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発明の名称 磁気共鳴イメージング装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−222431(P2007−222431A)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
出願番号 特願2006−47645(P2006−47645)
出願日 平成18年2月24日(2006.2.24)
代理人 【識別番号】100093872
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 芳紘
発明者 本白水 博文 / 鈴木 邦仁
要約 課題
ロッキングの発生を効果的に抑制できるとともに装置底面振動の発生も必要に応じて効果的に抑制することができるような安定性の高い装置設置をより簡易な構造で可能とするMRI装置の提供。

解決手段
撮影空間1を挟んで上下に対向配置された超伝導コイル2を静磁場発生源として有する磁気共鳴イメージング装置について、所定のばね定数で支持荷重方向に弾性変形可能に形成され、所定の配置状態で配置される複数の支持脚25を設置床面Fとの間に介在させて設置するようにしている。
特許請求の範囲
【請求項1】
撮影空間を挟んで上下に対向配置された静磁場発生源を有する磁気共鳴イメージング装置において、
所定のばね定数で支持荷重方向に弾性変形可能に形成され、所定の配置状態で配置される複数の支持脚を装置底面と設置床面の間に介在させて設置されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記支持脚のばね定数は、設置荷重を受けた状態で前記支持脚が前記装置底面と前記設置床面の相対変位程度変形できるように設定される請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記支持脚は、それぞればね定数が異なる第1の部材と第2の部材を重ねて構成される請求項1または請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記支持脚を4個以上とした請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記静磁場発生源を支持する構造について水平方向で相対的に構造強度の異なる高構造強度方向と低構造強度方向を直交状態で有し、前記4個以上の支持脚のうちの4個がそれぞれ前記高構造強度方向の座標軸に対して25〜45度となる位置に配置されている請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記静磁場発生源である超伝導コイル、前記超伝導コイルを収納する冷却容器を含む冷却容器モジュール、および前記冷却容器を収納する真空容器を含む真空容器モジュールを備え、前記冷却容器モジュールは、前記真空容器モジュールの底から立ち上がるようにして設けられるとともに所定の配置状態で設けられた支持部材を介して前記真空容器モジュールに支持されている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記静磁場発生源を支持する構造について水平方向で相対的に構造強度の異なる高構造強度方向と低構造強度方向を直交状態で有するとともに前記支持部材が4個設けられ、そして前記4個の支持部材がそれぞれ前記高構造強度方向の座標軸に対して25〜45度となる位置に配置されている請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記4個の支持部材の配置位置が前記4個以上の支持脚のうちの4個の配置位置と一致させられている請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置と呼ぶ)に関し、特にMRI装置における静磁場発生源の振動の抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、静磁場発生源を備えており、その静磁場発生源が発生する均一な静磁場中に置かれた被検者に電磁波を照射することにより被検者から発生する磁気共鳴信号を検出し、その検出した磁気共鳴信号を画像処理することで、被検者の物理的性質を示す磁気共鳴画像を得る。またMRI装置は、傾斜磁場発生源も備えており、磁気共鳴信号の位置情報を得るために静磁場に重畳して傾斜磁場を印加する。
【0003】
こうしたMRI装置には、静磁場の発生方向に関して水平方向静磁場方式と垂直方向静磁場方式がある。水平方向静磁場方式のMRI装置は、静磁場発生源が円筒構造で形成される。この方式の場合、被検者は円筒構造の静磁場発生源の内部に入り、その体軸が静磁場方向と一致した状態となる。一方、垂直方向静磁場方式のMRI装置は、静磁場発生源を上下で対向配置した構造とされる。この方式の場合、被検者は対向配置構造の静磁場発生源の間に入り、その体軸が静磁場方向と直交する状態になる。このような垂直方向静磁場方式のMRI装置は、円筒構造物の内部に被検者が入る水平方向静磁場方式のMRI装置に比べ、被検者の開放性や検査者のアクセス性で優れる。
【0004】
磁気共鳴画像の画質は、静磁場強度や傾斜磁場強度に影響され、これらが大きいほど高画質な磁気共鳴画像を得ることができる。MRI装置の静磁場発生源としては、永久磁石や常伝導磁石あるいは超伝導磁石が用いられるが、例えば0.4テスラ以上といった大きな強度の静磁場を得るには超伝導磁石で静磁場発生源が形成される。
【0005】
また磁気共鳴画像の画質は、静磁場の均一性に影響され、静磁場の均一性が高いほど高画質な磁気共鳴画像を得ることができる。そして静磁場は、静磁場発生源が振動するとその振動で乱される。すなわち磁気共鳴画像の画質は、静磁場発生源の振動に影響される。十分な画質を保つのに要求される静磁場の均一度はppmオーダーである。したがってMRI装置のメートル単位の寸法に対し百万分の1、つまりμmオーダーの振動までは許容できる。
【0006】
上述のようにMRI装置では被検者に高周波コイルで電磁波を照射して撮影を行う。この電磁波照射に同期して傾斜磁場発生源に電流を流して傾斜磁場を発生させることになるが、これにより静磁場中で電流が流れることになり、そのためにローレンツ力が発生して傾斜磁場発生源が振動する。そしてこの傾斜磁場発生源の振動に誘発されて静磁場発生源も振動する。したがって静磁場発生源の振動は、静磁場強度または傾斜磁場強度を大きくするほど生じやすくなる。すなわち高画質化のために静磁場強度と傾斜磁場強度のいずれかまたは両方を大きくすると傾斜磁場発生源の加振力が大きくなり、静磁場発生源に振動を生じやすくなる。
【0007】
こうした振動問題は、垂直方向静磁場方式のMRI装置で特に重要となる。垂直方向静磁場方式のMRI装置では、上下対向配置の静磁場発生源を連結して支持する構造を有することになるが、被検者の開放性や検査者のアクセス性という特性を活かすためにその連結支持構造における構造的剛性を十分に確保することができないこと、また静磁場発生源の上下対向配置で重心が高くなることなどに起因して振動を生じやすく、その効果的な抑制が特に重要となる。
【0008】
MRI装置における振動問題に対処する技術としては、例えば特許文献1に開示の例が知られている。特許文献1に開示のMRI装置は、静磁場発生源に超伝導磁石を用いるタイプの垂直方向静磁場方式であり、垂直方向静磁場方式の超伝導磁石タイプとして代表的な構造を有している。具体的には特許文献1に開示のMRI装置では、静磁場発生源である超伝導コイルが撮影空間を挟んで上下に対向させて配置され、この上下の超伝導コイルがそれぞれ対応する上下の冷却容器に収納され、さらに上下の冷却容器がそれぞれ対応する上下の真空容器に収納されている。そして上下の冷却容器が冷却容器連結管で連結されて冷却容器モジュール(内槽系)が構成され、上下の真空容器が真空容器連結管で連結されて真空容器モジュール(外槽系)が構成されている。また静磁場に重畳して傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルが撮影空間を挟んで上下に配置され、この上下の傾斜磁場コイルが真空容器に支持されている。
【0009】
こうしたMRI装置では、上述のように撮影時に照射される電磁波により傾斜磁場コイルが振動する。その結果、傾斜磁場コイルを支持している真空容器、具体的には真空容器モジュールが振動する。その振動は、MRI装置の設置場所の設置床面に直接接触する下側真空容器の底面(これは装置の底面でもある)が設置床面で拘束された真空容器モジュールの片持ち梁構造における1次曲げモードの振動である。したがって、下側真空容器の振動は上側真空容器のそれよりも小さくなる。特許文献1のMRI装置では、このことを利用することで、傾斜磁場コイルの振動に起因する冷却容器ひいては超伝導コイルの振動を効果的に抑制できるようにしている。具体的には、下側冷却容器と下側真空容器の間に複数の支持部材を設け、これらの支持部材を介して下側真空容器に冷却容器モジュールを支持させるようにしている。こうした支持構造によれば、振動の小さな下側真空容器で冷却容器モジュールを支持することになるので、冷却容器ひいては超伝導コイルの振動を効果的に抑制することができる。
【0010】
MRI装置については、装置の設置場所自体に振動がある条件の場合、上記のような装置内部に起因する振動の他に、装置の設置床面を通じ外部から伝わる振動の問題もある。外部起因の振動問題に対処する技術としては、例えば特許文献2に開示の例が知られている。特許文献2に開示のMRI装置は、静磁場を発生するマグネットを支持して設置床面に設置する支持手段を備える。この支持手段は、マグネットの姿勢を調整する姿勢調整部と、設置床面からの振動をマグネットの共振周波数とは異なる周波数の振動に減衰する減衰手段を有する。こうしたMRI装置では、装置外部から設置床面を通じ伝わる振動を効果的に抑制することができ、装置外部に振動源がある条件の設置場所にあってもその外部振動源に起因する磁気共鳴画像の画質の劣化を有効に防止することができる。
【0011】
【特許文献1】特開2005−137530号公報(第9頁、図1)
【特許文献2】特開2004−267397号公報(第14頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
MRI装置における内部構造起因の振動のうちで画質に悪影響をもたらす可能性のある振動には、上記の1次曲げモード、つまり底面拘束の片持ち梁構造における1次曲げモードの他に、底面非拘束(底面ばね支持)の場合のロッキングがあり、また装置底面振動がある。ロッキングは、傾斜磁場コイルの振動に誘発されて装置(真空容器モジュールや冷却容器モジュールを有する装置の場合はそれらのモジュール)が底面を支点にして回転するように揺れ動く振動である。より具体的にいうと、例えば装置底面を設置床面に直に接触させて装置を設置する直置き方式において装置底面や設置床面に凹凸があって装置底面と設置床面が部分的にしか接触せずに装置底面の支持が不安定となった場合つまり装置の設置状態が不安定となった場合に、その部分的な接触部位を支点にして装置全体が回転するように揺れ動く振動を生じることになるが、これがロッキングである。このロッキングは、静磁場強度が大きくない場合には無視できる。しかし静磁場強度が例えば1テスラ以上というような強度レベルになると画質への悪影響を顕在化させる。
【0013】
装置底面振動は、装置底面を設置床面に部分的に支持させた構造で装置を設置する場合に、設置床面から浮いている部分の装置底面に生じる曲げモードの振動である。この装置底面振動もロッキングと同様に、静磁場強度が一定以上に大きくなる場合に画質への悪影響を顕在化させる。
【0014】
こうしたMRI装置における振動について、特許文献1に開示の構造は、底面拘束の片持ち梁構造における1次曲げモードの振動により超伝導コイル(静磁場発生源)が振動することを効果的に抑制する、つまりその振動が画質に悪影響をもたらすことがない範囲に抑制するのには有効である。しかし、特許文献1に開示の構造は、下側冷却容器と下側真空容器の間に支持部材を介在させる構造で真空容器モジュールから冷却容器モジュールへの振動の伝播を抑制することにより冷却容器や超伝導コイルの振動を抑える構造であり、装置全体がその底面を支点にして揺れ動く振動であるロッキングについては有効でない。したがってロッキングについてもそれが画質に悪影響を及ぼすことがないように抑制できるようにするには、ロッキングの発生自体を効果的に抑制できるようにする必要がある。
【0015】
ロッキングは、上述のように装置の設置状態が不安定であることに起因するものである。したがって装置設置状態の安定性を高めることでロッキングを効果的に抑制することができる。装置の安定的設置には、特許文献2に開示の支持手段のように姿勢調整機能を有した支持手段で装置を部分的に支持する構造、すなわちアジャスタ構造が有効であり、また設置床面に設けたアンカで固定して装置を部分的に支持するアンカ構造も有効である。
【0016】
しかしアジャスタ構造やアンカ構造は、構造的なコスト高を招くだけでなく、装置の設置における作業量が増大さることでもコスト高を招き、さらにアジャスタ構造は、高さ方向の設置スペースの増大を招く。こうしたことから、より簡易に装置の安定的設置を可能とする構造が求められる。
【0017】
またアジャスタ構造やアンカ構造には、装置底面振動の効果的な抑制という点で不十分なものがある。装置底面振動は、その振動の腹(最大振幅部分)にあたる部分を支持することで効果的な抑制することができる。しかるにアジャスタ構造やアンカ構造による部分的支持は、それらの特性からして、装置底面の周辺部分についてしか支持を行うことができず、装置底面振動の効果的な抑制で求められる支持に対応することができない。
【0018】
本発明は、以上のような知見を背景にしてなされたものであり、ロッキングの発生を効果的に抑制できるとともに装置底面振動の発生も必要に応じて効果的に抑制することができるような安定性の高い装置設置をより簡易な構造で可能とするMRI装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では上記目的のために、撮影空間を挟んで上下に対向配置された静磁場発生源を有するMRI装置において、所定のばね定数で支持荷重方向に弾性変形可能に形成され、所定の配置状態で配置される複数の支持脚を装置底面と設置床面の間に介在させて設置されることを特徴としている。
【0020】
また本発明では、上記のようなMRI装置について、前記支持脚のばね定数は、設置荷重を受けた状態で前記支持脚が前記装置底面と前記設置床面の相対変位程度変形できるように、つまり前記設置床面の平坦度程度変形できるように設定するものとしている。
【0021】
また本発明では、上記のようなMRI装置について、前記支持脚は、それぞればね定数が異なる第1の部材と第2の部材を重ねて構成するものとしている。
【0022】
また本発明では、上記のようなMRI装置について、前記支持脚を4個以上設けるものとしている。
【0023】
また本発明では、上記のようなMRI装置について、前記静磁場発生源を支持する構造について水平方向で相対的に構造強度の異なる高構造強度方向と低構造強度方向を直交状態で有する場合に、前記4個以上の支持脚のうちの4個をそれぞれ前記高構造強度方向の座標軸に対して25〜45度となる位置に配置するものとしている。
【0024】
また本発明では、上記のようなMRI装置について、前記静磁場発生源である超伝導コイル、前記超伝導コイルを収納する冷却容器を含む冷却容器モジュール、および前記冷却容器を収納する真空容器を含む真空容器モジュールを備える場合に、前記冷却容器モジュールは、前記真空容器モジュールの底から立ち上がるようにして設けられるとともに所定の配置状態で設けられた支持部材を介して前記真空容器モジュールに支持させるようにしている。
【0025】
また本発明では、上記のようなMRI装置について、前記支持部材を4個設け、前記静磁場発生源を支持する構造について水平方向で相対的に構造強度の異なる高構造強度方向と低構造強度方向を直交状態で有する場合に、前記4個の支持部材をそれぞれ前記高構造強度方向の座標軸に対して25〜45度となる位置に配置するものとしている。
【0026】
また本発明では、上記のようなMRI装置について、前記4個の支持部材の配置位置を前記4個以上の支持脚のうちの4個の配置位置と一致させるようにしている。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、所定のばね定数で支持荷重方向に弾性変形可能に形成され、所定の配置状態で配置される複数の支持脚を設置床面との間に介在させて設置する設置構造を装置MRI装置に与えている。この設置構造では、所定の配置状態で設置床面に配置した複数の支持脚の上にMRI装置を置くと、支持脚はMRI装置の重量を受けて支持荷重方向で変形する。そしてこの支持脚の変形により、各支持脚がほぼ均等な支持力でMRI装置を支持する状態が得られ、MRI装置の設置状態が安定性の高いものとなり、装置のロッキングを効果的に抑制することができる。またこの設置構造では、その支持脚を装置底面の周辺部だけでなく内側にも設けることが容易である。このため必要に応じて装置底面の内側に支持脚を設けることにより、装置底面振動の発生も効果的に抑制することができる。さらにこの設置構造では、所定の配置状態で設置床面に支持脚を配置してからその支持脚の上にMRI装置を置くという作業だけで安定性の高い設置を行える。
【0028】
したがって本発明によれば、画質に悪影響を及ぼすような振動がロッキングなどに起因して静磁場発生源に発生するのを効果的に防止することができ、静磁場強度が例えば1テスラ以上というような強度レベルの場合でも常に高画質な磁気共鳴画像を安定して得ることが可能となり、しかもそれを可能とするMRI装置の設置ついて構造的にも作業的にもコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、発明を実施するための形態について説明する。図1と図2に、第1の実施形態によるMRI装置の構成を簡略化して示す。図1は、図中の右上に小さく示すMRI装置の平面図におけるA−A線で断面した状態としてMRI装置の内部構造を示し、図2はMRI装置の外観構造を示している。
【0030】
本実施形態のMRI装置Sは、撮像空間1を挟んで上下方向に対向して配置された一対の超伝導コイル2(上側超伝導コイル2aと下側超伝導コイル2b)を静磁場発生源として備え、また超伝導コイル2と同様に撮像空間1を挟んで上下方向に対向して配置された一対の傾斜磁場コイル3(上側傾斜磁場コイル3aと下側傾斜磁場コイル3b)を傾斜磁場発生源として備えている。超伝導コイル2は、コイルを円環状に巻いて形成され、撮像空間1に均一な垂直方向の静磁場を印加するようにされている。この超伝導コイル2は冷却容器4に収納され、さらに冷却容器4は真空容器5に収納されている。
【0031】
冷却容器4は、円環状の超伝導コイル2を収納するために内部を空洞化して収納空間6とした円環状に形成され、上側超伝導コイル2a、下側超伝導コイル2bに対応して上側冷却容器4a、下側冷却容器4bとして上下一対で設けられている。その収納空間6には液体ヘリウムなどの冷媒が貯蔵されており、この冷媒に漬かることで超伝導コイル2は超伝導特性に必要な温度状態(例えば4K程度の極低温)を維持するように冷却される。冷却容器4a、4bは、撮像空間1を挟んで左右方向に対向配置される一対の冷却容器連結管7(7a、7b)により連結されることで、冷却容器モジュール(内槽系)を構成している。この冷却容器モジュールにおいては冷却容器4a、4bが冷却容器連結管7の内部空洞を介して熱的にも連結されている。具体的には、冷却容器連結管7との連結部位において冷却容器4に連通孔8が設けられており、この連通孔8と冷却容器連結管7の内部空洞を介して両冷却容器4a、4bが熱的に連結されている。
【0032】
真空容器5は、円環状の冷却容器4を収納するために内部を空洞化して収納空間9とした円環状に形成され、上側冷却容器4a、下側冷却容器4bに対応して上側真空容器5a、下側真空容器5bとして上下一対で設けられている。その収納空間9は真空状態とされ、これにより冷却容器4を外部に対して熱的に遮断できるようにされている。真空容器5a、5bは、一対の真空容器連結管11(11a、11b)により連結されることで、真空容器モジュール(外槽系)を構成している。真空容器連結管11は、冷却容器連結管7に対応した配置、つまり撮像空間1を挟んで左右方向に対向する配置で設けられており、またその内部空洞に冷却容器連結管7を収納するようにして設けられている。したがって真空容器モジュールは、冷却容器モジュールを完全に覆うことになる。この真空容器モジュールにおいては真空容器5a、5bそれぞれの収納空間9における真空状態が真空容器連結管11の内部空洞を介して一体化するようにされている。ここで、下側真空容器5bにおける下側冷却容器4bの収納は、真空容器5bに対して熱的に遮断できるようにした支持構造で支持する状態でなされ、それにより真空容器モジュールによる冷却容器モジュールの支持がなされている。これについては後に説明する。
【0033】
なお、図示を省略してあるが、真空容器モジュールと冷却容器モジュールの間には輻射シールド板が設けられ、その輻射シールド板により真空容器モジュールから冷却容器モジュールへの輻射熱の侵入を低減できるようにされている。具体的には、冷却容器4を覆うようにして輻射シールド板が設けられ、また冷却容器連結管7を覆うようにして輻射シールド板が設けられている。そしてこれらの輻射シールド板は、冷却容器4の冷媒を冷却する図外の冷凍機で冷却されるようになっている。
【0034】
傾斜磁場コイル3(3a、3b)は、円板状に形成され、真空容器5で支持させて設けられている。具体的には、真空容器5の撮影空間側の側面に凹部12を設け、この凹部12に収める状態で真空容器5に支持されている。そしてその支持には、スタッドボルトや防振ゴムなどが用いられている。この傾斜磁場コイル3は、超伝導コイル2による静磁場に重畳して傾斜磁場を印加するようにされており、その傾斜磁場により磁気共鳴画像のための磁気共鳴信号の位置情報を得ることができる。
【0035】
MRI装置Sは、以上のような要素の他にも、いくつかの要素を備えている。例えば撮像空間1に置かれた被検者(図示を省略)に磁気共鳴を励起させるための電磁波を照射する高周波コイル、被検者からの磁気共鳴信号を受信する受信コイル、被検者を載せて撮像空間1に案内するテーブル装置、超伝導コイル2や傾斜磁場コイル3などに電源を供給する電源装置、MRI装置Sの全体を制御する制御装置、磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴画像を生成する画像再構成装置などである。これらの要素はMRI装置において一般的なものなので、その図示と説明は省略する。
【0036】
以下では、真空容器モジュールによる冷却容器モジュールの支持構造とMRI装置Sの設置構造について説明する。支持構造や設置構造の説明にはMRI装置Sに、その構造的異方性に基づいて座標を仮想すると都合がよい。ここで、MRI装置Sの構造的異方性とは、真空容器連結管11が一対だけで設けられ、1つの方向についてだけ対向配置されており、その対向配置方向の構造強度がこれに直交する方向の構造強度に対して相対的に大きくなる、つまり構造強度の異なる高構造強度方向(真空容器連結管11の対向配置方向)と低構造強度方向を直交状態で有し、1つの方向とこれに直交する方向で構造的に非対称となっていることを意味する。MRI装置Sの座標は、X、Y、Zの各軸を有する3次元座標とし、その原点はMRI装置Sの重心(通常は撮像空間1の中心)におく。そして高構造強度方向をX軸とし、MRI装置Sの垂直方向をZ軸とする。
【0037】
まず冷却容器モジュールの支持構造について説明する。真空容器モジュールによる冷却容器モジュールの支持は、垂直方向支持部材21と水平方向支持部材22を介して下側真空容器5bに下側冷却容器4bを支持させることでなされている。支持部材21、22は、真空容器5bと冷却容器4bの間の熱遮断性を高め、また静磁場や傾斜磁場に影響を与えないようにするために熱伝導率が小さく非磁性である材料、例えば繊維強化プラスチック材などで形成する。図1の例では繊維強化プラスチックの棒材で支持部材21、22を形成している。このような形態の他に、真空容器5bと冷却容器4bの間の熱遮断性をより一層高める構造とするのも好ましい形態である。熱遮断性をより一層高める例としては、繊維強化プラスチックの管材で支持部材を形成する例、あるいは伝熱距離を大きくするために支持部材を曲折構造で形成する例などがある。
【0038】
垂直方向支持部材21は、下側真空容器5bの底板23から立ち上がるようにして設けられ、下側真空容器5bの底板23を支点にして下側冷却容器4bを垂直方向で支持するようにされている。こうした垂直方向支持部材21は、複数箇所で離散的に設けられ、所定の配置状態が与えられる。本実施形態では、図3の(a)に示すように、4箇所で垂直方向支持部材21を設け、各垂直方向支持部材21がX軸からほぼ45度の位置でかつ下側真空容器5bの外周に近接した位置に位置する配置状態としている。
【0039】
こうした支持構造によれば、後述のような設置構造でMRI装置Sを設置した状態で設置床面により拘束される真空容器モジュールの片持ち梁構造における1次曲げモードの振動(以下、仮に「片持ち梁1次曲げモード」と呼ぶ)やロッキングあるいはロッキング的振動に伴う超伝導コイル2の振動を効果的に抑制することができる。片持ち梁1次曲げモードは、上述のように撮影時に照射される電磁波に起因する傾斜磁場コイル3の振動でもたらされる。図4に、片持ち梁1次曲げモードの様子を誇張して示す。図で見られるように、片持ち梁1次曲げモードでは、設置床面により拘束されている下側真空容器5bが振動の節となり、下側真空容器5bの振動は小さなものにとどまる。したがって垂直方向支持部材21を介して下側真空容器5bに冷却容器モジュールを支持させる支持構造にあっては、冷却容器4ひいては超伝導コイル2への片持ち梁1次曲げモードの伝播を効果的に抑えることができる。すなわち片持ち梁1次曲げモードについて超伝導コイル2の振動を効果的に抑制することができる。なお垂直方向支持部材21による支持構造がロッキングやロッキング的振動に伴う超伝導コイル2の振動の抑制することについては後述する。
【0040】
水平方向支持部材22は、下側真空容器5bの底板23の中央に設けた台座24から複数方向に水平に突出するようにして設けられ、台座24を支点に下側冷却容器4bを水平方向で支持するようにされている。
【0041】
ここで、垂直方向支持部材21は、超伝導コイル2、冷却容器4およびその付加物などの重量、それに冷却時の熱収縮や運搬時の衝撃荷重を受ける。したがって垂直方向支持部材21にはそれらの負荷に耐え得る強度が求められる。一方、水平方向支持部材22は、超伝導コイル2などの重量が負荷することはないが、冷却時の熱収縮や運搬時の衝撃荷重などは負荷されるので、それらの負荷に耐え得る強度が求められる。
【0042】
次に、MRI装置Sの設置構造について説明する。MRI装置Sは、下側真空容器5bの底面つまりMRI装置Sの底面28と設置床面Fの間に支持脚25を介在させて設置される。支持脚25は、第1の部材26と第2の部材27を重ねて形成され、支持荷重方向(縦方向)で弾性変形可能とされている。支持脚25に弾性変形性を与えるには、両部材26、27を弾性体で形成する形態が可能で、また両部材26、27のいずれか一方を弾性体で形成し、他方を非弾性体で形成する形態も可能である。両部材26、27の一方を非弾性体とする場合には、その非弾性体部材にスペーサの役割を負わせるようにするのが好ましい。両部材26、27を弾性体で形成する場合には、それぞれのばね定数を異ならせるようにする。具体的には、一方の弾性体についてはMRI装置Sの重量を受けた状態で変形限界まで変形する低ばね定数とし、他方の弾性体についてはMRI装置Sの重量を受けても弾性を残す高ばね定数とする。両部材26、27のいずれか一方を弾性体で形成する場合の弾性体は、MRI装置Sの重量を受けた状態で変形限界近くまで変形する中ばね定数とするのが好ましいが、低ばね定数や高ばね定数であってもかまわない。弾性体には、例えばコイルばねやさらばねあるいはゴム板などが好ましいものとして用いられる。一方、非弾性体には、ステンレス板などが好ましいものとして用いられる。何れにしても支持脚25は、非磁性体であることが求められ、したがって弾性体や非弾性体は非磁性材で形成することになる。
【0043】
こうした支持脚25は、複数箇所で離散的に設けられ、所定の配置状態が与えられる。本実施形態では、図3の(b)に示すように、4箇所で支持脚25を設け、各支持脚25がX軸からほぼ45度の位置でかつ下側真空容器5bの外周に近接した位置に位置する配置状態としている。この配置状態は、上述の垂直方向支持部材21の配置状態と対応している。
【0044】
以上のような設置構造とすることにより、MRI装置Sにおけるロッキングを効果的に抑制する、つまり磁気共鳴画像の画質に悪影響を及ぼすような振動を超伝導コイル2に生じさせることがない程度にロッキングを抑制することが可能となる。以下ではこのことについて説明する。
【0045】
支持脚25を用いた設置構造によるロッキングの抑制効果は、支持脚25の弾性変形性による作用と支持脚25の配置状態(配置数と配置位置)による作用でもたらされる。まず支持脚25の弾性変形性による作用について説明する。ロッキングは、上述のように、傾斜磁場コイルの振動に誘発されて装置の全体、より具体的には真空容器モジュールや冷却容器モジュールの全体がその底面28を支点にして回転するように揺れ動く振動である。図5にロッキングの様子を誇張して示す。こうしたロッキングは、装置底面が設置床面により部分的にしか支持されず装置の設置状態が不安定となった場合に生じやすく、主にX軸回りとY軸回りの回転として生じる。
【0046】
MRI装置Sは、静磁場発生源から発生する磁場が撮影室外に漏れることや外部からの外乱磁場が入ってくるのを防止するためにシールドルームに設置される。シールドルームについてはその床面の平坦度が例えば2〜5mmと規定されており、その範囲で凹凸のあることが許容されている。一方、MRI装置Sもその底面28つまり下側真空容器5bの底面28にある程度の凹凸を生じているのが通常である。すなわち下側真空容器5bには、製造時の溶接にともなう熱収縮などにより変形を生じ、その変形で下側真空容器5bの底板23が球面状となって中央が出っ張る状態になるのが通常である。こうしたMRI装置Sを直にシールドルームの床面に設置すると、底面28と設置床面Fが部分的にしか接触せず、設置状態が不安定となってロッキングを生じやすくなる。特に、部分接触部位の位置がMRI装置Sの中心軸に近くその接触面積が小さい場合には、X軸回りやY軸回りの回転モーメントが小さくなって大きなロッキングを真空容器モジュールに生じやすくなる。
【0047】
支持脚25による設置構造は、このようなロッキングの原因となるMRI装置Sの設置不安定性を解消することで、装置のロッキング、より具体的には真空容器モジュールのロッキングを効果的に抑制する。すなわち、上述の配置状態で設置床面Fに配置した複数(本実施形態では4個)の支持脚25の上にMRI装置Sを置くと、支持脚25はMRI装置Sの重量を受けて支持荷重方向で変形する。そしてこの支持脚25の変形により、各支持脚25がほぼ均等な支持力でMRI装置Sを支持する状態が得られ、MRI装置Sの設置状態が安定性の高いものとなってロッキングを効果的に抑制することができる。こうした設置状態の安定化は、支持脚25の第1、第2の両部材26、27がともに弾性体で形成され、第1の部材26が低ばね定数、第2の部材27が高ばね定数とされている場合であれば、以下のようにして得られる。設置床面Fに配置した支持脚25の上にMRI装置Sを置くと、まず第1の部材26が変形する。第1の部材26は、MRI装置Sの重量を受けた状態で変形限界まで変形する低ばね定数とされているので、変形限界まで変形することができ、変形限界まで変形した場合にはそのばね性は失った状態になる。こうした第1の部材26の大きな変形は、MRI装置Sの底面28や設置床面Fの凹凸によりMRI装置Sの底面28と設置床面Fとの間のギャップに大きな不均一性あった場合に、その大きなギャップの不均一性を解消させるように働く。第1の部材26が変形限界まで変形してなおギャップの不均一性が残っている場合には、高ばね定数の第2の部材27の変形によりそのギャップの不均一性が解消される。こうして微小なギャップの不均一性までも解消することができ、各支持脚25が均等性の高い支持力でMRI装置Sを支持する安定性の高い設置状態が得られる。
【0048】
ここで、一般的なシールドルームにおける設置床面の平坦度は最大5mm程度であり、1mm以内の平坦度であればそれほどコストをかけることなく得ることができる。こうした平坦度を前提にすると、低ばね定数の第1の部材26は、1〜2mm程度変形する構成とするのが好ましい例である。また支持脚25の変形については、それを非線形的にするのも好ましい形態である。支持脚25の変形に非線形性を与えるには、例えば第1の部材26をゴム板で形成する場合であれば、その荷重受け面に突起部などを設ける構成が好ましいものとして挙げられる。
【0049】
次に、支持脚25の配置状態による作用について説明する。支持脚25の配置状態には、配置数と配置位置がある。まず配置数について説明する。ロッキングでは、振動数が大きくなるほど振動が小さくなる。またロッキングは、その振動数がMRI装置Sの固有振動数、具体的には真空容器モジュールや冷却容器モジュールの固有振動数と一致すると大きくなりやすい。このことからロッキングの振動数を大きくし、かつ装置固有振動数から外れた振動数とする条件を得られるようにすることがロッキングの抑制にとって有効である。ロッキングの振動数は支持脚25で支持された状態での回転モーメント(X軸回りやY軸回りの回転モーメント)に依存する。そしてその回転モーメントは、支持脚25の支持力(具体的には個々の支持脚25のばね定数と支持脚25の配置数)と支持脚25の対重心距離(MRI装置の重心を通る垂線に対する支持脚25の距離)に依存する。したがって支持脚25のばね定数を大きくし、支持脚25の対重心距離を大きくすることでロッキングの振動数を大きくすることができる。また支持脚25の配置数を多くすることでもロッキングの振動数を大きくすることができる。
【0050】
MRI装置Sの支持というだけであれば支持点は3点で足り、したがって支持脚25は3箇所配置すれば足りる。しかし、支持脚25が3箇所であるとロッキング振動数の適切化が不十分になる。すなわち支持脚25が3箇所であると、支持脚25の配置が装置座標におけるX、Y軸に対して対称的にならず、1つの方向(例えばX軸方向)のロッキングの振動数を適切化できても、それに直交する方向のロッキングについては振動数の適切化ができない。したがってロッキングの振動数の適切化という点では、支持脚25の配置をX、Y軸に対して対称的にすることを可能とする配置数である4以上の配置数が必要となる。
【0051】
その一方で、支持脚25については、その配置数が多くなるほど支持の安定性を損なう可能性が大きくなるという問題がある。支持脚25の配置数が多くなると、一部の支持脚の支持力が他の支持脚のそれより小さくなったり、極端には一部の支持脚がMRI装置Sの底面28に接触しなくなったりする状態つまり「浮き」を生じる可能性が大きくなる。そして「浮き」を生じると部分的な支持状態となり、支持の安定性が損なわれる。「浮き」は、支持脚25のばね定数が大きいほど生じやすくなる。したがって支持脚25のばね定数の設計には「浮き」の問題も考慮するのが望ましい。こうした「浮き」問題からすると支持脚25の配置数は少ないほどよい。以上のことからは支持脚25の配置数は4とするのが好ましい形態の一つとなり、本実施形態ではそのようにしている。
【0052】
次に、配置位置について説明する。図6に示すのは、支持脚25の配置位置とX軸方向、Y軸方向それぞれにおける回転モーメントの関係を解析した結果である。縦軸は回転モーメント、横軸は支持脚25の配置位置のX軸に対する角度であり、プロット曲線100aがX軸方向についての回転モーメントの変化、プロット曲線100bがY軸方向についての回転モーメントの変化である。この解析結果から以下のことが導かれる。4個の支持脚25をX軸上とY軸上のそれぞれに2個ずつ配置した場合、X軸方向、Y軸方向それぞれの回転モーメントには、それぞれの軸上における2個の支持脚25しか寄与しない。したがって支持脚25のばね定数をF、支持脚25の対重心距離をLとすると、X軸方向、Y軸方向それぞれの回転モーメントMは、M=F・L+F・L=2・F・Lとなる。これに対して支持脚25の配置位置をX軸上やY軸上からずらした位置とすると、そのずれに応じて4個の支持脚25の全てがX軸方向、Y軸方向それぞれの回転モーメントに寄与する。すなわちX軸方向についてみると、その回転モーメントMは、M=F・aL+F・aL+F・aL+F・aLとなる。ここで、a〜aは、X軸に対する支持脚25の角度位置に応じた係数である。図6に見られるように、X軸に対して45度の角度位置に支持脚25がある場合、a=a=a=a=1/21/2となり、X軸方向の回転モーメントMは、M=4・F・L/21/2≒2.83・F・Lとなって最大になる。このことはY軸方向の回転モーメントについても同様である。以上のことから、支持脚25をX軸に対して45度の位置に配置することで、X、Y両軸方向の回転モーメントをともに最大化できることがわかる。
【0053】
以上は真空容器モジュールのロッキングについてであったが、冷却容器モジュールについてもそれ固有のロッキング的振動(ロッキングに類似の振動)が問題になる。冷却容器モジュールのロッキング的振動は、垂直方向支持部材21を介して下側真空容器5bに支持されている冷却容器モジュールに生じるロッキングに類似の振動であり、真空容器モジュールのロッキングに比べれば一般的に小さい。こうした冷却容器モジュールのロッキング的振動も効果的に抑制できるようにするのが望ましく、それを可能にしているのが上述した垂直方向支持部材21の配置状態である。具体的には、垂直方向支持部材21を4箇所で設け、各垂直方向支持部材21がX軸からほぼ45度の位置に位置させる配置状態である。こうした垂直方向支持部材21の配置状態が冷却容器モジュールのロッキング的振動の抑制に有効であることは以下の理由による。
【0054】
冷却容器モジュールのロッキング的振動においても真空容器モジュールのロッキングと同様に回転モーメントが問題になる。冷却容器モジュールの回転モーメントを大きくする要件として垂直方向支持部材21の配置数がある。具体的には垂直方向支持部材21の配置数を多くするほど回転モーメントを大きくできる。その一方で、垂直方向支持部材21については、その配置数が多くなるほど真空容器5から冷却容器4に侵入する熱量が増加するという問題がある。こうした熱遮断の問題からすると垂直方向支持部材21の配置数は少ないほどよい。以上のことからは垂直方向支持部材21の配置数は4とするのが好ましい形態の一つとなる。
【0055】
また冷却容器モジュールの回転モーメントについては、真空容器モジュールの場合と同様に、垂直方向支持部材21の設置位置が関係する。その設置位置は支持脚25の場合と同様の理由から、4個の垂直方向支持部材21のそれぞれをX軸からほぼ45度の位置に位置させるのが最適である。
【0056】
垂直方向支持部材21の設置位置については、X軸に対する角度位置の他に、対重心距離も問題になる。対重心距離は、回転モーメントに相関する一方で、ロッキングの伝播性つまり真空容器モジュールのロッキングが垂直方向支持部材21を通じて冷却容器モジュールに伝播する場合の伝播性が相関する。回転モーメントを大きくするという点では対重心距離を大きくするのが望ましい。一方、ロッキングの伝播性については、真空容器モジュールの中心ほど揺れが小さく、揺れがより小さい位置に垂直方向支持部材21を配置するほうが伝播性を低くすることができるということから、対重心距離を小さくするのが望ましい。したがって垂直方向支持部材21の設置位置の設計は、こうした相反する要求を考慮して行うことになるが、通常は回転モーメントを重視する設計とし、本実施形態でもそのようにしている。
【0057】
ここで、本実施形態では垂直方向支持部材21の配置状態が支持脚25の配置状態と一致している。このように垂直方向支持部材21と支持脚25の配置を一致させることで、垂直方向支持部材21が冷却容器モジュールから受ける荷重を直接的に支持脚25に伝えることができ、下側真空容器5bに冷却容器モジュールの重量を負担させずに済み、装置の安定性を高めることができる。
【0058】
以下では第2〜第4の各実施形態によるMRI装置について説明する。これら各実施形態におけるMRI装置は、基本的には第1の実施形態におけるMRI装置Sと同様で、異なるのは垂直方向支持部材21や支持脚25の配置状態である。
【0059】
第2の実施形態では、MRI装置における上述の構造的異方性を考慮した配置状態を垂直方向支持部材21や支持脚25に与える。MRI装置に構造的異方性があることにより、ロッキングはY軸方向について相対的に大きくなる傾向がある。このことを考慮すると、X軸から45度の位置、つまりX軸とY軸から等分の位置よりもある程度X軸側に寄せた位置に垂直方向支持部材21を配置するようにすることで、真空容器モジュールのロッキングの冷却容器モジュールへの伝播性をより小さくすることができる。これについて解析すると、X軸から25〜45度の位置が好ましい範囲として得られる。そこで本実施形態では、図7の(a)に示すように、4個の垂直方向支持部材21をそれぞれX軸から25〜45度の位置に配置するようにしている。また図7の(b)に示すように、支持脚25についても垂直方向支持部材21の配置位置に対応させた配置位置としている。ただ、支持脚25の配置をX軸側に寄せると、Y軸方向の回転モーメントが小さくなるという問題を招く。そこで、これを解消するために支持脚25の配置数を2つ増やし、その2つをY軸上に配置するようにしている。
【0060】
第3の実施形態では、支持脚25の配置状態を図8に示すように構成する。具体的には、支持脚25を5個とし、そのうち4個を第2の実施形態と同一の配置位置とし、残りの1個を真空容器モジュールの中心(座標の原点)に配置する。真空容器モジュールの中心に配置した支持脚25は、装置底面振動の効果的な抑制に働く。装置底面振動は、上述のように装置底面を設置床面に部分的に支持させた構造で装置を設置する場合に、設置床面から浮いている部分の装置底面に生じる曲げモードの振動である。図9に、装置底面振動の様子を誇張して示す。装置底面振動は、主に0次曲げモード(図9の(a))または1次曲げモード(図9の(b))で生じる。こうした装置底面振動は、その腹が発生する部位を支持することで効果的に抑制することができる。本実施形態は、0次曲げモードの装置底面振動の抑制を重視し、その腹が発生する部位である真空容器モジュールの中心に支持脚25を配置している。
【0061】
第4の実施形態では、支持脚25の配置状態を図10に示すように構成する。具体的には、支持脚25を8個とし、そのうち4個を第2の実施形態と同一の配置位置とし、残りの4個(支持脚25p)を2個ずつX軸とY軸上に、対重心距離について中間的な位置で配置するようにしている。これは1次曲げモードの装置底面振動の抑制を重視したもので、4個の支持脚25aは、1次曲げモードの腹が発生する部位に配置されている。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、画質に悪影響を及ぼすような振動がロッキングなどに起因して静磁場発生源に発生するのを簡易な構造で効果的に防止することを可能とするMRI装置を実現するものであり、MRI装置の分野で広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施形態によるMRI装置の内部構造を示す図である。
【図2】図1のMRI装置の外観構造を示す図である。
【図3】図1のMRI装置における支持部材と支持脚の配置状態を示す図である。
【図4】MRI装置の片持ち梁1次曲げモードの様子を誇張して示す図である。
【図5】MRI装置のロッキングの様子を誇張して示す図である。
【図6】支持脚の配置位置と回転モーメントの関係を示す図である。
【図7】第2の実施形態によるMRI装置における支持部材と支持脚の配置状態を示す図である。
【図8】第3の実施形態によるMRI装置における支持部材の配置状態を示す図である。
【図9】MRI装置の装置底面振動の様子を誇張して示す図である。
【図10】第4の実施形態によるMRI装置における支持脚の配置状態を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 撮影空間
2 超伝導コイル(静磁場発生源)
4 冷却容器
5 真空容器
7 冷却容器連結管
11 真空容器連結管
22 垂直方向支持部材
25 支持脚
28 装置底面
F 設置床面
S MRI装置




 

 


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