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発明の名称 セラミド7及び/又は5.5が補填された再構築表皮の調製方法、セラミド7及び/又は5.5ファミリーの少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物、及びその用途
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−246538(P2007−246538A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2007−126007(P2007−126007)
出願日 平成19年5月10日(2007.5.10)
代理人 【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
発明者 メラニー ショパール / イザベル カスティール / ジャン−ティエリ シモネ
要約 課題
障壁機能が正常なヒトの表皮に近似していると共に、セラミドプロフィールが改善された、再構築皮膚モデルを容易に得られるようにするための方法を提供する。

解決手段
再構築表皮又は皮膚等価物の培養培地に、セラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体を導入し、及び/又はセラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物を、再構築皮膚又は該皮膚等価物の表面に局所的に適用することを含む。セラミド7及び/又は5.5の誘導体は、次の式(I):
特許請求の範囲
【請求項1】
外側水性相中に、親水層により互いに分離させられたラメラ状脂質相により形成された小胞体が分散した分散液を含有し、前記ラメラ相が少なくとも一の両親媒性脂質を含有し、Xが水素原子を表す、式(I):
【化1】


[上式中:
− Xは水素原子又はヒドロキシル(OH)基を表し;
− nは19〜29の範囲の整数を表し;
− mは9〜19の範囲の整数を表す]
のセラミド5.5ファミリーの少なくとも一の誘導体が前記ラメラ状脂質相に含有されている化粧品組成物。
【請求項2】
小胞体がニオソーム又はリポソームであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の誘導体の量が、小胞体を構成している脂質組成物の全重量に対して0.001%〜5%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
分散液中の水性相の量に対する脂質相の量の重量比が、1/1000〜300/1000であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ラメラ状相が:
− ポリオキシエチレン化されていてもいなくてもよい、脂肪酸とポリオールのエステル及び/又はエーテル;
− α-ブチルグリコシドの脂肪酸のエステル及び/又はエーテル;
− 水素化されていてもいなくてもよい、合成又は天然のリン脂質;
から選択される少なくとも一の非イオン性の両親媒性脂質を含有していることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
脂肪酸とポリオールのエステル又はエーテルが、ポリオール基当たりのアルキル鎖の数が1〜10である、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C22アルキル鎖を有する少なくとも一の脂肪酸と、2〜30のエチレンオキシド単位を担持するグルコース類、スクロール類、2〜15のグリセロール単位を有するポリグリセロール類、2〜30のエチレンオキシド単位を担持するグリセロール、2〜60のエチレンオキシド単位を担持するソルビタン、ソルビタン、1〜60のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一のポリオールとのエステル混合物又はエーテル混合物から選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
α-ブチルグリコシドの脂肪酸のエステル及び/又はエーテルが、
− 種々の脂肪鎖が、1又は2の違いの炭素原子を有する、α-ブチルグルコシドの種々の脂肪酸のエステル混合物及び/又はエーテル混合物、又は
− α-ブチルグルコシドの同じ脂肪酸のモノ-、ジ-、トリ-又はポリエーテルの混合物及び/又はモノ-、ジ-、トリ-又はポリエステルの混合物であり;
α-ブチルグルコシドの脂肪酸の前記エステル及び前記エーテルが、8〜24の炭素原子を有する脂肪鎖を含有することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
ラメラ状相が少なくとも一のイオン性の両親媒性脂質をさらに含有していることを特徴とする、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
イオン性の両親媒性脂質が:
− リン酸ジミリスチル及びジセチルのアルカリ塩;
− 硫酸コレステロールのアルカリ塩;
− リン酸コレステロールのアルカリ塩;
− 味の素からアシルグルタマートHS21の名称で販売されているN-ステアロイル-L-グルタミン酸の二ナトリウム塩のような、アシルグルタミン酸一ナトリウム及び二ナトリウム塩等の、リポアミノ酸及びそれらの塩;
− ホスファチジン酸のナトリウム塩;
− リン脂質;
− 次の式(X):
【化2】


[上式中、RはC16-C22アルキル基を表し、Mはアルカリ又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム;及びそれらの混合物である]
のアルキルスルホン誘導体;
− 第4級アンモニウム塩、及び脂肪アミン及びその塩;
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
第4級アンモニウム塩が:
− 次の式(XI):
【化3】


[上式中、RないしR基は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で1〜30の炭素原子を有する脂肪族基、又はアリール又はアルキルアリール等の芳香族基を示し;Xはハロゲン化物、ホスファート類、アセタート類、ラクタート類、(C-C)アルキルスルファート類、アルキルスルホナート類及びアルキルアリールスルホナート類から選択されるアニオンである]
で表される第4級アンモニウム塩;
− 次の式(XII):
【化4】


[上式中、Rは、獣脂脂肪酸誘導体等の8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基を表し、Rは水素原子、C-Cアルキル基又は8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基を表し、RはC-Cアルキル基を表し、Rは水素原子又はC-Cアルキル基を表し、Xはハロゲン化物、ホスファート類、アセタート類、ラクタート類、アルキルスルファート類、アルキルスルホナート類及びアルキルアリールスルホナート類の群から選択されるアニオンである]
で表されるイミダゾリウムの第4級アンモニウム塩;
− 次の式(XIII):
【化5】


[上式中、Rは約16〜30の炭素原子を有する脂肪族基を示し、R10、R11、R12、R13及びR14は同一でも異なっていてもよく、水素及び1〜4の炭素原子を有するアルキル基から選ばれ、Xはハロゲン化物、アセタート類、ホスファート類、ニトラート類及び硫酸メチルの群から選択されるアニオンである]
で表される二第4級アンモニウム塩、
− 少なくとも一のエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩;
から選択されることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも一のエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩が、次の式(XIV):
【化6】


[上式中、
− R15は、C-Cアルキル基及びC-Cヒドロキシアルキル又はジヒドロキシアルキル基から選択され;
− R16は、
・R19-CO-基;
・直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C22炭化水素ベース基であるR
・水素原子;
から選択され;
− R18は、
・水素原子、
・R21-CO-基;
・直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C炭化水素ベース基であるR22
から選択され;
− R17、R19及びR21は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C21炭化水素ベース基から選択され;
− n、p及びrは同一でも異なっていてもよく、2〜6の範囲の整数であり;
− yは1から10の範囲の整数であり;
− xとzは同一でも異なっていてもよく、0から10の範囲の整数であり;
− Xは、単純又は複合の有機又は無機アニオンである]
に相当し、但しx+y+zの合計が1〜15であり、xが0の場合、R16はR20であり、zが0の場合、R18はR22であることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも一のエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩が、式(XIV)において:
− R15がメチル又はエチル基を示し;
− x及びyが1に等しく;
− zが0又は1に等しく;
− n、p及びrが2に等しく;
− R16が、
・R19-CO-基;
・メチル、エチル、又はC14-C22炭化水素ベース基、
・水素原子、
から選択され;
− R18が、
・R21-CO-基;
・水素原子、
から選択され;
− R17、R19及びR21は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC13-C17炭化水素ベース基、好ましくは直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC13-C17アルキル及びアルケニル基から選択される;
ものに相当することを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
両親媒性脂質の量に対する非イオン性の両親媒性脂質の量の重量比が、50/1〜50/25であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ラメラ状相が、ステロール類、脂肪鎖アルコール類及びジオール類、及び脂肪鎖アミン類及びその第4級アンモニウム誘導体から選択される、少なくとも一の添加剤を含有していることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記添加剤がコレステロールであることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、前記ラメラ状脂質相に含まれる少なくとも一の他のセラミドを含有しており、該セラミドがセラミドSTAR、1、2、2.5、3、4、5及び/又は6から選択されることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
セラミドがセラミドSTAR及び/又は4から選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が、アスコルビン酸又はその類似体、レシチン類、スフィンゴ糖脂質、リン脂質、コレステロール、フィトステロール(スチグマステロール、β-シトステロール、キャンペステロール)、必須脂肪酸、1,2-ジアシルグリセロール、4-クロマノン、ウルソル酸等の五環系トリテルペン類、ワセリン及びラノリンから選択される、障壁機能を改善するための他の化合物を含有していることを特徴とする、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
落屑剤;保湿剤;色素脱失剤又は色素形成誘発剤;抗グリケーション剤;NO-シンターゼインヒビター;筋肉弛緩剤;収斂剤;汚染防止剤及び/又はフリーラジカル捕捉剤;及びそれらの混合物から選択される少なくとも一の付加的な活性剤を含有していることを特徴とする、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、臭気吸収剤、中和剤、サンスクリーン剤、ポリマー類、乳化剤及び共乳化剤、及び染料から選択されるアジュバントを含有していることを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1項に記載の組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体が補填された再構築表皮(reconstructed epidermis)又は皮膚等価物(skin equivalent)の調製方法であって、該再構築表皮又は皮膚等価物の培養培地に、セラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体を導入し、及び/又はセラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体ベースの組成物を、前記再構築表皮又は前記皮膚等価物に局所的に適用することを含む方法に関する。
また本発明は、セラミド5.5ファミリーの少なくとも一の誘導体を含有する再構築表皮又は皮膚等価物に関する。
さらに本発明は、外側水性相中に、親水層により互いに分離させられたラメラ状脂質相により形成された小胞体が分散した分散液を含有する組成物で、前記ラメラ相が少なくとも一の両親媒性脂質、及びセラミド7及び/又はセラミド5.5ファミリーの少なくとも一の誘導体がラメラ状脂質相に含まれている組成物、及び正常なヒトの表皮の障壁機能を強化し、6-ヒドロキシ-4スフィンゲニン-塩基のセラミド類のわずかであっても欠乏を示す表皮、特に乾燥肌、及び再構築皮膚又は皮膚等価物の障壁機能を改善するための、前記組成物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、2つの区画、すなわち深層区画である真皮と表層区画である表皮とからなる。表皮は外部の環境と接している。表皮の役割は、脱水と、化学的、機械的、物理的又は感染性のものであれ、外部攻撃から器官を保護することにある。
天然のヒトの表皮は、主に三種の細胞、すなわち、大部分を占めるケラチノサイトと、メラノサイトとランゲルハンス細胞から構成されている。これらの細胞型の各々は、それ自身の機能により、生物体において皮膚が果たす本質的な役割に寄与している。
表皮を構成する細胞は脂質ドメインにより画成されている。分化の間、その役割が表皮の生きている層の細胞膜の流動構造を形成させることであるリン脂質が、主として脂肪酸、コレステロール及びスフィンゴ脂質からなる混合物と徐々に置き換えられる。
これらの脂質は、その完全性が、存在しているフラクションの質に依存するばかりでなくその各々の割合にも依存する特定のラメラ状液晶相に組織化されている。表皮の脂質ドメインにおける脂質のこのラメラ構造により、表皮の障壁機能が得られている。
表皮の脂質は主に生きた表皮において合成されている。それらは、主としてリン脂質、セラミド類(又はスフィンゴ脂質)、コレステロール、遊離脂肪酸、トリグリセリド類、コレステロールのエステル類及びアルカン類からなる。
【0003】
セラミド類は、表皮脂質の必須構成成分の一つであり、部分的には、そのラメラ状液晶構造をもたらすばかりでなく、表皮の障壁機能をももたらすものである。
セラミド類は、飽和していてもよく、α-ヒドロキシル化していてもよく、又はωエステル化していてもよい脂肪酸と、スフィンガニン、スフィンゲニン、フィトスフィンゴシン及び6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン等、4種類でありうるフィンゴイド塩基からなる。塩基と脂肪酸との可能な種々の組合せにより、Robson, K.J.;Stewart, M.E.;Michelsen, S.;Lazo, N.D.;Downing, D.T., 6-hydroxy-4-sphingenine in human epidermal ceramides, J. Lipid Res. 1994 35:2060-2068;及びChopart M., Castiel-Higounenc I., Arbey E., Guey C., Gaetani Q., Schmidt R., The Normal Human stratum corneum:a new ceramide profile, Perspectives in Percutaneous Penetration, 8th International Conference, Antibes Juan-Les-Pins-France, April 2-6, 2002に列挙されているように、約10種のセラミド類が得られる。
【0004】
程度の差はあれヒトの皮膚に近いモデルの開発はできている。例えば、特許出願EP-A-285471、EP-A-285474、EP-A-789074、EP-A-502172、EP-A-418035、WO-A-9116010、EP-A-197090、EP-A-20753、FR-A-2665175、FR-A-2689904、及びFR-A-2792650に記載されているモデルを挙げることができる。
極めて一般的には、これらの文献に記載されている再構築皮膚のモデルは、多くの場合は真皮等価物である支持体上に付着され、表皮等価物の形成に至る分化プログラムになるような条件下で培養されてなる、例えばメラノサイト及び/又はランゲルハンス細胞のような他の皮膚細胞と場合によっては組合せられるヒトケラチノサイトを含んでなる。今日までに記載されている真皮等価物は、人工膜、例えばミリポア(Millipore)(商標)フィルター、コラーゲンベースの皮下代替品、プラスチック又は細胞生存性と適合性のある任意の他の支持体、又は自然の真皮により近くなるようにさらに改良された支持体、例えば前もって脱表皮化された(pre-de-epidermalized)真皮又はコラーゲン/線維芽細胞の混合格子(lattices)である。コラーゲン/線維芽細胞の混合格子において、天然のコラーゲンと単離されたヒト線維芽細胞とが組合されて、時間の作用を被っていない真皮を模倣する真皮等価物が得られる。
【0005】
再構築皮膚モデルは、一般的に不完全な障壁機能しか示さない(M. Ponec, P.J.J. Wauben-Penris, A. Burger, J. Kempenaarr, H.E. Bodde, Skin Pharmacol 1990;3:pp.126-135)。この不完全さは、正常なヒトの表皮と比較して観察されるこのモデルのセラミドプロフィールの重大な改変に因るところが大きい。
さらに、アトピー性、乾燥性及び加齢した皮膚には、セラミド類1及び/又は3の合成の減少が伴っていることが従来から知られている。例えば次の文献が挙げられる:
− Imokawaら, J Invest Dermatol, 96(4):523-6, 1991は、セラミド類が障壁機能に関与しており、それらの合成、特にセラミド1の合成がアトピー性及び乾燥性の皮膚の場合では低減していることを記載している。
− Di Nardoら, Acta Derm Venereol, 78(1):27-30, 1998は、直ぐに刺激されるアトピー性皮膚炎及び障壁機能が損なわれている乾燥肌について記載している。著者は、セラミド類1及び3の合成の減少が、アトピー性皮膚炎における障壁機能障害と乾燥肌の原因であるかもしれないことを示した。
− Rogersら, Arch. Dermaol. Res. 288:765-770, 1996は、加齢した皮膚における、特に冬季の乾燥症及び障壁機能障害の原因となっているセラミド類、特にセラミド1の合成の減少について記載している。
− Rogersら, J. Invest. Dermatol. 100:510, 1993は、乾燥肌の脂質多層構造が障害を受け、この障害が遊離の脂肪鎖の増加とセラミド類の減少を伴っていることについて記載している。
【0006】
加齢した皮膚、乾燥肌及び皮膚の過敏性を改善するために、セラミド合成刺激剤として、スフィンガニン及びスフィンゴシン塩基、脂肪酸アミド類、及びビタミンBから選択されるセラミド合成のための前駆体を含有する組成物(WO99/47114)が、セラミド合成刺激剤として、脂肪酸、スフィンガニン及びスフィンゴシン塩基、及びビタミンAから選択されるセラミド類の合成経路の中間体又は前駆体を含有する組成物(WO94/23694)と同様に既に知られている。
【0007】
さらに、M. Ponecら, Skin Pharmacol 1990;3:pp.126-135は、再構築皮膚モデルが、一般的に不完全な障壁機能しか示さないと記載している。この不完全さは、正常なヒトの表皮と比較して観察されるこのモデルのセラミドプロフィールの重大な改変に因るところが大きい。
【0008】
また、文献FR2811556から、再構築皮膚の障壁機能を高め、表皮、特に乾燥した及び/又は荒れた及び/又はダメージを受けた皮膚の脂質障壁を強化し、及び/又は角質層の整合性を再確立又は保持し、及び/又は皮膚の表面の外観及び/又は保湿性を改善し、及び/又は皮膚、特に乾燥して荒れた皮膚を保護し、及び/又はケラチン物質(皮膚、毛髪、睫、爪)に必須の栄養剤として、及び/又は再構築皮膚又は皮膚等価物の脂質障壁を強化し、及び/又はインビボ及びインビトロにおけるヒトの表皮の脂質含有量を高め及び/又は保持し、及び/又は脂質含有量及び/又は障壁特性値といった、再構築表皮及び/又は表皮細胞培養体の質及び特性を改善するために、6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニンを使用することは、従来から行われている。
【0009】
しかしながら、6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニンを使用しても、表皮において脂肪酸と組合せられた後、インシトゥーで得られるであろうセラミドの種類を制御することができない。実際、6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニンは、いくつかのセラミド類:セラミドSTAR、4、5.5及び7を構成するスフィンゴイド塩基である("The Normal Human stratum corneum:a new ceramide profile" M.Chopartら, Prospectives in Percutaneous Penetration, 8th International Conference, Antibes Juan-Les Pins, France, 2-6, April 2002及びKaneboのJP2000/143598公報)。さらに、再構築皮膚は、その生存性を限られた期間(約1ヶ月)のみ維持できる脆弱な構造体である。よって、再構築皮膚が障壁機能を獲得するための時間の獲得がその寿命に関連した重要なパラメータとなる。
【0010】
再構築皮膚の脂質プロフィールを改善するため、培養培地にアスコルビン酸すなわちビタミンC(J. Invest. Dermatol. 109:348-355, 1997)又はアスコルビン酸誘導体(FR2807320)を添加することが、また従来から行われている。
しかしながら、アスコルビン酸は、その化学構造(アルファ-ケトラクトン)のために、ある種の環境パラメータ、例えば光、熱及び水性媒体、特にアルカリ性及び/又は好気性媒体に対して非常に敏感である。これらの安定性に関する問題があるために、アスコルビン酸を含有する組成物の皮膚に対する効果を観察するには、高濃度のアスコルビン酸を使用する必要がある。さらに、アスコルビン酸又はその誘導体の一つを培養培地に導入しても、インシトゥーで合成されるセラミドの正確な種類を制御することができない。
よって、正常なヒトの表皮に近似したものとなる障壁機能を持つ、セラミドプロフィールが改善された、より迅速に再構築される皮膚モデルを得るための他の方法が必要とされている。
【特許文献1】WO99/47114
【特許文献2】WO94/23694
【特許文献3】FR2811556
【特許文献4】JP2000/143598
【特許文献5】FR2807320
【非特許文献6】M. Ponec, P.J.J. Wauben-Penris, A. Burger, J. Kempenaarr, H.E. Bodde, Skin Pharmacol 1990;3:pp.126-135
【非特許文献7】Imokawaら, J Invest Dermatol, 96(4):523-6, 1991
【非特許文献8】Di Nardoら, Acta Derm Venereol, 78(1):27-30, 1998
【非特許文献9】Rogersら, Arch. Dermaol. Res. 288:765-770, 1996
【非特許文献10】Rogersら, J. Invest. Dermatol. 100:510, 1993
【非特許文献11】M. Ponecら, Skin Pharmacol 1990;3:pp.126-135
【非特許文献12】M.Chopartら, Prospectives in Percutaneous Penetration, 8th International Conference, Antibes Juan-Les Pins, France, 2-6, April 2002
【非特許文献13】J. Invest. Dermatol. 109:348-355, 1997
【発明の開示】
【0011】
本出願人は、培養培地中に、セラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体を導入し、及び/又はセラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物を、再構築表皮又は皮膚等価物に局所的に適用することを含む、セラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体が補填された再構築表皮又は皮膚等価物を調製するための新規の方法を見出した。
その新規な調製方法により、皮膚等価物又は再構築皮膚における割合を増加させて、セラミドの種類を正確に制御することで、式(I)のセラミド5.5及び/又は7の少なくとも一の誘導体、好ましくは式(I)のセラミド7の誘導体が補填された再構築皮膚又は皮膚等価物を得ることが可能になる。
【0012】
また本出願人は、セラミド7及び/又はセラミド5.5ファミリーの少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物により、6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基のセラミド類が不足した表皮の障壁機能を改善することができることを見出した。特に本発明においては、乾燥肌及び再構築皮膚(エピスキン(EPISKINTM)モデルについてなされた研究)では殆どの極性のあるセラミド類が不足しており、その結果、6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン(また6-ヒドロキシ-4-スフィンゴシンとも称される)スフィンゴイド塩基が不足することが実証されているから、このことは特に有利である。
よって、本発明の第1の主題は、再構築表皮又は皮膚等価物の培養培地中に、セラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体を導入し、及び/又はセラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物を、前記再構築表皮又は前記皮膚等価物の表面に局所的に適用することを含む、セラミド7及び/又は5.5の少なくとも一の誘導体が補填された再構築表皮又は皮膚等価物の調製方法であって、前記セラミド7及び/又は5.5の誘導体が、次の式(I):
【化1】


[上式中:
− Xは水素原子又はヒドロキシル(OH)基;有利にはヒドロキシル基を表し;
− nは19〜29、好ましくは21〜27の範囲、有利には21、22又は23に等しい整数を表し;
− mは9〜19、好ましくは9〜15の範囲;有利には11、12又は13に等しい整数を表す]
のものである方法に関する。
式(I)のセラミド5.5の誘導体は、Xが水素原子を表すものである。式(I)のセラミド7の誘導体は、Xがヒドロキシル基を表すものである。
【0013】
本発明の好ましい実施態様では、式(I)の化合物は、nが21〜27、mが9〜15であるものである。
本発明の他の好ましい実施態様では、式(I)の化合物は、nが21、22又は23に等しく、mが11、12又は13に等しいものである。Robsonら, J. Lipid Res. 1994 35:2060-2068により記載されているように、nが21に等しく、mが11に等しい式(I)の化合物に相当するセラミド7が、本発明において特に好ましい。
【0014】
本発明の方法において、培養培地に導入される式(I)の少なくとも一の誘導体の濃度は、培養培地の10g/l〜10−6g/l、好ましくは1g/l〜10−5g/l、有利には10−1g/l〜10−5g/lである。
【0015】
式(I)のセラミド5.5及び/又は7の少なくとも一の誘導体の培養培地への導入は、最終的に式(I)のセラミド5.5及び/又は7を培養培地に可溶化させるような方法から選択される、種々の方法により実施され得る。実際、式(I)のセラミド5.5及び/又は7の誘導体は親油性構造であるため、培養培地へのこの溶解は先験的には明白ではないことが理解される。第1の変形例では、前記誘導体を溶媒に予め溶解させておく。他の変形例では、前記誘導体を、それを輸送可能な他の分子と予め組合せておく。さらに他の変形例は、少なくとも前記セラミド7及び/又は5.5ファミリーの誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物を、予め調製しておくことからなる。ついで、このようにして予め得られたこれらの組成物、組合せ及び/又は溶媒を培養培地に導入する。
【0016】
選択される溶媒は、式(I)のセラミド7及び/又は5.5を可溶化できなければならない。ついで、得られた溶液を培養培地に導入する。培養培地に導入される溶媒量は、表皮の正常な発育及びそのホメオスタシスを阻害しないような量である。有利には、式(I)のセラミド7及び/又は5.5は、所望する濃度でエタノール又はDMSOに溶解されうる;培養培地に導入された溶媒の最終的な比率は、1/1000を超えてはいけない。
【0017】
また本発明の方法は、少なくとも一の前記誘導体と、該誘導体を培養培地から輸送し、再構築表皮又は皮膚等価物内でそれを生物学的に利用可能なものとすることができる少なくとも一の分子とを含む、予め調製された組合せ物を培養培地中に導入することからなる。
前記誘導体を輸送し、それを生物学的に利用可能にすることができる分子は、BSA(ウシ血清アルブミン)及び/又は同様にして培養培地内での輸送と可溶化を可能にするシクロデキストリンファミリーの化合物又はシクロデキストリンファミリー誘導体から、有利に選択される。
【0018】
式(I)のセラミド7及び/又は5.5がBSAと組合せられる場合、BSAに対するモル比は、例えば1/1000〜1/3、好ましくは1/100〜1/5である。培養培地に導入され得るBSAの濃度は、100μmol/l以下、好ましくは0.5μmol/l〜100μmol/l、より好ましくは10μmol/l〜50μmol/lとすべきである。
式(I)のセラミド7及び/又は5.5が、同様にして培養培地内での輸送及び可溶化を可能にする、シクロデキストリンファミリーの少なくとも一の化合物、有利にはHPBCD又は12-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、又はシクロデキストリンファミリーの誘導体と組合せられる場合、式(I)のセラミド7及び/又は5.5のおよその濃度は、例えばシクロデキストリン類の50%溶液(水で希釈)の0.01nmol/μl〜100nmol/μl、好ましくは0.1nmol/μl〜10nmol/μl、特に1nmol/μl〜5nmol/μlになるようにされる。もちろんこの濃度は、選択される誘導体及び培養培地自体の二次組成の関数として調節されるであろう。ついで、この調製物を培養培地中に導入し、このようにして導入された容量は、式(I)のセラミド7及び/又は5.5の所望最終濃度に調節される。
【0019】
式(I)のセラミド7及び/又は5.5及びビヒクルからなる上述した組合せは:
− 培養培地の50μmol/l以下、好ましくは0.5μmol/l〜50μmol/l、有利には21μmol/lの濃度の酸化防止剤、有利には酢酸DL-α-トコフェロール、及び/又は
− 培養培地の100μmol/l、好ましくは0.5〜100μmol/l、有利には10μmol/lの濃度の細胞輸送剤、有利にはL-カルニチン;
をさらに含有していてもよい。
【0020】
本発明の方法が、セラミド7及び/又は5.5ファミリーの少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物を、培養培地中に導入することからなる場合、前記組成物は、外側水性相中に、親水層により互いに分離させられたラメラ状脂質相により形成された小胞体が分散した分散液を含有し、前記ラメラ相は少なくとも一の両親媒性脂質を含有し、前記式(I)の少なくとも一の誘導体は該ラメラ状脂質相に含有される。
上述された濃度は、表皮の正常な発育及びそのホメオスタシスを阻害しないような濃度範囲が保持されるように調節(増加又は減少)してもよい。
【0021】
本発明の培養培地は、当業者によく知られている培地である。それは特に、次の公報:EP-A-285471、EP-A-285474、EP-A-789074、EP-A-502172、EP-A-418035、WO-A-9116010、EP-A-197090、EP-A-20753、EP-A-2665175、FR-A-2689904、FR-A-2792650及びFR2811556の一つに記載されている培地である。
【0022】
本発明の方法の他の実施態様では、少なくとも一の式(I)のセラミド7及び/又は5.5が補填された再構築皮膚は、セラミド7及び/又は5.5ファミリーの少なくとも一の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする組成物を、培地中の表皮の表面に局所的に適用することにより得られる。有利には、前記組成物は、外側水性相中に、親水層により互いに分離させられたラメラ状脂質相により形成された小胞体が分散した分散液を含有し、前記ラメラ相は少なくとも一の両親媒性脂質を含有し、式(I)の少なくとも一の誘導体は前記ラメラ状脂質相に含有される。
【0023】
本発明の他の主題は、外側水性相中に、親水層により互いに分離させられたラメラ状脂質相により形成された小胞体が分散した分散液を含有する組成物であって、前記ラメラ相が少なくとも一の両親媒性脂質を含有し、上述した式(I)の少なくとも一の誘導体が、該ラメラ状脂質相に含有される組成物に関する。
本発明の組成物は、特にスキンケアに使用され得る。特に、本発明の組成物により、乾燥肌、荒れた及び/又はダメージを受けた及び/又は加齢した及び/又は敏感な及び/又はアトピー性の皮膚、再構築皮膚又は皮膚等価物、並びに6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基のセラミド類の欠乏をわずかでも示す任意の表皮の障壁機能を改善し、あるいはさらに正常なヒトの皮膚の障壁機能を強化することが可能になる。
【0024】
よって、本発明の他の主題は:
− 正常なヒトの表皮の障壁機能を強化し、及び/又は
− 再構築皮膚又は皮膚等価物の障壁機能を強化し、ここで有利には再構築皮膚がエピスキン(EPISKINTM)モデルであり、及び/又は
− 6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基のセラミド類の欠乏をわずかでも示す表皮、好ましくは乾燥肌、あるいは荒れた及び/又はダメージを受けた及び/又は加齢した及び/又は敏感な皮膚の障壁機能を改善し、及び/又は
− 角質層の整合性(integrity)を再確立又は保持し、及び/又は
− 皮膚の表面の外観及び/又は保湿性を改善し、及び/又は
− インビボ及びインビトロで、ヒトの表皮の脂質含有量を改善又は保持し、及び/又は
− 脂質含有量及び/又は障壁特性といった、再構築表皮及び/又は表皮細胞培養体の質及び特性を改善するための、
前記組成物の使用に関する。
【0025】
また本発明の他の主題は、アトピー性の皮膚の処置を意図した組成物を製造するための、本発明の組成物の使用に関する。
再構築皮膚がヒトの皮膚に近いモデルを表すことは、よく証明されている。その結果、再構築皮膚の障壁機能を増大させることが可能な本発明の組成物は、その障壁機能を増大又は保持可能にするセラミドのプロフィールを維持し又は再樹立することにより、正常なヒトの表皮にとって、さらには6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基のセラミド類の欠乏をわずかでも示す任意の表皮、特に乾燥及び/又は荒れた及び/又はダメージを受けた及び/又は加齢した及び/又は敏感な皮膚の表皮、及び/又はアトピー性の皮膚にとって、価値のあるものとなる。
さらに本発明の主題は、上述した組成物を皮膚に局所的に適用することからなることを特徴とする、ヒトの皮膚をより魅力的に又は保湿するための美容処理方法に関する。
【0026】
「小胞体(vesicle)」又は「小胞体分散液」なる用語は、水又は親水性媒体と接触して、コアが親水性(水又は親水性混合物)で、壁部がラメラ状液晶型の二重層からなる粒子を形成する両親媒性脂質の分散液を意味するものと理解される。これらの小胞体は、一般的にリポソームと称されている。それらは、主として、水素化されていてもされていなくてもよい、天然又は合成のリン脂質からなる。ニオソームに関しては、それらはイオン性界面活性剤及び/又はコレステロールと組合わされていてもよい非イオン性界面活性剤からなる。
本発明の小胞体は、二分子型で、実質的に同心である、1〜25のラメラ相の小葉(leaflets)からなるか又はこれを含有する。
本発明の小胞体は、特許出願EP0958856、EP0582503、EP0455528及びEP0043327に記載されているようなタイプのニオソーム類か、又は一般的なタイプのリポソーム類のいずれであってもよい。本発明の式(I)の誘導体は、この種の構造において、ラメラ相の構成物質の一つとなる。
【0027】
式(I)の誘導体の量は、小胞体を構成している脂質組成物の全重量に対して、0.001%〜30%、好ましくは0.001%〜10%、有利には0.001%〜5%の範囲である。
分散液における水性相の量に対する脂質相の量の重量比は、1/1000〜300/1000である。
【0028】
本発明の小胞体分散液は、当業者によく知られている多くの方法によって調製できる。例えば、第1の方法では、本発明の式(I)の誘導体を含む全ての両親媒性脂質を、揮発性溶媒に溶解させ、溶媒を蒸発させることにより、フラスコの壁面に薄い脂質皮膜を形成させ、ついで脂質皮膜をオクチルグルコシド水溶液に取り込み、オクチルグルコシド/小胞体脂質混合ミセルを形成させる。ついでこの溶液を蒸留水により透析する。オクチルグルコシドを透析すると、リポソームが形成される。この方法は、式(I)の誘導体が非常に少量しか入手できない場合に、特に適している。
しかしながら、この方法に制限されるものではなく、小胞体分散液(リポソーム)の形成に使用される他の方法を考えることができる(Bangham, エタノール注入、融解、「逆相」等)。さらにEP0582503B1に記載の方法を挙げることができる。
【0029】
再構築皮膚で証明されるように、前記式(I)の誘導体を単に局所適用するだけでは、表皮を改善できない場合でも、少なくとも一の式(I)の誘導体が導入されたラメラ状脂質小胞体をベースとする本発明の組成物により、表皮の質を改善することができる。
式(I)の誘導体に固有の特徴:大きな分子、処方及び安定化に対する困難性を考慮に入れる同時に、ラメラ状脂質相中に、前記式(I)の少なくとも一の誘導体を導入することにより、再構築表皮の障壁機能の改善性に対して所望の効果を得ることができる。
【0030】
また本発明の小胞体分散液により、表皮層内での式(I)の誘導体の生物学的利用能を改善することができる。本発明の小胞体分散液の処方が、前記式(I)の誘導体の標的を表す、表皮の多層脂質構造に類似した処方を表すために、前記生物学的利用能が改善される。
さらに、式(I)の誘導体は、顕著に両親媒性の性質であるが、これは表皮中へのそれらの導入を容易にするという利点を有する。
よって、式(I)の少なくとも一の誘導体を含有する本発明の小胞体分散液により、表皮の多相脂質構造体内に特に提供されるセラミドの種類を制御することができる。
【0031】
本発明の目的において、「生物学的利用能」なる用語は、活性剤が皮膚、特に表皮の生きているエレメントに生物学的に利用可能となるように、皮膚に活性剤が浸透することを意味するものである。よって、活性剤の生物学的利用能が増加させると、生きている表皮に到達するであろう活性剤の量を増加させるという効果がある。
さらに、本発明の組成物により、適切な処方をしないと、セラミド類が角化層に浸透しない状況において、セラミド7及び/又は5.5を角化層内で直接利用可能とすることができる。よって、本発明の組成物により、角化層において直接セラミド5.5及び/又は7の欠乏を補償することができる。
【0032】
前記組成物は、再構築表皮の表面1cm当たり、0.5μl〜10μl、好ましくは1μl〜5μl、特に2μlの量で、培養される表皮の表面に、局所的に適用され得る。ついで一般的には、スパチュラを使用して広げることにより、組成物は表皮の表面に均一にされる。
【0033】
本発明の式(I)の誘導体は、当業者によく知られている方法に従い、正常なボランティアから非侵襲的な方法により採られた脂質サンプルから、TLCにより単離することができる。ついで、この脂質サンプルを、他の脂質から式(I)の誘導体を単離し、それらを精製するための分取・分析処理にかける。これらの方法は、例えば文献JP2000/143598又はM. Chopart ら, Prospectives in Percutaneous Penetration, 8th International Conference, Antibes, Juan-Les Pins, France, 2-6 April 2002、及びKaneboの文献JP2000/143598に記載されている。
【0034】
また式(I)の誘導体は、式(II)の脂肪酸と、式(III)の塩基、好ましくは6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基との間の縮合反応による一般的な有機合成法に従い調製することができる。
【化2】


[上式中、X、n及びmは上述した定義を有している]。
6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基は、開示され当業者によく知られており、例えば「Mendeleev, Commun., 108-110, 1992」又は「Tetrahedron Letters, 34, No.7, 1191-1194, 1993」に記載され又は示唆されている合成法に従い調製することができる。
脂肪酸は広く商業的に入手可能である。
文献JP2000/143598に記載されている一般的な有機合成の他の方法は、非酸化前駆体を使用する塩基の6位での酸化を含む反応からなる。
【0035】
式(I)の誘導体は、培養培地に導入及び/又は局所適用することにより、本発明の方法の少なくとも一に従い、没入状態であろうと出現状態であろうと、皮膚等価物の耐用年限(最大2ヶ月)の間の任意の瞬間に導入することができる。好ましくは、式(I)のセラミド7及び/又は5.5は、培養の1日目から培養の30日目、特に4日目から21日目までの間に、皮膚等価物に導入され得る。
培養培地を変える度に、培養培地への直接の補填を行ってもよく、培地の取り替えは一般に2日毎に行う。この補填は、ある種の生成法、又は研究上の必要性及び所望される効果に応じて生じる培養培地の交換の結果として増加され又は減少され得る。
局所投与による補填は、好ましくは2日毎に行われ得る。ここで再び、この頻度は、所望する効果、及び研究の必要性、又はある種の生成法に応じて、毎時間から毎週の範囲で調節されるであろう。
【0036】
本発明の好ましい実施態様では、本方法はエピスキン(EPISKINTM)再構築表皮モデルにおいて行われる。
よって、上述した式(I)の化合物は、式(I)の少なくとも一の誘導体が補填された、新規の皮膚等価物を研究者に提供するという、大きな利点を有する。本発明の方法において、再構築皮膚の角質層に導入され得るセラミド7及び/又は5.5の量は、角質層1mg当たり0.1μg〜50μg、有利には0.5μg〜15μgである。
好ましくは、本発明の一方法により得られた式(I)のセラミド5.5又は7ファミリーの少なくとも一の誘導体が補填された皮膚等価物又は再構築皮膚は、全セラミドの1%を超える量の式(I)のセラミド5.5又は7を含有する。
【0037】
また本発明は、本質的に4−スフィンゲニン-塩基(スフィンゴシンとも呼ばれる)に有利になるように、再構築された皮膚では大抵の極性のセラミド類が明らかに不足しており、その結果、これらのセラミド類を構成する6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニンスフィンゴイド塩基が欠乏しているという本出願人の得た知見に基づいている。得られた結果を図1に示す。図1は正常なヒトの角質層及びエピスキン(EPISKINTM)から得られたセラミド誘導スフィンゴイド塩基の相対プロフィールの比較を示している。
【0038】
本出願人は、上述したX=Hである式(I)のセラミド5.5ファミリーの誘導体により、皮膚等価物とも称される再構築皮膚の障壁機能を補強することができることを見出した。
実際、上述したX=Hである式(I)の少なくとも一の誘導体を、前記再構築皮膚に補填することにより、該皮膚の障壁特性及び外観を改善することができ、正常な皮膚に構造的により類似したものにできることが分かった。
よって、上述したX=Hである式(I)のセラミド5.5の少なくとも一の誘導体を含有する新規な皮膚等価物、又は新規な再構築皮膚を得ることができる。
【0039】
したがって、本発明の他の主題は、上記においてX=Hであり、n及びmが上述したものと同じ定義をさらに保持している、式(I)の少なくとも一の誘導体を含有する皮膚等価物又は再構築皮膚に関する。好ましくは、皮膚等価物又は再構築皮膚は全セラミドに対して1%を超える量の式(I)のセラミド5.5を含有している。
X=Hである式(I)の少なくとも一の誘導体を含有する、前記皮膚等価物又は再構築皮膚は、上述した方法の一つを使用して得ることができる。
【0040】
本発明の小胞体分散液を構成する両親媒性脂質は、当業者によく知られている。例えば、これらの両親媒性脂質は、コレステロールと組合せられていてもいなくてもよい非イオン性の界面活性剤、及び/又は水素化されていてもいなくてもよい天然又は合成リン脂質をベースとするものであってよい。
本発明において好ましいイオン性、カチオン性、アニオン性又は非イオン性の両親媒性脂質は、文献EP0582503A1、FR2485921及びFR2315991に記載されているものから選択される。
【0041】
好ましいアニオン性の両親媒性脂質(B)は:
− リン酸ジミリスチル及びジセチルのアルカリ塩;
− 硫酸コレステロールのアルカリ塩;
− リン酸コレステロールのアルカリ塩;
− リポアミノ酸及びそれらの塩、例えばアシルグルタミン酸一ナトリウム及び二ナトリウム、例えば味の素(AJINOMOTO)社からアシルグルタマートHS21の名称で販売されているN-ステアロイル-L-グルタミン酸の二ナトリウム塩;
− ホスファチジン酸のナトリウム塩;
− リン脂質;
− 特に次の式(X):
【化3】


[上式中、RはC16-C22アルキル基、特に混合物として又は別々の形でのC16及びC1837基を表し、Mはアルカリ又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム;及びそれらの混合物である]
のアルキルスルホン誘導体;
からなる群から選択される。
【0042】
本発明のカチオン性の両親媒性脂質は、第4級アンモニウム塩、脂肪アミン類及びそれらの塩からなる群から好ましく選択される。
第4級アンモニウム塩は、例えば次のものである:
− 次の一般式(XI):
【化4】


のもの。
上式中、RないしR基は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で1〜30の炭素原子を有する脂肪族基、又は芳香族基、例えばアリール又はアルキルアリールを示す。前記脂肪族基は、例えば特に酸素、窒素、硫黄又はハロゲン等のヘテロ原子を含んでもよい。脂肪族基は、例えば、アルキル、アルコキシ、ポリオキシ(C-C)アルキレン、アルキルアミド、(C12-C22)アルキルアミド(C-C)アルキル、(C12-C22)アルキルアセタート及びヒドロキシアルキル基で約1〜30の炭素原子を有するものから選択される;Xはハロゲン化物、ホスファート類、アセタート類、ラクタート類、(C-C)アルキルスルファート類、アルキルスルホナート類及びアルキルアリールスルホナート類から選択されるアニオンである;
− イミダゾリニウムの第4級アンモニウム塩、例えば次の式(XII):
【化5】


のもの。
上式中、Rは8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基、例えば獣脂脂肪酸誘導体を表し、Rは水素原子、C-Cアルキル基又は8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基を表し、RはC-Cアルキル基を表し、Rは水素原子又はC-Cアルキル基を表し、Xはハロゲン化物、ホスファート類、アセタート類、ラクタート類、アルキルスルファート類、アルキルスルホナート類又はアルキルアリールスルホナート類の群から選択されるアニオンである。好ましくは、RとRは、獣脂脂肪酸誘導体等の、12〜21の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基の混合物を示し、Rはメチルを示し、Rは水素を示す。このような製品は、例えば、リウォ社(REWO)から、「リウォカット(REWOQUAT)W75」名称で市販されている;
− 次の式(XIII):
【化6】


の二第4級アンモニウム塩。
上式中、Rは約16〜30の炭素原子を有する脂肪族基を示し、R10、R11、R12、R13及びR14は同一でも異なっていてもよく、水素及び1〜4の炭素原子を有するアルキル基から選ばれ、Xはハロゲン化物、アセタート類、ホスファート類、ニトラート類及び硫酸メチルの群から選択されるアニオンである。このような二第4級ジアンモニウム塩には、特にプロパン獣脂ジアンモニウムジクロリドが含まれる。
− 少なくとも一のエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩。
本発明で使用可能な少なくとも一のエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩は、例えば次の式(XIV):
【化7】


のものである。
上式中、
− R15は、C-Cアルキル基及びC-Cヒドロキシアルキル又はジヒドロキシアルキル基から選択され;
− R16は、
・R19-CO-基;
・直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C22炭化水素ベース基であるR
・水素原子;
から選択され;
− R18は、
・R21-CO-基;
・直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C炭化水素ベース基であるR22
・水素原子、
から選択され;
− R17、R19及びR21は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C21炭化水素ベース基から選択され;
− n、p及びrは同一でも異なっていてもよく、2〜6の範囲の整数であり;
− yは1から10の範囲の整数であり;
− xとzは同一でも異なっていてもよく、0から10の範囲の整数であり;
− Xは、単純又は複合の有機及び無機アニオンであり;
但し、x+y+zの合計が1から15であり、xが0であればR16はR20を示し、zが0であればR18はR22を示す。
アルキル基R15は直鎖状又は分枝状であり、特に直鎖状である。
15は、好ましくはメチル、エチル、ヒドロキシエチル又はジヒドロキシプロピル基、さらにはメチル又はエチル基を示す。
有利には、x+y+zの合計は1〜10である。
16が炭化水素ベース基R20である場合、それは長くてもよく、12〜22の炭素原子を有するか、もしくは短く、1〜3の炭素原子を有し得る。
18が炭化水素ベース基R22である場合、それは好ましくは1〜3の炭素原子を有する。
有利には、R17、R19及びR21は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC11-C21炭化水素ベース基、特に直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC11-C21アルキル及びアルケニル基から選択される。
好ましくは、x及びzは同一でも異なっていてもよく、0又は1である。
有利には、yは1に等しい。
好ましくは、n、p及びrは同一でも異なっていてもよく、2又は3、特に2に等しい。
アニオンは、好ましくはハロゲン化物(塩化物、臭化物又はヨウ化物)又はアルキルスルファート、特にメチルスルファートである。しかしながら、メタンスルホナート、ホスファート、ニトラート、トシラート、有機酸から誘導されるアニオン、例えばアセタート又はラクタート、又はエステル官能基を有するアンモニウムと融和性のある任意の他のアニオンを使用することもできる。
アニオンXは、特に塩化物又はメチルスルファートである。
【0043】
式(XIV)において:
− R15がメチル又はエチル基を示し;
− x及びyが1に等しく;
− zが0又は1に等しく;
− n、p及びrが2に等しく;
− R16が、
・R19-CO-基;
・メチル、エチル、又はC14-C22炭化水素ベース基、
・水素原子、
から選択され;
− R18が、
・R21-CO-基;
・水素原子、
から選択され;
− R17、R19及びR21は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC13-C17炭化水素ベース基、好ましくは直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC13-C17アルキル及びアルケニル基から選択される;
であるアンモニウム塩が特に使用される。
有利には、炭化水素ベース基は直鎖状である。
【0044】
式(XIV)の化合物として、例えばジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム、及びモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウムの塩(特に塩化物又はメチルスルファート)及びそれらの混合物を挙げることができる。アシル基は、好ましくは14〜18の炭素原子を有し、特に植物性油、例えばパーム油又はヒマワリ油に由来する。化合物がいくつかのアシル基を有している場合は、これらの基は同一でも異なっていてもよい。
これらの生成物は、例えば脂肪酸もしくは植物又は動物由来の脂肪酸の混合物と、オキシアルキレン化されていてもよいアルキルジイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンの直接エステル化、又はそれらのメチルエステルのエステル交換により得られる。このエステル化に続いて、アルキル化剤、例えばアルキルハロゲン化物(好ましくはメチル又はエチルハロゲン化物)、ジアルキルスルファート(好ましくはジメチル又はジエチルスルファート)、メタンスルホン酸メチル、パラ-トルエンスルホン酸メチル、グリコールクロロヒドリン又はグリセロールクロロヒドリンを使用して第4級化する。
【0045】
このような化合物は、例えばヘンケル社(HENKEL)からデハイカート(DEHYQUART)、ステパン社(STEPAN)からステパンカート(SEPANQUAT)、セカ社(CECA)からノキサミウム(NOXAMIUM)、リウォ-ウィトコ社(REWO-WITCO)からリウォカット(REWOQUAT)WE18の名称で販売されている。
【0046】
本発明の小胞体の膜を構成する非イオン性の両親媒性脂質(A)は、好ましくは:
− ポリオキシエチレン化されていてもいなくてもよい、脂肪酸とポリオールのエステル及び/又はエーテル;
− α-ブチルグリコシドの脂肪酸のエステル及び/又はエーテル;
− 水素化されていてもいなくてもよい、合成又は天然のリン脂質;
からなる群から選択される。
脂肪酸とポリオールのエステル又はエーテルは、ポリオール基当たりのアルキル鎖の数が1〜10である、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C22アルキル鎖を有する少なくとも一の脂肪酸と、2〜30のエチレンオキシド単位を担持するグルコース類、スクロール類、2〜15のグリセロール単位を有するポリグリセロール類、2〜30のエチレンオキシド単位を担持するグリセロール、2〜60のエチレンオキシド単位を担持するソルビタン、ソルビタン、1〜60のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一のポリオールのエステル混合物又はエーテル混合物から好ましく選択される。
【0047】
特に好ましいC-C22脂肪酸とポリオールのエーテルは、次の式(XV)に相当するものである:
【化8】


上式中、nは、n=1、n=2、n=3、n=4等の、種々の割合でエステルを含有し得る統計値であり;これは、アルキル鎖がC17鎖であるイソステアラート類が異性体の複合混合物であり、又はC-C22アルキル鎖を含むココアート類のような、それらの親油性成分にいくつかのアルキル鎖を含有しているエステルの場合であり;さらに、同じポリオールのモノ-、ジ-、トリ-又はポリエステルの混合物からなる生成物の場合である。
【0048】
本発明で使用可能であり、上述したC-C22脂肪酸とポリオールとのエステル混合物の構造を有する市販品としては:
− 「ICI」社から「スパン(SPAN)20、40、60及び80」の市販名で販売されている、脂肪酸とソルビタン(又は無水ソルビトール)の部分的エステル;
− 「ニッコー(NIKKO)」社から「SI10Rニッコール(NIKKOL)」の商品名で販売されているイソステアリン酸ソルビタン;
− 「ICI」社から「トゥイーン(TWEEN)61」の名称で販売されている、4単位のエチレンオキシドを担持しているステアリン酸ソルビタン;
− 「ICI」社から「MYR J 45」の名称で販売されている、8単位のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールステアラート;
− 「ニッコー」社から「MYS4」の名称で販売されている、次の式(XVI)
【化9】


[上式中、nは4に等しい]
のポリエチレングリコールモノステアラート;
− 「ユニケマ(UNICHEMA)」社から販売されている、バイテクノロジーにより生産された品質又は化学的な品質のポリエチレングリコール(分子量400)ステアラート;
− 「ヘキスト(HOECHST)」社から「ホスタセリン(HOSTACERINE)DGS」の名称で販売されている、4のエチレンオキシド単位を担持しているステアリン酸ジグリセリル;
− 「ニッコー」社から「テトラグリン(TETRAGLYN)1S」の名称で販売されている、ステアリン酸テトラグリセリル、
− 「ソルベイ(SOLVAY)」社から販売されているイソステアリン酸ジグリセリル;
− 「ニホン(NIHON)」社から「エマレックス(EMALEX)DSG2」の名称で販売されているジステアリン酸ジグリセリル;
− 「クロダ(CRODA)」社から「F50、F70、F110及びF160クロデスタ(CRODESTA)」の名称で販売されているモノ-、ジ-及びトリパルミトステアリン酸スクロース;
− 「グリロ(GRILLO)」社から「グリロテン(GRILLOTEN)PSE141G」の名称で販売されている、モノ-及びジパルミトステアリン酸スクロースの混合物;
− 「ICI」社から「アルラトーン(ARLATONE)2121」の名称で販売されている、ステアリン酸スクロースとスクロースココアートの混合物;
− 「アメルコール(AMERCHOL)」社から「グルカム(GLUCAM)E20ジステアラート(DISTEARATE)」の名称で販売されている、20のエチレンオキシド単位を担持するジステアリン酸メチルグルコース;
を挙げることができる。
【0049】
本発明で使用されるα-ブチルグルコシドの脂肪酸のエステル及びエーテルは、好ましくは、種々の脂肪酸が互いに似た数の炭素原子(例えば1又は2の違い)を有する、α-ブチルグルコシドの種々の脂肪酸エステル混合物及び/又はエーテル混合物、又はα-ブチルグルコシドの同じ脂肪酸のモノ-、ジ-、トリ-又はポリエーテルの混合物及び/又はモノ-、ジ-、トリ-又はポリエステルの混合物である。
本発明で使用されるα-ブチルグルコシドの脂肪酸のエステル及びエーテルは、好ましくは8〜24の炭素原子、より好ましくは12〜22の炭素原子、特に14〜18の炭素原子を有する脂肪鎖を含有する。
例えば、α-ブチルグルコシドと、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)又はベヘン酸(C22)のエステル及びエーテルを挙げることができる。
特に、本発明の脂質小胞体において、記載されたような酵素的方法に従い得られたα-ブチルグルコシドとパルミチン酸のモノ-及びジエステルの混合物が使用される。
【0050】
本発明のα-ブチルグルコシドと脂肪酸のエステル及びエーテルは、α-トランスグルコシル化活性を有する精製された酵素調製物の存在下、デンプン、マルトデキストリン又はマルトースとブタノールを接触させることからなる、仏国特許出願FR-A-2680373に記載されている酵素的調製方法に従い得られたα-ブチルグルコシドから調製され得る。α-ブチルグルコシドと脂肪酸のエステル及びエーテルは、一般的な方法により、α-ブチルグルコシドと脂肪酸又は対応する脂肪酸混合物を反応させることにより合成することができる。
【0051】
本発明で好ましい、水素化されていてもいなくてもよい合成又は天然のリン脂質は、コレステロールと、場合によってはイオン性界面活性剤と組合せられたレシチン、好ましくは水素化レシチン、及び2〜50のエチレンオキシド単位を有するオキシエチレン化されたフィトステロールから選択される。
文献FR2315991及びFR2485921に記載されている両親媒性脂質を、このリストに付け加えるべきである。
本発明の小胞体分散液を調製するためには、公知の方法で、イオン性の両親媒性脂質の混合物、非イオン性の両親媒性脂質の混合物、及びこれら2つの種類の脂質の混合物が使用される。
【0052】
本発明の好ましい実施態様では、イオン性の両親媒性脂質(B)の量に対する非イオン性の両親媒性脂質(A)の量の重量比は、50/1〜50/25である。
公知の方法で、本発明の水性-コア小胞体の脂質膜を構成する脂質相中に、その主たる機能が小胞体の浸透性を低減させ、その凝集と融合を防止し、カプセル化度合いを増大させる少なくとも一の添加剤を導入することが可能である。
【0053】
本発明の好ましい実施態様では:
− ステロール類、特にフィトステロール及びコレステロール、
− 長鎖のアルコール類及びジオール類、
− 長鎖のアミン類及びその第4級アンモニウム誘導体、
からなる群から好ましくは選択される少なくとも一の添加剤を脂質相に添加することができる。
これらの添加剤は、化粧品的及び/又は皮膚用製薬的活性を有するものであってもよい。これは、例えばコレステロールの場合である。
これらの添加剤の量は、水性-コア小胞体を構成する脂質組成物の全重量に対して0〜50%の範囲である。
本発明の組成物において、水性-コア小胞体は、好ましくは10〜5000nmの範囲の平均径を有している。
【0054】
有利には、本発明の小胞体分散液は、セラミドSTAR、1、2、2.5、3、4、5及び/又は6("The Normal Human stratum corneum: a new ceramide profile", M. Chopartら, Prospectives in Percutaneous Penetration, 8th International Conference, Antibes, Juan-Les Pins, France, 2-6, April 2002)に記載されたようなものから選択される少なくとも一の他のセラミド、有利にはセラミドSTAR及び/又は4をさらに含有してもよい。
付加的なセラミドの量は、小胞体を構成する脂質組成物の全重量に対して0.001%〜30%、好ましくは0.001〜10%、特に0.001%〜5%の範囲である。
【0055】
「セラミド2.5」なる用語は、その構造が次の式(IV):
【化10】


[上式中、nは22〜35、好ましくは25〜33、より好ましくは26〜29であり、nは11〜21、好ましくは13〜17、より好ましくは13〜15であり、RCOはリノレオイル残基を示す]
で表すことのできる化合物を意味するものである。nの値は、好ましくは29に等しい。
式(IV)の化合物は正常なボランティアから非侵襲的な方法により採られた脂質サンプルから単離することができる。ついで、セラミドファミリーを分離し同定するために、これらの脂質サンプルに、分取・分析処理を施す。
【0056】
式(IV)の化合物の他の可能性のある供給源は、酵素のモジュレータ又は前駆体に作用するトランスアシラーゼ等の酵素の使用にある。
前駆体は、特に次の式(V):
【化11】


[上式中、nは22〜35、好ましくは25〜33、より好ましくは26〜29であり、nは11〜21、好ましくは13〜17、より好ましくは13〜15である]
の化合物である。
の値は、好ましくは29に等しい。
これらの前駆体は、ヒドロキシル化脂肪酸の末端OHがエステル化されていない、式(IV)の化合物に相当する。
【0057】
「セラミドSTAR」なる用語は、構造が次の式(VI):
【化12】


[上式中、nは17〜35、好ましくは21〜30、より好ましくは23〜28の範囲の整数、特に25、26又は27に等しく、nは9〜18、好ましくは11〜15、より好ましくは11〜13の範囲の整数、さらに好ましくは11に等しく、nは12〜18、好ましくは14〜16の範囲の整数、特に14に等しい]
で表すことのできる化合物を意味するものである。
式(VI)の化合物は正常なボランティアから非侵襲的な方法により採られた脂質サンプルから単離することができる。ついで、セラミドファミリーを分離し同定するために、これの脂質サンプルに分取・分析処理を施す。
【0058】
式(VI)の化合物の他の可能性のある供給源は、酵素のモジュレータ又は前駆体に作用するトランスアシラーゼ等の酵素の使用にある。
前駆体は、特に次の式(VII):
【化13】


[上式中、nは17〜35、好ましくは21〜30、より好ましくは23〜28、さらに好ましくは25〜27の範囲の整数であり、nは9〜18、好ましくは11〜15、より好ましくは11〜13の範囲の整数、さらに好ましくは11に等しい]
の化合物である。
これらの前駆体は、1位がエステル化されていない式(VI)の化合物に相当する。
【0059】
有利には、本発明の小胞体分散液は、少なくとも一の付加的な活性剤をさらに含有していてもよい。
活性剤が水溶性である場合、それらは小胞体のカプセル化された親水相に導入される。
活性剤が脂溶性である場合、それらは膜を構成している脂質相に導入される。
活性剤が両親媒性である場合、それらは、両親媒性活性剤の性質、脂質相及びカプセル化された親水相のそれぞれの組成に応じて変化する分配係数で、脂質相とカプセル化された親水相とに分配される。
【0060】
活性剤として、落屑剤;保湿剤;色素脱失剤又は色素形成誘発剤(propigmenting agents);抗グリケーション剤(anti-glycation agents);NO-シンターゼインヒビター;真皮又は表皮の高分子の合成を刺激し、及び/又はその分解を防止するための薬剤;線維芽細胞及び/又はケラチノサイトの増殖を刺激し、又はケラチノサイトの分化を刺激するための薬剤;筋肉弛緩剤;収斂剤(tightening agents);汚染防止剤及び/又はフリーラジカル捕捉剤;毛細血管循環に作用する薬剤;細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一の化合物を使用することができる。
【0061】
有利には、本発明の小胞体分散液は、障壁機能を改善するための少なくとも一の他の化合物をさらに含有してもよい。この誘導体は、アスコルビン酸(ビタミンC)又はその類似体、レシチン類、スフィンゴ糖脂質、リン脂質、コレステロール及びその誘導体、フィトステロール(スチグマステロール、β-シトステロール、キャンペステロール)、必須脂肪酸、1,2-ジアシルグリセロール、4-クロマノン、五環系トリテルペン類、例えばウルソル酸、ワセリン及びラノリンから選択される。
好ましくは、障壁機能を改善するための化合物は、D又はL形、有利にはL形のアスコルビン酸、又はその塩、好ましくはアスコルビン酸ナトリウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、又はアスコルビルリン酸ナトリウム、そのエステル、好ましくはその酢酸、プロピオン酸又はパルミチン酸のエステル、又はその糖類、好ましくはグリコシル化されたアスコルビン酸から選択される類似体である。
【0062】
公知の方法で、本発明の組成物は、化粧品の分野で通常のアジュバント、例えば、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、臭気吸収剤、中和剤、サンスクリーン剤、ポリマー類、乳化剤及び共乳化剤、及び染料をさらに含有してもよい。
【0063】
本発明の組成物は、化粧品の分野において一般的に使用されている全ての製薬的形態で提供される任意の化粧品用担体に導入されていてもよく;それは、特にゲル化していてもよい水溶液、2相を有していてもよいローション型の分散液、水相に脂肪相を分散させて得られる(O/W)又は逆の(W/O)エマルション、又は3相エマルション(W/O/W又はO/W/Oエマルション)であってよい。これらの形態は通常の方法に従って調製される。本発明において好ましくは、水中油型エマルションの形態の化粧品用担体が使用される。
【実施例】
【0064】
本発明を、次の実施例においてより詳細に例証する。これらの実施例は本発明の範囲を決して制限することができない。
実施例1:ヒトの角質層からのTLCによる式(I)のセラミド7の調製
工程1:タービン抽出
出発サンプル:正常なボランティアからの表皮
操作:有機溶媒(最も一般的にはヘキサン/エタノールの2/3混合物)を、角質層を通過させ、タービンにより脂質を取り込ませる。
最終サンプル:溶媒和した形態の表皮脂質
【0065】
工程1a:テープ剥離を使用する抽出
出発サンプル:正常なボランティアからの表皮
操作:接着ストリップ-ラッカー+ナイロン-をボランティアの皮膚に適用し、全体をむしり取り、角質層の一部を、同操作で取り込む。ついでストリップを溶媒(クロロホルム/メタノール(2/1)タイプ、撹拌)中に入れる。
最終サンプル:溶媒和形態の表皮脂質
【0066】
工程2:セラミド7の単離
出発サンプル:溶媒和形態の表皮脂質
(全脂質)
操作:セラミドファミリーの分離
・必要ならば、このようにして得られた脂質プールを濃縮(溶媒の一部を蒸発させることにより濃縮)した後、脂質プールを20x20cmのWhatman LK5又はMerck5721シリカプレートに付着させ、2回の連続した溶離を、1回目の溶離には190/5/1の比率、2回目の溶離には190/9/1の比率のクロロホルム/メタノール/酢酸の混合物を用いて行う。
・5mg/100mlのプリムリン(primuline)溶液をプレートにスプレーした(ラッカーを暴露)後、紫外線(254nm)下でセラミドのクラスを検出する。この観察により、最も溶離した領域から最も溶離していない領域の範囲を、例えば1〜10の番号を付けた、シリカプレート上にある約10の隣接した領域に定めることができる。これらの領域のそれぞれのシリカを廃棄し、回収して、クロロホルム/メタノール(2/1)の混合物を用い、数回抽出する(そこからセラミド類を抽出するため)。有機相をプールし、水で洗浄し、ついで純粋なセラミド化合物を得るために、蒸発乾固させる。ついでこれらのセラミド類(移動バンドによりグループ化されたもの)を、クロロホルム/メタノール(2/1)の混合物に再溶解させる。主たるセラミドクラス及び不純物(一般的に他のセラミド類)を決定するために、セラミド含有量の分析的同定(セラミド化合物の構造分析、以下のパラグラフ)用の各サンプルを少量、取り除く。このようにして、一般的にセラミド6(不純物)と混合されてセラミド7を含有するサンプルを同定することができる。
最終サンプル:溶媒和セラミド7(+不純物の形態のセラミド6)
【0067】
工程3:必要である場合のセラミド7のサンプルの精製
出発サンプル:溶媒和セラミド7(+不純物の形態のセラミド6)
操作:セラミド7を含有するサンプルを、ついで工程2:サンプルの付着、顕色、シリカの剥離及びセラミドの抽出、主としてセラミド7を含有するバンドの同定(最終的な構造分析)を繰り返すことにより精製する。
最終サンプル:精製された式(I)のセラミド7。
【0068】
セラミド化合物の構造分析:
分析用のサンプルを2つのフラクションに分割する。
第1のセラミドフラクションの誘導体化を塩化ベンゾイルを使用して実施する。このようにして得られたベンゾイル誘導体を高速液体クロマトグラフィーにより分離し、HPLC-MSカップリングによりカラム流出口にて、質量分析器に注入する。
セラミド内に含有されるスフィンゴイド塩基が放出されるように、第2のフラクションをアルカリ加水分解にかける。放出された塩基を、蛍光検出を用いたHPLCによる分離の前に、オルト-フタルアルデヒド(phthaldehyde)で誘導体化する。
このようにして得られた分析結果により、サンプル中に存在する各セラミドに厳密な分子構造を与えることができる。
【0069】
実施例2:ヒトの角質層からのTLCによるセラミド5.5の調製
セラミド5.5の調製法は、種々の移動バンドのセラミド含有量の構造分析後に単離されたバンドが主としてセラミド5.5を含むバンドで、後者が一般に多量の不純物(セラミド5)を伴っており、それを正しく精製された形で得るには精製工程3を必要ならば一又は複数回繰り返すことが必要であるという点以外は、実施例1のセラミド7の場合と同一である。
【0070】
実施例3:再構築皮膚の障壁機能に対する本発明の小胞体分散液の効果の評価
以下の2種の懸濁液を調製する:
[セラミド7を含有しないニオソームの処方]
パルミチン酸ソルビタン 0.225%
(ユニケマ社(Uniquema)から販売されて
いるスパン40)
コレステロール 0.225%
N-ステアロイル-L-グルタミン酸、二
ナトリウム塩 0.050%
プロピレングリコール 3.000%
水 全体を100.000%にする量
[セラミド7を含有するニオソームの処方]
パルミチン酸ソルビタン 0.2250%
コレステロール 0.1250%
N-ステアロイル-L-グルタミン酸、二
ナトリウム塩 0.0500%
セラミド7 0.0315%
脱塩水 全体を100.0000%にする量
【0071】
手順
2つの場合において、脂質を予めメタノール/クロロホルム(重量で50/50)の溶媒相と組合せる。ついで、ロータリーエバポレータを使用し、減圧下で溶媒を蒸発させる。ついで、丸底フラスコの壁面に形成された脂質皮膜を、オクチルグルコシド水溶液(6%)で可溶化し、オクチルグルコシド/小胞体脂質混合ミセルを形成させる。ついでこの溶液を蒸留水に対して24時間透析する。オクチルグルコシドを透析すると、リポソームが形成される。
ついで、それぞれ1cmのエピスキン(EPISKINTM)表皮を含む、12ウェルの3つのキットで実験を行う。
種々の処理は以下の通りである:
− 対照キット、すなわち処理なし、
− プラシーボキット、すなわちセラミド7を含有しないニオソームの処方物で処理、
− ニオソームを含む処方に処方されたセラミド7(処方CER7)で処理されたキット。
【0072】
3つのキットを局所適用により処理し:各処理タイプ(対照キットを除く)に対して、2マイクロリットルの処方物を、各再構築表皮の表面に適用する。48時間の間隔をあけて、処理を2回繰り返す。ついで表皮を取り除き、表面を洗浄し、各表皮に含有される脂質を抽出する。最終的に、スフィンゴ脂質(本質的にセラミド類)を、それらのスフィンゴイド塩基を分析することによって定量する。
上述の処理条件下における結果は、図2のヒストグラムに示されるように、未処理の表皮、又はプラシーボで処理された表皮と比較して、セラミド7を含有するリポソームの処方物で処理されたエピスキン(EPISKINTM)再構築皮膚モデルの表皮に見出される6-ヒドロキシスフィンゲニン塩基が、大きく増加していることを示している。
【0073】
セラミド7を安定させ、それを生物学的に利用可能にする小胞体分散液にセラミド7を処方することで、エピスキン(EPISKINTM)モデルの再構築表皮のセラミドプロフィールを改善することができる。しかして、エピスキン(EPISKINTM)等の再構築皮膚モデルのプロフィールにおいて、セラミド7の割合を増加させることにより、6-ヒドロキシスフィンゲニン-塩基のセラミドの割合を増加させると、モデルの障壁機能を増強させることができる。
よって、再構築皮膚モデルの障壁機能を、正常なヒトの皮膚の障壁機能により似たものになるようにすることにより、この方法は前記障壁機能を改善することを可能にする。
【0074】
実施例4:エピスキン(EPISKINTM)再構築表皮の障壁機能に対する本発明のニオソームに処方されたセラミド7の効果
浸透研究法の原理:静的モードの拡散セルにおいて、放射標識カフェインの浸透性を研究することによる、局所適用されたニオソーム処方物中のセラミド7で処理されたエピスキン(EPISKINTM)モデルの再構築表皮の障壁機能の状態を評価:両親媒性分子である放射標識カフェインは、前記表皮の質に応じて多少の程度の差はあるが表皮に浸透する;分子がより多く通過すればするほど、障壁機能は損なわれている。
実施例3で提案されたようにして、セラミド7を含有しない処方物(プラシーボ処方物と称する)、又はセラミド7を含有するニオソーム処方物のいずれか2μlを、表皮の表面に適用することにより、エピスキン(EPISKINTM)モデルの再構築表皮の処理を、培養8日目から14日目に実施した。
培養14日目に、拡散セルにおいてモデルを可溶化させた後、過剰のC14カフェイン(グリセロールに10mM、135μCi/mMol)の溶液を90μl(322μl/cm)、表皮の表面に適用する。16時間浸透させた後、過剰分を除去し回収する。ついで、皮膚を回収し、組織を消化させる。培地、次に皮膚、次に過剰分からの放射能を、シンチレーションカウンターで計測する。
【0075】
ついで、このようにして回収された放射能の全量を、同じ付着実験値にして後者を標準化し、これにより、種々の処理の効果をより良好に比較することができる。さらに、可能な限り、実験の代表値となる結果を得るために、次の値を組にした:第1に表面過剰分+洗浄液(洗浄液は、表皮上の全てのものを構成するため)、受容培地+組織(組織に見出されうる全てのものがそれを通して浸透するため)。
この研究の結果を図3のヒストグラムにまとめる。
図3のヒストグラムは、ほとんどのカフェインが組織内に浸透しておらず、より多くが表面に保持されていることから、ニオソームに処方されたセラミド7で処理した後、エピスキン(EPISKINTM)モデルの再構築皮膚の障壁機能が改善されていることを示している。
【0076】
実施例5:乾燥肌中の6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基のセラミドの不足の証明
この研究では、正常な皮膚(乾燥スコア0)及び乾燥肌(乾燥スコア2)のサンプルの脂質プロフィールを比較した。サンプル(角質層を横断した溶媒を用い、タービンにより直接抽出された脂質)を、スコア0を有する22人の個人と、スコア2を有する19人の個人から採る。ついで、分析感度の理由から、スコア毎にサンプルをプールした。
よって、薄層クロマトグラフィーにより種々のクラスに分離した後、セラミド類をHPLC/質量分析検出により同定した。ついで、各移動バンドに含まれているセラミド類の定量を、セラミド類を塩基及び脂肪酸及び特定の塩基誘導体に加水分解した後、HPLC/蛍光検出により実施した(非常に厳密な定量アプローチ)。
結果を図4にまとめる。
よって、この研究により、スコア0の正常な皮膚と比較して、スコア2の乾燥肌では、6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基のセラミド類(CER5.5、7及び4)の平均量が少ないことが示されている。
【0077】
実施例6:セラミドSTARの調製
脂質サンプル:
平均年齢33.8±8.8で、その皮膚が臨床医に正常であると記述されている女性(正常なボランティア)22人の群からサンプルを採る。微量な皮脂を除去するためにエーテルに浸した脱脂綿で皮膚を清浄にした後、タービンを使用して前腕からサンプルを採る。10mlのヘキサン/エタノール混合物(2/3)で満たされたタービンの抽出チャンバーを、12.56cmの表面領域に適用する。混合物を1分間攪拌した後、ガラスシリンジを使用して収集し、ついで−20℃でガラス容器内に保存する。
このようにして、各個人の前腕から3つのサンプルを採る。ついでサンプルをプールし、ロータリーエバポレータを使用して、蒸発乾固させ、1mlのクロロホルム/メタノール(2/1)に取り込み、−20℃で保存する。これら全てのサンプルに相当する固形含有量は36.4mgであり、829cmの抽出表面領域を表す。
【0078】
セラミド類の分離及び単離:
第1工程において、正常相シリカカートリッジ(シリカゲル60)上に、上で得られた脂質サンプルを付着させることにより、セラミド類を他のカテゴリーの脂質から分離する。1%の酢酸を含有する10mlのクロロホルムで中性脂質を除去した後、セラミド類を、10mlのクロロホルム/メタノール(95/5)の混合物で溶離させる。ついで、セラミド類を−20℃で、1mlのクロロホルムに保存する。
第2工程において、種々のセラミド類を、次の条件下にて、薄層クロマトグラフィーにより分離する:
第1工程の終わりに得られたセラミド類の混合物1.7mgを、20x20cmのWhatman LK5シリカプレートに付着させ、2回の連続した溶離を、1回目の溶離には190/5/1の比率、2回目の溶離には190/9/1の比率のクロロホルム/メタノール/酢酸の混合物を用いて行う。
5mg/100mlのプリムリン溶液をプレートにスプレーした後、紫外線(254nm)下でセラミドのクラスを検出する。この観察により、最も溶離した領域から最も溶離していない領域の範囲を、1〜10の番号を付けた、シリカプレート上にある10の隣接領域を定めることができる。これらの領域のそれぞれのシリカを廃棄し、回収し、クロロホルム/メタノール(2/1)の混合物を用い、数回抽出する。有機相をプールしておき、水で洗浄し、ついで純粋なセラミド化合物を得るために、蒸発乾固させる。ついでこれらのセラミド類の一部を、分析的同定のために、クロロホルム/メタノール(2/1)の混合物に再溶解させる。
が17〜35、nが9〜18、nが12〜18である上述したセラミド類が、シリカプレート上の第1スポットに回収される。
【0079】
セラミド化合物の構造分析:
分析用のサンプルを2つのフラクションに分割する。
第1のセラミドフラクションの誘導体化を塩化ベンゾイルを使用して実施する。このようにして得られたベンゾイル誘導体を高速液体クロマトグラフィーにより分離し、HPLC-MSカップリングによりカラム流出口にて、質量分析器に注入する。
セラミド内に含有されるスフィンゴイド塩基が放出されるように、第2のフラクションをアルカリ加水分解にかける。放出された塩基を、蛍光検出を用いたHPLCによる分離の前に、オルト-フタルアルデヒドで誘導体化する。
このようにして得られた分析結果により、サンプル中に存在する各セラミドに厳密な分子構造を与えることができる。
が25〜27であり、nが11に等しく、nが14に等しいセラミド類を含有するフラクションAを、混合物から単離する。
【0080】
実施例7:セラミド2.5の調製
セラミド2.5の調製は、セラミド類を分離し単離する工程の終わりに、nが22〜35、nが11〜21であり、RCOがリノレオイル残基を示す上述したセラミド類が、シリカプレートの第4スポットに回収されることを除いて、実施例6のセラミドSTARの場合と同一である。さらに、セラミド化合物の構造分析中、nが29に等しく、nが13〜15であるセラミド類を含有するフラクションAが、混合物から単離される。
【0081】
実施例8:BSAと組合せられてセラミド7ファミリーの誘導体が添加されていてもよい培養培地
− ダルベッコ(DULBECCO)及びギブコ(GIBCO)より
販売されているDMEM(3容量)及びHAM F
12(1容量)培養培地 450ml
− 鉄が補填された子ウシ血清 50ml
− EGF(表皮成長因子)(10ng/ml) 500μl
− イソプロテレノール(10−6M) 500μl
− ヒドロコルチゾン(0.4μg/ml) 400μl
− L-グルタミン(2mM) 5ml
− DL-α-トコフェロールアセタート 10.6μmol
− L-カルニチン 5.1μmol
− BSA(ウシ血清アルブミン) 12.1μmol
− セラミド7 175μg
(0.25μmol)
【0082】
実施例9:組成物
セラミド7を含有するリポソームの処方
− リポイド(Lipoid)S75の名称でセピッ
ク社(SEPPIC)から販売されている大豆
レシチン(75%のホスファチジルコリ
ンに富む) 0.5000%
− プロピレングリコール 3.0000%
− セラミド7 0.0315%
− 水 全体を100.0000%にする量
【0083】
セラミド5.5を含有するリポソームの処方
− 大豆レシチン(75%のPCに富む)リポ
イドS75 0.5000%
− プロピレングリコール 3.0000%
− セラミド5.5 0.0315%
− 水 全体を100%にする量
【0084】
セラミド7の懸濁液をベースとする保湿クリーム
小胞体相
− パルミチン酸ソルビタン 2.250%
− コレステロール 1.125%
− N-ステアロイル-L-グルタミン酸、二
ナトリウム塩 0.500%
− セラミド7 0.315%
− グリセロール 5.000%
− メチルパラベン 0.300%
− 脱塩水 全体を100%にする量
【0085】
A1相:
− ヘプタン酸ステアリル 4.0%
− コーデックスワセリン 1.5%
− アボカド油 3.2%
− ホホバ油 3.0%
− 揮発性シリコーン油 2.7%
− ビタミンEアセタート 1.0%
− 「コフェロール(COPHEROL)1300」
の名称でヘンケル社(Henkel)から販売さ
れている天然のD-α-トコフェロール 1%
− ビタミンFグリセリド 3%
A2相:
− 「Q2-1403フルイド」の名称でダウ
・コーニング社(Dow Corning)から販売さ
れているシリコーンガム 3.0%
− プロピルパラベン 0.2%
− 香料 0.3%
B相:
− グッドリッチ社(Goodrich)から「カルボポ
ール(CARBOPOL)940」の名称で販売
されているカルボキシビニルポリマーの
混合物 0.40%
− 脱塩水 9.50%
− トリエタノールアミン 0.25%
【0086】
小胞体相を既に記載されている方法の一つに従い調製し、ついで、Soavi OBL20型又はMicrofluidics型の高圧ホモジナイザー、500bに2回通してホモジナイズする。
ついでローターステーターで十分に攪拌しつつ、A1及びA2相を添加し、十分に安定した油のプレディスパージョンを作製する。次に、全混合物を500bで2回ホモジナイズする。
予め調製しておいたB相を、上述したようにして調製されたエマルションに添加し、解膠タービンを使用して分散させる。
乾燥肌の処置に適した滑らかな白色クリームが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】正常なヒトの角質層及びエピスキンから得られたセラミド誘導スフィンゴイド塩基の相対プロフィールの比較を示す。
【図2】18-炭素-6-ヒドロキシ-4-スフィンゲニン-塩基に対する種々の処理の効果を示す。
【図3】エピスキン(登録商標)モデルの再構築表皮の障壁機能に対するニオソーム処方物のセラミド7の効果を示す。
【図4】スコア2を有する乾燥肌におけるクラス毎の塩基プロフィールを示す。




 

 


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