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発明の名称 胃内留置用バルーン及びバルーン用媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−54218(P2007−54218A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242040(P2005−242040)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
発明者 梶 国英 / 山本 哲也 / 三日市 ▲高▼康
要約 課題
潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、効果的に減量効果を図ることができると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止すること。

解決手段
胃Sの内部に、膨らんだ状態で留置されるものであって、膨張及び収縮自在な拡張性を有する材料から形成されたバルーン本体と、該バルーン本体内に封入され、バルーン本体を、予め決められた所定体積を維持するように膨らませる非圧縮性の体積維持材からなるバルーン用媒体とを備え、バルーン本体とバルーン用媒体とを合わせた比重が、水(胃Sの内容物S1)よりも軽い胃内留置用バルーン1を提供する。
特許請求の範囲
【請求項1】
胃の内部に、膨らんだ状態で留置される胃内留置用バルーンであって、
膨張及び収縮自在な拡張性を有する材料から形成されたバルーン本体と、
該バルーン本体内に封入され、バルーン本体を、予め決められた所定体積を維持するように膨らませる非圧縮性の体積維持材を含むバルーン用媒体とを備え、
前記バルーン本体と前記バルーン用媒体とを合わせた比重が、水よりも軽いことを特徴とする胃内留置用バルーン。
【請求項2】
請求項1に記載の胃内留置用バルーンにおいて、
前記体積維持材は、吸水性を有しており、吸水することで膨張する素材であることを特徴とする胃内留置用バルーン。
【請求項3】
請求項1に記載の胃内留置用バルーンにおいて、
前記体積維持材は、予め決められた形状に成型された固形物であり、
前記バルーン用媒体は、前記固形物を複数備えていることを特徴とする胃内留置用バルーン。
【請求項4】
請求項3に記載の胃内留置用バルーンにおいて、
前記バルーン用媒体は、前記固形物と共に前記バルーン本体内に封入される流体を備えていることを特徴とする胃内留置用バルーン。
【請求項5】
請求項4に記載の胃内留置用バルーンにおいて、
前記流体は、前記バルーン本体を膨張可能であり、大気圧下での体積が胃容積から前記複数の固形物の体積を引いた体積よりも小さい圧縮気体であることを特徴とする胃内留置用バルーン。
【請求項6】
胃の内部に、膨らんだ状態で留置される胃内留置用バルーンであって、
非拡張性を有する材料から形成されたバルーン本体と、
該バルーン本体が予め決められた所定体積となるように、該バルーン本体内に非圧縮状態で封入された気体とを備え、
前記バルーン本体と前記気体とを合わせた比重が、水よりも軽いことを特徴とする胃内留置用バルーン。
【請求項7】
胃の内部に膨らんだ状態で留置される拡張性のバルーン本体内に封入され、該バルーン本体を予め決められた所定体積で膨らませると共に該所定体積を維持する非圧縮性の体積維持材を有し、バルーン本体と合わせた比重が水よりも軽いことを特徴とするバルーン用媒体。
【請求項8】
胃の内部に膨らんだ状態で留置されるバルーン本体内に封入され、該バルーン本体を予め決められた所定体積を維持するように膨らませる非圧縮性の体積維持材であって、比重が1以下であることを特徴とするバルーン用媒体。
【請求項9】
胃の内部に膨らんだ状態で留置されるバルーン本体内に封入され、該バルーン本体を予め決められた所定体積を維持するように膨らませる非圧縮性の体積維持材であって、定型性を有することを特徴とするバルーン用媒体。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のバルーン用媒体と、
該バルーン用媒体によって膨らまされるバルーン本体とを有することを特徴とする胃内留置用バルーン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、病的肥満患者の減量治療のために、胃の中に長期的に留置される胃内留置用
バルーン及び該バルーン内に封入されるバルーン用媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病的肥満患者に対する減量対策として、主に外科的治療と方法内視鏡的治療方法とによる2つの方法が考えられており、いずれかの方法を患者に応じて選択して治療がさなれている。
外科的治療方法とは、例えば、手術により胃を小さくしたり、図8に示すように、噴門部付近で胃を閉塞させ、そこに幽門部以降の消化管を直接繋いだりする方法である。この方法によれば、胃の容量が制限されて食事の摂取量を抑えることができると共に、少ない摂取量でも満腹感が得られるので、減量を効果的に図ることができる。
ところがこの外科的治療方法は、患者への負担が大きく、また、胃を切除したり、接合したりするので、元の状態に戻すことができずやり直しの効かない方法であった。そのため、誰でも簡単に治療が受けられるものではなかった。
【0003】
その反面、内視鏡的治療方法は、手術が不要で患者への負担が小さく、また、やり直しが効くという利点があるので、現在注目されている方法の一つとされている。
この内視鏡的治療方法は、胃の内部に内視鏡装置を利用して萎んだ状態のバルーン(ガストリック・バルーン)を挿入し、挿入後、このバルーンを胃の内部で膨張させて、そのまま胃内に留置させる方法である(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
この方法によれば、常にバルーンが胃の中に留置されているので、一回の食事量を抑えることができる。その結果、減量を効果的に図ることができる。
特に、この内視鏡的治療方法は、内視鏡装置を利用してバルーンを胃の中から容易に取り出すことができるので、上述したように何度でもやり直しが効く方法である。そのため、外科的治療方法とは異なり、誰でも簡単に治療が受けられる利便性のある方法である。
【特許文献1】米国特許第4694827号明細書
【特許文献2】米国特許第5084061号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1又は2等に記載されている従来の内視鏡的治療方法では、以下のような問題点があった。
即ち、従来では、萎んだバルーンを胃の中に挿入して膨張させる際に、純水や生理食塩水等を注入してバルーンを膨らませていた。そのため、膨らんだバルーンは、重くなってしまい、患者が立っている状態で、胃体部から幽門部にかけて胃壁を押す形で留置された状態となっていた。その結果、胃壁を傷付けてしまったり、胃壁と接触している部分に局所的な圧力集中(重力による圧力を含む)を与えてしまったりして、胃の内部に潰瘍や穿孔が生じる恐れがあった。
【0006】
また、バルーンは、幽門部を塞ぐ形で留置された状態になり易いので、胃の内容物が消化管側に通過し難くなり、通過障害が生じる恐れがあった。更に、胃の内壁に重みのあるバルーンが乗っかっている状態であるので、患者が吐気を感じる等の不快感を訴えることが多かった。
【0007】
また、上述した各種の問題を回避するため、仮にバルーン内に生理食塩水等ではなく、気体を注入してバルーンを膨張させたとすると、膨らんだときにバルーンの重量が軽くなるので、上述した問題を回避することが可能となる。しかしながら、万が一、胃の中でバルーンに穴等が開いてしまった場合には、注入されていた気体が膨張してバルーンが破裂してしまい、胃が過度に膨張する恐れがあった。その結果、患者に身体的な負担を大きくかけてしまい、安全性が確保し難いものであった。従って、バルーンを膨張させるために、気体は利用し難いものであった。
【0008】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、効果的に減量効果を図ることができると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止することができる胃内留置用バルーン及びバルーン用媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に係る発明は、胃の内部に、膨らんだ状態で留置される胃内留置用バルーンであって、膨張及び収縮自在な拡張性を有する材料から形成されたバルーン本体と、該バルーン本体内に封入され、バルーン本体を、予め決められた所定体積を維持するように膨らませる非圧縮性の体積維持材を含むバルーン用媒体とを備え、前記バルーン本体と前記バルーン用媒体とを合わせた比重が、水よりも軽い胃内留置用バルーンを提供する。
【0010】
この発明に係る胃内留置用バルーンにおいては、バルーン本体が非圧縮性の体積維持材(例えば、ゲル等)によって所定の体積、即ち、所定の大きさとなるように膨らまされており、且つ、この状態が維持されている。そして、患者の胃の内部に、膨らんだ状態で留置されている。この際、バルーン本体とバルーン用媒体とを合わせた比重が、水よりも軽い比重とされているので、食事の摂取により胃に運ばれてきた各種の内容物に対して浮いた状態になっている。つまり、胃の内容物は、各種の食べ物が混ざった状態であり、胃液等を含めて水分を多く含んでいる状態だからである。
【0011】
よって、従来の重みがあるバルーンとは異なり、バルーン本体は胃壁を内側から大きな力で押すように該胃壁に接触することはない。従って、胃壁を傷付けたり、局所的な圧力集中を与えたりすることがないので、潰瘍や穿孔等の発生を防止することができる。
また、胃の内容物に浮いている状態であるので、従来とは異なり、幽門部を塞ぎ難い状態となっている。よって、内容物の通過障害をも防止することができる。更に、従来のバルーンのように、重みのあるバルーンが胃壁に乗るようなことがないので、患者が吐気や不快感等を感じ難い。
【0012】
また、胃の内容物に浮いた状態であるので、少ない食事量であっても、バルーン本体が胃底部にある満腹中枢を刺激し易い。そのため、患者は少ない食事量であっても満腹感を得ることができる。また、バルーン本体が常に胃の内部に留置されているので、患者は一回の食事量を極力抑えることができる。その結果、病的肥満治療を確実に行うことができ、高い減量効果を期待できる。
【0013】
特に、バルーン本体は、非圧縮性の体積維持材によって所定体積を維持するように膨らまされているので、万が一バルーン本体に微小な穴等が空いたとしても、圧縮空気のみを注入する従来の場合とは異なり、破裂等の恐れがなく、胃内圧力を上昇させて胃を膨張させる危険性がない。なお、体積維持材は、人体に無害なものを使用すれば良い。
【0014】
上述したように、本発明に係る胃内留置用バルーンによれば、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、高い減量効果を期待できると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止でき、安全性を向上することができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の胃内留置用バルーンにおいて、前記体積維持材が、吸水性を有しており、吸水することで膨張する素材である胃内留置用バルーンを提供する。
【0016】
この発明に係る胃内留置用バルーンにおいては、体積維持材が吸水性を有し、吸水することで膨張する素材、例えば、天然セルロース等であるので、バルーン本体を確実に膨らませることができる。また、仮にバルーン本体に穴が開いたとしても、体積維持材自体が膨らんでいる状態であるので、バルーン本体を萎ませずに所定の体積を維持させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の胃内留置用バルーンにおいて、前記体積維持材が、予め決められた形状に成型された固形物であり、前記バルーン用媒体が、前記固形物を複数備えている胃内留置用バルーンを提供する。
【0018】
この発明に係る胃内留置用バルーンにおいては、予め決められた形状に成型された固形物がバルーン本体内に複数封入されているので、該バルーン本体を確実に膨らませることができる。また、仮にバルーン本体に穴が開いたとしても、内部に固形物が複数封入されているので、バルーン本体を萎ませずに、所定の体積を維持させることができる。なお、固形物は、人体に無害なものを使用すれば良い。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の胃内留置用バルーンにおいて、前記バルーン用媒体が、前記固形物と共に前記バルーン本体内に封入される流体を備えている胃内留置用バルーンを提供する。
【0020】
この発明に係る胃内留置用バルーンにおいては、バルーン本体内に、複数の固形物の隙間を埋めるように生理食塩水等の流体が封入されているので、バルーン本体の表面を固形物の形状に応じた凸凹状ではなく、より滑らかな状態にすることができる。よって、胃壁に接触しても、患者は不快感を感じ難い。
【0021】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の胃内留置用バルーンにおいて、前記流体が、前記バルーン本体を膨張可能であり、大気圧下での体積が胃容積から前記複数の固形物の体積を引いた体積よりも小さい圧縮気体である胃内留置用バルーンを提供する。
【0022】
この発明に係る胃内留置用バルーンにおいては、流体として圧縮気体を利用しているので、全体の比重をより軽くすることができ、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用の発生をよりなくすことができる。
特に、圧縮気体は、大気圧下での体積が胃容積から複数の固形物の体積を引いた体積よりも小さくなるように、バルーン本体内に封入されているので、万が一バルーン本体に穴が開いて破裂し、圧縮気体が胃内に膨張しながら放出されたとしても、胃が過度に膨張して危険な状態になることはない。よって、安全性を確保することができる。
【0023】
請求項6に係る発明は、胃の内部に、膨らんだ状態で留置される胃内留置用バルーンであって、非拡張性を有する材料から形成されたバルーン本体と、該バルーン本体が予め決められた所定体積となるように、該バルーン本体内に非圧縮状態で封入された気体とを備え、前記バルーン本体と前記気体とを合わせた比重が、水よりも軽い胃内留置用バルーンを提供する。
【0024】
この発明に係る胃内留置用バルーンにおいては、非拡張性のバルーン本体が非圧縮状態で封入された気体によって所定の体積、即ち、所定の大きさとなるように膨らまされており、且つ、この状態が維持されている。そして、患者の胃の内部に、膨らんだ状態で留置されている。この際、バルーン本体と気体とを合わせた比重が、水よりも軽い比重とされているので、食事の摂取により胃に運ばれてきた各種の内容物に対して浮いた状態になっている。つまり、胃の内容物は、各種の食べ物が混ざった状態であり、胃液等を含めて水分を多く含んでいる状態だからである。
【0025】
よって、従来の重みがあるバルーンとは異なり、バルーン本体は胃壁を内側から大きな力で押すように該胃壁に接触することはない。従って、胃壁を傷付けたり、局所的な圧力集中を与えたりすることがないので、潰瘍や穿孔等の発生を防止することができる。
また、胃の内容物に浮いている状態であるので、従来とは異なり、幽門部を塞ぎ難い状態となっている。よって、内容物の通過障害をも防止することができる。更に、従来のバルーンのように、重みのあるバルーンが胃壁に乗るようなことがないので、患者が吐気や不快感等を感じ難い。
【0026】
また、胃の内容物に浮いた状態であるので、少ない食事量であっても、バルーン本体が胃底部にある満腹中枢を刺激し易い。そのため、患者は少ない食事量であっても満腹感を得ることができる。また、バルーン本体が常に胃の内部に留置されているので、患者は一回の食事量を極力抑えることができる。その結果、病的肥満治療を確実に行うことができ、高い減量効果を得ることができる。
【0027】
特に、バルーン本体は、非圧縮状態の気体によって所定体積を維持するように膨らまされているので、万が一バルーン本体に微小な穴等が空いたとしても、圧縮空気のみを注入する従来の場合とは異なり、破裂等の恐れがなく、胃内圧力を上昇させて胃を膨張させる危険性がない。
また、バルーン本体は、非拡張性であるので、変形し易い状態となっている。よって、胃壁に接触したときに変形して、該胃壁に対して圧力を分散させることができ、潰瘍のリスクをさらに減らすことができる。また、胃の内容物に浮いた状態でも変形し易いので、胃の蠕動運動に影響を与えることがなく、また、摂取した食物がバルーン本体上に乗っかったとしても、食物の重みで変形して、該食物を幽門部側に逃がすことができる。よって、内容物の通過障害をさらになくすことができる。
【0028】
上述したように、本発明に係る胃内留置用バルーンによれば、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、高い減量効果を期待できると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇がなく、安全性を向上することができる。
【0029】
請求項7に係る発明は、胃の内部に膨らんだ状態で留置される拡張性のバルーン本体内に封入され、該バルーン本体を予め決められた所定体積で膨らませると共に該所定体積を維持する非圧縮性の体積維持材を有し、バルーン本体と合わせた比重が水よりも軽いバルーン用媒体を提供する。
【0030】
この発明に係るバルーン用媒体においては、非圧縮性の体積維持材(例えば、ゲル等)が、バルーン本体を所定の体積、即ち、所定の大きさとなるように膨らませており、且つ、この状態を維持している。また、バルーン本体とバルーン用媒体とを合わせた比重が、水よりも軽い比重とされているので、胃の中に留置されたバルーン本体は、食事の摂取により胃に運ばれてきた各種の内容物に対して浮いた状態になっている。つまり、胃の内容物は、各種の食べ物が混ざった状態であり、胃液等を含めて水分を多く含んでいる状態だからである。
【0031】
よって、従来の重みがあるバルーンとは異なり、バルーン本体は胃壁を内側から大きな力で押すように該胃壁に接触することはない。従って、胃壁を傷付けたり、局所的な圧力集中を与えたりすることがないので、潰瘍や穿孔等の発生を防止することができる。
また、胃の内容物に浮いている状態であるので、従来とは異なり、幽門部を塞ぎ難い状態となっている。よって、内容物の通過障害をも防止することができる。更に、従来のバルーンのように、重みのあるバルーンが胃壁に乗るようなことがないので、患者が吐気や不快感等を感じ難く、不快感を極力抑えることができる。
【0032】
また、胃の内容物に浮いた状態であるので、少ない食事量であっても、バルーン本体が胃底部にある満腹中枢を刺激し易い。そのため、患者は少ない食事量で満腹感を得ることができる。また、バルーン本体が常に胃の内部に留置されているので、患者は一回の食事量を極力抑えることができる。その結果、病的肥満治療を確実に行うことができ、高い減量効果を期待することができる。
【0033】
特に、バルーン本体は、非圧縮性の体積維持材によって所定体積を維持するように膨らまされているので、万が一バルーン本体に微小な穴等が空いたとしても、圧縮空気のみを注入する場合とは異なり、破裂等の恐れがなく、胃内圧力を上昇させて胃を膨張させる危険性がない。なお、体積維持材は、人体に無害なものを使用すれば良い。
【0034】
上述したように、本発明に係るバルーン用媒体によって膨らまされたバルーン本体によれば、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、効果的に減量効果を図ることができると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止でき、安全性を向上することができる。
【0035】
請求項8に係る発明は、胃の内部に膨らんだ状態で留置されるバルーン本体内に封入され、該バルーン本体を予め決められた所定体積を維持するように膨らませる非圧縮性の体積維持材であって、比重が1以下であるバルーン用媒体を提供する。
【0036】
この発明に係るバルーン用媒体においては、非圧縮性の体積維持材が、バルーン本体を所定の体積、即ち、所定の大きさとなるように膨らませており、且つ、この状態を維持している。また、バルーン用媒体の比重が1以下(水よりも小さい)であるので、膨らまされたバルーン本体は、胃の内容物に対して浮いた状態になっている。つまり、胃の内容物は、各種の食べ物が混ざった状態であり、胃液等を含めて水分を多く含んでいる状態だからである。
【0037】
よって、従来の重みがあるバルーンとは異なり、バルーン本体は胃壁を内側から大きな力で押すように該胃壁に接触することはない。従って、胃壁を傷付けたり、局所的な圧力集中を与えたりすることがないので、潰瘍や穿孔等の発生を防止することができる。
また、胃の内容物に浮いている状態であるので、従来とは異なり、幽門部を塞ぎ難い状態となっている。よって、内容物の通過障害をも防止することができる。更に、従来のバルーンのように、重みのあるバルーンが胃壁に乗るようなことがないので、患者が吐気や不快感等を感じ難く、不快感を極力抑えることができる。
【0038】
また、胃の内容物に浮いた状態であるので、少ない食事量であっても、バルーン本体が胃底部にある満腹中枢を刺激し易い。そのため、患者は少ない食事量で満腹感を得ることができる。また、バルーン本体が常に胃の内部に留置されているので、患者は一回の食事量を極力抑えることができる。その結果、病的肥満治療を確実に行うことができ、高い減量効果を期待することができる。
【0039】
特に、バルーン本体は、非圧縮性の体積維持材によって所定体積を維持するように膨らまされているので、万が一バルーン本体に微小な穴等が空いたとしても、圧縮空気のみを注入する場合とは異なり、破裂等により急激に胃内圧力を上昇させて胃を膨張させる危険性がない。なお、体積維持材は、人体に無害なものを使用すれば良い。
【0040】
上述したように、本発明に係るバルーン用媒体によって膨らまされたバルーン本体によれば、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、効果的に減量効果を図ることができると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止でき、安全性を向上することができる。
【0041】
請求項9に係る発明は、胃の内部に膨らんだ状態で留置されるバルーン本体内に封入され、該バルーン本体を予め決められた所定体積を維持するように膨らませる非圧縮性の体積維持材であって、定型性を有するバルーン用媒体を提供する。
【0042】
この発明に係るバルーン用媒体においては、体積維持材が定型性を有しているので、バルーン本体を確実に膨らませることができる。また、仮にバルーン本体に穴が開いたとしても、バルーン本体を萎ませずに、所定の体積を確実に維持させることができる。
【0043】
請求項10に係る発明は、請求項8又は9に記載のバルーン用媒体と、該バルーン用媒体によって膨らまされるバルーン本体とを有する胃内留置用バルーンを提供する。
【0044】
この発明に係る胃内留置用バルーンにおいては、バルーン用媒体によって膨らまされているので、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、高い減量効果を期待できると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止でき、安全性を向上することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る胃内留置用バルーンによれば、潰瘍、穿孔や内容物の通過障害等の副作用がなく、高い減量効果を期待できると共に、バルーンに穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止でき、安全性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係る胃内留置用バルーン及びバルーン用媒体の第1実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
本実施形態の胃内留置用バルーン1は、図1及び図2に示すように、胃Sの内部に、膨らんだ状態で留置されるものであって、膨張及び収縮自在な拡張性を有する材料から形成されたバルーン本体2と、該バルーン本体2内に封入され、バルーン本体2を、予め決められた所定体積を維持するように膨らませる天然セルロース(非圧縮性の体積維持材)3からなるバルーン用媒体4とを備えている。
【0047】
このバルーン本体2は、図示しない内視鏡装置によって、萎んだ状態で胃Sの中に挿入されるものであって、該内視鏡装置のチャンネル内に挿入された専用の挿入管Xによって、上記天然セルロース3が供給されることで胃Sの中で膨らむようになっている。
このバルーン本体2には、図3に示すように、外周面に上記挿入管Xが挿入される挿入口5が設けられている。また、この挿入口5には、該挿入口5の開口を自動的に塞ぐフラップバルブ式の弁6が設けられている。この弁6は、挿入口5に回転可能にピン接続されており、図示しないスプリングにより常に開口を塞ぐようになっている。
つまり、挿入管Xを挿入口5内に挿入したときには、弁6は挿入管Xの先端に押されて、挿入口5の開口の閉塞状態を解くように回転すると共に、挿入管Xを挿入口5から引き抜いたときには、弁6はスプリングにより付勢されて挿入口5の開口を自動的に塞ぐようになっている。
【0048】
上記天然セルロース3は、吸水性を有しており、吸水することで膨張する素材である。即ち、この天然セルロース3及び該天然セルロース3を膨張させる図示しない水が、上記バルーン用媒体4を構成している。また、バルーン用媒体4とバルーン本体2とを合わせた比重が、水よりも軽くなるように調整されている。
【0049】
次に、このように構成された胃内留置用バルーン1により、病的肥満患者の治療を行う場合を説明する。なお、本実施形態では、縮んだ状態の天然セルロース3を、挿入管Xからバルーン本体2内に供給するものとして説明する。
まず、図示しない内視鏡装置を利用して、図2に示すように、萎んだ状態のバルーン本体2を胃Sの中に挿入する。このバルーン本体2の挿入後、内視鏡装置のチャンネル内に挿入管Xを挿入し、内視鏡画像を見ながら、図3に示すように、該挿入管Xをバルーン本体の挿入口5に挿し込む。この際、挿入管Xが挿し込まれることで弁6が開くので、バルーン本体2の内部と挿入管Xとが連通した状態となる。
【0050】
挿入管Xの挿入後、該挿入管Xを介してバルーン本体2内に縮んだ状態の天然セルロース3を供給すると共に、該天然セルロース3に続いて所定量の水を供給する。これにより、天然セルロース3は、供給された水を吸水し始め、バルーン本体2内で徐々に膨らみ始める。その結果、バルーン本体2は、図2に示すように、天然セルロース3の膨張に応じて所定の体積、即ち、所定の大きさになるまで徐々に膨らむ。また、天然セルロース3は、自身の膨張により所定体積で膨らんでいるバルーン本体2の膨張状態を維持している。
なお、天然セルロース3は、吸水することで、水分と空気とが混ざり合った状態で膨張している。
【0051】
そして、バルーン本体2の膨張後、挿入管Xを挿入口5から引き抜き、該挿入管Xを含む内視鏡装置を患者の体内から抜去する。これにより、胃内留置用バルーン1は、図1に示すように、患者の胃Sの中に膨らんだ状態で留置される。なお、挿入管Xを引き抜くことで、バルーン本体2の弁6は、スプリングにより付勢されて挿入口5の開口を自動的に塞ぐので、挿入口5を介してバルーン本体2の内部が外部と通じることがない。
【0052】
この胃Sの中に留置された胃内留置用バルーン1は、バルーン本体2とバルーン用媒体4とを合わせた比重が、水よりも軽い比重とされているので、図4に示すように、食事の摂取により胃Sに運ばれてきた各種の内容物S1に対して浮いた状態となっている。つまり、胃Sの内容物S1は、各種の食べ物が混ざった状態であり、胃液等を含めて水分を多く含んでいる状態だからである。
よって、従来の重みがあるバルーンとは異なり、バルーン本体2は胃壁を内側から大きな力で押すように該胃壁に接触することはない。従って、胃壁を傷つけたり、局所的な圧力集中を与えたりすることがないので、潰瘍や穿孔等の発生を防止することができる。
【0053】
また、胃内留置用バルーン1は、胃Sの内容物S1に浮いている状態であるので、従来とは異なり、幽門部S2を塞ぎ難い状態となっている。よって、内容物S1の通過障害をも防止することができる。更に、従来のバルーンのように、重みのあるバルーンが胃壁に乗るようなことがないので、患者が吐気や不快感等を感じ難い。
また、胃Sの内容物S1に浮いた状態であるので、少ない食事量であってもバルーン本体2が胃底部S3にある満腹中枢を刺激し易い。そのため、患者は少ない食事量であっても満腹感を得ることができる。また、バルーン本体2が常に胃Sの内部に留置されているので、患者は一回の食事量を極力抑えることができる。その結果、病的肥満治療を確実に行うことができ、高い減量効果を期待することができる。
【0054】
また、仮にバルーン本体2に穴が開いたとしても、該バルーン本体2内で非圧縮性の天然セルロース3自体が膨らんでいる状態であるので、バルーン本体2を萎ませずに所定の体積を維持することができる。このように、従来の圧縮空気のみを注入する場合とは異なり、破裂等の恐れがなく、胃内圧力を上昇させて胃Sを過度に膨張させる危険性がない。
【0055】
上述したように、バルーン用媒体4によって膨らんだ本実施形態の胃内留置用バルーン1によれば、潰瘍、穿孔や内容物S1の通過障害等の副作用がなく、高い減量効果を期待できると共に、バルーン本体2に穴等が開いたとしても胃内圧力の上昇を防止でき、安全性を向上することができる。
なお、上記実施形態では、挿入管Xにより縮んだ状態の天然セルロース3をバルーン本体2内に供給したが、予めバルーン本体2内に縮んだ状態の天然セルロース3を入れておいても構わない。
更に、予めバルーン本体2内に配置した天然セルロース3(スポンジ状)は、バルーン本体2内を陰圧にすることで、経口的に挿入するのに十分な大きさまで縮められ、陰圧を解除し大気圧にすることで、天然セルロース3の復元力によって、バルーン形状(膨張状態)をつくりだすようにしても同様の作用効果が得られる。
【0056】
次に、本発明に係る胃内留置用バルーン及びバルーン用媒体の第2実施形態を、図5を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態の胃内留置用バルーン1は、バルーン本体2を膨らませる非圧縮性の体積維持材として、天然セルロース3を利用したが、第2の実施形態の胃内留置用バルーン10は、体積維持材として固形物11を利用する点である。
【0057】
即ち、本実施形態の体積維持材は、図5に示すように、円筒状(予め決められた形状)に成型された固形物11である。この固形物11は、人体に無害なものであり、例えば、生体吸収性材料、麩、小麦粉等の食用粉末等である。そして、本実施形態のバルーン用媒体12は、この固形物11を複数備えている。
【0058】
このように構成された胃内留置用バルーン10においても、第1実施形態と同様に、バルーン本体2内に複数の固形物11が封入されているので、該バルーン本体2を確実に所定の体積を維持するように膨らますことができる。なお、挿入管Xから縮んだ状態のバルーン本体2内に複数の固形物11を供給して、該バルーン本体2を膨らませれば良い。或いは、挿入管Xからバルーン本体2内に大気圧以上の圧力で気体を注入し、この状態で膨らんだバルーン本体2内に固形物11を供給し、概ねバルーン本体2の形状が維持できる程度の固形物11が供給された後、バルーン本体2内の圧力を開放(大気圧以下とする)する方法を採用しても構わない。
また、第1実施形態と同様に、仮にバルーン本体2に穴が開いたとしても、内部に複数の固形物11が封入されているので、バルーン本体2を萎ませずに所定の体積を維持させることができる。その他の作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0059】
なお、上記第2実施形態では、固形物11を円筒状としたが、この場合に限られず、例えば、図6(a)に示すように、粒状(ペレット状)でも良いし、図6(b)に示すように、ピンポン玉の如く内部に空間を有する粒状でも構わない。このように(固形物11は、形状に限定されるものではなく、一定の定型性を有していれば良い)、固形物11の内部に空間を形成することで、より小さな質量で形状維持を図ることができる。好ましくは、固形物11単体の比重が1以下であると、バルーン本体2全体の比重を1以下に抑え易くなり都合が良い。
【0060】
また、上記第2実施形態において、複数の固形物11と同時に、生理食塩水や圧縮気体等の流体を補助的に供給してバルーン本体2内に封入しても構わない。即ち、複数の固形物11と流体とでバルーン用媒体4を構成しても構わない。
こうすることで、複数の固形物11の隙間を埋めるように、流体がバルーン本体2内に封入されるので、該バルーン本体2の表面を固形物11の形状に応じた凹凸状ではなく、より滑らかな状態にすることができる。よって、胃壁に接触しても、患者は不快感をより感じ難い。
【0061】
特に、流体として圧縮気体を利用する場合には、大気圧下での体積が、(胃容積から複数の固形物11の体積を引いた体積)よりも小さい量の圧縮気体を封入させる。こうすることで、万が一バルーン本体2に穴等が開いて破裂し、圧縮気体が胃内に膨張しながら放出されたとしても、胃Sが過度に膨張して危険な状態になることはない。よって、安全性を確保することができる。また、流体として圧縮気体を利用することで、全体の比重をより軽くすることができ、潰瘍、穿孔や内容物S1の通過障害等の副作用の発生をよりなくすことができる。
【0062】
更に、圧縮気体を複数の固形物11に加えて、補助的に利用する場合には、バルーン本体2内の圧力が若干上がるので、バルーン本体2内の挿入口5に取り付けた弁6を、図3に示すフラップバルブ方式ではなく、図7に示すように、内圧によって自動的に閉まるダックビル方式の弁6にしても構わない。
【0063】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0064】
例えば、上記各実施形態では、拡張性を有するバルーン本体を利用したが、この場合に限られず、非拡張性を有する材料から形成されたバルーン本体により胃内留置用バルーンを構成しても構わない。即ち、単なるビニール袋のようなバルーン本体を利用しても構わない。この場合には、バルーン本体が予め決められた所定体積となるように、該バルーン本体内に非圧縮状態で気体を封入すれば良い。この際、バルーン本体と気体とを合わせた比重が、水よりも軽くなるように調整を行う。
【0065】
このように構成された胃内留置用バルーンによれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
特に、バルーン本体は、非圧縮状態の気体によって所定体積を維持するように膨らまされているので、万が一バルーン本体に微小な穴等が空いたとしても、圧縮空気のみを注入する場合とは異なり、破裂等の恐れがなく、胃内圧力を上昇させて胃を過度に膨張させる危険性がない。
【0066】
また、バルーン本体は、非拡張性であるので変形し易い状態となっている。よって、胃壁に接触したときに変形して、該胃壁に対して圧力を分散させることができ、潰瘍のリスクをさらに減らすことができる。また、胃の内容物に浮いた状態でも変形し易いので、胃の蠕動運動に影響を与えることがなく、また、摂取した食物がバルーン本体上に乗っかったとしても、食物の重みで変形する。よって、内容物の通過障害をさらになくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る胃内留置用バルーン及びバルーン用媒体の第1実施形態を説明する図であって、胃の中に膨らんだ状態で留置されている胃内留置用バルーンを示す図である。
【図2】図1に示す胃内留置用バルーンを示す図であって、萎んだ状態及びバルーン用媒体によって膨らまされた状態を示す図である。
【図3】図1に示す胃内留置用バルーンのバルーン本体に設けられた挿入口及び弁周辺の断面図である。
【図4】図1に示す胃内留置用バルーンが胃の内容物上に浮いている状態を示す図である。
【図5】本発明に係る胃内留置用バルーン及びバルーン用媒体の第2実施形態を説明する図であって、複数の固形物からなるバルーン用媒体によって膨らまされた状態を示す図である。
【図6】図5に示す円筒状の固形物とは異なる形状の固形物を示す一例であって、(a)は粒状の固形物を示し、(b)は内部に空間を有する粒状の固形物を示す図である。
【図7】図3に示す弁とは異なる弁の一例を示した断面図である。
【図8】従来の病的肥満治療の外科的治療方法の一例を示す図であって、手術後の胃の状態を示した図である。
【符号の説明】
【0068】
S 胃
1、10 胃内留置用バルーン
2 バルーン本体
3 天然セルロース(体積維持材)
4 バルーン用媒体
11 固形物(体積維持材)








 

 


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