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発明の名称 コーティングされた外科用針
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−195974(P2007−195974A)
公開日 平成19年8月9日(2007.8.9)
出願番号 特願2007−12051(P2007−12051)
出願日 平成19年1月22日(2007.1.22)
代理人 【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
発明者 マーク エス. ロビー
要約 課題
外科手術の間に各外科用針が組織を通過する際に、与えられる疼痛の量を減少させる、コーティングされた外科用針を提供すること。

解決手段
表面にコーティングを有する外科用針であって、該コーティングは、少なくとも1種の麻酔物質を含有するコーティング組成物から形成される、外科用針であって、上述の麻酔物質が、アムブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、左旋性ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリシカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、コカエチレン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジクロニン、エコグニジンなどからなるからなる群より選択される、外科用針。
特許請求の範囲
【請求項1】
表面にコーティングを有する外科用針であって、該コーティングは、少なくとも1種の麻酔物質を含有するコーティング組成物から形成される、外科用針。
【請求項2】
前記麻酔物質が、アムブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート(benoxinate)、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、左旋性ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン(butamben)、ブタニリシカイン(butanilicicaine)、ブテタミン(butethamine)、ブトキシカイン(butoxycaine)、カルチカイン、コカエチレン(cocaethylene)、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン(dimethisoquin)、ジメトカイン(dimethocaine)、ジペロドン、ジクロニン、エコグニジン(ecgonidine)、エクゴニン、アミノ安息香酸エチル、塩化エチル、左旋性エチドカイン、エチドカイン、右旋性エチドカイン、β−オイカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシプロカイン、ヒドロキシテトラカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メペリジン、左旋性メピバカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン(metabutoxycaine)、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペコロキシリジド(pipecoloxylidide)、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、サメリジン(sameridine)、プリロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、シュードコカイン(pseudococaine)、ピロカイン、キニーネ尿素(quinine urea)、リソカイン、ロピバカイン、左旋性ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ベラトリジン、ゾラミン、2−アルキル−2−アルキルアミノ−2’,6’−アセトキシリジド化合物、グリセロール1,2−ビス−アミノアルキルエーテル化合物、ベンゾイソオキサゾール化合物、O−アミノアルキルサリチレート化合物、複素環式フェノキシアミン化合物、2−置換イミダゾ[1,2−a]ピリジン化合物、3−アリール置換イミダゾ[1,2−a]ピリジン化合物、ポリオルガノホスファゼン化合物、第三級アルキルアミノ−低級アシル−キシリジド化合物、アミジノウレア化合物、リンコマイシン化合物の3−(5’−アデニレート)、クリンダマイシン化合物の3−(5’−アデニレート)、1−(4’−アルキルスルホニルフェニル)−2−アミノ−1,3−プロパンジオール化合物のN−置換誘導体、第三級アミノアルコキシフェニルエーテル化合物、アデノシン化合物、アデノシン、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、もしくはアデノシン三リン酸、ラウリルポリグリコールエーテル化合物、2−(ω−アルキルアミノアルキル)−3−(4−置換ベンジリデン)フタルイミド化合物、2−(ω−ジアルキルアミノアルキル)−3−(4−置換ベンジリデン)フタルイミド化合物、N,N,N−トリエチル−N−アルキルアンモニウム塩、L−N−n−プロピルピペコール酸−2,6−キシリジン化合物、1つ以上の局所麻酔部分の反復単位を含むポリマー、N−置換4−ピペリジンカルボキサミド化合物、N−置換4−フェニル−4−ピペリジンカルボキサミド化合物;これらの薬学的に受容可能な誘導体およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の外科用針。
【請求項3】
前記麻酔物質が、リドカインである、請求項1に記載の外科用針。
【請求項4】
前記麻酔物質が、ベンゾカインである、請求項1に記載の外科用針。
【請求項5】
前記コーティング組成物が、シリコーン、シロキサン、ポリオルガノシロキサン、ポリジオルガノシロキサン、シラン、アミノアルキルシロキサン、シクロシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ヒドロシクロシロキサン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含有する、請求項1に記載の外科用針。
【請求項6】
前記コーティング組成物が、シリコーンを含有する、請求項5に記載の外科用針。
【請求項7】
前記コーティング組成物が、少なくとも1種の溶媒をさらに含有する、請求項1に記載の外科用針。
【請求項8】
外科用針をコーティングする方法であって、
外科用針を提供する工程;および
請求項1のコーティング組成物を該外科用針に塗布する工程、
を包含する、方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、外科用針に関する。より特定すると、本開示は、少なくとも1種の麻酔剤を含有するコーティング組成物を使用して、同じ組織または類似の組織の穿刺の際に標準的な外科用針によって与えられる疼痛と比較して、患者に与えられる疼痛を減少させる、コーティングされた外科用針に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品の金属製の切断縁部(例えば、かみそりの刃、皮下注射針、鋏、小刀、およびキューレット)のシリコーン処理は、公知である。例えば、Dow Coming CorporationのDow Coming(登録商標) MDX4−4159 Fluidが、Stoddard溶媒およびイソプロピルアルコールの混合物に溶解した、アミノアルキルシロキサンおよびシクロシロキサンの、周囲温度で水分により硬化可能な混合物を用いて、切断縁部をシリコーン処理するために使用されている。
【0003】
特許文献1(この内容は、本明細書中に参考として援用される)は、アミノアルキルシロキサン(特に、(ポリアミノアルキル)アルコキシシラン)およびジメチルポリシロキサンから作製される、共重合可能なシリコーンの混合物を含有するシリコーン処理流体を使用する、切断縁部のシリコーンコーティングを開示する。
【0004】
他の例としては、特許文献2および特許文献3が挙げられ、これらは、超音波放射を使用して、アミノアルキルシロキサンおよびシクロシロキサンを含有するシリコーン処理材料で外科用針をコーティングすることを開示する。
【0005】
なお別の例は、特許文献4であり、これは、(1)溶媒中の非常に高濃度のポリジメチルシロキサンを含有するコーティング溶液で針をコーティングして、平坦化コーティングを形成すること、(2)溶媒を第一のコーティングから蒸発させること;(3)平坦化コーティングを硬化させて、ポリジメチルシロキサンを重合させること;(4)アミノ官能基とアルコキシ官能基とを有するポリジメチルシロキサンおよび溶媒を含有する第二のコーティング溶液を、平坦化コート上に塗布すること;ならびに(5)溶媒を第二のコーティングから蒸発させることによる、外科用針のコーティングを開示する。
【特許文献1】米国特許第3,574,673号明細書
【特許文献2】米国特許第5,258,013号明細書
【特許文献3】米国特許第5,458,616号明細書
【特許文献4】米国特許第5,985,355号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外科手術の間に各外科用針が組織を通過する際に、与えられる疼痛の量を減少させる、コーティングされた外科用針を提供することが、有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下を提供する:
(1)表面にコーティングを有する外科用針であって、該コーティングは、少なくとも1種の麻酔物質を含有するコーティング組成物から形成される、外科用針。
(2)前記麻酔物質が、アムブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート(benoxinate)、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、左旋性ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン(butamben)、ブタニリシカイン(butanilicicaine)、ブテタミン(butethamine)、ブトキシカイン(butoxycaine)、カルチカイン、コカエチレン(cocaethylene)、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン(dimethisoquin)、ジメトカイン(dimethocaine)、ジペロドン、ジクロニン、エコグニジン(ecgonidine)、エクゴニン、アミノ安息香酸エチル、塩化エチル、左旋性エチドカイン、エチドカイン、右旋性エチドカイン、β−オイカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシプロカイン、ヒドロキシテトラカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メペリジン、左旋性メピバカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン(metabutoxycaine)、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペコロキシリジド(pipecoloxylidide)、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、サメリジン(sameridine)、プリロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、シュードコカイン(pseudococaine)、ピロカイン、キニーネ尿素(quinine urea)、リソカイン、ロピバカイン、左旋性ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ベラトリジン、ゾラミン、2−アルキル−2−アルキルアミノ−2’,6’−アセトキシリジド化合物、グリセロール1,2−ビス−アミノアルキルエーテル化合物、ベンゾイソオキサゾール化合物、O−アミノアルキルサリチレート化合物、複素環式フェノキシアミン化合物、2−置換イミダゾ[1,2−a]ピリジン化合物、3−アリール置換イミダゾ[1,2−a]ピリジン化合物、ポリオルガノホスファゼン化合物、第三級アルキルアミノ−低級アシル−キシリジド化合物、アミジノウレア化合物、リンコマイシン化合物の3−(5’−アデニレート)、クリンダマイシン化合物の3−(5’−アデニレート)、1−(4’−アルキルスルホニルフェニル)−2−アミノ−1,3−プロパンジオール化合物のN−置換誘導体、第三級アミノアルコキシフェニルエーテル化合物、アデノシン化合物、アデノシン、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、もしくはアデノシン三リン酸、ラウリルポリグリコールエーテル化合物、2−(ω−アルキルアミノアルキル)−3−(4−置換ベンジリデン)フタルイミド化合物、2−(ω−ジアルキルアミノアルキル)−3−(4−置換ベンジリデン)フタルイミド化合物、N,N,N−トリエチル−N−アルキルアンモニウム塩、L−N−n−プロピルピペコール酸−2,6−キシリジン化合物、1つ以上の局所麻酔部分の反復単位を含むポリマー、N−置換4−ピペリジンカルボキサミド化合物、N−置換4−フェニル−4−ピペリジンカルボキサミド化合物;これらの薬学的に受容可能な誘導体およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載の外科用針。
(3)前記麻酔物質が、リドカインである、項目1に記載の外科用針。
(4)前記麻酔物質が、ベンゾカインである、項目1に記載の外科用針。
(5)前記コーティング組成物が、シリコーン、シロキサン、ポリオルガノシロキサン、ポリジオルガノシロキサン、シラン、アミノアルキルシロキサン、シクロシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ヒドロシクロシロキサン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含有する、項目1に記載の外科用針。
(6)前記コーティング組成物が、シリコーンを含有する、項目5に記載の外科用針。
(7)前記コーティング組成物が、少なくとも1種の溶媒をさらに含有する、項目1に記載の外科用針。
(8)外科用針をコーティングする方法であって、
外科用針を提供する工程;および
項目1のコーティング組成物を該外科用針に塗布する工程、
を包含する、方法。
【0008】
また、本開示は、表面にコーティングを有する外科用針に関する。このコーティングは、少なくとも1種の麻酔剤を含有するコーティング組成物から形成される。
【0009】
(要旨)
少なくとも約10,000cpの粘度のコーティング混合物を提供するために充分な分子量を有する少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンと、少なくとも1種の他のシリコーン処理材料とを含有するコーティング混合物から誘導される、シリコーンコーティングは、外科用針に塗布されて、シリコーン処理された外科用針を提供し得、この針において、シリコーン処理された針は、標準的なシリコーン処理された外科用針よりも低い、平均組織穿孔力を示すことが見出された。本開示の1つの実施形態において、シリコーン処理された外科用針が提供される。このシリコーン処理された外科用針は、この針の表面に、少なくとも約10,000cpの粘度のコーティング混合物を提供するために充分な分子量を有する少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンと、少なくとも1種の他のシリコーン処理材料を含有する混合物を塗布すること、およびその後、このコーティング混合物を硬化させて、共重合したコーティングをこの針の表面に提供することによって、得られる。
【0010】
本開示の別の実施形態において、シリコーン処理された外科用針は、この針の表面に、ポリジアルキルシロキサンと、このポリジアルキルシロキサンと共有結合しない少なくとも1種のシリコーン処理材料とコーティング混合物を塗布すること、およびその後、このコーティング混合物を、シリコーン処理材料が架橋するような硬化条件に曝露し、これによって、このコーティング中のポリジアルキルシロキサンを結合して、相互貫入した網目構造を有するコーティングを提供することによって、得られ得る。
【0011】
表現「標準的なシリコーン処理された外科用針」または「標準的な針」とは、本明細書中において使用される場合、市販のシリコーン処理された外科用針(例えば、Ethicon,Inc.(Somerville,N.J.)によって販売される、縫合糸に取り付けられたシリコーン処理された外科用針)をいう。
【0012】
実施形態において、表面にコーティングを有する外科用針は、少なくとも1種の麻酔物質を含有するコーティング組成物から、形成され得る。
【0013】
縫合の間に組織の穿孔を達成するために必要とされる力の量は、最初は、本開示のコーティングされた外科用針と標準的な外科用針とについて、およそ同じであり得、そして両方の針が、各々が組織を通過するにつれて穿刺力の増加を経験する傾向があるが、任意の所定の回数のこのような通過の終わりに、本開示のコーティングされた針は、同じ組織または類似の組織の穿刺の際に標準的な外科用針によって与えられる疼痛と比較して、患者に対してより少ない疼痛を与える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、外科手術の間に各外科用針が組織を通過する際に、与えられる疼痛の量を減少させる、コーティングされた外科用針が提供された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(好ましい実施形態の説明)
シリコーン処理された外科用針は、本開示に従って製造される。外科用針を、少なくとも約10,000cpの粘度のコーティング混合物を提供するために充分な分子量を有する少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンと、少なくとも1種のシリコーン処理材料とを含有するコーティング混合物でコーティングすることによって、シリコーン処理された外科用針が提供され、このシリコーン処理された外科用針は、同じ組織、または実質的に同じ組織を同じ回数だけ通過した後に、標準的な外科用針と比較して、かなり減少した組織穿刺力を示す。従って、本明細書中のシリコーン処理された針の平均組織穿刺力(average tissue penetration force)は、同じ組織または類似の組織を約5回〜約20回通過した後の、標準的なシリコーン処理された針の平均組織穿刺力の、有利には、約10%未満であり、好ましくは、約20%であり、そしてより好ましくは、約30%未満である。
【0016】
本開示によるコーティング組成物でコーティングされ得る外科用針は、種々の金属から製造され得る。このような金属としては、例えば、400系ステンレス鋼および300系ステンレス鋼が挙げられる。外科用針の製造のための他の適切な材料としては、米国特許第3,767,385号および同第3,816,920号(これらの内容は、本明細書中に参考として援用される)に開示される、四成分合金が挙げられる。好ましい四成分合金は、以下の表Iに示される成分の範囲を有する:
【0017】
【表1】


【0018】
本開示のシリコーン処理された針のために利用され得る、表Iの別の好ましい四成分合金(MP35Nと指定される)は、ワイヤの形態で、Maryland Specialty Wire,Inc.(Cockeysville,Md.)から入手可能であり、そして(重量による通常分析で)ニッケル35%;コバルト35%;クロム20%およびモリブデン10%を含有する。
【0019】
一般に、少なくとも約10,000cpの粘度のコーティング混合物を提供するために十分な分子量を有する少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンと、少なくとも1種のシリコーン処理材料とを含有するコーティング混合物を、外科用針に塗布し、続いて硬化させることによって、本開示の要件に合う、シリコーン処理された外科用針を提供する。
【0020】
本明細書中のコーティング混合物を形成する際に使用するために適切なポリジアルキルシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン、ポリジブチルシロキサンなどであり、ポリジメチルシロキサンが好ましい。特に好ましいポリジメチルシロキサンは、少なくとも約10,000cp、そして好ましくは、少なくとも約30,000cpの粘度のコーティング混合物を提供するために充分な分子量を有する、ポリジメチルシロキサンである。本明細書中で使用するための、このようなポリジメチルシロキサンは、Dow Comingによって「Syl−Off DC 23」の名称で販売されている製品(これは、高密度に縮合可能なポリジメチルシロキサンとして適切である)、およびNuSiI Technologyによって「MED 1−4162」の名称で販売される製品(30,000cp)である。
【0021】
本開示のコーティング混合物を形成するために、上記ポリジアルキルシロキサンと共に添加するために適切な、シリコーン処理材料としては、アミノアルコキシシロキサンおよび少なくとも1種の他の共重合可能なシロキサン(例えば、アルキルポリシロキサンまたはシクロシロキサン);シリコーン油(例えば、Dow Coming CorporationによりDow 36 Medical Fluidの名称で販売されるもの(350〜12,500センチストーク)など)を含有するシリコーン処理材料が挙げられ、アミノアルキルシロキサンおよび少なくとも1種の他の共重合可能なシロキサンを含有するシリコーン処理材料が、好ましい。一般に、好ましいシリコーン処理材料は、(a)約5重量%〜約70重量%の、一般式:
【0022】
【化1】


【0023】
のアミノアルキルシロキサン(ここで、Rは、約6個以下の炭素原子を含む低級アルキル基であり;Yは、−OH基および−OR’基からなる群より選択され、R’は、約3個以下の炭素原子のアルキル基であり;Qは、水素、−CHおよび−CHCHNHからなる群より選択され;aは、0または1の値を有し、bは、0または1の値を有し、そしてa+bの合計は、0、1または2の値を有する);および(b)約30重量%〜約95重量%の、一般式:
【0024】
【化2】


【0025】
のメチル置換シロキサン(ここで、R”は、−OH基および−CH基からなる群より選択され、そしてcは、1または2の値を有する)を含有する。このシリコーン処理材料のこれらの2つの成分は、共重合して、針の表面に潤滑コーティングを形成する。
【0026】
上記第二の共重合可能なシロキサンに加えて、またはこのシロキサンの代わりに、1種以上のシクロシロキサン(例えば、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、Markら編、第2版、第15巻、John Wiley & Son(1989)、p.207以下参照(この内容は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるもの)を使用し得るが、但し、もちろん、第二の共重合可能なシロキサンの総量は、上記範囲内である。
【0027】
本明細書中で、コーティング混合物を形成するために上記ポリジメチルシロキサンと組み合わせて使用するために特に好ましいシリコーン処理材料は、Dow Corning CorporationのDow Coming(登録商標) MDX 4−4159 Fluid(「MDX Fluid」)であり、これは、Stoddard溶媒(ミネラルスピリット)とイソプロピルアルコールとの混合物中の、ジメチルシクロシロキサンとジメトキシシリルジメチルアミノエチルアミノプロピルシリコーンポリマーとの活性溶液である。別の好ましいシリコーン処理材料は、NuSiI TechnologyのMED−4159である。
【0028】
本開示の1つの実施形態において、コーティング混合物は、溶媒中の少なくとも1種の上記ポリジアルキルシロキサンの第一の溶液に、溶媒中の少なくとも1種の上記シリコーン処理材料の第二の溶液を添加することによって、形成され得る。好ましい条件下で、第一の溶液は、Syl−Off DC 23、MED1−4162または両方を、溶媒(例えば、約5〜約10個の炭素原子を有する炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、キシレン、塩素化溶媒、THF、ジオキサノンなど、およびこれらの混合物であり、ヘキサンが好ましい)に添加することによって、調製され得る。第一の溶液は、代表的に、Syl−Off DC 23またはMED1−4162と、ヘキサンとから形成され、Syl−Off DC 23またはMED1−4162は、約10g/l〜約70g/lの濃度範囲、好ましくは、約35g/l〜約45g/lの濃度範囲で存在する。
【0029】
第二の溶液は、これもまた好ましい条件下で、希薄有機溶液の形態で調製され得る。例えば、溶媒(例えば、約5〜約10個の炭素原子を有する炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、トリクロロトリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、ミネラルスピリット、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール)などおよびこれらの混合物)を用いて調製されるものである。MDX Fluid(または他のシリコーン処理材料)を、ヘキサンおよびイソプロピルアルコールで希釈することが好ましく、MDX Fluidは、約10g/l〜約80g/lの濃度範囲、好ましくは、約20g/l〜約40g/lの濃度範囲で存在する。好ましい実施形態において、シリコーン処理材料は、MED 1−4162とMDX Fluidとの混合物である。
【0030】
この混合物は、通常、溶媒中のポリジアルキルシロキサンの第一の溶媒に、溶媒中のシリコーン処理材料の第二の溶液を、約12:1〜約1:12の範囲、好ましくは、約6:1〜約1:6の範囲、そしてより好ましくは、約2:1〜約1:2の範囲の比で添加することによって、形成される。当業者が容易に理解するように、本明細書中の混合物を形成する際に必要とされる第一の溶液および第二の溶液の量は、所望の混合物の体積に依存して変動する。
【0031】
一旦、コーティング混合物が形成されると、この混合物は、当業者に公知の技術(浸漬、塗りつけ(wiping)、スプレー、全潜など)を使用して、上記針に塗布され得る。浸漬およびスプレーが、好ましい技術である。好ましくは、これらの針は、コーティング混合物中に、約5秒間〜約60秒間、好ましくは、約10秒間〜約45秒間、そしてより好ましくは、約15秒間〜約30秒間浸漬されて、これらの針の表面に、コーティングを形成する。あらゆる希釈剤または溶媒キャリアの蒸発後、シリコーン処理されたコーティングは、望ましい程度まで硬化される。
【0032】
このコーティングは、例えば、最初に、コーティングされた針を湿潤環境(例えば、加湿チャンバ)内に配置し、そしてこのコーティングされた針を、約10℃〜約50℃、好ましくは、約20℃〜約35℃の温度に、約20%〜約80%、好ましくは、約50%〜約65%の相対湿度で曝露することによって、硬化され得る。これらのコーティングされた針は、望ましい程度までの硬化を開始するため、そして改善された潤滑コーティングを提供するために、上記温度および湿度に曝露される。代表的に、約1時間〜約6時間の範囲の期間、好ましくは、約2時間〜約4時間の期間が、使用される。次いで、コーティングされた針は、例えば、炉またはオーブンに入れられ、そしてこれらの針を、約100℃〜約200℃、好ましくは、約110℃〜約150℃、より好ましくは、約115℃〜約150℃の温度まで、約2時間〜約48時間、好ましくは、約15時間〜約25時間の期間にわたって加熱することによって、硬化され、その結果、ポリジアルキルシロキサンとシリコーン処理材料との架橋が起こる。特に有用な実施形態において、コーティングされた針は、140℃の温度まで4時間、そして120℃の温度まで20時間、加熱される。
【0033】
本開示の別の実施形態において、本明細書中のコーティング混合物は、少なくとも、ポリジアルキルシロキサン、およびこのポリジアルキルシロキサンと共有結合しないシリコーン処理材料から形成される。シリコーン処理材料と共有結合しない、本明細書中での使用に適切なポリジメチルシロキサンは、NuSiI Technologyによって「MED−4162」の名称で販売されている製品である。一般に、この混合物は、溶媒中に少なくともポリジメチルシロキサンを含有する第一の溶液に、本明細書中上で議論された第二の溶液を添加することによって、形成される。第一の溶液は、好ましくは、ポリジメチルシロキサンMED−4162を、溶媒(例えば、約5〜約10個の炭素原子を有する炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、キシレンなど、およびこれらの混合物であり、ヘキサンが好ましい)中で使用して、形成される。第一の溶液を、ヘキサン中のMED−4162から、上で議論された第一の溶液とほぼ同じ範囲で形成し、次いで、第一の溶液と第二の溶液とを、上で議論された比とほぼ同じ比で添加して、コーティング混合物を形成することが、特に好ましい。一旦、この混合物が形成されると、この混合物は、上で議論されたものとほぼ同じ技術およびパラメータを使用して、外科用針の表面に塗布され得る。次いで、このコーティング混合物は、硬化条件(例えば、上で議論された硬化工程)に曝露され、その結果、シリコーン処理材料が重合して架橋し、これによって、このコーティング中のポリジメチルシロキサンが重なり、相互貫入する網目構造のコーティングが得られる。
【0034】
医学外科的に有用な1種以上の物質(例えば、粒子が外科的修復部位に適用される場合、治癒プロセスを加速するかまたは有利に改変する物質)が、コーティング混合物に組み込まれ得る。従って、例えば、この組成物は、修復部位に沈着され得る治療剤を含み得る。この治療剤は、その抗菌特性、修復もしくは再構築および/または新たな組織の成長を促進する能力によって選択され得る。組織内にゆっくりと放出される、スペクトルが広い抗生物質(ゲンタマイシン、エリスロマイシンまたは誘導体化された糖ペプチド)のような抗菌剤が、この様式で適用されて、組織修復部位における臨床上の感染または潜伏性の感染と戦うことを補助し得る。さらなる適切な抗生物質薬剤としては、β−ラクタム、キノロン、アミノグリコシド、抗体(例えば、セファロスポリン、ペニシリン(penecillin)、キノロン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、広スペクトルのマクロライド、アミノグリコシド、スルホンアミド、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、バンコマイシン、スペクチノマイシン、カルバペネム、モノバクタム、ストレプトグラミン(streptogramin)、ホスホマイシン、トロメタミンおよびテイコプラニン)、フシジン酸、ノボビオシン、ミノサイクリン、リファンピン(rifampin)およびポリミキシンが挙げられる。また適切なものは、殺生物薬(例えば、重金属(Ag、Zn、Cu、Ge)、これらの塩および誘導体;ビグアニド(例えば、クロルヘキシジン、アレキシジン、およびポリマービグアニド)、これらの塩および誘導体;フェノールおよびビスフェノール(例えば、トリクロサン(triclosan)およびヘキサクロロフェン)、これらの塩および誘導体;ハロゲン放出剤(例えば、ヨウ素およびヨウ素球(iodosphers);ならびに第四級アンモニウム化合物)である。修復および/または組織の成長を促進するために、1種または数種の成長促進因子(例えば、線維芽細胞増殖因子、骨成長因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、マクロファージ由来増殖因子、槽由来増殖因子(alveolar derived growth factor)、単球由来増殖因子、マガイニン(magainin)など)が、縫合糸に導入され得る。いくつかの治療指標は、組織または腎臓のプラスミノゲン活性化因子と一緒に血栓症を引き起こすグリセロール、組織を損傷するフリーラジカルを封鎖するスーパーオキシドジムスターゼ、癌治療のための腫瘍壊死因子、あるいは免疫系を増強するためのコロニー刺激因子およびインターフェロン、インターロイキン−2もしくは他のリンホカインである。この組成物はまた、消毒剤、抗炎症剤および麻酔剤を含有し得る。
【0035】
実施形態において、コーティング組成物は、少なくとも1種の麻酔物質を含有し得る。適切な麻酔物質としては、疼痛を減少させ得る任意の物質が挙げられる。いくつかの例としては、アムブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート(benoxinate)、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、左旋性ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン(butamben)、ブタニリシカイン(butanilicicaine)、ブテタミン(butethamine)、ブトキシカイン(butoxycaine)、カルチカイン、コカエチレン(cocaethylene)、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン(dimethisoquin)、ジメトカイン(dimethocaine)、ジペロドン、ジクロニン、エコグニジン(ecgonidine)、エクゴニン、アミノ安息香酸エチル、塩化エチル、左旋性エチドカイン、エチドカイン、右旋性エチドカイン、β−オイカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシプロカイン、ヒドロキシテトラカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メペリジン、左旋性メピバカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン(metabutoxycaine)、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、ノバカイン(novacaine)、オクタカイン、オルトカイン、オキセタゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペコロキシリジド(pipecoloxylidide)、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、サメリジン(sameridine)、プリロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、シュードコカイン(pseudococaine)、ピロカイン、キニーネ尿素(quinine urea)、リソカイン、ロピバカイン、左旋性ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ベラトリジン、ゾラミン、2−アルキル−2−アルキルアミノ−2’,6’−アセトキシリジド化合物、グリセロール1,2−ビス−アミノアルキルエーテル化合物、ベンゾイソオキサゾール化合物、O−アミノアルキルサリチレート化合物、複素環式フェノキシアミン化合物、2−置換イミダゾ[1,2−a]ピリジン化合物、3−アリール置換イミダゾ[1,2−a]ピリジン化合物、ポリオルガノホスファゼン化合物、第三級アルキルアミノ−低級アシル−キシリジド化合物、アミジノウレア化合物、リンコマイシン化合物の3−(5’−アデニレート)、クリンダマイシン化合物の3−(5’−アデニレート)、1−(4’−アルキルスルホニルフェニル)−2−アミノ−1,3−プロパンジオール化合物のN−置換誘導体、第三級アミノアルコキシフェニルエーテル化合物、アデノシン化合物、アデノシン、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、もしくはアデノシン三リン酸、ラウリルポリグリコールエーテル化合物、2−(ω−アルキルアミノアルキル)−3−(4−置換ベンジリデン)フタルイミド化合物、2−(ω−ジアルキルアミノアルキル)−3−(4−置換ベンジリデン)フタルイミド化合物、N,N,N−トリエチル−N−アルキルアンモニウム塩、L−N−n−プロピルピペコール酸−2,6−キシリジン化合物、1つ以上の局所麻酔部分の反復単位を含むポリマー、N−置換4−ピペリジンカルボキサミド化合物、N−置換4−フェニル−4−ピペリジンカルボキサミド化合物;これらの薬学的に受容可能な誘導体およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
コーティング組成物が少なくとも1種の麻酔物質を含有する実施形態において、針の表面への塗布に適切な任意のコーティング材料が、この麻酔物質と組み合わせられて、外科用針をコーティングするために使用されるコーティング組成物を形成し得ることが企図される。いくつかの例としては、シリコーン、シロキサン、ポリオルガノシロキサン、ポリジオルガノシロキサン、シラン、アミノアルキルシロキサンおよびシクロシロキサン、ポリジメチルシロキサン、およびヒドロシクロシロキサンを含有する、潤滑性組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
少なくとも1種の麻酔物質を含有するコーティング組成物は、溶媒を利用して調製され得る。当業者に公知の任意の溶媒が、少なくとも1種の麻酔物質および/またはコーティング物質を含有するコーティング組成物を形成するために使用され得る。適切な例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど、キシレン、塩素化溶媒、THF、ジオキサノン、トリクロロトリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール)およびミネラルスピリットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
一旦、少なくとも1種の麻酔物質を含有するコーティング組成物が形成されると、この組成物は、任意の適切な技術(例えば、浸漬、塗りつけ、スプレー、全潜など)を使用して、上記針に塗布され得る。浸漬およびスプレーが、好ましい技術である。好ましくは、これらの針は、コーティング混合物中に、約5秒間〜約60秒間、好ましくは、約10秒間〜約45秒間、そしてより好ましくは、約15秒間〜約30秒間浸漬されて、これらの針の表面に、コーティングを形成する。あらゆる希釈剤または溶媒キャリアの蒸発後、コーティングされた針は、望ましい程度まで硬化され得る。任意の適切な硬化方法が使用されて、コーティングを針の表面で硬化させ得る。この方法としては、種々の量の熱、圧力、および湿度に曝露することが挙げられる。さらに、麻酔コーティングは、塗布プロセスの後に必ずしも硬化される必要はないことが、企図される。
【0039】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが、理解される。したがって、上記説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に、好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。例えば、針以外の金属表面が、本明細書中に記載される方法に従って、コーティング混合物でコーティングされ得る。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲および精神を用いて、他の改変を予測する。




 

 


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