米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 医学 -> オリンパスメディカルシステムズ株式会社

発明の名称 発熱処置装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−37845(P2007−37845A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−227024(P2005−227024)
出願日 平成17年8月4日(2005.8.4)
代理人 【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
発明者 三浦 圭介
要約 課題
発熱素子毎に適正な出力制御を行って所望の処置効果が得られ、基準抵抗値に対してかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子を処置具に組み込んで使用可能にした発熱処置装置を実現する。

解決手段
発熱処置装置1は、1つ以上の発熱素子21を発熱処置部7に設けた凝固切開処置具2と、印加電流検出部31及び印加電圧検出部32と、発熱素子21の抵抗値、又は温度を演算する制御演算部33と、発熱素子21を制御するための設定を行う出力設定部35と、発熱素子21への出力を制御する出力制御部36と、発熱素子21の特性情報を表す複数の識別子10と、これら複数の識別子10の表す特性情報を取得する識別子情報取得部41と、発熱素子21の特性を判別する情報判別部46と、出力制御部36による発熱制御を補正する制御状態補正部47と、を具備して構成される。
特許請求の範囲
【請求項1】
生体組織に付与する熱を発生するための1つ以上の発熱手段を処置部に設けた処置具と、
前記発熱手段に印加した電流値を検出する印加電流検出手段と、
前記発熱手段に印加した電圧値を検出する印加電圧検出手段と、
前記印加電流検出手段及び前記印加電圧検出手段の各検出結果を用いて前記発熱手段の抵抗値、又は温度を演算する演算手段と、
前記発熱手段を制御するための設定を行う出力設定手段と、
前記演算手段による演算結果及び前記出力設定手段の設定に基づいて、前記発熱手段への出力を制御する出力制御手段と、
前記発熱手段の特性情報を表す複数の識別子、又は前記発熱手段の特性情報を格納したメモリ手段と、
前記複数の識別子が表す特性情報、又は前記メモリ手段に格納されている特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記特性情報取得手段が取得した特性情報に基づき、前記発熱手段の特性を判別する特性判別手段と、
前記特性判別手段の判別結果に基づき、前記出力制御手段による発熱制御を補正する制御状態補正手段と、
を具備したことを特徴とする発熱処置装置。
【請求項2】
前記制御補正手段は、前記出力制御手段、前記出力設定手段、前記演算手段のうち、少なくとも一つの動作を補正することを特徴とする請求項1に記載の発熱処置装置。
【請求項3】
前記発熱手段の特性情報は、前記発熱手段の任意温度における電気抵抗値データと、前記発熱手段の温度に対する電気抵抗値の傾きデータ、前記発熱手段の温度に対する電気抵抗値の切片データ、前記発熱手段の初期電気抵抗値に対するばらつきのデータの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱処置装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱処置装置に係り、特に生体組織に熱を与えて処置をする発熱処置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に発熱処置装置は、外科手術または内科手術において、患部の切開や凝固、止血等の処置を行う際に用いられる。この発熱処置装置は、患部を熱するための発熱部分である発熱素子が配設された処置部を有し、この処置部の発熱素子で発生した熱を患部に与えることにより、切開や凝固、止血等の処置を行えるようになっている。
【0003】
このような発熱処置装置は、例えば、特開2004−160191号公報に提案されている。この公報に記載の発熱処置装置は、発熱素子毎にその初期特性情報を表す識別子(電気抵抗素子)を各処置具に設け、処置具を接続した際に前記識別子から読み取った識別子の抵抗値に基づき、発熱素子毎に室温における初期電気抵抗値データを取得している。
【0004】
前記公報に記載の発熱処置装置は、取得した発熱素子の初期電気抵抗値データに基づき、該当する発熱素子をグループ分けして発熱素子毎に出力制御している。この初期電気抵抗値データによる発熱素子のグループ分けは、初期電気抵抗値±0.5Ωの範囲内に設定されており、グループ分けされる発熱素子には、最大1.0Ωの誤差が生じる。このため、前記公報に記載の発熱処置装置は、前記発熱素子毎に適正な出力制御を行うことが困難であり、結果として所望の処置効果が得られなくなる可能性がある。
【0005】
また、一般に発熱素子は、全て均一に製作することが困難であり、この発熱素子の初期電気抵抗値にばらつきが生じる場合もある。このような場合、従来の発熱処置装置は、基準抵抗値よりもかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子を処置部に組み込んで用いた場合、この発熱素子の初期電気抵抗値がグループ分けの範囲内に入らなくなるので、該当する発熱素子への適正な出力制御ができなくなる。このため、従来の発熱処置装置は、基準抵抗値よりもかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子を処置具に組み込むことができないので、その分発熱素子の歩留まりが低下してしまうという問題があった。
【0006】
なお、発熱処置装置ではないが、生体組織を焼灼処置する医療装置として、例えば、USP5,400,267号公報が提案されている。この公報に記載の医療装置は、処置具の識別情報として器具インピーダンス情報を格納したメモリを各処置具内に設けて処置部に供給する高周波電流を制御している。しかしながら、前記公報に記載の医療装置は、器具インピーダンス情報のみによって出力制御しているので、精度の高い出力制御ができない。
【特許文献1】特開2004−160191号公報
【特許文献2】USP5,400,267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の発熱処置装置は、処置具を接続した際に発熱素子毎にその初期特性情報として発熱素子の室温における初期電気抵抗値データを取得し、この取得した初期電気抵抗値データに基づき、該当する発熱素子をグループ分けして発熱素子毎に出力制御している。
【0008】
しかしながら、前記従来の発熱処置装置は、グループ分けされる発熱素子に最大1.0Ωの誤差が生じるので、発熱素子毎に適正な出力制御を行うことが困難であり、所望の処置効果が得られないという虞れが生じる。また、従来の発熱処置装置は、基準抵抗値に対してかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子を処置具に組み込むことができないので、その分発熱素子の歩留まりが低下してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、発熱素子毎に適正な出力制御を行って所望の処置効果が得られ、基準抵抗値に対してかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子を処置具に組み込んで使用可能にした発熱処置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の一態様による発熱処置装置は、生体組織に付与する熱を発生するための1つ以上の発熱手段を処置部に設けた処置具と、前記発熱手段に印加した電流値を検出する印加電流検出手段と、前記発熱手段に印加した電圧値を検出する印加電圧検出手段と、前記印加電流検出手段及び前記印加電圧検出手段の各検出結果を用いて前記発熱手段の抵抗値、又は温度を演算する演算手段と、前記発熱手段を制御するための設定を行う出力設定手段と、前記演算手段による演算結果及び前記出力設定手段の設定に基づいて、前記発熱手段への出力を制御する出力制御手段と、前記発熱手段の特性情報を表す複数の識別子、又は前記発熱手段の特性情報を格納したメモリ手段と、前記複数の識別子が表す特性情報、又は前記メモリ手段に格納されている特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記特性情報取得手段が取得した特性情報に基づき、前記発熱手段の特性を判別する特性判別手段と、前記特性判別手段の判別結果に基づき、前記出力制御手段による発熱制御を補正する制御状態補正手段と、を具備している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発熱処置装置は、発熱素子毎に適正な出力制御を行って所望の処置効果が得られ、基準抵抗値に対してかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子を処置具に組み込んで使用できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1から図25は本発明の実施例1に係り、図1は、発熱処置装置の全体構成を示す装置構成図、図2は、図1の装置本体の正面図、図3は、図1の装置本体の背面図、図4は、凝固切開処置具である外科用鉗子を示す説明図、図5は、図4の発熱処置部の側面水平方向からの略図透視図、図6は、図5の発熱処置部の上面垂直方向からの概略透視図、図7は、図4の発熱処置部を上面垂直方向からの上面断面図、図8は、図4の発熱処置部を側面水平方向からの側面断面図、図9は、図1の発熱処置装置の回路ブロック図、図10は、凝固切開処置具であるピンセットの外観斜視図、図11は、図10のピンセットの外観側面図、図12は、凝固切開処置具である内視鏡下外科手術用鉗子を示す外観側面図、図13は、装置本体に着脱自在に接続される処置具の種類を示す処置具識別表、図14は、発熱素子の初期特性を示す発熱素子初期抵抗値識別表、図15は、発熱素子の温度抵抗特性(温度抵抗特性傾き)を示す発熱素子特性識別(傾き)表、図16は、発熱素子の温度抵抗特性(温度抵抗特性切片)を示す発熱素子特性識別(切片)表、図17は、発熱素子の温度に対する抵抗値を示す第1のグラフ、図18は、発熱素子の温度に対する抵抗値を示す第2のグラフ、図19は、キャリブレーション動作を示すフローチャート、図20は、情報判別部が行う判別処理のフローチャート、図21は、発熱素子に対する抵抗特性判別処理のフローチャート、図22は、変形例の発熱処置装置の全体構成を示す装置構成図、図23は、図22の凝固切開処置具である外科用鉗子を示す説明図、図24は、図22の凝固切開処置具であるピンセットを示す説明図、図25は、図22の凝固切開処置具である内視鏡下外科手術用鉗子を示す説明図である。
【0014】
図1に示すように、実施例1の発熱処置装置1は、後述の発熱素子を内蔵する処置具としての凝固切開処置具2と、この凝固切開処置具2を着脱自在に接続し、この凝固切開処置具2の発熱素子に電力を供給して駆動制御する装置本体3とから構成されている。装置本体3は、フットスイッチ6を接続可能としている。
【0015】
凝固切開処置具2は、延出する接続ケーブル4の基端部に設けた本体接続コネクタ5を装置本体3に着脱自在に接続するようになっている。また、凝固切開処置具2は、複数の発熱素子21を内蔵している発熱処置部7及び、この発熱処置部7に対して切離可能な弾性受部8から構成された処置部9を有し、この処置部9が、生体組織を把持して所定の処置をするようになっている。
【0016】
処置部9の発熱処置部7及び弾性受部8は生体組織を把持し、装置本体3からの通電により発熱処置部7が発熱すると、把持された生体組織に熱エネルギーを供給し、組織の凝固切開又は凝固処置をするようになっている。また、前記発熱素子21の数は、処置目的に応じた処置具の種類によって異なり、そのため本体接続コネクタ5には後述の識別子10が内蔵されている(図9参照)。
【0017】
図2及び図3に示すように、前記装置本体3は、前面パネル3a及び背面パネル3bを有している。図2に示すように、前面パネル3aは、前記凝固切開処置具2の本体接続コネクタ5を着脱自在に接続可能なコネクタ受け部52を備えている。また、前面パネル3aは、電源をON/OFFする電源スイッチ50と、電源ON時に点灯するLED51とを備えている。さらに、前面パネル3aは、前記凝固切開処置具2の発熱処置部7へのエネルギー供給などの制御内容及び切り替え条件などの設定等を行う以下に示す各種スイッチ及び表示LEDを有している。
【0018】
前面パネル3aは、出力区間1の制御内容設定状態に移行する区間1設定スイッチ55、出力区間2の制御内容設定状態に移行する区間2設定スイッチ56、出力区間3の制御内容設定状態に移行する区間3設定スイッチ57及び、ジュール制御値設定状態に移行するジュール設定スイッチ58を有している。
さらに、前面パネル3aは、電力制御値設定状態に移行する電力設定スイッチ59、電力設定値を表示する電力設定値表示LED60、電力設定値を変更する電力設定値DOWNスイッチ61及び電力設定値UPスイッチ62、電圧制御値設定状態に移行する電圧設定スイッチ63、電庄設定値を表示する電圧設定値表示LED64、電圧設定値を変更する電圧設定値DOWNスイッチ65及び電圧設定値UPスイッチ66、電流制御値設定状態に移行する電流設定スイッチ67、電流設定値を表示する電流設定値表示LED68、電流設定値を変更する電流設定値DOWNスイッチ69及び電流設定値UPスイッチ70、温度制御値設定状態に移行する温度設定スイッチ71、温度設定値を表示する温度設定値表示LED72、温度設定値を変更する温度設定値DOWNスイッチ73及び温度設定値UPスイッチ74、ジュール設定値を表示するジュール設定値表示LED75、並びに、ジュール設定値を変更するジュール設定値DOWNスイッチ76及びジュール設定値UPスイッチ77を有している。
【0019】
また、前面パネル3aは、区間制御終了又は次の区間制御に移行するリミット温度の設定値を表示するリミット温度設定値表示LED78、リミット温度設定値を変更するリミット温度設定値DOWNスイッチ79及びリミット温度設定値UPスイッチ80、各制御区間の時間つまり出力時間を設定する区間制御時間設定表示LED81、並びに、区間制御時間を変更する区間制御時間DOWNスイッチ82及び区間制御時間UPスイッチ83を有している。
さらに、前面パネル3aは、出力シーケンスを区間1のみを指示する第1出力シーケンススイッチ84、出力シーケンスを区間1出力の後に続けて区間2を行うことを指示する(区間1→区間2)第2出力シーケンススイッチ85、出力シーケンスを区間1出力の後に続けて区間2と区間3を行うことを指示する(区間1→区間2→区間3)第3出力シーケンススイッチ86及び、ジュール制御により出力することを指示するジュール制御スイッチ87を有している。これらスイッチ84〜87及び設定情報伝達部38は、制御選択指示手段を構成している。
【0020】
尚、発熱処置装置1は、「定電圧制御」、「定電流制御」、「定温度制御」、「定電力制御」及び「定熱量制御(ジュール制御)」が可能になっている。定電圧制御、定電流制御及び定電力制御は、発熱素子21に、一定の電圧、電流及び電力をそれぞれ印加する制御内容である。定温度制御は、発熱素子21の温度が一定になるように電流と電圧を印加する制御であり、定熱量制御は、出力開始からの発熱素子21に加えられた熱量が任意の設定値(消費熱量)になったとき出力を停止するという制御である。
【0021】
前記出力シーケンスは、例えば1段階のみの制御、2段階までの制御、3段階までの制御の3種類が有る。発熱処置装置1では、いずれかを選択でき、各制御区間に、「定電圧制御」「定電流制御」「定温度制御」「定電力制御」のいずれかを行うことができるようになっている。尚、「定熱量制御」は、前述した区間制御の概念は無く、発熱素子21に加えられた熱量が任意の設定値になったとき出力を停止する。
前記出力シーケンスにおいて、出力の停止、又は制御の切り替えを行う条件は、時間又は発熱素子21における所定温度(リミット温度)であり、これらの値を出力前に設定するようになっている。
【0022】
また、発熱素子温度(リミット温度)による制御切り替えに関して、本実施例では複数の発熱素子のうち1つでもリミット温度を越えたとき制御を切り替えることとするが、これを「複数の発熱素子のうち1つでもリミット温度を越えたとき制御内容を切り替える方法」と「複数の発熱素子が全てリミット温度を越えたとき制御内容を切り替える方法」のいずれかを選択できる手段、例えば、リミット温度切り替え条件選択スイッチを設けても良い。
【0023】
またさらに、前面パネル3aは、装置本体3の状態を表示する状態表示LED54と、前記凝固切開処置具2の発熱素子21に通電中であることを示す出力表示LED53と、前記凝固切開処置具2に異常がある場合に点灯する処置具異常表示LED89〜92と、内部回路に異常がある場合に点灯する電源異常表示LED88と、警告音を発生する図示しないブザーとを有している。一方、図3に示すように背面パネル3bは、フットスイッチコネクタ受け部93と、電源インレット94とを備えている。尚、装置本体3は、例えば、最大4つの発熱素子を内蔵した凝固切開処置具2が接続可能となっている。
【0024】
図4に示すように、前記凝固切開処置具2は、例えば外科用鉗子100であり、前述したように発熱処置部7及び弾性受部8を有する処置部9を備え、この処置部9により生体組織を把持するために開閉操作を行うハンドル部20とから構成されている。尚、前記接続ケーブル4は、前記ハンドル部20の基端側から延出するようになっている。
図5及び図6に示すように、凝固切開処置具2(外科用鉗子100)の発熱処置部7は、複数の発熱素子21、例えば同一の3つの発熱素子21a、21b、21cを熱伝達が可能に結合されて伝熱板22に配設されている。
【0025】
次に、発熱処置部7及び弾性受部8を有する処置部9の詳細構造を説明する。
発熱処置部7は、図7及び図8に示すように、発熱素子21(21a〜21c)を発熱処置部本体7aに内蔵している。ここで、発熱手段としての発熱素子21は、例えばセラミック板上に形成された薄板抵抗体である。これら発熱素子21(21a〜21c)は、通電するためのリード線23(23a、23b、23c)の一端がそれぞれ接続され、これらリード線23の他端は、前記接続ケーブル4内を挿通配置され、前記本体接続コネクタ5の図示しないコネクタ端子に接続されている。
【0026】
前述したように、前記発熱素子21(21a〜21c)は、前記伝熱板22に熱伝達が可能に結合され、これら発熱素子21(21a〜21c)で発生した熱は、前記伝熱板22に伝達されるようになっている。また、図7に示す構成では、発熱素子21(発熱部)と伝熱板22(処置部)とが別体となっているが、これらの発熱部と処置部とが一体形成された発熱処置部であってもよい。さらに、一体形成された発熱処置部が、発熱抵抗金属体(例えばニクロム線)であってもよい。
【0027】
一方、図8に示すように、前記弾性受部8は、発熱処置部7の伝熱板22との間において、生体組織を把持可能な鋸刃部24aを有する弾性部材24を弾性受部本体8aに備えている。凝固切開処置具2は、前記ハンドル部20の閉操作により、弾性受部8が発熱処置部7に対して閉じられ、発熱処置部7の伝熱板22と弾性受部8の鋸刃部24aとによって弾性的に生体組織が把持される。凝固切開処置具2は、伝熱板22と弾性部材24とに挟まれた生体組織が伝熱板22の熱によって凝固切開あるいは凝固されるようになっている。尚、処置部9を構成する発熱処置部7及び弾性受部8の形状は、前述のものに限定されるものではない。
【0028】
続いて、図9のブロック図を参照して前記装置本体3について説明する。
装置本体3において、発熱素子21を発熱させるための駆動電力は、出力制御部36によって出力制御される。
また、装置本体3の印加電流検出部31は、印加電流検出手段であり、発熱素子21に印加される電流値を検出する。印加電圧検出部32は、印加電圧検出手段であり、発熱素子21に印加される電圧値を検出する。演算手段としての制御演算部33は、印加電流検出部31と印加電圧検出部32との結果を利用して、制御選択切替部39から指示された所定の制御に必要な演算を行い、発熱素子21へのエネルギー言い換えると電力の供給状況、並びに発熱素子21の状態、具体的には温度(抵抗値及び消費熱量)を算出する。
【0029】
尚、制御演算部33は、発熱素子21の抵抗値が温度変化によって変化することを利用して温度測定を行うことができる。すなわち、制御演算部33は、抵抗値検出機能として発熱素子21の抵抗値変化によって変化する発熱素子21に流れる電流値及び発熱素子21にかかる電圧値を測定することにより発熱素子21の抵抗値を検出し、この検出した抵抗値により発熱素子21の温度を算出することが可能である。
尚、図9に示す操作部42とは、前面パネル3aに設けている前記区間1設定スイッチ55等の各種スイッチであり、また、前面パネル3aに設けている各種表示LEDは、表示部44としている。
【0030】
さらに、装置本体3の温度リミット検出部34は、所定温度検出手段であり、制御演算部33の温度に関する演算結果が、設定情報伝達部38によって設定された「温度リミット値」に到達した後、制御選択切替部39へ「制御の切り替え」あるいは「制御を停止」をさせる信号を出力する。時間計測部40は、時間計測手段であり、操作部42にて任意に設定された所定時間に出力時間が達した後、時間経過情報を制御選択切替部39に出力する。設定情報伝達部38は、操作部42により入力された設定情報を、出力設定部35及び温度リミット検出部34に出力する。
また、出力設定部35と出力制御部36との間には、発熱素子21への出力開始時の突出電圧をなくし、出力制御を安定化させるための出力設定値調整部45を設けている。この出力設定値調整部45は、「出力開始後から所定時間の間に徐々に滑らかに所定の制御設定値まで上昇させる」制御を行う。前記制御設定値とは、前記制御区間1〜3設定スイッチ55〜57の操作により設定される設定値である。
【0031】
尚、本実施例では、出力設定値調整部45により、制御設定値を滑らかに上昇させているが、制御設定値の上昇方法は、階段状に言い換えると段階的に可変してもよく、また、制御設定値が所定の関数になっていても良い。
【0032】
出力設定手段としての出力設定部35は、設定情報伝達部38と制御選択切替部39との設定情報及び、制御状態補正部47からの温度抵抗特性(発熱素子抵抗値Y)情報から設定値を算出する。制御選択手段としての制御選択切替部39は、制御選択情報及び制御切り替え情報を制御演算部33及び出力設定部35に出力することにより、制御演算部33及び出力設定部35を介して制御出力手段である出力制御部36を制御している。
【0033】
出力制御手段としての出力制御部36は、制御演算部33の演算結果が出力設定部35の設定値に一致するように電流又は電圧を制御する。尚、本実施例では、設定情報伝達部38、制御選択切替部39及び、時間計測部40は、CPU37内に設けられているが、CPU37の外に設けられても良い。
【0034】
また、前記装置本体3には、例えば最大4つの発熱素子21を有する凝固切開処置具が接続可能であり、その場合は、これら発熱素子21のそれぞれに対応する4チャンネル分の印加電流検出部31、印加電圧検出部32、制御演算部33、温度リミット検出部34、出力設定部35及び、出力制御部36が機能する。
【0035】
また、装置本体3は、特性情報取得手段としての識別子情報取得部41を有している。識別子情報取得部41は、本体接続コネクタ5に設けられた識別子10の情報を検出する。この識別子10は、例えば電気抵抗素子である。本実施例では、前記識別子10を識別子A10a,識別子B10b,識別子C10c,識別子D10dまでの4種類設けている。
【0036】
識別子A10aには、「処置具の種類」の情報が割り当てられている。識別子B10bには、発熱素子21の初期特性データとして「発熱素子の任意温度での電気抵抗値(初期抵抗値)」の情報が割り当てられている。識別子C10cには、発熱素子21の温度抵抗特性データとして「発熱素子の温度と抵抗値に関する特性の傾き」の情報が割り当てられている。識別子D10dには、発熱素子21の温度抵抗特性データとして「発熱素子の温度と抵抗値に関する特性の切片」の情報が割り当てられている。尚、これら識別子10(識別子A〜D)が保持している情報の詳細は、後述する。
【0037】
前記識別子情報取得部41は、検出した識別子10(識別子A〜D)の情報を特性判別手段としての情報判別部46に出力する。情報判別部46は、識別子10(識別子A〜D)からの情報に基づき、処置具の種類(発熱素子の数)、この処置具に内蔵されているそれぞれの発熱素子の初期抵抗値、温度抵抗特性の傾き、切片データを判別し、判別したデータを制御状態補正手段としての制御状態補正部47に出力する。
【0038】
制御状態補正部47は、各発熱素子毎に情報判別部46からのデータを演算処理して温度抵抗特性として発熱素子抵抗値Yを以下の式1に基づいて算出する。
発熱素子抵抗値Y=発熱素子初期抵抗値Rint×(傾きA×温度X+切片B)…(式1)
制御状態補正部47は、各発熱素子毎に算出した発熱素子抵抗値Yのデータを出力設定部35に出力してこの出力設定部35により設定される設置値を補正する。前述したように出力設定部35は、設定情報伝達部38と制御選択切替部39との設定情報及び、制御状態補正部47からの温度抵抗特性(発熱素子抵抗値Y)情報から設定値を算出する。
上述のように構成されている装置本体3は、凝固切開処置具2の発熱素子21に電力を供給して生体組織の凝固切開又は凝固処置をするようになっている。
【0039】
尚、前記凝固切開処置具2は外科用鉗子100であるが、凝固切開処置具2としては以下に示すピンセット、内視鏡下外科手術用鉗子がある。
図10及び図11に示すようにピンセット101は、延出する接続ケーブル4bの基端部に設けた本体接続コネクタ5bを前記装置本体3に着脱自在に接続するようになっている。ピンセット101は、鉗子本体102から2本の鉗子アーム103a,103bが延出しており、この2本の鉗子アーム103a,103bのどちらか一方に先端に前記発熱素子21を1つ内蔵している発熱処置部7b及び、この発熱処置部7bに対して切離可能な弾性受部8bから構成された処置部9bを有し、この処置部9bが、生体組織を把持して所定の処置をするようになっている。
【0040】
鉗子アーム103a,103bの中途部には、術者がピンセット101を保持して操作するのを助けるフィンガーグリップ104を有している。ピンセット101は、このフィンガーグリップ104を術者が把持することにより、処置部9bの発熱処置部7b及び弾性受部8bが生体組織を把持することができる。
ピンセット101は、装置本体3からの通電により発熱処置部7bが発熱すると、把持された生体組織に熱エネルギーを供給し、組織の凝固切開又は凝固処置をするようになっている。
【0041】
図12に示すように内視鏡下外科手術用鉗子110は、延出する接続ケーブル4cの基端部に設けた本体接続コネクタ5cを前記装置本体3に着脱自在に接続するようになっている。内視鏡下外科手術用鉗子110は、鉗子本体102cからシース部111が延出しており、このシース部111の先端に2つの発熱素子21を内蔵している発熱処置部7c及び、この発熱処置部7cに対して切離可能な可動ジョー112から構成された処置部9cを有し、この処置部9cが、生体組織を把持して所定の処置をするようになっている。可動ジョー112は、枢支軸113により発熱処置部7cに対して回動可能に取り付けられている。内視鏡下外科手術用鉗子110は、鉗子本体102cと一体に形成された固定ハンドル114aと、鉗子本体102cに対して回動自在な可動ハンドル114bとを有している。
【0042】
内視鏡下外科手術用鉗子110は、固定ハンドル114aに対して可動ハンドル114bを回動操作することにより、可動ジョー112が枢支軸113を中心に発熱処置部7cに向かって回動し、発熱処置部7b及び弾性受部8bが生体組織を把持することができる。内視鏡下外科手術用鉗子110は、装置本体3からの通電により発熱処置部7cが発熱すると、把持された生体組織に熱エネルギーを供給し、組織の凝固切開又は凝固処置をするようになっている。
【0043】
このように凝固切開処置具2は、発熱素子を3つ有する外科用鉗子100、1つ有するピンセット101、2つ有する内視鏡下外科手術用鉗子110がある。尚、凝固切開処置具2としては、この他に鉗子ではなくこて状や、ナイフ状もある。本実施例では、代表例として鉗子を用いて説明している。
【0044】
上述したように識別子A10aには、「処置具の種類」の情報が割り当てられている。
図13に示すように凝固切開処置具2の識別子A10aは、例えば前記ピンセット101の場合、10KΩの抵抗を、前記内視鏡下外科手術用鉗子110の場合、20KΩの抵抗を、外科用鉗子の場合、30KΩの電気抵抗を有している。
【0045】
また、上述したように識別子B10bには、「発熱素子の任意温度での電気抵抗値(初期抵抗値)」の情報が割り当てられている。図14に示すように凝固切開処置具2の識別子B10bは、例えば装置本体3における設定値R1,R2,R3に対して±0.5Ωの範囲内として3グループに分けられる電気抵抗を有している。具体的には、識別子B10bは、設定値R1に対して±0.5Ωの範囲内である場合、10KΩの抵抗を、設定値R2に対して±0.5Ωの範囲内である場合、20KΩの抵抗を、設定値R3に対して±0.5Ωの範囲内である場合、30KΩの抵抗を有している。
【0046】
さらに、上述したように識別子C10cには、「発熱素子の温度と抵抗値に関する特性の傾き」の情報が割り当てられている。図15に示すように凝固切開処置具2の識別子C10cは、例えば装置本体3における設定値A1,A2,A3に対して±aの範囲内として3グループに分けられる電気抵抗を有している。具体的には、識別子C10cは、設定値A1に対して±aの範囲内である場合、10KΩの抵抗を、設定値A2に対して±aの範囲内である場合、20KΩの抵抗を、設定値A3に対して±aの範囲内である場合、30KΩの抵抗を有している。
【0047】
また、上述したように識別子D10dには、「発熱素子の温度と抵抗値に関する特性の切片」の情報が割り当てられている。図16に示すように凝固切開処置具2の識別子D10dは、例えば装置本体3における設定値B1,B2,B3に対して±bの範囲内として3グループに分けられる電気抵抗を有している。具体的には、識別子D10dは、設定値B1に対して±bの範囲内である場合、10KΩの抵抗を、設定値B2に対して±bの範囲内である場合、20KΩの抵抗を、設定値B3に対して±bの範囲内である場合、30KΩの抵抗を有している。
【0048】
本実施例では、識別子10(識別子A〜D)の情報を取得することにより、図13に示したような「処置具の種類」等によって識別グループ番号1〜3のような3つのグループに分け、接続されている凝固切開処置具2の識別子10(識別子A〜D)が前記識別グループ1〜3の内、どの情報をもっているかを認識し、その情報に基づき発熱素子21(21a〜21c)毎に適切な出力制御を行っている。尚、グループ分けする理由は、各種パラメータのばらつきによる制御誤差を少なくするためである。
【0049】
このように構成された発熱処置装置1の作用を説明する。
術者は、例えば図1に示したように凝固切開処置具2として外科用鉗子100を装置本体3に接続する。次に術者は、装置本体3の電源投入後、各制御区間の制御内容、出力値及び制御切り替え条件等の初期条件を設定する。術者は、初期条件の設定後、凝固切開処置具2の処置部9に処置組織を挟み、フットスイッチ6を押下操作して処置を行う。
【0050】
このとき、発熱素子21は、例えば図17及び図18に示すような発熱素子特性(初期抵抗値、温度抵抗特性)を有している。
図17に示すように発熱素子21は、初期温度T1℃における電気抵抗値を初期抵抗値とすると、この初期抵抗値にR1Ω,R2Ω,R3Ωのばらつきが生じる場合がある。このため、発熱素子21は、温度に対する電気抵抗値の傾きが同じであったとしても温度T2℃における温度抵抗特性(発熱素子抵抗値Y)R4がそれぞれ異なってしまう。
【0051】
また、図18に示すように発熱素子21は、温度に対する電気抵抗値の傾きが異なる場合がある。この場合、発熱素子21は、初期温度T1℃における初期抵抗値R1が同じであったとしても、温度T2℃における温度抵抗特性(発熱素子抵抗値Y)R5がそれぞれ異なってしまう。また、図示しないが発熱素子21は、初期抵抗値の切片が異なる場合がある。
【0052】
上述の理由により、装置本体3は、各発熱素子21(21a〜21c)に対して同じ温度設定値となるように制御を行っても、各発熱素子によって発熱温度差に誤差が生じる。本実施例では、「処置具の種類」,「発熱素子の任意温度での電気抵抗値(初期抵抗値)」の情報に加えて、「発熱素子の温度と抵抗値に関する特性の傾き」,「発熱素子の温度と抵抗値に関する特性の切片」の情報を用いることにより、より精度良く発熱素子の出力制御を行うようにしている。
【0053】
次にピンセット101を例にして説明する。このピンセット101が内蔵する1つの発熱素子21は、初期抵抗値が(R1+0.2Ω)、温度抵抗特性の傾きがA2+c(c<a)、温度抵抗特性の切片がB3−d(d<b)であるとする。
この場合、処置具識別は、処置具がピンセット101であるので識別グループ番号が「1」となる。したがって、識別子A10aは、10KΩである。発熱素子初期抵抗値識別は、発熱素子21の初期抵抗値が(R1+0.2Ω)であるので(R1±0.5Ω)の範囲となり、識別グループ番号が「1」となる。したがって、識別子B10bは10KΩである。
【0054】
発熱素子特性識別(傾き)は、発熱素子21の傾きがA2+c(c<a)であるのでA2±aの範囲となり、識別グループ番号が「2」となる。したがって、識別子C10cは、20KΩである。発熱素子特性識別(切片)は、発熱素子21の切片がB3−d(d<b)であるのでB3±bの範囲となり、識別グループ番号が「3」となる。したがって、識別子D10dは、30KΩである。
【0055】
このように発熱素子21は、グループ分けが行われ、各識別子10(識別子A〜D)の抵抗値が設定されている。尚、ピンセット101は、内蔵する発熱素子21が1つのみであるので、1つの発熱素子21に対してグループ分けしているが、発熱素子21が複数ある場合、発熱素子毎にグループ分けを行い、各識別子10(識別子A〜D)の抵抗値が設定される。つまり、識別子10(識別子A〜D)は、発熱素子の数に応じてセットで組み込まれている。
【0056】
以下の説明は、発熱処置装置1の装置本体3の動作を中心に説明する。
装置本体3は、凝固切開処置具2が接続されて電源スイッチ50がオンされることにより起動する。装置本体3は、凝固切開処置具2が接続されると、図19のフローチャートに示すようにキャリブレーション処理を実行する。
【0057】
ステップS1において、識別子情報取得部41は、識別子10(識別子A〜D)の情報を取得し、情報判別部46に出力する。ステップ2において、情報判別部46は、受信した識別子10(識別子A〜D)からの情報に基づき、処置具の種類(発熱素子の数)、この処置具に内蔵されているそれぞれの発熱素子の初期抵抗値、温度抵抗特性の傾き、切片データを判別する。情報判別部46は、判別したデータを制御状態補正部47に出力する。ステップS3において、制御状態補正部47は、各発熱素子毎に情報判別部46からのデータを演算処理して温度抵抗特性として発熱素子抵抗値Yを式1に基づいて算出する。
制御状態補正部47は、算出した発熱素子抵抗値Yを温度特性情報として出力設定部35に出力し、この出力設定部35により設定される設定値を補正する。
【0058】
このとき、情報判別部46が行う判別処理は、図20に示すフローチャートに従う。
ステップS11において、情報判別部46は、識別子A10aの情報に基づき、処置具の種類を判別する。ステップS12において、情報判別部46は、識別子B10b〜D10dに基づき、発熱素子毎の抵抗特性を判別する。この発熱素子21に対する抵抗特性判別処理は、図21に示すフローチャートに従う。
【0059】
ステップS21において、情報判別部46は、識別子B10bの情報に基づき、初期抵抗値を判別する。ステップS22において、情報判別部46は、識別子C10cの情報に基づき、温度抵抗特性(傾き)を判別する。ステップS23において、情報判別部46は、識別子D10dの情報に基づき、温度抵抗特性(切片)を判別する。
具体的には、識別子10(識別子A〜D)は、凝固切開処置具2がピンセット101である場合、上述したように識別子A10aが10KΩ、識別子B10bが10KΩ、識別子C10cが20KΩ、識別子D10dが30KΩである。
【0060】
識別子情報取得部41は、識別子A10aが10KΩであるので図13の処置具識別表から識別グループ番号「1」を、識別子B10bが10KΩであるので図14の発熱素子初期抵抗値識別表から識別グループ番号「1」を、識別子C10cが20KΩであるので発熱素子特性識別(傾き)表から識別グループ番号「2」を、識別子D10dが30KΩであるので発熱素子特性識別(切片)表から識別グループ番号「3」を取得し、情報判別部46に出力する。
【0061】
情報判別部46は、識別子情報取得部41からの情報に基づき、処置具がピンセット101であり、このピンセット101に内蔵される発熱素子21が一つであることを判別する。また、情報判別部46は、一つの発熱素子21の温度抵抗特性が初期抵抗値(R1±0.5Ω)、発熱素子特性識別(傾き)A2±a、発熱素子特性識別(切片)B3±bであることを判別する。尚、情報判別部46は、発熱素子21が複数ある場合、発熱素子毎に前記判別処理を行っている。情報判別部46は、これら発熱素子毎に判別したデータを制御状態補正部47に出力する。
【0062】
上述したように制御状態補正部47は、各発熱素子毎に情報判別部46からのデータを演算処理して温度抵抗特性として発熱素子抵抗値Yを式1に基づいて算出し、算出した発熱素子抵抗値Yを温度特性情報として出力設定部35に出力してこの出力設定部35による設定される設定値を補正する。
【0063】
出力設定部35は、設定情報伝達部38と制御選択切替部39との設定情報及び、制御状態補正部47からの温度抵抗特性(発熱素子抵抗値Y)情報から設定値を算出し、算出した設定値を出力制御部36へ出力する。
【0064】
このようなキャリブレーション処理が完了すると、フットスイッチ6の押下操作により発熱素子21への出力制御が行われる。出力制御部36は、発熱素子毎に制御演算部33の演算結果が出力設定部35の設定値に一致するように電流又は電圧を制御して発熱素子21への出力制御を行う。尚、このとき、出力設定値調整部45は、「出力開始後から所定時間の間に徐々に滑らかに所定の制御設定値まで上昇させる」制御を行う。
【0065】
この結果、発熱処置装置1は、接続される処置具に対して発熱素子21毎にその温度抵抗特性(初期抵抗値、傾き、切片)に応じて個別に出力制御することができる。
したがって、発熱処置装置1は、発熱素子毎に適正な出力制御を行って所望の処置効果が得られ、基準抵抗値に対してかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子21を処置具に組み込んで使用できる。
【0066】
尚、本実施例の発熱処置装置1は、制御状態補正部47が各発熱素子毎に算出した発熱素子抵抗値Yのデータを出力設定部35に出力してこの出力設定部35により設定される設置値を補正するように構成しているが、本発明はこれに限定されず、制御状態補正部47が補正するのは出力制御部36或いは制御演算部33であってもよい。
【0067】
また、本実施例の発熱処置装置1は、情報判別部46が判別するデータとして発熱素子の初期抵抗値、温度抵抗特性の傾き、切片データを用いているが、本発明はこれに限定されず、発熱素子の初期抵抗値、温度抵抗特性データとして任意の基準値からのずれを表した数値データ又はパーセント表示等のデータを用いてもよい。
【0068】
尚、凝固切開処置具は、処置具と接続ケーブルとを別体に設けて構成してもよい。
図22に示すように発熱処置装置1Bは、凝固切開処置具2Bである外科用鉗子100B,ピンセット101B,内視鏡下外科手術用鉗子110Bのうち、いずれか一つに選択的に接続可能な接続ケーブル120を設けている。この接続ケーブル120の一端のコネクタ120aは、装置本体3のコネクタ受け部52に着脱自在に接続可能であり、他端のコネクタ120aは、外科用鉗子100B,ピンセット101B,内視鏡下外科手術用鉗子110Bの胴体部に設けたコネクタ受け部121A,121B,121Cに着脱自在に接続可能である。
【0069】
図23に示すように、外科用鉗子100Bは、胴体部であるハンドル部20の後端にコネクタ受け部121Aを設けている。このコネクタ受け部121A内には、前記実施例1で説明したのと同様な識別子10(識別子A〜D)が設けられている。また、図24に示すように、ピンセット101Bは、胴体部である鉗子本体102の後端にコネクタ受け部121Bを設けている。このコネクタ受け部121B内には、識別子10(識別子A〜D)が設けられている。
【0070】
さらに、図25に示すように、内視鏡下外科手術用鉗子110Bは、胴体部である鉗子本体102cの後端にコネクタ受け部121Cを設けている。このコネクタ受け部121C内には、識別子10(識別子A〜D)が設けられている。
したがって、発熱処置装置1Bは、接続ケーブル120のコネクタ120aを凝固切開処置具2Bである外科用鉗子100B,ピンセット101B,内視鏡下外科手術用鉗子110Bのコネクタ受部121A,121B,121Cのうち、いずれか一つに選択的に接続し、コネクタ120bを装置本体3のコネクタ受け部52に接続することにより、該当する処置具に内蔵される識別子10(識別子A〜D)からの情報を装置本体3が取得することができる。
【0071】
これにより、発熱処置装置1Bは、処置具本体と接続ケーブルとが別体になっていても電源(装置本体3)により処置具の識別をすることができ、処置具個別に接続ケーブルを用意する必要がなく、接続ケーブルを共通化することでコストダウンが可能である。
【実施例2】
【0072】
図26及び図27は本発明の実施例2に係り、図26は、実施例2の発熱処置装置の回路ブロック図、図27は、図26のメモリ部に記憶されている記憶情報の一例を示す図である。
前記実施例1は、処置具に識別子を設け、この識別子から読み取った情報に基づいて装置本体に接続された処置具の発熱素子をその温度抵抗特性に応じて個別に出力制御するように構成しているが、実施例2は、処置具にメモリ部を設け、このメモリ部から読み取った情報に基づいて装置本体に接続された処置具の発熱素子をその温度抵抗特性に応じて個別に出力制御するように構成する。それ以外の構成は、前記実施例1と同様であるので説明を省略し、同一構成には同じ符号を付して説明する。
【0073】
図26に示すように、実施例2の発熱処置装置1Cは、識別子10(識別子A〜D)の代わりに読み書き可能なメモリ手段としてのメモリ部131を本体接続コネクタ5Cに設けた凝固切開処置具2Cと、特性情報取得手段としてのメモリ情報取得部132を設けた装置本体3Cとを備えている。
【0074】
メモリ部131には、例えば図27に示すような「処置具識別情報」,「発熱素子初期抵抗値情報」,「温度抵抗特性情報(傾きと切片)」の情報が読み書き可能となっている。尚、図27に示す「初期抵抗値情報」には、発熱素子が3つであるので室温(25℃)における初期抵抗値として3チャンネル(CH)のヒーターパターンを記載している。また、図27に示す「温度抵抗特性情報(傾きと切片)」には、前記3チャンネル(CH)のヒーターパターンにおける傾き及び切片情報を記載している。
【0075】
これにより、発熱処置装置1Cは、本体接続コネクタ5Cを装置本体3Cのコネクタ受け部52Cに接続してメモリ部131の情報をメモリ情報取得部132に読み取ることにより、前記実施例1と同様に発熱素子21毎にその温度抵抗特性(初期抵抗値、傾き、切片)に応じて個別に出力制御することができる。
【0076】
この結果、発熱処置装置1Cは、前記実施例1と同様な効果を得ることに加え、メモリ部131を用いることにより、識別子10(識別子A〜D)よりも情報量を多く使用できるので、さらに精度良く発熱素子個別に出力制御できる。また、発熱処置装置1Cは、一つのメモリ部131を用いることにより、識別子10を発熱素子の数に応じて設ける必要がなく、その分小型化できる。
尚、上述した各実施例等を部分的等で組み合わせて構成される実施例等も本発明に属する。
【0077】
[付記]
(付記項1)
生体組織に付与する熱を発生するための1つ以上の発熱手段を処置部に設けた処置具と、
前記発熱手段に印加した電流値を検出する印加電流検出手段と、
前記発熱手段に印加した電圧値を検出する印加電圧検出手段と、
前記印加電流検出手段及び前記印加電圧検出手段の各検出結果を用いて前記発熱手段の抵抗値、又は温度を演算する演算手段と、
前記発熱手段を制御するための設定を行う出力設定手段と、
前記演算手段による演算結果及び前記出力設定手段の設定に基づいて、前記発熱手段への出力を制御する出力制御手段と、
前記発熱手段の特性情報を表す複数の識別子、又は前記発熱手段の特性情報を格納したメモリ手段と、
前記複数の識別子が表す特性情報、又は前記メモリ手段に格納されている特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記特性情報取得手段が取得した特性情報に基づき、前記発熱手段の特性を判別する特性判別手段と、
前記特性判別手段の判別結果に基づき、前記出力制御手段による発熱制御を補正する制御状態補正手段と、
を具備したことを特徴とする発熱処置装置。
【0078】
(付記項2)
前記複数の識別子、又は前記メモリ手段は、前記処置具の所定位置に設けたことを特徴とする付記項1に記載の発熱処置装置。
【0079】
(付記項3)
前記処置具は、胴体部、ハンドル操作部、コネクタ部のうち、いずれか一つに前記複数の識別子、又は前記メモリ手段を設けたことを特徴とする付記項1に記載の発熱処置装置。
【0080】
(付記項4)
前記制御補正手段は、前記出力制御手段、前記出力設定手段、前記演算手段のうち、少なくとも一つの動作を補正することを特徴とする付記項1〜3のいずれか一つに記載の発熱処置装置。
【0081】
(付記項5)
前記発熱手段の特性情報は、前記発熱手段の任意温度における電気抵抗値データと、前記発熱手段の温度に対する電気抵抗値の傾きデータ、前記発熱手段の温度に対する電気抵抗値の切片データ、前記発熱手段の初期電気抵抗値に対するばらつきのデータの少なくとも一つであることを特徴とする付記項1〜4のいずれか一つに記載の発熱処置装置。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の発熱処置装置は、発熱素子毎に適正な出力制御を行って所望の処置効果が得られ、基準抵抗値に対してかけ離れた初期電気抵抗値を有する発熱素子を処置具に組み込んで使用できるので、切開、凝固処置する外科手術に適している。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】発熱処置装置の全体構成を示す装置構成図である。
【図2】図1の装置本体の正面図である。
【図3】図1の装置本体の背面図である。
【図4】凝固切開処置具である外科用鉗子を示す説明図である。
【図5】図4の発熱処置部の側面水平方向からの略図透視図である。
【図6】図5の発熱処置部の上面垂直方向からの概略透視図である。
【図7】図4の発熱処置部を上面垂直方向からの上面断面図である。
【図8】図4の発熱処置部を側面水平方向からの側面断面図である。
【図9】図1の発熱処置装置の回路ブロック図である。
【図10】凝固切開処置具であるピンセットの外観斜視図である。
【図11】図10のピンセットの外観側面図である。
【図12】凝固切開処置具である内視鏡下外科手術用鉗子を示す外観側面図である。
【図13】装置本体に着脱自在に接続される処置具の種類を示す処置具識別表である。
【図14】発熱素子の初期特性を示す発熱素子初期抵抗値識別表である。
【図15】発熱素子の温度抵抗特性(温度抵抗特性傾き)を示す発熱素子特性識別(傾き)表である。
【図16】発熱素子の温度抵抗特性(温度抵抗特性切片)を示す発熱素子特性識別(切片)表である。
【図17】発熱素子の温度に対する抵抗値を示す第1のグラフである。
【図18】発熱素子の温度に対する抵抗値を示す第2のグラフである。
【図19】キャリブレーション動作を示すフローチャートである。
【図20】情報判別部が行う判別処理のフローチャートである。
【図21】発熱素子に対する抵抗特性判別処理のフローチャートである。
【図22】変形例の発熱処置装置の全体構成を示す装置構成図である。
【図23】図22の凝固切開処置具である外科用鉗子を示す説明図である。
【図24】図22の凝固切開処置具であるピンセットを示す説明図である。
【図25】図22の凝固切開処置具である内視鏡下外科手術用鉗子を示す説明図である。
【図26】実施例2の発熱処置装置の回路ブロック図である。
【図27】図26のメモリ部に記憶されている記憶情報の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 発熱処置装置
2 凝固切開処置具
9 処置部
10 識別子
21 発熱素子
31 印加電流検出部
32 印加電圧検出部
33 制御演算部
35 出力設定部
36 出力制御部
39 制御選択切替部
41 識別子情報取得部
46 情報判別部
47 制御状態補正部




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013