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発明の名称 高抵抗磁石を用いたMRI装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−167349(P2007−167349A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−368992(P2005−368992)
出願日 平成17年12月22日(2005.12.22)
代理人 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
発明者 小室 又洋 / 佐通 祐一 / 今川 尊雄 / 石川 勝美 / 板橋 武之
要約 課題
MRI装置の磁気回路周辺に発生する渦電流は理想的磁場勾配波形からの逸脱が生じる原因の一つであり、画像歪み,強度損失,ゴースト発生及び信号損失,スペクトル歪みの原因となる。渦電流発生を抑制することが課題である。

解決手段
鉄あるいはコバルトを含む母相を主とする強磁性を示す粉末の表面の一部あるいは全てに、母相よりも抵抗が10倍以上高くかつビッカース硬度が母相よりも小さい高抵抗層が該表面の一部に沿って層状に形成され、前記粉末を成形した強磁性体を磁気回路の一部に使用していることを特徴とするMRI装置の構成を採る。
特許請求の範囲
【請求項1】
鉄あるいはコバルトを含む母相を主とする強磁性を示す粉末の表面の一部あるいは全てに、母相よりも抵抗が10倍以上高くかつビッカース硬度が母相よりも小さい高抵抗層が該表面の一部に沿って層状に形成され、前記粉末を成形した強磁性体を磁気回路の一部に使用していることを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
鉄あるいはコバルトを含む母相を主とする強磁性を示す粉末の表面の一部あるいは全てに、母相よりも抵抗が10倍以上高くかつビッカース硬度が室温で母相よりも小さい高抵抗層が該表面に沿って10nm以上10000nm以下の厚さで層状に形成され、前記粉末を成形した強磁性体を磁気回路の一部に使用していることを特徴とするMRI装置。
【請求項3】
測定空間に磁場強度分布の均一な静磁場を供給する静磁場発生手段と、測定空間の磁場均一性を調整するための強磁性体を使用しているMRI装置用静磁場発生装置において、前記強磁性体に高抵抗を特徴とする鉄あるいはコバルト系材料を適用していることを特徴とするMRI装置。
【請求項4】
測定空間に磁場強度分布の均一な静磁場を供給する静磁場発生手段と、測定空間の磁場均一性を調整するための強磁性体を使用しているMRI装置用静磁場発生装置において、前記静磁場発生手段に測定空間を挟んで対向して配置された一対の永久磁石に高抵抗を特徴とする鉄あるいはコバルト系材料を適用していることを特徴とするMRI装置。
【請求項5】
測定空間に磁場強度分布の均一な静磁場を供給する静磁場発生手段と、測定空間の磁場均一性を調整するための強磁性体を使用しているMRI装置用静磁場発生装置において、前記静磁場発生手段に測定空間を挟んで対向して配置された一対の永久磁石が磁極の測定空間に面する側に配置されており、前記永久磁石が高抵抗を特徴とする鉄あるいはコバルト系材料を適用していることを特徴とするMRI装置。
【請求項6】
測定空間に磁場強度分布の均一な静磁場を供給する静磁場発生手段と、測定空間の磁場均一性を調整するための強磁性体を使用しているMRI装置用静磁場発生装置において、前記静磁場発生手段に測定空間を挟んで対向して配置された一対の永久磁石及び高周波シールドが磁極の測定空間に面する側に配置されており、前記永久磁石あるいは高周波シールドが高抵抗を特徴とする鉄あるいはコバルト系材料を適用していることを特徴とする
MRI装置。
【請求項7】
測定空間に磁場強度分布の均一な静磁場を供給する静磁場発生手段と、測定空間の磁場均一性を調整するための強磁性体を使用しているMRI装置用静磁場発生装置において、前記静磁場発生手段に測定空間を挟んで対向して配置された一対の永久磁石及び高周波シールドが磁極の測定空間に面する側に配置されており、前記永久磁石あるいは高周波シールドが高抵抗を特徴とする鉄あるいはコバルト系材料を使用し、前記高抵抗層にフッ素化合物を適用していることを特徴とするMRI装置。
【請求項8】
測定空間に磁場強度分布の均一な静磁場を供給する静磁場発生手段と、測定空間の磁場均一性を調整するための強磁性体を使用しているMRI装置用静磁場発生装置において、前記静磁場発生手段に測定空間を挟んで対向して配置された一対の永久磁石及び高周波シールドが磁極の測定空間に面する側に配置されており、前記永久磁石あるいは高周波シールドが高抵抗を特徴とする鉄あるいはコバルト系材料を使用し、前記高抵抗層にフッ素化合物あるいはフッ酸化物を適用していることを特徴とするMRI装置。
【請求項9】
請求項第1項から第8項において、高抵抗相がフッ素と少なくとも1種以上のアルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,希土類金属を含むフッ素化合物であることを特徴とする磁性体が使用されているMRI装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は高抵抗磁石を適用したMRI装置及び高抵抗磁石の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の強磁性材料を使用したMRI装置は、下記特許文献1に記載のようにシールドや磁石内部の導電性構造に磁場勾配が結合し渦電流が発生する。この渦電流によって勾配コイルに対する台形電流パルスの印加中及び印加後に磁場勾配の増大及び減衰が観測され、画像歪みに繋がる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−166898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の発明では、渦電流が発生しやすい磁性材料が使用されている。前記渦電流は理想的磁場勾配波形からの逸脱が生じる原因の一つであり、画像歪み,強度損失,ゴースト発生及び信号損失,スペクトル歪みの原因となる。渦電流を抑制しかつ損失となるヒステリシスを小さくするために、永久磁石および軟磁性材の一部に層状の高抵抗層を適用し、前記高抵抗層により粒子間に流れる渦電流を小さくするとともに、高抵抗層の耐熱性を高め、熱処理等によりヒステリシスを小さくする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、永久磁石あるいは軟磁性材の粒界に板状の高抵抗層を形成し渦電流を抑制することが有効である。前記高抵抗層にはフッ素化合物を形成しフッ素化合物と主相との界面を増やすこと、フッ素化合物の厚さを薄くすること、あるいはフッ素化合物を強磁性相にすることが挙げられる。前者はフッ素化合物を磁粉表面に形成する際に層状,板状あるいは扁平状になるような手法を採用することが有効である。MRI装置の磁石が導電性であるため渦電流による磁場勾配の乱れあるいは、渦電流に起因する発熱による磁石磁場の変動が問題となり、その抑制のため、シールド材が使用される。磁石を導電性から高抵抗層を有する非導電性に変えることにより、従来使用している上記シールドあるいは軟磁性積層体が必ずしも配置する必要がなく、そのために測定空間を広くすることや、磁場発生効率の向上MR画像の質向上が実現できる。このような効果を達成させるために、磁石の抵抗を高くする必要がある。その手法について下記に示す。希土類磁石の高抵抗化については、従来例である特開2003−282312号公報に開示されており、高抵抗材としてNdF3 を用いる場合平均粒径0.2μmのNdF3粉末とNdFeB合金粉末を自動乳鉢を使用して混合しており、フッ素化合物の形状についての記載はなく、焼結後のフッ素化合物の形状は塊状になっている。これに対しMRI装置に適用する高抵抗磁石を扱う本手法の一例は、磁粉表面に表面処理によりフッ素化号物の形状を層状にしている。表面処理はアルカリ金属元素,アルカリ土類元素あるいは希土類元素を1種類以上含むフッ素化合物またはフッ素化合物を磁粉表面に塗布する手法である。ゲル状あるいはゾル状フッ素化合物をアルコール溶媒中で粉砕し、磁粉表面に塗布後、加熱により溶媒を除去する。200℃から400℃の熱処理で溶媒を除去し、500℃から800℃の熱処理でフッ素化合物を成長させる。この熱処理には、抵抗加熱炉,赤外線加熱炉,高周波誘導加熱炉などの外部加熱方式以外に、ミリ波加熱が使用できる。ミリ波加熱では磁粉表面に形成した高抵抗層が磁粉よりも発熱し易いように材料設計する。すなわち、ある温度で高抵抗層の誘電損失を磁粉よりも大きくなるように材料の組み合わせを選択することで、高抵抗層のみが磁粉の主相よりも加熱され、高抵抗層付近の加熱にともない拡散が進行する。高抵抗層は磁石粉,焼結用磁性粉,異方性希土類磁石粉,等方性磁石粉,軟磁性粉などの磁粉に適用でき、これら磁粉の最表面層と高抵抗層は部分的に反応しており、高抵抗層を構成するアルカリ金属,アルカリ土類金属あるいは希土類元素は最表面層と置換反応を起こし、密着性を確保している。酸素を含む磁粉にフッ素化合物を形成させ、約
350℃以上の温度で加熱すると、酸素の拡散が生じる。磁粉の酸化物は磁粉中の希土類元素と結合している場合が多いが、これらの酸素は、加熱によりフッ素化合物中に拡散し、酸フッ素化合物(フッ素化合物の一部に酸素が混入したもの)を形成する。この酸フッ素化合物は、フッ素化合物よりも脆いため、磁粉からの剥離が起こり易い。これは、フッ素化合物中に酸素が混入することにより、硬度が増加し変形しにくくなるためであり、フッ素化合物付近にクラックが生じ易く成形性が低下し高密度化が困難になる。したがって磁粉表面に高抵抗層を形成する場合磁粉の酸素濃度を抑制することが重要である。磁粉との界面に酸化物やフッ酸化物が形成され易くなり成形能が低下する。表面処理以外に磁粉を挿入し、減圧雰囲気でフッ素化合物のターゲットからスパッタリングされたフッ素及び希土類元素を磁粉表面に付着させることができる。フッ素化合物や酸フッ素化合物は、結晶構造が面心立方格子であり、その格子定数は0.54 から0.60nm である。これらのフッ素化合物や酸フッ素化合物の成長は磁粉中の酸素を除去することで、残留磁束密度の増加,保磁力増加,減磁曲線の角型性向上,磁気特性の温度依存性低減,熱減磁特性向上,着磁性向上,異方性向上,耐食性向上などの効果がある。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにフッ素化合物をNdFeB,NdFeCoBあるいはSmCo系合金の粒界に板状あるいは層状に形成させることにより、高保磁力と高残留磁束密度及び高抵抗の両立が可能であり、MRI装置の磁気回路に使用することで渦電流防止材が不要となり、被測定空間の拡大,測定画質向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明実施のための形態を示す。
【0008】
<実施例1>
図1に装置の一例を示す。図1において被測定体を挿入する空間20を挟み永久磁石の外側に上下ヨーク3a,3bおよびコラム10a,10bで支持された閉磁気回路を構成している。渦電流を抑制しかつ損失となるヒステリシスを小さくするために、永久磁石および軟磁性材の一部に層状の高抵抗層を適用し、前記高抵抗層により粒子間に流れる渦電流を小さくした、高抵抗軟磁性体を前記ヨーク3a,3bの一部に使用するとともに、焼結磁石の一部を高抵抗磁石にすることで磁気回路の損失を低減できる。図2においてベース部2の上面には磁気共鳴画像を得るための高周波照射コイル4や傾斜磁場コイル3が配置されている。高周波照射コイル4は被測定体のプロトンの磁気モーメントを磁気的に励起させるためにパルス状の電磁波を被測定体に照射するもので、傾斜磁場コイル3はMR信号に位置情報を与えるためのものである。高周波照射コイル4によって電磁波を被測定体に照射すると被測定体以外に周辺の磁気回路に電磁波吸収材がある場合は電磁波の被測定体への照射効率が低下する。この照射効率の低下を抑制するために高周波照射コイル4の隣に傾斜磁場コイル3を配置する。傾斜磁場コイル3と永久磁石1あるいはベース部2の間には従来シールドや渦電流防止材が配置されていた。本実施例ではベース部2あるいは永久磁石1に高抵抗磁石を適用する。高抵抗磁石は通常のNdFeB,NdFeCoB系あるいはその他希土類磁石の抵抗(比抵抗)よりも10倍以上高い抵抗値を示す材料であり、高抵抗のため渦電流が流れにくい。このため、渦電流防止材なしで装置構成が可能となり、磁場強度の上昇,被測定体空間の増加,画質向上に繋がる。
【0009】
磁石抵抗が焼結磁石抵抗の比抵抗である0.15mΩcm の100倍(15mΩcm)未満の場合には、高周波磁場での渦電流が無視できなくなる。その場合には図3に示すように、ベース部2あるいは永久磁石1に高抵抗磁石を適用し、高周波照射コイル4に隣接する傾斜磁場コイル3とベース部2の間に非磁性材5で空間を形成し、ベース部2の高周波磁界強度を小さくすることで渦電流を抑制する。磁石抵抗が焼結磁石抵抗の比抵抗である
0.15mΩcm の100倍(15mΩcm)未満である場合の他の構造としては、高周波磁場での渦電流が無視できなくなるため図4に示すように、ベース部2あるいは永久磁石1に高抵抗磁石を適用し、高周波照射コイル4に隣接する傾斜磁場コイル3とベース部2の間に非磁性材5で空間を形成し、かつ高抵抗軟磁性体6を配置させることでベース部2の渦電流を抑制する。
【0010】
上記のような磁気回路を構成するために通常の焼結磁石表面の一部または全てを高抵抗磁石とする手法を次に示す。図5は、焼結磁石101の表面に希土類あるいはアルカリ土類元素を含むフッ素化合物102を以下の実施例で示すようなスパッタリング法あるいは表面処理法で0.1μm 以上の厚さで形成し(a)に示すようにフッ素化合物と焼結磁石の間に界面を形成する。これを400℃以上の温度で熱処理することによりフッ素化合物と焼結磁石間に反応が起こり、その結果高抵抗層103が成長する。反応する前のフッ素化合物102は非磁性であるが、高抵抗層103は母相が焼結体の主構成相であるため強磁性でかつフッ素化合物が層状に成長した材料となっており、表層付近に高周波磁場が印加された場合、表層の渦電流を抑制することが可能である。このプロセスは焼結磁石ばかりでなく、Fe系軟磁性体の場合でも同様の効果が得られ、軟磁性体の場合は400℃以上の熱処理によりヒステリシス損失を低減しかつ高抵抗化による渦電流損の低減が可能である。前記ヒステリシス損低減により磁気回路の発熱を抑制することが可能となり、温度の変動を補正する補正回路が単純化できる。
【0011】
焼結磁石201の表面の一部を高抵抗層にする場合を図6によって説明する。図6において、焼結磁石201の表面にスパッタリングなどの蒸着法あるいは溶液を使用した表面処理あるいは塗布によりフッ素化合物を形成する。このフッ素化合物202は、アモルファス構造であっても良く、あるいは一部溶媒などの不純物を含んでいても良い。このフッ素化合物202の上に周波数がギガヘルツであるミリ波を反射しやすい反射層203をリフトオフなどのプロセスで形成する。希土類フッ素化合物の中にはミリ波照射により発熱する材料があるため、ミリ波を全体に照射しても局所的に加熱することが可能となる。図6では、フッ素化合物202にミリ波照射により加熱しやすいNdF3 を使用することで反射層203の間のNdF3 が発熱し界面拡散により焼結磁石201に高抵抗層204が成長する。この高抵抗層204は焼結磁石を構成している母相の結晶粒界や欠陥などに沿って拡散して層状に成長し高抵抗となっている。反射層はエッチングやミリングなどで除去でき、非磁性を示すフッ素化合物202の隣に強磁性を示す高抵抗層204が形成できる。この手法は強磁性膜の部分高抵抗化にも適用できる。また、FeあるいはCo系軟磁性材料にも適用可能である。
【0012】
上記高抵抗磁石には以下の実施例に記載されている磁石を使用できる。
【0013】
NdFeB合金粉末は、平均粒径1−10μmに粉砕したもので、NdF3をNdFeB粉の表面にスパッタリングする。NdF3 粉あるいはDyF3 とNdF3 の混合体から成形したターゲットを使用し、アルゴンガスあるいはアルゴンとフッ素の混合ガス雰囲気中で、NdFeB合金粉末表面にフッ化物を含む層を形成する。フッ化物のスパッタリング前に逆スパッタリングなどで粉末表面をクリーニングして酸化層を除去し、粉末の酸素濃度を3000ppm以下にする。NdFeB合金粉末に振動あるいは回転運動を与え、粉末表面全体にフッ化物あるいはフッ素を含む層を形成する。NdFeB合金粉末の表面には、母相と組成の異なる1〜10nmの相が存在しその付近に酸化層がある場合が多い。局所的に、母相と希土類元素の組成が異なる相の厚さ,酸化層の厚さは異なり、粉末が不均一な場合はこれらの厚さは10〜100nmになる。粉末表面に形成するフッ素を含む層は上記希土類元素の組成の異なる層の厚さである1から10nm以上が必要であり、フッ素を含む層を形成した後に、損失低減のために600℃以上の熱処理をする場合は、酸化層の厚さを薄くすることが望ましい。これは酸化層及び希土類元素の組成の異なる層は600℃以上の温度で、フッ素を含む層との拡散が生じ易く、フッ素を含む層の構造が変化するため、フッ素を含む層の界面付近は、欠陥や酸素の侵入,希土類元素の拡散などにより、膜厚が薄い場合その連続性や結晶構造を維持できなくなるためである。そこでフッ化物を形成した粉末の酸素濃度は5000ppm 以下に抑えることが望ましい。フッ素を含む層は、スパッタリング等の手法で形成した直後は、NdF3 膜の場合、構造的にアモルファスを含んだNdF3 とNdF2 及びNdF2-X の混合相であるが、形成条件を制御すれば、アモルファスのみ、NdF3 のみ、あるいはNdF2 のみのフッ素を含む層を形成することができる。これらのフッ素を含む層が形成された後、600℃〜800℃の温度範囲で熱処理を実施する。このとき、フッ素を含む層とフッ素を含む層と接する層付近の構造が大きく変化する。希土類元素の組成が母相と異なる層は、熱処理温度が高くなるとさらに成長し、酸化層の酸素はフッ素を含む層あるいは希土類元素の組成が異なる層のどちらにも拡散する。酸素濃度が高い場合、磁気特性は厚さが厚くなるほど、低下する。このため、フッ素を含む層の厚さも、必要な磁気特性により決定される。フッ素を含む層は、粉末表面に沿って形成でき、その膜厚分布は+200%,−50%の範囲になる。フッ素を含む層が形成された粉末を成形する場合、酸素濃度が5000ppm を超えるとフッ素を含む層の硬さが高くなり変形しにくく高密度成形体が得られない。また渦電流損失低減のためにフッ素を含む層の抵抗は母相の10倍以上が望ましい。希土類フッ素化合物は母相であるFe合金の10倍以上の抵抗を示しかつ硬さもFe合金と同等にすることが可能であり、酸素濃度を5000ppm 以下にすることでNdFeB合金粉の成形体の損失を低減できる。さらに他の高抵抗磁石作製例を次に示す。
【0014】
NdFeCoB合金粉末は、平均粒径1−10μmに粉砕したもので、DyF3
NdFeCoB粉の表面にスパッタリングする。Co組成は1−10at%である。
DyF3 粉から成形したターゲットを使用し、アルゴンガスあるいはアルゴンとフッ素の混合ガス雰囲気中で、NdFeCoB合金粉末表面にフッ化物を含む層を形成する。フッ化物のスパッタリング前に逆スパッタリングなどで粉末表面をクリーニングして酸化層を除去し、NdFeCoB合金粉末の酸素濃度を3000ppm 以下にする。NdFeCoB合金粉末に振動あるいは回転運動を与え、粉末表面全体にフッ化物あるいはフッ素を含む層を形成する。NdFeCoB合金粉末の表面には、母相と組成の異なる1〜10nmの相が存在しその付近に酸化層がある場合が多い。粉末表面に形成するフッ素を含む層は1から10nm以上が必要であり、フッ素を含む層を形成した後に、損失低減のために400℃以上の熱処理をする場合は、酸化層の厚さを薄くすることが望ましい。これは酸化層が400℃以上の温度で、フッ素を含む層との拡散が生じ易く、フッ素を含む層の構造が変化するため、フッ素を含む層の界面付近は、欠陥や酸素の侵入,Dyの拡散などにより、膜厚が薄い場合その連続性や結晶構造を維持できなくなるためである。そこでフッ化物を形成した粉末の酸素濃度は5000ppm 以下に抑えることが望ましい。フッ素を含む層は、スパッタリング等の手法で形成した直後は、構造的にアモルファスを含んだDyF3 ,DyF2 及びDyF2-Xの混合相及びこれらの酸フッ素化合物であるが、形成条件を制御すれば、アモルファスのみ、DyF2 のみ、あるいはCaF2-x のみのフッ素を含む層を形成することができる。これらのフッ素を含む層が形成された後、400℃〜900℃の温度範囲で熱処理を実施する。フッ素を含む層が形成された粉末を室温以上900℃以下の温度で成形する場合、酸素濃度が5000ppm を超えるとフッ素を含む層の硬さが高くなり変形しにくく高密度成形体が得られない。また渦電流損失低減のためにフッ素を含む層の抵抗は母相の10倍以上が望ましい。DyF3 あるいはDyF2 は母相である
NdFeCoB合金の10倍以上の抵抗を示しかつ硬さもNdFeCoB合金以下にすることが可能であり、酸素濃度を5000ppm 以下にすることでNdFeCoB合金粉の成形体の抵抗を10倍以上にすることができる。他の高抵抗磁石の作製例を以下に示す。
【0015】
表面処理によってコート膜を形成する場合、ネオジムフッ素化合物コート膜を形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩である酢酸Nd、または硝酸Nd4gを約100mLの水に導
入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)約10%に希釈したフッ化水素酸をNdF3 が生成する化学反応の当量分徐々に加
えた。
(3)ゲル状沈殿のNdF3 が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用いて1時間以上攪
拌した。
(4)4000r.p.m の回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ同量のメタノ
ールを加えた。
(5)ゲル状のNdF3 を含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後、超音波
攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されなく
なるまで、4回繰り返した。
(7)やや縣濁したゾル状のNdF3となった。処理液としてはNdF3が1g/15mL
のメタノール溶液を用いた。
【0016】
次に、希土類磁石用磁粉にはNdFeB合金粉末を用いた。この磁粉は、平均粒径が5−200μmで磁気的に異方性を有している。希土類フッ素化合物又はアルカリ土類金属フッ素化合物コート膜を希土類磁石用磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。
(1)平均粒径が100μmの場合、希土類磁石用磁粉100gに対して10mLの
NdF3 コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認で きるまで混合した。
(2)(1)のNdF3 コート膜形成処理希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧下で溶媒 のメタノール除去を行った。
(3)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英製ボートに移し、1×10-5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。
(4)(3)で熱処理した磁粉に対して、多孔質アルミナ容器に移したのち、1×10-5 torrの減圧後、ミリ波により加熱した。加熱温度は400−800℃である。
(5)ミリ波加熱には、富士電波工業社製28GHzミリ波加熱装置を使用し、出力1− 10kW、Ar雰囲気中で200℃に加熱後選択的にNdF3 コート膜を加熱した 。
(6)(4)で熱処理を施した希土類磁石用磁粉の磁気特性を調べ、成形した。
【0017】
上記磁粉を磁場配向させ焼結後の磁気特性の結果を、DyF3 との混合膜の結果を含め表1に合わせて示した。
【0018】
【表1】


【0019】
NdF3 を低酸素濃度のNdFeB粉表面に上記のように形成した場合、界面付近にはNdF2,NdF3が成長し、NdOFは前記フッ化物よりも少ない。酸フッ素化合物の形成を抑制することで、NdFeB粉表面のフッ化物層の剥離を防止でき、NdFeB粉に負荷がかかった場合のフッ化物層の脱離を防止できる。このような希土類フッ素化合物には酸素が不純物として混入しやすいが、磁石粉を含んだ酸素濃度が5000ppm を超えると酸フッ素化合物が形成されやすく、磁石粉から剥離し易くなる。酸素濃度が高くなると、フッ素化合物の機械的性質が変化し、高温圧縮成形時に高密度化が困難になる。このため酸素濃度を低減させる必要がある。酸素濃度低減のためには、表面処理プロセス中のフッ素化合物成長過程で酸素や水分の混入を防止することが重要である。他の表面処理手法を用いた実施例を以下に述べる。
【0020】
ネオジムフッ素化合物コート膜を形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩である酢酸Nd、または硝酸Nd4gを約100mLの水に導 入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)10%に希釈したフッ化水素酸をNdF3 が生成する化学反応の当量分徐々に加え た。
(3)ゲル状沈殿のNdF3 が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用いて1時間以上攪 拌した。
(4)4000r.p.m の回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ同量のメタノ ールを加えた。
(5)ゲル状のNdF3 を含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後、超音波 攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されなく なるまで、4回繰り返した。
(7)やや縣濁したゾル状のNdF3となった。処理液としてはNdF3が1g/15mL のメタノール溶液を用いた。
【0021】
次に、希土類磁石ブロックにはNdFeB系焼結磁石を用いた。この磁石は、平均粒径が1−50μmで磁気的に異方性を有している。希土類フッ素化合物又はアルカリ土類金属フッ素化合物コート膜を希土類磁石ブロックに形成するプロセスは以下の方法で実施した。
(1)希土類磁石100gに対して1mLのNdF3 コート膜形成処理液を添加し、希土 類磁石全体が濡れるのが確認できるまで混合した。
(2)(1)のNdF3 コート膜形成処理希土類磁石を2〜5torrの減圧下で溶媒のメタ ノール除去を行った。
(3)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石を石英製ボートに移し、1×10-5torrの 減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。
(4)(3)で熱処理した希土類磁石に対して、多孔質アルミナ容器に移したのち、1× 10-5torrの減圧後、ミリ波により加熱した。加熱温度は300−1200℃であ る。
(5)ミリ波加熱には、富士電波工業社製28GHzミリ波加熱装置を使用し、出力1− 10kW、Ar雰囲気中で200℃に加熱後選択的にNdF3 コート膜を加熱した 。
(6)(4)で熱処理を施した希土類磁石の磁気特性を調べた。
【0022】
上記磁粉を磁場配向により仮成形後、加熱成形した成形体の磁気特性の測定結果を、希土類フッ素化合物のコート膜について表2に合わせて示した。
【0023】
【表2】


【0024】
NdF3 を低酸素濃度のNdFeB磁石表面に上記のように形成した場合、界面付近にはNdF2,NdF3が成長し、NdOFは前記フッ化物よりも少ない。フッ素化合物形成プロセスは除湿あるいは温調下で実施することと、フッ素化合物形成のための熱処理を
300℃から1200℃にし、必要に応じて還元ガス雰囲気中の熱処理を採用することで、酸素濃度を低減することが可能である。また、Ndフッ素化合物以外に同様なプロセスを用いて、LiF,MgF2,CaF2,ScF3,VF2,VF3,CrF2,CrF3
MnF2,MnF3,FeF2,FeF3,CoF2,CoF3,NiF2,ZnF2,AlF3,GaF3,SrF2,YF3,ZrF3,NbF5,AgF,InF3,SnF2,SnF4,BaF2,LaF2,LaF3,CeF2,CeF3,PrF2,PrF3,NdF2,NdF3,SmF2,SmF3,EuF2,EuF3,GdF3,TbF3,TbF4,DyF2,DyF3,HoF2,HoF3,ErF2,ErF3,TmF2,TmF3,YbF3,YbF2,LuF2,LuF3,PbF2,BiF3及びこれらのフッ素化合物の酸フッ素化合物やフッ素が一部欠乏したフッ素化合物を層状に形成できる。このようなフッ素化合物の中にNdF3 のように誘電損失がNdFeBよりも200℃以上の高温で大きいものは、ミリ波加熱によりフッ素化合物が発熱し、フッ素化合物の形成してある部分付近のみ加熱されるため、
NdFeB焼結体の内部磁気特性を劣化させずに、表層付近のみ磁気特性を向上させることが可能となる。NdFeB焼結体を加工したブロック焼結体は、最表面に加工変質層が存在しやすく、この付近の磁気特性が劣化しやすい。この磁気特性の劣化を修正するために、磁気異方性を大きくする元素を含むフッ素化合物を上記方法などで形成後、ミリ波加熱をすることで、フッ素化合物あるいは酸フッ素化合物が発熱し、フッ素化合物が形成されている部分のみ希土類の拡散を進行させることが可能である。この拡散によりNdFeBの保磁力向上,角型性向上が確認できた。
【0025】
他の表面処理により形成した高抵抗磁石の例を示す。
【0026】
ジスプロシウムフッ素化合物コート膜を形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩である酢酸Dy、または硝酸Dy4gを約100mLの水に導
入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)約10%に希釈したフッ化水素酸をDyF3 が生成する化学反応の当量分徐々に加 えた。
(3)ゲル状沈殿のDyF3 が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用いて1時間以上攪 拌した。
(4)4000r.p.m の回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ同量のメタノ ールを加えた。
(5)ゲル状のDyF3 を含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後、超音波 攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されなく なるまで、4回繰り返した。
(7)やや縣濁したゾル状のDyF3となった。処理液としてはDyF3が1g/15mL のメタノール溶液を用いた。
【0027】
次に、希土類磁石用磁粉にはNdFeB合金粉末あるいはSmCo合金粉を用いた。
NdFeB合金粉と同様に希土類元素を少なくとも1種以上含むFe合金あるいは希土類元素を少なくとも1種以上及び半金属元素を含む合金に上記工程が適用可能である。またSmCo合金は希土類元素を少なくとも1種以上含むCo合金であり、このCo合金に種々の添加元素が添加されている合金の場合も上記工程が適用できる。これらの磁粉は、酸素濃度が10ppm 以上3000ppm 以下で平均粒径が1〜100μmで磁気的に異方性である。希土類フッ素化合物又はアルカリ土類金属フッ素化合物コート膜を希土類磁石用磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。
(1)均粒径が10μmの場合、希土類磁石用磁粉100gに対して15mLのDyF3 コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで 混合した。
(2)(1)のDyF3 コート膜形成処理希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧下で溶媒 のメタノール除去を行った。
(3)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英製ボートに移し、1×10-5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。
(4)(3)で熱処理した磁粉に対して、容器に移したのち、1×10-5torrの減圧下で 、400〜800℃の熱処理を行った。
(5)(4)で熱処理を施した希土類磁石用磁粉の成形後の磁気特性を調べた。
【0028】
磁気特性の結果を、表3に纏めた。
【0029】
【表3】


【0030】
表3にはDy以外のTb元素を含むフッ素化合物を上記手法と同様に表面処理して形成させた磁粉の磁気特性も示してある。フッ素化合物は表面処理によって形成される主なフッ素化合物を記載し、界面相には、磁粉とフッ素化合物界面付近に生成した相を記載した。これらの相は界面から約1000nm以内で認められる相であり、TEM,SEM,
AESなどの組成分析,構造解析及びXRDパターンから解析することが可能である。
DyF3 をNdFeCoB粉表面に上記のように形成した場合、界面付近にはDyF2 ,NdF2 及びNdO2 が成長するように400℃,30分から1時間の熱処理をした。さらに熱処理を500℃から800℃の高温で進めることにより、上記界面相以外にFeが成長する。このFeには希土類元素が含まれるが、酸素濃度は磁粉表面よりもフッ素化合物側に多い。他のフッ素化合物を表面処理で形成した場合にも酸素濃度がフッ素化合物中の酸素濃度よりも少ないFeが成長するのは熱処理温度が400℃よりも高い場合である。このように熱処理温度を高温側にするとフッ素化合物と磁粉間で希土類元素や酸素などが拡散し、磁粉の酸素の一部がフッ素化合物に拡散し、磁粉の希土類元素の一部がフッ素化合物に拡散する。この拡散により磁粉表面のFe相(Fe希土類合金)が成長し、その一部は母相のNdFeCoBと交換結合する。Fe相には希土類元素が含まれCoなどのNdFeBに添加されている元素が含まれる場合もある。このFe相の飽和磁束密度が
NdFeBよりも高いため、NdFeCoBと交換結合することにより外部磁界に対してFeの磁化回転が困難となり、残留磁束密度が増加する。表3に示すように、Feが界面相として認められる磁粉の残留磁束密度は、同じフッ素化合物を形成させた磁粉でFeが界面に認められない場合と比較して、その値が大きくなることがわかる。また、Feが界面相として成長している場合には最大エネルギー積、BHmax が大きい。尚、熱処理温度が400℃よりも低温側でも長時間熱処理することにより上記Fe相が成長する。
【0031】
他の実施例として、ジスプロシウム・ネオジムフッ素化合物コート膜を形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩である酢酸Dy、または硝酸Dy2gと酢酸Nd2gを約100 mLの水に導入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)約10%に希釈したフッ化水素酸を(Dy,Nd)F3 が生成する化学反応の当量分 徐々に加えた。
(3)ゲル状沈殿の(Dy,Nd)F3 が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用いて1時 間以上攪拌した。
(4)4000r.p.m の回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ同量のメタノ ールを加えた。
(5)ゲル状の(Dy,Nd)F3 を含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後 、超音波拡販器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されなく なるまで、4回繰り返した。
(7)やや縣濁したゾル状の(Dy,Nd)F3となった。処理液としては(Dy,Nd)F3 が1g/15mLのメタノール溶液を用いた。
【0032】
次に、希土類磁石用磁粉にはNdFeB合金粉末あるいはSmCo合金粉を用いた。
NdFeB合金粉には希土類元素を少なくとも1種以上含むFe合金あるいは希土類元素を少なくとも1種以上及び半金属元素を含む合金である。またSmCo合金は希土類元素を少なくとも1種以上含むCo合金であり、このCo合金に種々の添加元素が添加されている合金を含んでいる。これらの磁粉は、酸素濃度が10ppm 以上3000ppm 以下で平均粒径が1〜100μmで磁気的に異方性である。希土類フッ素化合物又はアルカリ土類金属フッ素化合物コート膜を希土類磁石用磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。
(8)平均粒径が10μmの場合、希土類磁石用磁粉100gに対して15mLの(Dy ,Nd)F3 コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確 認できるまで混合した。
(9)(1)の(Dy,Nd)F3 コート膜形成処理希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧 下で溶媒のメタノール除去を行った。
(10)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英製ボートに移し、1×10-5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。
(11)(3)で熱処理した磁粉に対して、多孔質アルミナ容器に移したのち、減圧下の Arガス雰囲気中でミリ波加熱装置により、400〜800℃の熱処理を行った 。
(12)(4)で熱処理を施した希土類磁石用磁粉の磁気特性を調べた。
【0033】
磁気特性の結果を、表4に纏めた。
【0034】
【表4】


【0035】
表4にはDy以外のTb元素を含むフッ素化合物を上記手法と同様に表面処理して形成させた磁粉の磁気特性も示してある。フッ素化合物は表面処理によって形成される主なフッ素化合物を記載し、界面相には、磁粉とフッ素化合物界面付近に生成した相を記載した。これらの相は界面から約1000nm以内で認められる相であり、TEM,SEM,
AESなどの組成分析,構造解析及びXRDパターンから解析することが可能である。
DyF3をNdFeB粉表面に上記のように形成した場合、界面付近にはDyF2,NdF2及びNdO2 が成長するように400℃30分から1時間の熱処理をした。さらに熱処理を500℃から800℃の高温で進めることにより、上記界面相以外にFeが成長する。このFeには希土類元素が含まれるが、酸素濃度は磁粉表面よりもフッ素化合物側に多い。他のフッ素化合物を表面処理で形成した場合にも酸素濃度がフッ素化合物中の酸素濃度よりも少ないFeが成長するのは熱処理温度が400℃よりも高い場合である。このように熱処理温度を高温側にするとフッ素化合物と磁粉間で希土類元素や酸素などが拡散し、磁粉の酸素の一部がフッ素化合物に拡散し、磁粉の希土類元素の一部がフッ素化合物に拡散する。この拡散により磁粉表面のFe相(Fe希土類合金)が成長し、その一部は母相のNdFeBと交換結合する。Fe相には希土類元素が含まれCoなどのNdFeBに添加されている元素が含まれる場合もある。このFe相の飽和磁束密度がNdFeBよりも高いため、NdFeBと交換結合することにより外部磁界に対してFeの磁化回転が困難となり、残留磁束密度が増加する。表4に示すように、Feが界面相として認められる磁粉の残留磁束密度は、同じフッ素化合物を形成させた磁粉でFeが界面に認められない場合と比較して、その値が大きくなることがわかる。また、Feが界面相として成長している場合には最大エネルギー積、BHmax が大きい。尚、熱処理温度が400℃よりも低温側でも長時間熱処理することにより上記Fe相が成長する。
【0036】
他の高抵抗磁石を作製する手法として次の方法を検討した。NdFeB合金は水素化脱水素処理を施した粒径約1−1000μmの粉であり、この粉末の室温での保磁力は16kOeである。このNdFeB(主相はNd2Fe14B)粉末の酸素濃度は10ppm 以上3000ppm 以下にする。混合するフッ素化合物はNdF3 である。NdF3 原料粉は予め粉砕し0.01から100μmの平均粒径にし、NdFeB粉とNdF3を混合して双ロールのロール間に注入する。フッ素化合物粉の形状を層状にするために、ロール表面温度を300℃から600℃とし、NdFeB粉やフッ素化合物粉がロールにより変形しやすくする。フッ素化合物は双ロールによりNdFeB粉とともに変形して扁平状となる。加圧力は100kg/cm2 以上とした。双ロールで加圧された磁粉は磁粉表面にフッ素化合物が層状に形成され、必要に応じてフッ素化合物をさらに混合し、双ロールで加圧しても良い。混合するフッ素化合物はNdF3 以外にLiF,MgF2,CaF2,ScF3,VF2,VF3,CrF2,CrF3,MnF2,MnF3,FeF2,FeF3,CoF2,CoF3,NiF2,ZnF2,AlF3,GaF3,SrF2,YF3,ZrF3,NbF5,AgF,InF3,SnF2,SnF4,BaF2,LaF2,LaF3,CeF2,CeF3,PrF2,PrF3,NdF2,NdF3,SmF2,SmF3,EuF2,EuF3,GdF3,TbF3,TbF4,DyF2,DyF3,HoF2,HoF3,ErF2,ErF3,TmF2,TmF3,YbF3,YbF2,LuF2,LuF3,PbF2,BiF3がある。磁粉の酸素濃度が
3000ppm を超えるとこれらの混合粉やこれらのフッ素化合物に酸素が結合した酸フッ素化合物がフッ素化合物よりも多く形成されるようになり、NdFeB粉の表面に酸フッ素化合物が層状あるいは粒状に形成される。
【0037】
双ロールで加熱加圧された磁粉は、加圧により応力が加わるために、粉末に局所的な歪みが残留する。この局所的歪みは、磁粉とフッ素化合物界面での拡散を促進させると推定している。NdF3 と磁粉の界面は、ロール表面温度により異なり、400℃以下の温度では、NdF3/Nd2Fe14B,NdF3/Ndリッチ相,NdF3/Nd23などである。ロール表面温度を400℃よりも高くするとNdF3 の一部が磁粉と反応し、NdF2が形成される。同時に、NdOFも形成する。前記NdF2 にも酸素が混入し、400℃よりも高温側では、磁粉の酸素や希土類元素がフッ素化合物に拡散する。この拡散により磁粉中の酸素濃度が低減され、高抵抗化以外にも残留磁束密度の増加,保磁力増加,磁化曲線の角型性向上,熱減磁の減少などのいずれかの効果が確認される。
【0038】
フッ素化合物を適用した高抵抗磁石は、以下に示すような種々の手法のいずれかが採用される。第一は、焼結磁石ブロックの表面にフッ素化合物を含む高抵抗層を形成した場合であり、複数の磁石ブロックの表面の一部あるいは全部をフッ素化合物を含んだ高抵抗層で被覆する。その手法は表面処理やスパッタリングなどの蒸着が可能である。スパッタリングの場合、BNやTiNなどの窒素化合物や炭化物のみの高抵抗層あるいはフッ素化合物との混合層の形成も可能である。これらの化合物の表面皮膜が形成された磁石ブロックにGHzの周波数を有するミリ波を照射することで、化合物の皮膜付近のみが選択的に加熱され、剥離防止や磁気特性向上を実現できる。特に、磁石ブロックの母相に対して異方性を大きくする元素を含む化合物が形成されている場合には、保磁力や角型性の向上効果が確認できる。第二に、磁石粉の粉末表面に表面処理やスパッタリングなどの手法でフッ素化合物などのハロゲン元素を含む化合物や窒素化合物あるいは炭素化合物を形成する場合である。この場合には溶液処理がプロセスコスト低減のために有効であり、磁石粉表面に沿って層状のフッ素化合物が形成でき、磁石粉末の抵抗を増加できる。この磁石粉末を電極間に挿んでIV特性を測定すると電圧100V以下で絶縁破壊しない高抵抗層が形成できる。磁石粉がSmCo,NdFeBなどのFe系あるいはCo系希土類磁石であれば、フッ素化合物を母相とする高抵抗層の硬度のほうが上記希土類磁石よりも小さく、変形させることが可能であるため、フッ素化合物をバインダーにした磁石や、樹脂と表面処理した磁石粉を混合して射出や圧縮,押し出し成形によるボンド磁石の作製が可能である。一般にボンド磁石のバインダ材料の体積を小さくして磁気特性を向上させようとすると、磁石粉同士が接触し抵抗が減少する傾向があるが、上記表面処理磁石粉を使用することにより磁石の抵抗は高抵抗のままで、バインダ体積を1−10%にすることが可能である。表面処理した磁石粉に対してもミリ波照射による磁気特性向上や信頼性向上が可能であり、フッ素化合物を形成した磁石粉にミリ波を照射し、フッ素化合物を発熱させ希土類元素の拡散を促進させることで、保磁力向上,角型性向上,残留磁束密度向上,フッ素化合物層の不純物除去,フッ素化合物と磁石粉の間の密着性向上,熱減磁減少などの効果が確認できる。第3に磁石粉以外のFe系あるいはCo系その他の粉末にフッ素化合物を形成しミリ波照射することで、フッ素化合物付近のみ加熱することが可能であり、粉末径が大きいほど粉末内部の熱影響を抑えてフッ素化合物が発熱するために、表面付近のみの磁気特性改善や複数の粉末間でフッ素化合物が結合して焼結させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の利用分野は、MRI(磁気共鳴イメージング)システムにおいて渦電流を抑制した強磁性材料を使用し、空間的時間的に一様な強度と方向性を持った静磁場を提供する構成に関する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のMRI装置用静磁場発生装置の一実施例の全体構成図。
【図2】本発明の静磁場発生装置のベース部拡大断面図。
【図3】本発明の静磁場発生装置のベース部拡大断面図。
【図4】本発明の静磁場発生装置のベース部拡大断面図。
【図5】磁石表面の高抵抗化工程図。
【図6】磁石表面の高抵抗化工程図。
【符号の説明】
【0041】
1…永久磁石、2…ベース部、3…傾斜磁場コイル、4…高周波照射コイル、5…非磁性体、6…高抵抗軟磁性体、10a,10b…コラム、11a,11b…ヨーク、20…測定空間、101,201…焼結磁石、102,202…フッ素化合物、103,204…高抵抗層、203…反射層。




 

 


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