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発明の名称 グラフト材料を管腔内装置に固定するためのシステムおよび方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−136188(P2007−136188A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2006−308126(P2006−308126)
出願日 平成18年11月14日(2006.11.14)
代理人 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭
発明者 フランク・ブタリック / アイ・ジョン・カーン / ダイアナ・エム・サンチェス
要約 課題
ステントグラフトの可撓性と半径方向の剛性とを妨げることなく、グラフト材料をステント構造体により確実に固定するシステムおよび方法を提供すること。

解決手段
ステント構造体10にグラフト材料200が取り付けられたステントグラフトで、同時に、ステントグラフトに、そのクリンプされた状態で、低プロフィールを提供する、ステントグラフト。グラフト材料は、このステントの内面、外面、または、この内面とこの外面との両方に取り付けることができる。グラフト材料は、そのような表面の全てまたは一部分を覆うことができる。グラフト材料は、意図した処置部位まで送達した時、拡張することができる。グラフト材料の拡張可能特性は、自己拡張性材料によるか、または、当技術分野で一般に実施されている他の方法によって成し遂げることができる。ステントグラフト材料は、当技術分野で一般に実施されている、耐久性のある生体適合材料を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
ステントグラフトにおいて、
複数の交流波形状ストラット、拡張されたときの直径、および、クリンプされたときの直径、を備える少なくとも1つのセグメントを有する、拡張可能なステントと、
前記ステントに固定されたグラフト材料であって、前記ステントグラフトが前記拡張されたときの直径と前記クリンプされたときの直径との間を動くことを可能にしている、グラフト材料と、
前記複数の交流波形状ストラットの少なくともいくつかに前記グラフト材料を固定し、前記クリンプされたときの直径である場合の前記ステントグラフトに低プロフィールを提供する、交互嵌合可能な一連のステッチと、
を備える、ステントグラフト。
【請求項2】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記拡張可能なステントが、自己拡張性材料を備える、ステントグラフト。
【請求項3】
請求項2に記載のステントグラフトにおいて、
前記自己拡張性材料が、少なくとも部分的にニチノールで構成されている、ステントグラフト。
【請求項4】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記拡張可能なステントが、拡張可能なバルーンステントである、ステントグラフト。
【請求項5】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料が、生体適合材料を備える、ステントグラフト。
【請求項6】
請求項5に記載のステントグラフトにおいて、
前記生体適合材料が、織り合わされたポリエステル、ダクロン(Dacron)、テフロン(Teflon)(登録商標)、ダイニーマ(Dyneema)、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびポリウレタンのうちの少なくとも1種である、ステントグラフト。
【請求項7】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記交互嵌合可能なステッチが、偶数:奇数のステッチ比を備える、ステントグラフト。
【請求項8】
請求項7に記載のステントグラフトにおいて、
前記偶数:奇数のステッチ比が、3:4である、ステントグラフト。
【請求項9】
請求項7に記載のステントグラフトにおいて、
前記偶数:奇数のステッチ比が、3:4以外である、ステントグラフト。
【請求項10】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記ステントが前記クリンプされたときの直径である場合に、前記交互嵌合可能なステッチは、前記複数の交流波形状ストラットの少なくともいくつかに沿って、互いに接触しないよう十分に離間した偶数:偶数のステッチ比を備える、ステントグラフト。
【請求項11】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
各セグメントの前記複数の交流波形状ストラットが、前記ステントの内部空洞と外面とを形成している、ステントグラフト。
【請求項12】
請求項11に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料、および前記ステントの一部分に設けられている少なくとも1個の予備形成穴、を通っている少なくとも1本の縫合糸と、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれに対応する少なくとも1個のワッシャーと、
をさらに備え、
各縫合糸の第1の端部は、前記ステントの前記少なくとも1個の予備形成穴の対応する1個に接してふくらむように加熱されており、
各縫合糸の第2の端部は、前記少なくとも1本の縫合糸の対応する1本の第2の端部と、前記グラフト材料との間に配置されている、前記少なくとも1個のワッシャーの対応する1個に接してふくらむように加熱されている、
ステントグラフト。
【請求項13】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記交流波形状ストラットが、相互連結されているか、連結されていないか、または、それらの組合せの状態である、ステントグラフト。
【請求項14】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、モノフィラメントである、ステントグラフト。
【請求項15】
請求項1に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、マルチフィラメントである、ステントグラフト。
【請求項16】
ステントグラフトにおいて、
複数の交流波形状ストラット、拡張されたときの直径、および、クリンプされたときの直径、を備える少なくとも1つのセグメントを有する、拡張可能なステントと、
前記ステントに固定されたグラフト材料であって、前記ステントグラフトが前記拡張されたときの直径と前記クリンプされたときの直径との間を動くことを可能にしている、グラフト材料と、
前記ステントの一部分に設けられている少なくとも1個の予備形成穴と、
前記グラフト材料、および前記少なくとも1個の予備形成穴のそれぞれの1個、を通っている少なくとも1本の縫合糸であって、前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれが、第1の端部、および第2の端部を有している、少なくとも1本の縫合糸と、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの1本に対応する少なくとも1個のワッシャーと、
を備え、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの第1の端部は、前記縫合糸が通っている対応する予備形成穴に接してふくらむように加熱されており、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの第2の端部は、前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの1本の第2の端部と、前記グラフト材料との間に配置されている、前記少なくとも1個のワッシャーの対応する1個に接してふくらむように加熱されており、
前記少なくとも1本のフィラメント縫合糸、前記少なくとも1個の予備形成穴、および前記少なくとも1個のワッシャーの組み合わせによって、前記グラフト材料が前記ステントに固定され、同時に、前記クリンプされたときの直径で、低プロフィールのステントグラフトが提供される、
ステントグラフト。
【請求項17】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記拡張可能なステントが、自己拡張性材料を備える、ステントグラフト。
【請求項18】
請求項17に記載のステントグラフトにおいて、
前記自己拡張性材料が、少なくとも部分的にニチノールで構成されている、ステントグラフト。
【請求項19】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料が、生体適合性である、ステントグラフト。
【請求項20】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料が、織り合わされたポリエステル、ダクロン、テフロン(登録商標)、ダイニーマ、およびポリウレタンのうちの少なくとも1種を備える、ステントグラフト。
【請求項21】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ワッシャーが、放射線不透過性材料を備える、ステントグラフト。
【請求項22】
請求項21に記載のステントグラフトにおいて、
前記放射線不透過性材料が、タンタル、タングステン、金、プラチナ、またはそれらの組合せの少なくとも1種を備える、ステントグラフト。
【請求項23】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ワッシャーがそれぞれ、前記グラフト材料および前記ステントの外側に配置されている、ステントグラフト。
【請求項24】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ワッシャーがそれぞれ、前記グラフト材料および前記ステントの内側に配置されている、ステントグラフト。
【請求項25】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、モノフィラメントである、ステントグラフト。
【請求項26】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、マルチフィラメントである、ステントグラフト。
【請求項27】
請求項16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ステントが、相互連結されたストラットのセグメント、相互連結されていないストラットのセグメント、または、それらの組合せをさらに備えている、ステントグラフト。
【請求項28】
グラフト材料をステントに固定するための方法において、
一連の交流波形状ストラット、拡張されたときの直径、およびクリンプされたときの直径、を有する少なくとも1つのセグメント、を有するステントを提供する段階と、
前記交流波形状ストラットの少なくともいくつかに沿った、交互嵌合可能な複数のステッチを用いて、グラフト材料を前記ステントに固定して、前記クリンプされたときの直径において低プロフィールのステントグラフトを提供する段階と、
を含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記交互嵌合可能な複数のステッチは、前記交流波形状ストラットの少なくともいくつかに沿って偶数:奇数のステッチ比を備える、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法において、
前記偶数:奇数の比が、3:4である、方法。
【請求項31】
請求項28に記載の方法において、
前記偶数:奇数の比が、3:4以外である、方法。
【請求項32】
請求項28に記載の方法において、
前記交互嵌合可能な複数のステッチは、偶数:偶数のステッチ比を有し、
前記複数のステッチはそれぞれ、前記クリンプされたときの直径である場合に、前記複数の交流波形状ストラットの少なくともいくつかの上で互いに接触しないよう十分に離間している、
方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法において、
前記グラフト材料、および前記ステントの一部分における予備形成穴、を通る縫合糸を用いて、前記グラフト材料を前記ステントにさらに固定する段階と、
それぞれの縫合糸が通る開口部を有するワッシャーを提供する段階と、
をさらに含み、
各縫合糸の対向する端部が、前記ステントの前記予備形成穴の前記開口部よりも大きくふくらむように加熱されるか、または、前記それぞれの縫合糸が通った前記ワッシャーの開口部よりも大きくふくらむように加熱される、
方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
それぞれの縫合糸が通る前記ワッシャーは、前記グラフト材料および前記ステントの外側に備えられる、方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法において、
それぞれの縫合糸が通る前記ワッシャーは、前記グラフト材料および前記ステントの内側に備えられる、方法。
【請求項36】
請求項33に記載の方法において、
それぞれの縫合糸が通る前記ワッシャーは、放射線不透過性である、方法。
【請求項37】
請求項33に記載の方法において、
前記縫合糸は、モノフィラメントである、方法。
【請求項38】
請求項33に記載の方法において、
前記縫合糸は、マルチフィラメントである、方法。
【請求項39】
請求項33に記載の方法において、
前記縫合糸は、相互連結されるか、相互連結されないか、または、それらの組合せである、方法。
発明の詳細な説明
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は概して、グラフト材料(graft material)を管腔内装置(intraluminal devices)に固定するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔関連技術〕
管腔内装置は一般に、罹患した血管または障害のある血管の能力(performance)を改善するために、その罹患した血管または障害のある血管の中で用いられる。そのような血管疾患または血管障害には、狭窄、血栓症、閉塞または動脈瘤が包含されることがある。ステント(stents)は、そのような罹患した血管または障害のある血管を処置するために用いられる典型的な管腔内装置である。
【0003】
ステントは概して、生体適合材料で形成される管状の装置であって、脈管の中に植え込まれて、この脈管を広げ支持する装置である。ステントは典型的には、端部が開放されており、その挿入時の直径よりも大きい直径まで半径方向に拡張することができる。場合によっては、人工ルーメンを通って血流が前進するこの人工ルーメンを提供するために、ステントは、グラフト(すなわち、このステントに取り付けられる材料)を含むことがある。そのようなグラフトは典型的には、一旦脈管系の中の意図された位置に植え込まれると、組織の内方成長(ingrowth)および内皮化(endothelialization)を可能にする微孔構造(microporous structure)を有する生体適合材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(ポリ四フッ化エチレン)(PTFE)または延伸多孔質PTFE(expanded PTFE)、で構成される。このグラフト材料をステントに取り付ける手段はしばしば、管腔内装置の可撓性を減少させ、この装置の幅を増大させる。
【0004】
動脈瘤の場合、通常、全身的なコラーゲンの合成上または構造上の欠陥(systemic collagen synthetic or structural defect)の結果として、動脈壁の1つ以上の層の異常拡張が生じる。腹部大動脈瘤は、大動脈の腹部における動脈瘤であり、通常、2本の腸骨動脈の一方または両方の中、または、それらの一方または両方の近辺に配置されているか、または、腎動脈の近辺に配置されている。動脈瘤はしばしば、罹患した大動脈の腎臓下部(例えば、腎臓の下)に発生する。一方、胸部大動脈瘤は、大動脈の胸部における動脈瘤である。動脈瘤は、未処置のままにしておくと、破裂して、通常、急速な致死的出血を引き起こす。
【0005】
破裂した腹部大動脈瘤は現在、米国において、第13番目の主な死亡原因である。腹部大動脈瘤の常例的処置は、関連する部分または拡張した部分にグラフトが配置される外科的バイパスであった。経腹膜処置または腹膜後処置(transperitoneal or retroperitoneal procedures)による、合成グラフトを用いた切除術は、標準的処置であったが、この処置は、重大な危険性を伴っている。例えば、合併症には、心筋虚血、腎不全、勃起不能、腸虚血、感染症、下肢虚血(lower limb ischemia)、麻痺を伴う脊髄損傷、腸大動脈腸瘻(aorta-enteric fistula)、および、死亡が包含される。腹部大動脈瘤の外科的処置は、無症候性患者で5%の全死亡率、症候性患者で16〜19%の全死亡率、また、破裂性腹部大動脈瘤の患者で50%もの全死亡率を伴う。
【0006】
従来の手術に関連する短所には、高死亡率であることの他に、腹腔の切開および開口が大きいことに関連する回復期間が長くなること、大動脈にグラフトを縫合することが困難であること、グラフトを支持し補強するための既存の血栓症部が欠損すること、患者によっては腹部手術(abdominal surgery)が不適切であること、および、動脈瘤の破裂後におけるそのような手術に関連する諸問題、が包含される。治癒および回復の期間にはしばしば、病院での2週間までと、とりわけ、合併症が生じる場合、自宅でのさらに数ヶ月までとが含まれる。さらに、腹部大動脈瘤を有する多くの患者は、高齢であり、他の慢性疾患を伴っているので、そのような患者は、そのような手術に対する理想的な候補者とは言えない。
【0007】
腹部大動脈瘤は、最も一般的に生じる動脈瘤であるが、動脈瘤の発生は、そのような腹部領域に限定されない。例えば、胸部大動脈瘤も発生する。そのような胸部大動脈瘤は、類似の手術が必要であり、この手術は、高い危険性と著しい罹患率および死亡率とを伴う主な作業である。
【0008】
最近、動脈瘤、および、とりわけ腹部大動脈瘤を処置するために、より非侵襲的なカテーテル血管内技術(catheter-directed endovascular techniques)が開発されてきた。グラフト材料と併せて使用される血管ステントの開発によって、これらのより非侵襲的な処置技術が容易となった。その結果として、入院期間がより短くなり、回復期間が短縮され、かつ、罹患率と死亡率とがより低くなった。
【0009】
そのようなステントグラフトのための送達方法には、離れた動脈(例えば、上腕動脈または大腿動脈)の外科的切開を経て達成される血管アクセス(vascular accesses)によって実施される血管造影技術が包含される。適切な寸法の導入器(introducer)がガイドワイヤの上に配置され、次いで、遠く離れた動脈の中に配置される。ステントグラフトは、この導入器を通って、送達用カテーテルを経て意図された処置部位まで進められる。ステントグラフトの典型的な配置を行うためには、内部安定化装置(inner stabilizing device)でこのステントグラフトの位置を維持しながら、送達用カテーテルの外側シース(outer sheath)を回収する必要がある。大抵のステントグラフトは、自己拡張性(self-expanding)材料で構成されている。しかし、意図した処置部位の所望の所定位置にステントグラフトを固定するためには、バルーン血管形成術等の追加的な血管形成術が必要である場合がある。その後、導入器、ガイドワイヤ、および、送達用カテーテルの様々な部品が回収される。
【0010】
前述の装置の直径が大きい(典型的には、6.67mm(20フレンチ(French)(3F=1mm))より大きい)ため、動脈切開部の縫合(arteriotomy closure)はしばしば、開腹手術による修復(open surgical repairs)が必要である。さらに、グラフト材料をステントに取り付ける方法は、ステントグラフトのプロフィール(profile:外形)を増大させることがあって望ましくなく、このステントグラフトの据え付けをより困難にし、意図された処置部位までの送達と配置とが行われる間、血管に対する意図せぬ望ましくない損傷の危険にさらす。
【0011】
前述の事項を考慮すると、ステントグラフトの可撓性と半径方向の剛性とを妨げることなく、グラフト材料をステント構造体により確実に固定するシステムおよび方法に対する必要性が存在する。理想的には、そのようなシステムおよび方法は、クリンプされた状態のステントグラフトのプロフィールを減少させてこのステントグラフトの意図された処置部位への送出と配置とを改善することができる方法で、このグラフト材料をステント構造体にいっそう固定するであろう。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明のシステムおよび方法は、ステント構造体にグラフト材料が取り付けられたステントグラフトを備えており、同時に、このステントグラフトのクリンプされた状態において、このステントグラフトに低プロフィールを提供する。このグラフト材料は、このステントの内面、外面、または、この内面とこの外面との両方に取り付けることができる。このグラフト材料は、そのような表面の全てまたは一部分を覆うことができる。このグラフト材料は、意図した処置部位まで送達した時、拡張することができる。このグラフト材料の拡張可能特性は、自己拡張性材料(self-expanding materials)によるか、または、当技術分野で一般に実施されている他の方法(例えば、バルーン拡張)によって成し遂げることができる。ステントグラフト材料は、当技術分野で一般に実施されている、耐久性のある生体適合材料を有する。クリンプされた状態でのステントグラフトは、好ましくは経皮的に送達されるが、意図した処置部位まで外科的に設置されうる、低プロフィールの流体流動導管(low profile fluid flow conduit)を有する。
【0013】
いくつかの具体例において、前記ステントグラフトは、ステントの複数の交流波形状ストラット(alternating strut)の上の偶数:奇数(または奇数:偶数)比のステッチを使用してこの交流波形状ストラットにブランケットステッチで縫い付けられたグラフト材料を有する。したがって、この交流波形状ストラット上のステッチを交互嵌合させるために、ステントグラフトがそのクリンプされた状態にあるとき、低プロフィールのステントグラフトを提供するために、第1のストラット上の偶数のブランケットステッチは、隣接するストラット上の奇数のブランケットステッチに関連して互い違いになっている。交流波形状ストラット上に形成される、偶数:奇数(または奇数:偶数)比のブランケットステッチは、14mm未満の直径を有するステントグラフトに対しては、理想的には3:4のステッチである。交流波形状ストラット上に形成される、偶数:奇数(または奇数:偶数)比のブランケットステッチは、14mm〜30mmの間の直径を有する、より大きい直径のステントグラフトに対しては、理想的には4:5または5:6である。交流波形状ストラット上に形成される、偶数:奇数(または奇数:偶数)比のブランケットステッチは、30mmより大きい直径を有するステントグラフトに対しては、理想的には6:7またはそれ以上であり、用途によって決まる。ブランケットステッチの長さは、一緒に縫い付けられているステントストラットの長さに基づく。交流波形状ストラット一組当りの前記ステッチ比は、ステントのクリンプ加工(crimping:縮みじわを付けること)をより完全に調整するのに役立つ。もちろん、他の比は、ステントグラフトの長さ、または、他の医学的および生理学的必要性に応じて考慮され決定される。
【0014】
他の具体例において、グラフト材料の内側および外側で1本以上のフィラメント縫合糸の両端部を、加熱してリベット様に固定する(heat riveted)ことによって、このグラフト材料はステントに縫い付けられる。したがって、フィラメント縫合糸は、ステントの所定の空隙においてグラフト材料を通って(例えば、ステントの少なくとも1つのストラットの一部分における予備形成穴を通り、上にあるグラフト材料を通って)抜け、そうすることによって、各縫合糸の内側端部は、ステントグラフトの内側に形成された空洞の中に伸び、各縫合糸の、反対側の外側端部は、このステントグラフトの外側を越えて伸びる。それぞれの縫合糸の外側端部は、この縫合糸が通った位置のグラフト材料の上に配置されているワッシャーを通って配置される。次いで、各縫合糸の対向する内側端部と外側端部とは加熱され、その結果、グラフト材料はステントに固定され、そうされることによって、各フィラメントの内側端部は、フィラメントの外側端部が加熱でリベット様に固定される前に、加熱でリベット様に固定される。その後、各フィラメント縫合糸の外側端部は、加熱でリベット様に固定される。このフィラメント縫合糸の、加熱でリベット様に固定された内側端部および外側端部は、ワッシャーの開口部、および、ステントのストラットにおける予備形成穴よりも直径が大きい。したがって、グラフト材料は、縫合糸の両端部を加熱することによって作り出された内側および外側のリベット用縫合糸(rivet sutures)によって、縫合糸が通されたそれぞれの予備形成穴とワッシャーとの間において、ステントに固定される。内側および外側のリベット用縫合糸は、それぞれのワッシャー開口部よりも大きいので、このグラフト材料は、このステントにさらにいっそう確実に固定される。その結果として、ステント構造体に関連する、グラフト材料の不慮のまたは望ましくない微細動作(micro-motions)は、最小限に抑えられる。ステントグラフトが送達され配置されている間、それらワッシャーの視覚化を向上させるため、このワッシャーは、放射線不透過性材料を含有することができる。このようにしてグラフト材料が固定されたステントグラフトは、優れた可撓性と半径方向の剛性とを有する低プロフィールステントとなりうる。
【0015】
代替的具体例は、前記の偶数:奇数のステッチ比の技術を加熱リベット固定およびワッシャーの技術と組み合わせて、そうでなければ前記に記載されるように、グラフト材料を、下にあるステント構造体に固定する。いずれにせよ、ステントグラフトは、挿入および送達を行うときのより小さい直径までクリンプすることができ、かつ、意図した処置部位で、より大きい拡張され展開されたときの直径まで拡張することができ、同時に、ステントグラフトの優れた可撓性と半径方向の剛性とを保持すると共に、ステント構造体に関連する、グラフト材料の望ましくない微細動作を最小限に抑える。
【0016】
本発明の前述の特徴および他の特徴は、諸部品の構造および組合せに係る様々な新規の詳細を含んでいるが、次に、添付図面および特許請求の範囲を参照しながらさらに詳細に記述される。本明細書に記述される、本発明の様々な典型的な具体例は、説明目的でのみ示されており、本発明を制限するものとして示されている訳ではない。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な代替的具体例において用いることができる。
【0017】
本発明の装置および方法の、これらの特徴、態様および利点と、他の特徴、態様および利点とは、次の記述、特許請求の範囲および添付図面に関連して、より良く理解されるであろう。
【0018】
〔発明の詳細な説明〕
本発明のシステムおよび方法は、患者の脈管系または他の解剖学的通路に設置されるステント構造体にグラフト材料が固定される管腔内装置(例えば、ステントグラフト)に適用することができる。しかし、本明細書における記述の主眼は主として、腹部大動脈瘤等の処置または修復に使用される管腔内装置(例えば、ステントグラフト)に向けられている。
【0019】
図1は、典型的な管腔内装置10を例示する。管腔内装置10は、グラフト材料200が固定されている1個以上のステントセグメント100を備える。各ステントセグメント100は、複数個のストラット(struts:筋交い)110と、管腔内装置10の長さを決定する、長手方向に隣接するステントセグメント100とをさらに備えている。長手方向に隣接するステントセグメント100は、接続部材101を用いて相互連結される場合もあり、接続部材101を省略することによって相互連結されない場合もあり、または、管腔内装置10にさらに運動性(dexterity)を付加するための、図1に示されるような、それらの組合せである場合もある。
【0020】
グラフト材料200は、高い耐久性のある不透明の生体適合材料、例えば、織り合わされたポリエステル、ダクロン(Dacron)(登録商標)、テフロン(Teflon)(登録商標)、ダイニーマ(Dyneema)、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリウレタン、または、当業者に知られている他のそのような材料、で構成されている。グラフト材料200は、1個以上のステントセグメント100に固定される。グラフト材料200は、少なくとも1個のセグメント100の交流波形状ストラット(alternating struts)110の上に与えられているモノフィラメントまたはマルチフィラメント縫合糸(sutures)300のいずれかによるか、少なくとも1個のセグメント100の1つ以上の頂端(apexes)またはその近辺における加熱リベットおよびワッシャー400によるか、または、それらの組合せによって、管腔内装置10に連結される。縫合糸300は、当業者の判断で縫合糸として使用するのに適切である非常に耐久性のある生体適合材料、例えば、ポリエステル、ダクロン(登録商標)、テフロン(登録商標)、ダイニーマ、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリウレタン、または、既知のまたはより最近開発された他の材料、または、それらの組み合わせ、で構成されることが好ましい。ステントグラフトを患者の脈管または他の通路(passageway)の中に送達しかつ配置する間に、このステントグラフトの視覚化(visualization)を補助するために、放射線不透過性物質(例えば、金、プラチナ、イリジウム含有プラチナ、タンタル、等)もまた、グラフト材料またはステッチの一部を構成することができる。
【0021】
図1に示されるように、管腔内装置10は、拡張された状態(すなわち、クリンプされていない(non-crimped)状態)のときの第1の直径D1を有する。当業者には容易に理解される筈であるが、管腔内装置10は、患者の脈管系または他の解剖学的通路の中に挿入される前、第1の直径D1よりも小さい第2の直径D2を示すようにクリンプされる。第1の直径D1と第2の直径D2とを容易に調節することができるように、管腔内装置10、ステントセグメント100および接続部材101は、ニチノール(Nitinol)等の自己拡張性(self-expanding)材料で作られることが好ましい。代替的に、管腔内装置10、ステントセグメント100および接続部材101は、管腔内装置10が、意図された処置部位に挿入された後、それの第1の直径D1からそれの第2の直径D2まで、例えばバルーンカテーテルによって拡張されるように、独立して拡張可能な他の材料で作られる。管腔内装置10の拡張可能な特徴は一般に、当技術分野において知られており、実施されている。管腔内装置10のそれら直径は、使用される諸材料と、管腔内装置10が使用される予定である医学的および生理学的条件とに基づいて変わる。管腔内装置10は、図1に概略的に示されるように、単一の縦軸を与えることができるか、または、とりわけ腹部大動脈瘤等を処置するために、当技術分野で一般に実施されている分岐脚(bi-furcated legs)を有することができる。
【0022】
図1は、ステントセグメント100の外面に固定されたグラフト材料200を示す。グラフト材料200は、さらにまたは代替的に、ステントセグメント100の内面に固定されることがある。いずれにせよ、図2〜図3Bに関連して以下にさらに詳細に記述されるように、ステントセグメント100が、本発明のシステムおよび方法の1つの具体例に基づいてクリンプされた状態にあるとき、ステッチ300の交互嵌合(interdigitation)を可能にする、互い違いに配された(staggered)パターンまたは離間した(spaced)パターンで構成されているステッチ300によって、グラフト材料200はステントセグメント100に固定される。代替的に、グラフト材料200は、図4に関連して以下にさらに詳細に記述されるように、本発明のシステムおよび方法のもう1つの具体例に基づいて、加熱リベット縫合糸およびワッシャー400によって、ステントセグメント100に固定される。さらにまた別の方法は、図5に関連して以下にさらに詳細に記述されるように、ステッチ300と、ステントセグメント100中のそれぞれの予備形成穴(preformed hole)とワッシャー400とを通された縫合糸の両端部に形成された加熱縫合糸リベットとの組み合わせを使用して、グラフト材料200をステントセグメント100に固定する。グラフト材料200の一方の端部は、図1では、交流波形状ストラット110上のステッチ300のステッチパターンをより良好に例示するために切り取られているが、実際には、グラフト材料200は、ステッチ300によってステントセグメント100に固定されている。
【0023】
図2は、例えば、管腔内装置10のステントセグメント100の交流波形状ストラット110の上に縫い付けられた一組のステッチ300のブランケット(blanket)を概略的に例示する。各ストラット110は、(それぞれのストラット110に対して直角になる実線で表わされた)4個のステッチ300を有する。この4:4のステッチ比(stitch ratio)によって、グラフト材料はステントに良好に固定される傾向にあるが、この4:4のステッチ比でのステッチの配列はまた、意図された処置部位にステントを挿入するのに望ましい、十分により小さい直径D2まで、このステントがクリンプすることを妨げる傾向もある。この欠陥は、クリンプ(crimping)が、ある度合を越えて試みられるとき、4:4のステッチ比のステッチが互いに接触する傾向があるために生じる。その結果として、クリンプされたステントの直径は制限される。したがって、図2に示される4:4のステッチ比を用いて、グラフト材料、ステッチ、または、下に横たわるステントに損傷の危険にさらすことなく、ステントの望ましい、挿入および送達のための直径D2を達成することは困難である。
【0024】
図3Aおよび図3Bは、本発明のシステムおよび方法の1つの具体例に基づく、例えば、管腔内装置10のステントセグメント100の一対の交流波形状ストラット110の上にブランケットステッチで縫い付けられた一組のステッチ300を概略的に例示する。とりわけ、図3Aは、ステントセグメント100がその拡張された状態にあるときの一対の交流波形状ストラット110上の、3:4比のステッチ300を概略的に例示するのに対して、図3Bは、ステントセグメント100がそれのクリンプされている状態にあるときの一対の交流波形状ストラット110上の、3:4比のステッチ300を例示する。もちろん、当業者は容易に理解するであろうが、より長いストラットで構成されるより長いステントは、より大きいステッチ比を備える傾向にある。例えば、交流波形状ストラットの上に形成されるブランケットステッチの偶数:奇数の比(または、奇数:偶数の比)は、14mm未満の直径を有するステントグラフトに対しては、理想的には3:4ステッチである。交流波形状ストラットの上に形成されるブランケットステッチの偶数:奇数の比(または、奇数:偶数の比)は、14mm〜30mmの間の直径を有するより大きい直径のステントグラフトに対しては、理想的には4:5または5:6である。交流波形状ストラットの上に形成されるブランケットステッチの偶数:奇数の比(または、奇数:偶数の比)は、30mmより大きい直径を有するステントグラフトに対しては、理想的には6:7またはそれ以上であり、用途によって決まる。ブランケットステッチの長さは、一緒に縫い付けられているステントストラットの長さに基づく。一組の交流波形状ストラット当りのステッチ比は、ステントのクリンプをさらに完全に調整するのに役立つ。もちろん、ステントグラフトの長さ、または、他の医学的および生理学的な必要性に基づいて、他の比が考慮されて決定される。
【0025】
図3Aおよび図3Bに示されるように、グラフト材料200は、管腔内装置10のステントセグメント100の内部の、1つのストラット110に沿った3個のステッチと、隣接するストラット110に沿った4個のステッチとによって、ステントセグメント100に固定される。ステッチ比は、図3Aおよび図3Bにおいて3:4ステッチ比として示されているが、管腔内装置10にクリンプされる時、当業者によって容易に理解されるであろう他のステッチ比が、ステントセグメント100の交流波形状ストラット110上のステッチ300の交互嵌合を可能にする互い違いに配されたステッチパターンを提供するという条件で、そのような他のステッチ比が考慮される。その結果として、管腔内装置10は、ステントの可撓性と半径方向の剛性とを弱めることなく、意図された処置部位にステントを挿入し送達するための、管腔内装置10のより小さい挿入直径D2までクリンプすることに、いっそう容易に適応する。
【0026】
ステッチ300は、管腔内装置10のあらゆるセグメント100に形成することができるか、または、ステッチ300を管腔内装置10のセグメント100のいくつかまたは1つのみに形成することが、グラフト材料200をステントセグメント100に、意図した通りに固定することを達成するのに十分であると確認された場合、ステッチ300はそのように形成することができる。ステッチ300は、管腔内装置10のステントセグメント100の内部の各ストラット110に固定することができるか、または、ステッチ300を管腔内装置10のステントセグメント100の内部のストラット110のいくつかまたは1つのみに固定することが、グラフト材料200を管腔内装置10のステントセグメント100に、意図した通りに固定することを達成するのに十分であると考えられた場合、ステッチ300はそのように固定することできる。
【0027】
もちろん、図示されてはいないが、一方のストラットに付いている偶数個のステッチの間の間隔が、隣接する交流波形状ストラットに付いている偶数個のステッチであって、偶数:偶数の比のステッチの、意図された交互嵌合を可能にするこのステッチと相補的に離間して配置されるという条件で、ステッチ比は代替的に、偶数:偶数の比であってもよい。ステッチの、意図された交互嵌合を適応させるための、前記の偶数:偶数のステッチ比の間隔は、調節することがより困難であるので、セグメントにおける交流波形状ストラット上では偶数:奇数のステッチ比が好ましい。
【0028】
腹部大動脈瘤の最小侵襲性治療(minimally invasive treatment:低侵襲性処置)を行うための現行の装置は、例えば、5.73mm〜7.64mm(18Fr〜24Fr)の範囲の大きさである傾向があるので、本明細書に記述される、交互嵌合されるステッチ比を有するステントグラフトは、意図した処置部位までこのステントグラフトをいっそう容易に挿入し送達するのに寄与する、より低プロフィール(lower profile)のステントグラフトを提供する。そのような交互嵌合されるステッチ比を有するステントグラフトは、例えば、0.483mm±0.025mm(0.109in±0.001in)またはそれより低いクリンプされたプロフィール(crimped profiles)を有することができる。このステントグラフトは、より小さい管(tubes)から切り出されるか(cut)、またはより小さい管からワイヤ形成される(wire formed)、現行のデバイスよりより小さい管(tubes)で製造される傾向がある。同時に、本明細書に詳述された技術を用いて、管腔内装置10のステントセグメント100へのグラフト材料200の、改善された信頼性の高い固定が達成される。
【0029】
図4は、本発明のシステムおよび方法に基づき、ステントにグラフト材料を固定して管腔内ステントグラフトを形成するためのもう1つの具体例を例示する。図4では本明細書で既述された類似の箇所に対して同一の参照符号が使用されているが、図4に示されるように、グラフト材料200は、ステントセグメント100の一部分に形成された少なくとも1個の予備形成穴150と、グラフト材料200と、ステント10の外面上のグラフト材料200に重なっている対応するワッシャー400とに通された縫合糸500(その端部501および502のみが図示されている)によって、管腔内装置10のステントセグメント100に固定されている。縫合糸500は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントである場合があり、縫合糸500が通されている予備形成穴150またはワッシャー400によって提供される開口部よりも大きいリベット(rivet)を形成するために、結び目が付けられて熱によって終端処理されている端部(501および502)を有している。縫合糸500の端部(501および502)は、リベットを形成するために、結び目が付けられて熱によって終端処理されているので、縫合糸500の端部(501,502)はいずれも、縫合糸500が通されているそれぞれの予備形成穴150、グラフト材料200およびワッシャー400を通り抜けない。このようにして、グラフト材料200は、ステントセグメント100に完璧に固定される。このように、ワッシャー400は、縫合糸500の一方の端部501がステントセグメント100の内部空洞の中に伸び、また、縫合糸500の反対の端部502がステントセグメント100の外面の外に残留するように、フィラメント縫合糸500が通り抜ける開口部401を有する。このようにしてグラフト材料200を固定することによって、管腔内装置10の挿入、送達および配置を行う間、管腔内装置10の周囲の所望の適所にグラフト材料200を依然として保持しながら、グラフト材料200が、拡張されたときの直径D1とクリンプされたときの直径D2との間のステントセグメント100と一緒に、移動することが可能となる。
【0030】
ステントセグメント100の内部空洞の中にある、各縫合糸500の端部501がまず加熱され、次いで、各縫合糸の外側端部502が加熱されることが好ましい。ワッシャー400は、縫合糸500をグラフト材料200に通す前または通した後に設置することができる。各縫合糸500の内側端部501を加熱することは、本具体例に基づいてグラフト材料200をステントセグメント100に固定する、より容易な方法であると思われる。代替的には、この一連の作業は逆順に行うこともでき、この場合、熱でリベット様に固定された、この縫合糸の両端部501,502の間にグラフト材料200が配置されて、管腔内装置10のステントセグメント100にグラフト材料200が固定されるように、各縫合糸500の外側端部502がまず加熱され、次いで、各縫合糸500の内側端部501が加熱される。
【0031】
ワッシャー400は、グラフト材料200とステントセグメント100との外面の上に示されており、そのことは好ましいのであるが、ワッシャー400は、所望により、グラフト材料200とステントセグメント100との内面の上に設置することができる。いずれの場合でも、ステントグラフトの挿入、送達および配置を行う間、このステントグラフトの視覚化を強化するため、ワッシャー400は、放射線不透過性材料(例えば、タンタル、タングステン、金、プラチナ、または、既知のまたはより最近開発された他の放射線不透過性材料)で構成されることが好ましい。
【0032】
各縫合糸500と予備形成穴150とワッシャー400との組合せは、例えば、図4に示されるように、管腔内装置10のステントセグメント100のストラット110の頂端(apex)もしくはその近辺、または、連結部に配置されるのが理想的である。しかし、他の配置は、予備形成穴150の位置を、前記ステントのストラットの中の他の位置に、または、このストラットに沿う他の位置に変えることによって容易に達成することができる。さらに、図4に示されるストラット110は連結されているが、連結されないストラットもステントを構成することができ、その場合、縫合糸500、予備形成穴150、およびワッシャー400の組合せによって、そうでなければ本明細書に記述されているようにして、グラフト材料200がこのステントに固定されることを、当業者は容易に理解するであろう。
【0033】
例示のみのための図4は、ステントセグメント100とグラフト材料200との外面に沿った適所にある2枚のワッシャー400を、縫合糸500がワッシャー400を通り抜けるのを理想的に防ぐ加熱リベット(heated rivet)502と共に示し、また、図4はさらに、2つの予備形成穴150を、あたかもグラフト材料200が除去されたかのように示している。実際に、グラフト材料200は、縫合糸500がそのような予備形成穴150の全てには通されない場合でも、予備形成穴150を覆い隠す傾向がある。さらに、縫合糸500が、そのような予備形成穴150に通される場合、図4の加熱リベット501は、縫合糸500が、それぞれの予備形成穴150を通り抜けるのを理想的に防ぐ。このように、前述された具体例におけるように、前記ステントが、拡張されたときの直径D1からより小さい挿入されるときの直径D2までクリンプされるように、グラフト材料200は動くことができる。グラフト材料200をステントセグメント100に固定するために使用される、縫合糸500、予備形成穴150およびワッシャー400の組合せの数は、管腔内装置10内部に存在するステントセグメント100とストラット110との数によって制限される。そのために、使用される縫合糸500と予備形成穴150とワッシャー400との組合せが多ければ多いほど、グラフト材料200は、それだけ良好にステントセグメント100に固定される傾向がある。しかし、わずか1組の、縫合糸500、予備形成穴150およびワッシャー400の組合せが使用されることもあろう。このように、グラフト材料200をステントセグメント100に固定して、図4に示されるようなステントグラフトを構成することによって、管腔内装置10のステントセグメント100に関連する、グラフト材料200の、不注意による望ましくない微細動作(micro-motions)は最小限に抑えられ、同時に、挿入および送達において低プロフィールを有するステントの優れた可撓性と半径方向の剛性とが依然として提供される。
【0034】
図5は、本発明のシステムおよび方法に基づいて、グラフト材料をステントに固定して管腔内ステントグラフト装置を構成するための、代替の具体例を例示する。図5に示されるように、前述の第1の具体例(図2〜図3B)の、交互嵌合されるステッチ比が、前述の第2の具体例(図4)の、縫合糸とワッシャーとの組合せと組み合わされている。このように、交流波形状ストラット110のいくつかには、交互嵌合可能なステッチ300を形成し、グラフト材料200をステントセグメント100に固定すると同時に、管腔内装置10にクリンプされた状態で、管腔内装置10に低プロフィール(low profile)を提供することができ、グラフト材料200がステントセグメント100に固定されるようにも、ステントセグメント100の他のストラット110には、縫合糸500、予備形成穴150およびワッシャー400の組合せを提供することができる。図5に示される、このハイブリッド技術(hybrid technique)はまた、管腔内装置10にクリンプされた状態で、管腔内装置10に低プロフィール(low profile)を提供することができる。このステントグラフトは、意図された処置部位まで送達された時、従来の方法で、このステントグラフトが拡張されたときの直径D1まで展開される。
【0035】
前述の、本発明の様々な典型的な具体例は、本発明のシステムおよび方法の別個の具体例を制限しない。当業者には理解されるであろうが、本明細書に記述される材料は、本明細書において説明目的のみのために言及されている材料、構造、形状のいずれにも限定されず、本明細書に記述されるシステムおよび方法に適した他の様々な材料、構造または形状を包含することができる。
【0036】
本発明の好ましい具体例と思われるものを図示し記述してきたが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、形態または細部における様々な変更および変形を容易に行うことができることは、当然、理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に記述されているそのままの形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲の中に含まれるうる全ての変更に及ぶものと解釈されるべきであることが、意図されている。
【0037】
〔実施の態様〕
(1)ステントグラフトにおいて、
複数の交流波形状ストラット、拡張されたときの直径、および、クリンプされたときの直径、を備える少なくとも1つのセグメントを有する、拡張可能なステントと、
前記ステントに固定されたグラフト材料であって、前記ステントグラフトが前記拡張されたときの直径と前記クリンプされたときの直径との間を動くことを可能にしている、グラフト材料と、
前記複数の交流波形状ストラットの少なくともいくつかに前記グラフト材料を固定し、前記クリンプされたときの直径である場合の前記ステントグラフトに低プロフィールを提供する、交互嵌合可能な一連のステッチと、
を備える、ステントグラフト。
(2)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記拡張可能なステントが、自己拡張性材料を備える、ステントグラフト。
(3)実施態様2に記載のステントグラフトにおいて、
前記自己拡張性材料が、少なくとも部分的にニチノールで構成されている、ステントグラフト。
(4)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記拡張可能なステントが、拡張可能なバルーンステントである、ステントグラフト。
(5)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料が、生体適合材料を備える、ステントグラフト。
(6)実施態様5に記載のステントグラフトにおいて、
前記生体適合材料が、織り合わされた(woven)ポリエステル、ダクロン(Dacron)、テフロン(Teflon)(登録商標)、ダイニーマ(Dyneema)、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびポリウレタンのうちの少なくとも1種である、ステントグラフト。
(7)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記交互嵌合可能なステッチが、偶数:奇数のステッチ比を備える、ステントグラフト。
(8)実施態様7に記載のステントグラフトにおいて、
前記偶数:奇数のステッチ比が、3:4である、ステントグラフト。
(9)実施態様7に記載のステントグラフトにおいて、
前記偶数:奇数のステッチ比が、3:4以外である、ステントグラフト。
(10)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記ステントが前記クリンプされたときの直径である場合に、前記交互嵌合可能なステッチは、前記複数の交流波形状ストラットの少なくともいくつかに沿って、互いに接触しないよう十分に離間した偶数:偶数のステッチ比を備える、ステントグラフト。
(11)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
各セグメントの前記複数の交流波形状ストラットが、前記ステントの内部空洞と外面とを形成している、ステントグラフト。
(12)実施態様11に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料、および前記ステントの一部分に設けられている少なくとも1個の予備形成穴、を通っている少なくとも1本の縫合糸と、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれに対応する少なくとも1個のワッシャーと、
をさらに備え、
各縫合糸の第1の端部は、前記ステントの前記少なくとも1個の予備形成穴の対応する1個に接してふくらむ(expand against)ように加熱されており、
各縫合糸の第2の端部は、前記少なくとも1本の縫合糸の対応する1本の第2の端部と、前記グラフト材料との間に配置されている、前記少なくとも1個のワッシャーの対応する1個に接してふくらむように加熱されている、
ステントグラフト。
(13)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記交流波形状ストラットが、相互連結されているか、連結されていないか、または、それらの組合せの状態である、ステントグラフト。
(14)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、モノフィラメントである、ステントグラフト。
(15)実施態様1に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、マルチフィラメントである、ステントグラフト。
(16)ステントグラフトにおいて、
複数の交流波形状ストラット、拡張されたときの直径、および、クリンプされたときの直径、を備える少なくとも1つのセグメントを有する、拡張可能なステントと、
前記ステントに固定されたグラフト材料であって、前記ステントグラフトが前記拡張されたときの直径と前記クリンプされたときの直径との間を動くことを可能にしている、グラフト材料と、
前記ステントの一部分に設けられている少なくとも1個の予備形成穴と、
前記グラフト材料、および前記少なくとも1個の予備形成穴のそれぞれの1個、を通っている少なくとも1本の縫合糸であって、前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれが、第1の端部、および第2の端部を有している、少なくとも1本の縫合糸と、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの1本に対応する少なくとも1個のワッシャーと、
を備え、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの第1の端部は、前記縫合糸が通っている対応する予備形成穴に接してふくらむように加熱されており、
前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの第2の端部は、前記少なくとも1本の縫合糸のそれぞれの1本の第2の端部と、前記グラフト材料との間に配置されている、前記少なくとも1個のワッシャーの対応する1個に接してふくらむように加熱されており、
前記少なくとも1本のフィラメント縫合糸、前記少なくとも1個の予備形成穴、および前記少なくとも1個のワッシャーの組み合わせによって、前記グラフト材料が前記ステントに固定され、同時に、前記クリンプされたときの直径で、低プロフィールのステントグラフトが提供される、
ステントグラフト。
(17)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記拡張可能なステントが、自己拡張性材料を備える、ステントグラフト。
(18)実施態様17に記載のステントグラフトにおいて、
前記自己拡張性材料が、少なくとも部分的にニチノールで構成されている、ステントグラフト。
(19)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料が、生体適合性である、ステントグラフト。
(20)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記グラフト材料が、織り合わされたポリエステル、ダクロン、テフロン(登録商標)、ダイニーマ、およびポリウレタンのうちの少なくとも1種を備える、ステントグラフト。
(21)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ワッシャーが、放射線不透過性材料を備える、ステントグラフト。
(22)実施態様21に記載のステントグラフトにおいて、
前記放射線不透過性材料が、タンタル、タングステン、金、プラチナ、またはそれらの組合せの少なくとも1種を備える、ステントグラフト。
(23)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ワッシャーがそれぞれ、前記グラフト材料および前記ステントの外側に配置されている、ステントグラフト。
(24)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ワッシャーがそれぞれ、前記グラフト材料および前記ステントの内側に配置されている、ステントグラフト。
(25)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、モノフィラメントである、ステントグラフト。
(26)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記縫合糸が、マルチフィラメントである、ステントグラフト。
(27)実施態様16に記載のステントグラフトにおいて、
前記ステントが、相互連結されたストラットのセグメント、相互連結されていないストラットのセグメント、または、それらの組合せをさらに備えている、ステントグラフト。
(28)グラフト材料をステントに固定するための方法において、
一連の交流波形状ストラット、拡張されたときの直径、およびクリンプされたときの直径、を有する少なくとも1つのセグメント、を有するステントを提供する段階と、
前記交流波形状ストラットの少なくともいくつかに沿った、交互嵌合可能な複数のステッチを用いて、グラフト材料を前記ステントに固定して、前記クリンプされたときの直径において低プロフィールのステントグラフトを提供する段階と、
を含む、方法。
(29)実施態様28に記載の方法において、
前記交互嵌合可能な複数のステッチは、前記交流波形状ストラットの少なくともいくつかに沿って偶数:奇数のステッチ比を備える、方法。
(30)実施態様28に記載の方法において、
前記偶数:奇数の比が、3:4である、方法。
(31)実施態様28に記載の方法において、
前記偶数:奇数の比が、3:4以外である、方法。
(32)実施態様28に記載の方法において、
前記交互嵌合可能な複数のステッチは、偶数:偶数のステッチ比を有し、
前記複数のステッチはそれぞれ、前記クリンプされたときの直径である場合に、前記複数の交流波形状ストラットの少なくともいくつかの上で互いに接触しないよう十分に離間している、方法。
(33)実施態様28に記載の方法において、
前記グラフト材料、および前記ステントの一部分における予備形成穴、を通る縫合糸を用いて、前記グラフト材料を前記ステントにさらに固定する段階と、
それぞれの縫合糸が通る開口部を有するワッシャーを提供する段階と、
をさらに含み、
各縫合糸の対向する端部(opposite ends)が、前記ステントの前記予備形成穴の前記開口部よりも大きくふくらむように加熱されるか、または、前記それぞれの縫合糸が通った前記ワッシャーの開口部よりも大きくふくらむように加熱される、
方法。
(34)実施態様33に記載の方法において、
それぞれの縫合糸が通る前記ワッシャーは、前記グラフト材料および前記ステントの外側に備えられる、方法。
(35)実施態様33に記載の方法において、
それぞれの縫合糸が通る前記ワッシャーは、前記グラフト材料および前記ステントの内側に備えられる、方法。
(36)実施態様33に記載の方法において、
それぞれの縫合糸が通る前記ワッシャーは、放射線不透過性である、方法。
(37)実施態様33に記載の方法において、
前記縫合糸は、モノフィラメントである、方法。
(38)実施態様33に記載の方法において、
前記縫合糸は、マルチフィラメントである、方法。
(39)実施態様33に記載の方法において、
前記縫合糸は、相互連結されるか、相互連結されないか、または、それらの組合せである、方法。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】グラフト材料が管腔内装置に固定されているこの管腔内装置を例示する。
【図2】管腔内ステントグラフトのステント構造体にグラフト材料を固定するための4:4ブランケットステッチ比を例示する。
【図3A】本発明に基づき、ステント構造体にグラフト材料を固定するための、拡張された状態での互い違いに配された(staggered)ブランケットステッチ比を概略的に例示する。
【図3B】本発明に基づき、ステント構造体にグラフト材料を固定するための、クリンプされた状態での互い違いに配されたブランケットステッチ比を概略的に例示する。
【図4】本発明に基づき、加熱リベットとワッシャーとを使用して、管腔内ステントグラフトのステント構造体にグラフト材料を固定する、もう1つの具体例を例示する。
【図5】本発明に基づき、互い違いに配されたブランケットステッチ比と、加熱リベットおよびワッシャーとの組み合わせを用いて、管腔内ステントグラフトのステント構造体にグラフト材料を固定する具体例を例示する。
【符号の説明】
【0039】
10 管腔内装置
10 ステント
100 ステントセグメント
101 接続部材
110 交流波形状ストラット
150 予備形成穴
200 グラフト材料
300 モノフィラメントまたはマルチフィラメントの縫合糸
300 ステッチ
400 ワッシャー
401 開口部
500 フィラメント縫合糸
501 縫合糸500の端部
502 縫合糸500の端部
D1 第1の直径
D2 第2の直径




 

 


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