感が両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)粘着剤層にニコチンフリー塩基及び粘着剤と相溶しうる液状成分を含み、粘着剤層が架橋処理されており、該液状成分が粘着剤層全体100重量部に対し20〜75重量部含まれていることを特徴とするニコチン含有経皮吸収製剤。
(2)前記液状成分が、脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルである、上記(1)記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
(3)前記液状成分が、粘着剤層全体100重量部に対し20〜60重量部含まれている、上記(1)又は(2)に記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
(4)前記液状成分が、ミリスチン酸イソプロピル及び/又はカプリル酸・カプリン酸トリグリセリドである、上記(1)又は(3)に記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
(5)粘着剤層に含まれる粘着剤が、アクリル系粘着剤である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
(6)アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーを、40〜99.9:0.1〜10の重量比で含む、上記(5)記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
(7)(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、アクリル酸2−エチルヘキシルであり、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーがアクリル酸及び/又はアクリル酸2−ヒドロキシエチルである、上記(6)記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
(8)ニコチンフリー塩基が、粘着剤層の1〜40重量%である、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のニコチン含有経皮吸収製剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は、粘着剤層にニコチンフリー塩基及び特定の範囲の配合割合で粘着剤と相溶しうる液状成分を含み、架橋処理を施しているために良好な粘着性と凝集力を有しており、貼付中の固定性及びソフト感が良好であるので貼付感がよい。また、剥離時の皮膚刺激も少ない。従って、長期間にわたって毎日製剤を貼りかえるような使用態様において、快適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は、粘着剤層にニコチンフリー塩基及び粘着剤と相溶しうる液状成分を含み、粘着剤層が架橋処理されており、該液状成分が粘着剤層全体100重量部に対し20〜75重量部含まれていることを特徴とする。
【0018】
本発明では、経皮吸収性が高く、常温で液体であり直接塗工できるため、ニコチンフリー塩基(すなわち、塩を形成していない、ニコチンのフリー体)が用いられる。ニコチンフリー塩基の含有量は投与目的に応じて適宜設定することができるが、通常、粘着剤層に1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%程度含有させる。含有量が1重量%に満たない場合は治療に有効な量の放出が期待できず、また、40重量%を超えると治療効果に限界が生じると共に経済的に不利となるおそれがある。
【0019】
本発明では、粘着剤と相溶しうる液状成分が添加される。この液状成分の添加は、粘着剤を可塑化させてソフト感を付与し、ニコチン含有経皮吸収製剤を皮膚から剥離する時に皮膚接着力に起因する痛みや皮膚刺激性を低減する役割を有するものである。従って、当該液状成分は粘着剤と相溶しうるものであり、かつ可塑化作用を有するものであれば特に制限はないが、ニコチンフリー塩基の経皮吸収性を向上させるために吸収促進作用を有するものを用いることが好ましい。当該液状成分としては、例えば、オリーブ油、ヒマシ油、スクワレン、ラノリンのような油脂類;ジメチルデシルスルホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルラウリルアミド、メチルピロリドン、ドデシルピロリドン等の有機溶剤類;液状の界面活性剤類;アジピン酸ジイソプロピル、フタル酸(ジ)エステル(例、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)など)、セバシン酸ジエチルのような可塑剤類;流動パラフィンのような炭化水素類;脂肪酸アルキルエステル(例、アルキル部分が炭素数が1〜13の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキルであるアルコールと、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸とのエステルなど、具体的には、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、ラウリン酸エチルなど)、グリセリン脂肪酸エステル(例、グリセリンと炭素数8〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸とのエステルなど、具体的には、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリドなど)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例、プロピレングリコールと炭素数8〜16の飽和又は不飽和の脂肪酸とのエステルなど、具体的には、ジカプリル酸プロピレングリコールなど)、ピロリドンカルボン酸アルキルエステルなどの脂肪酸エステル類;脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル(例、アルキル部分が炭素数1〜4の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキルであるアルコールと、炭素数6〜16の飽和又は不飽和の脂肪族ジカルボン酸とのエステルなど、具体的には、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルなど);シリコーン油;エトキシ化ステアリルアルコールなどが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を配合して使用する。上記のうち、特に、低皮膚刺激性、安全性、入手の容易性の観点から、上記例示の脂肪酸アルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族ジカルボン酸アルキルエステルが好ましく、脂肪酸アルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステルが特に好ましい。具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、ジカプリル酸プロピレングリコールが特に好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリドがさらに好ましい。
【0020】
カプリル酸・カプリン酸トリグリセリドは、カプリル酸及びカプリン酸とグリセリンとのトリエステルであり、本発明においてカプリル酸とカプリン酸の割合は特に限定はないが、通常カプリル酸:カプリン酸が約5:5〜約9:1程度(重量比)である。カプリル酸・カプリン酸トリグリセリドは、市販品(例えば、ココナードMT(花王製)など)を用いてもよい。
【0021】
当該液状成分としては、特に良好な経皮吸収性の観点からは、脂肪酸アルキルエステル、なかでも、ミリスチン酸イソプロピルが好ましい。特に良好な接着性を得る観点からは、グリセリン脂肪酸エステルなかでもカプリル酸・カプリン酸トリグリセリドが好ましい。特に、良好な接着性が得られ、かつ、例えば前述のような禁煙プログラム(特に、1日1回貼付プログラム)において、高すぎることなく、低すぎることもない適度な経皮吸収性が得られ、その結果1回の貼付により長時間にわたってニコチンの血中濃度を一定に保つことができる観点からは、ミリスチン酸イソプロピルとカプリル酸・カプリン酸トリグリセリドの共存系が好ましい。
ミリスチン酸イソプロピルとカプリル酸・カプリン酸トリグリセリドを共存させる場合の配合割合は、特に限定はないが、適度な経皮吸収性と良好な接着性が得る観点からは、ミリスチン酸イソプロピル:カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド=1:8〜2:1程度(重量比)とすればよい。
【0022】
当該液状成分の配合割合(含有割合)は、粘着剤層全体100重量部に対し、20〜75重量部、好ましくは20〜60重量部であり、低皮膚刺激性の観点からは、25〜55重量部が特に好ましく、30〜50重量部がさらに好ましい。液状成分の配合割合が20重量部に満たない場合は、粘着力が強くなりすぎて製剤を皮膚面から剥離する際に皮膚刺激が起こりやすく、また、75重量部を超えると、粘着力が弱くなりすぎて貼付使用中に皮膚面から製剤が脱落する可能性が高くなる。
【0023】
本発明に用いる粘着剤層を形成する粘着剤は、架橋可能なものであれば特に制限はなく、例としては、シリコーンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴムなどのゴム系高分子物質、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ酢酸ビニルなどのビニル系高分子物質、後述の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としたアクリル系粘着剤が挙げられる。本発明に用いる粘着剤としては、アクリル系粘着剤(特に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としたアクリル系粘着剤)が好ましい。
【0024】
架橋処理は、化学的架橋処理や物理的架橋処理等により行われ、なかでも、物理的架橋処理としての電子線照射や紫外線照射による架橋処理、化学的架橋処理としての架橋剤添加による架橋処理を行うことが好ましい。また、上記粘着剤には水酸基、カルボキシル基、ビニル基等の架橋反応に関与できる官能基が導入されていることが好ましい。
【0025】
架橋反応に関与できる官能基が導入された粘着剤は、その具体例については後述するが、上記粘着剤となる高分子を合成する際に、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーや、アクリル酸やマレイン酸等のカルボキシル基を有するモノマーを共重合させ、架橋剤と反応させたり、放射線照射によって架橋するための反応点を導入したりするか、又は、ジビニルベンゼンやジメタクリル酸エチレングリコール等の2以上のビニル基を有するモノマー等を添加して共重合させることで、共重合反応時に分子間又は分子内架橋を生じさせる等の一般的な方法により架橋させることができる。
架橋反応に関与できる官能基が導入された粘着剤としては、架橋処理が容易に行えるという点から、架橋反応に関与できる官能基が導入されたアクリル系粘着剤が好ましい。
【0026】
架橋反応に関与できる官能基が導入された粘着剤の具体例として、架橋反応に関与できる官能基が導入されたアクリル系粘着剤について詳細に説明する。
当該アクリル系粘着剤としては、主成分となる(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、第二のモノマー成分として架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーと、必要に応じて第三のモノマー成分との共重合体を含む共重合組成物が、架橋処理のしやすさの観点から好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、アルキル基の炭素数が1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル等)である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、アルキル基の炭素数が4〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなど)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、常温で粘着性を与えるために、重合体のガラス転移温度が低くなるモノマーの使用がさらに好適であることから、アルキル基の炭素数が4〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、へキシル、シクロヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシルなど、好ましくは、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、特に好ましくは2−エチルヘキシル)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。具体的にはアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸シクロへキシルなどがより好ましく、中でも、アクリル酸2−エチルへキシルが最も好ましい。
【0028】
第二のモノマー成分として、架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーが用いられる。架橋反応に関与できる官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、ビニル基等が挙げられ、水酸基及びカルボキシル基が好ましい。架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマーとして、具体的にはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸などが挙げられる。これらのうち、入手の容易性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート(特に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)が好ましい。これらの第二のモノマー成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
粘着剤層の凝集力調整や、ニコチンフリー塩基の溶解性・放出性の調整のために第三のモノマー成分を用いてもよい。第三のモノマー成分としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニルアミド類;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステルなどのアルコキシル基含有モノマー;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー(第三のモノマー成分としての使用なので架橋点とはしない);(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;スチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルモルホリンなどのビニル系モノマーなどが挙げられる。これらの第三のモノマー成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
当該アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、第二のモノマー(架橋反応に関与できる官能基を有するビニルモノマー)を、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:第二のモノマー=40〜99.9:0.1〜10の重量比で配合して共重合させることが好ましい。
必要に応じて第三のモノマー成分を含む場合は、当該アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、第二のモノマー、第三のモノマーを、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:第二のモノマー:第三のモノマー=40〜99.9:0.1〜10:0〜50の重量比で配合して共重合させることが好ましく、60〜95:3〜5:15〜30の重量比で共重合させることがより好ましい。
重合反応は、自体公知の方法で行えばよく特に限定されないが、例えば、上記のモノマーを、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなど)を添加して、溶媒(例えば、酢酸エチルなど)中で、50〜70℃で5〜48時間反応させる方法が挙げられる。
本発明では、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてアクリル酸2−エチルヘキシル、第二のモノマーとしてアクリル酸及び/又はアクリル酸2−ヒドロキシエチルを組み合わせて用いることが好ましい。
【0031】
本発明では、上記粘着剤と液状成分との混合物に架橋処理を施して、ヒト皮膚に適応される際に適度な凝集力を提供する。架橋処理は、架橋剤を用いた化学的架橋処理や、γ線のような電子線照射や紫外線照射などを用いた物理的架橋処理等により行うことができる。当該架橋処理は、当分野で一般的に行われている手法により行うことができる。
【0032】
化学的架橋処理に用いられる架橋剤としては、イソシアネート系化合物(例えば、コロネートHL(商品名、日本ポリウレタン製)など)、金属キレート化合物(例えば、チタン、ジルコニウム、亜鉛又はアルミニウムからなる金属キレート化合物、具体的にはアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(例えば、ALCH、商品名、川研ファインケミカル製)など)、有機過酸化物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、金属アルコラート等が挙げられ、反応性や取り扱い性の観点から、イソシアネート化合物(例えば、コロネートHL(商品名、日本ポリウレタン製)など);チタン、ジルコニウム、亜鉛又はアルミニウムからなる金属キレート化合物(特に、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(例えば、ALCH(商品名、川研ファインケミカル製))など)が好適である。これらの架橋剤は塗工、乾燥までは溶液の増粘現象を起こさず、極めて作業性に優れる。
【0033】
架橋剤の配合量は粘着剤100重量部に対し0.01〜5重量部程度である。0.01重量部より少ないと架橋点が少なすぎて粘着剤層に充分な凝集力が付与できず、剥離時に凝集破壊に起因する糊残りや強い皮膚刺激が発現するおそれがあり、5重量部より多いと、凝集力は大きいが充分な皮膚接着力が得られなくなる場合があり、未反応の開始剤の残留によって皮膚刺激やニコチンフリー塩基の分解がおこるおそれがある。
【0034】
化学的架橋処理は、架橋剤の添加後、架橋反応温度以上に加熱することにより行うことができ、このときの加熱温度は、架橋剤の種類に応じて適宜選択されるが、乾燥工程の加熱時に、乾燥と並行して架橋反応が起こる方が、製造工程が簡易になるため、加熱温度として好ましくは50〜140℃であり、より好ましくは60〜100℃である。加熱時間としては、好ましくは1日〜1週間であり、より好ましくは1日〜3日である。
【0035】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤の粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、通常40〜300μm、好ましくは50〜200μmである。
【0036】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は、通常、支持体、粘着剤層及び剥離ライナーを備える。すなわち、本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は、前述の粘着剤層を支持体上に積層した構造を有し、粘着剤層の粘着面(粘着剤層の支持体を積層した面と反対の面)は、使用の直前まで剥離ライナーで被覆して保護されていることが好ましい。また、シリコーン系、フッ素系、ワックス等の背面処理剤を支持体上に塗布し、剥離ライナーを用いずにロール状の形態とすることもできる。
【0037】
支持体としては、特に限定されず、公知の支持体を用いることができるが、粘着剤層に含有されるニコチンフリー塩基が支持体を通って背面から失われて含量低下を起こさないもの、即ちニコチンフリー塩基が不透過性の材質からなるものが好ましい。具体的にはポリエステル、ナイロン、サラン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、金属箔、ポリエチレンテレフタレートなどの単独フィルム、及びこれらの1種または2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなどを用いることができる。これらのうち、支持体と粘着剤層との間の接着性(投錨性)を向上させるために、支持体を上記材質からなる無孔シートと下記の多孔シートとのラミネートシートとし、多孔シート側に粘着剤層を形成することが好ましい。
当該多孔シートとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものであれば特に限定されず、例えば紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布など)、上記のフィルム(例えば、ポリエステル、ナイロン、サラン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、金属箔、ポリエチレンテレフタレートなどの単独フィルム、及びこれらの1種または2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルムなど)に機械的に穿孔処理したシートなどが挙げられ、特に紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布など)が好ましい。多孔シートの厚みは投錨性向上及び粘着剤層の柔軟性を考慮すると通常10〜500μmの範囲とする。また、多孔シートとして織布や不織布を用いる場合、目付量を5〜50g/m、好ましくは8〜40g/mとすることが投錨力の向上の点からは好ましい。無孔シートと多孔シートとのラミネートシートとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエステル不織布またはポリエチレンテレフタレート不織布とのラミネートシートなどが挙げられる。
【0038】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤の支持体の厚みは、特に限定されないが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmである。
【0039】
剥離ライナーとしては、特に制限されず、公知の剥離ライナーを用いることができる。具体的には、剥離ライナーとしては、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が剥離ライナー用の基材の表面に形成された剥離ライナーや、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム、剥離ライナー用の基材の表面に、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材による剥離層を形成した構成の剥離ライナーなどが挙げられる。剥離ライナーの剥離面は、基材の片面のみであってもよく、両面であってもよい。
【0040】
このような剥離ライナーにおいて、剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、長鎖アルキル基含有ポリマー、シリコーンポリマー(シリコーン系剥離剤)、フッ素系ポリマー(フッ素系剥離剤)などの剥離剤が挙げられる。
剥離ライナー用の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムやこれらのフィルムに金属を蒸着した金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;金属箔などが挙げられる。
【0041】
また、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体又はランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなどを用いることができる。
【0042】
なお、前記剥離ライナー用の基材の表面に形成される剥離層は、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材を、前記剥離ライナー用の基材上に、ラミネート又はコーティングすることにより形成することができる。
剥離ライナーの厚み(全体厚)としては、特に限定するものではないが、例えば、15μm以上(好ましくは25〜500μm)の範囲から選択することができる。
【0043】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤の製造は、例えば、以下の方法で行われ、当該方法は予め形成した架橋処理された粘着剤層(架橋粘着剤層)に、ニコチンフリー塩基を直接接触させることによってニコチンフリー塩基を当該粘着剤層に含有させることに特徴がある。
ニコチンフリー塩基は毒性及び揮散性の高い薬物であり、加熱による乾燥は行い難いところ、当該方法によると、加熱が必要な粘着剤層の形成工程の後に、ニコチンフリー塩基のみを粘着層に塗工することから、塗工後に加熱乾燥の必要はなく、ニコチンフリー塩基の揮散の心配がない。
【0044】
粘着剤、粘着剤と相溶しうる液状成分、及び架橋剤(化学的架橋処理を施す場合)を加え、この混合溶液をよく撹拌したのち、支持体上及び/又は剥離ライナー上に塗布、乾燥して、支持体を有する粘着剤層及び/又は剥離ライナーを有する粘着剤層を形成する。乾燥温度としては、通常40〜120℃であり、好ましくは60〜100℃であり、乾燥時間としては、通常3〜30分であり好ましくは10〜15分である。
【0045】
ここで、剥離ライナー上に、上記混合溶液を塗布し、乾燥した後、形成された粘着剤層の粘着面に支持体及び/又は剥離ライナーを貼り合わせて、支持体を有する粘着剤層及び/又は剥離ライナーを有する粘着剤層を形成してもよい。
【0046】
その後、電子線照射、紫外線照射、又は前記の混合溶液に架橋剤を添加した場合は加熱等の架橋処理を行い、架橋粘着剤層を形成する。ただし、化学的架橋処理により、架橋を行う場合には、架橋反応に要する温度が乾燥温度以下である架橋剤を選択することにより、乾燥工程において乾燥と同時に架橋処理を行うことができる。この場合は、乾燥工程後に、架橋度を高めるために更に加熱してもよい。さらに加熱する場合の温度は通常50〜140℃、加熱時間は通常1日〜1週間である。
【0047】
架橋粘着剤層形成後、ニコチンフリー塩基(液体)を架橋粘着剤層に、塗布、含浸等により直接接触させる。好ましい態様としては、ニコチンフリー塩基(液体)を架橋粘着剤層に直接塗布する。
塗布は、ニコチンフリー塩基は水と同様の粘性を持つことから、公知の液体を薄膜塗工する技術を使用することができる。公知の液体を薄膜塗工する技術としては、特に印刷分野で用いられている方法が挙げられる。印刷分野で用いられている方法を用いる際に、粘度調整が必要である場合は、経皮吸収性や粘着物性に影響しない程度に添加物を加えてもよい。
【0048】
印刷分野で用いられている方法の例としては、直接滴下による方法、グラビアコーター、フレキソコーター、カレンダーコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、ファウンテンコーター、ダイコーター、スリットダイコーター、インクジェットなどを用いる方法が挙げられる。これらの方法は一般に精度の要求される薄膜塗工に適応できる方法であり、本発明のように薬物の含量均一性が要求される場合は塗工精度の高い塗工方法を用いることが有利である。更に今回ニコチンフリー塩基をそのまま塗工液として用いるので、低粘度の塗工液でも高い塗工精度が達成できる塗工方式であることが好ましい。そのような観点から、グラビアコーター又はフレキソコーターを用いる方法が好ましい。また、印刷的手法の場合には粘着剤層表面にパターン塗工を容易に行うことができ、経済的にも有利である。
【0049】
塗布後、ニコチンフリー塩基が塗布された架橋粘着剤層が支持体を有している場合には、該架橋粘着剤層の粘着面と、剥離ライナー又は剥離ライナーを有する架橋粘着剤層の粘着面とを貼り合わせ、本発明のニコチン含有経皮吸収製剤を作製することができる。ニコチンフリー塩基が塗布された架橋粘着剤層が剥離ライナーを有している場合には、該架橋粘着剤層の粘着面と支持体又は支持体を有する架橋粘着剤層の粘着面とを貼り合わせ、本発明のニコチン含有経皮吸収製剤を作製することができる。ニコチンフリー塩基が塗布された支持体を有している架橋粘着剤層の粘着面とニコチンフリー塩基が塗布された剥離ライナーを有する架橋粘着剤層の粘着面とを貼り合わせて、本発明のニコチン含有経皮吸収製剤を作製してもよい。
【0050】
これらのうち、支持体上に形成した架橋粘着剤層の粘着面にニコチンフリー塩基を塗布した後、該粘着面に剥離ライナーを貼り合わせる方法又は剥離ライナー上に形成した架橋粘着剤層の粘着面と支持体上に形成した架橋粘着剤層の粘着面のいずれか一方または両方にニコチンフリー塩基を塗布した後、これらの粘着面同士を貼り合わせる方法が好ましい。
粘着剤層は予め架橋処理されているため、支持体との接着性が低くなっている。従って、剥離ライナー上に形成した架橋粘着剤層の粘着面にニコチンフリー塩基を塗布して、その後に支持体を貼り付けることは、粘着剤層と支持体との投錨性に大きな影響を与える可能性があるため好ましくない。
【0051】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤の形状、大きさは、特に限定されず、貼付部位等に合わせて任意の形状、大きさとすればよい。形状としては、例えば、テープ状、シート状等を含む。製剤の大きさは、例えば5〜30cmが挙げられる。
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は、皮膚への貼付の直前まで粘着剤層の粘着面を剥離ライナーで被覆し、保護することが好ましい。そして使用時にこれを剥離して粘着面を露出させ、貼付部位に貼付してニコチンフリー塩基を投与する。
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は、喫煙者(特に、禁煙希望者)に対し、習慣的禁煙を抑制するための、従来実施されている又は将来実施される禁煙プログラムに沿ったニコチン補充療法などに用いることができる。
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤によるニコチンフリー塩基の投与量は、患者の年齢、体重、疾患の重症度等により異なるが、通常、成人に対してニコチンフリー塩基5〜120mgを含有した経皮吸収製剤を皮膚5〜30cmに、0.5〜2日あたり1回程度貼付する。
【実施例】
【0052】
以下に本発明の実施例を示し本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例に本発明は限定されない。なお特に断りのない限り以下において、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0053】
(実施例1〜5)
窒素雰囲気下で、アクリル酸2−エチルへキシル95部、アクリル酸5部、酢酸エチル100部及び過酸化ベンゾイル(BPO、日本油脂製、商品名ナイパーBW)0.2部を還流冷却器、撹拌機、温度計、滴下漏斗及び窒素導入管付きのセパラブルフラスコ中にて、60℃で15時間、重合反応させて粘着剤溶液(以下、粘着剤溶液Aという。)を調製した。得られた粘着剤溶液Aを、粘着剤固形分49.93、54.923、59.916、64.909、69.902部換算の量をそれぞれ反応容器に量りとり、各反応容器に、ミリスチン酸イソプロピルを粘着剤固形分に対しそれぞれ50、45、40、35、30部を添加し、更に架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン製)をそれぞれ0.07、0.077、0.084、0.091、0.098部(粘着剤に対し0.14%)を添加し、よく撹拌した。得られた溶液は、それぞれ、以下に述べる実施例1〜5の架橋粘着剤層の調製に用いた。
得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエステルフィルム製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが120μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側の面とを貼り合せて、積層体(以下、積層体1という。)を作製した。それとは別に、上記と同様の方法で上記の剥離ライナー上に形成した粘着剤層の粘着面に、剥離処理した紙製の剥離ライナーの剥離処理した面を貼り合わせて、積層体(以下、積層体2という。)を作製した。積層体1及び積層体2を密封して60℃で48時間放置し、架橋粘着剤層を形成した。その後、積層体2の紙製の剥離ライナーを剥して粘着面を露出させ、フレキソ印刷用コーター(RK Print Coat Instruments Ltd.製、商品名:K−ロックスプルーフア)に彫刻ローラー(塗布量:計算値1.8mg/cm)をセットし、ニコチンフリー塩基(Sigma製)を積層体2の架橋粘着剤層の粘着面に直接塗布した。塗工速度は0.1m/分の一定速度とした。次に、積層体1のポリエステルフィルム製の剥離ライナーを剥して露出させた粘着面と、上記積層体2のニコチンフリー塩基を塗布した架橋粘着剤層の粘着面とを貼り合わせ、実施例1〜5のニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0054】
(実施例6〜10)
実施例1において、ミリスチン酸イソプロピルの代わりにココナードMT(花王製、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド)を用い、粘着剤溶液Aを粘着剤固形分としてそれぞれ49.93、54.923、59.916、64.909、69.902部換算の量、ココナードMTを粘着剤固形分に対しそれぞれ50、45、40、35、30部、コロネートHLをそれぞれ0.07、0.077、0.084、0.091、0.098部(粘着剤に対し0.14%)とした以外は実施例1と同様にして実施例6〜10のニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0055】
(実施例11〜14)
アクリル酸2−エチルヘキシル/酢酸ビニル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル=78/16/6(重量比)(DURO−TAK2196、ナショナルスターチ製)を粘着剤固形分79.68、69.72、59.76、49.80部換算の量をそれぞれ反応容器に量りとり、各反応容器に、ココナードMT(花王製、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド)を粘着剤固形分に対しそれぞれ20、30、40、50部を添加し、更に架橋剤としてALCH(川研ファインケミカルズ製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)をそれぞれ0.32、0.28、0.24、0.20部(粘着剤に対し0.4%)を添加し、よく撹拌した。得られた溶液は、それぞれ、以下に述べる実施例11〜14の架橋粘着剤層の調製に用いた。
得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエステルフィルム製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側の面とを貼り合せて、積層体を作製した。得られた積層体を密封して60℃で48時間放置し、架橋粘着剤層を形成した。その後、積層体の剥離ライナーを剥して粘着面を露出させ、フレキソ印刷用コーター(RK Print Coat Instruments Ltd.製、商品名:K−ロックスプルーフア)に彫刻ローラー(塗布量:計算値1.75mg/cm)をセットし、ニコチンフリー塩基(Sigma製)を架橋粘着剤層の粘着面に直接塗布した。塗工速度は0.1m/分の一定速度とした。ニコチンフリー塩基を、粘着剤層に含浸させた後、粘着面をポリエステルフィルム製の剥離ライナーで被覆し、実施例11〜14のニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0056】
(実施例15)
窒素雰囲気下で、フラスコ内にアクリル酸2−エチルへキシル72部、N−ビニル−2−ピロリドン25部、アクリル酸3部を仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.3部を添加し重合を開始させた。撹拌速度と外浴温度の調節、および酢酸エチルの滴下によって内浴温度を58〜62℃に制御し、重合反応を行い、粘着剤溶液を調製した。
得られた粘着剤溶液を、粘着剤固形分59.82部換算の量を反応容器に量りとり、該反応容器に、ココナードMT(花王製,カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド)を粘着剤固形分に対し40部を添加し、更に架橋剤としてALCH(川研ファインケミカルズ製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)を0.18部(粘着剤に対し0.3%)を添加し、よく撹拌した。得られた溶液は、以下に述べる実施例15の架橋粘着剤層の調製に用いた。
得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエステルフィルム製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側の面とを貼り合せて、積層体を作製した。該積層体を密封して60℃で48時間放置し、架橋粘着剤層を形成した。その後、該積層体の剥離ライナーを剥して粘着面を露出させ、フレキソ印刷用コーター(RK Print Coat Instruments Ltd.製、商品名:K−ロックスプルーフア)にバーコーターNo.10(膜厚:約22.9μm)をセットし、バーコーターでステンレス板上にニコチンフリー塩基を均一に塗布した後、架橋粘着剤層の粘着面を貼り合わせ、ニコチンフリー塩基(Sigma製)1.75mg/cmを架橋粘着剤層に含浸させた。次にポリエステルフィルム製の剥離ライナーと、上記積層体のニコチンフリー塩基を塗布した架橋粘着剤層の粘着面とを貼り合せ、実施例15のニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0057】
(実施例16)
実施例15において、粘着剤層の乾燥後の厚みが40μmの代わりに80μmとし、使用するバーコーターにNo.10(膜厚:約22.9μm)とNo.3(膜厚:約6.87μm)を使用し、まずNo.10(膜厚:約22.9μm)バーコーターを使用しニコチンフリー塩基(Sigma製)を架橋粘着剤層に含浸させた後、更にNo.3(膜厚:約6.87μm)バーコーターを使用しニコチンフリー塩基(Sigma製)(3.93mg/cm)を架橋粘着剤層に含浸させた以外は実施例15と同様にして実施例16のニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0058】
(実施例17)
実施例16において、粘着剤層の乾燥後の厚みが80μmの代わりに40μmとした以外は実施例16と同様にして実施例17のニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0059】
(実施例18)
窒素雰囲気下でフラスコ内にアクリル酸2−エチルヘキシルエステル72部、N−ビニル−2−ピロリドン25部、アクリル酸3部を仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.3部を添加し重合を開始させた。撹拌速度と外浴温度の調節、および酢酸エチルの滴下によって、内浴温度を58〜62℃に制御し、重合反応を行い、粘着剤溶液を調製した。
上記粘着剤溶液を粘着剤固形分59.82部換算の量をとり、ミリスチン酸イソプロピルを粘着剤固形分に対し20部、ココナードMT(花王製、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド)を粘着剤固形分に対し20部添加し、更に架橋剤としてALCH(川研ファインケミカルズ製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)を0.18部(粘着剤に対し0.3%)添加し、よく撹拌した。
得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナー上に60μmとなるように塗布、70℃2分乾燥後、さらに90℃2分乾燥して粘着剤層を形成した。ポリエチレンテレフタレート不織布(目付け量12g/m)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形した支持体の不織布側を、粘着剤層に貼り合せた。その後、密封して60℃で48時間放置し、粘着剤層を調製した。
その後、剥離ライナーを剥しながらダイコーターを用いて、ニコチンフリー塩基を1.8g/cmとなるように粘着剤層に塗布した。ニコチン塗布面上にポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーを貼り合わせ、幅100mm、長さ10mのニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0060】
(実施例19〜22)
窒素雰囲気下で、フラスコ内にアクリル酸2−エチルへキシル72部、N−ビニル−2−ピロリドン25部、アクリル酸3部を仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.3部を添加し重合を開始させた。撹拌速度と外浴温度の調節、および酢酸エチルの滴下によって内浴温度を58〜62℃に制御し、重合反応を行い、粘着剤溶液を調製した。
得られた粘着剤溶液を、粘着剤固形分59.82部換算の量を各反応容器にそれぞれ量りとり、該反応容器に、ミリスチン酸イソプロピルおよび/またはココナードMT(花王製、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド)を、粘着剤固形分に対し、ミリスチン酸イソプロピル40部(実施例19)、ミリスチン酸イソプロピル20部およびココナードMT20部(実施例20)、ミリスチン酸イソプロピル10部およびココナードMT30部(実施例21)、ココナードMT40部(実施例22)を、それぞれ添加し、更に架橋剤としてALCH(川研ファインケミカルズ製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)を0.18部(粘着剤に対し0.3%)をそれぞれ添加し、よく撹拌した。得られた各溶液は、以下に述べる実施例19〜22の架橋粘着剤層の調製に用いた。
得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエステルフィルム製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側の面とを貼り合せて、積層体を作製した。該積層体を密封して60℃で48時間放置し、架橋粘着剤層を形成した。その後、該積層体の剥離ライナーを剥して粘着面を露出させ、フレキソ印刷用コーター(RK Print Coat Instruments Ltd.製、商品名:K−ロックスプルーフア)にバーコーターNo.10(膜厚:約22.9μm)をセットし、バーコーターでステンレス板上にニコチンフリー塩基を均一に塗布した後、架橋粘着剤層の粘着面を貼り合わせ、ニコチンフリー塩基(Sigma製)1.8mg/cmを架橋粘着剤層に含浸させた。次にポリエステルフィルム製の剥離ライナーと、上記積層体のニコチンフリー塩基を塗布した架橋粘着剤層の粘着面とを貼り合せ、実施例19〜22のニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0061】
(比較例1)
実施例1において、粘着剤溶液Aの粘着剤固形分換算量を89.874部、ミリスチン酸イソプロピルを10部、コロネートHLを0.126部とした以外は実施例1と同様にしてニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0062】
(比較例2)
比較例1において、ミリスチン酸イソプロピルの代わりにココナードMT(花王製、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド)とした以外は比較例1と同様にしてニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0063】
(比較例3)
比較例1において、ミリスチン酸イソプロピル10部の代わりに80部とし、粘着剤溶液Aの粘着剤固形分換算量89.874部の代わりに19.97部とし、コロネートHL0.126部の代わりに0.03部とした以外は、比較例1と同様にしてニコチン含有経皮吸収製剤を得た。
【0064】
(試験例1)〔製剤の評価〕
実施例1〜10及び比較例1〜3で得られたニコチン含有経皮吸収製剤(サンプル)について以下の評価を行った。
接着性評価 接着力
サンプルを幅24mm、長さ80mmに裁断し、幅30mm、長さ150mm、厚さ2mmのフェノール樹脂製の試験板に一端を合わせて速やかに貼り付けた。直ちに重量850gのゴムローラーを1分間300mmの速さでサンプルの上を2回通過させた。これを23±2℃で30分間放置した後、サンプルを貼り付けた一端を約5mm剥がして180°角に折り返し、補助紙を貼り付けて長さを延長した後、引張り試験機(EZTest、島津製作所製)を用い、補助紙の一端は試験機の上部に、試験板は試験機の下部に留め金で堅く挟み、1分間300mmの速さで連続して引き剥がし、加重を測定した。
【0065】
剥離時の痛みの評価
健全なボランティア6名の上腕部に10cmに成型したサンプルを24時間貼付した後、サンプルを皮膚から剥離する時の痛みを5段階の評価スコアで評価した。
1:全く痛くない 2:ごく僅か痛い
3:僅か痛い 4:少し痛い
5:非常に痛い
【0066】
取り出し性の評価
サンプルを20cmに打ち抜き、ポリエチレン/アルミ/ポリアクリロニトリル樹脂のラミネートフィルムからなるパウチ(5cm×5cm)に密閉した。その後、室温及び40℃で保存した後、包装からのサンプルの取り出し性を観察した。
取り出し性の評価では、サンプルが包装から何の問題もなく取り出せる場合は問題なしと記載し、粘着剤がサンプルのエッジ部よりはみ出すことによってパウチ内面にサンプルが付着し、包装からの取り出しが困難な場合はその旨を記載した。
【0067】
接着性評価、剥離時の痛みの評価、取り出し性の評価の結果を表1に示す。表1の結果から、実施例1〜10のニコチン含有経皮吸収製剤は、特定範囲の配合割合の粘着剤と相溶しうる液状成分を含むことで、貼付中の固定性及びソフト感が良好であることが示された。
【0068】
【表1】


【0069】
(試験例2)ニコチン含有量の定量
10cmに成型した実施例1〜22のニコチン含有経皮吸収製剤をメタノール中で抽出し、抽出液中のニコチンフリー塩基含有量を、逆相HPLCを用いて定量し、製剤1cmあたりのニコチンフリー塩基含有量(3例の平均値)及び粘着剤層中のニコチンフリー塩基含有率(3例の平均値)を算出した。結果を表2に示す。表中、SDは標準偏差を表す。
【0070】
【表2】


【0071】
(試験例3〜6)
下記試験例3〜6のヘビ脱皮殻透過性試験、ヘアレスマウス皮膚透過性試験を以下の方法により行った。
〔ヘビ脱皮殻透過性試験〕
透過装置:全自動フロースルー拡散セル装置(バンガードインターナショナル製)
サンプル面積:0.2826cm
レセプター液:リン酸緩衝液(pH=7.4)、0.02%アジ化ナトリウム含む
流量:約10mL/4hr/cell(ポンプ回転数:20rpm)
十分に水和させ2.5434cmの大きさに打ち抜いたヘビ脱皮皮膚(アフリカニシキヘビ)の外側(滑面側)の中央に製剤(サンプル)を貼付し、透過セルにセットした。32℃に保温したレセプター液を流しフラクションコレクターを作動させ実験を開始した。1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24時間ごとにレセプター液を回収した。回収したレセプター液のニコチンフリー塩基含有量はHPLC法を用いて定量した。単位時間(h)、単位面積(cm)当たりの薬物透過量(μg/cm/h)及び単位面積当たりの積算透過量(μg/cm)を算出した。
〔ヘアレスマウス皮膚透過性試験〕
透過装置:たて型パームセルTP−20(ビードレックス製)
サンプル面積:2.0096cm
レセプター液:リン酸緩衝液(pH=7.4)、0.02%アジ化ナトリウム含む
ヘアレスマウス皮膚の中央に製剤(サンプル)を貼付し、直ちに透過セルにセットした。セル内に32℃に加温したレセプター液約20mlを、気泡が残らないように入れた。恒温槽から32℃の還流液をセルのジャケットに供給し、32℃の雰囲気下でセル内をスターラーで激しく撹拌した。試験開始より20分、40分、60分、100分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、24時間ごとにセル内のレセプター液を全て回収し、新たに32℃に加温したレセプター液20mlをセル内に添加した。回収したレセプター液のニコチンフリー塩基含有量はHPLC法を用いて定量した。単位時間(h)、単位面積(cm)当たりの薬物透過量(μg/cm/h)及び単位面積当たりの積算透過量(μg/cm)を算出した。
(試験例3)透過性試験
実施例1〜10のニコチン含有経皮吸収製剤(サンプル)の薬物透過性を、ヘビ脱皮殻(アフリカニシキヘビ)を用いて評価した。コントロールとして、ニコチン含有経皮吸収製剤ニコチネルTTS(ノヴァルティス製)を用いた。結果を図1〜4に示す。結果は3回の平均値である。
【0072】
(試験例4)透過性試験
実施例11〜14のニコチン含有経皮吸収製剤(サンプル)の薬物透過性を、ヘアレスマウス摘出皮膚を用いて評価した。コントロールとして、ニコチン含有経皮吸収製剤ニコチネルTTS(ノヴァルティス製)を用いた。結果を図5〜6に示す。結果は6回の平均値である。
【0073】
(試験例5)透過性試験
実施例15〜17のニコチン含有経皮吸収製剤(サンプル)の薬物透過性を、ヘアレスマウス摘出皮膚を用いて評価した。コントロールとして、ニコチン含有経皮吸収製剤ニコダーム(NicoDerm) CQクリア(ALZA製)を用いた。結果を図7〜8に示す。結果は3回の平均値である。
【0074】
(試験例6)透過性試験
実施例18〜22のニコチン含有経皮吸収製剤(サンプル)の薬物透過性を、ヘアレスマウス摘出皮膚(インタクト(intact))を用いて評価した。実施例18については、コントロールとして、ニコチン含有経皮吸収製剤ニコダーム CQクリア(ALZA製)を用いた(図9)。結果を図9〜11に示す。結果は3回の平均値である。
【0075】
上記で示されたように、本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は皮膚貼付特性が非常に良好であり、また、比較例の製剤に比べ、剥離時の痛みが顕著に少ない。このような特性は、毎日貼付するようなニコチン含有経皮吸収製剤には好適である。また、使用時の脱落のおそれも少なく、非常に経済的である。
また、ニコチン透過性試験では、コントロールのニコチネルTTS、ニコダーム CQクリアと同等又はそれ以上の透過性を示した。
さらに、図10および11の結果から明らかなように、特に、ミリスチン酸イソプロピルとカプリル酸・カプリン酸トリグリセリドとの共存系を用いた場合(実施例20および21)は、高すぎることなく、低すぎることもない適度な経皮吸収性が得られることが示された。このことは、ミリスチン酸イソプロピルと、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリドとの共存系が、ある種の適用、例えば1日1回貼付プログラムにおいて有利であることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のニコチン含有経皮吸収製剤は、良好な粘着性と凝集力を有し、剥離時の皮膚への低刺激性と良好な貼付感が両立されているため、禁煙希望者への、特に現在行われている禁煙プログラムに沿った使用に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、試験例3における、実施例1〜5及びコントロールの製剤のヘビ脱皮殻透過性試験(透過流束(Flux))の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、試験例3における、実施例6〜10及びコントロールの製剤のヘビ脱皮殻透過性試験(透過流束(Flux))の結果を示すグラフである。
【図3】図3は、試験例3における、実施例1〜5及びコントロールの製剤のヘビ脱皮殻透過性試験(累積透過量)の結果を示すグラフである。
【図4】図4は、試験例3における、実施例6〜10及びコントロールの製剤のヘビ脱皮殻透過性試験(累積透過量)の結果を示すグラフである。
【図5】図5は、試験例4における、実施例11〜14及びコントロールの製剤のヘアレスマウス摘出皮膚透過性試験(透過流束(Flux))の結果を示すグラフである。
【図6】図6は、試験例4における、実施例11〜14及びコントロールの製剤のヘアレスマウス摘出皮膚透過性試験(累積透過量)の結果を示すグラフである。
【図7】図7は、試験例5における、実施例15〜17及びコントロールの製剤のヘアレスマウス摘出皮膚透過性試験(透過流束(Flux))の結果を示すグラフである。
【図8】図8は、試験例5における、実施例15〜17及びコントロールの製剤のヘアレスマウス摘出皮膚透過性試験(累積透過量)の結果を示すグラフである。
【図9】図9は、試験例6における、実施例18及びコントロールの製剤のヘアレスマウス摘出皮膚透過性試験(透過流束(Flux))の結果を示すグラフである。
【図10】図10は、試験例6における、実施例19〜22の製剤のヘアレスマウス摘出皮膚透過性試験(透過流束(Flux))の結果を示すグラフである。
【図11】図11は、試験例6における、実施例19〜22の製剤のヘアレスマウス摘出皮膚透過性試験(累積透過量)の結果を示すグラフである。




 

 


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