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発明の名称 生物学的組織と境界を接する装置用のハイブリッド複合材料
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−222600(P2007−222600A)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
出願番号 特願2006−329768(P2006−329768)
出願日 平成18年12月6日(2006.12.6)
代理人 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭
発明者 マリアム・マグリビー
要約 課題
生物学的組織と境界を接する医療装置用のハイブリッド複合材料および該複合材料を形成する方法の提供。

解決手段
形状整合可能な高分子材料の少なくとも1つの第1の層12と、絶縁高分子材料の第2の層14と、1つ以上の能動のコンポーネントおよび/または1つ以上の受動のコンポーネント16とを含み、1つ以上の能動のコンポーネントおよび/または1つ以上の受動のコンポーネントは、形状整合可能な高分子材料の第1の層、または、絶縁高分子材料の第2の層内に、部分的にまたは完全に埋め込まれているハイブリッド複合材料。好ましくは、形状整合可能な高分子材料は、エラストマー、ヒドロゲル、または、生体溶解性ポリマー、であり、絶縁高分子材料は、パリレン、または、シリコンカーバイド(炭化ケイ素)である。
特許請求の範囲
【請求項1】
ハイブリッド複合材料において、
形状整合可能な高分子材料の少なくとも1つの第1の層と、
前記形状整合可能な高分子材料の第1の層の表面に設けられた絶縁高分子材料の第2の層と、
1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントと、
を具備し、
前記1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントが、前記形状整合可能な高分子材料の第1の層、または、前記絶縁高分子材料の第2の層内に、部分的にまたは完全に埋め込まれている、
ハイブリッド複合材料。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド複合材料において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントが、前記絶縁高分子材料の第2の層内に完全に埋め込まれ、前記形状整合可能な高分子材料の第1の層と直接接触していない、ハイブリッド複合材料。
【請求項3】
請求項1に記載のハイブリッド複合材料において、
前記形状整合可能な高分子材料が、エラストマー、ヒドロゲル、または、生体溶解性ポリマーである、ハイブリッド複合材料。
【請求項4】
請求項3に記載のハイブリッド複合材料において、
前記エラストマーが、オルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)、または、ポリウレタンである、ハイブリッド複合材料。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド複合材料において、
前記オルガノポリシロキサンが、ポリジメチルキロキサンである、ハイブリッド複合材料。
【請求項6】
請求項1に記載のハイブリッド複合材料において、
前記絶縁高分子材料が、パリレン、または、シリコンカーバイド(炭化ケイ素)(silicon carbide)である、ハイブリッド複合材料。
【請求項7】
請求項6に記載のハイブリッド複合材料において、
前記パリレンが、パリレンC、パリレンN、パリレンD、パリレンF、または、それらの混合物である、ハイブリッド複合材料。
【請求項8】
請求項1に記載のハイブリッド複合材料において、
前記形状整合可能な高分子材料の第1の層が、約1μmから約10mmまでの厚みを有する、ハイブリッド複合材料。
【請求項9】
請求項1に記載のハイブリッド複合材料において、
前記絶縁高分子材料の第2の層が、約1nmから約50μmまでの厚みを有する、ハイブリッド複合材料。
【請求項10】
請求項1または2に記載のハイブリッド複合材料において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントが、パターン化された金属被覆、マイクロ電極アレイ、化学センサー、生物学的センサー、電気的センサー、集積回路、変換器、トランジスタ、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、ハイブリッド複合材料。
【請求項11】
請求項10に記載のハイブリッド複合材料において、
前記パターン化された金属被覆が、
炭素、
Ti、Cr、Au、Ag、Pt、Ir、Ni、Zn、および、それらの合金、からなる群から選択された金属、または、
前記炭素および前記金属の組み合わせ、
を含む、
ハイブリッド複合材料。
【請求項12】
請求項1に記載のハイブリッド複合材料において、
前記1つ以上の受動のコンポーネントが、通路、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、プラグ、溝、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、ハイブリッド複合材料。
【請求項13】
ハイブリッド複合材料を形成する方法において、
基板を提供する過程と、
前記基板の少なくとも1つの表面に形状整合可能な高分子材料の層を配置する過程と、
前記形状整合可能な高分子材料の層を部分的に硬化させる過程と、
前記部分的に硬化した形状整合可能な高分子材料の層の表面に絶縁高分子材料を配置し、絶縁高分子材料の層を形成する過程と、
前記絶縁高分子材料の層の表面に1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを配置する過程と、
前記1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを、前記絶縁高分子材料の皮膜で部分的にまたは完全に保護する過程と、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記形状整合可能な高分子材料が、エラストマー、ヒドロゲル、または、生体溶解性ポリマーである、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記エラストマーが、オルガノポリシロキサン、または、ポリウレタンである、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記オルガノポリシロキサンが、ポリジメチルキロキサンである、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、
前記絶縁高分子材料が、パリレン、または、シリコンカーバイドである、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記パリレンが、パリレンC、パリレンN、パリレンD、パリレンF、または、それらの混合物である、方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントが、パターン化された金属被覆、マイクロ電極アレイ、化学センサー、生物学的センサー、電気的センサー、集積回路、変換器、トランジスタ、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記パターン化された金属被覆が、
炭素、
Ti、Cr、Au、Ag、Pt、Ir、Ni、Zn、および、それらの合金、からなる群から選択された金属、または、
前記炭素および前記金属の組み合わせ、
を含む、
方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法において、
部分的に硬化させる前記過程が、オルガノポリシロキサンを硬化させるための通常のまたは標準的な時間よりも実質的に短い時間にわたって前記オルガノポリシロキサンの層を硬化させるプロセスである、方法。
【請求項22】
請求項15に記載の方法において、
部分的に硬化させる前記過程が、オルガノポリシロキサンを硬化させるための通常のまたは標準的な時間の50%以下の時間にわたって前記オルガノポリシロキサンの層を硬化させるプロセスである、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
部分的に硬化させる前記過程が、約60℃から約70℃までの温度で、約20分から約60分までの時間にわたって行われる、方法。
【請求項24】
請求項13に記載の方法において、
前記絶縁高分子材料が、蒸着重合プロセスを用いて配置される、方法。
【請求項25】
請求項13に記載の方法において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントを部分的にまたは完全に皮膜で保護する前記過程が、前記絶縁高分子材料を、前記1つ以上の能動のコンポーネントの上、および、前記絶縁高分子材料の層の、前記1つ以上の能動のコンポーネントによって覆われていない部分の上に配置し、前記絶縁高分子材料内に前記1つ以上の能動のコンポーネントを部分的にまたは完全に埋め込む過程を含む、方法。
【請求項26】
請求項13に記載の方法において、
前記絶縁高分子材料の層の表面に1つ以上の能動のコンポーネントを配置する前に、前記絶縁高分子材料の層が酸素プラズマで処理される、方法。
【請求項27】
請求項13に記載の方法において、
前記形状整合可能な高分子材料の層を部分的に硬化させる前に、前記形状整合可能な高分子材料の層が1つ以上の受動のコンポーネントを組み込むようにパターン化される、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
前記1つ以上の受動のコンポーネントが、通路、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、プラグ、溝、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、方法。
発明の詳細な説明
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、生物学的組織と境界を接する医療装置用のハイブリッド複合材料、および、ハイブリッド複合材料の形成方法、に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
医療装置、とりわけ、解剖学的構造の外形に沿う必要がありその内部に電気コンポーネントを有する植え込み可能な医療装置および体外の医療装置(例えば、パッチに類似する装置)は、正常な機能を果たさなくなった生物学的構造と置き換えるため、または、その生物学的構造に関連した疾病を治療するために、広く用いられてきた。大まかに言って、植え込み可能な医療装置は、受動の装置(passive device)または能動の装置(active device)に分類できる。ほとんどの受動の植え込み可能な装置は、構造的な装置(例えば、人工関節、および、脈管グラフト)である。能動の植え込み可能な装置は、それらの装置が動作するために、人体または重力によって生み出されたエネルギー以外のエネルギーの供給源に依存する医療装置である。能動の植え込み可能な医療装置の主な例は、心臓ペースメーカーである。心臓ペースメーカーは、典型的には、生分解から保護するために回路および電力供給源を収容した硬質のチタン製キャニスターにつながれた刺激電極を含んでいる。
【0003】
心臓ペースメーカーでは、それでも、回路およびエネルギー供給源を電極と別個に硬質のキャニスター内に収容することが、可能である。しかし、人間の介入なしに医療装置が医療的な状態を検出し、解釈し、および、治療できるようにするシステムである、閉ループの能動の医療装置を開発する場合には、多大な複雑さが加わる。周囲の環境から閉ループの能動の植え込まれた装置へリアルタイムで捕捉され、処理され、伝送されなければならない大量の情報のために、バッテリーは、もはや十分な電力供給源ではなく、信号および電力の両方を直接インプラントに伝送する無線周波数(RF)の無線誘導リンクに置き換えられなければならない。精巧なデータ取得および電力発生コンポーネントが必要とされる以外にも、医療用インプラントの寸法および形状は、解剖学的構造の空間的な制約を受けることが多い。
【0004】
植え込み可能な医療装置を開発する際の1つの主要な問題は、適切な材料がないことである。インプラント材料の生体安定性および生体適合性は、植え込み可能な医療装置を使用する場合に特に重要である。医療用インプラントは、長期間にわたる、または永続的な使用を意図されており、体組織、体液、電解質(electrolytes)、タンパク質、酵素、脂質、および、その他の生物学的分子、と直接境界を接するので、医療用インプラントの構造に用いられる材料は、厳格な生物学的および物理的必要条件に合致しなければならない。一般的には、そのような材料は、(1)形状整合可能である(conformable)、すなわち、有害な応力を誘起することなく生物学的な構造の形状に沿うこと、(2)頑健である、すなわち、製造および植え込みの間の取り扱いに耐えること、(3)体組織および体液に対して化学的に不活性であること、および、(4)絶縁性であり、それによって、組織を能動要素から保護するために電気的な絶縁を提供すること、が必要とされる。さらに、能動的で植え込み可能な医療装置に用いられる材料が集積回路(IC)チップおよびサポートする電子コンポーネントと接続されて、電力およびデータを無線式で受信し、システムを完全に統合できるようにすることが、特に望ましい。
【0005】
医療用インプラントの製造に広く用いられている材料には、例えば、シリコンベース(silicon-based)のポリマー、ポリウレタン、ポリイミド、ヒドロゲル、および、生体溶解性ポリマー(biodissolvable polymer)、などの高分子材料がある。ポリジメチルシロキサン(PDMS)が、最も広く用いられているシリコンベースの有機ポリマーであり、その特異的な流動学的特性(rheological properties)が特に知られている。その粘弾性を要因として、PDMSコーティングは、柔らかく、形状整合性がある(conformable)。植え込み可能な装置の表面に、周囲の組織に損傷を与える可能性のある鋭利な辺縁部を有することを回避することが重要なので、PDMSの形状整合性(conformability)は、生物学的組織と境界を接するためには非常に望ましい。さらに、PDMSは、生体適合性で、低温度で処理できる。その他の広く用いられているコーティング材料はヒドロゲルである。ヒドロゲルは、生理学的条件の下で、水和し、膨張して、潤滑性および血液適合性の層を形成する。したがって、ヒドロゲルコーティングは、コーティングされていない医療装置の使用または動作中にコーティングされていない医療装置によって引き起こされる粘膜の損傷または炎症を軽減することができる。しかし、PDMSおよびヒドロゲルは、両方とも、水蒸気に対して透過性であり、水蒸気は、植え込み可能な医療装置に、とりわけ能動的な電子装置に対して有害でありうる。医療装置で用いるために望ましいいくつかの特性を有しているが、生理学的条件の下で安定ではない、別の高分子材料もある。
【0006】
パリレンおよびシリコンカーバイド(炭化ケイ素)(silicon carbide)のような蒸着されたポリマーは、さまざまな種類の機械的装置を保護するために用いられる。パリレンは、蒸気および液体の両方に対する非常に低い透過性を有するすぐれたバリアである。パリレンは、さらに、優れた耐食性を提供し、優秀な絶縁耐力を示す。パリレンは、高い引っ張り強さおよび降伏強さを有し、それによって、機械的に頑健である。したがって、パリレンは、生物医学的表面に必要な絶縁および頑健性を提供する。さらに、パリレンコーティングは、均一な厚みで完全に整合(conformal)し、かつ、小さな穴(pinhole)を含まず、これは、独特な蒸着重合プロセスによって達成される。シリコンカーバイドは、高い熱伝導性、および、電界に対する高い絶縁破壊強度(high electric field breakdown strength)、を有し、ならびに、非常に不活性である。しかし、パリレンおよびシリコンカーバイドのような蒸着されたポリマーは、PDMSまたはその他の弾性ポリマーのようには粘弾性でなく、したがって、蒸着されたポリマーは、生物学的組織と境界を接するために必要な十分な柔らかさおよび形状整合性を提供しない。
【0007】
したがって、形状整合性、絶縁、頑健性、および、均一な厚みの完全な相似、を同時に提供する植え込み可能な医療装置用の、材料が依然として必要とされている。そのような材料が、ICチップ、および、サポートする電子コンポーネントと接続されて、電力およびデータを無線式で受信して、能動的で植え込み可能な医療装置の完全なシステム統合が可能となることもまた、望ましい。
【0008】
〔発明の概要〕
したがって、本発明は、生物学的組織と境界を接する医療装置用のハイブリッド複合材料を提供する。より詳しくは、本発明のハイブリッド複合材料は、形状整合可能な高分子材料の少なくとも1つの第1の層と、形状整合可能な高分子材料の第1の層の表面に設けられた絶縁高分子材料の第2の層と、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントと、を含み、この1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントは、形状整合可能な高分子材料の第1の層、または、絶縁高分子材料の第2の層内に完全にまたは部分的に埋め込まれている。好ましくは、形状整合可能な高分子材料は、エラストマー、ヒドロゲル、または、生体溶解性ポリマーであり、絶縁高分子材料は、パリレンまたはシリコンカーバイドである。
【0009】
別の態様では、本発明は、ハイブリッド複合材料の形成方法を指向し、その形成方法は、基板を提供する過程と、基板の少なくとも1つの表面に形状整合可能な高分子材料の層を配置する過程と、形状整合可能な高分子材料の層を部分的に硬化させる過程と、絶縁高分子材料の層を形成するために、部分的に硬化した形状整合可能な高分子材料の層の表面に絶縁高分子材料を配置する過程と、絶縁高分子材料の層の表面に1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを設ける過程と、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを絶縁高分子材料の被膜で部分的にまたは完全に保護する過程と、を含む。
【0010】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、医療装置用のハイブリッド複合材料を提供する。より詳しくは、本発明のハイブリッド複合材料は、形状整合可能な高分子材料の少なくとも1つの第1の層と、絶縁高分子材料の第2の層と、1つ以上の能動のコンポーネントおよび/または1つ以上の受動のコンポーネントと、を含み、1つ以上の能動のコンポーネントおよび/または1つ以上の受動のコンポーネントは、形状整合可能な高分子材料の第1の層、または絶縁高分子材料の第2の層内に、完全にまたは部分的に埋め込まれている。「能動のコンポーネント(active components)」は、作動のために、外部のおよび/または内部の電力供給源を必要とするコンポーネントを意味する。「受動のコンポーネント(passive components)」は、作動のために、いずれの電力供給源も必要としないコンポーネントを意味する。
【0011】
本発明では、形状整合可能な高分子材料は、好ましくは、エラストマー、ヒドロゲル、または、生体溶解性ポリマー、を含む。「エラストマー(elastomer)」は、天然ゴムの弾性特性を有するポリマーを意味する。弾性ポリマーの例には、以下に限定されないが、オルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)、ポリウレタン、および、ニトリルゴム、などがある。オルガノポリシロキサンおよびポリウレタンは、本発明の好ましいエラストマーであり、オルガノポリシロキサンがより好ましい。「ヒドロゲル(hydrogel)」は、その中で水が分散媒である高分子コロイドゲルを意味する。ヒドロゲルの例には、以下に限定されないが、カルボキシメチルセルロース、などがある。「生体溶解性ポリマー(biodissolvable polymer)」は、細菌、植物、または、動物の活動によるなどの、生物学的プロセスによって、分解または溶解されるポリマーを意味する。生体溶解性ポリマーの例には、以下に限定されないが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリグリコール乳酸(polyglycol lactic acid)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、および、ポリアミノ酸、などがある。生体溶解性ポリマーは、生体腐食性、生体吸収性、または、生体分解性のポリマーとしても知られている。本発明のある実施の形態では、形状整合可能な高分子材料の層は、層の中に組み込まれた、通路(vias)、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、または、溝、を含むようにパターン化されている。本発明に適したその他の形状整合可能な高分子材料には、以下に限定されないが、コラーゲン、キチン質、アルギン酸塩、および、その他の類似の生物学的材料、などがある。
【0012】
本明細書で用いられる場合、用語「オルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)」は、シリコン(ケイ素)−酸素の主鎖のシリコン原子に取り付けられた有機側基を有するポリシロキサンを意味する。好ましくは、オルガノポリシロキサンは、以下の一般式を有し、
【化1】


ここで、nは、整数であり、R1およびR2は、同一かまたは異なり、R1およびR2の両方が水素でない場合には、水素原子、1から8個の炭素原子を有するアルキル基、または、アリール基、である。アルキル基は、直鎖、枝分かれした、または、環状の、アルキルである。用語「アリール(aryl)」は、本明細書では、芳香族炭化水素から1つの水素原子を取り除くことにより誘導された一価の有機基を意味する。アリールの例には、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、および、それらの類似物、などがある。好ましくは、アリール基は、フェニルである。
【0013】
オルガノポリシロキサンは、当分野では、シリコンベースの有機ポリマー、シリコーンエラストマー(silicone elastomer)、または、シリコーンゴム(silicone rubber)、としても知られている。本発明で考えられるさまざまなオルガノポリシロキサンの例には、以下に限定されないが、ポリジメチルシロキサン、などがある。本発明のある好ましい実施の形態では、生体適合性の高分子材料の第1の層は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の層である。PDMSの化学式は、
(CH33SiO[SiO(CH32nSi(CH33
であり、ここで、nは整数である。
【0014】
オルガノポリシロキサンは、そのシロキサン結合を要因とする極めて柔軟なポリマー主鎖(または、鎖)を有する。そのような柔軟な鎖は、分子量が大きい場合に、ゆるく絡み合うようになり、その結果、高レベルの粘弾性がもたらされる。例えば、PDMSは、その特異的な流動学的特性が特に知られている。「高分子量のオルガノポリシロキサン(high molecular weight of organopolysiloxane)」は、約50Kダルトン(約8.302×10‐20g)以上の分子量を意味する。
【0015】
オルガノポリシロキサンは、潤滑剤、接着剤、コーティング、および、胸部インプラントとして、広く用いられてきた。オルガノポリシロキサンの準備方法は、当業者によく知られている。オルガノポリシロキサンは、スピンコート法、キャストコーティング法(cast)、モールドコーティング法(mold)、噴霧コーティング法、または、浸漬コーティング法のような、通常のコーティング方法で、基板の表面に配置されてよい。
【0016】
物品の表面に形成された形状整合可能な高分子材料の第1の層の厚みは、その層を形成するのに用いられた方法、ならびに、その層の用途、に応じて変化してよい。典型的には、そして、生物学的組織と境界を接する装置では、形状整合可能な高分子材料の層は、約1μmから約10mmまでの厚みを有し、約10μmから約200μmまでの厚みがより典型的である。
【0017】
本発明では、絶縁高分子材料は、好ましくは、パリレン、シリコンカーバイド、または、その他の蒸着された絶縁ポリマー(vapor deposited insulating polymers)、を含む。
【0018】
パリレンは、ポリマーとして製造も販売もされていないが、パラキシリレン(para-xylylene)またはパラキシリレンの置換された誘導体の気相成長および重合によって製造される。浸漬コーティング法または噴霧コーティング法とは異なり、真空蒸着されたコーティングは、小さな穴を含まず、エッジ、先端、亀裂、および、露出された内部領域、を覆う均一な厚みの完全な相似性を有する。パリレンは、また、潤滑性で、化学薬品、気体、および、湿気に対して耐性も有する。さらに、パリレンは、優れた絶縁耐力、および、優秀な機械的強度、を有する。パリレンのコーティングプロセスは、当業者にはよく知られている。
【0019】
パリレンには4つの種類があり、すなわち、パリレンN、パリレンC、パリレンD、および、パリレンF、がある。パリレンNは、ポリ−パラ−キシリレン(poly-para-xylylene)であり、非常に低い散逸率、高い絶縁耐力、周波数によって変化しない誘電率、を示す。この形態は、全てのパリレンの中で最も高い透過能を有する。パリレンCは、ポリ−モノクロロ−パラ−キシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)であり、パリレンCは、優秀なバリア特性を有する。パリレンCは、湿気および気体に対する十分により低い透過性を提供し、同時に、優秀な電気的特性を維持している。パリレンDは、ポリ−ジクロロ−パラ−キシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)であり、パリレンDは、パリレンCと同様の特性を有し、より高い使用温度に耐えるという追加の能力を備えている。絶縁高分子材料がパリレンである場合、パリレンN、パリレンC、パリレンD、または、それらの混合物、が用いられてよい。パリレンFは、テフロン(登録商標)と類似の特性を備えた、フッ化パリレンである。
【0020】
シリコンカーバイドは、モアッサナイト(moissanite)としても知られ、シリコンおよび炭素のセラミック化合物である。本発明のシリコンカーバイドは、好ましくは、化学気相成長プロセスによって、作られる。シリコンカーバイドは、高い熱伝導率、および、電界に対する高い絶縁破壊強度、を有し、非常に不活性でもある。シリコンカーバイドはまた、優秀な機械的耐久性を有する材料でもある。
【0021】
第2の絶縁高分子材料の層の厚みは、その層を形成するのに用いられる方法、ならびに、その層の用途、に応じて変化してよい。典型的には、そして、生物学的組織と境界を接する装置では、絶縁高分子材料の層は、約1nmから約50μmまでの厚みを有し、約5nmから約10μmまでの厚みがより典型的である。
【0022】
本発明では、1つ以上のコンポーネントは、任意の電気的コンポーネントを含んでいてよい。好ましくは、本発明の1つ以上の能動のコンポーネントは、以下に限定されないが、パターン化された金属被覆(patterned metallizations)、マイクロ電極アレイ、化学的センサー、生物学的センサー、電気的センサー、集積回路、変換器、トランジスタ、および、それらの組み合わせ、などを含む。これらの要素は、典型的には、通常の蒸着プロセスによって形成され、リソグラフィー(lithography)およびエッチングによってパターン化される。より最近では、MEMS技術がこれらの要素を形成するのに用いられる。本発明のパターン化された金属被覆に適した金属には、以下に限定されないが、Ti、Cr、Au、Ag、Pt、Ir、Ni、Zn、および、それらの合金、などを含む。炭素も、本発明のパターン化された金属被覆で用いられてよい。好ましくは、本発明のパターン化された金属被覆は、炭素、前記の金属、または、それらの組み合わせ、を含む。本発明の1つ以上の受動のコンポーネントには、以下に限定されないが、通路(via)、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、プラグ、溝、および、それらの組み合わせ、などが含まれる。本発明では、1つ以上の能動のコンポーネントまたは1つ以上の受動のコンポーネントが、形状整合可能な高分子材料の第1の層または絶縁高分子材料の第2の層内に、部分的にまたは完全に埋め込まれている。
【0023】
本発明のハイブリッド複合材料のある好ましい実施の形態では、1つ以上の能動のコンポーネントは、絶縁高分子材料の第2の層内に部分的にまたは完全に埋め込まれ、形状整合可能な高分子材料の第1の層と直接接触していない。すなわち、1つ以上の能動のコンポーネントは、絶縁高分子材料の第2の層内に閉じ込められてよく、または、1つ以上の能動のコンポーネントは、絶縁高分子材料の第2の層内に部分的に埋め込まれ、電気的な接触のために必要な領域のみが露出されてよい。図1A〜図1Cは、本発明のハイブリッド複合材料の実施の形態を示し、これらの実施の形態では、能動のコンポーネントは、形状整合可能な高分子材料の第1の層と直接接触していないパターン化された金属被覆である。図1Aは、本発明のある実施の形態を示し、この実施の形態では、パターン化された金属被覆は、絶縁高分子材料内に、完全に埋め込まれている、すなわち、閉じ込められている。図1Bは、本発明の別の実施の形態を示し、この実施の形態では、パターン化された金属被覆は、電気的な接触のためにパターン化された金属被覆の表面領域を露出し、絶縁高分子材料内に部分的に埋め込まれている。図1Cは、本発明のさらに別の実施の形態を示し、この実施の形態では、パターン化された金属被覆は絶縁高分子材料内に閉じ込められ、形状整合可能な高分子材料の層はその層内に組み込まれたレザバーを有している。これらの図面では、参照符号10は、基板または基板の一部を示し、参照符号12は、形状整合可能な高分子材料の層を示し、参照符号14は、絶縁高分子材料の層を示し、参照符号16は、パターン化された金属被覆を示し、参照符号18は、レザバーを示している。
【0024】
本発明の別の好ましい実施の形態では、ハイブリッド複合材料は、ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つの第1の層と、パリレンの第2の層と、マイクロ電極アレイと、を含み、マイクロ電極アレイは、パリレンの第2の層内に閉じ込められ、ポリジメチルシロキサンの第1の層と直接接触していない。
【0025】
本発明のハイブリッド複合材料は、形状整合可能な高分子材料および絶縁高分子材料の望ましい特性を相乗作用的に組み合わせ、それによって、ハイブリッド複合材料は、複雑な生体系と境界を接する植え込み可能な医療装置用に、理想的である。より詳しくは、本発明のハイブリッド複合材料の多くの結合可能性によって、閉ループの能動の植え込み可能な装置の製造で必要なICおよび電力の統合が可能になる。本発明のハイブリッド複合材料の第1の層の形状整合可能な高分子材料がオルガノポリシロキサンであり、本発明のハイブリッド複合材料の第2の層の絶縁高分子材料がパリレンである場合、オルガノポリシロキサンの層が、周囲の組織と境界を接するために必要な柔らかさおよび整合可能性を提供し、一方で、パリレンの層が、能動の医療用インプラントを保護するために必要な絶縁性および頑健性を提供する。オルガノポリシロキサンおよびパリレンは両方とも、コンタクトレンズ、胸部インプラント、および、カテーテルチューブのような多くの医療装置で用いられてきた生体適合性材料である。オルガノポリシロキサンおよびパリレンは、連続した層が堆積されパターン化されてマイクロ機械構造が作製される表面マイクロ機械加工の用途で成功裡に用いられてきたので、本発明のハイブリッド複合材料は、マイクロ製造技術と医療装置の製造との統合を提供し、それによって、より低コストで多量の生産を導くバッチ製造プロセスの能力を提供する。事実、本発明のハイブリッド複合材料の重量当りの材料コストは、シリコン(silicon)またはガラスの重量当りの材料コストよりも少ない。
【0026】
本発明のハイブリッド複合材料は、周囲の組織の機械的な性質に整合するためのコンプライアンス性と、機械的な負荷を支持するための十分な強度と、の両方を有している。すなわち、本発明のハイブリッド複合材料は、身体と共に動くための可撓性および伸縮性を有するだけでなく、その他の植え込まれたコンポーネントを支持するための基板として役立つための強度をも有している。ヤング率は、弾性係数としても知られるが、これは与えられた材料の剛性の尺度である。弾性係数のSI単位は、パスカル(Pa)である。表1は、さまざまな材料のヤング率の比較を示している。
【表1】


【0027】
本発明のハイブリッド複合材料の機械的な性質は、形状整合可能な高分子材料(例えば、オルガノポリシロキサン)の第1の層の絶縁高分子材料(例えば、パリレン)の第2の層に対する比率を調節することによって、変更できる。例えば、本発明のハイブリッド複合材料の機械的な性質は、形状整合可能な高分子材料の第1の層、および、絶縁高分子材料の第2の層の厚みを調節して変更できる。典型的には、本発明のハイブリッド複合材料の剛性は、絶縁高分子材料の第2の層の厚みが増加すると、増加する。したがって、形状整合可能な高分子材料の第1の層の、絶縁高分子材料の第2の層に対する比率は、意図される用途および応用上の必要に応じて調整される。より詳しくは、形状整合可能な高分子材料の第1の層および絶縁高分子材料の第2の層の厚みは、個別に調節されてよい。前述された厚みの範囲が、この調節に用いられてよい。さらに、形状整合可能な高分子材料の第1の層の剛性は、硬化温度および硬化時間によって調節されてよい。
【0028】
本発明のハイブリッド複合材料は、さまざまな形状を有してよい。本発明のハイブリッド複合材料の形状は、複合材料がその表面に配置される基板の外形に応じて調節されてよい。
【0029】
本発明のハイブリッド複合材料は、医療用インプラントまたは医療用インプラントのコンポーネントの表面に配置されることに、または、医療用インプラントまたは医療用インプラントのコンポーネント内に一体化されることに、適しており、特に、能動の植え込み可能な医療装置または植え込み可能な医療装置のコンポーネントの表面に配置されることに、または、能動の医療用インプラントまたは医療用インプラントのコンポーネント内に一体化されることに、適しており、その理由は、本発明のハイブリッド複合材料が、電力およびデータを無線式で受信するために集積回路チップおよびサポートする電子コンポーネントと接続できるからである。本発明に適した植え込み可能な医療装置の例として、以下に限定されないが、人工内耳(cochlear implants)、網膜インプラント、胃バンド、神経刺激装置、筋肉刺激装置、植え込み可能な薬剤送達装置、眼内装置、および、さまざまな能動の植え込み可能な医療装置、などを含む。能動の植え込み可能な医療装置に一体化された場合、本発明のハイブリッド複合材料は、組織に電気的に接続された、または、組織から絶縁された、装置からの電気的な刺激を受け取ることができ、その刺激の形態には、以下に限定されないが、組織に直接加えられた電流もしくは電圧、静電界、静磁界、もしくは、静電界と静磁界の組み合わせ、時間的に変化する電界もしくは磁界、または、電気的に変化する電界と磁界の組み合わせ、ならびに、電波(radio wave)、マイクロ波、赤外線、可視光線、および、紫外線、のような電磁界、などを含む。電気エネルギーを本発明のハイブリッド複合材料に供給するために用いられてよいさまざまな装置には、以下に限定されないが、コイル、インダクタ、ダイポールアンテナ、および、対数周期アンテナ、のようなアンテナ、電界放出装置(field-emission devices)、電極、ならびに、電極アレイ、などを含む。これらの電気エネルギー供給装置のいずれもが、組織を通り組織全体にわたる電界、電圧、および、電流、を変更し最適化できるようにするために、3Dの構成および行列に展開されてよい。電気エネルギーの供給は、ある波形で時間的に変化してよく、その波形は、以下に限定されないが、正弦波、方形波、オン/オフ/正/負のパルス、および、それらの組み合わせ、などを含む。超音波エネルギーが、供給源を用いて供給されてもよく、その供給源は、以下に限定されないが、圧電供給源、電歪供給源(electrostrictive sources)、電磁供給源、紫外線、赤外線、および、マイクロ波、などを含む。
【0030】
本発明の別の態様では、ハイブリッド複合材料形成方法が、基板を提供する過程と、基板の少なくとも1つの表面に形状整合可能な高分子材料の層を配置する過程と、形状整合可能な高分子材料の層を部分的に硬化させる過程と、絶縁高分子材料の層を形成するために、部分的に硬化した形状整合可能な高分子材料の層の表面に絶縁高分子材料を配置する過程と、絶縁高分子材料の層の表面に1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを配置する過程と、および、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを絶縁高分子材料の被膜で部分的にまたは完全に保護する過程と、を含む。
【0031】
前記の方法では、最初に、形状整合可能な高分子材料が、高分子材料の公知の前駆物質から、当業者に知られた方法によって、準備される。好ましくは、形状整合可能な高分子材料は、オルガノポリシロキサンである。次に、形状整合可能な高分子材料は、公知の手段によって、物品の少なくとも1つの表面に堆積されて、形状整合可能な高分子材料の層が形成される。形状整合可能な高分子材料は、所望の厚みおよび形状で、物品の表面に、スピンコート、キャストコーティング(cast)、モールドコーティング(molded)、噴霧コーティング、または、浸漬コーティング、によって形成されてよい。高分子材料の厚みは、硬化剤の高分子材料に対する比率を変えることによって、または、有機溶剤を加えることによって、調整されてよい。本発明のある実施の形態では、有機溶剤は、トルエンである。本発明のより好ましい実施の形態では、形状整合可能な高分子材料は、PDMSである。
【0032】
本発明のある実施の形態では、形状整合可能な高分子材料の層は、1つ以上の受動のコンポーネントを組み込むために、当業者に知られたリソグラフ技術によって、さらにパターン化される。本発明に適した1つ以上の受動のコンポーネントには、以下に限定されないが、通路、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、プラグ、溝、および、それらの組み合わせ、などがある。
【0033】
次に、結果として得られた形状整合可能な高分子材料の層は、部分的に硬化している、すなわち、不完全に硬化している。形状整合可能な高分子材料の部分的なまたは不完全な硬化は、本発明の方法の本質的な過程であり、その理由は、部分的または不完全な硬化が、形状整合可能な高分子材料の新鮮さを維持し、したがって、形状整合可能な高分子材料の表面に堆積される絶縁高分子材料の接着性を改善するためである。「部分的な硬化(partial cure)」または「不完全な硬化(incomplete cure)」は、硬化時間が通常のまたは標準的な硬化時間より実質的に短い硬化プロセスを意味する。好ましくは、そのような部分的なまた不完全な硬化の硬化時間は、通常のまたは標準的な硬化時間の約50%以下である。そのような部分的なまたは不完全な硬化での硬化温度は、通常のまたは標準的な硬化温度以下である。本発明のある好ましい実施の形態では、高分子材料はPDMSである。部分的な硬化過程では、PDMSは、約20分から約60分までの時間にわたる約60℃から約70℃までの温度で、部分的に硬化し、PDMSに対する標準的な硬化時間は、約60℃から約70℃までの温度で約4時間である。
【0034】
部分的な硬化過程の後に、絶縁高分子材料が形状整合可能な高分子材料の層の表面に堆積されて、絶縁高分子材料の層を形成する。好ましくは、絶縁高分子材料は、パリレン、シリコンカーバイド、または、他の蒸着された絶縁ポリマー、である。好ましくは、絶縁高分子材料は、蒸着法を用いて堆積される。例えば、パリレンの堆積は、典型的には、真空中で気相プロセスを用いて行われ、そのプロセスが、固体の結晶二量体(crystalline dimer)を気体の形態に変換し、次に、安定な単量体の気体に変換して、最後に、ポリマーに変換する。
【0035】
本発明のある実施の形態では、絶縁高分子材料の層の表面は、絶縁高分子材料が堆積された後に、有機溶剤によって洗浄される。絶縁高分子材料の層を洗浄するための適切な有機溶剤は、以下に限定されないが、エタノール、および、イソプロパノール(isopropynol)、などを含む。絶縁高分子材料の洗浄された表面は、次に、清浄な空気、窒素、または、不活性ガス、で乾燥させられる。次に、絶縁高分子材料の層の表面は、酸素プラズマで処理される。典型的には、酸素プラズマでの処理は、プラズマシステムに応じて、約100ワットから約150ワットまでで、約1分から約10分までの時間にわたって、行われる。
【0036】
次に、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントが、当業者に知られた方法によって、絶縁高分子材料の層の表面に設けられる。本発明の1つ以上の受動のコンポーネントには、以下に限定されないが、通路、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、プラグ、溝、および、それらの組み合わせ、などがある。本発明の1つ以上の能動のコンポーネントは、任意の電気的コンポーネントであってよい。1つ以上の能動のコンポーネントの例は、以下に限定されないが、パターン化された金属被覆、マイクロ電極アレイ、化学センサー、生物学的センサー、回路、および、それらの組み合わせ、などを含む。本発明の好ましい実施の形態では、1つ以上の能動のコンポーネントは、パターン化された金属被覆である。パターン化された金属被覆は、以下に限定されないが、Ti、Cr、Au、Ag、Pt、Ir、Ni、Zn、および、それらの組み合わせ、などを含む金属、を含む。炭素も、本発明のパターン化された金属被覆で用いられてよい。好ましくは、本発明のパターン化された金属被覆は、炭素、前記の金属、または、それらの組み合わせ、を含んでいる。パターン化された金属被覆を配置するための適切な方法は、以下に限定されないが、金属の蒸着、導電性インクのスクリーン印刷、化学的にエッチングされた金属の集積化(integration)、絶縁高分子材料の表面への金属の化学的なエッチング、レーザーエッチングされた金属の集積化、および、絶縁高分子材料の表面への金属の直接のレーザーエッチング、などを含む。より詳しくは、金属の蒸着には、以下に限定されないが、スパッタリングによる堆積、電子ビームによる堆積、および、熱蒸着(thermal evaporation)、などがある。
【0037】
1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントは、次に、保護のために、部分的にまたは完全に、皮膜で保護される。すなわち、絶縁高分子材料の層を形成するために堆積される絶縁高分子材料が、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネント、および、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントによって覆われていない絶縁高分子材料の層の部分、の上に配置される。本発明のある実施の形態では、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントは、絶縁高分子材料内に閉じ込められている。本発明の別の実施の形態では、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントは、電気的接触のために必要な領域のみを露出させて、絶縁高分子材料によって部分的に覆われている。言い換えれば、1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントは、絶縁高分子材料内に部分的にまたは完全に埋め込まれている。
【0038】
本発明のハイブリッド複合材料は、当業者に知られたリソグラフ技術を用いて、さらにパターン化されてよい。
【0039】
本発明が、本発明の好ましい実施の形態に関して具体的に示され説明されたが、当業者には、形態および細部の前述のまたはその他の変更が、本発明の精神および範囲を逸脱せずに行われてもよいことが、理解されるであろう。したがって、本発明が、記載され図示された正確な形態および細部に限定されず、添付の特許請求の範囲に含まれることが、意図されている。本発明に詳細に記載したが、新規の、および特許証によって保護されるものとして請求する事項は以下の通りである。
【0040】
〔実施の態様〕
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)ハイブリッド複合材料において、
形状整合可能な高分子材料の少なくとも1つの第1の層と、
前記形状整合可能な高分子材料の第1の層の表面に設けられた絶縁高分子材料の第2の層と、
1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントと、
を具備し、
前記1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントが、前記形状整合可能な高分子材料の第1の層、または、前記絶縁高分子材料の第2の層内に、部分的にまたは完全に埋め込まれている、
ハイブリッド複合材料。
(2)実施態様(1)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントが、前記絶縁高分子材料の第2の層内に完全に埋め込まれ、前記形状整合可能な高分子材料の第1の層と直接接触していない、ハイブリッド複合材料。
(3)実施態様(1)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記形状整合可能な高分子材料が、エラストマー、ヒドロゲル、または、生体溶解性ポリマーである、ハイブリッド複合材料。
(4)実施態様(3)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記エラストマーが、オルガノポリシロキサン(organopolysiloxane)、または、ポリウレタンである、ハイブリッド複合材料。
(5)実施態様(4)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記オルガノポリシロキサンが、ポリジメチルキロキサンである、ハイブリッド複合材料。
(6)実施態様(1)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記絶縁高分子材料が、パリレン、または、シリコンカーバイド(炭化ケイ素)(silicon carbide)である、ハイブリッド複合材料。
(7)実施態様(6)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記パリレンが、パリレンC、パリレンN、パリレンD、パリレンF、または、それらの混合物である、ハイブリッド複合材料。
(8)実施態様(1)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記形状整合可能な高分子材料の第1の層が、約1μmから約10mmまでの厚みを有する、ハイブリッド複合材料。
(9)実施態様(1)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記絶縁高分子材料の第2の層が、約1nmから約50μmまでの厚みを有する、ハイブリッド複合材料。
(10)実施態様(1)または(2)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントが、パターン化された金属被覆、マイクロ電極アレイ、化学センサー、生物学的センサー、電気的センサー、集積回路、変換器、トランジスタ、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、ハイブリッド複合材料。
【0041】
(11)実施態様(10)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記パターン化された金属被覆が、
炭素、
Ti、Cr、Au、Ag、Pt、Ir、Ni、Zn、および、それらの合金、からなる群から選択された金属、または、
前記炭素および前記金属の組み合わせ、
を含む、
ハイブリッド複合材料。
(12)実施態様(1)に記載のハイブリッド複合材料において、
前記1つ以上の受動のコンポーネントが、通路(via)、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、プラグ、溝、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、ハイブリッド複合材料。
(13)ハイブリッド複合材料を形成する方法において、
基板を提供する過程と、
前記基板の少なくとも1つの表面に形状整合可能な高分子材料の層を配置する過程と、
前記形状整合可能な高分子材料の層を部分的に硬化させる過程と、
前記部分的に硬化した形状整合可能な高分子材料の層の表面に絶縁高分子材料を配置し、絶縁高分子材料の層を形成する過程と、
前記絶縁高分子材料の層の表面に1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを配置する過程と、
前記1つ以上の能動および/または受動のコンポーネントを、前記絶縁高分子材料の皮膜で部分的にまたは完全に保護する過程と、
を含む、方法。
(14)実施態様(13)に記載の方法において、
前記形状整合可能な高分子材料が、エラストマー、ヒドロゲル、または、生体溶解性ポリマーである、方法。
(15)実施態様(14)に記載の方法において、
前記エラストマーが、オルガノポリシロキサン、または、ポリウレタンである、方法。
(16)実施態様(15)に記載の方法において、
前記オルガノポリシロキサンが、ポリジメチルキロキサンである、方法。
(17)実施態様(13)に記載の方法において、
前記絶縁高分子材料が、パリレン、または、シリコンカーバイドである、方法。
(18)実施態様(17)に記載の方法において、
前記パリレンが、パリレンC、パリレンN、パリレンD、パリレンF、または、それらの混合物である、方法。
(19)実施態様(13)に記載の方法において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントが、パターン化された金属被覆、マイクロ電極アレイ、化学センサー、生物学的センサー、電気的センサー、集積回路、変換器、トランジスタ、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、方法。
(20)実施態様(19)に記載の方法において、
前記パターン化された金属被覆が、
炭素、
Ti、Cr、Au、Ag、Pt、Ir、Ni、Zn、および、それらの合金、からなる群から選択された金属、または、
前記炭素および前記金属の組み合わせ、
を含む、
方法。
【0042】
(21)実施態様(15)に記載の方法において、
部分的に硬化させる前記過程が、オルガノポリシロキサンを硬化させるための通常のまたは標準的な時間よりも実質的に短い時間にわたって前記オルガノポリシロキサンの層を硬化させるプロセスである、方法。
(22)実施態様(15)に記載の方法において、
部分的に硬化させる前記過程が、オルガノポリシロキサンを硬化させるための通常のまたは標準的な時間の50%以下の時間にわたって前記オルガノポリシロキサンの層を硬化させるプロセスである、方法。
(23)実施態様(22)に記載の方法において、
部分的に硬化させる前記過程が、約60℃から約70℃までの温度で、約20分から約60分までの時間にわたって行われる、方法。
(24)実施態様(13)に記載の方法において、
前記絶縁高分子材料が、蒸着重合プロセスを用いて配置される、方法。
(25)実施態様(13)に記載の方法において、
前記1つ以上の能動のコンポーネントを部分的にまたは完全に皮膜で保護する前記過程が、前記絶縁高分子材料を、前記1つ以上の能動のコンポーネントの上、および、前記絶縁高分子材料の層の、前記1つ以上の能動のコンポーネントによって覆われていない部分の上に配置し、前記絶縁高分子材料内に前記1つ以上の能動のコンポーネントを部分的にまたは完全に埋め込む過程を含む、方法。
(26)実施態様(13)に記載の方法において、
前記絶縁高分子材料の層の表面に1つ以上の能動のコンポーネントを配置する前に、前記絶縁高分子材料の層が酸素プラズマで処理される、方法。
(27)実施態様(13)に記載の方法において、
前記形状整合可能な高分子材料の層を部分的に硬化させる前に、前記形状整合可能な高分子材料の層が1つ以上の受動のコンポーネントを組み込むようにパターン化される、方法。
(28)実施態様(27)に記載の方法において、
前記1つ以上の受動のコンポーネントが、通路、チャネル、レザバー、接続ポート、弁、プラグ、溝、および、それらの組み合わせ、からなる群から選択される、方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】パターン化された金属被覆が絶縁高分子材料内に完全に埋め込まれた、ハイブリッド複合材料のある実施の形態の模式図(pictorial illustration)である。
【図1B】パターン化された金属被覆が絶縁高分子材料内に部分的に埋め込まれた、ハイブリッド複合材料のある実施の形態の模式図である。
【図1C】パターン化された金属被覆が絶縁高分子材料内に閉じ込められ、形状整合可能な高分子材料の層がその中に組み込まれたレザバーを有する、ハイブリッド複合材料のある実施の形態の模式図である。




 

 


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