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発明の名称 改善された薬剤放出特性を備えた薬剤溶出物品
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−190369(P2007−190369A)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
出願番号 特願2006−337295(P2006−337295)
出願日 平成18年12月14日(2006.12.14)
代理人 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭
発明者 ロバート・ファロティコ / ジョナソン・ゼット・チャオ
要約 課題
改善された薬剤放出特性を有する薬剤溶出物品を提供する。

解決手段
この発明は、改善された薬剤放出特性を提供するように配され、かつ、構成された複数のポリマー皮膜を備えた薬剤溶出物品に関するものである。具体的には、この発明は、基体と、この基体上に配された第1のポリマー層と、この第1のポリマー層上に配された第2のポリマー層とを含む薬剤溶出物品に関するものである。第1のポリマー層は、少なくとも一つの第1の生体適合性ポリマーと、この第1の生体適合性ポリマーに内包された少なくとも一つの第1の薬理活性化合物とを含む。第2のポリマー層は、第1の生体適合性ポリマーより高い分解特性を有する少なくとも一つの第2の生体適合性ポリマーを含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
薬剤溶出物品において、
基体と、
前記基体上に配された第1のポリマー層であって、少なくとも一つの第1の生体適合性ポリマー、および該第1の生体適合性ポリマーに内包された少なくとも一つの第1の薬理活性化合物、を含む、第1のポリマー層と、
前記第1のポリマー層上に配された第2のポリマー層であって、前記第1の生体適合性ポリマーより高い分解特性を有する少なくとも一つの第2の生体適合性ポリマーを含む、第2のポリマー層と、
を含む、薬剤溶出物品。
【請求項2】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の生体適合性ポリマーは、生体安定性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、生物分解性を有している、
薬剤溶出物品。
【請求項3】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い分子量を有している、
薬剤溶出物品。
【請求項4】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより高い親水性を有している、
薬剤溶出物品。
【請求項5】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い結晶化度を有している、
薬剤溶出物品。
【請求項6】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生体安定性を有しており、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の薬理活性化合物と同一または非同一の薬理活性化合物を内包し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより速い薬剤放出特性を有している、
薬剤溶出物品。
【請求項7】
請求項6記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の生体適合性ポリマーには、前記第1の生体適合性ポリマー内の前記第1の薬理活性化合物より高い濃度で、薬理活性化合物が存在している、薬剤溶出物品。
【請求項8】
請求項6記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い結晶化度を有している、薬剤溶出物品。
【請求項9】
請求項6記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い疎水性を有している、薬剤溶出物品。
【請求項10】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(アルキルメタクリラート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸とグリコール酸とのコポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリホスホエステル、ポリオルトエステル、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ジアキサノン)、ポリ(ヒドロキシバレラート)、ポリ(ヒドロキシブチラートーコバレラート)、ポリ(グリコリドーコトリメチレンカルボナート)、ポリ無水化合物、ポリホスホエステル、ポリ(エステルーアミド)、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ(ホスホエステルーウレタン)、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリラート、フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ヒアルロン酸、ならびに、これらの物質の混合物およびコポリマーからなる群より、個別に、選択される、薬剤溶出物品。
【請求項11】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層は、前記第2の生体適合性ポリマーに内包される第2の異なる薬理活性化合物をさらに含む、薬剤溶出物品。
【請求項12】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層は、前記第2の生体適合性ポリマーに内包される前記第1の薬理活性化合物をさらに含み、
前記第2のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度とは異なる濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、
薬剤溶出物品。
【請求項13】
請求項12記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度より高い濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、薬剤溶出物品。
【請求項14】
請求項12記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度より低い濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、薬剤溶出物品。
【請求項15】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、抗炎症化合物、抗腫瘍化合物、免疫抑制化合物、抗再狭窄化合物、および抗血栓形成化合物、からなる群より選択される、薬剤溶出物品。
【請求項16】
請求項15記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、ラパマイシン、あるいは、ラパマイシンの誘導体もしくは類似体である、薬剤溶出物品。
【請求項17】
請求項16記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、エベロリムス、バイオリムス、ゾタロリムス、ピメクロリムス、およびタクロリムス、からなる群より選択されるラパマイシンの誘導体または類似体である、薬剤溶出物品。
【請求項18】
請求項15記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ阻害剤(PI3キナーゼ阻害剤)である、薬剤溶出物品。
【請求項19】
請求項18記載の薬剤溶出物品において、
前記PI3キナーゼ阻害剤は、ワートマニン、または、PX867、PX866、ビリジオール、ビルジン、およびデメトキシビリジンからなる群より選択されるワートマニンの誘導体もしくは類似体、である、薬剤溶出物品。
【請求項20】
請求項15記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、ドセタキセル、パクリタキセルからなる群より選択されるタキサン、または、タキサンの誘導体もしくは類似体である、薬剤溶出物品。
【請求項21】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、蛋白質、オリゴペプチド、ポリペプチド、DNA、リボ核酸、DNAプラスミド、siRNA、およびアンチセンス分子、からなる群より選択される生物活性高分子量体である、薬剤溶出物品。
【請求項22】
請求項11記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の薬理活性化合物は、抗炎症化合物、抗腫瘍化合物、免疫抑制化合物、抗再狭窄化合物、および抗血栓形成化合物からなる群より選択される、薬剤溶出物品。
【請求項23】
請求項11記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、抗再狭窄化合物であり、
前記第2の薬理活性化合物は、抗血栓形成化合物、あるいは抗炎症化合物である、
薬剤溶出物品。
【請求項24】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層上に配された第3のポリマー層、
をさらに含み、
前記第3のポリマー層は、前記第1および第2の生体適合性ポリマーの分解特性より高い分解特性を有する少なくとも一つの第3の生体適合性ポリマーを含む、
薬剤溶出物品。
【請求項25】
請求項24記載の薬剤溶出物品において、
前記第3のポリマー層は、前記第1および/または第2のポリマー層に含まれる薬理活性化合物と同一または非同一の薬理活性化合物を含む、薬剤溶出物品。
【請求項26】
請求項25記載の薬剤溶出物品において、
前記第3のポリマー層は、前記第3の生体適合性ポリマーに内包される前記第1の薬理活性化合物をさらに含み、
前記第3のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度と異なる濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、
薬剤溶出物品。
【請求項27】
請求項24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1、第2および第3の生体適合性ポリマーは、すべて、生物分解性を有している、薬剤溶出物品。
【請求項28】
請求項24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の生体適合性ポリマーは、生体安定性を有し、
前記第2および第3の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有している、
薬剤溶出物品。
【請求項29】
請求項24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生体安定性を有し、
前記第3の生体適合性ポリマーは、生物分解性を有している、
薬剤溶出物品。
【請求項30】
請求項24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1、第2および第3の生体適合性ポリマーは、すべて、生物安定性を有している、薬剤溶出物品。
【請求項31】
請求項24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1、第2および第3の生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(アルキルメタクリラート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸とグリコール酸とのコポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリホスホエステル、ポリオルトエステル、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ジアキサノン)、ポリ(ヒドロキシバレラート)、ポリ(ヒドロキシブチラートーコバレラート)、ポリ(グリコリドーコトリメチレンカルボナート)、ポリ無水化合物、ポリホスホエステル、ポリ(エステルーアミド)、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ(ホスホエステルーウレタン)、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリラート、フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ヒアルロン酸、ならびに、これらの物質の混合物およびコポリマーからなる群より、個別に、選択される、薬剤溶出物品。
【請求項32】
請求項24記載の薬剤溶出物品において、
前記第3のポリマー層上に配された一つまたはそれ以上の追加のポリマー層、
をさらに含む、薬剤溶出物品。
【請求項33】
請求項32記載の薬剤溶出物品において、
少なくとも一つの前記追加のポリマー層は、前記第1、第2および/または第3のポリマー層に含まれる薬理活性化合物と同一または非同一の薬理活性化合物を含む、薬剤溶出物品。
【請求項34】
請求項1記載の薬剤溶出物品において、
ステント、ステント用移植片、吻合機器、血管用移植片、血管用パッチ、房室用シャント、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、およびフィルタ、からなる群より選択される植え込み可能な医療機器、
を含む、薬剤溶出物品。
発明の詳細な説明
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
この発明は、薬理学的に活性な成分を制御して局所送達するための薬剤溶出物品に関するものである。より詳細には、この発明は、改善された薬剤放出特性を提供するように配され、かつ、構成された複数のポリマー皮膜を備えた薬剤溶出物品に関するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
近年、例えば、ステント、ステント用移植片、吻合機器、血管用移植片、血管用パッチ、房室用シャント、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーンおよびフィルタ等、植え込み可能な薬剤溶出用医療機器は、薬剤の局所送達を制御し、かつ、維持するのに有効な手段として、いっそう、容認されてきている。種々の薬剤溶出用皮膜材料は、伝統的で植え込み可能な医療機器の表面に塗布され、これにより伝統的で、被覆されていない機器による基本的な機械特性に加えて、所望の薬理学的効果を他の薬理効果をもたない機器に分け与えることができる。
【0003】
典型的には、薬剤溶出用皮膜は、一つまたはそれ以上の生体適合性ポリマーと、このポリマー内に内包された、所望の薬理学的に活性な成分とを含むものである。このような植え込み可能な薬剤溶出用医療機器を植え込んだ後に、所望の薬理学的に活性な成分(例えば、抗炎症剤および抗腫瘍形成剤等)は、機器の表面から局所環境内へ維持制御された方法で、ゆっくりと放出される。植え込み可能な薬剤溶出用医療機器によって達成される上記のような薬剤の局所送達では、体内全体で薬剤の濃度を十分に上昇させないことから、系統的な薬剤投与(例えば、静脈、経口あるいは非経口による投与)に共通して関連する薬剤の潜在的な中毒効果を実質的に低下させることになる。さらに、植え込み可能な薬剤溶出用医療機器によって達成されるように、所望の薬理学的に活性な成分の濃度を局所で高め、かつ、体組織での滞留時間を長引かせることは、標的となっている病変部位への有効な治療を保証することになる。
【0004】
しかしながら、時間を関数として座標にとった放出薬剤濃度によって規定される植え込み可能な医療機器の薬剤放出特性は、典型的には、使用される皮膜材料の物理的および化学的な特性、膜厚、および皮膜中の薬剤濃度によって限定される。現在入手可能であり、植え込み可能な薬剤溶出用医療機器の大半は、最適とはいえない薬剤放出特性を示している。これらの医療機器の一部では、植え込みの初日中に薬剤量の70%がダンピングするような急速すぎる薬剤放出特性か、あるいは植え込んで最初の半年後に薬剤量の約10%しか放出されないように遅すぎる薬剤放出特性かのいずれかを有している。これらの薬剤放出設計上の欠点は、上述のような薬剤溶出用医療機器の効力を著しく低下させる。
【0005】
さらに、植え込み可能な医療機器によって治療されるべき多くの疾患は、多面的であり、最適で、かつ、長期間持続する効力を達成するために一つ以上の治療剤が調和して作用する必要がある。例えば、血管形成術後あるいは露出した金属ステント植え込み後における動脈硬化性冠動脈が再び狭くなる、再狭窄は、手術すなわちステント植え込み後に、一連の病理学的事象によって引き起こされる。したがって、再狭窄の様々な段階での様々な容態を治療するために、植え込み可能な医療機器の皮膜中に多くの治療剤を含めることが望ましい。さらに、皮膜中に含有された主な治療剤に都合よく反応しない特定の部分母集団の患者を治療するための治療剤を追加して含めることも望ましい。
【0006】
あいにく、一つ以上の治療剤を送達するために具体的に設計され、かつ、構成された植え込み可能な薬剤溶出用医療機器は現在、ほとんど入手できない状況であり、複数の治療剤を時間差で最適に送達して疾患の様々な段階での様々な容態を治療するために、具体的に設計され、かつ、構成された植え込み可能な薬剤溶出用医療機器は、なおさら入手できない。
【0007】
したがって、一つまたはそれ以上の治療剤を最適に送達するために薬剤放出特性を正確に制御するように改善された薬剤溶出物品が必要とされている。また、疾患の様々な段階での様々な容態を治療するために、複数の治療剤を時間差で送達できるように改善された薬剤溶出物品も必要とされている。
【0008】
〔発明の概要〕
この発明は、一つの態様では、
基体と、
この基体上に配された第1のポリマー層であって、少なくとも一つの第1の生体適合性ポリマーと、この第1の生体適合性ポリマーに内包された少なくとも一つの第1の薬理活性化合物とを含む、第1のポリマー層と、
この第1のポリマー層上に配された第2のポリマー層であって、第1の生体適合性ポリマーより高い分解特性を有する少なくとも一つの第2の生体適合性ポリマーを有する第2のポリマー層と、
を含む薬剤溶出物品に関するものである。
【0009】
この明細書で使用されるような用語「ポリマー」あるいは「ポリマー性」とは、ホモポリマー類、コポリマー類あるいはこれらのポリマーの混合物とされる一つまたはそれ以上のポリマーを含む、いかなる材料、組成物、構造物あるいは物品(article)を意味する。
【0010】
この明細書で使用されるような用語「生体適合性」とは、生体組織すなわち生体システムに対して基本的に中毒的あるいは損傷的な影響を与えない、いかなる材料、組成物、構造物あるいは物品を意味し、これら材料、組成物、構造物あるいは物品は、上記のような生体組織すなわち生体システムに接触して、基本的に免疫反応を生じさせるものではない。より詳細には、上記のような材料、組成物、構造物あるいは物品は、これら材料、組成物、構造物あるいは物品に接触した状態にある生体組織すなわち生体システムの細胞の成長性および他の所望の特性に対して基本的に不利な影響を与えない。概ね、材料、組成物、構造物あるいは物品の生体適合性を検査する方法は、この技術分野において周知である。
【0011】
この明細書で使用されるような用語「分解」とは、長期間にわたって、生理学的な環境で植え込みされた物品あるいはこの物品上に配された皮膜の漸進的な再吸収を意味する。この再吸収プロセスは、短期間(例えば、数時間)あるいは長期間(例えば、数年間)にわたって行われてもよい。再吸収プロセスは、材料の加水分解、あるいは酵素プロセスを経由した加水分解、あるいはその両方の加水分解の組合せ、ならびに他の因子の結果として生じてもよい。この明細書で使用されるような用語「分解速度」あるいは「分解特性」とは、植え込みされた物品あるいはこの物品上に配された皮膜の再吸収が生じる速度を意味する。例えば、この発明において、より高い分解特性とは、より速い再吸収速度、あるいは再吸収プロセスを終了するのに必要な短い時間を意味する。
【0012】
この発明の好適な実施の形態では、第2のポリマー層は、第2の生体適合性ポリマーに内包されるように、異なる第2の薬理活性化合物をさらに含む。これに代えて、第2のポリマー層には、第2の生体適合性ポリマーに内包されているが、好ましくは第1のポリマー層内の第1の薬理活性化合物の濃度とは異なる(すなわち、当該濃度より高いか、あるいは低い)濃度(重量%による測定値)で含まれる第1の薬理活性化合物を含めてもよい。
【0013】
この発明の薬剤溶出物品には、第2のポリマー層上に配された第3のポリマー層をさらに含めてもよい。第3のポリマー層は、第1および第2のポリマー層内の第1および第2の生体適合性ポリマーの分解特性よりも高い分解特性を有する少なくとも一つの第3の生体適合性ポリマーを含む。第3のポリマー層は、必須ではないが、好適には、第1および/または第2のポリマー層内に含まれている薬理活性化合物と同一または非同一のいずれかの薬理活性化合物を含む。第3のポリマー層も第1の薬理活性化合物を含む場合には、第3のポリマー層内の第1の薬理活性化合物の濃度が第1のポリマー層内の第1の薬理活性化合物の濃度と異なる(すなわち、当該濃度より高いか、あるいは低い)ことが好ましい。
【0014】
この発明の薬剤溶出物品には、上述したように、第3のポリマー層上に一つまたはそれ以上のポリマー層を追加して含めてもよい。このような追加のポリマー層には、薬理活性化合物を含めてもよく、あるいは含めなくてもよい。さらに、このような追加のポリマー層によって含まれた薬理活性化合物は、もし存在するなら、第1、第2および/または第3のポリマー層内に含まれた薬理活性化合物と同一あるいは非同一のいずれかでもよい。
【0015】
この発明の薬剤溶出物品は、必須ではないが、好適には、ステント、ステント用移植片、吻合機器、血管用移植片、血管用パッチ、房室用シャント、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーンおよびフィルタからなる群より選択される植え込み可能な医療機器である。
【0016】
この発明の他の態様、特徴および利点は、次の開示内容および添付の特許請求の範囲から、より完全に明白になるはずである。
【0017】
〔この発明の詳細な記述およびその好適な実施の形態〕
次の記述では、特定の材料、化合物、化学式、構造、機器およびこれらを製造あるいは使用する方法など、多くの特定の細部が、この発明を完全に理解するために、明らかにされている。しかしながら、この発明の属する技術分野における当業者によって、この発明が上述の特定の細部なしに実施されてもよいと正当に評価されるはずである。他の例では、周知の材料、構造あるいは各ステップの処理は、この発明を不明瞭にすることを避けるために、詳細に記述されていない。
【0018】
この発明は、少なくとも一つの第1のポリマー層と、一つまたはそれ以上の第2のポリマー層とを含む薬剤溶出物品を提供するものである。第1のポリマー層は、一つまたはそれ以上の第一の薬理活性化合物を含み、疾患治療用の第1の薬理活性化合物の送達を制御し、かつ、維持するために、この発明の薬剤溶出物品の基体上に被覆されている。一つまたはそれ以上の第2のポリマー層は、薬剤溶出物品の薬剤放出特性を調節し、かつ、改善するために、薬理活性化合物を含む第1のポリマー層上に形成されている。
【0019】
この発明の薬剤溶出物品の第2のポリマー層には、いかなる薬理活性化合物を含めてもよく、あるいは含めなくてもよい。しかしながら、この発明の数種の好適な実施の形態では、一つまたはそれ以上の第2のポリマー層は、第1の薬理活性化合物とは異なる一つまたはそれ以上の第2の薬理活性化合物を含む。このような実施の形態では、第2のポリマー層は、複数の治療剤の送達を時間差で達成して疾患の様々な段階での様々な容態を治療するために使用されている。これに代えて、一つまたはそれ以上の第2のポリマー層には、好ましくは異なる濃度で、第1の薬理活性化合物を含めてもよい。この方法では、第2のポリマー層は、第1の薬理活性化合物の放出特性をさらに変更し、かつ、調節するために、使用されている。
【0020】
この発明の薬剤溶出物品の第1および第2のポリマー層は、両層とも、一つまたはそれ以上の生体適合性ポリマーが、相対的に内側の層を形成する生体適合性ポリマーよりも高い分解特性を有する相対的に外側の層を構成することを条件として、当該一つまたはそれ以上の生体適合性ポリマーによって形成されている。換言すれば、この発明の薬剤溶出物品のポリマー層の特徴は、これらのポリマー層のうち、最も内側のポリマー層の分解特性が最も低く、外側のポリマー層の分解特性が相対的により高いという分解特性の勾配にある。この分解特性の勾配は、上記のようなポリマー層の分解が、もし存在するなら、最も外側のポリマー層から始まり、徐々に外側から内側へ進み、これにより、ポリマー層の望ましくない剥離につながるような内側のポリマー層のすべての早すぎる分解を防止することを保証する。
【0021】
最も実用的な状況では、より高い分解特性は、同一のポリマー組成物を与えるものとして、より小さな分子量、より低い結晶性およびより高い非晶質性の構造に関連している。同様の分子量で同様の結晶化度の、異なるポリマー組成物では、疎水性もポリマーの分解特性に影響を及ぼす。詳細には、より高い疎水性で生体安定性のポリマーは、他の因子が等しい場合には、より遅い薬剤放出速度を有することになる。より高い疎水性で生物分解性のポリマーは、薬剤をより遅く放出すると同時に、より遅く分解することになる。
【0022】
したがって、より大きな分子量で、より高い結晶化度および/またはより高い疎水性の生体適合性ポリマーは、この発明において、最も内側またはより内側のポリマー層を形成するのに、より適しているので、このようなポリマーによって形成された層は、同一の溶媒に対する抵抗性が外側のポリマー層よりも高く、これにより外側のポリマー層を連続して被覆することができる。
【0023】
この発明の一つの具体的な実施では、薬剤溶出物品は、基体上に配された、内側の第1のポリマー層と外側の第2のポリマー層とを含む。第1および第2のポリマー層は、両層とも、生体安定性あるいは生物分解性のいずれかを呈することができる生体適合性ポリマーを含み、第2のポリマー層の分解特性が第1のポリマー層の分解特性より高いことが条件とされる。
【0024】
例えば、第1および第2のポリマー層には、両層とも、生体適合性および生体安定性のポリマーを含めてもよいが、第2のポリマー層は、第1のポリマー層より相対的に安定とされる。第1および第2のポリマー層が薬理活性化合物(第1および第2のポリマー層間で同一または非同一の薬理活性化合物)を含む場合には、第2のポリマー層の特徴は、好ましくは、第1のポリマー層より速い薬剤放出特性にある。このような、より速い薬剤放出特性は、より高い薬剤濃度で薬理活性化合物を組み込むことによって、より低い結晶化度のポリマー組成物を用いることによって、あるいは、より低い疎水性ポリマーを用いることによって達成されてもよい。
【0025】
これに代えて、第1のポリマー層には、生体適合性および生体安定性のポリマーを含めてもよく、同時に、第2のポリマー層は、生体適合性および生物分解性のポリマーを含む。
【0026】
さらに、第1および第2のポリマー層には、両層とも、生体適合性および生物分解性のポリマーを含めてもよく、同時に、第2のポリマー層は、第1のポリマー層より相対的により分解特性が高いとされる。例えば、第2のポリマー層は、より低い分子量またはより低い結晶化度のポリマー、あるいはより高い親水性のポリマーによって形成されてもよい。
【0027】
この発明の他の具体的な実施では、薬剤溶出物品は、内側の第1のポリマー層と、中間に位置する第2のポリマー層と、外側の第3のポリマー層とを含む。第1、第2および第3のポリマー層は、すべて、生体安定性あるいは生物分解性のいずれかを呈することができる生体適合性ポリマーを含み、第3のポリマー層の分解特性が第2のポリマー層の分解特性より高く、かつ、第2のポリマー層の分解特性が第1のポリマー層の分解特性より高いことが条件とされる。例えば、第1および第2のポリマー層には、両層とも、生体適合性および生体安定性のポリマーを含めてもよく、同時に、第3のポリマー層は、生体適合性および生物分解性のポリマーを含み、この場合には、第1のポリマー層は第2のポリマー層より相対的に安定性が高いことが条件とされる。これに代えて、第1のポリマー層には、生体適合性および生体安定性のポリマーを含めてもよく、同時に、第2および第3のポリマー層は、両層とも、生体適合性および生物分解性のポリマーを含み、この場合には、第3のポリマー層は第2のポリマー層より相対的に分解特性が高いことが条件とされる。さらに、第1、第2および第3のポリマー層には、すべて、生体安定性のポリマーを含めてもよく、あるいは、これに代えて、第1、第2および第3のポリマー層には、すべて、生物分解性のポリマーを含めてもよいが、このようなポリマー層には上述した分解特性の勾配が存在していることが条件とされる。
【0028】
この発明の薬剤溶出物品には、任意数の追加のポリマー層をさらに含めてもよい。例えば、この発明の薬剤溶出物品には、一つの追加のポリマー層を含めてもよく、これにより、全部で四つのポリマー層を備えた被覆構造となる。これに代えて、この発明の薬剤溶出物品には、二つの追加のポリマー層を含めてもよく、これにより、全部で五つのポリマー層を備えた被覆構造となる。
【0029】
ホモポリマー、コポリマーあるいは二つまたはそれ以上のポリマー類の混合物など、すべての適切なポリマーは、生体適合性であり、かつ、この発明の薬剤溶出物品の基体上にポリマー層を形成するのに使用できる限り、この発明に使用されてもよい。
【0030】
この発明での使用に適した生体適合性および生体安定性のポリマーとしては、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリ(4−メチルー1−ペンテン)(poly(4-methyl-1-pentene))(PMP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン類、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー類(PE/PP)、ポリアミド類、ポリ(エステルアミド)(poly(esteramide))、ポリカプロラクタム、ポリイミド類、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール類、アクリルポリマー類およびアクリルコポリマー類、ポリアクリロニトリル、オレフィン類を有するビニルモノマー類のポリスチレンコポリマー類(スチレンアクリロニトリルコポリマー類、エチレンメチルメタクリラートコポリマー類、エチレンビニルアセテート等)、ポリエーテル類、ブチルゴム、天然ゴム等のエラストマー類、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)、スチレン・イソプレン・ブタジエンスチレン(SIBS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡PTFE(ePTFE)、シリコン類、レーヨン類、セルロース誘導体(酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース等)、パリレンおよびその誘導体、これらの物質の混合物およびコポリマー類が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
この発明での使用に適した生体適合性および生物分解性のポリマー材料としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸とグリコール酸とのコポリマー類(PLGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGとPLGAとのブロックコポリマー類(PEG-PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリホスホエステル、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリ(ヒドロキシブチラート)(poly(hydroxy butyrate))、ポリ(ジアキサノン)(poly(diaxanone))、ポリ(ヒドロキシバレラート)(poly(hydroxy valerate))、ポリ(ヒドロキシブチラート−コバレラート)(poly(hydroxy butyrate-co-valerate))、ポリ(グリコリド−コトリメチレンカルボナート)(poly(glycolide-co-trimethylene carbonate))、ポリ無水化合物(polyanhydrides)、ポリホスホエステル、ポリ(エステル−アミド)(poly(ester-amide))、ポリホスホエステル(polyphosphoeser)、ポリ無水化合物、ポリホスファゼン(polyphosphazene)、ポリ(ホスホエステル−ウレタン)、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリラート、フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲンおよびヒアルロン酸等の生体高分子、これらの物質の混合物およびコポリマー類が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
この発明の少なくとも一つのポリマー層は、好ましくは、PLA、PGA、PLGAおよびこれらの物質の混合物からなる群より選択される生体適合性および生物分解性のポリマー材料を含む。より詳細には、この発明の少なくとも一つのポリマー層は、PLGAのコポリマーを含む。PLA、PGAまたはPLGAのポリマー類は、D配置、L配置およびD/L配置のいずれかであってもよい。この発明の少なくとも一つのポリマー層が、約75/25から約25/75まで、より好ましくは約60/40から約30/70までの範囲のD/L配置比(モル%)で、PLA、PGAまたはPLGAのポリマー類を含むことが望ましい。
【0033】
上述した生物分解性ポリマー類の分解プロセスは、生体内あるいは生体外のいずれかにおいて、調製方法、分子量、組成、化学構造、大きさ、形状、結晶化度、表面構造(surface morphology)、疎水性、ガラス転移温度、投与部位、周辺環境中の物理化学的パラメータ(pH、温度およびイオン強度等)および加水分解のメカニズムを含む複数の因子によって影響を受けている。例えば、生物分解性ポリマーの分解は、特に、ポリマーの親水性に依存しており、すなわち、ポリマーがより親水性であればあるほど、そのポリマーの分解速度は速くなる。ポリマーの親水性は、ポリマー組成およびモノマーの立体化学構造によって決定される非晶質領域に対する結晶領域の比によって影響を受ける。L-PLAおよびPGAから調製されたPLGAコポリマーは、典型的には結晶性コポリマーであるのに対し、D-PLA、L-PLAおよびPGAから調製されたPLGAコポリマーは、典型的には事実上、非晶質である。グリコール酸より疎水性が高い乳酸からは、親水性が低く、乳酸の含有量が高いPLGAコポリマーを調製でき、これにより分解プロセスを遅くすることができる。概ね、低分子量で、親水性が高く、非晶質性が高く、グリコール酸の含有量が高い生物分解性のポリマー類およびコポリマー類では、分解時間が短くなるはずである。上述した変数に従えば、生体内でのD-およびL- PLGAコポリマーの分解は、数週間から1年以上までの範囲で変化する可能性がある。
【0034】
この発明の好適であるが必須ではない実施の形態では、この発明の薬剤溶出物品に含まれた全ポリマー層は、同一タイプの生体適合性および生物分解性のポリマー類を含み、同時に、特定のポリマー層のいずれかに含有されたポリマー類の分子量は、当該特定のポリマー層より下側のポリマー層に含有されたポリマー類の分子量より小さい。これに代えて、特定のポリマー層のいずれかに含有されたポリマー類の結晶化度および/または疎水性は、当該特定のポリマー層より下側のポリマー層に含有されたポリマー類の結晶化度および/または疎水性より小さいものとされる。より小さい分子量、より低い疎水性および/またはより小さい結晶化度の生物分解性のポリマー類は、その他のパラメータが同一とされる限り、より速い分解速度に関連しているので、より小さい分子量、より低い疎水性および/またはより小さい結晶化度の生物分解性のポリマーで外側のポリマー層を形成することは、当該外側のポリマー層がこのポリマー層より内側のポリマー層より高い分解特性を有することを保証することになる。
【0035】
この発明のポリマー層中の薬理活性化合物の特定タイプおよび濃度は、治療されるべき特定の疾患およびこの疾患に必要な治療方法に依存して、広く変更されてもよい。
【0036】
この発明の薬剤溶出物品に含有された少なくとも一つの薬理活性化合物は、好ましくは、ラパマイシン、タキサン(taxane)、あるいはエストラジオール等の低分子量の化合物である。より詳細には、薬理活性化合物は、抗炎症化合物、抗腫瘍化合物、免疫抑制化合物、抗再狭窄化合物および抗血栓形成化合物からなる群より選択される。このような薬理活性化合物には、ラパマイシン(rapamycin)、エベロリムス(everolimus)、バイオリムス(biolimus)、ゾタロリムス(zotarolimus:以前はABT-578として公知)、ピメクロリムス(pimecrolimus)およびタクロリムス(tacrolimus)等のラパマイシン誘導体、ワートマニンおよびその誘導体/類似体(例えば、PX867、PX866、ビリジオール(viridiol)、ビルジン(virudin)、デメトキシビリジン(demethoxyviridin)等)等のホスファチジルイノシトールー3−キナーゼ阻害剤(PI3キナーゼ阻害剤)、パクリタキセル、ドセタキセル、カンプトテシン、エストラジオール、パンゼム(Panzem)、モルヒネ、エポシロン等のタキサン類、テトラサイクリン等のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤、およびこれらに関連した誘導体および類似体のうち、少なくとも一つを含めてもよい。これらの化合物は、抗炎症効果および抗腫瘍効果を有しており、これにより、血管形成術後において、再狭窄、易破綻性プラーク(vulnerable plaque)、動脈瘤、および/または脳卒中等、再狭窄から誘発される血管系疾患を予防および/または治療するために、使用されてもよい。
【0037】
この発明の特に好適であるが必須ではない実施の形態では、この発明の薬剤溶出物品は、少なくともラパマイシン、あるいは、エベロリムス、バイオリムス、ゾタロリムスおよびタクロリムス等のラパマイシンの誘導体または類似体を含む。シロリムス(sirolimus)とも呼ばれるラパマイシンは、米国特許第3,929,992号明細書に開示されているようなストレプトミセス・ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)によって生成された抗生物質マクロサイクリックトリエン(macrocyclic triene)である。他の抗生物質の中でもとりわけ、ラパマイシンは、生体内で血管系の平滑筋細胞の増殖を阻害することが知られている。したがって、ラパマイシンは、哺乳動物における内膜の平滑筋細胞の過形成、再狭窄、および血管閉塞、特に、生物学的あるいは機械的な影響を受けて生じた血管損傷後、あるいは哺乳動物が上述の血管損傷を被るような条件下に置かれた後のいずれかで生じる疾患を治療するのに使用されてもよい。ラパマイシンは、平滑筋細胞の増殖を阻害する役割を果たすが、血管壁の内皮再生を妨げない。ラパマイシンは、血管形成術中に誘発された損傷から放出される分裂促進シグナルに応答して、平滑筋の増殖に拮抗することによって血管系の過形成を低減させる。細胞周期のG1期の後期において、増殖因子およびサイトカインが介在した平滑筋の増殖に対する阻害は、ラパマイシンの作用ドメイン機構(domain mechanism)であると考えられる。ただし、ラパマイシンは、系統的に投与された場合に、T-細胞の増殖および分化を阻止することも知られており、このため、移植片拒絶反応(graft rejection)を予防する免疫抑制剤として使用されてもよい。
【0038】
ラパマイシンは、以下の式1のような化学構造を有している。
【化1】


【0039】
具体的には、三つの二重結合を含むラパマイシン分子の機能ドメインは、哺乳動物におけるラパマイシンの標的(mTOR)である、細胞周期の進行に必要なキナーゼに結合することができる。ラパマイシンによるmTORキナーゼの活性阻害は、T-細胞の活性および炎症誘発性サイトカイン(proinflammatory cytokine)の分泌を阻止するものであり、ラパマイシンの免疫抑制作用および抗過形成作用(anti-hyperplasic activities)に対応する基礎的なメカニズムである。したがって、同様の機能ドメインを有するラパマイシン誘導体も、上述のmTORキナーゼに結合し、かつ、免疫抑制作用および抗過形成作用を呈することができる。
【0040】
この発明の他の実施の形態では、この発明の薬剤溶出物品は、例えば、ドセタキセル、パクリタキセルあるいはこれらの誘導体あるいは類似体等の少なくとも一つのタキサンを含む。また、この発明の薬剤溶出物品には、ミコフェノール酸(MPA)、エストラジオール、クラドリビン、プロブコール等、他の低分子量の薬剤を含めてもよい。
【0041】
さらに、蛋白質、オリゴペプチド類、ポリペプチド類、DNAプラスミド類、DNA類、リボ核酸(RNA)類、リボザイム類、デオキシリボヌクレアーゼ(DNases)、低分子干渉RNA(siRNA)類、アンチセンス薬等の高分子量体も、この発明の薬剤溶出物品の複数のポリマー層のマトリックス構造中に容易に組み込まれる。
【0042】
この発明の薬剤溶出物品内の複数のポリマー層で構成されたマトリックス構造は、特定の薬理活性化合物を輸送し、かつ、維持するための適切なポリマー材料を選択する上で、多くの自由度を与えるものである。第一に、選択されたポリマー材料は、薬理活性化合物とポリマー層で構成されたマトリックス構造とを十分に均質にして、ポリマー層で構成されたマトリックス構造の安定性および薬剤放出動態性を改善するために、薬理活性化合物に対して同様の疎水性あるいは親水性を有すべきである。例えば、疎水性の薬理活性化合物は、疎水性のポリマー層のマトリックス内に容易に包含されて、上述の薬理活性化合物の安定した懸濁液あるいは純粋の固溶体を生成することができる。他方、親水性あるいは水溶性の薬理活性化合物は、親水性のポリマー層のマトリックス内に容易に包含されて、同様に安定した混合物を生成することができる。第二に、薬理活性化合物の薬理作用を妨げるようなすべての方法で、選択されたポリマー材料が薬理活性化合物と反応しないことが重要である。
【0043】
また、この発明の薬剤溶出物品内に含まれる複数のポリマー層で構成されたマトリックス構造は、互いに有害に反応する可能性のある二つまたはそれ以上の薬理活性化合物を、物理的に分離するのに有効な手段を提供する。具体的には、互いに有害に反応する可能性のある薬理活性化合物は、異なるポリマー層内に個別に組み込まれることにより、当該薬理活性化合物間の反応を低減することができる。さらに、有害に反応する化合物を個別に含む上述のポリマー層間には、上述の分離を最大限に保証するように、いかなる活性化合物をも含まない薄いポリマー層が設けられてもよい。
【0044】
この発明の複数のポリマー層で構成されたマトリックス構造は、複数の薬理活性化合物の時間差送達を達成するための手段をさらに提供する。例えば、標的となる疾患の早い段階での特定の容態を治療するのに使用可能な上述の薬理活性化合物は、早い段階での送達を行うために、外側のポリマー層内に組み込まれてもよい。他方、標的となる疾患の遅い段階での他の容態を治療するのに使用可能な上述の薬理活性化合物は、遅い段階での送達を行うために、内側のポリマー層内に組み込まれてもよい。
【0045】
さらに、この発明のマトリックス構造内の各ポリマー層には、二つまたはそれ以上の薬理活性化合物を種々の濃度で含めてもよく、これにより、二つまたはそれ以上の薬理活性化合物の送達特性を、各ポリマー層内の薬理活性化合物の濃度を変えることによって、時間制御方法で、個別に調節することができる。例えば、外側のポリマー層には、相対的に高い濃度の第1の薬理活性化合物と、相対的に低い濃度の第2の薬理活性化合物とを含めてもよいが、内側のポリマー層は、相対的に低い濃度の第1の薬理活性化合物と、相対的に高い濃度の第2の薬理活性化合物とを含む。したがって、第1の薬理活性化合物の放出特性の特徴は、当初、高濃度で放出され、その後に、長く低濃度で放出される点にある。逆に、第2の薬理活性化合物の放出特性の特徴は、当初、低濃度で放出され、その後に、長く高濃度で放出される点にある。
【0046】
さらに重要なことに、薬理活性化合物を一つまたはそれ以上の内側のポリマー層内に組み込むことによって、このような薬理活性化合物を高濃度で組み込むことができ、潜在的に有害となりうる投与量のいかなるダンピングを引き起こすことも、あるいは植え込み直後の爆発的ないかなる放出を生じさせることもない。
【0047】
この発明における複数のポリマー層で構成されたマトリックス構造には、薬理活性化合物の最適な処方を達成するために、この技術分野において周知である種々のキレート剤、賦形剤および添加剤をさらに含めてもよい。これらのキレート剤、賦形剤および添加剤は、蛋白質、リボ核酸(RNA)類、DNA類等、相対的に高分子量の治療剤にとって、特に望ましい。
【0048】
この発明における複数のポリマー層で構成されたマトリックス構造は、この技術分野において周知のすべての適切な被覆方法によって容易に形成されてもよい。例えば、上述のマトリックス構造内の全ポリマー層は、事前に塗布された被膜層上に、生体適合性ポリマーと、一つまたはそれ以上の溶媒中に溶解した任意の薬理活性化合物とを含むポリマー溶液を噴霧乾燥することによって形成されてもよい。これに代えて、全ポリマー層は、事前に皮膜形成された物品をポリマー溶液中に漬けた後に乾燥することによって形成されてもよい。また、押出し法、スピンコート法、in situ重合化法(in situ polymerization)等、ポリマー材料を基体に付着させる他の方法は、上述のポリマー層を形成するのに使用されてもよい。
【0049】
基体上には、第1のポリマー層の塗布前に、下地層が塗布されてもよい。また、事前に塗布されたポリマー層上には、次のポリマー層の被覆前に、付着促進材料が塗布されてもよい。下地層および付着促進材料は、被覆されたポリマー層と基体との間の付着力を改善し、かつ、全ポリマー層の剥離を防止する役割を果たす。
【0050】
さらに、事前に塗布されたポリマー層は、次の層を被覆する前に、例えば、熱アニール法、加圧アニール法、減圧法、および/または架橋法等、種々の方法によって処理されてもよい。このような処理法は、ポリマー層で構成されたマトリックス構造の安定性および薬剤放出動態性を改善する役割をも果たす。
【0051】
この発明の好適な実施の形態に従ってなされた複数のポリマー層で構成されたマトリックスを備えた薬剤溶出物品の種々の例を示す実施例が以下に与えられている。
【0052】
〔実施例1〕
図1は、この発明の一つの実施の形態に従ってなされた二つのポリマー層を備えた薬剤溶出物品を示す部分断面図である。具体的には、この薬剤溶出物品は、基体10を含み、この基体10上には、二つのポリマー層20および30が形成されている。内側のポリマー層20は、第1の生体適合性ポリマーを含み、この第1の生体適合性ポリマー内には第1の薬理活性化合物2が含まれている。外側のポリマー層30は、第2の生体適合性ポリマーを含み、いかなる薬理活性化合物をも実質的に含まない。
【0053】
第1および第2の生体適合性ポリマーは、同一あるいは異なるタイプのポリマーであってもよく、いずれの場合においても、第2の生体適合性ポリマーが第1の生体適合性ポリマーより高い分解特性を有することが条件とされる。例えば、第1の生体適合性ポリマーが生体安定性を有する場合には、第2の生体適合性ポリマーは生物分解性を有している。これに代えて、第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有する場合には、第2の生体適合性ポリマーのより高い分解特性を保証するために、第2の生体適合性ポリマーの分子量は第1の生体適合性ポリマーよりも低いことが条件とされる。
【0054】
〔実施例2〕
図2は、この図2における第2のポリマー層30が薬理活性化合物2を含むが、この薬理活性化合物2が第1のポリマー層20より高濃度である点を除いて、図1によって示された薬剤溶出物品と同一の薬剤溶出物品を示す部分断面図である。これに代えて、第2のポリマー層30には、第1のポリマー層20より低濃度で薬理活性化合物2を含めてもよい。
【0055】
〔実施例3〕
図3は、図2における第2のポリマー層30が薬理活性化合物2と異なる薬理活性化合物4を含む点を除いて、図1によって示された薬剤溶出物品と同一の薬剤溶出物品を示す部分断面図である。必須ではないが、好適には、第1の薬理活性化合物2が抗再狭窄化合物であり、第2の薬理活性化合物4が抗血栓形成化合物あるいは抗炎症化合物である。
【0056】
さらに、第1および第2のポリマー層20および30には、両層とも、第1および第2の薬理活性化合物2および4を含めてもよいが、その濃度は異なっている。この方法では、第1および第2の薬理活性化合物2および4の放出特性は、両化合物の最適な送達を時間差で達成するように、個別に調節されてもよい。
【0057】
〔実施例4〕
図4は、第2のポリマー層30上に第3のポリマー層40を含む点を除いて、図3によって示された薬剤溶出物品と同一の薬剤溶出物品を示す部分断面図である。具体的には、第3のポリマー層40は、いかなる薬理活性化合物をも実質的に含まない第3の生体適合性ポリマーを含む。
【0058】
第3のポリマー層40には、第1および第2のポリマー層20および30に含まれる生体適合性ポリマーと同一タイプの生体適合性ポリマーを含めてもよく、あるいは、第3の生体適合性ポリマーが層30に含まれている第2のポリマーより高い分解特性を有することを条件として、異なるタイプの生体適合性ポリマーを含めてもよい。例えば、第1の生体適合性ポリマーが生物分解性を有する場合には、第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生体安定性を有している。これに代えて、第2および第3の生体適合性ポリマーが両方とも生物分解性を有する場合には、第3の生体適合性ポリマーが第2の生体適合性ポリマーより低分子量であることを条件として、第1の生体適合性ポリマーは生体安定性を有しており、これにより、第3の生体適合性ポリマーの高い分解特性を保証することができる。さらに、第1、第2および第3の生体適合性ポリマーが、すべて生物分解性を有する場合には、第3の生体適合性ポリマーは第2の生体適合性ポリマーより低分子量とされ、かつ、順次、第2の生体適合性ポリマーは第1の生体適合性ポリマーより低分子量とされる。
【0059】
〔実施例5〕
図5は、図5に示された第3のポリマー層40が、第1および第2の薬理活性化合物2および4と異なる薬理活性化合物6を含む点を除いて、図4に示された薬剤溶出物品と同一の薬剤溶出物品を示す部分断面図である。
【0060】
〔実施例6〕
図6は、この図6に示された第1、第2および第3のポリマー層20、30および40のすべてが同一の薬理活性化合物を含むが、それぞれの濃度が異なる点を除いて、図5に示された薬剤溶出物品と同一の薬剤溶出物品を示す部分断面図である。具体的には、第1のポリマー層20は、最も高い濃度で、薬理活性化合物2を含み、第2のポリマー層30は、中間濃度で、薬理活性化合物2を含み、第3のポリマー層40は、最も低い濃度で、薬理活性化合物2を含む。これにより、図6に示された薬剤溶出物品は、長期間にわたって、放出濃度が徐々に高まる点に特徴を有する薬理活性化合物2の放出特性を与えることができる。
【0061】
この発明の特定の実施の形態が記述され、かつ、示されているが、この技術分野における当業者がこの明細書に与えられた記述と一致する上述のような実施の形態を容易に修正することができることは明らかである。したがって、この発明は、この明細書で示された特定の実施の形態に限定されないが、むしろ他のいかなる修正、変更、用途および実施の形態への利用に適用されるものであり、それゆえに、他のすべての修正、変更、用途および実施の形態は、この発明の精神および範囲内に入るものとして見なされるべきであると認識されるべきである。
【0062】
〔実施の態様〕
以下、この発明の実施の態様を説明する。
(1)薬剤溶出物品において、
基体と、
前記基体上(over)に配された第1のポリマー層であって、少なくとも一つの第1の生体適合性ポリマー、および該第1の生体適合性ポリマーに内包された少なくとも一つの第1の薬理活性化合物、を含む、第1のポリマー層と、
前記第1のポリマー層上に配された第2のポリマー層であって、前記第1の生体適合性ポリマーより高い分解特性を有する少なくとも一つの第2の生体適合性ポリマーを含む、第2のポリマー層と、
を含む、薬剤溶出物品。
(2)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の生体適合性ポリマーは、生体安定性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、生物分解性を有している、
薬剤溶出物品。
(3)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い分子量を有している、
薬剤溶出物品。
(4)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより高い親水性を有している、
薬剤溶出物品。
(5)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い結晶化度を有している、
薬剤溶出物品。
(6)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生体安定性を有しており、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の薬理活性化合物と同一または非同一の薬理活性化合物を内包し、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより速い薬剤放出特性を有している、
薬剤溶出物品。
(7)実施態様6記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の生体適合性ポリマーには、前記第1の生体適合性ポリマー内の前記第1の薬理活性化合物より高い濃度で、薬理活性化合物が存在している、薬剤溶出物品。
(8)実施態様6記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い結晶化度を有している、薬剤溶出物品。
(9)実施態様6記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の生体適合性ポリマーは、前記第1の生体適合性ポリマーより低い疎水性を有している、薬剤溶出物品。
(10)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(アルキルメタクリラート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸とグリコール酸とのコポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリホスホエステル、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリ(ヒドロキシブチラート)(poly(hydroxy butyrate))、ポリ(ジアキサノン)(poly(diaxanone))、ポリ(ヒドロキシバレラート)(poly(hydroxy valerate))、ポリ(ヒドロキシブチラートーコバレラート)(poly(hydroxy butyrate-co-valerate))、ポリ(グリコリドーコトリメチレンカルボナート)(poly(glycolide-co-trimethylene carbonate))、ポリ無水化合物(polyanhydrides)、ポリホスホエステル、ポリ(エステルーアミド)、ポリホスホエステル(polyphosphoeser)、ポリホスファゼン(polyphosphazene)、ポリ(ホスホエステルーウレタン)、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリラート、フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ヒアルロン酸、ならびに、これらの物質の混合物およびコポリマーからなる群より、個別に、選択される、薬剤溶出物品。
(11)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層は、前記第2の生体適合性ポリマーに内包される第2の異なる薬理活性化合物をさらに含む、薬剤溶出物品。
(12)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層は、前記第2の生体適合性ポリマーに内包される前記第1の薬理活性化合物をさらに含み、
前記第2のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度とは異なる濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、
薬剤溶出物品。
(13)実施態様12記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度より高い濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、薬剤溶出物品。
(14)実施態様12記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度より低い濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、薬剤溶出物品。
(15)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、抗炎症化合物、抗腫瘍化合物、免疫抑制化合物、抗再狭窄化合物、および抗血栓形成化合物、からなる群より選択される、薬剤溶出物品。
(16)実施態様15記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、ラパマイシン(rapamycin)、あるいは、ラパマイシンの誘導体もしくは類似体である、薬剤溶出物品。
(17)実施態様16記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、エベロリムス(everolimus)、バイオリムス(biolimus)、ゾタロリムス(zotarolimus)、ピメクロリムス(pimecrolimus)、およびタクロリムス(tacrolimus)、からなる群より選択されるラパマイシンの誘導体または類似体である、薬剤溶出物品。
(18)実施態様15記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ阻害剤(PI3キナーゼ阻害剤)である、薬剤溶出物品。
(19)実施態様18記載の薬剤溶出物品において、
前記PI3キナーゼ阻害剤は、ワートマニン(wortmannin)、または、PX867、PX866、ビリジオール(viridiol)、ビルジン(virudin)、およびデメトキシビリジン(demethoxyviridin)からなる群より選択されるワートマニンの誘導体もしくは類似体、である、薬剤溶出物品。
(20)実施態様15記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、ドセタキセル、パクリタキセルからなる群より選択されるタキサン、または、タキサンの誘導体もしくは類似体である、薬剤溶出物品。
(21)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、蛋白質、オリゴペプチド、ポリペプチド、DNA、リボ核酸、DNAプラスミド、siRNA、およびアンチセンス分子、からなる群より選択される生物活性高分子量体である、薬剤溶出物品。
(22)実施態様11記載の薬剤溶出物品において、
前記第2の薬理活性化合物は、抗炎症化合物、抗腫瘍化合物、免疫抑制化合物、抗再狭窄化合物、および抗血栓形成化合物からなる群より選択される、薬剤溶出物品。
(23)実施態様11記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の薬理活性化合物は、抗再狭窄化合物であり、
前記第2の薬理活性化合物は、抗血栓形成化合物、あるいは抗炎症化合物である、
薬剤溶出物品。
(24)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
前記第2のポリマー層上に配された第3のポリマー層、
をさらに含み、
前記第3のポリマー層は、前記第1および第2の生体適合性ポリマーの分解特性より高い分解特性を有する少なくとも一つの第3の生体適合性ポリマーを含む、
薬剤溶出物品。
(25)実施態様24記載の薬剤溶出物品において、
前記第3のポリマー層は、前記第1および/または第2のポリマー層に含まれる薬理活性化合物と同一または非同一の薬理活性化合物を含む、薬剤溶出物品。
(26)実施態様25記載の薬剤溶出物品において、
前記第3のポリマー層は、前記第3の生体適合性ポリマーに内包される前記第1の薬理活性化合物をさらに含み、
前記第3のポリマー層内には、前記第1のポリマー層内の前記第1の薬理活性化合物の濃度と異なる濃度で、前記第1の薬理活性化合物が存在している、
薬剤溶出物品。
(27)実施態様24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1、第2および第3の生体適合性ポリマーは、すべて、生物分解性を有している、薬剤溶出物品。
(28)実施態様24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1の生体適合性ポリマーは、生体安定性を有し、
前記第2および第3の生体適合性ポリマーは、両方とも、生物分解性を有している、
薬剤溶出物品。
(29)実施態様24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1および第2の生体適合性ポリマーは、両方とも、生体安定性を有し、
前記第3の生体適合性ポリマーは、生物分解性を有している、
薬剤溶出物品。
(30)実施態様24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1、第2および第3の生体適合性ポリマーは、すべて、生物安定性を有している、薬剤溶出物品。
(31)実施態様24記載の薬剤溶出物品において、
前記第1、第2および第3の生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(アルキルメタクリラート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸とグリコール酸とのコポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリホスホエステル、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ジアキサノン)、ポリ(ヒドロキシバレラート)、ポリ(ヒドロキシブチラートーコバレラート)、ポリ(グリコリドーコトリメチレンカルボナート)、ポリ無水化合物、ポリホスホエステル、ポリ(エステルーアミド)、ポリホスホエステル(polyphosphoeser)、ポリホスファゼン、ポリ(ホスホエステルーウレタン)、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリラート、フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ヒアルロン酸、ならびに、これらの物質の混合物およびコポリマーからなる群より、個別に、選択される、薬剤溶出物品。
(32)実施態様24記載の薬剤溶出物品において、
前記第3のポリマー層上に配された一つまたはそれ以上の追加のポリマー層、
をさらに含む、薬剤溶出物品。
(33)実施態様32記載の薬剤溶出物品において、
少なくとも一つの前記追加のポリマー層は、前記第1、第2および/または第3のポリマー層に含まれる薬理活性化合物と同一または非同一の薬理活性化合物を含む、薬剤溶出物品。
(34)実施態様1記載の薬剤溶出物品において、
ステント、ステント用移植片、吻合機器、血管用移植片、血管用パッチ、房室用シャント、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、およびフィルタ、からなる群より選択される植え込み可能な医療機器、
を含む、薬剤溶出物品。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の特定の実施の形態に従う二つのポリマー層を含む薬剤溶出物品を示す部分断面図である。
【図2】この発明の特定の実施の形態に従う二つのポリマー層を含む薬剤溶出物品を示す部分断面図である。
【図3】この発明の特定の実施の形態に従う二つのポリマー層を含む薬剤溶出物品を示す部分断面図である。
【図4】この発明の特定の実施の形態に従う三つのポリマー層を含む薬剤溶出物品を示す部分断面図である。
【図5】この発明の特定の実施の形態に従う三つのポリマー層を含む薬剤溶出物品を示す部分断面図である。
【図6】この発明の特定の実施の形態に従う三つのポリマー層を含む薬剤溶出物品を示す部分断面図である。




 

 


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