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発明の名称 吸入器および吸入器用マウスピース
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−97830(P2007−97830A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−291462(P2005−291462)
出願日 平成17年10月4日(2005.10.4)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 濱口 剛宏 / 田中 伸哉 / 倉田 聡 / 小林 秀行
要約 課題
呼気弁またはそれに加えて吸気弁を廃止しても、使用態様の如何を問わず圧力調整口や呼気排出口からエアロゾルが漏れ出すことが防止された吸入器および吸入器用マウスピースを提供する。

解決手段
マウスピース150Aは、エアロゾルの導出路104と、エアロゾル導出口105と、呼気排出口106とを備える。導出路104は、上方に向かって延びる第1流路部104Aと、第1流路部104Aから斜め前方に向かって延びる第2流路部104Bと、導出路104の第1流路部104Aと第2流路部104Bとを結ぶコーナー流路部104Cとを含む。マウスピース150Aは、第1流路部104Aの中心線と交差する側の壁面を曲成することによって形成された湾曲部153を有する。呼気排出口106は、湾曲部153が設けられた側の壁面とは周方向においてずれた位置でかつ第2流路部104Bを規定する位置の壁面に設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
装置本体の内部にて生成したエアロゾルを前記装置本体の外部に導出し、導出したエアロゾルが使用者によって吸入されることが企図された吸入器であって、
前記装置本体は、
液体を貯留する貯留部、および、前記貯留部に貯留された液体を霧状粒子に霧化し、霧化した霧状粒子を前記装置本体の内部に導入された外気に付与する霧化部を含むエアロゾル生成部と、
生成されたエアロゾルを前記装置本体の外部に導出するエアロゾル導出口、生成されたエアロゾルを前記エアロゾル生成部から前記エアロゾル導出口へと導く導出路、および、前記エアロゾル導出口から前記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口を含むエアロゾル導出部とを備え、
前記導出路は、
前記エアロゾル生成部から第1の方向に向かって延びる第1流路部と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって延び、前記エアロゾル導出口に至る第2流路部と、
前記第1流路部と前記第2流路部とを結ぶコーナー流路部とを含み、
前記コーナー流路部を規定する部分の前記エアロゾル導出部は、前記第1流路部の中心線と交差する側の壁面を曲成することによって形成された湾曲部を有し、
前記呼気排出口が、前記エアロゾル導出部の前記湾曲部が設けられた側の壁面とは周方向においてずれた位置でかつ前記第2流路部を規定する位置の壁面に設けられている、吸入器。
【請求項2】
前記呼気排出口は、前記第2流路部を規定する部分の前記エアロゾル導出部の前記コーナー流路部寄りの位置に設けられている、請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
前記エアロゾル導出部は、前記呼気排出口が設けられた位置に前記第2流路部の断面積を前記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部を有し、
前記絞り部は、前記エアロゾル導出部の前記呼気排出口が設けられた部分において、前記呼気排出口よりも内側に位置している、請求項1または2に記載の吸入器。
【請求項4】
前記湾曲部は、ドーム形状を有し、
前記絞り部は、前記ドーム形状の湾曲部の一部にて構成されている、請求項3に記載の吸入器。
【請求項5】
前記呼気排出口は、前記第1流路部の中心線と前記第2流路部の中心線とを含む平面を挟む位置の前記エアロゾル導出部に一対設けられている、請求項1から4のいずれかに記載の吸入器。
【請求項6】
装置本体の内部にて生成したエアロゾルを前記装置本体の外部に導出し、導出したエアロゾルが使用者によって吸入されることが企図された吸入器であって、
前記装置本体は、
液体を貯留する貯留部、および、前記貯留部に貯留された液体を霧状粒子に霧化し、霧化した霧状粒子を前記装置本体の内部に導入された外気に付与する霧化部を含むエアロゾル生成部と、
生成されたエアロゾルを前記装置本体の外部に導出するエアロゾル導出口、生成されたエアロゾルを前記エアロゾル生成部から前記エアロゾル導出口へと導く導出路、および、前記エアロゾル導出口から前記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口を含むエアロゾル導出部とを備え、
前記導出路を規定する部分の前記エアロゾル導出部は、前記呼気排出口が設けられた位置に前記導出路の断面積を前記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部を有し、
前記絞り部は、前記エアロゾル導出部の前記呼気排出口が設けられた部分において、前記呼気排出口よりも内側に位置している、吸入器。
【請求項7】
前記エアロゾル生成部は、前記装置本体の内部の圧力を調整するための圧力調整口をさらに含み、
前記圧力調整口から前記霧化部に至る部分の経路が、当該経路の他の部分よりも特定の部分において流動抵抗が大きくなるように、その断面積が減じられるとともに少なくとも1回以上折り曲げられた迷路状の部分を含んでいる、請求項1から6のいずれかに記載の吸入器。
【請求項8】
前記エアロゾル導出部が、前記エアロゾル生成部に対して着脱自在に取付けられる、請求項1から7のいずれかに記載の吸入器。
【請求項9】
吸入器のエアロゾル生成部に着脱自在に取付けられ、前記エアロゾル生成部にて生成されたエアロゾルを外部に導出するための吸入器用マウスピースであって、
前記エアロゾル生成部にて生成されたエアロゾルを外部に導出するエアロゾル導出口と、
生成されたエアロゾルを前記エアロゾル生成部から前記エアロゾル導出口へと導く導出路と、
前記エアロゾル導出口から前記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口とを備え、
前記導出路は、
前記エアロゾル生成部に取付けられた状態において、前記エアロゾル生成部から第1の方向に向かって延びる第1流路部と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって延び、前記エアロゾル導出口に至る第2流路部と、
前記第1流路部と前記第2流路部とを結ぶコーナー流路部とを含み、
前記コーナー流路部を規定する部分に、前記第1流路部の中心線と交差する側の壁面を曲成することによって湾曲部が設けられ、
前記湾曲部が設けられた側の壁面とは周方向においてずれた位置でかつ前記第2流路部を規定する位置の壁面に前記呼気排出口が設けられている、吸入器用マウスピース。
【請求項10】
前記呼気排出口は、前記第2流路部を規定する部分の前記コーナー流路部寄りの位置に設けられている、請求項9に記載の吸入器用マウスピース。
【請求項11】
前記呼気排出口が設けられた位置に、前記第2流路部の断面積を前記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部が設けられ、
前記絞り部が、前記呼気排出口が設けられた部分において、前記呼気排出口よりも内側に位置している、請求項9または10に記載の吸入器用マウスピース。
【請求項12】
前記湾曲部は、ドーム形状を有し、
前記絞り部は、前記ドーム形状の湾曲部の一部にて構成されている、請求項11に記載の吸入器用マウスピース。
【請求項13】
前記呼気排出口は、前記第1流路部の中心線と前記第2流路部の中心線とを含む平面を挟む位置に一対設けられている、請求項9から12のいずれかに記載の吸入器用マウスピース。
【請求項14】
吸入器のエアロゾル生成部に着脱自在に取付けられ、前記エアロゾル生成部の内部にて生成されたエアロゾルを外部に導出するための吸入器用マウスピースであって、
前記エアロゾル生成部にて生成されたエアロゾルを外部に導出するエアロゾル導出口と、
生成されたエアロゾルを前記エアロゾル生成部から前記エアロゾル導出口へと導く導出路と、
前記エアロゾル導出口から前記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口とを備え、
前記呼気排出口が設けられた位置に、前記導出路の断面積を前記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部が設けられ、
前記絞り部が、前記呼気排出口が設けられた部分において、前記呼気排出口よりも内側に位置している、吸入器用マウスピース。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成部にて生成されたエアロゾルをエアロゾル導出部を介して吐出する吸入器およびこれに用いられるエアロゾル導出部としての吸入器用マウスピースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸入器は、気管支の消毒や治療等に用いられる装置であり、特に気管支炎や喘息等の呼吸器系疾患を治療する治療器具として、医療機関や家庭等において広く普及している。特に、治療目的で薬液を霧化させて吐出する吸入器は、吸入治療器と呼ばれる。
【0003】
吸入器は、その霧化原理に基づいて、コンプレッサ式吸入器、超音波式吸入器および超音波−メッシュ式吸入器の3つに大別される。コンプレッサ式吸入器は、コンプレッサから送出される圧縮空気に霧化する液体を混入させ、この液体を含む圧縮空気をバッフルと呼ばれる障壁に衝突させて液体を粉砕させ、これにより霧状粒子を生成する方式の吸入器である。超音波式吸入器は、超音波素子を駆動することによって液体に高周波振動を与え、この高周波振動により発生するキャビテーションを利用して液体を霧状粒子とする方式の吸入器である。超音波−メッシュ式吸入器は、振動素子とメッシュ部材とを対向配置させてこれらの間に液体を供給し、この状態で振動素子を駆動することによって液体に振動を与え、これによりメッシュに設けられた孔に液体を通過させて液体を微細化し、霧状粒子とする方式の吸入器である。
【0004】
吸入器は、一般にエアロゾル生成部とエアロゾル導出部とを含む装置本体を備える。エアロゾル生成部は、液体を霧化させて霧状粒子とし、導入した外気にこの霧状粒子を付与することによってエアロゾルを生成する部位である。これに対し、エアロゾル導出部は、生成したエアロゾルを使用者の口腔や鼻腔に向けて吐出する部位であり、マウスピースやノーズピースあるいはマスク等が用いられる。
【0005】
エアロゾル生成部には、エアロゾルの内部の圧力を調整するための圧力調整口(使用者が呼気動作を行なったときに補助的に装置本体の内部に外気を導入するための補助外気導入口)が設けられ、エアロゾル導出部には、生成したエアロゾルを導出するためのエアロゾル導出口が設けられる。また、エアロゾル導出部には、使用者が吐き出した呼気を外部に排気するための呼気排出口が設けられる。通常、装置本体に設けられるこれら開口のうち、圧力調整口と呼気排出口には、その開口を閉塞するように逆止弁が取り付けられる。これら逆止弁は、いずれも使用者が息が詰まることなくスムーズに呼吸を行なうことができるようにするとともにエアロゾルの吸入が効率的に行なえるようにするために設けられるものである。なお、圧力調整口に設けられる逆止弁は一般に吸気弁と呼ばれ、また呼気排出口に設けられる逆止弁は一般に呼気弁と呼ばれる。
【0006】
マウスピースを利用した吸入器の使用態様としては、主に2通りの使用態様がある。1つは、使用者がマウスピースを咥えて使用する使用態様であり、比較的肺活量の大きい使用者向けの使用態様である。この使用態様では、上述の吸気弁と呼気弁の逆止弁機能により、生成したエアロゾルをほとんどロスすることなく使用者が吸入できるメリットがある。もう1つは、使用者がマウスピースに対峙してマウスピースを咥えることなくマウスピースから吐出されたエアロゾルを吸い込む使用態様であり、比較的肺活量の小さい使用者向けの使用態様である。この使用態様は、上述のマウスピースを咥えて使用する使用態様に比べて生成したエアロゾルのロスが大きいというデメリットはあるものの、肺活量の小さい幼児や高齢者でも比較的容易に吸入器を利用できる点において有効な使用態様である。なお、このマウスピースを咥えない使用態様の場合にも、吸気弁と呼気弁の逆止弁機能により、生成したエアロゾルをほとんどロスすることなくエアロゾル導出口から吐出することができるが、使用者がマウスピースを咥えていないため、吐出したエアロゾルのすべてが使用者によって吸い込まれることとはならず、その点においてエアロゾルのロスが大きくなる。
【0007】
吸入器を設計するに際しては、これらいずれの使用態様を採用した場合にも効率よくエアロゾルが使用者によって吸入可能となるように考慮することが重要である。その反面、吸入器においては、衛生面の観点から使用後において装置本体を分解して洗浄および消毒作業を行なうことが必要であるため、可能な限り装置構成を簡素化し、分解および組立作業が容易化するように設計することも重要である。装置構成が簡素化できれば、その分、低コストに吸入器を提供することも可能になる。
【0008】
特に、吸気弁および呼気弁は、他の構成部品とは異なり可撓性を有する部材にて構成されるため、その取扱いが煩雑であり、また分解および組立作業時に破損または紛失するおそれも高く、廃止することができれば好都合である。しかしながら、単に吸気弁および/または呼気弁を廃止したのでは、圧力調整口や呼気排出口から貴重なエアロゾルが多量に漏れ出すことになってしまい、吸入効率が大幅に低下する問題が生じる。
【0009】
そこで、呼気弁を廃止とすることによって装置構成を簡素化しつつも、呼気弁を廃止したことに伴って生じることが懸念されるエアロゾルのロス(ここでは主に、吸入時における呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出し)を可能な限り低く抑えた吸入器および吸入器用マウスピースとして、実開平4−95046号公報(特許文献1)に開示のものや特開平5−337183号公報(特許文献2)に開示のもの等が知られている。
【0010】
図21は、上記特許文献1に開示の吸入器用マウスピースの縦断面図であり、また、図22は、図21に示す矢印XXII方向から見た正面図である。図21および図22に示すように、上記特許文献1に開示の吸入器用マウスピース250は、両端が開口した吸入部252と、一端が開口しかつ他端がエアロゾル生成部に連通する導入部251とを備え、吸入部252の一端開口の一部が外部に解放されるように、その開口から吸入部252内に導入部251を挿設した構造が採用されている。
【0011】
この構造をより詳細に説明すると、エアロゾル生成部からエアロゾル導出口205に至る導出路204が、導入部251内に設けられた流路部204A,204Cと、吸入部252内に設けられた流路部204Bの下部とによって構成されるとともに、エアロゾル導出口205から呼気排出口206に至る排出路が、吸入部252内に設けられた流路部204Bの上部と、同じく吸入部252内に設けられた流路部204Eとによって構成されている。そして、流路部204Cの断面積が流路部204Aの断面積よりも小さくなるように、導入部251の一部に絞り部254を設けている。また、導入部251から吸入部252にエアロゾルが流出する部分であるエアロゾル流出口255が吸入部252内に設けられるとともに、呼気排出口206がこのエアロゾル流出口255よりも後方側に位置する部分の流路部204Eの端部に設けられている。
【0012】
このように構成することにより、図21に示すように、吸入時においてはエアロゾルが吸入部251内に設けられた流路部204Bの下部側を通過してエアロゾル導出口205に至り、呼気排出時においては呼気が吸入部251内に設けられた流路部204Bの上部側を通過して呼気排出口206に至るため、エアロゾルのロスの防止と呼気弁の廃止とが同時に実現されるようになる。
【0013】
図23は、上記特許文献2に開示の吸入器のマウスピースの縦断面図である。図23に示すように、上記特許文献2に開示の吸入器用マウスピース350は、その内部に設けられた仕切り壁354により分離された霧状粒子用の吐出流路である導出路304と逆流用の放出流路である排出路とを備え、導出路304は、エアロゾル生成部に連通する一端部の開口から他端部の開口であるエアロゾル導出口305にまで至るように形成され、排出路は、エアロゾル導出口305から呼気排出口306にまで至るように形成されている。
【0014】
この構造をより詳細に説明すると、エアロゾル生成部からエアロゾル導出口305に至る導出路304が、エアロゾル生成部から上方に向かって延びる下部側筒状部351内に設けられた第1流路部304Aと、斜め前方に向かって延びエアロゾル導出口305に至る上部側筒状部352内に設けられた第2流路部304Bの下部と、これら第1流路部304Aと第2流路部304Bとを接続するコーナー流路部304Cとによって構成されるとともに、エアロゾル導出口305から呼気排出口306に至る排出路が、上部側筒状部352内に設けられ第2流路部304Bの上部と、同じく上部側筒状部352内に設けられた流路部304Eとによって構成されている。そして、コーナー流路部304Cの断面積が流路部304Aの断面積よりも小さくなるように、仕切り壁354によって絞り部が形成されている。また、この絞り部から第2流路部304Bにエアロゾルが流出する部分であるエアロゾル流出口355が上部側筒状部352内に設けられるとともに、呼気排出口306がこのエアロゾル流出口355よりも後方側に位置する流路部304Eに設けられている。
【0015】
このように構成することにより、図23に示すように、吸入時においてはエアロゾルが上部側筒状部352内に設けられた第2流路部304Bの下部側を通過してエアロゾル導出口305に至り、呼気排出時においては呼気が上部側筒状部352内に設けられた第2流路部304Bの上部側を通過して呼気排出口306に至るため、エアロゾルのロスの防止と呼気弁の廃止とが同時に実現されるようになる。
【特許文献1】実開平4−95046号公報
【特許文献2】特開平5−337183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述の特許文献1および2に開示の吸入器用マウスピースの構造は、いずれも超音波式または超音波−メッシュ式吸入器に用いられることが前提に設計がなされたものである。そのため、上記構造の吸入器用マウスピースをそのままコンプレッサ式吸入器に適用したのでは必ずしも好適な形状のマウスピースとは言えず、以下のような問題が生じるおそれがある。
【0017】
まず、第1に、吸入時における呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出しが問題となる。コンプレッサ式吸入器のエアロゾルの吐出量、すなわちマウスピース内にエアロゾル生成部から供給されるエアロゾルの流量は、超音波式または超音波−メッシュ式吸入器のそれに比べて数分の1から十数分の1程度と著しく小さい。そのため、マウスピースを使用者が咥えない使用態様の場合には、エアロゾルの一部がエアロゾル導出口から吐出されずに排出路に流れ込み、呼気排出口からそのまま漏れ出してしまうおそれがある。これではエアロゾルが無駄になり、吸入効率が大幅に低下してしまうことになる。
【0018】
また、第2に、マウスピースの大型化が問題となる。上述の特許文献1および2に開示の吸入器用マウスピースにおいては、マウスピース内に導入された呼気がエアロゾル生成部に進入しないように、エアロゾル流出口の開口面積を小さく絞るとともに、絞り部の長さをある程度長くすることによってその部分における流動抵抗を増大させて呼気のエアロゾル生成部への逆流を防止している。したがって、絞り部を長く設計することが不可欠な構成であるため、マウスピースが長大化してしまう不利がある。
【0019】
マウスピースが長大化すると、その分エアロゾルが壁面と接触する時間が長くなるため、エアロゾル中に含まれる霧状粒子が液化し、吸入効率の低下につながることになる。特に、上述の特許文献1および2に開示の吸入器用マウスピースをコンプレッサ式吸入器に適用した場合には、超音波式または超音波−メッシュ式吸入器に比べてエアロゾルの流速が遅いこともあり、上述の長い絞り部においてエアロゾルが壁面と接触する時間が長くなり、この絞り部において霧化粒子の液化が顕著となり、吸入効率が大幅に低下する。
【0020】
さらには、上述の特許文献1および2に開示の吸入器用マウスピースにあっては、導出路と排出路とを隔壁によって仕切ることによりこれら導出路と排出路とを上下方向に積層した構成としているため、十分なエアロゾルの吐出量および呼気の排出量を確保するためにこれら導出路と排出路の断面積を大きくした場合には、マウスピースが上下方向に大型化することになる。そのため、結果として口にフィットし難い形状となってしまう問題も生じる。
【0021】
以上において説明したように、吸入器においては、呼気弁またはそれに加えて吸気弁の廃止の要請が強くあるものの、上述のような問題から、一部の超音波式および超音波−メッシュ式吸入器を除く吸入器においては、実際には吸入効率の観点から呼気弁またはそれに加えて吸気弁を廃止するまでには至っていない。また、呼気弁が廃止された一部の超音波式および超音波−メッシュ式吸入器においても、使用者がマウスピースを咥えない使用態様においては、エアロゾルの漏れ出しの問題が生じるおそれがある。
【0022】
そこで、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、従来必要であった呼気弁またはそれに加えて吸気弁を廃止しても、装置が大型化することがなく、かつ使用態様の如何を問わず圧力調整口や呼気排出口からエアロゾルが漏れ出すことが効果的に防止できる吸入器および吸入器用マウスピースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の局面に基づく吸入器は、装置本体の内部にて生成したエアロゾルを上記装置本体の外部に導出し、導出したエアロゾルが使用者によって吸入されることが企図されたものであって、上記装置本体は、エアロゾル生成部とエアロゾル導出部とを備える。上記エアロゾル生成部は、液体を貯留する貯留部と、上記貯留部に貯留された液体を霧状粒子に霧化し、霧化した霧状粒子を上記装置本体の内部に導入された外気に付与する霧化部とを含む。上記エアロゾル導出部は、生成されたエアロゾルを上記装置本体の外部に導出するエアロゾル導出口と、生成されたエアロゾルを上記エアロゾル生成部から上記エアロゾル導出口へと導く導出路と、上記エアロゾル導出口から上記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口とを含む。上記導出路は、上記エアロゾル生成部から第1の方向に向かって延びる第1流路部と、上記第1の方向と交差する第2の方向に向かって延び、上記エアロゾル導出口に至る第2流路部と、上記第1流路部と上記第2流路部とを結ぶコーナー流路部とを含む。上記コーナー流路部を規定する部分の上記エアロゾル導出部は、上記第1流路部の中心線と交差する側の壁面を曲成することによって形成された湾曲部を有する。上記呼気排出口は、上記エアロゾル導出部の上記湾曲部が設けられた側の壁面とは周方向においてずれた位置でかつ上記第2流路部を規定する位置の壁面に設けられている。ここで、「湾曲部が設けられた側の壁面とは周方向においてずれた位置の壁面」とは、第2流路部の中心軸を取り囲むように形成された導出路の壁面のうち、湾曲部が設けられた側の導出路の壁面を含まない部分の壁面を意味するものである。
【0024】
このように、第1流路部と第2流路部との間に位置するコーナー流路部を規定する部分のエアロゾル導出部の所定位置に湾曲部を設けることにより、吸入時において、第1流路部を流動したエアロゾルを第2流路部にスムーズに導くことが可能になるとともに、エアロゾルの気流を湾曲部が設けられた壁面側に集めて第2流路部に導くことができるため、この湾曲部が形成された側の壁面とは周方向においてずれた位置の壁面に呼気排出口を設けることにより、エアロゾルの呼気排出口からの漏れ出しを効果的に防止することができる。また、呼気排出時においては、呼気排出口からスムーズに呼気が排出されるため、使用態様の如何を問わず、エアロゾルが呼気排出口から漏れ出すことが防止できる。したがって、呼気弁を呼気排出口に設けずとも吸入効率を高く維持することができるようになり、部品点数の削減が可能となって洗浄および消毒作業時の作業性が飛躍的に向上するとともに、製造コストを大幅に低減することができる。また、流路中に特に絞り部を設ける必要もなく、エアロゾルの導出路とは別に呼気排出用の排出路を設ける必要もないため、エアロゾル導出部の小型化も可能である。さらには、導出路に流入した呼気を効果的に呼気排出口から排出することができるため、エアロゾル生成部に設けられる圧力調整口に吸気弁を設ける必要性も乏しくなり、吸気弁を廃止することも可能になる。
【0025】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器にあっては、上記呼気排出口が上記第2流路部を規定する部分の上記エアロゾル導出部の上記コーナー流路部寄りの位置に設けられていることが好ましい。
【0026】
第1流路部を流動したエアロゾルは、第2流路部の特にコーナー流路部寄りの部分において湾曲部が設けられた壁面側に集まるため、上記のように呼気排出口を第2流路部を規定する部分のエアロゾル導出部のコーナー流路部寄りに設けることにより、確実に呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出しを防止することができる。
【0027】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器にあっては、上記エアロゾル導出部が、上記呼気排出口が設けられた位置に上記第2流路部の断面積を上記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部を有していることが好ましく、その場合に、上記絞り部が、上記エアロゾル導出部の上記呼気排出口が設けられた部分において、上記呼気排出口よりも内側に位置していることが好ましい。
【0028】
このように構成することにより、絞り部によってエアロゾルの気流を第2流路部の径方向の中心位置に集めることができるため、呼気排出口からエアロゾルの気流を遠ざけることが可能となり、効果的に呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出しを防止することができる。
【0029】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器にあっては、上記湾曲部がドーム形状を有していることが好ましく、その場合に、上記絞り部が上記ドーム形状の湾曲部の一部にて構成されていることが好ましい。
【0030】
このように構成することにより、湾曲部と絞り部とがドーム形状部分にて一体的に構成されるため、導出路の形状が必要以上に複雑化することがなく、スムーズなエアロゾルの導出と呼気の排出とが実現できる。
【0031】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器にあっては、上記呼気排出口が上記第1流路部の中心線と上記第2流路部の中心線とを含む平面を挟む位置の上記エアロゾル導出部に一対設けられていることが好ましい。
【0032】
このように構成することにより、呼気排出口の開口面積を広く確保することができるため、呼気排出量を多く確保することが可能となり、確実な呼気の排出が実現できる。
【0033】
本発明の第2の局面に基づく吸入器は、装置本体の内部にて生成したエアロゾルを上記装置本体の外部に導出し、導出したエアロゾルが使用者によって吸入されることが企図されたものであって、上記装置本体は、エアロゾル生成部とエアロゾル導出部とを備える。上記エアロゾル生成部は、液体を貯留する貯留部と、上記貯留部に貯留された液体を霧状粒子に霧化し、霧化した霧状粒子を上記装置本体の内部に導入された外気に付与する霧化部とを含む。上記エアロゾル導出部は、生成されたエアロゾルを上記装置本体の外部に導出するエアロゾル導出口と、生成されたエアロゾルを上記エアロゾル生成部から上記エアロゾル導出口へと導く導出路と、上記エアロゾル導出口から上記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口とを含む。上記導出路を規定する部分の上記エアロゾル導出部は、上記呼気排出口が設けられた位置に上記導出路の断面積を上記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部を有し、上記絞り部は、上記エアロゾル導出部の上記呼気排出口が設けられた部分において、上記呼気排出口よりも内側に位置している。
【0034】
このように、呼気排出口が設けられた部分のエアロゾル導出部に絞り部を設けることにより、吸入時において、エアロゾルの気流を第2流路部の径方向の中心位置に集めることができるため、呼気排出口からエアロゾルの気流を遠ざけることが可能となり、効果的に呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出しを防止することができる。また、呼気排出時においては、呼気排出口からスムーズに呼気が排出されるため、使用態様の如何を問わず、エアロゾルが呼気排出口から漏れ出すことが防止できる。したがって、呼気弁を呼気排出口に設けずとも吸入効率を高く維持することができるようになり、部品点数の削減が可能となって洗浄および消毒作業時の作業性が飛躍的に向上するとともに、製造コストを大幅に低減することができる。また、流路中に特に長い絞り部を設ける必要もなく、エアロゾルの導出路とは別に呼気排出用の排出路を設ける必要もないため、エアロゾル導出部の小型化も可能である。さらには、導出路に流入した呼気を効果的に呼気排出口から排出することができるため、エアロゾル生成部に設けられる圧力調整口に吸気弁を設ける必要性も乏しくなり、吸気弁を廃止することも可能になる。
【0035】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく吸入器にあっては、上記エアロゾル生成部が上記装置本体の内部の圧力を調整するための圧力調整口をさらに含んでいてもよく、その場合に、上記圧力調整口から上記霧化部に至る部分の経路が、当該経路の他の部分よりも特定の部分において流動抵抗が大きくなるように、その断面積が減じられるとともに少なくとも1回以上折り曲げられた迷路状の部分を含んでいることが好ましい。
【0036】
このように、圧力調整口から霧化部に至る部分の経路の形状を複雑化することにより、その部分において流動抵抗を大きく設定することが可能になるため、より確実に圧力調整口からのエアロゾルの漏れ出しを防止することができる。したがって、吸気弁の廃止によるエアロゾルの漏れ出しをより確実に防止することができる。
【0037】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく吸入器にあっては、上記エアロゾル導出部が上記エアロゾル生成部に対して着脱自在に取付けられることが好ましい。
【0038】
このように構成することにより、洗浄および消毒作業時の取り扱い性が向上するため、衛生面において優れた吸入器とすることができる。
【0039】
本発明の第1の局面に基づく吸入器用マウスピースは、吸入器のエアロゾル生成部に着脱自在に取付けられ、上記エアロゾル生成部にて生成されたエアロゾルを上記エアロゾル生成部の外部に導出するためのものであって、上記エアロゾル生成部にて生成されたエアロゾルを外部に導出するエアロゾル導出口と、生成されたエアロゾルを上記エアロゾル生成部から上記エアロゾル導出口へと導く導出路と、上記エアロゾル導出口から上記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口とを備える。上記導出路は、上記エアロゾル生成部から第1の方向に向かって延びる第1流路部と、上記第1の方向と交差する第2の方向に向かって延び、上記エアロゾル導出口に至る第2流路部と、上記第1流路部と上記第2流路部とを結ぶコーナー流路部とを含む。上記コーナー流路部を規定する部分には、上記第1流路部の中心線と交差する側の壁面を曲成することによって湾曲部が設けられている。上記呼気排出口は、上記湾曲部が設けられた側の壁面とは周方向においてずれた位置でかつ上記第2流路部を規定する位置の壁面に設けられている。ここで、「湾曲部が設けられた側の壁面とは周方向においてずれた位置の壁面」とは、第2流路部の中心軸を取り囲むように形成された導出路の壁面のうち、湾曲部が設けられた側の導出路の壁面を含まない部分の壁面を意味するものである。
【0040】
このように、第1流路部と第2流路部との間に位置するコーナー流路部を規定する部分の所定位置に湾曲部を設けることにより、吸入時において、第1流路部を流動したエアロゾルを第2流路部にスムーズに導くことが可能になるとともに、エアロゾルの気流を湾曲部が設けられた壁面側に集めて第2流路部に導くことができるため、この湾曲部が形成された側の壁面とは周方向においてずれた位置の壁面に呼気排出口を設けることにより、エアロゾルの呼気排出口からの漏れ出しを効果的に防止することができる。また、呼気排出時においては、呼気排出口からスムーズに呼気が排出されるため、使用態様の如何を問わず、エアロゾルが呼気排出口から漏れ出すことが防止できる。したがって、呼気弁を呼気排出口に設けずとも吸入効率を高く維持することができるようになり、部品点数の削減が可能となって洗浄および消毒作業時の作業性が飛躍的に向上するとともに、製造コストを大幅に低減することができる。また、流路中に特に絞り部を設ける必要もなく、エアロゾルの導出路とは別に呼気排出用の排出路を設ける必要もないため、吸入器用マウスピースの小型化も可能である。
【0041】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器用マウスピースにあっては、上記呼気排出口が上記第2流路部を規定する部分の上記コーナー流路部寄りの位置に設けられていることが好ましい。
【0042】
第1流路部を流動したエアロゾルは、第2流路部の特にコーナー流路部寄りの部分において湾曲部が設けられた壁面側に集まるため、上記のように呼気排出口を第2流路部を規定する部分のコーナー流路部寄りに設けることにより、確実に呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出しを防止することができる。
【0043】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器用マウスピースにあっては、上記呼気排出口が設けられた位置に、上記第2流路部の断面積を上記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部が設けられていることが好ましく、その場合に、上記絞り部が、上記呼気排出口が設けられた部分において、上記呼気排出口よりも内側に位置していることが好ましい。
【0044】
このように構成することにより、絞り部によってエアロゾルの気流を第2流路部の径方向の中心位置に集めることができるため、呼気排出口からエアロゾルの気流を遠ざけることが可能となり、効果的に呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出しを防止することができる。
【0045】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器用マウスピースにあっては、上記湾曲部がドーム形状を有していることが好ましく、その場合に、上記絞り部が上記ドーム形状の湾曲部の一部にて構成されていることが好ましい。
【0046】
このように構成することにより、湾曲部と絞り部とがドーム形状部分にて一体的に構成されるため、導出路の形状が必要以上に複雑化することがなく、スムーズなエアロゾルの導出と呼気の排出とが実現できる。
【0047】
上記本発明の第1の局面に基づく吸入器用マウスピースにあっては、上記呼気排出口が上記第1流路部の中心線と上記第2流路部の中心線とを含む平面を挟む位置に一対設けられていることが好ましい。
【0048】
このように構成することにより、呼気排出口の開口面積を広く確保することができるため、呼気排出量を多く確保することが可能となり、確実な呼気の排出が実現できる。
【0049】
本発明の第2の局面に基づく吸入器用マウスピースは、吸入器のエアロゾル生成部に着脱自在に取付けられ、上記エアロゾル生成部の内部にて生成されたエアロゾルを上記エアロゾル生成部の外部に導出するためのものであって、上記エアロゾル生成部にて生成されたエアロゾルを外部に導出するエアロゾル導出口と、生成されたエアロゾルを上記エアロゾル生成部から上記エアロゾル導出口へと導く導出路と、上記エアロゾル導出口から上記導出路へと導入された使用者の呼気を排出するための呼気排出口とを備える。そして、上記呼気排出口が設けられた位置に、上記導出路の断面積を上記エアロゾル導出口に向けて減じる絞り部が設けられる。上記絞り部は、上記呼気排出口が設けられた部分において、上記呼気排出口よりも内側に位置している。
【0050】
このように、呼気排出口が設けられた部分に絞り部を設けることにより、吸入時において、エアロゾルの気流を第2流路部の径方向の中心位置に集めることができるため、呼気排出口からエアロゾルの気流を遠ざけることが可能となり、効果的に呼気排出口からのエアロゾルの漏れ出しを防止することができる。また、呼気排出時においては、呼気排出口からスムーズに呼気が排出されるため、使用態様の如何を問わず、エアロゾルが呼気排出口から漏れ出すことが防止できる。したがって、呼気弁を呼気排出口に設けずとも吸入効率を高く維持することができるようになり、部品点数の削減が可能となって洗浄および消毒作業時の作業性が飛躍的に向上するとともに、製造コストを大幅に低減することができる。また、流路中に特に長い絞り部を設ける必要もなく、エアロゾルの導出路とは別に呼気排出用の排出路を設ける必要もないため、エアロゾル導出部の小型化も可能である。さらには、導出路に流入した呼気を効果的に呼気排出口から排出することができるため、エアロゾル生成部に設けられる圧力調整口に吸気弁を設ける必要性も乏しくなり、吸気弁を廃止することも可能になる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、吸入器においては呼気弁またはそれに加えて吸気弁を廃止することができ、また吸入器用マウスピースにおいては呼気弁を廃止することができ、その場合にも、吸入器および吸入器用マウスピースが大型化することなく、かつ使用態様の如何を問わず圧力調整口や呼気排出口からエアロゾルが漏れ出すことが効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、吸入器としてコンプレッサ式吸入器を例示して説明を行なう。
【0053】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における吸入器の装置構成を示す外観図である。図1に示すように、本実施の形態における吸入器1は、コンプレッサ10と、チューブ20と、装置本体であるネブライザ100とを備えている。コンプレッサ10は、可撓性を有するチューブ20を介してネブライザ100に接続されており、このチューブ20を介して加圧した圧縮空気をネブライザ100に送出する。
【0054】
図2は、図1に示す吸入器のネブライザの詳細な構造を示す図であり、図2(A)は側面図、図2(B)は正面図である。また、図3は、図2に示すネブライザの組付構造を示す分解斜視図である。図2および図3に示すように、ネブライザ100は、ケース体110と、霧化部形成体120と、流路形成体130と、キャップ体140と、マウスピース150Aとを備えている。このうち、ケース体110、霧化部形成体120、流路形成体130およびキャップ体140は、液体を霧化させて霧状の粒子とし、導入した外気にこの霧状粒子に付与することによってエアロゾルを生成するエアロゾル生成部を構成している。また、マウスピース150Aは、生成したエアロゾルを使用者の口腔や鼻腔等に向けて吐出するエアロゾル導出部を構成している。
【0055】
ケース体110は有底筒状の形状を有しており、このケース体110の内部に霧化部形成体120が収容・配置される。流路形成体130は、ケース体110の上面開口を塞ぐようにケース体110の上部に取付けられる。キャップ体140は、流路形成体130の上面に設けられた開口を覆うように流路形成体130に取付けられる。マウスピース150Aは、流路形成体130の上部に設けられた接続部132に着脱自在に取付けられる。なお、これらケース体110、霧化部形成体120、流路形成体130、キャップ体140およびマウスピース150Aは、互いに分解および組立てが可能であり、吸入器1の使用後において洗浄および消毒等が容易に実施できるように構成されている。
【0056】
図3に示すように、ケース体110の内周面の上部所定位置には、溝を設けることによって係止凹部119が形成されており、流路形成体130の外周面の下部所定位置には、突起を設けることによって係止凸部139が設けられている。これら係止凹部119および係止凸部139は、ケース体110に流路形成体130を取付ける際の係止部となる。
【0057】
図2および図3に示すように、ケース体110の外周面の上部所定位置には、目印118が設けられており、流路形成体130の外周面の下部所定位置には、目印138が設けられている。これら目印118,138は、ケース体110に対する流路形成体130の取付け位置を示す指標であり、組立て時においてはこの目印118と目印138とが向き合うようにケース体110に流路形成体130を取付ける。
【0058】
図3に示すように、霧化部形成体120は、バッフル122と吸液管形成部124とを含む。バッフル122は、円柱状の形状を有しており、吸液管形成部124は、先端が開口した円錐状の筒状体にて構成されている。吸液管形成部124は、その先端がバッフル122の下端に対面している。
【0059】
流路形成体130は、接続部132と、開口部133と、吸気管部134とを含む。接続部132は、上述のようにマウスピース150Aが接続される部位であり、流路形成体130の上部所定位置に上方に向かって突設されている。開口部133は、キャップ体140の下部が嵌め込まれる部位であり、流路形成体130の上面の所定位置に設けられている。吸気管部134は、後述する圧力調整口101(図2参照)から導入された外気を後述する霧化部に導くための部位であり、流路形成体130の下部所定位置に下方に向けて突設されている。
【0060】
キャップ体140の外周面141の所定位置には、凹部142が設けられている。この凹部142の下部は、キャップ体140が流路形成体130に取付けられた状態において流路形成体130の内周面と面するように配置され、これによりキャップ体140の外周面141と流路形成体130の内周面との間の隙間により、圧力調整口101が構成される。
【0061】
図2および図3に示すように、マウスピース150Aは、略中央部が折れ曲がった筒状の部材からなり、内部には後述する導出路104(図4参照)が設けられている。マウスピース150Aの先端には、エアロゾルを吐出するためのエアロゾル導出口105が設けられている。また、マウスピース150Aの両側面の所定位置には、呼気を排出するための呼気排出口106が一対設けられている。なお、マウスピース150Aの詳細な形状については後述することとする。
【0062】
図4は、本実施の形態における吸入器のネブライザの図2(B)中に示すIV−IV線に沿った断面図である。以下においては、この図4を参照して、本実施の形態におけるネブライザ100の内部構造および気流の流れについて詳細に説明する。
【0063】
図4に示すように、ケース体110の底面には、コンプレッサ10から送出される圧縮空気をケース体110の内部に導入するための圧縮空気導入管部114が上下方向に延びるように配設されている。圧縮空気導入管部114の下部先端部には、上述のチューブ20が取付けられる。圧縮空気導入管部114の上部先端部は先細形状に形成されており、霧化部形成体120のバッフル122に対面している。また、ケース体110の圧縮空気導入管部114が形成された部分の周囲には、貯留部116が設けられている。この貯留部116は、水や食塩水あるいは薬液といった液体30を一時的に貯留する。
【0064】
圧縮空気導入管部114の上部先端部には、上方から霧化部形成体120の吸液管形成部124が対面配置されている。この吸液管形成部124の内周面は、圧縮空気導入管部114の外周面と所定の距離をもって位置決めして配置され、その下端は上述の貯留部116の底面近傍にまで達している。この吸液管形成部124と圧縮空気導入管部114との間の隙間によって吸液管が構成され、後述する圧縮空気の吹き付けによる負圧の作用によって貯留部116に貯留された液体30が後述する霧化部近傍にまで達することになる。
【0065】
霧化部は、上述した圧縮空気導入管部114の上部先端部とバッフル122との間に形成される。この霧化部においては、コンプレッサ10によって圧縮空気導入管部114に導入された圧縮空気が圧縮空気導入管部114の上部先端部からバッフル122に向けて噴き付けられる。その際、霧化部にて生じる負圧の作用によって霧化部近傍にまで吸い上げられた液体30が、上述の負圧の作用によって霧化部へと噴き上げられ、圧縮空気とともにバッフル122に向けて噴き付けられる。この作用により、液体30はバッフル122に衝突して微細な液滴となって霧状粒子となり、この霧状粒子がケース体110の内部に導入された外気(コンプレッサ10によって導入された外気と使用者の呼気動作に基づいて圧力調整口101から導入された外気とを含む)に付与されることによってエアロゾルが生成される。
【0066】
霧化部形成体120の上方には、流路形成体130が位置決めして配置されている。この流路形成体130により、ケース体110の内部の空間が仕切られ、気流が流動する流路が形成されている。より具体的には、流路形成体130の下部に設けられた吸気管部134によってケース体110の内部の空間が中央部分と周縁部分とに区切られ、このうちの中央部分によって導入路102が、周縁部分によってエアロゾル搬送路103がそれぞれ構成されている。導入路102は、流路形成体130の上面に設けられた開口部133に嵌め込まれたキャップ体140と流路形成体130との間の隙間にて構成された圧力調整口101から流入した外気を霧化部に導くための流路であり、エアロゾル搬送路103は、霧化部にて生成されたエアロゾルをマウスピース150Aに導くための流路である。
【0067】
本実施の形態における吸入器1のネブライザ100にあっては、吸気管部134が霧化部の側方を覆うように配設されている。このように構成することにより、バッフル122に衝突することによって生成された霧状粒子のうち、比較的大きな粒径の霧状粒子は、吸気管部134の内周面に接触することによって液化し、吸気管部134の内周面をつたって貯留部116に戻されるようになる。一方、比較的小さな粒径の霧状粒子は液化することなくエアロゾル搬送路103に流れ込むことになる。したがって、吸入に適した微細な粒径の霧状粒子のみを選択的にマウスピース150Aに導くことができるようになる。特に、薬液を霧化させて吸入する場合には、治療に適した粒径の霧状粒子を含むエアロゾルとすることが重要であり、上記構成を採用することは非常に有意義である。
【0068】
上述のように、流路形成体130の上面に設けられた接続部132にはマウスピース150Aが取付けられており、これによりケース体110の内部に設けられたエアロゾル搬送路103と、マウスピース150Aの内部に設けられた導出路104とが連通することになる。
【0069】
上述の構成の吸入器1において、使用者がマウスピース150Aを咥えてエアロゾルの吸入を行なう場合の気流の流れは、以下の如くである。吸入器1を動作させた場合には、コンプレッサ10によって外気がケース体110の内部に導入され、霧化部において常時エアロゾルが生成されることになる。吸入時においては、使用者がエアロゾルを吸い込むために吸気動作を行なうことにより、マウスピース150Aの導出路104を介してケース体110の内部空間が負圧になる。これにより、圧力調整口101からケース体110の内部に外気が取り込まれる。取り込まれた外気は吸気管部134の内部に形成された導入路102を経由して霧化部へと至る。そして、上述のコンプレッサ10によって導入された外気と、使用者の呼気動作に基づいて圧力調整口101から導入された外気とを含む外気に霧化部において霧状粒子が付与され、エアロゾルが生成される。生成されたエアロゾルはエアロゾル搬送路103を経由してマウスピース150Aの導出路104に流入する。導出路104に流入したエアロゾルは、使用者の吸気動作に基づいてエアロゾル導出口105から使用者の口腔に向かって吐出される。なお、本実施の形態における吸入器1においては、後述するようにマウスピース150Aの形状に特徴があるため、吸入時においてエアロゾルがマウスピース150Aの呼気排出口106から外部に漏れ出すことが効果的に防止できる。
【0070】
また、呼気排出時においては、使用者が呼気を吐き出すことにより、マウスピース150Aの導出路104内に呼気が導入される。導出路104内に導入された呼気は、マウスピース150Aに設けられた呼気排出口106から外部へと排出される。このとき、本実施の形態における吸入器1においては、後述するようにマウスピース150Aの形状に特徴があるため、導出路104内に導入された呼気は、効果的にほぼすべて呼気排出口106から外部へと排出されることになる。したがって、呼気がエアロゾル搬送路103側、すなわちケース体110の内部に逆流することが防止される。
【0071】
また、上述の構成の吸入器1において、使用者がマウスピース150Aを咥えずに、マウスピース150Aに対峙してマウスピース150Aから吐出されるエアロゾルを吸入する場合の気流の流れは、上述の使用者がマウスピース150Aを咥えて吸入する場合の吸入時の気流の流れとほぼ同様である。しかしながら、ケース体110の内部が使用者の吸気動作によって負圧になることがないため、コンプレッサ10から送出される圧縮空気のみが外気の取り込みやエアロゾルの導出に寄与することになり、このコンプレッサ10の作用により、連続的にエアロゾルがエアロゾル導出口105から吐出されることになる。なお、本実施の形態における吸入器1においては、後述するようにマウスピース150Aの形状に特徴があるため、上記使用態様の際にもエアロゾルがマウスピース150Aの呼気排出口106から外部に漏れ出すことが効果的に防止できる。
【0072】
図5ないし図10は、本実施の形態における吸入器用マウスピースの形状を示す図である。このうち、図5は、吸入器用マウスピースの斜視図であり、図6は、図5中に示す矢印VI方向から見た底面図、図7は、図5中に示す矢印VII方向から見た斜視図である。図8は、図6および図7中に示すVIII−VIII線に沿った断面図であり、図9は、図6中に示すIX−IX線に沿った断面図である。また、図10は、図7中に示すX−X線に沿った断面図である。以下においては、これらの図を参照して、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Aの形状について詳説する。
【0073】
図5ないし図10に示すように、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Aは、流路形成体130の接続部132に接続され、上方に向かって延びる下部側筒状部151と、この下部側筒状部151から斜め前方に延びる上部側筒状部152とを有する筒状の部材にて形成されている。下部側筒状部151の内部には、上方(第1の方向104a)に向かって延びる第1流路部104Aが形成されており、上部側筒状部152の内部には、斜め上方(第2の方向104b)に向かって延びる第2流路部104Bが形成されている。また、下部側筒状部151と上部側筒状部152とを接続する部分の内側には、第1流路部104Aと第2流路部104Bとを接続するコーナー流路部104Cが形成されている。これら第1流路部104A、第2流路部104Bおよびコーナー流路部104Cにより、エアロゾルを導出するための導出路104が構成されている。なお、下部側筒状部151の下端には、上述のエアロゾル搬送路103と第1流路部104Aとを連通させるための開口が位置している。また、上部側筒状部152の先端には、エアロゾルを外部に導出するためのエアロゾル導出口105が位置している。
【0074】
コーナー流路部104Cを規定するマウスピース150Aの第1流路部104Aの中心線と交差する側の壁には、第1流路部104Aを規定する壁と第2流路部104Bを規定する壁とを滑らかに結ぶように曲成することによって構成された湾曲部153が位置している。この湾曲部153はドーム状の形状を有しており、そのエアロゾル導出口105に面する側の部分が一部切り欠かれることにより、エアロゾル流出口155が形成されている。
【0075】
ドーム状の形状を有する湾曲部153のエアロゾル流出口155を規定する部位は、第2流路部104Bの断面積をエアロゾル導出口105に向けて減じる絞り部154を構成している。この絞り部154が設けられた部分に対応した位置の上部側筒状部152の両側面には、呼気排出口106がそれぞれ設けられている。したがって、絞り部154は、第2流路部104Bの呼気排出口106が設けられた部分において、呼気排出口106よりも内側に位置していることになる。
【0076】
図11は、本実施の形態における吸入器用マウスピースにおける吸入時の気流の流れを示す図である。また、図12は、本実施の形態における吸入器用マウスピースにおける呼気排出時の気流の流れを示す図である。ここで、図11(A)ないし図11(C)は、それぞれ上述の図9、図8、図10にそれぞれ対応した断面における気流の流れを示すものであり、図12は、上述の図10に対応した断面における気流の流れを示すものである。なお、これら図11および図12は、いずれも使用者がマウスピースを咥えて吸入する場合を想定した図であるが、使用者がマウスピースを咥えずにマウスピースに対峙してマウスピースから吐出されるエアロゾル吸い込む場合の気流の流れも上述の図11に準ずるため、その図示はここでは省略する。以下においては、これらの図を参照して、本実施の形態における吸入器用マウスピースにおける気流の流れについて説明する。
【0077】
上述の構成のマウスピース150Aにおいて、使用者がマウスピース150Aを咥えてエアロゾルの吸入を行なう場合の気流の流れは、以下の如くである。図11(A)および図11(B)に示すように、エアロゾル搬送路103からマウスピース150Aの第1流路部104Aに流入したエアロゾルは、上方に向かって流動し、コーナー流路部104Cへと至る。コーナー流路部104Cに至ったエアロゾルは、ドーム状の湾曲部153に沿って流動し、エアロゾル流出口155を通過して第2流路部104Bに至る。
【0078】
このとき、エアロゾルは、湾曲部153の存在によってスムーズに第1流路部104Aから第2流路部104Bに導入されることになり、コーナー流路部104Cにおいてエアロゾルの流れが掻き乱されることがない。また、エアロゾルは、図11(A)および図11(C)に示すように、ドーム状の湾曲部153の一部である絞り部154によって絞られ、第2流路部104Bの径方向の中心位置に集められるとともに、図11(B)に示すように、第2流路部104Bの湾曲部153が形成された側の壁面に集められる。したがって、呼気排出口106が設けられた部分においてエアロゾルが呼気排出口106から遠く離れた位置を通過することになるとともに、呼気排出口106が設けられた部分の近傍(図11(C)中において領域Aで示す部分)において負圧が発生し、これにより呼気排出口106から外気が導入されるため、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出すおそれがなく、エアロゾルの浪費が確実に防止される。
【0079】
第2流路部104Bに流入したエアロゾルは、図11(C)に示すように、扇状に広がり、その後エアロゾル導出口105から使用者の口腔へと導出される。本実施の形態におけるマウスピース150Aにおいては、呼気排出口106が第2流路部104Bを規定するマウスピース150Aのコーナー流路部104C寄りの位置に設けられているため、扇状に広がる前にエアロゾルが呼気排出口106が設けられた部分を通過することになり、エアロゾルの漏れ出しが確実に防止される。
【0080】
また、呼気排出時においては、使用者が呼気を吐き出すことによってマウスピース150Aの第2流路部104Bに導入された呼気は、図12に示すように、第2流路部104Bに設けられた呼気排出口106から外部へと排出される。このとき、コンプレッサ10の送圧によってエアロゾル流出口155からエアロゾルが第2流路部104Bに流入しようとするが、通常は呼気の流動圧の方が大きいため、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出す心配はない。
【0081】
また、呼気の大部分は、エアロゾル流出口155を介して第1流路部104Aに流入することなく呼気排出口106から排出されるため、ケース体110の内部の空間にまで呼気が流入し、それによって圧力調整口101からエアロゾルが漏れ出すこともない。特に、本実施の形態における吸入器1においては、圧力調整口101が形成された部分(すなわち、キャップ体140の外周面と流路形成体130の内周面との間の隙間部分)において、外気の導入路102の断面積が他の部分に比して減じられるとともに流路が折り曲げられているため、この部分において外気の導入路102が複雑化し、流動抵抗が大きくなって圧力調整口101からのエアロゾルの漏れ出しが確実に防止されている。
【0082】
また、上述の構成の吸入器1において、使用者がマウスピース150Aを咥えずに、マウスピース150Aに対峙してマウスピース150Aから吐出されるエアロゾルを吸入する場合の気流の流れも、上述の使用者がマウスピース150Aを咥えて吸入する場合の吸入時の気流の流れとほぼ同様である。しかしながら、ケース体110の内部が使用者の吸気動作によって負圧になることがないため、コンプレッサ10から送出される圧縮空気のみが外気の取り込みやエアロゾルの導出に寄与することになり、このコンプレッサ10の作用により、連続的にエアロゾルがエアロゾル導出口105から吐出されることになる。なお、本実施の形態におけるマウスピース150Aにおいては、このときにもエアロゾルが漏れ出すことが効果的に防止されるが、そのメカニズムは上述の使用者がマウスピース150Aを咥えて吸入する場合の吸入時のそれと同じである。
【0083】
以上において説明したように、本実施の形態の如くの吸入器1および吸入器用マウスピース150Aとすることにより、使用態様の如何を問わず、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出すことが防止できる。したがって、呼気弁を呼気排出口106に設けずとも吸入効率を高く維持することができるようになり、部品点数の削減が可能となって洗浄および消毒作業時の作業性が飛躍的に向上するとともに、製造コストを大幅に低減することができる。また、流路中に特に長い絞り部を設ける必要もなく、エアロゾルの導出路104とは別に呼気排出用の排出路を設ける必要もないため、マウスピースを従来に比して小型化することができる。さらには、導出路104に流入した呼気を効果的に呼気排出口106から排出することができるため、エアロゾル生成部に設けられる圧力調整口101に吸気弁を設ける必要性も乏しくなり、吸気弁を廃止することも可能になる。
【0084】
なお、コンプレッサ式吸入器においては、超音波式や超音波−メッシュ式吸入器に比べてエアロゾルの流量が比較的小さいことになるが、その場合にも上記構成を採用することにより、エアロゾルの漏れ出しが確実に防止されることは、本発明者らによって確認されている。
【0085】
図13は、上述の本実施の形態における吸入器用マウスピースの図8中に示すXIII−XIII線に沿った断面図である。図13に示すように、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Aにおいては、呼気排出口106が第1流路部104Aおよび第2流路部104Bのそれぞれの中心線を含む平面180を挟む位置に、すなわち側方に一対設けられている。この部分は、第1流路部104Aの中心線と交差する側の壁面(図13中において鎖線B1で囲った部分の壁面)と周方向においてずれた位置でかつ第2流路部104Bを規定する壁面(図13中において鎖線B2で囲った部分の壁面)の一部である。本実施の形態における吸入器用マウスピース150Aにおいては、より確実に呼気を導出路104から外部に排出するために呼気排出口の開口面積を大きく確保することを目的として、第2流路部104Bの側面に一対の呼気排出口106を設けているが、必ずしもこの側面部分に呼気排出口を設ける必要はなく、図13中において鎖線B2で囲った部分の壁面であれば、どの位置に設けることとしてもよい。
【0086】
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2における吸入器用マウスピースの斜視図である。また、図15は、本実施の形態における吸入器用マウスピースにおける吸入時の気流の流れを示す図であり、図16は、呼気排出時の気流の流れを示す図である。以下においては、これらの図を参照して、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Bの構造および気流の流れについて説明する。なお、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Bは、上述の実施の形態1における吸入器用マウスピース150Aと近似の構造を有しているため、図中同一の部分については同じ符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0087】
図14および図15に示すように、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Bは、上述の実施の形態1における吸入器用マウスピース150Aと同様に、下部側筒状部151と上部側筒状部152とを有する筒状の部材にて構成されており、その内部には、第1流路部104A、第2流路部104Bおよびコーナー流路部104Cからなる流路部104を有している。そして、コーナー流路部104Cを規定するマウスピース150Bの第1流路部104Aの中心線と交差する側の壁には、第1流路部104Aを規定する壁と第2流路部104Bを規定する壁とを滑らかに結ぶように曲成することによって構成された湾曲部153が位置している。また、第2流路部104Bを規定するマウスピース150Bの下面側のコーナー流路部104C寄りの位置には、呼気を排出するための呼気排出口106が設けられている。なお、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Bにおいては、絞り部は特に形成されていない。
【0088】
上述の構成のマウスピース150Bにおいて、使用者がマウスピース150Bを咥えてエアロゾルの吸入を行なう場合の気流の流れは、図15に示す如くとなる。すなわち、第1流路部104Aに流入したエアロゾルは、上方に向かって流動してコーナー流路部104Cへと至り、湾曲部153に沿って流動し、その後第2流路部104Bを通過してエアロゾル導出口105より吐出される。このとき、エアロゾルは、湾曲部153の存在によってスムーズに第1流路部104Aから第2流路部104Bに導入されることになり、コーナー流路部104Cにおいてエアロゾルの流れが掻き乱されることがない。
【0089】
また、エアロゾルは、第2流路部104Bの湾曲部153が形成された側の壁面に集められるため、呼気排出口106が設けられた部分においてエアロゾルが呼気排出口106から遠く離れた位置を通過することになる。したがって、呼気排出口106が設けられた部分の近傍(図15中において領域Cで示す部分)において負圧が発生し、これにより呼気排出口106から外気が導入されるため、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出すおそれがなく、エアロゾルの浪費が確実に防止される。
【0090】
また、呼気排出時においては、使用者が呼気を吐き出すことによってマウスピース150Bの第2流路部104Bに導入された呼気は、図16に示すように、第2流路部104Bに設けられた呼気排出口106から外部へと排出される。このとき、コンプレッサ10の送圧によってエアロゾルが第2流路部104Bに流入しようとするが、通常は呼気の流動圧の方が大きいため、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出す心配はない。また、呼気の大部分は、第1流路部104Aに流入することなく呼気排出口106から排出されるため、ケース体110の内部の空間にまで呼気が流入し、それによって圧力調整口101からエアロゾルが漏れ出すこともない。
【0091】
また、上述の構成の吸入器用マウスピース150Bにおいて、使用者がマウスピース150Bを咥えずに、マウスピース150Bに対峙してマウスピース150Bから吐出されるエアロゾルを吸入する場合の気流の流れも、上述の使用者がマウスピース150Bを咥えて吸入する場合の吸入時の気流の流れとほぼ同様である。しかしながら、ケース体110の内部が使用者の吸気動作によって負圧になることがないため、コンプレッサ10から送出される圧縮空気のみが外気の取り込みやエアロゾルの導出に寄与することになり、このコンプレッサ10の作用により、連続的にエアロゾルがエアロゾル導出口105から吐出されることになる。なお、本実施の形態におけるマウスピース150Bにおいては、このときにもエアロゾルが漏れ出すことが効果的に防止されるが、そのメカニズムは上述の使用者がマウスピース150Bを咥えて吸入する場合の吸入時のそれと同じである。
【0092】
以上において説明したように、本実施の形態の如くの吸入器用マウスピース150Bとすることにより、使用態様の如何を問わず、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出すことが防止できる。したがって、呼気弁を呼気排出口106に設けずとも吸入効率を高く維持することができるようになり、部品点数の削減が可能となって洗浄および消毒作業時の作業性が飛躍的に向上するとともに、製造コストを大幅に低減することができる。また、絞り部を特に設ける必要もなく、エアロゾルの導出路104とは別に呼気排出用の排出路を設ける必要がないため、マウスピースを従来に比して小型化することができる。さらには、導出路104に流入した呼気を効果的に呼気排出口106から排出することができるため、エアロゾル生成部に設けられる圧力調整口101に吸気弁を設ける必要性も乏しくなり、吸気弁を廃止することも可能になる。
【0093】
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3における吸入器用マウスピースの斜視図であり、図18は、断面図である。また、図19は、本実施の形態における吸入器用マウスピースにおける吸入時の気流の流れを示す図であり、図20は、呼気排出時の気流の流れを示す図である。以下においては、これらの図を参照して、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Cの構造および気流の流れについて説明する。なお、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Cは、上述の実施の形態1における吸入器用マウスピース150Aと近似の構造を有しているため、図中同一の部分については同じ符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0094】
図17および図18に示すように、本実施の形態における吸入器用マウスピース150Cは、上述の実施の形態1における吸入器用マウスピース150Aと同様に、下部側筒状部151と上部側筒状部152とを有する筒状の部材にて構成されており、その内部には、第1流路部104A、第2流路部104Bおよびコーナー流路部104Cからなる流路部104を有している。しかしながら、上述の実施の形態1における吸入器用マウスピース150Aとは異なり、コーナー流路部104Cを規定する部分には湾曲部が設けられておらず、屈曲した形状を有している。
【0095】
第2流路部104Bを規定するマウスピース150Cの両側面側のコーナー流路部104C寄りの部分には、その壁の一部を内側に向けて屈曲させることにより、第2流路部104Bの断面積をエアロゾル導出口105に向けて減じる絞り部154が設けられている。絞り部154は、第2流路部104Bの両側面に一対設けられており、これによりエアロゾル流出口155が第2流路部104Bの中止位置寄りの部分に形成されている。この絞り部154が設けられた部分に対応した位置の上部側筒状部152の両側面には、呼気排出口106がそれぞれ設けられている。絞り部154は、第2流路部104Bの呼気排出口106が設けられた部分において、呼気排出口106よりも内側に位置している。
【0096】
上述の構成のマウスピース150Cにおいて、使用者がマウスピース150Cを咥えてエアロゾルの吸入を行なう場合の気流の流れは、図19に示す如くとなる。すなわち、第1流路部104Aに流入したエアロゾルは、上方に向かって流動してコーナー流路部104Cへと至り、第2流路部104Bへ流入した後にエアロゾル導出口105より吐出される。
【0097】
このとき、エアロゾルは、第2流路部104Bを規定する流路壁のうちの上面側に集められるため、呼気排出口106が設けられた部分においてエアロゾルが呼気排出口106から遠く離れた位置を通過することになる。したがって、呼気排出口106が設けられた部分の近傍(図19中において領域Aで示す部分)において負圧が発生し、これにより呼気排出口106から外気が導入されるため、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出すおそれがなく、エアロゾルの浪費が確実に防止される。
【0098】
また、呼気排出時においては、使用者が呼気を吐き出すことによってマウスピース150Cの第2流路部104Bに導入された呼気は、図20に示すように、第2流路部104Bに設けられた呼気排出口106から外部へと排出される。このとき、コンプレッサ10の送圧によってエアロゾルが第2流路部104Bに流入しようとするが、通常は呼気の流動圧の方が大きいため、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出す心配はない。また、呼気の大部分は、エアロゾル流出口155を介して第1流路部104Aに流入することなく呼気排出口106から排出されるため、ケース体110の内部の空間にまで呼気が流入し、それによって圧力調整口101からエアロゾルが漏れ出すこともない。
【0099】
また、上述の構成の吸入器用マウスピース150Cにおいて、使用者がマウスピース150Cを咥えずに、マウスピース150Cに対峙してマウスピース150Cから吐出されるエアロゾルを吸入する場合の気流の流れも、上述の使用者がマウスピース150Cを咥えて吸入する場合の吸入時の気流の流れとほぼ同様である。しかしながら、ケース体110の内部が使用者の吸気動作によって負圧になることがないため、コンプレッサ10から送出される圧縮空気のみが外気の取り込みやエアロゾルの導出に寄与することになり、このコンプレッサ10の作用により、連続的にエアロゾルがエアロゾル導出口105から吐出されることになる。なお、本実施の形態におけるマウスピース150Cにおいては、このときにもエアロゾルが漏れ出すことが効果的に防止されるが、そのメカニズムは上述の使用者がマウスピース150Cを咥えて吸入する場合の吸入時のそれと同じである。
【0100】
以上において説明したように、本実施の形態の如くの吸入器用マウスピース150Cとすることにより、使用態様の如何を問わず、エアロゾルが呼気排出口106から漏れ出すことが防止できる。したがって、呼気弁を呼気排出口106に設けずとも吸入効率を高く維持することができるようになり、部品点数の削減が可能となって洗浄および消毒時の作業性が飛躍的に向上するとともに、製造コストを大幅に低減することができる。また、流路中に特に長い絞り部を設ける必要もなく、エアロゾルの導出路104とは別に呼気排出用の排出路を設ける必要もないため、マウスピースを従来に比して小型化することができる。さらには、導出路104に流入した呼気を効果的に呼気排出口106から排出することができるため、エアロゾル生成部に設けられる圧力調整口101に吸気弁を設ける必要性も乏しくなり、吸気弁を廃止することも可能になる。
【0101】
以上において説明した実施の形態1ないし3においては、吸入器としてコンプレッサ式吸入器を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、超音波式吸入器や超音波−メッシュ式吸入器にも適用が可能である。
【0102】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態1における吸入器の装置構成を示す外観図である。
【図2】本発明の実施の形態1における吸入器のネブライザの構造を示す側面図および正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるネブライザの組付構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1における吸入器のネブライザの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースの底面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースの斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースの断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースの断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースの断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースにおける吸入時の気流の流れを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースにおける呼気排出時の気流の流れを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1における吸入器用マウスピースの断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2における吸入器用マウスピースの斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態2における吸入器用マウスピースにおける吸入時の気流の流れを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態2における吸入器用マウスピースにおける呼気排出時の気流の流れを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態3における吸入器用マウスピースの斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態3における吸入器用マウスピースの断面図である。
【図19】本発明の実施の形態3における吸入器用マウスピースにおける吸入時の気流の流れを示す図である。
【図20】本発明の実施の形態3における吸入器用マウスピースにおける呼気排出時の気流の流れを示す図である。
【図21】従来の吸入器用マウスピースの一構成例を示す縦断面図である。
【図22】図21に示す吸入器用マウスピースの正面図である。
【図23】従来の吸入器用マウスピースの他の構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 吸入器、10 コンプレッサ、20 チューブ、30 液体、100 ネブライザ、101 圧力調整口、102 導入路、103 エアロゾル搬送路、104 導出路、104A 第1流路部、104B 第2流路部、104C コーナー流路部、105 エアロゾル導出口、106 呼気排出口、110 ケース体、114 圧縮空気導入管部、116 貯留部、118 目印、119 係止凹部、120 霧化部形成体、122 バッフル、124 吸液管形成部、130 流路形成体、132 接続部、133 開口部、134 吸気管部、138 目印、139 係止凸部、140 キャップ体、141 外周面、142 凹部、150A〜150C マウスピース、151 下部側筒状部、152 上部側筒状部、153 湾曲部、154 絞り部、155 エアロゾル流出口。




 

 


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