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発明の名称 マイクロエマルション組成物およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70329(P2007−70329A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−262330(P2005−262330)
出願日 平成17年9月9日(2005.9.9)
代理人 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
発明者 山下 洋美
要約 課題
安全性と、低温及び高温での安定性との双方を高水準で達成できるマイクロエマルション組成物及びその製造方法を提供すること。

解決手段
上記課題を解決する本発明のマイクロエマルション組成物は、必須成分として(a)非イオン性界面活性剤、(b)油性成分および(c)ポリオールを含むマイクロエマルションに、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸を配合して得られることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
必須成分として(a)非イオン性界面活性剤、(b)油性成分および(c)ポリオールを含むマイクロエマルションに、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸を配合して得られることを特徴とするマイクロエマルション組成物。
【請求項2】
前記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロエマルション組成物。
【請求項3】
前記塩基性アミノ酸として、アルギニン、リジンおよびヒスチジンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を配合することを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロエマルション組成物。
【請求項4】
(a)非イオン性界面活性剤と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、水と、を含むマイクロエマルションを調製するマイクロエマルション調製工程と、
前記マイクロエマルション調製工程後に、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸と前記マイクロエマルションとを混合する塩基性アミノ酸混合工程と、
を備えることを特徴とするマイクロエマルション組成物の製造方法。
【請求項5】
(a)非イオン性界面活性剤と、(b)油性成分と、第1のポリオールと、を含む油相を調製する油相調製工程と、
第2のポリオールと、水と、を含む水相を調製する水相調製工程と、
前記油相と前記水相とを含むマイクロエマルションを調製するマイクロエマルション調製工程と、
前記マイクロエマルション調製工程後に、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸と前記マイクロエマルションとを混合する塩基性アミノ酸混合工程と、
を備えることを特徴とするマイクロエマルション組成物の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエマルション組成物およびその製造方法に関する。詳しくは、医薬品、化粧品及び食品等の分野において利用できるマイクロエマルション組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品、化粧品及び食品等の分野において、エマルション製剤は非常によく用いられている。なかでも、一般のエマルションより分散粒子が非常に微細化されたマイクロエマルションは、外観上透明或いは半透明を呈すること、粒子の微細さによって浸透性に優れること、熱力学的に安定であること等の利点を有することから、上記分野において重要な技術とされている。
【0003】
ところで、マイクロエマルション組成物に使用される界面活性剤としては、安全性の観点から、非イオン性界面活性剤が使用されることが多い。
【0004】
その一方で、医薬品、化粧品及び食品等の分野に利用されるマイクロエマルション製剤は、その品質が様々な環境下で長期に亘って維持されることが必要であり、そのため、広い温度範囲においてクリーミングや凝集等の状態変化が起こりにくいマイクロエマルションが要求される。
【0005】
そこで、非イオン性界面活性剤を用いて温度安定性の高いマイクロエマルションを得ることを目的として、例えば、親水性の非イオン性界面活性剤と、一定範囲の炭素数及び有機概念図上の無機性値を有する油の1種又は2種以上と、水とを特定の重量比で含有してなるマイクロエマルション組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】特公平6−61454号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近時、低刺激、低毒性など安全性への関心は益々高まっており、より高水準の安全性を達成しようとすると、上記特許文献1に記載のマイクロエマルション組成物であっても以下の理由により必ずしも温度安定性が十分であるとは言えない。
【0008】
すなわち、本発明者らの検討によると、上記特許文献1に記載のマイクロエマルション組成物において、皮膚刺激性や眼粘膜刺激性などを十分低減するために、非イオン性界面活性剤としてより低刺激性のものを用いる或いは非イオン性界面活性剤の配合量を少なくすると、低温及び高温下で十分な安定性を示さないことが判明している。
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、安全性と、低温及び高温での安定性との双方を高水準で達成できるマイクロエマルション組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、非イオン性界面活性剤、油性成分、ポリオール及び水を含んでなるマイクロエマルションに、特定の温度以下で塩基性アミノ酸を配合することにより、得られたマイクロエマルションの安定性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のマイクロエマルション組成物は、必須成分として(a)非イオン性界面活性剤、(b)油性成分および(c)ポリオールを含むマイクロエマルションに、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸を配合して得られることを特徴とする。
【0012】
本発明において、「マイクロエマルション」とは、エマルション粒子の平均粒子径が300nm以下であるものをいう。また、かかる平均粒子径は、動的光散乱法により得られる値を採用する。
【0013】
本発明のマイクロエマルション組成物によれば、塩基性アミノ酸を上記条件で配合することにより上記構成を有するマイクロエマルションの安定性が飛躍的に向上することから、安全性を考慮して非イオン性界面活性剤の選択及び配合量の設定を行う場合であってもマイクロエマルション製剤の低温及び高温下での安定性を十分確保することが可能となる。したがって、本発明のマイクロエマルション組成物によれば、高水準の安全性を有するとともに安定性に十分優れるマイクロエマルション製剤が実現可能となる。
【0014】
また、本発明のマイクロエマルション組成物によれば、調製されるマイクロエマルション製剤の剪断力に対する安定性を向上させる効果も得られ、剪断力が加わる工程を経た後の状態変化を十分抑制することができる。これにより、充填などに起因する品質低下を十分防止することが可能となる。
【0015】
更に、本発明のマイクロエマルション組成物によれば、調製されるマイクロエマルション製剤が低粘度であっても十分な保存安定性を確保することが可能となる。よって本発明は、25℃における粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とするマイクロエマルション組成物を提供することができる。かかるマイクロエマルション組成物は、乳液、ローション等の低粘度製品に適用でき、それらの安全性及び安定性を高水準で達成することが可能となる。
【0016】
また、本発明のマイクロエマルション組成物によれば、マイクロエマルション製剤の保湿性を向上させることができるという予期せぬ効果も得ることができる。
【0017】
本発明のマイクロエマルション組成物は、上記非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【0018】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、安全性の高い非イオン性界面活性剤として知られているが、乳化力が弱いため、特に低温及び高温下で安定なマイクロエマルションを得ることが困難であった。これに対して、本発明によれば、塩基性アミノ酸の配合によって、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる場合であっても広い温度範囲で安定性を十分確保することができる。従って、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む本発明のマイクロエマルション組成物によれば、低温及び高温下での安定性に十分優れるとともに更に高い安全性を有するマイクロエマルション製剤の実現が可能となる。
【0019】
更に、本発明のマイクロエマルション組成物は、上記油性成分として、炭素数11〜28の疎水性基と水酸基またはカルボキシル基とを分子内に有する化合物を含むことが好ましい。かかる高級脂肪酸又は高級アルコールを含むことにより、使用する非イオン性界面活性剤の配合量を更に低減させることができ、より一層安全性に優れたマイクロエマルション製剤の実現が可能となる。
【0020】
また、本発明のマイクロエマルション組成物は、上記塩基性アミノ酸として、アルギニン、リジン及びヒスチジンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。かかる塩基性アミノ酸を用いることにより、上述したマイクロエマルションの安定性向上効果をより確実に得ることができる。
【0021】
また、上記のマイクロエマルション組成物においては、マイクロエマルション組成物の全質量を基準として、上記(a)成分の含有量が0.1〜10質量%、上記(b)成分の含有量が0.1〜20質量%、上記(c)成分の含有量が1.0〜30質量%、上記(d)成分の含有量が0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
【0022】
また、上記(b)成分の含有量が、上記(a)成分1質量部に対して1〜10質量部であり、且つ、上記(c)成分の含有量が、上記(a)成分1質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。
【0023】
また、本発明は、(a)非イオン性界面活性剤と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、水と、を含むマイクロエマルションを調製するマイクロエマルション調製工程と、マイクロエマルション調製工程後に、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸と上記マイクロエマルションとを混合する塩基性アミノ酸混合工程とを備えることを特徴とするマイクロエマルション組成物の製造方法を提供する。
【0024】
かかるマイクロエマルション組成物の製造方法によれば、安全性と、低温及び高温での安定性との双方を高水準で達成できる本発明のマイクロエマルション組成物をより確実に得ることができる。このような効果が得られる理由としては、塩基性アミノ酸を配合する工程を上記構成とすることにより、マイクロエマルション中に塩基性アミノ酸と塩を形成しうる成分が含まれる場合であっても、塩基性アミノ酸塩の形成を防止しつつマイクロエマルション組成物中に塩基性アミノ酸を配合できるためと考えられる。また、本発明のマイクロエマルション組成物の製造方法によれば、上記の理由から、マイクロエマルション組成物の設計の自由度を更に高めることができる。
【0025】
更に、本発明は、(a)非イオン性界面活性剤と、(b)油性成分と、第1のポリオールと、を含む油相を調製する油相調製工程と、第2のポリオールと、水と、を含む水相を調製する水相調製工程と、上記油相と上記水相とを含むマイクロエマルションを調製するマイクロエマルション調製工程と、マイクロエマルション調製工程後に、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸と上記マイクロエマルションとを混合する塩基性アミノ酸混合工程とを備えることを特徴とするマイクロエマルション組成物の製造方法を提供する。
【0026】
なお、上記の「第1のポリオール」及び「第2のポリオール」はそれぞれ、同じポリオールであっても異なるポリオールであってもよい。また、かかるポリオールは1種であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0027】
かかるマイクロエマルション組成物の製造方法によれば、上記油相調製工程と上記水相調製工程とを備えることにより300nm以下の平均粒子径を有するマイクロエマルションを効率よく調製することができるとともに、かかるマイクロエマルション中に塩基性アミノ酸と塩を形成しうる成分が含まれる場合であっても、上記塩基性アミノ酸混合工程により塩基性アミノ酸塩の形成を防止しつつマイクロエマルション組成物中に塩基性アミノ酸を配合できる。従って、上記のマイクロエマルション組成物の製造方法によれば、マイクロエマルション組成物の設計の自由度を高めることができるとともに、優れた生産性で本発明のマイクロエマルション組成物を製造することができる。
【0028】
また、上記のマイクロエマルション組成物の製造方法においては、上記(a)成分、上記(b)成分、上記(c)成分、及び、上記(d)成分の配合量はそれぞれ、最終的に得られるマイクロエマルション組成物の全質量を基準として、0.1〜10質量%、0.1〜20質量%、1.0〜30質量%、及び、0.01〜2.0質量%となるように設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明よれば、安全性と、低温及び高温での安定性との双方を高水準で達成できるマイクロエマルション組成物及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0031】
本発明で用いる(a)非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、及び、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0032】
上記の非イオン性界面活性剤は、HLB値が7〜16のものが好ましく、分子量も大きい方が好ましい。
【0033】
本発明においては、低皮膚刺激性、低眼粘膜刺激性であること等、安全性を更に向上させる観点から、上記の非イオン性界面活性剤のうちポリグリセリル脂肪酸エステルを用いることが特に好ましい。
【0034】
また、本発明で用いるポリグリセリル脂肪酸エステルは、HLB値が7〜16のものが好ましく、分子量も大きい方が好ましい。具体的には、例えば、ヘキサグリセリルモノラウリン酸エステル,ヘキサグリセリルモノミリスチン酸エステル,ヘキサグリセリルモノパルミチン酸エステル,デカグリセリルモノラウリン酸エステル,デカグリセリルモノミリスチン酸エステル,デカグリセリルモノステアリン酸エステル,デカグリセリルモノイソステアリン酸エステル,デカグリセリルモノオレイン酸エステル,デカグリセリルモノリノール酸エステル,デカグリセリルジステアリン酸エステル,デカグリセリルジオレイン酸エステル,デカグリセリルジイソステアリン酸エステル等のポリグリセリル脂肪酸エステルが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
本発明で用いる(b)油性成分としては、例えば、アボカド油,アルモンド油,オリーブ油,マカデミアンナッツ油,ヒマシ油,ツバキ油,ホホバ油,ゴマ油,サフラワー油,大豆油,パーシック油,綿実油,ヒマワリ油,アマニ油,カカオ脂,ヤシ脂,モクロウ,カルナウバロウ,キャンデリラロウ等の植物性油脂類、卵黄油,タートル油,ミンク油,タラ肝油,サメ肝油,オレンジラフィー油,牛脂,豚脂,羊脂,ミツロウ,鯨ロウ,ラノリン等の動物性油脂類、硬化油類、流動パラフィン,ワセリン,イソパラフィン,セレシン,スクワラン,スクワレン,パラフィン,マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ラウリン酸,ミリスチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,ベヘニン酸,ウンデシレン酸,ラノリン脂肪酸,イソステアリン酸,リノール酸,リノレン酸,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸等の脂肪酸類、ラウリルアルコール,セタノール,ステアリルアルコール,オレイルアルコール,ラノリンアルコール,水添ラノリンアルコール,ヘキシルデカノール,オクチルドデカノール等の高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸ブチル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸ミリスチル,ミリスチン酸オクチルドデシル,ラウリン酸ヘキシル,ジオレイン酸プロピレングリコール,モノステアリン酸プロピレングリコール,モノステアリン酸エチレングリコール,トリミリスチン酸グリセリン,酢酸ラノリン,乳酸セチル,乳酸ミリスチル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,リンゴ酸イソステアリル等のエステル類、ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
また、非イオン性界面活性剤の配合量を低減する観点から、油性成分として、高級アルコール又は高級脂肪酸を用いることが好ましく、炭素数11〜28の疎水性基と水酸基又はカルボキシル基とを分子内に有する化合物を用いることがより好ましい。
【0037】
このような化合物としては、例えば、ステアリルアルコール,オレイルアルコール,ヘキシルデカノール,オクチルドデカノール,ベヘニルアルコール,ミリスチルアルコール等の高級アルコール、及び、ステアリン酸,オレイン酸,ベヘニン酸,イソステアリン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸等の高級脂肪酸などが挙げられる。
【0038】
本発明で用いる(c)ポリオールとは、分子内に2つ以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,エチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,イソプレングリコール,1,3−ブタンジオール(1,3−ブチレングリコール),2,3−ブタンジオール,1,4−ブタンジオール,2−ブテン−1,4−ジオール,1,5−ペンタンジオール,グリセリン,ジグリセリン,トリグリセリン,ポリグリセリン,トリメチロールプロパン,エリスリトール,ペンタエリスリトール,ソルビトール,マビット,マルチトール,ラクトース,フラクトース,マルトース,ソルビタン,グルコース,アラビトール,キシリトール,マンニトール等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明で用いる(d)塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
必須成分として、(a)非イオン性界面活性剤と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、(d)塩基性アミノ酸とを含む本発明に係るマイクロエマルション組成物においては、マイクロエマルション組成物の全質量を基準として、(a)成分の含有量が0.1〜10質量%、(b)成分の含有量が0.1〜20質量%、(c)成分の含有量が1.0〜30質量%、(d)成分の含有量が0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
【0041】
(a)成分の含有量が0.1質量%未満であると、油性成分の含有量が多い場合に十分乳化させることが困難となり、安定性に優れたマイクロエマルションを形成できなくなる傾向にある。一方、かかる含有量が10質量%を超えると、皮膚刺激性などが増加する場合があり、高い安全性を維持することが困難となる傾向にある。
【0042】
(b)成分の含有量が0.1質量%未満であると、油性成分の添加効果が得られにくくなる傾向にある。一方、かかる含有量が20質量%を超えると、安定性に優れたマイクロエマルションを形成すことが困難となる傾向にある。
【0043】
(c)成分の含有量が1.0質量%未満であると、保湿力が不足する傾向にある。一方、かかる含有量が30質量%を超えると、使用感がべたつく傾向にある。
【0044】
(d)成分の含有量が0.01質量%未満であると、マイクロエマルション組成物の低温及び高温下での安定性が不十分となる傾向にある。一方、かかる含有量が2.0質量%を超えると、pHが高くなりすぎて皮膚刺激性の問題が生じる場合がある。
【0045】
更に、(b)成分の含有量が、(a)成分の含有量1質量部に対して1〜10質量部であり、且つ、(c)成分の含有量が、(a)成分の含有量1質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。(a)成分、(b)成分及び(c)成分を上記の割合で含有させることにより、安全性、保存安定性、使用感及び保湿力のすべてを満足するバランスに優れたマイクロエマルションを得ることができる。
【0046】
本発明に係るマイクロエマルション組成物には、非イオン性界面活性剤以外の界面活性剤を本願の効果を損なわない範囲で更に含有させてもよいが、安全性の観点から、実質的に非イオン性界面活性剤のみを界面活性剤として含有させることが好ましい。
【0047】
また、本発明に係るマイクロエマルション組成物において、油相には更に酢酸トコフェロール等の抗酸化剤、紫外線吸収剤などの油溶性の添加成分を加えることができ、水相にもアスコルビン酸誘導体などの水溶性ビタミン類、アミノ酸、多価アルコール,ムコ多糖類,コラーゲン等の保湿剤、防腐剤等を添加することができる。
【0048】
本発明に係るマイクロエマルション組成物は、乳剤,乳剤型軟膏等の医薬品製剤における基剤、乳液,クリーム等の化粧料、食品用乳剤といった形態で利用される。特に、粘度の低い液状或いはペースト状の製剤に好適である。
【0049】
(マイクロエマルション組成物の製造方法)
次に、本発明に係るマイクロエマルション組成物の製造方法の好適な実施形態について説明する。
【0050】
本発明に係るマイクロエマルション組成物の製造方法の一実施形態は、上記(a)非イオン性界面活性剤と、上記(b)油性成分と、上記(c)ポリオールと、水と、を含むマイクロエマルションを調製するマイクロエマルション調製工程と、マイクロエマルション調製工程後に、55℃以下の温度で上記(d)塩基性アミノ酸とマイクロエマルションとを混合する塩基性アミノ酸混合工程とを備える。
【0051】
かかる製造方法の具体例としては、(i)真空乳化釜に(a)成分、(b)成分、(c)成分、水、及び、必要に応じて他の添加物を添加し、例えば80℃で乳化することによりマイクロエマルションを調製し、続いて撹拌冷却して系内の温度を55℃以下にした後、ここに(d)塩基性アミノ酸を添加し混合する方法、(ii)(a)成分、(b)成分、(c)成分、水、及び、必要に応じて他の添加物の混合物から、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波乳化機、コロイドミル等を用いてマイクロエマルションを調製し、このマイクロエマルションをオープン釜に移した後、55℃以下の温度で(d)塩基性アミノ酸を添加し混合する方法などが挙げられる。本実施形態においては、マイクロエマルションと(d)塩基性アミノ酸とを混合する温度は室温〜50℃の範囲内が好ましい。
【0052】
また、本発明に係るマイクロエマルション組成物の製造方法の別の実施形態は、上記(a)非イオン性界面活性剤と、上記(b)油性成分と、第1のポリオールと、を含む油相を調製する油相調製工程と、第2のポリオールと、水と、を含む水相を調製する水相調製工程と、油相と水相とを含むマイクロエマルションを調製するマイクロエマルション調製工程と、マイクロエマルション調製工程後に、55℃以下の温度で、上記(d)塩基性アミノ酸と、マイクロエマルション調製工程で得られたマイクロエマルションとを混合する塩基性アミノ酸混合工程とを備える。ここで、第1のポリオール及び第2のポリオールは、上記(c)ポリオールと同様のものを使用でき、それぞれが同じポリオールであっても異なるポリオールであってもよい。また、第1のポリオール及び第2のポリオールは1種であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0053】
油相調製工程では、所定量の、(a)成分、(b)成分及び第1のポリオールと、必要に応じて他の添加物とを撹拌混合することにより油相が調製される。撹拌混合は、油相が均一に溶解すればよく、例えば、室温〜90℃で、1〜30分程度行うことが好ましい。
【0054】
水相調製工程では、所定量の、第2のポリオール及び水と、必要に応じて他の添加物とを撹拌混合することにより水相が調製される。撹拌混合は、水相が均一に溶解すればよく、例えば、室温〜90℃で、1〜30分程度行うことが好ましい。
【0055】
本実施形態において、上記(a)成分の配合量は、最終的に得られるマイクロエマルション組成物の全質量を基準として(a)成分の含有量が0.1〜10質量%となるように設定することが好ましい。また、上記(b)成分の配合量は、最終的に得られるマイクロエマルション組成物の全質量を基準として(b)成分の含有量が0.1〜20質量%となるように設定することが好ましい。第1のポリオール及び第2のポリオールの配合量は、最終的に得られるマイクロエマルション組成物の全質量を基準として第1のポリオール及び第2のポリオールの合計含有量が1.0〜30質量%となるように設定することが好ましい。
【0056】
また、第1のポリオール及び第2のポリオールの配合量は、[第1のポリオールの配合量]:[第2のポリオールの配合量]=1:10〜10:1となるように設定することが好ましい。
【0057】
マイクロエマルション調製工程では、例えば、上記油相調製工程で得られた油相に、上記水相調製工程で得られた水相を添加し、70℃以上で混合することにより予備乳化し、続いて、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波乳化機又はコロイドミル等を用いて乳化することによりマイクロエマルションが調製される。
【0058】
塩基性アミノ酸混合工程では、例えば、上記マイクロエマルション調製工程で得られたマイクロエマルションを55℃以下の温度に冷却したものに、上記(d)塩基性アミノ酸を含む55℃以下の溶液を加え混合する。このように混合する温度を55℃以下に設定することで、特に、(b)油性成分として上記高級脂肪酸を配合する場合には、高級脂肪酸と塩基性アミノ酸とが石鹸を形成することを防止でき、マイクロエマルション組成物に塩基性アミノ酸を確実に含有させることができるともに、高級脂肪酸の添加効果が損なわれることも防止できる。従って、上記方法によれば、界面活性剤の配合量を更に低減することが容易にでき、更に高水準の安全性を有するマイクロエマルション組成物を得ることが可能となる。
【0059】
本実施形態においては、マイクロエマルションと(d)塩基性アミノ酸とを混合する温度は室温〜50℃の範囲内が好ましい。
【0060】
上記(d)塩基性アミノ酸を含む温度55℃以下の溶液は、(d)塩基性アミノ酸と、精製水と、必要に応じて他の添加物とを混合し予め調製することが好ましい。
【0061】
上記(d)成分の配合量は、最終的に得られるマイクロエマルション組成物の全質量を基準として(d)成分の含有量が0.01〜2.0質量%となるように設定することが好ましい。
【0062】
マイクロエマルションと、(d)塩基性アミノ酸を含む溶液との混合は、例えば、乳化釜、オープン釜等で行うことができ、マイクロエマルションを調製した装置に応じて適宜設定することができる。
【0063】
上記塩基性アミノ酸混合工程を経て、本発明に係るマイクロエマルション組成物が得られる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)保湿液
(1) スクワラン 7.8(質量%)
(2) 精製ホホバ油 0.1
(3) ミツロウ 0.2
(4) ステアリン酸 0.5
(5) 水添パーム油 0.8
(6) ベヘニルアルコール 1.2
(7) 親油型モノステアリン酸グリセリン 0.6
(8) モノステアリン酸ペンタグリセリン 2.2
(9) d−δ−トコフェノール 0.03
(10) トリ脂肪酸(D−20)グリセリル 0.1
(11) 1,3−ブチレングリコール 10.0
(12) 1,3−ブチレングリコール 6.0
(13) 精製水 24.0
(14) 精製水 30.97
(15) L−アルギニン(10質量%水溶液) 0.2
(16) フェノキシエタノール 0.2
(17) 未変性エタノール 5.0
(18) 精製水 10.0
(19) ジメチルポリシロキサン(粘度:10mPa・s) 0.1

製法:先ず、成分(1)〜(11)を混合して油相を調製し、80℃に加熱した。一方、成分(12)及び(13)を混合して水相を調製し、80℃に加熱した。次に、油相に水相を添加し、ホモミキサーを用いて乳化させ、続いて、80℃の精製水(14)を添加した。次に、乳化物の温度が50℃以下となるまで撹拌冷却した後、この乳化物に成分(15)〜(19)を混合した溶液(温度50℃)を添加し撹拌混合し、実施例1の保湿液を得た。
【0066】
(比較例1)保湿液
L−アルギニン(15)を用いず、精製水(14)を31.17質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の保湿液を得た。
【0067】
(比較例2)保湿液
親油型モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ペンタグリセリン及びトリ脂肪酸(D−20)グリセリルの代わりにラウリル硫酸ナトリウム(配合量:2.9質量%)を用いて油相を調製したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の保湿液を得た。
【0068】
実施例1、比較例1及び2の保湿液について、平均粒子径、pH及び粘度の測定、保存安定性試験(5℃、25℃、40℃、50℃、サイクル)、凍結融解試験、剪断試験、使用感の官能評価、並びに、皮膚刺激性評価を下記の方法に基づいて行った。得られた結果を表3及び4に示す。
【0069】
<平均粒子径、pH及び粘度の測定>
平均粒子径は、動的散乱法により温度25℃で測定した。pHは、温度25℃で測定した。粘度(mPa・s)は、B型粘度計(ローターNo.4)により温度25℃で測定した。
【0070】
<保存安定性試験>
各温度(5℃、25℃、40℃、50℃)で1ヶ月間保存した後のエマルションの状態を目視にて確認し、以下の判定基準に基づいて評価した。
「○」:エマルションの合一が認められない。
「×」:エマルションの合一が認められる。
【0071】
また、−5℃で24時間,30℃で24時間を1サイクルとし、エマルションの状態の変化が認められ始めるまでのサイクル数を評価し、5サイクル以上を「○」,2〜4サイクルを「△」,1サイクル以下を「×」とした。
【0072】
<凍結融解試験>
−20℃で凍結させた後、室温で融解させることを5回繰り返したときのエマルションの状態を目視にて確認し、以下の判定基準に基づいて評価した。
「○」:エマルションの合一が認められない。
「×」:エマルションの合一が認められる。
【0073】
<剪断試験>
100mL、口径1mmのガラスシリンジに試料を入れて吐出する操作を1回とし、この操作を10回繰り返した後のエマルションの状態を目視にて確認し、以下の判定基準に基づいて評価した。
「○」:エマルションの合一が認められない。
「×」:エマルションの合一が認められる。
【0074】
<官能評価>
女性パネル10名を一群として表1に示した評価項目により使用感を評価させ、その平均点を算出した。
【表1】




【0075】
<皮膚刺激性評価>
男性パネラー20名による48時間の閉塞貼付試験を行い、その結果を表2に示す判定基準に従って判定し、20名の皮膚刺激指数の平均値にて示した。
【表2】




【0076】
【表3】




【0077】
【表4】




【0078】
表3及び4に示されるように、実施例1では平均粒子径300nm以下のマイクロエマルションである保湿液が得られ、かかる保湿液は低温及び高温での安定性に優れるとともに皮膚刺激性も認められず安全性に優れていることが分かった。また、実施例1の保湿剤は、L−アルギニンを含まない比較例1の保湿剤に比べて、保湿性にも優れていることが確認された。更に、実施例1の保湿剤は、剪断力が加えられた場合であってもマイクロエマルションの状態を安定に維持できることが分かった。一方、比較例1の保湿液は、マイクロエマルションの安定性が不十分であることが確認された。また、アニオン性界面活性剤を用いた比較例2の保湿液は、皮膚刺激指数が高く、安全性において不十分であることが確認された。
【0079】
(製法比較例1)
先ず、成分(1)〜(11)を混合して油相を調製し、80℃に加熱した。一方、成分(12)、精製水(13)及びL−アルギニン(15)を混合して水相を調製し、80℃に加熱した。次に、油相に水相を添加し、ホモミキサーを用いて乳化させ、続いて、80℃の精製水(14)を添加した。次に、乳化物の温度が50℃以下となるまで撹拌冷却した後、この乳化物に、成分(16)〜(19)を混合した溶液(温度50℃)を添加し撹拌混合した。乳化物はクリーム状(平均粒子径:1μm以上)となり、マイクロエマルションを得ることができなかった。
【0080】
(製法比較例2)
先ず、成分(1)〜(11)を混合して油相を調製し、80℃に加熱した。一方、成分(12)及び精製水(13)を混合して水相を調製し、80℃に加熱した。次に、油相に水相を添加し、ホモミキサーを用いて乳化させ、続いて、精製水(14)及びL−アルギニン(15)の混合溶液(温度80℃)を添加した。次に、乳化物の温度が50℃以下となるまで撹拌冷却した後、この乳化物に、成分(15)〜(19)を混合した溶液(温度50℃)を添加し撹拌混合した。乳化物はクリーム状(平均粒子径:1μm以上)となり、マイクロエマルションを得ることができなかった。
【0081】
(実施例2)保湿液
(1) デカグリセリルモノラウリン酸エステル 2.0(質量%)
(2) スクワラン 8.0
(3) イソステアリルアルコール 5.0
(4) 1,3−ブチレングリコール 7.0
(5) 1,3−ブチレングリコール 5.0
(6) 精製水 30.9
(7) 精製水 30.9
(8) ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 0.5
(9) パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(10) リシン(10質量%水溶液) 0.5
(11) 精製水 10.0

製法:先ず、成分(1)〜(4)を混合して油相を調製し、80℃に加熱した。一方、成分(5)及び(6)を混合して水相を調製し、80℃に加熱した。次に、油相に水相を添加し、ホモミキサーを用いて乳化させ、続いて、80℃の精製水(7)を添加した。次に、乳化物の温度が50℃以下となるまで撹拌冷却した後、この乳化物に成分(8)〜(11)を混合した溶液(温度50℃)を添加し撹拌混合し、実施例2の保湿液を得た。
【0082】
得られた保湿液の平均粒子径は180nmであった。また、得られた保湿液について、保存安定性試験(5℃、25℃、40℃、50℃、サイクル)、凍結融解試験、剪断試験、使用感の官能評価、並びに、皮膚刺激性評価を上記の方法に基づいて行ったところ、保存安定性試験(5℃、25℃、40℃、50℃、サイクル)、凍結融解試験、剪断試験の結果はすべて「○」であり、官能評価及び皮膚刺激性評価の結果はそれぞれ、「4.10」、「0」であった。
【0083】
(実施例3)乳液
(1) デカグリセリルジステアリン酸エステル 3.0(質量%)
(2) 流動パラフィン 10.0
(3) イソステアリン酸 5.0
(4) グリセリン 3.5
(5) グリセリン 3.5
(6) 精製水 32.2
(7) 精製水 32.3
(8) パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(9) L−アルギニン(10質量%水溶液) 0.3
(10) 精製水 10.0

製法:先ず、成分(1)〜(4)を混合して油相を調製し、80℃に加熱した。一方、成分(5)及び(6)を混合して水相を調製し、80℃に加熱した。次に、油相に水相を添加し、ホモミキサーを用いて乳化させ、続いて、80℃の精製水(7)を添加した。次に、乳化物の温度が50℃以下となるまで撹拌冷却した後、この乳化物に成分(8)〜(10)を混合した溶液(温度50℃)を添加し撹拌混合し、実施例3の乳液を得た。
【0084】
得られた乳液の平均粒子径は220nmであった。また、得られた乳液について、保存安定性試験(5℃、25℃、40℃、50℃、サイクル)、凍結融解試験、剪断試験、使用感の官能評価、並びに、皮膚刺激性評価を上記の方法に基づいて行ったところ、保存安定性試験(5℃、25℃、40℃、50℃、サイクル)、凍結融解試験、剪断試験の結果はすべて「○」であり、官能評価及び皮膚刺激性評価の結果はそれぞれ、「4.30」、「0」であった。




 

 


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