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発明の名称 超電導マグネット
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−75470(P2007−75470A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−269364(P2005−269364)
出願日 平成17年9月16日(2005.9.16)
代理人 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
発明者 田中 和英 / 和田山 芳英 / 高橋 雅也
要約 課題

外乱の侵入をシールドし、磁場の時間的な変動を抑制することにより、長時間にわたって高い信頼性を維持できる安価な超電導マグネットを提供すること。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
液体ヘリウムを蓄える容器と、前記容器の内部に収納された磁場を発生するためのコイルと、前記容器の外周を覆う輻射シールドと、を含む超電導マグネットにおいて、
前記磁場を発生するコイルとは電気的に独立した超電導コイルを前記輻射シールドの外側に設けることを特徴とする超電導マグネット。
【請求項2】
前記磁場を発生するためのコイルの巻軸と前記超電導コイルの巻軸とを平行にすることを特徴とする請求項1に記載の超電導マグネット。
【請求項3】
前記磁場を発生するためのコイルは浸漬された液体ヘリウムによって、前記超電導コイルは冷凍機によって、冷却されることを特徴とする請求項1に記載の超電導マグネット。
【請求項4】
前記超電導コイルは、動作温度が10K〜35Kであることを特徴とする請求項1〜2に記載の超電導マグネット。
【請求項5】
前記超電導コイルは、マグネシウムとホウ素とを含む超電導体で構成されていることを特徴とする請求項1〜3に記載の超電導マグネット。
【請求項6】
液体ヘリウムを蓄える容器と、前記容器の内部に収納された磁場を発生するためのコイルと、前記容器の外周を覆う輻射シールドと、を含む超電導マグネットにおいて、
前記磁場を発生するコイルと直列に接続された漏れ磁場シールド超電導コイルを前記輻射シールドの外側に設けることを特徴とする超電導マグネット。
【請求項7】
請求項1〜5に記載の超電導マグネットを用いて均一磁場を発生させ、この空間内におかれた検査体の磁気共鳴現象を計測する核磁気共鳴装置システム。
【請求項8】
請求項6に記載の超電導マグネットを用いて均一磁場を発生させ、この空間内におかれた検査体の磁気共鳴現象を計測する核磁気共鳴装置システム。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導マグネットに関するものであり、特に、時間安定性に優れた均一磁場を発生させることが必要な核磁気共鳴装置用の超電導マグネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部磁場の変動を抑制することや漏れ磁場をシールドすることが可能なマグネット、また、このようなマグネットを用いた核磁気共鳴装置は公知となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、漏れ磁場や磁場均一度の乱れを抑制するマグネットと、このマグネットを用いるNMR分析装置や医療用MRI装置が記載されている。このマグネットは、低温容器の二重外筒の一方もしくはその蓋部を磁性体にすることで、マグネットからの外部への漏れ磁場及び試料空間での磁場均一度の乱れを抑制している。
【0004】
また、特許文献2には、水平磁場方式等の磁石を使用したMRI装置を磁気シールド内に設置することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−093464号公報
【特許文献2】特開2002−172102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MRI装置は、通常、病院に設置されるが、振動の大きな場所、例えば大型自動車や電車あるいはエレベーターが通過するような外乱が発生する場所では、均一磁場を維持することが困難となる。また、これと並行して、マグネットからの外部への漏れ磁場も極力小さくする必要がある。
【0007】
本発明の目的は、外乱の侵入をシールドし、磁場の時間的な変動を抑制することにより、長時間にわたって高い信頼性を維持できる安価なMRI装置やNMR装置をはじめとする超電導マグネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超電導マグネットは、液体ヘリウムを蓄える容器と、容器の内部に収納された磁場(「主磁場」とも呼称される。)を発生するためのコイルと、容器の外周を覆う輻射シールドとを含むものであって、磁場を発生するコイルとは電気的に独立した、第2の超電導コイルを輻射シールドの外側に設けることにより達成できる。
【0009】
一般に、外乱を抑制するためのシールドコイルは、超電導ループをできるだけ大きくする方が効率的である。本発明における第2の超電導コイルは、マグネット装置内の外側に設置される輻射シールドに巻き付けるため、超電導ループを大きくすることが可能となる。これにより、効率良くシールドできる。したがって、例えば液体ヘリウム容器の内部に第2の超電導コイルを配置する場合に比べて、シールドの効率として15〜20%上昇するというメリットが生じる。
【0010】
主磁場を発生するためのコイルの巻軸と、第2の超電導コイルの巻軸を平行にすることが必要である。これは、外乱による磁場変動を抑制する技術である。両者の巻軸が垂直な場合は、外乱をシールドすることができないことを実験により確認している。
【0011】
このとき、第2の超電導コイルは、輻射シールドの上下に配置する。すなわち、侵入してくる外乱をシールドするために、主磁場を発生するためのコイルから見て上下のふちに配置することが重要である。このように、巻軸が同一で、主磁場を発生させるコイルの上端より上部、及び下端より下部に設置すれば、巻き形状や設置場所が設計と25%程度異なっても差し支えない。さらに、巻線密度や巻線精度も25%程度異なっても特に問題ない。
【0012】
また、主磁場を発生するためのコイルは浸漬された液体ヘリウム、第2の超電導コイルは冷凍機によって伝導で冷却されることが好ましい。
【0013】
一般に、MRI装置には冷却を促進するために冷凍機が搭載され、これが輻射シールドを冷却している。このため、装置の大型化は発生しない。
【0014】
また、第2の超電導コイルの動作温度が10K〜35Kであることが好ましい。
【0015】
また、第2の超電導コイルは、マグネシウムとホウ素を含むことにより達成できる。代表例としては、MgB2 超電導体が挙げられる。
【0016】
また、液体ヘリウムを蓄える容器と、容器の内部に収納された磁場を発生するためのコイルと、容器の外周を覆う輻射シールドとを含む超電導マグネットにおいて、磁場を発生するコイルと直列接続された、漏れ磁場シールド超電導コイルを輻射シールドの外側に設けることにより達成できる。
【0017】
超電導マグネットを用いて均一磁場を発生させ、この空間内におかれた検査体の磁気共鳴現象を計測する核磁気共鳴装置システムにすることにより達成できる。
【0018】
本発明のMRI装置やNMR分析装置は、本発明の超電導マグネットを使用することで、また、組み合わせて使用することで、本発明の目的を達成した装置として提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外乱の侵入をシールドし、磁場の時間的な変動を抑制することにより、長時間にわたって高い信頼性を維持できる安価なMRI装置やNMR装置をはじめとする超電導マグネットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明では、第2の超電導コイルを輻射シールドの外側に巻き付けることで、大きく分けて2種類の効果が期待できる。
【0021】
1つめは、外部磁場変動シールドコイルとしての機能である。本発明における外部磁場変動シールドコイルは、精密な磁場分布や均一度の確保が必要とされる超電導マグネットに適用され、均一磁場の変化を抑制することが目的である。主に、MRI装置やNMR分析装置に使用される。特に、本発明においては、液体ヘリウム容器内に収納された主磁場を発生するコイルとは電気的に独立した、第2の超電導コイルを輻射シールドの外側に設けることが特徴である。主磁場を発生させる超電導コイルに対して、第2の超電導コイルは、電流容量が1/10〜1/100と非常に小さいために、電気的に独立した構造にする。
【0022】
2つめは、漏れ磁場シールドコイルとしての機能である。本発明における漏れ磁場シールドコイルは、主磁場を発生するコイルからの磁場の漏れを低減することが目的である。一般に、主磁場と逆方向の磁場を発生させるシールドコイルを磁石内部に配置して、外部への漏れ磁場をキャンセルさせる手法が採用されている。これも、主にMRI装置やNMR分析装置に適用される。
【0023】
外部磁場変動シールドコイルと異なる点は、液体ヘリウム容器の収納された主磁場を発生するコイルと超電導コイルを直列接続することである。これは、主磁場を発生させるコイルと第2の超電導コイルの電流容量を同じにする必要があるためであるが、この場合、主磁場を発生するコイルに使用した線材と、漏れ磁場シールドコイルに使用した線材とを低抵抗で接続する必要がある。従って、超電導接続が実現しない超電導線材は使用できない。
【0024】
第2の超電導コイルは、輻射シールドの外側に設置するが、仮にNbTi線を用いた場合、何らかの擾乱エネルギーが入った場合、超電導線がTc以上に上昇し、最悪のケースではクエンチに至る。このため、Tcが高い材料が必要とされる。いくつかの超電導材料の中でも、線材やコイルを作製する際の簡便性や、低抵抗接続のしやすさ等を考慮すると、MgB2 超電導体を使用することが最も効果的である。
【0025】
MgB2は、Tcが39Kであるため、仮に約35Kまで温度が上昇しても第2の超電導コイルに必要な性能は維持できることを発明者らは実験により確認している。
【0026】
本発明における第2の超電導コイルの類似コイルとして、シムコイルがある。シムコイルは、磁場均一度を向上させる目的で設置される磁場補正用コイルである。一般に歪んだ磁場を補正するため、静的なものといえる。これに対し、本発明の第2の超電導コイルは、時間的な磁場変動を分単位あるいは秒単位で抑制するため、動的なものであるといえる。以上のことから、第2の超電導コイルは、いわゆるシムコイルとは異なるものである。
【0027】
このように、本実施の形態のマグネットによれば、マグネットの設計や構造が容易になる。また、均一磁場が長時間維持されるという効果もあると考える。
【0028】
更に、低コストで効果を得ることができると考える。また、マグネット中心部の試料空間において、磁場均一度が乱れてしまうこともなく、外乱による磁場変動を解決することが可能となる。
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
図1は、本発明における超電導マグネットの概念図である。この図は、核磁気共鳴装置をイメージしたものを簡略化したものであるが、実際には必要な性能を得るために数多くの補正コイル等が設置されている。
【0031】
超電導マグネットの中心部には、均一磁場空間1がある。
【0032】
MRI装置の場合、人間が仰向けに寝た状態で撮像する必要があるので、人間の肩幅や腹部周りが通過できるような空間が設けられている。
【0033】
一方、NMR分析装置の場合、試料は試験管に入った溶液などであることから、磁場均一空間は通常、数mmから数cmである。
【0034】
主磁場を発生する超電導コイル3は、液体ヘリウム容器2に収納されている。
【0035】
また、主磁場を発生する超電導コイル3は、液体ヘリウム4に浸った状態で4.2K の温度に冷却されている。その外側には、輻射シールド5が置かれている。これらは、すべて真空断熱容器6内に収納されている。
【0036】
本発明の超電導コイル(以下、主磁場を発生する超電導コイル3と区別するため、「外部磁場変動シールドコイル」と呼称して説明する)7は、輻射シールド5の外側に巻回されている。コイルが巻回された位置の温度は、定常状態で25Kであった。本実施例では、外部磁場変動シールドコイル7には、MgB2 超電導線材8を使用した。線材をあらかじめ600℃で熱処理した後、線材表面をエナメルで絶縁処理した、直径0.8mm の
MgB2超電導線材8を輻射シールド5外面に接触させてリング状に10ターン巻きつけ、外部磁場変動シールドコイル7とした。このとき、侵入してくる外乱をシールドするため、主磁場を発生する超電導コイル3の上端より上部、及び下端より下部に設置した。
【0037】
外部磁場変動シールドコイル7は、主磁場を発生する超電導コイル3のコイル中心から、それぞれ0.5m 離れた位置に直接巻きつけた。その後、エポキシ系樹脂で外部磁場変動シールドコイル7を接着補強した。両コイルの巻き方向は、平行となる向きとした。巻き方向が異なると、本発明の特徴である外乱の抑制ができなくなるためである。実施例2にその検討結果を述べている。
【0038】
図2は、外部磁場変動シールドコイル7の接続部の回路模式図である。線材の先端部9と線材の後端部10は接続され、超電導ループを構成した。本実施例では、Pb−50Biハンダを用いて、接続部11を構成した。
【0039】
この接続部11はできる限り低抵抗が望ましいが、要求される抵抗値は、(1)回路全体におけるコイルのインダクタンスの大きさ、(2)回路全体の接続部を含んだ抵抗値、(3)どの程度の時間を定常状態で運転するか、で決まる。本実施例では、以上の3点を考慮し、10-11Ω 以下の抵抗となるように両端部を接続した。接続部11には、ヒーター線12を巻回している。
【0040】
超電導ループを有する外部磁場変動シールドコイル7は、図1に示すように、高さ方向に2つ配置した。コイルの通電電流は、そのときの設計仕様に応じて変動する。しかしながら、巻線の状態や設置する場所の精度はあまり重要ではなく、25%程度のずれであれば、問題が生じることはない。
【0041】
本実施例では、外部磁場変動シールドコイル7にMgB2線材を使用した。この線材の直径は0.8mm とした。図3に作製したMgB2 超電導線の断面模式図の一例を示す。
MgB2 超電導線材8の断面は、金属シース材13の中に超電導フィラメント14が充填又は内包されている。なお、断面の形状は、丸形状に限定されるものではなく、超電導マグネットとして要求される仕様を満足するものであれば、例えば扇形のようなものから、幅広の極薄テープまで様々な線材形状にしても差し支えない。
【0042】
主磁場を発生する超電導コイル3は、NbTi線を用いて作製した。線材の直径は1mmである。この線材を、コイル状に巻回することにより、外径1.0m,高さ2.0mの超電導コイルとした。必要な主磁場を得るための電流値(オペレーション電流)は400Aである。
【0043】
一方、外部磁場変動シールドコイル7は、MgB2 線を用いて作製した。線材の直径は0.8mm である。外部磁場の変動による均一磁場の変化を抑制するために必要なシールド電流はおよそ2Aである。以上のように、通電電流が異なるため、両者は電気回路が独立している必要がある。
【0044】
運転方法としては、以下である。
(1)主磁場を発生する超電導コイル3へ電流を通電し、磁場の上げ下げを行うときは、外部磁場変動シールドコイル7をヒーターで加熱して常電導(ノーマル)状態にする。
(2)主磁場を発生する超電導コイル3に400Aが供給され定常状態(静磁場)になったときは、外部磁場変動シールドコイル7の加熱を停止して超電導状態にする。
【0045】
このように、外部磁場変動シールドコイル7は、超電導状態と常電導状態との2つを切り替える必要があるため、接続部11にヒーター線12を巻回し、超電導状態にする場合はヒーターをOFF、常電導状態にする場合はヒーターをONする。
【0046】
上記(1) と(2) のようにして、主磁場を発生するコイルに400A通電し定常状態になった後、外部磁場変動シールドコイル7を超電導状態にした。そして、外部から0.8〜1.3ガル(cm/s2)の加速度を意図的に加えて外乱を与え、磁気変動を生じさせた。そして、そのときの磁場均一度を計測した。比較として、外部磁場変動シールドコイル7が超電導状態でない場合についても計測した。
【0047】
その結果を表1に示す。外部磁場変動シールドコイル7が超電導状態の場合は、外乱を与えても磁場均一度は0.01ppm以下であったが、外部磁場変動シールドコイル7に通電しない場合は磁場均一度が50ppm 以上であった。以上のように、外部磁場変動シールドコイル7を超電導状態として永久電流ループを形成することで、外乱に対しても磁場の均一度に影響を及ぼさないことを明らかとなった。
【0048】
【表1】


【0049】
また、本実施例は、外部磁場変動シールドコイル7を輻射シールド5に巻回する構成であるが、液体ヘリウム容器2の外壁に熱接触するように巻回した場合でも同様の効果が得られた。また主磁場を発生する超電導コイル3の外周に外部磁場変動シールドコイル7を巻回する場合は、液体ヘリウム容器2の内壁とのギャップが非常に狭いため、作業性が悪く歩留まりが50%程度であったが、輻射シールド5や液体ヘリウム容器2の外壁に巻回することにより、作業性が大幅に向上し、歩留まりも100%となった。
【0050】
(実施例2)
実施例1と同様に、図1に示すような構成の超電導マグネットにおいて、主磁場を発生する超電導コイル3の巻軸と外部磁場変動シールドコイル7の巻軸を、(1)平行にした場合と、(2)垂直にした場合について、外部から0.8 〜1.3ガル(cm/s2)となるように意図的に外乱を与えて、主磁場を発生する超電導コイル3の磁場均一度の変化を計測した。
【0051】
表2に外部磁場変動シールドコイルの磁場均一度を示す。
【0052】
【表2】


【0053】
以上のように、外乱で生じる変動磁場を抑制するためには、主磁場を発生する超電導コイル3の巻軸と外部磁場変動シールドコイル7の巻軸を平行にすることが必要であることを確認した。
【0054】
(実施例3)
実施例1と同様に、図1に示すような構成の超電導マグネットにおいて、主磁場を発生する超電導コイル3は液体ヘリウムで冷却し、外部磁場変動シールドコイル7は市販の
GM冷凍機で温度が8K〜35Kになるように冷却した。そして、外部から0.8〜1.3ガル(cm/s2)となるように、意図的に外乱を与えて、磁場均一度の変化を計測した。
【0055】
本実施例では、外部磁場変動シールドコイル7にNbTi線,Nb3Sn線,MgB2線,Y−123線,Bi−2212線を用いた場合について計測した。表3に冷凍機で外部磁場変動シールドコイル7の温度を変化させたときの磁場均一度を示す。
【0056】
以上のように、NbTi線では温度15K以上、Nb3Sn線では温度20K以上になると磁場均一度が急激に悪くなる。これは、各超電導材料のTcに依存する。すなわち、NbTi超電導体はTcが9.8K,Nb3Sn超電導体はTcが18Kであるため、外部の温度がTcを超えると、外乱からの磁場の変動を制御できなくなる。
【0057】
本実施例では、外部磁場変動シールドコイル7に上記5種の超電導体を用いたが、Y系,Bi系,Ti系,Hg系に代表される酸化物超電導体や、その他有機系超電導体などのTcが比較的高い各種超電導体を用いても同様の効果が得られる。しかしながら、GM冷凍機を用いて、35K以下の温度にする場合は、線材の製造コストや曲げ歪特性を考えると、MgB2超電導体を使用することが好適である。
【0058】
【表3】


【0059】
(実施例4)
図4は、本発明における超電導マグネットの概念図である。基本構成は図1と同様であるが、本実施例では外部磁場の変動を抑制するのではなく、主磁場を発生する超電導コイル33からの漏れ磁場を低減する目的の超電導マグネットである。この図もMRI装置やNMR分析装置の簡略図であるが、実際には必要な性能を得るために数多くの補正コイル等が設置されており、非常に複雑な構成を有している。
【0060】
超電導マグネットの中心部には、均一磁場空間31がある。液体ヘリウム容器32に収納された主磁場を発生する超電導コイル33から構成される。主磁場を発生する超電導コイル33は、液体ヘリウム34に浸かった状態で4.2K の温度に冷却されている。その外側には、輻射シールド35が置かれている。これらは、すべて真空断熱容器36内に収納されている。
【0061】
本発明の漏れ磁場シールド超電導コイル37は、液体ヘリウム容器32の外壁の外側に巻回されている。コイルが巻回された位置の温度は、定常状態で6.5K であった。本実施例では、漏れ磁場シールド超電導コイル37には、MgB2 超電導線材38を使用した。
【0062】
線材をあらかじめ700℃で熱処理した後、線材表面をエナメルで絶縁処理した、直径1.6mm のMgB2 超電導線材38を液体ヘリウム容器32の外壁に熱接触させてリング状に3ターン巻きつけた。
【0063】
漏れ磁場シールド超電導コイル37は、主磁場を発生する超電導コイル33のコイル中心から、それぞれ0.5m 離れた位置の液体ヘリウム容器32の外壁に直接巻きつけた。その後、エポキシ系樹脂で漏れ磁場シールド超電導コイル37を含浸補強した。
【0064】
図5は、漏れ磁場シールドコイル磁場の接続部の回路図である。漏れ磁場シールド超電導コイル37を作製した線材の先端部40と主磁場を発生する超電導コイル33を作製した線材の先端部41、及び漏れ磁場シールド超電導コイル37を作製した線材の後端部
42と主磁場を発生する超電導コイル33を作製した線材の後端43を、それぞれ低抵抗となるように接続し、接続部39を構成した。
【0065】
主磁場を発生する超電導コイル33は、NbTi線を用いて作製した。線材の直径は
1.1mm である。この線材を、コイル状に巻回することにより、外径1m,高さ2mの超電導コイルとした。必要な主磁場を得るための電流値(オペレーション電流)は400Aである。一方、漏れ磁場シールド超電導コイル37は、MgB2 線を用いて作製した。線材の直径は1.6mm である。主磁場を発生する超電導コイル33と漏れ磁場シールド超電導コイル37は、直列に接続されているため、シールド電流として400A通電されている。
【0066】
上記のようにして、400Aの通電を行って定常状態になった後、外部への漏れ磁場を計測した。比較として、漏れ磁場シールド超電導コイル37を設置しない場合についても計測した。計測箇所は、超電導マグネットの真空断熱容器36の下端から50cmの位置である。
【0067】
その結果を表4に示す。漏れ磁場シールド超電導コイル37を設置した場合は、漏れ磁場が5ガウス以下であったが、漏れ磁場シールド超電導コイル37を設置しない場合は、漏れ磁場が300ガウス以上であった。
【0068】
以上のように、本実施例のように、主磁場を発生する超電導コイル33と、漏れ磁場シールド超電導コイル37を直列接続することで、漏れ磁場が大幅に低減できることを明らかにした。
【0069】
本実施例では、漏れ磁場シールド超電導コイル37にMgB2超電導体を適用したが、Y系,Bi系,Tl系,Hg系に代表される酸化物超電導体や、その他有機系超電導体などのTcが比較的高い各種超電導体を用いても同様の効果が得られる。しかしながら、
35K以下の温度で使用可能な場合は、線材の製造コストや曲げ歪特性を考えると、
MgB2超電導体を使用することが好適である。
【0070】
また、漏れ磁場シールド超電導コイル37を輻射シールド35に巻回した場合でも同様の効果が得られることを発明者らは実験によって確認した。
【0071】
【表4】


【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明における超電導マグネットの概念図。
【図2】外部磁場変動シールドコイルの接続部の回路模式図。
【図3】超電導線材の断面模式図。
【図4】本発明における超電導マグネットの概念図。
【図5】漏れ磁場シールドコイルの接続部の回路図。
【符号の説明】
【0073】
1,31…均一磁場空間、2,32…液体ヘリウム容器、3,33…主磁場を発生する超電導コイル、4,34…液体ヘリウム、5,35…輻射シールド、6,36…真空断熱容器、7…外部磁場変動シールドコイル、8,38…MgB2 超電導線材、9,10…外部磁場変動シールドコイルの線材先端側、11,39…接続部、12…ヒーター線、13…金属シース材、14…超電導フィラメント、37…漏れ磁場シールド超電導コイル、
40…漏れ磁場シールドコイルの線材先端部、41…主磁場を発生する超電導コイルの線材先端部、42…漏れ磁場シールドコイルの線材後端部、43…主磁場を発生する超電導コイルの線材後端部。




 

 


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