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発明の名称 電子内視鏡システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−89839(P2007−89839A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−283497(P2005−283497)
出願日 平成17年9月29日(2005.9.29)
代理人 【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲
発明者 阿部 一則
要約 課題
占有周波数帯域を必要最小限に止め、確実に同期信号を検出して映像信号から分離することができる電子内視鏡システムを提供する。

解決手段
電子内視鏡システム2は、映像信号を表す信号レベルの上下数値を、映像信号の垂直同期信号および水平同期信号の状態を表す同期符号として用いるとともに、上下数値を除く信号レベルで表される映像信号はそのままで、上下数値の信号レベルで表される映像信号を、上下数値を除く信号レベルの最大値および最小値に置換するパラレル/シリアル変換部35を備えた電子内視鏡10と、同期符号を検出して、映像信号から垂直同期信号および水平同期信号を分離する同期分離部55を備えたプロセッサ装置11とからなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
撮像素子により体腔内の被観察体像を撮影して得られた撮像信号をデジタル化した映像信号に、直交変調を施してRF信号を生成し、RF信号を電波として送信する電子内視鏡と、電波を受信して、前記RF信号から元の映像信号を復調し、復調した映像信号から内視鏡画像を生成するプロセッサ装置とからなる電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、前記映像信号を表す信号レベルの上下数値を、前記映像信号の垂直同期信号および水平同期信号の状態を表す同期符号として用いるとともに、前記上下数値を除く信号レベルで表される映像信号はそのままで、前記上下数値の信号レベルで表される映像信号を、前記上下数値を除く信号レベルの最大値および最小値に置換する符号化部を備え、
前記プロセッサ装置は、前記同期符号を検出して、前記映像信号から前記垂直同期信号および前記水平同期信号を分離する同期分離部を備えたことを特徴とする電子内視鏡システム。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡とプロセッサ装置とからなり、これらの間で電波によって信号の遣り取りを行う電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、電子内視鏡を利用した医療診断が盛んに行われている。電子内視鏡の体腔内に挿入される挿入部先端には、CCDなどの撮像素子が内蔵されており、このCCDにより取得した撮像信号に対して、プロセッサ装置で信号処理を施すことで、モニタで体腔内の画像(内視鏡画像)を観察することができる。
【0003】
一般的に、電子内視鏡とプロセッサ装置とは、信号ケーブルにより接続されているが、信号を変調する変調部、および信号を電波で送信する送信部を電子内視鏡に、電波を受信する受信部、および電波を元の信号に復調する復調部をプロセッサ装置にそれぞれ設けて、電波によって信号の遣り取りを行えるようにし、信号ケーブルを取り除いて電子内視鏡の操作性を向上させた、いわゆるワイヤレス電子内視鏡システムも考案されている(特許文献1および2参照)。
【0004】
ワイヤレス電子内視鏡システムは、上述の如く、電子内視鏡の使用時に、信号ケーブルによる操作の制約がなくなり、操作性が向上する。そのうえ、信号ケーブルを用いた従来の電子内視鏡装置では、患者回路と二次回路との間で約4kVの絶縁耐圧を維持することが必須となるが、ワイヤレス電子内視鏡システムでは、電子内視鏡とプロセッサ装置との間に信号ケーブルによる電気的接続が存在しないため、上記のように高い絶縁耐圧を維持する構成が不要となる。
【特許文献1】特開昭60−48011号公報
【特許文献2】特開2001−46334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような電子内視鏡システムにおいて、電子内視鏡で得られた映像信号をプロセッサ装置で受信して、内視鏡画像としてモニタに表示するためには、電子内視鏡とプロセッサ装置との間で同期をとる必要がある。しかしながら、従来の電子内視鏡システムでは、映像信号とは別に、同期信号を表すデータ領域が確保され、これらを異なる送受信周波数帯域の電波で送受信していた。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、占有周波数帯域を必要最小限に止め、確実に同期信号を検出して映像信号から分離することができる電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像素子により体腔内の被観察体像を撮影して得られた撮像信号をデジタル化した映像信号に、直交変調を施してRF信号を生成し、RF信号を電波として送信する電子内視鏡と、電波を受信して、前記RF信号から元の映像信号を復調し、復調した映像信号から内視鏡画像を生成するプロセッサ装置とからなる電子内視鏡システムにおいて、前記電子内視鏡は、前記映像信号を表す信号レベルの上下数値を、前記映像信号の垂直同期信号および水平同期信号の状態を表す同期符号として用いるとともに、前記上下数値を除く信号レベルで表される映像信号はそのままで、前記上下数値の信号レベルで表される映像信号を、前記上下数値を除く信号レベルの最大値および最小値に置換する符号化部を備え、前記プロセッサ装置は、前記同期符号を検出して、前記映像信号から前記垂直同期信号および前記水平同期信号を分離する同期分離部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子内視鏡システムによれば、映像信号を表す信号レベルの上下数値を、映像信号の垂直同期信号および水平同期信号の状態を表す同期符号として用いるとともに、上下数値を除く信号レベルで表される映像信号はそのままで、上下数値の信号レベルで表される映像信号を、上下数値を除く信号レベルの最大値および最小値に置換する符号化部を備えた電子内視鏡と、同期符号を検出して、映像信号から垂直同期信号および水平同期信号を分離する同期分離部を備えたプロセッサ装置とからなるので、占有周波数帯域を必要最小限に止めることができる。また、確実に同期信号を検出して映像信号から分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1において、本発明を適用した電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10、およびプロセッサ装置11から構成される。この電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10とプロセッサ装置11との信号の遣り取りを電波12にて行う、いわゆるワイヤレス電子内視鏡システムである。
【0010】
電子内視鏡10は、体腔内に挿入される挿入部13と、挿入部13の基端部分に連設された操作部14とを備えている。挿入部13の先端に連設された先端部13aには、体腔内の被観察体像の像光を取り込むための対物レンズ15と、体腔内の被観察体像を撮影する撮像素子としてのCCD16(例えば、画素サイズ;1280×960、フレームレート;30フレーム/秒)、および照射レンズ17と体腔内照明用のLED光源(LED)18(ともに図2参照)が内蔵されている。CCD16により取得された体腔内の画像は、プロセッサ装置11に接続されたモニタ19に内視鏡画像として表示される。
【0011】
先端部13aの後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部20が設けられている。この湾曲部20は、操作部14に設けられたアングルノブ14aが操作されて、挿入部13内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作し、先端部13aが体腔内の所望の方向に向けられるようになっている。
【0012】
操作部14の下方には、水が貯留される貯水タンク21と、エアーが貯留されるエアーボンベ22とが内蔵されたカートリッジ23が着脱自在に取り付けられている。これら貯水タンク21、エアーボンベ22に貯留された水、エアーは、操作部14の送水/送気ボタン14bの操作に連動して、電子内視鏡10内部に配設された送水パイプ、送気パイプを通って、先端部13aに形成された洗浄ノズル(図示せず)から対物レンズ15に向けて噴射される。これにより、対物レンズ15表面に付着した汚物などの除去や、体腔内への送気を行うことが可能となっている。ここで、カートリッジ23は、電子内視鏡10を使用する際に操作者の手の付け根が当接する位置に取り付けられており、電子内視鏡10の操作性を安定化させる役割も果たしている。なお、符号24は、処置具が挿通される鉗子口である。
【0013】
図2において、電子内視鏡10は、CPU30により全体の動作を統括的に制御される。CPU30には、電子内視鏡10の動作を制御するための各種プログラムやデータが記憶されたROM31が接続されている。CPU30は、このROM31から必要なプログラムやデータを読み出し、電子内視鏡10の動作制御を行う。
【0014】
また、CPU30には、タイミングジェネレータ(TG)32が接続されている。TG32は、CCD16、後述するAFE34、パラレル/シリアル変換部(P/S)35に接続されており、これら各部にタイミング信号(クロックパルス)を送信する。CCD16、AFE34、およびP/S35は、TG32から送信されるタイミング信号に基づいて動作する。
【0015】
LED18には、駆動部33が接続されている。駆動部33は、CPU30の制御の下に、LED18をオン/オフ駆動させる。LED18から発せられた光は、照射レンズ17を介して体腔内の被観察体に照射される。なお、先端部13aではなく操作部14の内部にLED18を配し、ライトガイドで先端部13aに導光する構成としてもよい。
【0016】
CCD16は、対物レンズ15から入射した体腔内の被観察体像の像光を撮像面に結像させ、各画素からこれに応じた撮像信号を出力する。AFE34は、CCD16から入力された撮像信号に対して、相関二重サンプリング、増幅、およびA/D変換を施して、撮像信号をデジタルの映像信号(10ビット、図3参照)に変換する。
【0017】
P/S35は、AFE34から入力されるデジタル映像信号を、パラレルデータからシリアルデータに変換する。また、P/S35は、TG32からのタイミング信号による映像信号の垂直、水平同期信号をシリアル変換する。
【0018】
図3に模式的に示すように、P/S35は、映像信号を表す10ビットの信号レベルの「3FF(16進表示)」を水平同期信号がアクティブの状態、「3FE」を水平同期信号の立ち上がり、「3FD」を垂直同期信号の立ち下がり、「002」を垂直同期信号の立ち上がり、「001」を水平同期信号の立ち下がり、「000」を垂直同期信号がアクティブの状態を表す同期符号としてそれぞれ割り振る。また、P/S35は、垂直、水平同期信号の状態を表すために用いた上下3個、合計6個の同期符号3FD〜3FF、000〜002で表される映像信号を、同期符号を除く信号レベルの最大値「3FC」および最小値「003」に置換する。
【0019】
図2に戻って、変調部36は、P/S35から出力されたシリアルデータに、例えば、4値PSK(QPSK)方式を用いてデジタル直交変調を施す。送信部37は、アンテナ38を介して、変調部36でデジタル直交変調が施された映像信号(以下、RF信号という)を電波12としてプロセッサ装置11に送信する。
【0020】
コネクタ39には、バッテリ40が接続されている。バッテリ40の電力は、CPU30により制御される電力供給部41から、電子内視鏡10の各部に供給される。なお、図1には示していないが、操作部14の後部には、バッテリ40を収納するバッテリ収納室が設けられており、コネクタ39はその内部に配されている。
【0021】
図4において、プロセッサ装置11は、CPU50により全体の動作を統括的に制御される。CPU50には、プロセッサ装置11の動作を制御するための各種プログラムやデータが記憶されたROM51が接続されている。CPU50は、このROM51から必要なプログラムやデータを読み出し、プロセッサ装置11の動作制御を行う。
【0022】
アンテナ52は、電子内視鏡10からの電波12を受信する。受信部53は、アンテナ52で受信された電波12、すなわちRF信号を増幅する。復調部54は、RF信号にデジタル直交検波を施して、RF信号を電子内視鏡10で変調される前の映像信号に復調する。
【0023】
同期分離部55は、CPU50の制御の下に、P/S35で割り振られた同期符号を検出して、この検出結果に基づいて、復調部54で復調された映像信号から、振幅分離によって同期信号を分離し、 続いて周波数分離により水平同期信号と垂直同期信号とを分離する。
【0024】
映像信号処理部56は、映像信号からデジタルのビデオ信号を生成する。ビデオ信号処理部57は、映像信号処理部56で生成されたビデオ信号に対して、マスク生成やキャラクタ情報付加などの各種画像処理を施す。バッファ58は、ビデオ信号処理部57で各種画像処理が施され、モニタ19に内視鏡画像として表示されるビデオ信号を一旦格納する。
【0025】
上記のように構成された電子内視鏡システム2で体腔内を観察する際には、LED光源18をオンして、挿入部13を体腔内に挿入し、体腔内を照明しながら、CCD16による内視鏡画像をモニタ19で観察する。
【0026】
このとき、対物レンズ15から入射した体腔内の被観察体像の像光は、CCD16の撮像面に結像され、CCD16から撮像信号が出力される。CCD16から出力された撮像信号は、AFE34で相関二重サンプリング、増幅、およびA/D変換が施され、デジタルの映像信号に変換される。
【0027】
AFE34から出力されたデジタルの映像信号は、P/S35によりシリアルデータに変換される。また、TG32からのタイミング信号による映像信号の垂直、水平同期信号も、P/S35によりシリアル変換される。
【0028】
P/S35では、「3FF」が、水平同期信号がアクティブの状態、「3FE」が水平同期信号の立ち上がり、「3FD」が垂直同期信号の立ち下がり、「002」が垂直同期信号の立ち上がり、「001」が水平同期信号の立ち下がり、「000」が、垂直同期信号がアクティブの状態を表す同期符号としてそれぞれ割り振られ、同期符号3FD〜3FF、000〜002で表される映像信号が、同期符号を除く信号レベルの最大値「3FC」および最小値「003」に置換される。同期符号を除く信号レベル(「003」〜「3FC」)で表される映像信号は、そのままの値でシリアル変換される。これにより、同期信号用にデータ領域を確保する必要がなく、映像信号と同一の周波数帯域の電波12として送信することができる。
【0029】
P/S35から出力されたシリアルデータは、変調部36でデジタル直交変調が施され、これによりRF信号が生成される。RF信号は、送信部37で増幅され、アンテナ38から電波12として送信される。
【0030】
一方、プロセッサ装置11では、電子内視鏡10のアンテナ38から送信された電波12がアンテナ52で受信されると、この電波12、すなわちRF信号が受信部53で増幅される。復調部54では、受信部53で増幅されたRF信号にデジタル直交検波が施され、電子内視鏡10で変調される前の映像信号が復調される。
【0031】
復調部54で復調された映像信号は、CPU50の制御の下に、同期分離部55で同期分離が施される。同期分離部55では、P/S35で割り振られた同期符号が検出される。そして、この検出結果に基づいて、復調部54で復調された映像信号から、振幅分離によって同期信号が分離され、周波数分離により水平同期信号と垂直同期信号とが分離される。これにより、確実に映像信号から同期信号が分離される。
【0032】
復調部54で復調された映像信号は、映像信号処理部56でデジタルのビデオ信号として出力される。映像信号処理部56で出力されたビデオ信号は、ビデオ信号処理部57で各種画像処理が施され、バッファ58に一旦格納されて、モニタ19に内視鏡画像として表示される。
【0033】
なお、上記実施形態で挙げた同期符号に割り振る信号レベルは一例であり、本発明を特に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示す概略図である。
【図2】電子内視鏡の内部構成を示すブロック図である。
【図3】映像信号と同期符号との関係を模式的に示す説明図である。
【図4】プロセッサ装置の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
11 プロセッサ装置
12 電波
16 CCD
19 モニタ
30 CPU
35 パラレル/シリアル変換部(P/S)
36 変調部
37 送信部
50 CPU
53 受信部
54 復調部
55 同期分離部





 

 


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