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発明の名称 両親媒性高分子被膜
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−152097(P2007−152097A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2006−321924(P2006−321924)
出願日 平成18年11月29日(2006.11.29)
代理人 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭
発明者 パラサナ・ナラヤナン / ジョナサン・ゼット・ザオ
要約 課題
物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料を提供する。

解決手段
上記両親媒性の被膜材料は、ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖と、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖と、を有するポリマー、を含む。本発明は、表面に両親媒性の被膜を有する物品、も提供している。上記ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖は物品の少なくとも一つの表面に付着する。上記ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖は上記疎水性の主鎖から延出して、三次元の網状構造を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料において、
ポリマーであって、
ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖、および、
ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖、
を有する、ポリマー、
を含む、被膜材料。
【請求項2】
請求項1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化1】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
被膜材料。
【請求項3】
請求項2に記載の被膜材料において、
前記nは、2〜10である、被膜材料。
【請求項4】
請求項1に記載の被膜材料において、
約10×10-10〜約5000×10-10m(約10〜約5000Å)の厚さを有している、被膜材料。
【請求項5】
請求項1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、約5k〜約500kダルトン(約8.30×10-21g〜約8.30×10-19g)の範囲内の調整可能な分子量、を有している、被膜材料。
【請求項6】
請求項1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、および、50モル%までの1種類以上のメタクリレートまたはアクリレートのコモノマー単位、を含むコポリマー、であり、
【化2】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
被膜材料。
【請求項7】
請求項4に記載の被膜材料において、
前記nは、2〜10である、被膜材料。
【請求項8】
請求項1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の反復単位を含むコポリマー、であり、
【化3】


この場合に、
RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
xおよびyは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、100〜5000の整数である、
被膜材料。
【請求項9】
請求項1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の反復単位を含むコポリマー、であり、
【化4】


この場合に、
RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
XおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、100〜5000の整数である、
被膜材料。
【請求項10】
物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料において、
ポリマーであって、
ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖、および、
ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖、
を有する、ポリマー、
を含み、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化5】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
被膜材料。
【請求項11】
表面に両親媒性の被膜材料を有する物品において、
前記両親媒性の被膜材料は、ポリマーを含み、
前記ポリマーは、
ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖、および、
ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖、
を有する、
物品。
【請求項12】
請求項11に記載の物品において、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化6】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
物品。
【請求項13】
請求項12に記載の物品において、
前記nは、2〜10の整数である、物品。
【請求項14】
請求項11に記載の物品において、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、および、50モル%までの1種類以上のメタクリレートまたはアクリレートのコモノマー単位、を含むコポリマーであり、
【化7】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
物品。
【請求項15】
請求項14に記載の物品において、
前記nは、2〜10の整数である、物品。
【請求項16】
請求項11に記載の物品において、
前記両親媒性の被膜は、約10×10-10〜約5000×10-10m(約10〜約5000Å)の厚さを有している、物品。
【請求項17】
請求項11に記載の物品において、
前記ポリマーは、約5k〜約500kダルトン(約8.30×10-21g〜約8.30×10-19g)の範囲内の調整可能な分子量、を有している、物品。
【請求項18】
請求項11に記載の物品において、
医療装置、または、医療装置の部品、である、物品。
発明の詳細な説明
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料、に関連している。また、本発明は、本発明に関する両親媒性の被膜を有する物品、にも関連している。
【0002】
〔発明の背景〕
たいていの医療装置は、金属、セラミック、または高分子材料により、作られている。しかしながら、これらの材料は、疎水性で、非順応性(non-conformal)であり、滑りにくいので、使用中または動作中に、粘膜の傷害または炎症、を引き起こす可能性がある。したがって、この生体適合性の問題は、医療装置、特に、医療用移植片、の製造者にとって、重要な問題である。適正に且つ安全に機能するために、医療装置は、通常において、生体適合性の材料の一つ以上の層により、被覆されている。これらの医療装置における被膜は、一部の場合において、治療用または薬事用の物質を送達させるために、用いることも可能である。
【0003】
医療装置、特に、植え込み可能な医療装置は、長期の使用が目的とされており、体組織、体液、電解質、蛋白質、酵素、脂質、およびその他の生物学的な分子に対して、直接に相互作用するので、これらの医療装置のための被膜材料は、厳しい生物学的および身体的な必要条件、を満たさなければならない。これらの必要条件は、最低限として、以下の基準、すなわち、(1)上記被膜は、体液に対する接触時に、潤滑であるが、乾燥条件において、滑らない、必要があること、(2)上記被膜は柔軟で弾性である必要があり、これにより、これらの被膜は、有害なストレスを誘発することなく、生物学的な構造に一致すること、(3)上記被膜は親水性であり、血液適合性である必要があること、(4)上記被膜は体組織および体液に対して化学的に不活性である必要があること、および(5)上記被膜は、医療装置の上において形成される時に、機械的に耐久性があり、割れない必要があること、を含んでいる。また、上記の被膜が、薬事用または治療用の物質により含浸されていれば、これらの被膜およびそれらの形成は、その薬事用または治療用の物質に対して、適合性を有していることが、一般的に、必要とされる。また、上記の被膜が被覆材として用いられていて、その下層の基礎被膜が薬事用または治療用の物質により含浸されていれば、その被膜およびその形成は、基礎被膜とその中に含浸されている薬事用または治療用の物質とに対して、適合性を有していなければならず、その被膜は、その薬事用または治療用の物質がその被膜を透過することを可能にしなければならない、ということが、さらに、必要とされる。また、上記被膜は、上記下層の基礎被膜の中の薬事用または治療用の物質の溶出を調整するために、物理的なバリア、化学的なバリア、またはこれらの組み合わせ物、として機能することも望ましい。
【0004】
先行技術の一般的な被膜組成物は、支持用のポリマーと、親水性のポリマーと、を含んでおり、この場合に、支持用のポリマーは、架橋反応を生じることのできる機能的な部分、を含んでおり、親水性のポリマーは支持用のポリマーに結合している(例えば、米国特許第6,238,799号を参照されたい)。しかしながら、この先行技術の被膜組成物の調製は、化学的な架橋反応と高温の硬化処理と、を用いており、これらは、薬物含有の被膜に対して、適合性を有していない。
【0005】
また、先行技術は、ポリエチレングリコール・ビニルエーテルの化合物のモノマーを含むガスの、気相またはプラズマによる、重合により、形成される被膜組成物、も用いている(例えば、米国特許出願公開第2003/0113477号を参照されたい)。しかしながら、このようなプラズマ処理により調製されたポリマーは、不十分に定められている分子量と大きな多分散性と、を有している。さらに、低分子量のプラズマ重合したポリマーは、限られた機械的な耐久性、を有している。また、このようなプラズマ処理は下層の基礎被膜に浸透して、その中の薬物含有物を損傷させる可能性がある。さらに、この先行技術の方法に伴う別の問題は、このプラズマ処理中に発生されるフリーラジカルまたはその他の高エネルギーの種が被膜の中に残存して、経時的に、基礎被膜の中における薬物含有物の損失を引き起こす可能性があることである。
【0006】
したがって、医療装置の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給可能である被膜材料であって、上記の全ての必要条件を満たすことのできる、被膜材料、に対する要望が依然として存在している。
【0007】
〔発明の概要〕
したがって、本発明は、物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料、を提供している。この「両親媒性」とは、疎水性および親水性の特性を、同時に、有していること、を意味する。このような両親媒性の被膜材料は、ビニルの部分から誘導される疎水性の主鎖と、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導される親水性の垂下した鎖(pendent chains)と、を有するポリマー、を含む。
【0008】
好ましくは、上記ポリマーは、以下の二つの構造の内の一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化1】


この場合に、
Rは、水素原子または1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
mは100〜5000の整数である。
【0009】
上記ポリマーは、以下の構造の内の一つを含んでいるモノマー単位、を含むコポリマー、であってもよく、
【化2】


この場合に、
Rは、水素原子または1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
mは100〜5000の整数であり、
さらに、50モル%までの1種類以上のメタクリレートまたはアクリレートのコモノマー単位を含んでいる。
【0010】
本発明は、表面に両親媒性の被膜を有する物品、も提供している。この両親媒性の被膜は、ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖と、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖と、を有するポリマー、を含んでいる。このビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖は、物品の一つの表面の少なくとも一部分に、付着する。一方、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖は疎水性の主鎖から延出していて、三次元の網状構造を形成している。
【0011】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料、を提供している。この両親媒性の被膜材料は、ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖と、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖と、を有するポリマー、を含んでいる。この「ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖」とは、ビニル基の重合により形成されている、上記ポリマーの疎水性の部分、を意味する。また、「ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖」とは、ポリエチレン・オキシドの基を含んでいる、上記ポリマーの親水性の部分、を意味する。
【0012】
好ましくは、上記ポリマーは、以下の二つの構造の内の一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化3】


この場合に、
Rは、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
mは100〜5000の整数である。
好ましくは、nは2〜10の整数である。また、本発明に適しているアルキル基は、直鎖状、分枝状、または環状、であってよい。適当なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチル、を含むが、これらに限定されない。好ましくは、上記アルキル基はメチルである。
【0013】
上記ポリマーは、以下の構造の内の一つを含んでいるモノマー単位、を含むコポリマー、であってもよく、
【化4】


この場合に、
Rは、水素原子または1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
mは100〜5000の整数であり、
さらに、50モル%までの1種類以上のメタクリレートまたはアクリレートのコモノマー単位を含んでいる。
【0014】
上記のコポリマーが、上記の化学式(I)または(II)の構造を含むモノマーと、2種類以上のコモノマーと、を含む場合に、この2種類以上のコモノマーは、同種であっても、異種であってもよい。本発明によれば、上記1種類以上のコモノマーは、メタクリレートおよび/またはアクリレート、を含むが、これらに限定されない。好ましいメタクリレートのコモノマーは、メチル・メタクリレート、エチル・メタクリレート、脂環式メタクリレート、または非環式アルキル置換型メタクリレート、を含み、この場合に、上記のアルキルおよび脂環構造は、1〜12個の炭素原子、を独立して有することができる。好ましいアクリレートのコモノマーは、メチル・アクリレート、エチル・アクリレート、脂環式アクリレート、非環式アルキル置換型アクリレート、アクリル酸、ヒドロキシエチル・アクリレート、ヒドロキシプロピル・アクリレート、ヒドロキシ置換型脂環式アクリレート、および非環式ヒドロキシアルキル置換型アクリレート、を含み、この場合に、上記のアルキルおよび脂環構造は、1〜12個の炭素原子、を独立して有することができる。なお、当業界の熟練者において、適当なコモノマーは、上記のメタクリレートおよびアクリレートのコモノマーの、あらゆる類似のメタクリレートまたはアクリレート、も含むことが理解される。
【0015】
本発明の一例の実施形態において、上記ポリマーは、以下の化学式(I)または(II)の反復しているモノマー単位により、実質的に構成されており、
【化5】


この場合に、
Rは、水素原子または1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
mは100〜5000の整数である。
好ましくは、nは2〜10の整数である。
【0016】
本発明の一例の実施形態において、上記ポリマーは以下の反復している単位を含んでいるコポリマーであり、
【化6】


この場合に、
RおよびR′は同一であっても異なっていてもよく、独立して、水素原子または1〜6個の炭素のアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
xおよびyは同一であっても異なっていてもよく、独立して、100〜5000の整数である。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態において、上記ポリマーは以下の反復している単位を含んでいるコポリマーであり、
【化7】


この場合に、
RおよびR′は同一であっても異なっていてもよく、独立して、水素原子または1〜6個の炭素のアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
XおよびYは同一であっても異なっていてもよく、独立して、100〜5000の整数である。
【0018】
本発明に関する両親媒性の被膜材料は、物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に、供給できる。一部の実施形態において、本発明に関する被膜は、物品の全ての露出されている表面に、供給される。この両親媒性の被膜の厚さは、この被膜の形成において用いられる方法と、物品の目的用途と、により、変更可能である。一般的に、医療装置のために、本発明の被膜は約10×10-10〜約5000×10-10m(約10〜約5000Å)の厚さに供給され、約20〜約1000Åの厚さがさらに一般的である。
【0019】
本発明に関するポリマーは、望ましい機械的な耐久性および適当な接着性を伴うポリマーの形成を可能にするために、約5k〜約500kダルトン(約8.30×10-21g〜約8.30×10-19g)の範囲内の調整可能な(tunable)ポリマー分子量、を有していることが好ましい。被膜の機械的な耐久性は、ポリマーの分子量を増加すると、改善されるので、本発明に関するコポリマーは、生体内において拡張および配備を必要とする特定の医療装置(例えば、ステント)のための被膜において使用するために、10k〜500kダルトン(1.66×10-20g〜8.30×10-19g)の、高いポリマー分子量、を有していることが特に好ましい。さらに、改善された機械的な耐久性および接着性を伴うコポリマー材料を調製するために、コモノマーも添加できる。
【0020】
本発明の両親媒性の被膜は、高品質のフィルム形成を助長するために、可塑剤、消泡剤、クレーター防止剤(anticrater agents)、および合同溶媒(coalescing solvents)等のような、共溶媒および/またはその他の添加物、をさらに含んでもよい。このような両親媒性の被膜材料に対する別の適当な添加物は、生物活性剤、抗菌剤、抗血栓形成剤、抗生物質、顔料、放射線不透過剤(radiopacifiers)およびイオン伝導体、を含むが、これらに限定されない。なお、これらの成分の選択および量に関する詳細は、当業界における熟練者において、既知である。
【0021】
物品の少なくとも一つの表面に供給されると、上記のビニルの部分から誘導された疎水性の主鎖は非膨張性の基礎層を形成して、下層の表面に固着するが、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導された親水性の垂下した鎖は水和して、生理学的な条件下に膨潤し、潤滑性で血液適合性の表面を形成する。このような親水性の垂下した鎖の低摩擦性および血液適合性は、亜急性血栓症(SAT)を潜在的に減少させる優れた抗血栓特性、を与える。さらに、上記のビニルの部分から誘導された疎水性の主鎖は、ポリマーの機械的な耐久性を改善する、狭い範囲の分布を伴う、所定の分子量、を有しているが、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導された親水性の垂下した鎖は、ポリマーの望ましい弾性を得るために、種々の長さに調節可能である。したがって、本発明に関するポリマーは、丈夫であり、すなわち、機械的に耐久性があり、柔軟性、すなわち、弾性、である。このような本発明に関する被膜の丈夫さおよび柔軟性は、医療装置における多くの現在の被膜、特に、ステントにおける被膜、において一般に見られる、はがれ、剥離、およびその他の欠陥、をかなり減少させる。したがって、本発明は改善された生体適合性の被膜を提供しており、この被膜は、再狭窄、または血栓症、またはその他の望ましくない反応、を減少させるために十分に潤滑性である、哺乳類動物、例えば、人間、の体組織に接触するための不活性な親水性の表面と、例えば、医療装置等の、物品の上に形成されると、割れに抵抗するために十分に耐久性のある、下層の表面に固着するための、疎水性の主鎖と、の両方を有している。
【0022】
本発明に関する両親媒性の被膜は、医療装置の基礎被膜、例えば、ステントの基礎被膜からの、治療の投薬量の薬剤の溶出を調整するために、適用することも可能である。この基礎被膜は、一般に、1種類以上の薬物、薬剤、および/または配合物の基材、およびポリマー等のような生体適合性の材料、を含んでいる。上記の溶出の調整は、物理的なバリア、または化学的なバリア、またはこれらの組み合わせ物、のいずれかからの結果として生じる。この溶出は被膜の厚さを変えることにより調整され、これにより、上記基礎被膜から拡散するための、薬物、薬剤、および/または配合物のための、拡散経路の長さを変えることができる。本質的に、上記基礎被膜の基材の中の、薬物、薬剤および/または配合物は、上記被膜の中の介在性の空間を通して拡散する。したがって、被膜が厚くなるほど、拡散経路が長くなり、逆に、被膜が薄くなるほど、拡散経路が短くなる。なお、上記の基礎被膜および被膜の厚さは、これらが適用される物品の所望の全体の外形により、限定可能であることに、注目することが重要である。
【0023】
本発明に関するポリマーの疎水性の主鎖の構造および分子量は、種々の重合の方法の採用により、制御または調整可能である。本発明の好ましい重合の方法は、グループ・トランスファー重合(GTP)、アニオン重合、およびリビング重合、を含む。本発明のさらに好ましい重合の方法はGTPである。このGTPは、シリル・ケテン・アセタール開始剤を用いるマイケル型付加反応を含むリビング重合法、である(例えば、バムバカリ,M(Vamvakari, M)他,ポリマー(Polymer),40巻,1999年,p.5161−5171、を参照されたい)。多くの従来の重合法は、化学的な架橋反応、高温硬化処理、および/またはプラズマ処理、を必要とするが、これらは、上記のポリマーの主鎖構造および分子量分布に関して極めて限られている制御を有していることだけでなく、下層の基礎被膜の中の薬物含有物に対して損傷を引き起こす。このような従来の重合法とは異なり、GTPは、周囲温度において、狭い分子量分布の、調整された構造のアクリレートまたはメタクリレートのポリマーの合成のために、使用できる。上記のポリエチレン・オキシドの部分から誘導された親水性の垂下した鎖は望ましい潤滑特性と血液適合性を与え、これらの親水性の垂下した鎖の長さは、重合反応において、所望数の反復しているエチレン・オキシド単位を伴うモノマーを用いることにより、制御可能である。この重合において好ましいモノマーは、2〜10の反復しているエチレン・オキシド単位を含むモノマー、である。
【0024】
一般的な重合化は、以下のような式1において、示される。
【化8】


この場合に、
Rは、水素原子または1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは100〜5000の整数であり、
nは2〜100の整数である。
なお、上記の重合処理において適当な触媒は当業界における熟練者において既知である。この触媒の例は、1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチル−1−プロペン(MTS)、n−テトラブチルアンモニウム・ビベンゾエート(n-tetrabutylammonium bibenzoate)(TBABB)、およびその他の重合開始剤、を含むが、これらに限定されない。
【0025】
一般的な共重合の方法は、以下のような式2において、示される。
【化9】


この場合に、
RおよびR’は、独立して、水素原子または1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、
xおよびyは、独立して、100〜5000の整数であり、
nは2〜100の整数である。
なお、上記の重合処理において適当な触媒は当業界における熟練者において既知である。この触媒の例は、1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチル−1−プロペン(MTS)、n−テトラブチルアンモニウム・ビベンゾエート(TBABB)、およびその他の重合開始剤、を含むが、これらに限定されない。
【0026】
別の一般的な共重合の方法は、以下のような式3において、示される。
【化10】


この場合に、
RおよびR’は、独立して、水素原子または1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、
XおよびYは、独立して、100〜5000の整数であり、
nは2〜100の整数である。
なお、上記の重合化処理において適当な触媒は当業界における熟練者において既知である。この触媒の例は、1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチル−1−プロペン(MTS)、n−テトラブチルアンモニウム・ビベンゾエート(TBABB)、およびその他の重合開始剤、を含むが、これらに限定されない。
【0027】
本発明はまた、表面に両親媒性の被膜を有する物品、も提供している。この両親媒性の被膜は、ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖と、ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖と、を有するポリマー、を含んでいる。このビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖は、物品の少なくとも一つの表面の上に在り、この表面に直接に接触している。すなわち、このビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖は、物品の一つの表面の少なくとも一部分、に固着している。この物品の一つの表面の少なくとも一部分は、高分子の被膜、プラスチックの物質、セラミック、スチール、またはその他の合金、の表面であってよい。一方、上記のポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖は上記疎水性の主鎖から延出して、三次元の網状構造を形成する。図1は、表面に両親媒性の被膜を有している物品の絵画的な説明図であり、この場合に、上記ポリマーの疎水性の主鎖は物品の表面に直接に付着している。図2は、表面に両親媒性の被膜を有している物品の絵画的な説明図であり、この場合に、上記ポリマーの疎水性の主鎖は下層の基礎被膜に付着している。これらの図において、符号10は本発明に関するポリマーを示しており、12は装置の表面を示しており、14は疎水性の主鎖を示しており、16はエチレン・オキシドの垂下した鎖の親水性の網状構造を示しており、18は基礎被膜を示している。
【0028】
好ましくは、上記ポリマーは、以下の二つの構造の内の一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化11】


この場合に、
Rは、水素原子または1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、
nは2〜100の整数であり、
mは100〜5000の整数である。
好ましくは、nは2〜10の整数である。また、本発明に適しているアルキル基は、直鎖状、分枝状、または環状、であってよい。適当なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチル、を含むが、これらに限定されない。好ましくは、上記アルキル基はメチルである。
【0029】
上記ポリマーは、以下の構造の内の一つを含んでいるモノマー単位、を含むコポリマー、であってもよく、
【化12】


この式は、上記において定められている式と同じであり、さらに、50モル%までの1種類以上の、メタクリレートまたはアクリレート、のコモノマー単位を含んでいる。
【0030】
本発明に関する両親媒性の被膜材料により被覆可能である物品は任意の形状であってよく、好ましくは、医療装置、または医療装置の部品である。この用語の「医療装置」は、本明細書において用いられる場合に、医療処置において用いられる物理的な物品、を示しており、この物品は、外部医療装置と、植え込み可能な医療装置と、の両方、を含む。本発明に関する両親媒性の被膜材料により被覆可能である医療装置は、カテーテル、ガイドワイヤ、薬物溶出式ステント、蝸牛移植片、網膜移植片、胃帯、神経刺激装置、筋刺激装置、植え込み可能な薬物送達装置、眼内装置、および種々の他の医療装置、を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の両親媒性の被膜材料は、例えば、噴霧塗布、超音波塗布、浸漬塗布等、のような、従来の塗布技法を用いて、物品の表面に供給できる。浸漬塗布処理において、上記の物品は、両親媒性の被膜材料を入れた槽の中に浸漬された後に、取り出される。約1分〜約2時間の範囲内の滞留時間は、構造の材料、装置の複雑さ、および所望の被膜の厚さに応じて、使用可能である。次に、上記の両親媒性の被膜材料により塗布された物品は、乾燥した被膜にするために、乾燥させることができる。なお、この乾燥は、単に、周囲条件において放置することにより、達成させてもよく、約30℃〜約65℃等のような、穏やかな温度において加熱することにより、加速することも可能である。
【0032】
上記において、本発明は、その好ましい実施形態に関連して、特に図示および記載されているが、上記およびその他の実施形態は形態を変えることが、当業界の熟練者により、理解されることとなるであろう。さらに、それらの詳細は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、行なうことが可能である。それゆえ、本発明が、上記の正確な形態と、説明されていて図示されている詳細とに、限定されず、添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲内に該当する、ということが意図されている。
【0033】
〔実施の態様〕
(1)物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料において、
ポリマーであって、
ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖、および、
ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖、
を有する、ポリマー、
を含む、被膜材料。
(2)実施態様1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化13】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
被膜材料。
(3)実施態様2に記載の被膜材料において、
前記nは、2〜10である、被膜材料。
(4)実施態様1に記載の被膜材料において、
約10×10-10〜約5000×10-10m(約10〜約5000Å)の厚さを有している、被膜材料。
(5)実施態様1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、約5k〜約500kダルトン(約8.30×10-21g〜約8.30×10-19g)の範囲内の調整可能な分子量、を有している、被膜材料。
【0034】
(6)実施態様1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、および、50モル%までの1種類以上のメタクリレートまたはアクリレートのコモノマー単位、を含むコポリマー、であり、
【化14】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
被膜材料。
(7)実施態様4に記載の被膜材料において、
前記nは、2〜10である、被膜材料。
(8)実施態様1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の反復単位を含むコポリマー、であり、
【化15】


この場合に、
RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
xおよびyは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、100〜5000の整数である、
被膜材料。
(9)実施態様1に記載の被膜材料において、
前記ポリマーは、以下の反復単位を含むコポリマー、であり、
【化16】


この場合に、
RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
XおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、独立して、100〜5000の整数である、
被膜材料。
(10)物品の一つの表面の少なくとも一部分の上に供給するための、両親媒性の被膜材料において、
ポリマーであって、
ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖、および、
ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖、
を有する、ポリマー、
を含み、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化17】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
被膜材料。
【0035】
(11)表面に両親媒性の被膜材料を有する物品において、
前記両親媒性の被膜材料は、ポリマーを含み、
前記ポリマーは、
ビニルの部分から誘導されている疎水性の主鎖、および、
ポリエチレン・オキシドの部分から誘導されている親水性の垂下した鎖、
を有する、
物品。
(12)実施態様11に記載の物品において、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、を含んでおり、
【化18】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
物品。
(13)実施態様12に記載の物品において、
前記nは、2〜10の整数である、物品。
(14)実施態様11に記載の物品において、
前記ポリマーは、以下の二つの構造のうちの一つを含んでいるモノマー単位、および、50モル%までの1種類以上のメタクリレートまたはアクリレートのコモノマー単位、を含むコポリマーであり、
【化19】


この場合に、
Rは、水素原子、または、1〜6個の炭素原子のアルキル基、であり、
nは、2〜100の整数であり、
mは、100〜5000の整数である、
物品。
(15)実施態様14に記載の物品において、
前記nは、2〜10の整数である、物品。
【0036】
(16)実施態様11に記載の物品において、
前記両親媒性の被膜は、約10×10-10〜約5000×10-10m(約10〜約5000Å)の厚さを有している、物品。
(17)実施態様11に記載の物品において、
前記ポリマーは、約5k〜約500kダルトン(約8.30×10-21g〜約8.30×10-19g)の範囲内の調整可能な分子量、を有している、物品。
(18)実施態様11に記載の物品において、
医療装置、または、医療装置の部品、である、物品。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に関する両親媒性の被膜材料により被覆されている物品の絵画的な説明図である。
【図2】基礎被膜と本発明に関する両親媒性の被膜材料とにより被覆されている物品の絵画的な説明図である。




 

 


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