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発明の名称 医療用具用のX線撮影造影剤およびX線不透過ポリマー材料
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−161713(P2007−161713A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2006−334861(P2006−334861)
出願日 平成18年12月12日(2006.12.12)
代理人 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭
発明者 ジョナサン・ゼット・チャオ
要約 課題
対比強度増強を提供できる非浸出性X線撮影造影剤と、非溶出性X線撮影造影剤と一般的生分解性モノマーから容易に調製されることができるX線不透過ポリマー材料が求められている。

解決手段
本発明は、複数の芳香族基を含有するX線撮影造影剤を開示するものであり、それぞれの芳香族基が少なくとも3個のハロゲン原子で置換されている。X線撮影造影剤は、重合プロセスを開始できる。本発明は、少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料も開示する。X線不透過ポリマー材料は、X線撮影画像において対比強度を高める。X線不透過ポリマー材料は、医療用具の一表面の少なくとも一部に塗布されることができる。X線不透過ポリマー材料は、医療用具もしくはその構成部分、または、医療用具の構成部分の一部の構築に使用されることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
X線撮影造影剤において、
モノサッカライド主鎖、または、炭素原子2〜12個の脂肪族主鎖もしくは脂環式主鎖と、
反応性求核基と、
少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基と、
を含み、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、結合基によって前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族主鎖、もしくは前記脂環式主鎖に共有結合され、
前記結合基が、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである、
X線撮影造影剤。
【請求項2】
請求項1に記載のX線撮影造影剤において、
以下の構造を有し、
【化1】


式中、
Rが、水素原子、または炭素原子1〜4個を有するアルキル基、であり、
Xが、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、
Yが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、
n、およびmが、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である、
X線撮影造影剤。
【請求項3】
請求項2に記載のX線撮影造影剤において、
Rが、水素原子である、
X線撮影造影剤。
【請求項4】
請求項3に記載のX線撮影造影剤において、
Xが、-O(CO)-、-NH(CO)-、またはトリアゾールである、
X線撮影造影剤。
【請求項5】
請求項4に記載のX線撮影造影剤において、
n、およびmが、ともにゼロである、
X線撮影造影剤。
【請求項6】
請求項1に記載のX線撮影造影剤において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子が、臭素、ヨウ素、またはそれらの組み合わせである、
X線撮影造影剤。
【請求項7】
請求項1に記載のX線撮影造影剤において、
以下の構造を有する、
X線撮影造影剤。
【化2】


【請求項8】
請求項1に記載のX線撮影造影剤において、
以下の構造のいずれか1つを有する、
X線撮影造影剤。
【化3】


【請求項9】
X線不透過ポリマー材料において、
生分解性ポリマーであって、前記生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する、生分解性ポリマー、
を含み、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、求核反応から誘導された官能基によって前記生分解性ポリマーに共有結合され、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、モノサッカライド主鎖、または、炭素原子2〜12個の脂肪族主鎖もしくは脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含み、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、かつ、結合基によって前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族主鎖、もしくは前記脂環式主鎖に共有結合され、
前記結合基が、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである、
X線不透過ポリマー材料。
【請求項10】
請求項9に記載のX線不透過ポリマー材料において、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、以下の構造を有し、
【化4】


式中、
Rが、水素原子、または炭素原子1〜4個を有するアルキル基、であり、
Xが、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、または-(SO)NH-であり、
Yが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、
n、およびmが、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である、
X線不透過ポリマー材料。
【請求項11】
請求項10に記載のX線不透過ポリマー材料において、
Rが、水素原子であり、
Xが、-O(CO)-、-NH(CO)-、またはトリアゾールである、
X線不透過ポリマー材料。
【請求項12】
請求項11に記載のX線不透過ポリマー材料において、
n、およびmが、ともにゼロである、
X線不透過ポリマー材料。
【請求項13】
請求項10に記載のX線不透過ポリマー材料において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子が、臭素、ヨウ素、またはそれらの組み合わせである、
X線不透過ポリマー材料。
【請求項14】
請求項10に記載のX線不透過ポリマー材料において、
前記生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する前記生分解性ポリマーが、グリコリド、ラクチド、ジオキサン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ヒドロキシブチレート、および、それらの組み合わせから成る群から選択される、モノマー単位を含む、
X線不透過ポリマー材料。
【請求項15】
医療用具において、
前記医療用具の少なくとも一部分がX線不透過性であり、前記医療用具のX線不透過性の前記少なくとも一部分が、少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料を含み、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、求核反応から誘導される官能基によって前記生分解性ポリマーに共有結合され、前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、モノサッカライド主鎖、または炭素原子2〜12個の脂肪族主鎖もしくは脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含み、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、かつ、結合基によって前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族主鎖、もしくは前記脂環式主鎖に共有結合され、
前記結合基が、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである、
医療用具。
【請求項16】
請求項15に記載の医療用具において、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、以下の構造を有し、
【化5】


式中、
Rが、水素原子、または炭素原子1〜4個を有するアルキル基、であり、
Xが、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、
Yが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、
n、およびmが、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である、
医療用具。
【請求項17】
請求項16に記載の医療用具において、
Rが、水素原子であり、
Xが、-O(CO)-、-NH(CO)-、またはトリアゾールである、
医療用具。
【請求項18】
請求項17に記載の医療用具において、
n、およびmが、ともにゼロである、
医療用具。
【請求項19】
請求項16に記載の医療用具において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子が、臭素、ヨウ素、またはそれらの組み合わせである、
医療用具。
【請求項20】
請求項16に記載の医療用具において、
少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された前記生分解性ポリマーが、グリコリド、ラクチド、ジオキサン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ヒドロキシブチレート、および、それらの組み合わせから成る群から選択される、モノマー単位を含む、
医療用具。
【請求項21】
請求項16に記載の医療用具において、
前記医療用具のX線不透過性の前記部分が、前記医療用具の一表面の少なくとも一部、前記医療用具の構成部分、または、前記医療用具の構成部分の一部である、
医療用具。
【請求項22】
請求項16に記載の医療用具において、
埋め込み型である、
医療用具。
発明の詳細な説明
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、重合プロセスを開始できるX線撮影造影剤、および、生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1種類のX線撮影造影部分を有する生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
医療用具、特に埋め込み型医療用具、の構築に、生分解性ポリマーが汎用されている。従来の金属材料に比較して、生分解性ポリマーは、多くの長所を示す。第一に、生分解性ポリマーは、適合性、柔軟性があり、それによって、惹起する生体組織への応力が少ない。第二に、生分解性ポリマー製の医療用インプラントは、除去のために第二の外科的介入を必要としない。第三に、当該生分解性ポリマーは、医療用インプラントの治療効果の増強に使用されることができる。例えば、硬質金属インプラントで固定された骨折した骨は、当該金属インプラントの除去時に再度骨折する傾向を有する。それは、剛性金属によって応力がかかり、それによって、当該骨が治癒過程で十分な荷重を支えることができなかったからである。対照的に、生分解性ポリマーは、一定速度で分解するよう調節することができるので、当該生分解性ポリマーから調製されたインプラントは、治癒中の骨にゆっくりと荷重を移すことができる。さらに、生分解性ポリマーは、薬剤送達系において有用である。例えば、治療薬は、生分解性ポリマーと混合され、ポリマーマトリックスを形成することができる。このようなポリマーマトリックス中の当該治療薬の放出速度は、当該生分解性ポリマーの分解速度を調整することによってコントロールされることができる。
【0003】
生分解性ポリマーは、天然または合成であることができる。一般に、合成ポリマーは、天然材料よりも多くの長所を示す。それは、当該合成ポリマーが、使用目的に従った所望の特性を付与するよう調整することができるからである。合成ポリマーは、天然ポリマーよりも良好な粘稠度および均一性も示す。さらに、天然材料と違って、合成ポリマーは、埋め込み後、免疫原性応答をほとんど引き起こさない。一般的な合成生分解性ポリマーは、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリ(ヒドロキシルブチレート)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリフォスフォエステル、ポリフォスファゼンおよび他のポリ(エステルアミド)を含む。
【0004】
しかし、大半の生分解性ポリマーは、X線不透過ではない。その結果、それらの生分解性ポリマー製の医療用具は、X線撮影画像を用いて視覚化されることができない。X線撮影画像により、医師は、手術中の当該医療用具をモニターし、調整することができるので、体内で使用されているか、あるいは、体内に埋め込まれた医療用具のX線撮影画像を見ることができることは非常に重要である。一部の医療用インプラントの応用に関して、X-線視認性は必須である。
【0005】
ポリマー材料において所望のX線不透過性を達成するには、ある従来の方法は、当該ポリマー材料中の添加剤もしくはフィラーとして、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウムもしくはハロゲン化ビスマス(bismuth halides)などの無機X線撮影造影剤を用いて、X線不透過ポリマーマトリックスを形成する。しかし、これらの無機物質は、ポリマー材料と十分に混ざり合わず、X線不透過ポリマーマトリックス中で位相分離を起こす可能性がある。要求されるX線不透過を得るために、これらの無機X線撮影造影剤の高濃度(ほぼ10重量%、多くの場合、20〜30重量%)が通常使用されるので、位相分離の問題は、さらに悪化する。当該ポリマー相と無機相の間の非相溶性は、当該ポリマーマトリックスの物理機械的特性(physicomechanical properties)を損なう。無機X線撮影造影剤使用の別の短所は、これらの無機物質の浸出によって引き起こされる組織への毒性である。
【0006】
X線不透過性をポリマー材料に導入する別の手法は、X線撮影造影効果を生じることができる共有結合臭素またはヨウ素原子を有するポリマーを合成することである(米国特許第6,426,145号参照)。先行技術の、あるX線不透過組成物は、当該ポリマーに共有結合された非浸出性X線不透過部分を有するポリマーを含み(米国特許第6,599,448号参照)、当該非浸出性X線不透過部分は、ハロゲン置換芳香族基を含む。当該先行技術は、少なくとも1個の臭素またはヨウ素原子で置換されたジフェニル系モノマー単位を含むX線不透過ポリマー材料も開示した(米国特許第6,852,308号参照)。しかし、これらの先行技術のX線不透過ポリマーの調製は、X線撮影造影モノマー単位の合成を必要とし、これが技術的な複雑さと生産コストを増加させる可能性がある。
【0007】
よって、対比強度(contrasting intensity)増強を提供できる非浸出性X線撮影造影剤と、このような非浸出性X線撮影造影剤と一般的生分解性モノマーから容易に調製されることができるX線不透過ポリマー材料が求められている。
【0008】
〔発明の概要〕
従って、本発明は、モノサッカライド主鎖または炭素原子2〜12個の脂肪族もしくは脂環式主鎖、反応性求核基、および少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基を含むX線撮影造影剤を提供するもので、当該少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族もしくは脂環式主鎖に結合基によって共有結合され、当該結合基は、酸素、イオウ、-NH、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである。
【0009】
好ましくは、X線撮影造影剤は、次の構造を有し、
【化1】


式中、
Rは、水素原子または炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり、Xは、酸素、イオウ、-NH、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、Yは少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、nおよびmは、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である。好ましくは、Rは水素であり、Xは-O(CO)-、-NH(CO)-またはトリアゾールであり、nおよびmは、ともにゼロである。
【0010】
本発明は、生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料も提供するもので、当該少なくとも1個のX線撮影造影部分は求核反応から誘導された官能基によって前記生分解性ポリマーに共有結合され、当該少なくとも1個のX線撮影造影部分は、モノサッカライド主鎖または炭素原子2〜12個の脂肪族もしくは脂環式主鎖、および、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基を含み、当該少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれは、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族もしくは脂環式主鎖に結合基によって共有結合され、当該結合基は、酸素、イオウ、-NH、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである。好ましくは、Rは水素であり、Xは、-O(CO)-、-NH(CO)-、またはトリアゾールであり、nおよびmは、ともにゼロである。
【0011】
好ましくは、前記生分解性ポリマーに共有結合されたX線撮影造影部分は、次の構造を有し、
【化2】


式中、
Rは、水素原子または炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり、Xは、酸素、イオウ、-NH、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、Yは、少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、nおよびmは、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である。
【0012】
別の態様では、本発明は、医療用具であって、当該医療用具の少なくとも一部がX線不透過であり、当該医療用具のX線不透過の前記少なくとも一部が、少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料を含み、当該少なくとも1個のX線撮影造影部分が、求核反応から誘導される官能基によって前記生分解性ポリマーに共有結合され、当該少なくとも1個のX線撮影造影部分は、モノサッカライド主鎖または炭素原子2〜12個の脂肪族もしくは脂環式主鎖、反応性求核基、および、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基を含み、当該少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族もしくは脂環式主鎖に結合基によって共有結合され、当該結合基が、酸素、イオウ、-NH、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである、医療用具を提供する。
【0013】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、モノサッカライド主鎖、または炭素原子2〜12個の脂肪族もしくは脂環式主鎖と、反応性求核基と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含むX線撮影造影剤を提供する。「モノサッカライド」は、さらに小さな単位に加水分解されることができない単糖を意味する。モノサッカライドの経験式は、(CH2O)nであり、式中、nは、1〜9の整数である。本明細書で使用される場合、「脂肪族主鎖」は、開鎖として結合された炭素原子から成る有機部分を示し、「脂環式主鎖」は、芳香族ではない1個以上の環を形成する炭素原子から成る有機部分を示す。本発明の脂肪族もしくは脂環式主鎖は、2〜12個の炭素原子を含有する。「反応性求核基」は、原子核への親和性を有する反応性化学部分を意味する。本発明に適した反応性求核基は、NRH、OH、および、SHを含むが、それらに制約されず、式中、Rは、水素原子、または、炭素原子1〜4個を有するアルキル基である。本発明のX線撮影造影剤中の少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基は、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、結合基によって、モノサッカライド主鎖、または脂肪族もしくは脂環式主鎖に共有結合されている。当該結合基は、酸素、イオウ、-NH、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-およびトリアゾールから選択される。本明細書で使用される場合、「(CO)」は、カルボニル部分を示し、「(SO)」は、スルフィニル部分を示し、「(SO2)」は、スルホニル部分を示す。当該結合基は、モノサッカライド主鎖、または脂肪族もしくは脂環式主鎖と少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基を共有結合によって結合する。
【0014】
「-結合-」として表示される結合基は、次のような結合を示す。即ち、(モノサッカライド主鎖、または脂肪族もしくは脂環式主鎖)-結合-(少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のうちの1個)である。例えば、「-(CO)O-」は、次のような結合を示す。即ち、(モノサッカライド主鎖、または脂肪族もしくは脂環式主鎖)-(CO)O-(少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のうちの1個)である。好ましくは、本発明の結合基は、-NH(CO)-、-O(CO)-、またはトリアゾールである。用語「トリアゾール」は、本明細書で使用される場合、1,2,3-トリアゾールと1,2,4-トリアゾールの両方を含む。当該結合基がトリアゾールである場合、モノサッカライド主鎖、または脂肪族もしくは脂環式主鎖と少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基は、2個の炭素原子のうちの一方、および、1,2,4-トリアゾールの場合4位の窒素原子、あるいは、1,2,3-トリアゾールの場合3位の窒素原子によって結合される。
【0015】
本発明に適したモノサッカライド主鎖は、モノース、ジオース、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトースおよびノノース(nonose)を含むがそれらに制約されない。好ましくは、本発明のモノサッカライド主鎖は、3〜7個の炭素原子を含有する。本発明に適した脂肪族主鎖は、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、および、それらの類似体もしくは異性体を含むが、それらに制約されない。本発明に適した脂環式主鎖は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクスタネン(cyclooxtanene)、および、それらの類似体または異性体を含むがそれらに制約されない。好ましくは、当該脂肪族もしくは脂環式主鎖は、4〜8個の炭素原子を有する脂肪族もしくは脂環式部分である。
【0016】
本発明のX線撮影造影剤は、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有する。「ハロゲン置換芳香族基」は、少なくとも1個のハロゲン置換基を有する芳香族基を意味する。「芳香族基」は、複数の共役二重結合を含有する環式有機化合物を意味する。本発明のハロゲン置換芳香族基は、ハロゲン置換炭素環式、複素環式、または、多環式化合物であることができる。本発明に適したハロゲン置換芳香族基は、ハロゲン置換ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ピリジン、フラン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、キノリン、および、イソキノリンを含むがそれらに制約されない。好ましくは、本発明のハロゲン置換芳香族基は、ハロゲン置換ベンゼンである。本発明のハロゲン置換芳香族基のそれぞれは、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されている。好ましくは、当該少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素またはそれらの組み合わせである。さらに好ましくは、本発明のハロゲン置換芳香族基は、少なくとも3個のヨウ素原子で置換されている。ある好ましい実施態様では、当該ハロゲン置換芳香族基は、2,3,5-トリヨードベンゼンである。
【0017】
好ましくは、本発明のX線撮影造影剤は、次の構造を有し、
【化3】


式中、
Rは、水素原子または炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり、Xは、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、Yは少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、nおよびmは、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である。本発明に適したアルキル基は、
メチル、エチル、n-プロピル、および、n-ブチルを含むが、それらに制約されない。好ましくは、Rは水素原子である。さらに好ましくは、Rは水素原子であり、Xは、-O(CO)-、-NH(CO)-、または、トリアゾールである。最も好ましくは、Rは水素原子であり、Xは、-O(CO)-、-NH(CO)-、または、トリアゾールであり、mおよびnは、ともにゼロである。当該少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基は、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されたベンゼン基であるのが好ましい。当該少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素またはそれらの組み合わせであるのも好ましい。少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基は、少なくとも3個のヨウ素原子で置換された芳香族基であるのがさらに好ましい。本発明のある好ましい実施態様では、少なくとも2個のハロゲン原子で置換された芳香族基は、2,3,5-トリヨードベンゼンである。
【0018】
本発明のある実施態様では、式(I)のX線撮影造影剤は、次の構造を有する。
【化4】


【0019】
本発明の別の実施態様では、本発明のX線撮影造影剤は、次の構造のうちの一方を有する。
【化5】


【0020】
本発明のX線撮影造影剤は、多価アルコールまたはポリアミンを含有する有機化合物と、複数のハロゲン原子で置換された芳香族化合物の間の反応によって調製されることができる。
【0021】
本発明のある実施態様では、本発明のX線撮影造影剤は、最初に、反応経路図1に示されるように、多価アルコールと2,3,5-トリヨード安息香酸塩化物のエステル化によって保護状態で合成される。保護基は、アミンの保護に適し、エステル化プロセスと相溶性であるいずれかの保護基であることができる。好ましくは、当該保護基は、N-9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの塩基傾向保護基(base-liable protection group)である。用語「DMAP」は、本明細書で使用される場合、4-(ジメチルアミノ)ピリジンまたはその塩酸塩を示す。
【化6】


【0022】
その後、前記保護基は、反応経路図2に示されるように、脱保護プロセスによって除去され、本発明のX線撮影造影剤を提供する。当該脱保護プロセスの反応条件は、保護基の性質によって決定される。塩基傾向保護基の場合、脱保護は、典型的には、強塩基の存在下で実施される。
【化7】


【0023】
本発明の別の実施態様では、本発明のX線撮影造影剤は、反応経路図3に示されるように、穏和な条件下で、Huisgen[3+2]付加環化によって、モノサッカライドから調製される。当該モノサッカライドは、多価アルコールを含有する非合成天然分子であるので、当該モノサッカライドから誘導される本発明のX線撮影造影剤は、増強された生体適合性を有する。本明細書で使用する場合、用語「TEA」は、トリエチルアミンを示す。
【化8】


【0024】
本発明のX線撮影造影剤中の反応性求核基は、生分解性モノマー中の求電子基(例、カルボニル基)と反応し、重合プロセスを開始することができる。よって、本発明のX線撮影造影剤は、生分解性モノマー重合の開始剤となり、当該開始剤、即ち、生分解性ポリマーに共有結合された本発明のX線撮影造影剤を有する生分解性ポリマーを生成することができる。「生分解性ポリマー」は、細菌、植物または動物の作用によるような自然の生物学的プロセスによって、減成(degrade)または分解(decompose)されることができるポリマーを意味する。生分解性ポリマーは、生体吸収性ポリマーまたは生体内溶解性ポリマーとしても知られている。本発明に適した生分解性ポリマーは、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリジオキサン、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、他のポリエステル、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。
【0025】
本発明のある実施態様では、本発明の式(I)のX線撮影造影剤は、反応経路4に示すように、ラクチドの開環重合を開始し、ポリラクチドに結合されたX線撮影造影剤を有するポリラクチドを生成する。用語「Sn(Oc)2」は、本明細書で使用される場合、オクタン酸第一錫(stannous octoate)を示す。X、Y、nおよびmは、上記で定めたものと、同一である。
【化9】


【0026】
本発明は、少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料も提供する。当該少なくとも1個のX線撮影造影部分は、求核反応から誘導される官能基によって当該生分解性ポリマーに共有結合される。当該少なくとも1個のX線撮影造影部分は、モノサッカライド主鎖、または炭素原子2〜12個の脂肪族もしくは脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含む。当該少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれは、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族もしくは脂環式主鎖に結合基によって共有結合され、当該結合基は、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、および、トリアゾールから選択される。用語「求核反応」は、本明細書で使用される場合、反応性求核基とカルボニル基の間の化学反応を示す。用語「求核反応から誘導される官能基」は、本明細書で使用される場合、反応性求核基とカルボニル基の間の求核反応によって形成される官能基を示す。「反応性求核基」は、原子核への親和性を有する反応性化学部分を意味する。本発明に適した反応性求核基は、NRH、OHおよびSHを含むが、それらに制約されず、式中、Rは、水素原子または炭素原子1〜4個を有するアルキル基である。
【0027】
好ましくは、本発明のX線不透過ポリマー材料中のX線撮影造影部分は、次の構造を有し、
【化10】


式中、
Rは、水素原子または炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり、Xは、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、Yは少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、nおよびmは、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である。好ましくは、Rは水素原子であり、Xは、-O(CO)-、-NH(CO)-、または、トリアゾールである。さらに好ましくは、Rは水素原子であり、Xは、-O(CO)-、-NH(CO)-、または、トリアゾールであり、nおよびmは、ともにゼロである。少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基は、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されたベンゼン基であるのが好ましい。当該少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素またはそれらの組み合わせであるのも好ましい。少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基は、少なくとも3個のヨウ素原子で置換された芳香族基であるのがさらに好ましい。本発明のある好ましい実施態様では、少なくとも2個のハロゲン原子で置換された芳香族基は、2,3,5-トリヨードベンゼンである。
【0028】
本発明では、少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された生分解性ポリマーは、生分解性モノマーの重合を、本発明のX線撮影造影剤によって開始することによって合成されることができる。本発明のX線撮影造影剤中の反応性求核基は、前記生分解性モノマー中のカルボニル基と反応し、官能基を形成し、重合プロセスをさらに開始することができる。生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する生分解性ポリマーは、グリコリド、ラクチド、ジオキサン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ヒドロキシブチレート、および、それらの組み合わせを含むが、それらに制約されないモノマー単位を含む。そのため、本発明の生分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサン、トリメチレンカーボネート、ヒドロキシブチレート、および、それらの組み合わせなどの一般的生分解性モノマーから容易に調製されることができる。本発明のある実施態様では、少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する生分解性ポリマーは、反応経路図4に示される合成経路によって調製される。好ましくは、少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する本発明の生分解性ポリマーは、少なくとも2個のX線撮影造影部分を含有し、それによって、X線撮影造影効果が高められる。少なくとも2個のX線撮影造影部分を有する本発明の生分解性ポリマーは、1個のX線撮影造影部分を有する本発明の生分解性ポリマーを式(I)、(IV)または(V)のX線撮影造影剤の誘導体で末端修飾(end-capping)することによって合成されることができる。
【0029】
本発明のある実施態様では、本発明のX線撮影造影剤は、反応経路図5に示されるように、その酸誘導体に変換される。X、Y、nおよびmは、上記で定めたものと同一である。
【化11】


【0030】
次に、式(VI)の本発明の生分解性ポリマーは、反応経路図6に示すように、本発明のX線撮影造影剤の酸誘導体で末端修飾され、少なくとも2個のX線撮影造影部分を有する本発明の生分解性ポリマーを提供する。用語「DMAP」は、本明細書で使用される場合、4-(ジメチルアミノ)ピリジンまたはその塩酸塩を示す。X、Y、nおよびmは、上記で定めたものと同一である。
【化12】


【0031】
本発明の生分解性ポリマーは、所望の生体適合性と物理機械的特性(例、強度、疲労、滑らかさ)を有するだけでなく、X線撮影画像の視覚化のためのX線不透過性も有する。本発明の生分解性ポリマーの機械的強度および分解時間は、その分子量もしくは組成を調整することによって調節されることができる。本発明の生分解性ポリマーのX線撮影対比強度は、本発明の生分解性ポリマー中の少なくとも1個のX線撮影造影部分の比率を変え、あるいは、少なくとも1個のX線撮影造影部分の構造を修飾することによって、調整されることができる。本発明の生分解性ポリマーは、有機溶媒に可溶性で、医療用具の構築に使用されるバルクポリマー材料と混和する。本発明の生分解性ポリマーは、水に可溶性でなく、製造プロセスまたは初期埋め込み期間中、浸出しない。そのため、本発明のX線不透過生分解性ポリマーは、生体組織と面を接する医療用具、特に埋め込み型医療用具の加工および使用に適する。反応経路図4〜6に示されるような同様の反応経路を使用することによって、本発明の生分解性ポリマーを調製するための重合開始剤として、モノサッカライド系X線撮影造影剤が用いられることができる。
【0032】
別の態様では、本発明は、医療用具の少なくとも一部が、X線不透過である医療用具を提供する。当該医療用具のX線不透過の前記少なくとも一部は、生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料を含み、前記生分解性ポリマーは、この生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する。当該少なくとも1個のX線撮影造影部分は、求核反応から誘導される官能基によって前記生分解性ポリマーに共有結合される。当該少なくとも1個のX線撮影造影部分は、モノサッカライド主鎖、または炭素原子2〜12個の脂肪族もしくは脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含む。当該少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれは、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族もしくは脂環式主鎖に結合基によって共有結合され、当該結合基は、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-およびトリアゾールから選択される。
【0033】
本発明のある実施態様では、前記少なくとも1個のX線撮影造影部分は、次の構造を有し、
【化13】


式中、
Rは、水素原子または炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり、Xは、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、Yは少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、nおよびmは、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である。好ましくは、Rは水素原子であり、Xは、-O(CO)-、-NH(CO)-、または、トリアゾールである。さらに好ましくは、Rは水素原子であり、Xは、-O(CO)-、-NH(CO)-、または、トリアゾールであり、nおよびmは、ともにゼロである。好ましくは、少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された本発明の生分解性ポリマーは、少なくとも2個のX線撮影造影部分を含有し、それによって、X線撮影造影効果が高められる。本発明に適した生分解性ポリマーは、グリコリド、ラクチド、ジオキサン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ヒドロキシブチレート、および、それらの組み合わせを含むが、それらに制約されないモノマー単位を含む。
【0034】
本発明において、前記医療用具のX線不透過部分は、当該医療用具の一表面の少なくとも一部、当該医療用具の構成部分、または、当該医療用具の構成部分の一部であることができる。当該医療用具のX線不透過部分は、当該医療用具の使用目的および加工法に応じて、いずれの形状またはサイズであることもできる。当該医療用具の全表面が本発明のX線不透過生分解性ポリマー材料で覆われる場合、あるいは、当該医療用具全体が本発明のX線不透過生分解性ポリマー材料から調製される場合、当該医療用具全体がX線不透過である。好ましくは、本発明の医療用具は、埋め込み型である。本発明に適した医療用具の例は、縫合糸、ステープルおよびメッシュなどの創傷縫合用具;骨折固定インプラントおよび骨増強インプラントなどの整形外科用固定具;吻合リングおよび結紮クリップなどの腸用具;血管グラフトおよび薬剤溶出ステントなどの心臓血管用具;歯科用インプラント;神経成長導管;他の埋め込み型医療用具を含むが、それらに制約されない。本発明のX線不透過生分解性ポリマー材料は、注型(cast)、吹き付け、スピン、浸漬、または、当業者に周知の他の方法を使って、医療用具の一表面の少なくとも一部に塗布されることができる。当該医療用具もしくはその構成部分は、射出成形、圧縮成形、押出、または、当業者に周知の他のポリマー医療用具構築法を使って、本発明のX線不透過生分解性ポリマー材料から構築されることができる。
【0035】
本発明は、特に、本発明の好ましい実施態様に関して提示、説明されたが、本発明の精神および範囲を逸脱せずに、前記および他の形態および内容の変更が加えられることができると、当業者に理解されるであろう。そのため、本発明は、説明、解説された厳密な形態および内容には制約されず、添付された特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) X線撮影造影剤において、
モノサッカライド主鎖、または、炭素原子2〜12個の脂肪族主鎖もしくは脂環式主鎖と、
反応性求核基と、
少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基と、
を含み、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、結合基によって前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族主鎖、もしくは前記脂環式主鎖に共有結合され、
前記結合基が、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである、
X線撮影造影剤。
(2) 実施態様1に記載のX線撮影造影剤において、
以下の構造を有し、
【化14】


式中、
Rが、水素原子、または炭素原子1〜4個を有するアルキル基、であり、
Xが、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、
Yが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、
n、およびmが、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である、
X線撮影造影剤。
(3) 実施態様2に記載のX線撮影造影剤において、
Rが、水素原子である、
X線撮影造影剤。
(4) 実施態様3に記載のX線撮影造影剤において、
Xが、-O(CO)-、-NH(CO)-、またはトリアゾールである、
X線撮影造影剤。
(5) 実施態様4に記載のX線撮影造影剤において、
n、およびmが、ともにゼロである、
X線撮影造影剤。
(6) 実施態様1に記載のX線撮影造影剤において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子が、臭素、ヨウ素、またはそれらの組み合わせである、
X線撮影造影剤。
(7) 実施態様1に記載のX線撮影造影剤において、
以下の構造を有する、
X線撮影造影剤。
【化15】


(8) 実施態様1に記載のX線撮影造影剤において、
以下の構造のいずれか1つを有する、
X線撮影造影剤。
【化16】


(9) X線不透過ポリマー材料において、
生分解性ポリマーであって、前記生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する、生分解性ポリマー、
を含み、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、求核反応から誘導された官能基によって前記生分解性ポリマーに共有結合され、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、モノサッカライド主鎖、または、炭素原子2〜12個の脂肪族主鎖もしくは脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含み、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、かつ、結合基によって前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族主鎖、もしくは前記脂環式主鎖に共有結合され、
前記結合基が、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである、
X線不透過ポリマー材料。
(10) 実施態様9に記載のX線不透過ポリマー材料において、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、以下の構造を有し、
【化17】


式中、
Rが、水素原子、または炭素原子1〜4個を有するアルキル基、であり、
Xが、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、または-(SO)NH-であり、
Yが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、
n、およびmが、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である、
X線不透過ポリマー材料。
(11) 実施態様10に記載のX線不透過ポリマー材料において、
Rが、水素原子であり、
Xが、-O(CO)-、-NH(CO)-、またはトリアゾールである、
X線不透過ポリマー材料。
(12) 実施態様11に記載のX線不透過ポリマー材料において、
n、およびmが、ともにゼロである、
X線不透過ポリマー材料。
(13) 実施態様10に記載のX線不透過ポリマー材料において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子が、臭素、ヨウ素、またはそれらの組み合わせである、
X線不透過ポリマー材料。
(14) 実施態様10に記載のX線不透過ポリマー材料において、
前記生分解性ポリマーに共有結合された少なくとも1個のX線撮影造影部分を有する前記生分解性ポリマーが、グリコリド、ラクチド、ジオキサン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ヒドロキシブチレート、および、それらの組み合わせから成る群から選択される、モノマー単位を含む、
X線不透過ポリマー材料。
(15) 医療用具において、
前記医療用具の少なくとも一部分がX線不透過性であり、前記医療用具のX線不透過性の前記少なくとも一部分(at least one radio-opaque portion)が、少なくとも1個のX線撮影造影部分(at least one radiographic contrasting moiety)が共有結合された生分解性ポリマーを含むX線不透過ポリマー材料を含み、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、求核反応から誘導される官能基によって前記生分解性ポリマーに共有結合され、前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、モノサッカライド主鎖、または炭素原子2〜12個の脂肪族主鎖もしくは脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含み、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基のそれぞれが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換され、かつ、結合基によって前記モノサッカライド主鎖、または前記脂肪族主鎖、もしくは前記脂環式主鎖に共有結合され、
前記結合基が、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールである、
医療用具。
(16) 実施態様15に記載の医療用具において、
前記少なくとも1個のX線撮影造影部分が、以下の構造を有し、
【化18】


式中、
Rが、水素原子、または炭素原子1〜4個を有するアルキル基、であり、
Xが、酸素、イオウ、-NH-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-O(SO2)-、-(SO2)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、 -NH(SO2)-、-(SO2)NH-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、またはトリアゾールであり、
Yが、少なくとも3個のハロゲン原子で置換された芳香族基であり、
n、およびmが、同一または異なり、独立して、ゼロまたは1〜4の整数である、
医療用具。
(17) 実施態様16に記載の医療用具において、
Rが、水素原子であり、
Xが、-O(CO)-、-NH(CO)-、またはトリアゾールである、
医療用具。
(18) 実施態様17に記載の医療用具において、
n、およびmが、ともにゼロである、
医療用具。
(19) 実施態様16に記載の医療用具において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子が、臭素、ヨウ素、またはそれらの組み合わせである、
医療用具。
(20) 実施態様16に記載の医療用具において、
少なくとも1個のX線撮影造影部分が共有結合された前記生分解性ポリマーが、グリコリド、ラクチド、ジオキサン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ヒドロキシブチレート、および、それらの組み合わせから成る群から選択される、モノマー単位を含む、
医療用具。
(21) 実施態様16に記載の医療用具において、
前記医療用具のX線不透過性の前記部分(radio-opaque portion)が、前記医療用具の一表面の少なくとも一部、前記医療用具の構成部分、または、前記医療用具の構成部分の一部である、
医療用具。
(22) 実施態様16に記載の医療用具において、
埋め込み型である、
医療用具。




 

 


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