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発明の名称 超音波診断装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−14456(P2007−14456A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197342(P2005−197342)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
発明者 長崎 勝彦
要約 課題
連続波ドプラモードにおいて、ディレイラインを用いることなく小さな回路規模で受信信号の整相加算を行う。

解決手段
受信振動素子列14から出力されたm個の受信信号はクロスポイントスイッチ24においてn個のグループ受信信号にグルーピングされる。各グループ受信信号ごとに直交検波器32において直交検波処理が実行される。各直交検波器32に与える参照信号の位相φを適宜設定することによりn段階の遅延処理を行うことができる。遅延処理後のn個のグループ受信信号は加算器44,46を経てFFT解析部48に入力される。n個のグループ受信信号に対して中間周波数への変換処理を実行し、その後に直交検波処理を行うようにしてもよい。
特許請求の範囲
【請求項1】
連続波ドプラモードにおいて、受信用のm個の振動素子からm個の受信信号を出力するアレイ振動子と、
前記m個の受信信号が入力され、それらをn(但しn<m)段階の遅延量に対応するn個のグループに振り分けて、グループごとに信号加算を行うことにより、n個のグループ受信信号を出力するグルーピング回路と、
前記n個のグループ受信信号と、前記n段階の遅延量に対応するn段階の位相差関係を有するn個の参照信号と、を乗算することにより、遅延処理されたn個のグループ受信信号を出力する遅延処理部と、
前記遅延処理されたn個のグループ受信信号を加算することにより、整相加算後の受信信号を出力する加算部と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
連続波ドプラモードにおいて、受信用のm個の振動素子からm個の受信信号を出力するアレイ振動子と、
前記m個の受信信号が入力され、それらをn(但しn<m)段階の遅延量に対応するn個のグループに振り分けて、グループごとに信号加算を行うことにより、n個のグループ受信信号を出力するグルーピング回路と、
前記n個のグループ受信信号と、前記n段階の遅延量に対応するn段階の位相差関係を有するn個の複素参照信号と、を乗算することにより、遅延処理されたn個の複素グループ受信信号を出力する遅延処理部と、
前記遅延処理されたn個の複素グループ受信信号を、実数部及び虚数部ごとに加算することにより、整相加算後の複素受信信号を出力する加算部と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
連続波ドプラモードにおいて、受信用のm個の振動素子からm個の受信信号を出力するアレイ振動子と、
前記m個の受信信号が入力され、それらをn(但しn<m)段階の遅延量に対応するn個のグループに振り分けて、グループごとに信号加算を行うことにより、n個のグループ受信信号を出力するグルーピング回路と、
前記n個のグループ受信信号と、前記n段階の遅延量に対応するn段階の位相差関係を有するn個の中間参照信号と、を乗算することにより、遅延処理されたn個のグループ受信信号を出力する遅延処理部と、
前記遅延処理されたn個のグループ受信信号を加算することにより、整相加算後の受信信号を出力する加算部と、
前記整相加算後の受信信号に対して、複素参照信号を乗算し、これにより整相加算後の複素受信信号を出力する直交検波部と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3記載の装置において、
前記グルーピング回路はクロスポイントスイッチ回路で構成され、
前記クロスポイントスイッチ回路の前段には前記各受信信号を電圧信号から電流信号に変換する第1信号変換部が設けられ、
前記クロスポイントスイッチの後段には前記各グループ受信信号を電流信号から電圧信号に変換する第2信号変換部が設けられた、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1,2又は3記載の装置において、
前記nは、4以上16以下であることを特徴とする超音波診断装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に関し、特に連続波ドプラモードで用いられる受信部の回路構成に関する。
【背景技術】
【0002】
連続波ドプラモードでは、アレイ振動子上に送信開口と受信開口とが個別的に設定され、送信開口内の複数の振動素子を用いて超音波が連続的に送信され、受信開口内の複数の振動素子を用いて体内からの反射波(連続波)が連続的に受信される。電子フォーカス及び電子ステアリングの技術を用いて、送信ビームを所定の方向へ形成することができ、また、受信ビームを所定の方向へ形成することができる。通常、観測部位において送信ビームと受信ビームとがクロスするように各ビームのステアリングがなされる。送信ビーム及び送信フォーカスは、複数の振動素子に与える複数の送信信号間に所定の遅延関係を設定することにより形成され、同様に、受信ビーム及び受信フォーカスは、複数の振動素子に与える複数の受信信号間に所定の遅延関係を設定することにより形成される(特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭58−212434号公報
【特許文献2】米国特許第4,598,589号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、連続波ドプラモードにおいては、受信信号のダイナミックレンジ等の関係から、アナログ回路で構成される専用の受信部が利用される。その受信部においては、各受信信号に対して位相検波処理を行うことにより遅延処理及び検波処理がなされる。そのような受信部をより小型化し、またより低廉にすることが要請される。
【0005】
連続波ドプラモードに関し、従来においては、以下のような幾つかの整相加算方式が知られている。ディレーラインを用いたRF整相加算方式では、ディレーラインとアレイ振動子との間にクロスポイントスイッチが設けられ、各振動素子からの受信信号がクロスポイントスイッチの作用によってディレーライン上のいずれかのタップに入力される。つまり、タップの選択が遅延量の選択に相当する。タップ数は固定されており、各タップに対応付けられている遅延量も固定されている。ディレーライン上において、複数の受信信号が整相加算され、ディレーラインから出力された整相加算後の受信信号が直交検波器に入力される。この構成によれば回路規模を比較的に小さくできるが、超音波の周波数(送信周波数)に遅延精度が依存し、その周波数が高くなるに従って遅延精度が低下し、つまり整相加算精度が低下する点、また、ディレーラインのタップを増加させればその分だけ回路規模が増大してしまう点、を指摘できる。更に、ディレーライン上におけるインピーダンス不整合に起因する反射などを要因としてS/N比が悪化するおそれがある。
【0006】
中間周波数整相加算方式では、各振動素子からの受信信号に対して、ミキサを利用していったん中間周波数への周波数変換がなされる。その場合に、各ミキサへ与える参照信号の位相が個別的に調整され、これによって各受信信号ごとに遅延処理がなされる。各ミキサから出力された受信信号が加算された後、その加算信号が直交検波器に入力される。この構成では、各振動素子ごとにミキサ等の回路を設ける必要があり、受信部の回路規模が大きくなる面を指摘できる。
【0007】
ベースバンド整相加算方式では、各振動素子からの受信信号が各振動素子ごとに設けられた直交検波器(一対のミキサ)に入力され、各受信信号が複素信号に変換される。その場合に、各直交検波器に与える複素参照信号の位相が各受信信号ごとに調整され、これによって各受信信号ごとに遅延処理及びベースバンドへの変換がなされる。変換後の各複素信号の実数部信号と虚数部信号がそれぞれ加算器において加算され、これによって整相加算後の複素信号が得られる。この構成では、各振動素子ごとに直交検波器を設ける必要があり、受信部の回路規模が大きくなるという面を指摘できる。
【0008】
本発明の目的は、連続波ドプラモードにおいて受信信号を処理する受信部について、所望の信号処理精度を確保しつつ、回路規模を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、連続波ドプラモードにおいて、受信用のm個の振動素子からm個の受信信号を出力するアレイ振動子と、前記m個の受信信号が入力され、それらをn(但しn<m)段階の遅延量に対応するn個のグループに振り分けて、グループごとに信号加算を行うことにより、n個のグループ受信信号を出力するグルーピング回路と、前記n個のグループ受信信号と、前記n段階の遅延量に対応するn段階の位相差関係を有するn個の参照信号と、を乗算することにより、遅延処理されたn個のグループ受信信号を出力する遅延処理部と、前記遅延処理されたn個のグループ受信信号を加算することにより、整相加算後の受信信号を出力する加算部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、連続波(CW)ドプラモードにおいて、アレイ振動子上には、一般に、送信用振動素子列及び受信用振動素子列が設定される。送信振動素子列を利用して連続的に生体内へ超音波が送波され、受信振動素子列を利用して生体内からの反射波が連続的に受波される。送信用振動素子列及び受信用振動素子列は送受信条件や用途に応じて適宜設定することができ、例えば、それらの間に音響的な隔絶のために送受信で機能しない複数の無効振動素子を設定するようにしてもよい。送信ビーム及び受信ビームの形成のために、電子フォーカス技術及び電子ステアリング技術が適用されるのが望ましい。アレイ振動子は1Dアレイ振動子であってもよいし、2Dアレイ振動子、その他の振動子であってもよい。
【0011】
アレイ振動子の後段にはグルーピング回路が設けられる。グルーピング回路は望ましくはクロスポイントスイッチ回路などによって構成され、グルーピング回路は、例えば数十あるいは数百の入力信号(受信信号)をそれぞれの遅延時間に応じて所定数(n個)にグルーピングする。例えば、nが8であれば、1波長の1/8つまりλ/8に相当する遅延時間間隔で区分された8個のグループに各受信信号が振り分けられる。このグルーピングにより、振動素子数にかかわらず、n個のグループ受信信号を遅延処理するだけでよいので、回路規模を非常に小さくできる。グルーピング回路の前に各受信信号について電圧信号から電流信号へ変換する回路を設けるのが望ましく、また、グルーピング回路の後に各グループ受信信号について電流信号から電圧信号へ変換する回路を設けるのが望ましい。但し、グルーピングのための構成及びそのための信号形態としては各種のものを採用可能である。
【0012】
遅延処理部においては、n個のグループ受信信号に対して、それぞれ対応する参照信号を用いて遅延処理する。複数の参照信号の位相は、段階的に(n段階に)設定されており、各参照信号が有する周波数は、送信周波数としてあるいはそれに適合した中間周波数として設定される。送信周波数が変更されても、それに応じて遅延処理条件が適応的に設定されるので、ディレーラインを用いた場合のように遅延時間のピッチが固定されている時に生じる問題を解消できる。つまり、基本的には、どのような送信周波数でもλ/nの分解能を得られる(λは超音波の波長である)。遅延処理は、受信信号をRF信号からベースバンド信号へ変換するものであってもよいし、受信信号をRF信号から中間周波数信号へ変換するものであってもよい。遅延処理に当たって複素信号への変換がなされるようにしてもよい。加算部においては、遅延処理後のn個のグループ受信信号が加算され、これによって整相加算処理が完了する。必要に応じて、その加算後の受信信号に対して直交検波処理が適用される。上記のnは整相加算精度に応じて適宜設定することができるが、ある程度の整相加算精度を得るためにはnは4以上であるのが望ましく、また回路規模の増大を防止する観点からnは16以下であるのが望ましい。
【0013】
(2)本発明は、連続波ドプラモードにおいて、受信用のm個の振動素子からm個の受信信号を出力するアレイ振動子と、前記m個の受信信号が入力され、それらをn(但しn<m)段階の遅延量に対応するn個のグループに振り分けて、グループごとに信号加算を行うことにより、n個のグループ受信信号を出力するグルーピング回路と、前記n個のグループ受信信号と、前記n段階の遅延量に対応するn段階の位相差関係を有するn個の複素参照信号と、を乗算することにより、遅延処理されたn個の複素グループ受信信号を出力する遅延処理部と、前記遅延処理されたn個の複素グループ受信信号を、実数部及び虚数部ごとに加算することにより、整相加算後の複素受信信号を出力する加算部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、遅延処理の段階で、各グループ受信信号を複素信号に変換することができる。よって、その後段において直交検波器としての複素信号変換器を設ける必要がなくなる。
【0015】
(3)本発明は、連続波ドプラモードにおいて、受信用のm個の振動素子からm個の受信信号を出力するアレイ振動子と、前記m個の受信信号が入力され、それらをn(但しn<m)段階の遅延量に対応するn個のグループに振り分けて、グループごとに信号加算を行うことにより、n個のグループ受信信号を出力するグルーピング回路と、前記n個のグループ受信信号と、前記n段階の遅延量に対応するn段階の位相差関係を有するn個の中間参照信号と、を乗算することにより、遅延処理されたn個のグループ信号を出力する遅延処理部と、前記遅延処理されたn個の複素グループ受信信号を加算することにより、整相加算後の受信信号を出力する加算部と、前記整相加算後の受信信号に対して、複素参照信号を乗算し、これにより整相加算後の複素受信信号を出力する直交検波部と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、中間周波数への変換の段階で遅延処理を行った上で、遅延処理後のグループ信号が加算される。そして、その加算後に複素信号への変換がなされる。
【0017】
(4)望ましくは、前記グルーピング回路はクロスポイントスイッチ回路で構成され、前記クロスポイントスイッチ回路の前段には前記各受信信号を電圧信号から電流信号に変換する第1信号変換部が設けられ、前記クロスポイントスイッチの後段には前記各グループ受信信号を電流信号から電圧信号に変換する第2信号変換部が設けられる。望ましくは、前記nは、4以上16以下である。
【0018】
以上のように、ディレーラインを用いることなく遅延処理を行えるので、周波数に依存して遅延精度が変動する問題を解消でき、また、S/N比の低下を防止できる。特に、所望の遅延精度を比較的小規模の回路構成で実現できるので、受信部を安価に製造でき、実用的な価値も高い。なお、遅延精度を優先させる場合にはnを大きくすればよく、回路規模の縮小を優先させる場合にはnを小さくすればよい。
【0019】
クロスポイントスイッチを用いる場合、各受信条件ごとにスイッチングパターンを記憶したテーブルを用いて、設定された受信条件からそれに適合するスイッチングパターンを瞬時に特定できるように構成するのが望ましい。参照信号セットの生成に当たっては、参照信号の周波数を生成する回路と、その周波数の位相を段階的に可変する回路と、を設けるようにしてもよいし、段階的に位相が異なる複数の参照信号を同時に生成する回路を用いるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、連続波ドプラモードにおいて受信信号を処理する受信部について、所望の信号処理精度を確保しつつ、回路規模を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の全体構成がブロック図として示されている。この超音波診断装置は、以下に詳述する連続波ドプラモードを有する他、Bモード、Mモード、CFM(カラーフローマッピング)モードなどを具備しているが、それらに対応する構成については図示省略されている。
【0023】
アレイ振動子10は、本実施形態において1Dアレイ振動子として構成されている。アレイ振動子10は直線的にあるいは円弧状に配列された複数の振動素子10aによって構成される。このアレイ振動子10は図示されていないプローブ内に設けられるものであり、そのプローブは体表面上に当接して用いられ、あるいは体腔内に挿入して用いられる。1Dアレイ振動子に代えて、2Dアレイ振動子を設けるようにしてもよい。
【0024】
アレイ振動子10上には、送信開口を構成する送信信号素子列12及び受信開口を構成する受信振動素子列14が設定される。送信振動素子列12及び受信振動素子列14は複数(例えば32個)の振動素子10aによって構成される。それらの間に音響的な隔絶を図るためのギャップ領域に相当する複数の無効振動素子を設けるようにしてもよい。例えばBモードなどにおいては1Dアレイ振動子を構成する複数の振動素子10aがそれぞれ送信時及び受信時において機能するが、連続波ドプラモードにおいては複数の振動素子が2つに区分され、送信振動素子列12によって連続的に超音波が送波され、これによって送信ビームが形成される。また、受信振動素子列14によって体内からの連続的な超音波が受波され、これによって受信ビームが形成される。なお、図1においてmは受信振動素子列14を構成する振動素子数を表している。
【0025】
送信ビーム及び受信ビームを形成するために送信部及び受信部が設けられている。本実施形態においてはCW(連続波)用送信部16とCW用受信部18とが設けられている。CW用送信部16は、送信振動素子列12を構成する複数の振動素子に対して所定の遅延関係をもって複数の送信信号(連続波)を供給する。一方、CW用受信部18は、受信振動素子列14を構成する複数の振動素子から出力された複数の受信信号に対して整相加算処理を実行する。これについては以下に詳述する。制御部20は、図1に示される各構成の動作制御を行っており、特に、CW用送信部16の制御の他、CW用受信部18におけるクロスポイントスイッチ24及び参照信号生成部34の制御を行っている。
【0026】
以下に、CW用受信部18について詳述する。V−I変換器22には、受信振動素子列14から出力された複数の受信信号が入力される。V−I変換器22は、各受信信号について、電圧信号から電流信号への変換を実行する。すなわち電圧信号としての受信信号を電流信号としての受信信号に変換する。これは、後段のクロスポイントスイッチ24において各グループごとに複数の受信信号を加算するための前処理に相当する。
【0027】
クロスポイントスイッチ24は、入力されるm個の受信信号をn個のグループにグルーピングする機能を有する。本実施形態においてnは8である。すなわち、1波長内におけるn段階ごとに遅延処理を行うために、クロスポイントスイッチ24においては複数の受信信号がn個にグルーピングされる。nとしては4以上で16以下であるのが望ましいが、特にnが8であるのが望ましい。例えば32個の受信信号が8個のグループ受信信号に変換されることになる。受信条件に応じて各グループは1つ又は複数の受信信号で構成されるが、例外的に受信信号数がゼロのグループが生じる場合がある。クロスポイントスイッチ24は、m個の入力ラインとn個の出力ラインとの間における各交点ごとに設けられた複数のスイッチを備えており、それら全体のスイッチングパターンが制御部20から出力される制御信号26によって決定される。本実施形態においては、制御部20内に受信条件ごとに定められたスイッチングパターンを記憶したテーブルが設けられており、受信条件が決定されると、その受信条件に対応するスイッチングパターンが決定され、そのパターンがクロスポイントスイッチ24にセットされる。受信条件は受信ビームのステアリング角度及びフォーカス深さなどによって規定されるものである。
【0028】
I−V変換器28は、クロスポイントスイッチ24から出力されたn個のグループ受信信号について、電流信号から電圧信号への変換を実行する。これによって電圧信号としてのn個のグループ受信信号が出力されることになる。
【0029】
I−V変換器28の後段には図1に示す構成例ではn個の直交検波器32が並列的に設けられている。すなわち各グループ受信信号ごとに直交検波器32が設けられている。複数の直交検波器32は直交検波部30を構成している。各直交検波器32は、入力されるグループ受信信号に対して直交検波を実行し、これによってグループ受信信号に対するベースバンドへの変換を実行すると共に、グループ信号に混合する参照信号(複素参照信号)の位相を適宜設定することによりグループ受信信号ごとに異なる遅延量を付与している。
【0030】
すなわち、本実施形態においては、1番目から8番目までの8つの直交検波器32が設けられており、各直交検波器32は、実数部用のミキサ40と虚数部用のミキサ42とを有する。更に、各ミキサ40,42の後段にはそれぞれバンドパスフィルタ(BPF)あるいはローパスフィルタ(LPF)が設けられているが、図1においては図面簡略化のためそれらが図示省略されている。各直交検波器32においては、それぞれのミキサ40,42が乗算器として構成され、各乗算器40,42は、入力されるグループ受信信号に対して参照信号を混合する。参照信号36は、具体的には複素参照信号として構成され、すなわちcos信号とsin信号とで構成される。前者の信号に対して90度の位相シフトを行うことにより、後者の信号が得られている。このため、位相シフタ38が設けられている。ここで、F0を送信周波数として、φ1〜φ8までの8つの位相が段階的に定められており、すなわち、8つの参照信号間においては、位相のみが異なっている。本実施形態においては、λ/8〜8λ/8までの8つの遅延量に相当する位相が設定されており、それぞれ異なる位相をもった8個の参照信号が8個の直交検波器32に与えられている。すなわち、直交検波で用いる参照信号の位相を異ならせることにより結果として各グループ信号に対する遅延時間が調整されている。したがって、nの数を増加させればより遅延精度を向上させることができ、一方、nの数を小さくすれば回路規模を削減することが可能となる。ただし、従来のディレイラインを用いた整相加算回路のように周波数が異なった場合に遅延精度がそれに依存して変動してしまうような問題は生じない。
【0031】
参照信号生成部34は、複数の直交検波器32に対してそれぞれ所定の位相をもった参照信号36を供給している。上記のように位相シフタ38によってcos信号からsin信号が生成されているが、参照信号生成部34において90度位相がずれた一対のcos信号及びsin信号を生成するようにしてもよい。参照信号生成部34は、基本となる周波数信号を生成する回路と、その周波数信号に対して段階的に位相を異ならせる回路と、によって構成されてもよいし、位相が互いに異なる複数の参照信号を同時に生成する回路として構成されてもよい。いずれにしても超音波の送信周波数に依存して各参照信号の周波数を変動させる回路を設けるのが望ましい。
【0032】
以上のように、各直交検波器32において、グループ受信信号が遅延処理されたグループ複素受信信号に変換されることになる。各グループ複素受信信号における実数部信号は加算器44に出力され、その虚数部信号は加算器46に出力されることになる。加算器44においては、本実施形態において8つの実数部信号の加算を実行し、加算後の実数部信号Iを出力している。加算器46においては本実施形態において8つの虚数部信号を加算しており、加算後の虚数部信号Qを出力している。この実数部信号Iと虚数部信号Qは整相加算処理後の複素信号を構成する。
【0033】
FFT解析部48は、上記の実数部信号Iと虚数部信号Qとを入力し、公知の複素FFT演算を実行することにより、周波数解析を行う。これによって、各時刻ごとに受信信号(ドプラ情報)の周波数スペクトルが得られることになる。表示処理部50は各時刻ごとの周波数スペクトルに基づいて公知のドプラ波形を生成し、そのドプラ波形が表示器52に表示される。
【0034】
上記の構成においては、ディレイラインを用いていないので、従来のようにディレイライン上において生じていたインピーダンス不整合によるS/N比の悪化という問題を回避することができ、また周波数に依存して遅延精度が変化する問題すなわち周波数に依存して整相加算精度が変動する問題を防止することができる。また、回路規模の面においては、クロスポイントスイッチ24において多数の受信信号をn個にグルーピングした上でそれぞれのグループごとに遅延処理を行えるので、多数の受信信号に対してそれぞれ個別的に遅延処理を行うような従来構成と比べて回路規模を著しく小さくすることが可能となる。なお、図1の構成において、望ましくは、加算器44,46の後段にA/D変換器が設けられるが、アナログ信号からデジタル信号の変換はそれ以外の所望の箇所において実行することが可能である。図1の構成においては、受信振動素子列14とV−I変換器22との間に設けられているプリアンプなどは図示省略されており、また他の細部の回路構成についても図示省略されている。
【0035】
図1の構成においては、送信周波数が設定されると、参照信号生成部34がその送信周波数に応じた参照信号セットを生成する。その一方において、受信ビームの方向及び受信フォーカス点の深さが設定されると、クロスポイントスイッチ24におけるスイッチングパターンが設定される。そして、受信フォーカス点が固定されている状態においては、参照信号セットはそのまま継続して生成され、送信周波数が変更される場合にはそれに応じて参照信号の周波数が適応的に可変設定(更新)されることになる。
【0036】
次に、図2を用いて受信部の他の実施形態について説明する。図2に示すCW用受信部60に関し、図1に示した構成と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。図2においては、アレイ振動子10や表示処理部50などの構成については図示省略されている。
【0037】
図2に示すCW用受信部60においては、図1に示した実施形態と同様に、V−I変換器22、クロスポイントスイッチ24及びI−V変換器28が設けられている。すなわちm個の受信信号がn個にグルーピングされ、n個のグループ受信信号が得られている。中間周波数変換部は、ミキサ群62とBPF群66とで構成され、本実施形態においては8個のミキサ64と8個のBPF68とが設けられている。すなわち、各グループ受信信号ごとにミキサ64及びBPF68が設けられている。
【0038】
各ミキサ64には第1参照信号生成部70から出力された第1参照信号が入力され、それがグループ受信信号に混合されている。第1参照信号はcos信号として構成され、その周波数F1は中間周波数への変換を行うための周波数である。また各cos信号における位相φ1〜φ8はそれぞれ遅延量を定めるための位相情報に相当している。図1に示した実施形態と同様に8段階の位相が設定されており、つまり、λ/8〜8λ/8までの8個の遅延量が設定されている。各BPF68においてはミキシング後における必要な信号成分の抽出を行っている。
【0039】
加算器74においては、中間周波数への変換及び遅延処理が行われた各グループ受信信号を加算し、これによって加算された受信信号を得る。その加算された受信信号は直交検波器78に入力されている。直交検波器78は図示されていない2つのミキサつまり2つの乗算器を有しており、それぞれの乗算器にはcos信号とsin信号とが入力されている。本実施形態においては第2参照信号生成部72によって生成された信号に対して位相シフタ76において90度の位相シフトを行うことによりcos信号からsin信号が得られている。ここでF2は参照信号の周波数を表しており、その周波数は中間周波数からベースバンドへの変換を行う周波数に相当している。例えば、送信周波数F0が3MHzである場合、上記のF1は2MHzであり、その場合にはF2は1MHzである。
【0040】
直交検波器78から出力された実数部信号I及び虚数部信号Qで構成される複素信号はFFT解析部48に入力され、図1に示したFFT解析部48と同様の処理が実行される。
【0041】
図2に示す構成によれば、中間周波数への周波数変換を行う段階において遅延処理を行うことができるので、加算器74の前段において各受信信号ごとに一対のミキサを設ける必要がなくなり、回路構成をより小規模にできるという利点がある。送信信号が変更された場合、第1参照信号の周波数F1又は第2参照信号の周波数F2のいずれかを適応的に可変すればよい。この場合においては第2参照信号の周波数F2を可変するのが望ましいと言える。図2に示した回路構成においても、従来のようにディレイラインを用いていないので、ディレイライン上において生じたインピーダンス不整合などに起因する信号の反射あるいはS/N比の悪化という問題を防止することができ、また送信周波数に依存して遅延精度が変動してしまう問題を防止できるという利点がある。また回路規模の面においてはより回路規模を縮小できるので、受信部の製造コストを低減して実用的価値の高い超音波診断装置を構成できるという利点がある。なお、図1及び図2に示した構成例は本発明の好適な例であって、それ以外にも各種の構成を採用することができる。いずれにしても、グルーピングを前提としてその後段において位相可変を用いて遅延処理を行える構成を採用するのが望ましい。なお、図2に示す構成においてBPF68に代えてLPFを設けるようにしてもよい。またそのようなフィルタは加算器74の後段に設けることも可能である。これは図1に示す構成においても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】他の実施形態に係る受信部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
10 アレイ振動子、12 送信振動素子列、14 受信振動素子列、16 CW用送信部、18 CW用受信部、22 V−I変換器、24 クロスポイントスイッチ、28 I−V変換器、32 直交検波器、34 参照信号生成部、44,46 加算器、48 FFT解析部。




 

 


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