米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 医学 -> アロカ株式会社

発明の名称 超音波手術装置および振動吸収具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−144012(P2007−144012A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−345099(P2005−345099)
出願日 平成17年11月30日(2005.11.30)
代理人 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
発明者 小倉 玄 / 秋保 昌宏
要約 課題
より簡易に不要振動を低減または抑止でき得る超音波手術装置を提供する。

解決手段
振動吸収具42は、ホーン40のうち、所望の振動である振動の節部に相当する位置に装着される。振動吸収具42は、振動の節部におけるホーン40の外表面を押さえる弾性環体52と、ホーン40の外周面との間に間隙を介した状態で配されるとともに弾性環体52の外周面に当接する剛性筒体50と、を備える。この振動吸収具42は、いわゆるバランサーとして機能し、不要振動である横振動を吸収する。
特許請求の範囲
【請求項1】
後端側に設けられた振動発生源で発生させた所望の振動を、先端側の処置部に伝達する振動伝達部材と、
振動伝達部材のうち所望の振動の節部に相当する位置に設けられ、当該振動伝達部材に生じる不要振動を吸収する振動吸収部材と、
を備え、
振動吸収部材は、
弾性材料からなり、所望の振動の節部に相当する位置において、当該振動伝達部材の外周面を押さえる弾性部材と、
剛性材料からなり、振動伝達部材の外周面との間に間隙を介した状態で配されるとともに弾性部材の外周面に当接する剛性部材と、
を有することを特徴とする超音波手術装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波手術装置であって、さらに、
振動伝達部材の外周面および剛性部材の外周面との間に間隙を介した状態で、振動伝達部材をほぼ全長に亘って覆うカバー体を有することを特徴とする超音波手術装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波手術装置であって、
剛性材料とカバー体との間には、カバー体の内部空間における振動伝達部材の位置を規制するための位置規制部材が設けられることを特徴とする超音波手術装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波手術装置であって、
位置規制部材は、剛性部材の外周面に複数設けられ、カバー体の内周面に当接する凸部であることを特徴とする超音波手術装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波手術装置であって、
振動伝達部材の外周面には、弾性部材の位置を固定する凸部または凹部が形成されることを特徴とする超音波手術装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波手術装置であって、
振動伝達部材の外周面には、剛性部材の位置を固定する凸部または凹部が外周面に形成されており、
剛性部材の内周面には、前記剛性部材の位置を固定する凸部または凹部に対応する、凹部または凸部が形成されていることを特徴とする超音波手術装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波手術装置であって、
弾性部材は、切欠部を有する第一弾性部材を含み、
剛性部材は、その端部が前記切欠部に嵌合されることで位置固定されることを特徴とする超音波手術装置。
【請求項8】
請求項7に記載の超音波手術装置であって、
振動伝達部材は、節部が小径となるように節部近傍に段付部が形成されており、
剛性部材は、一端が前記切欠部に嵌合し、他端が前記段付部に当接することで位置固定されることを特徴とする超音波手術装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の超音波手術装置であって、
振動伝達部材が屈曲している場合、
当該屈曲箇所は所望の振動の節部より後端側に設けられることを特徴とする超音波手術装置。
【請求項10】
超音波手術装置の振動伝達部材に生じる不要振動を吸収する振動吸収具であって、
弾性材料からなり、所望の振動の節部に相当する位置において、当該振動伝達部材の外周面を押さえる弾性部材と、
剛性材料からなり、振動伝達部材の外周面との間に間隙を介した状態で配されるとともに弾性部材の外周面に当接する剛性部材と、
を有することを特徴とする振動吸収具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて手術部位の組織の破砕等を行う超音波手術装置、および、当該超音波手術装置の振動伝達部材に発生する不要振動を吸収する振動吸収具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から超音波振動を利用して生体組織を切開・破砕するための超音波手術装置が広く知られている。超音波手術装置は、超音波振動子を備えた振動発生部と、当該振動発生部に接続された細く長い振動伝達部材と、を備えている。振動発生部は、ケース等で覆われ、使用者が把持する把持部となる。振動伝達部材は、後端に接続された振動発生部において発生した所定の振動を先端側まで伝達する。そして、この振動伝達部材の先端部が、生体組織の切開・破砕等を行う処置部となる。
【0003】
かかる超音波手術装置では、所望の振動のみが振動伝達部材の処置部に伝達されることが望ましい。しかしながら、伝達の初期または過程において、所望の振動以外の振動、すなわち、不要振動が発生する場合が多い。特に、手術視野確保のために、振動伝達部材を屈曲させた場合には不要振動が発生しやすい。
【0004】
このような不要振動は、所望の振動の伝達効率低下の原因となる。そのため、従来から不要振動を低減または抑止するための技術が多数提案されている。例えば、特許文献1には、振動伝達部材の内部であって、所望振動の節部に相当する位置に振動減衰部材を配する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、振動伝達部材のほぼ全長を覆シースを設け、当該シースの内周面に、振動伝達部材の所望振動の節部に相当する位置を押さえるための凸部を形成する技術が開示されている。この特許文献2には、シースを、ステンレス鋼の外層と、シリコーンやテフロン(登録商標)のような低摩擦係数の材料製の内層と、から成る複合層で形成することが記載されている。
【0006】
また、特許文献3,4には、不要振動の腹部分に相当する位置に何らかの制振部材を設ける技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−143772号公報
【特許文献2】特表平8−509628号公報
【特許文献3】特開2002−143772号公報
【特許文献4】特開2005−103015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これら従来技術では、現実の実施が困難であったり、超音波手術装置の機能低減が余儀なくされるなどの問題があった。例えば、特許文献1に記載の技術では、不要振動を低減できる反面、破砕組織の吸引が出来なくなるという問題がある。すなわち、管状部材である振動伝達部材の内部空間は、破砕した組織を吸引するための吸引路として機能する。かかる振動伝達部材の内部空間内に振動減衰部材を設けることは、組織吸引を阻害することになり、超音波手術装置の機能を低減させる。
【0009】
特許文献2に記載の技術によれば、振動伝達部材の外部を押さえているため、振動伝達部の内部空間を利用して組織吸引を図ることができる。しかし、この技術では、シースと振動伝達部材との間の空間が凸部によって分断されることになり、当該空間を利用した生理用食塩水等の洗浄液を供給することができないという問題がある。また、振動伝達部材が途中で屈曲している場合には、既述のシースを製作することは困難であるという問題もあった。さらに、特許文献3,4に記載されている技術では、不要振動の腹部を特定することが困難という問題がある。
【0010】
そこで、本発明では、より簡易に不要振動を低減または抑止でき得る超音波手術装置および振動吸収具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の超音波手術装置は、後端側に設けられた振動発生源で発生させた所望の振動を、先端側の処置部に伝達する振動伝達部材と、振動伝達部材のうち所望の振動の節部に相当する位置に設けられ、当該振動伝達部材に生じる不要振動を吸収する振動吸収部材と、を備え、振動吸収部材は、弾性材料からなり、所望の振動の節部に相当する位置において、当該振動伝達部材の外周面を押さえる弾性部材と、剛性材料からなり、振動伝達部材の外周面との間に間隙を介した状態で配されるとともに弾性部材の外周面に当接する剛性部材と、を有することを特徴とする。
【0012】
好適な態様では、さらに、振動伝達部材の外周面および剛性部材の外周面との間に間隙を介した状態で、振動伝達部材をほぼ全長に亘って覆うカバー体を有する。この場合、剛性部材とカバー体との間には、カバー体の内部空間における振動伝達部材の位置を規制するための位置規制部材が設けられることが望ましい。そして、位置規制部材は、剛性部材の外周面に複数設けられ、カバー体の内周面に当接する凸部であることが望ましい。
【0013】
他の好適な態様では、振動伝達部材の外周面には、弾性部材の位置を固定する凸部または凹部が形成される。他の好適な態様では、振動伝達部材の外周面には、剛性部材の位置を固定する凸部または凹部が外周面に形成されており、剛性部材の内周面には、前記剛性部材の位置を固定する凸部または凹部に対応する、凹部または凸部が形成される。
【0014】
他の好適な態様では、弾性部材は、切欠部を有する第一弾性部材を含み、剛性部材は、その端部が切欠部に嵌合されることで位置固定される。この場合、振動伝達部材は、節部が小径となるように節部近傍に段付部が形成されており、剛性部材は、一端が前記切欠部に嵌合し、他端が前記段付部に当接することで位置固定される。
【0015】
振動伝達部材が屈曲している場合、当該屈曲箇所は所望の振動の節部より後端側に設けられることが望ましい。
【0016】
他の本発明である振動吸収具は、超音波手術装置の振動伝達部材に生じる不要振動を吸収する振動吸収具であって、弾性材料からなり、所望の振動の節部に相当する位置において、当該振動伝達部材の外周面を押さえる弾性部材と、剛性材料からなり、振動伝達部材の外周面との間に間隙を介した状態で配されるとともに弾性部材の外周面に当接する剛性部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、振動伝達部材に直接接触する弾性部材と、振動伝達部材に直接接触しない剛性部材がバランサーとして機能し、不要振動を吸収する。したがって、簡易な構成で不要振動を低減または抑止でき得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である超音波手術装置10の概略構成図である。また、図2は、この超音波手術装置の主要構成要素であるハンドピース12の側面図である。
【0019】
この超音波手術装置10は、ハンドピース12の内部に設けられた超音波振動子で縦振動を発生させる。この縦振動は、振動伝達部材であるホーン40の先端部まで伝達され、そして、この先端部に伝達された縦振動により生体組織の切開や破砕を行う。ホーン40は、後に詳説するように中空の細長い管体である。そして、このホーン40の内部空間は、破砕した組織等を吸引するための吸引路となる。
【0020】
すなわち、ホーン40は、ハンドピース12の後端に接続された吸引用チューブ34を介して吸引ポンプ24に接続されており、当該吸引ポンプ24により破砕した組織等の吸引が実現される。この吸引の際の圧力は圧力制御機構22でモニタリングされている。圧力制御機構22はモニタリングした圧力値等に応じて適宜、吸引ポンプ24の駆動を制御する。吸引された組織等は、吸引物容器20に蓄積される。
【0021】
図2に示すように、ホーン40は、当該ホーン40より大径の管体であるホーンカバー38により覆われている。このホーンカバー38とホーン40との間に、生じる間隙は、生理用食塩水等の洗浄液を手術部位に供給するための供給路として機能する。
【0022】
すなわち、ホーンカバー38とホーン40との間隙には、洗浄液を供給するための供給用チューブ32が接続されている。この供給用チューブ32の他端は、洗浄液が貯蔵されたタンク14に接続されている。洗浄液は、洗浄ポンプ16で汲み上げられ、供給用チューブ32を介して、ホーン40とホーンカバー38の隙間へと供給される。ポンプ制御回路18は、適宜、所望量の洗浄液が供給できるよう、洗浄ポンプ16の駆動を制御する。供給された洗浄液は、さらに、ホーン40とホーンカバー38の間隙を通じて、ホーン40の先端部近傍から外部に流出する。
【0023】
つまり、本実施形態の超音波手術装置10は、超音波振動子で発生させた縦振動を利用して生体組織の切開や破砕を行うと同時に、洗浄液の供給、破砕組織の吸引が行うことが出来るようになっている。
【0024】
次に、図2を参照して、ハンドピース12の構成について詳説する。ハンドピース12は、本体部29と伝達部35に大別される。本体部29は、縦振動の発生源である超音波振動子と、当該超音波振動子の駆動制御を行う制御回路(ともに図示せず)と、を備えている。超音波振動子および制御回路は、ケース30の内部に収容されている。操作者は、この本体部29を把持して、超音波手術を実行する。すなわち、本体部29は、操作者が把持する把持部としても機能する。
【0025】
伝達部35において、ホーン40は、超音波振動子で発生した縦振動を伝達する伝達部材として機能しており、その先端部は生体組織の破砕や切開を行う処置部となる。縦振動は、このホーン40を伝達する過程で徐々に増幅され、ホーン40の先端部では、生体組織の破砕等に十分なパワーになる。
【0026】
本実施形態のホーン40は、図2から明らかなように、所定角度の屈曲が施されている。かかる屈曲により、手術時の視野が十分確保でき、操作性をより向上することができる。一方で、かかる屈曲を施すことにより、所望の振動以外の振動、具体的には、横振動が発生しやすくなることが知られている。不要な振動である横振動が発生した場合、超音波振動子からの超音波振動(縦振動)の手術部位への伝達効率の低下を招き、ひいては、過度の電力消費等の問題を招く。
【0027】
そこで、本実施形態では、不要振動を低減または抑止するために、振動吸収具42をホーン40に取り付けている。振動吸収具42は、後に詳説するが、ホーン40の縦振動の節部に相当する位置に取り付けられる。この振動吸収具42は、ホーンカバー38の内径に比して小径である。したがって、洗浄液を供給するための供給路としての空間は確実に確保されるようになっている。
【0028】
既述したようにホーンカバー38は、ホーン40の外径より大径の管体であり、ホーン40をほぼ全長にわたって覆っている。ただし、処置部であるホーン40の先端部はホーンカバー38から突出できるような長さに設計されている。このホーンカバー38も、ホーン40の屈曲に応じた屈曲が施されている。
【0029】
次に、振動吸収具42の取り付け位置について図3を用いて説明する。図3は、ホーン40における振動吸収具42の装着位置を示す図であり、図3の下段には縦振動(所望の振動)の振幅を模式的に図示している。図3から明らかなように、ホーン40の後端に伝達された縦振動は、振幅が0となる節部Cを通過した後、ホーン40の先端部40bで振幅最大(振幅の腹部)となる。振動吸収具42は、この縦振動の節部Cに相当する位置に設けられている。縦振動の節部Cに振動吸収具42を設けることにより、所望の振動である縦振動に影響を与えることなく、不要な振動である横振動を低減または抑止できる。なお、この節部Cは、ホーン40の屈曲箇所より先端側になるように設計されている。
【0030】
次に、振動吸収具42の構成について図4を用いて説明する。図4は、図3におけるY−Y断面図である。振動吸収具42は、ホーン40の外表面に圧着された環状の弾性環体52と、当該弾性環体52を覆う筒状の剛性筒体50と、を備えている。弾性環体52は、具体的には、Oリング等のゴム製のリングである。この弾性環体52は、ホーン40の振動の節部Cに相当する位置を押さえるように40の外周に圧着されている。本実施形態では、弾性環体52は、二つ設けられており、振動の節部Cを中心として長軸方向に一定の距離をおいて配置されている。ただし、この弾性環体52の数は特に限定されるものではなく、一つ、または、三つ以上であってもよい。また、図示例では、弾性環体52の断面形状は円形となっているが、他の形状、例えば、矩形状やL字形状等でもよい。
【0031】
なお、既述の弾性環体52の配置位置において、ホーン40の外周面には、当該弾性環体52の位置を固定するための凹部56が形成されている。弾性環体52は、この凹部56に配置されることで、その位置ずれが防止される。
【0032】
剛性筒体50は、この二つの弾性環体52を覆うことができる大きさの筒状部材である。この剛性筒体50は、弾性環体52に比して剛性のある材料、例えば、樹脂や金属等からなる。この剛性筒体50の内径は、弾性環体52の外径に比して僅かに小さく、かつ、ホーン40の外径に比して十分に大きい。したがって、当該剛性筒体50をホーン40の振動の節部Cに相当する位置まで挿通させた場合、剛性筒体50は、弾性環体52に密着する一方で、ホーン40の外表面との間には一定の間隙が生じる。換言すれば、剛性筒体50は、弾性環体52には当接するが、ホーン40には当接しない状態で維持される。
【0033】
以上のような構成の振動吸収具42をホーン40の振動の節部Cに相当する位置に設けることで不要な振動である横振動が大幅に低減または抑止される。すなわち、ホーン40に圧着された弾性環体52およびホーン40に接触しない剛性筒体50は、バランサーとして機能し、ホーン40の縦振動の節部Cが静止するべく、不要振動である横振動を吸収する。その結果、所望の振動である縦振動の伝達効率を向上でき、生体組織の破砕や切開の効率を向上できる。
【0034】
また、このとき、剛性筒体50の外径は、ホーンカバー38の内径より小径である。したがって、ホーンカバー38と剛性筒体50との間に間隙を確保することができ、当該間隙を利用した洗浄液の供給が可能となる。
【0035】
ここで、この振動吸収具42は、ホーン40の先端部40bから節部Cに相当する位置まで挿通されることによりホーン40に装着される。このとき、既述したように節部Cは、ホーン40の屈曲箇所より先端側に位置するように設計されている。そのため、振動吸収具42の装着の過程で、剛性筒体50が屈曲箇所を通過することがない。その結果、剛性筒体50の内径を小さくすることができる。すなわち、屈曲箇所が節部Cより先端側に位置した場合、振動吸収具42の装着の過程で、剛性筒体50が屈曲箇所を通過することになる。この場合、屈曲箇所を通過でき得る程度に剛性筒体50を大径にする必要がある。その結果、洗浄液の供給路となる剛性筒体50とホーンカバー38との隙間が十分確保できなかったり、伝達部35全体が大径となり手術視野が制限されるなどの問題が生じる。一方、本実施形態のように節部Cを屈曲箇所より先端側に設定することにより、屈曲箇所を経由することなく、振動吸収具42を節部Cに到達させることができる。その結果、伝達部35全体の更なる小径化、十分な洗浄液供給路の確保が図れる。
【0036】
以上の説明から明らかなように本実施形態によれば、超音波手術装置10の機能低下を招くことなく、伝達部材であるホーン40に生じる不要な振動をより確実に低減または抑止できる。
【0037】
次に、第二実施形態について図5を用いて説明する。図5は、振動吸収具42のみ断面図示した振動の節部C近傍におけるホーン40の側面図である。この実施形態では、上述の実施形態と同様に、ホーン40の振動の節部C近傍には、弾性環体52の位置を固定するための第一凹部56が形成されている。この第一凹部56にOリングである弾性環体52が配置されることで、弾性環体52の位置が固定される。
【0038】
また、ホーン40には、さらに、剛性筒体50の位置を固定するための第二凹部60も形成されている。この第二凹部60は、弾性環体52の配置位置より先端側に設けられている。また、この第二凹部60の前後には、外径が所定の大きさφbとなる部分である平坦部61が設けられている。
【0039】
一方、剛性筒体50の内面には、第二凹部60に対向配置される突起部62が形成されている。この突起部62における剛性筒体50の内径φcは、第二凹部60におけるホーン40の外径φaより大きい。したがって、突起部62と第二凹部60とを対向配置させた場合、両者の間には、間隙が形成される。また、この突起部62における剛性筒体50の内径φcと、平坦部61におけるホーン40の外径φbと、の差は一般的な軸の嵌め合い量程度となっている。したがって、先端側からホーン40に挿通された剛性筒体50は、この僅かな嵌め合い量を利用することにより、突起部62が第二凹部60に対向する位置まで至ることができる。そして、嵌め合い量を利用して突起部62が第二凹部60に対向する位置まで至った剛性筒体50は、当該位置に規制される。なお、図5に図示するように、平坦部61より先端側の位置にテーパー等を形成することにより、平坦部61の直前までのホーン40の外径φdは、突起部62における剛性筒体50の内径φcより十分に小径としておくことが望ましい。また、本実施形態とは逆に、ホーンの外表面に突起部を、剛性筒体の内表面に凹部を設けて、剛性筒体の位置規制、脱落防止を図ってもよい。
【0040】
なお、本実施形態において、剛性筒体50の材質は、ステンレスやチタン等の金属または樹脂が用いられており、その内径は4.7mm、突起部62における内径φcは約4.2mmである。また、弾性環体52の材質は、フッ素ゴムやシリコン等が用いられ、その内径は3.0mm、断面の径は0.8mm(したがって、弾性環体52の外径は4.6mm)である。また、ホーン40の第二凹部60の外径φaは3.8mm、第二凹部60の前後における外径φbは約4.2mmであり、平坦部61の直前までのホーン40の外径φdは3.0mmである。また、凹部56における外径は約3.4mm(凹部56のへこみの深さは約0.4mm)であり、弾性環体52の内径(3.0mm)より僅かに大きい。かかる凹部56に配された弾性環体52は、その内径が広がる方向に弾性変形するとともに、その際生じる弾性復元力によりホーン40の外表面に密着する。なお、ここで記載した各部の材質および寸法は一例であり、適宜、変更可能である。
【0041】
この実施形態においても、弾性環体52および剛性筒体50から構成される振動吸収具42は、バランサーとして機能し、ホーン40に生じる不要振動を十分に低減または抑止できる。また、その際、洗浄液供給等の機能を阻害しない。さらに、本実施形態によれば、剛性筒体50の位置固定用の第二凹部60および突起部62が設けられているため、剛性筒体50の位置ずれが防止され、常に、不要振動低減、抑止が図れる。
【0042】
次に、第三実施形態について図6を用いて説明する。図6の(A)は、第三実施形態における剛性筒体50の概略斜視図であり、(B)は振動の節部C近傍における伝達部35の横断面図である。
【0043】
この実施形態において、振動吸収具42の剛性筒体50は、その外面に複数の突起である位置規制部64が形成されている。この複数の位置規制部64は、全て、均一の高さである。この位置規制部64の先端から剛性筒体50の中心までの距離は、ホーンカバー38の内半径とほぼ同じである。したがって、当該剛性筒体50ごとホーン40をホーンカバー38で覆うと、図6(B)に図示するとおり、位置規制部64の先端面は、ホーンカバー38の内周面に接触する。その結果、剛性筒体50やホーン40等に対するホーンカバー38の位置が規制されることになり、ホーンカバー38は、常にホーン40に対して同心円上に位置することになる。そして、これにより、ホーン40とホーンカバー38との間隙が一定となり、より安定した洗浄液の供給が可能となる。
【0044】
次に、第四実施形態について図7を用いて説明する。図7は、第四実施形態における振動の節部C近傍におけるホーン40の側面図である。図7において、振動吸収具42は、断面図示されている。
【0045】
一般に、節部Cにおいてホーン40を小径とすることにより、縦振動の振幅の増幅率を向上できることが知られている。そこで、本実施形態では、振動の節部Cより後端側において、ホーン40にテーパー65を形成し、縦振動の節部Cにおけるホーン40の外径を小さくし、振幅増幅率を向上している。また、振動の節部Cにおけるホーン40の外径を小さくすることにより、当該位置に配される剛性筒体50、ひいては、ホーンカバー38の更なる小径化を図っている。
【0046】
ここで、節部Cにおけるホーン外径を小さくした場合、図5の図示例のように、凹部56,60をホーン40の外表面に設けることは困難になる。そこで、本実施形態では、ホーン外表面に凸部70を形成し、これより後端側に配された先端側弾性環体52aの位置を規制している。
【0047】
この先端側弾性環体52aは、剛性筒体50を嵌合させるための切欠部53が外周に沿って形成されており、断面形状が略L字形状となっている。このとき、剛性筒体50のうち、ホーン40の先端側の端部は当該切欠部53に嵌合され、これにより剛性筒体50の位置が固定される。
【0048】
後端側には、上述の実施形態と同様、断面円形の弾性環体50b、例えばOリング等が設けられる。そして、剛性筒体50の後端部は、この後端側弾性環体52bの上面に密着配置される。
【0049】
この振動吸収具42をホーン40に装着する手順について簡単に説明する。振動吸収具42をホーン40に装着する場合は、まず、後端側弾性環体52bを、ホーン40の先端からくぐらせて、凸部70から所定距離、後端側に離れた位置(図7におけるテーパ部65の直前位置)まで移動させる。このとき、後端側弾性環体52bの内径は、ホーン40の外径より小さいが、後端側弾性環体52bはその内径を広げるべく弾性変形するため、若干の力を加えることで、後端側弾性環体52bを既述の位置まで移動させることができる。なお、凸部70を通過させる際には、後端側弾性環体52bにやや大きめの力を加えて、大幅に弾性変形させる。凸部70から所定距離離れた位置に到達した後端側弾性環体52bは、弾性変形によりその内形が広がっており、その際に生じる弾性復元力によりホーン40の外表面に密着する。
【0050】
続いて、先端側弾性環体52aをホーン40の先端からくぐらせて、凸部70のホーン40後端寄りの段付部分まで移動させる。この場合も、先端側弾性環体52aの内径は、ホーン40の外径より小さいが、先端側弾性環体52aはその内径を広げるべく弾性変形するため、若干の力を加えることで、先端側弾性環体52aを既述の位置まで移動させることができる。また、先端側弾性環体52aも凸部70を通過させる必要があるが、先端側弾性環体52aにやや大きめの力を加えて大幅に弾性変形させることで凸部70を通過させることができる。
【0051】
最後に、剛性筒体50をホーン40の先端からくぐらせて節部近傍まで移動させ、その先端側部端部を先端側弾性環体52aの切欠部53に嵌合させる。このとき、剛性筒体50の内径は、ホーン40の凸部70より大きく形成されているので、当該凸部70を容易に通過できる。また、先端側弾性環体52aおよび後端側弾性環体52bの外径は剛性筒体50の内径より大きいが、これら弾性環体52a,52bは剛性筒体50の内径に応じて、適宜、その外径が小さくなるように弾性変形する。そのため、剛性筒体50を切欠部53に嵌合でき得る位置まで移動させることができる。そして、剛性筒体50の先端側の端部を先端側弾性環体52aの切欠部53に嵌合させれば、振動吸収具42の装着が完了となる。
【0052】
なお、この装着手順によれば、簡易に各部材を装着できる一方で、剛性筒体50の通過に伴い、摩擦力によって弾性環体52a,52bが共に移動し、当初の装着位置からずれるおそれがある。そこで、まず最初に剛性筒体50を装着し、その後に、弾性環体52a,52bを装着させてもよい。すなわち、まず、剛性筒体50をホーン40の先端からくぐらせて節部近傍まで移動させ、次に後端側弾性環体52bを凸部70を通過させ、さらに、剛性筒体50とホーン40との隙間を通し、凸部70から所定距離離れた位置にまで移動させて剛性筒体50に密着させる。最後に、先端側弾性環体52aを凸部70のホーン40の後端寄りの段付部分まで移動させ、切欠部53に剛性筒体50の先端部を嵌合させることで振動吸収具42の装着が完了する。この装着手順によれば、剛性筒体50を通過させた後に弾性環体52a,52bを装着しているため、剛性筒体50の通過に伴う弾性環体52a,52bの装着位置ずれを防止できる。
【0053】
以上のとおり、本実施形態では、ホーン40の外表面に形成された凸部を利用して弾性環体の位置固定を図っている。これにより、ホーン40の更なる小径化が可能となるため、縦振動の振幅増幅率の向上、伝達部35全体の更なる小径化が可能となる。また、弾性環体52の切欠部53を利用して剛性筒体の脱落を防止している。換言すれば、ホーン40に凹部等を形成しなくても、弾性環体52の脱落を防止できる。その結果、ホーン40の更なる小径化、製作容易化が可能となる。さらに、本実施形態でも、振動吸収具42は、バランサーとして機能し、不要振動の低減または抑止ができる。
【0054】
次に、第五実施形態について図8を用いて説明する。図8は節部C周辺のホーン40の側面図である。この図8において、振動吸収具42は断面図示している。この実施形態では、弾性環体52の数を一つとし、この単一の弾性環体52を振動の節部Cに相当する位置に密着配置させている。この単一の弾性環体52は、図7に図示した弾性環体52aと同じく、断面略L字状であり、ホーン40に形成された凸部70によって位置固定が図られている。
【0055】
また、振動の節部Cにおけるホーン40の外径を小さくするため、振動の節部Cより後端側において、ホーン40に段付部72が形成されている。この段付部72は、弾性環体52の配置位置までの距離が剛性筒体50の長さより僅かに小さくなるような位置に形成される。換言すれば、剛性筒体50の長さは、弾性環体52から段付部72までの距離より僅かに長くなる。かかる剛性筒体50を、弾性環体52と段付部72との間に配置した場合、剛性筒体50の後端部は段付部72に当接し、先端部は弾性環体52の切欠部53に嵌合される。このとき、剛性筒体50は、弾性環体52の弾性力により、後端側方向に押圧された状態となる。この押圧力により、剛性筒体50は、後端部が段付部72に当接し、ホーン40の外周面との間に一定の間隔を保った状態で位置固定される。その結果、剛性筒体50および弾性環体52からなる振動吸収具42は、バランサーとして機能することができ、確実に不要振動を低減または抑止できる。また、剛性筒体50および弾性環体52の脱落も防止される。
【0056】
さらに、本実施形態のように、弾性環体52を単一とした場合、縦振動の節部Cだけを確実に押さえることができ、所望の振動である縦振動の減衰を最小限にすることができる。すなわち、二以上の弾性環体を用いる実施形態では、振動の節部Cだけを押さえることは困難であり、僅かながら、所望の振動である縦振動の減衰も招いていた。これに対して、本実施形態では、振動の節部Cだけを押さえることができるので、縦振動の伝達効率をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第一実施形態である超音波手術装置の概略構成図である。
【図2】ハンドピースの側面図である。
【図3】伝達部の側面図および縦振動の振幅を示す図である。
【図4】振動の節部C近傍でのホーンの側面図である。
【図5】第二実施形態における振動の節部C近傍でのホーンの側面図である。
【図6】(A)は第三実施形態における剛性筒体の斜視図であり、(B)は振動の節部C近傍での伝達部の横断面図である。
【図7】第四実施形態における振動の節部C近傍でのホーンの側面図である。
【図8】第五実施形態における振動の節部C近傍でのホーンの側面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 超音波手術装置、12 ハンドピース、14 タンク、16 洗浄ポンプ、18 ポンプ制御回路、20 吸引物容器、22 圧力制御機構、24 吸引ポンプ、29 本体部、30 ケース、32,34 チューブ、35 伝達部、38 ホーンカバー、40 ホーン、42 振動吸収具、50 剛性筒体、52 弾性環体、56,60 凹部、62 突起部、64 位置規制部。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013