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発明の名称 医療用制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−29287(P2007−29287A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−214726(P2005−214726)
出願日 平成17年7月25日(2005.7.25)
代理人 【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
発明者 河合 利昌
要約 課題
湾曲部の先端側の角度が基端側にかけて順次シフトするように湾曲部の駆動を制御することにより、医療用具の挿入部の挿入性を向上させる。

解決手段
指令制御部5Aは供給された先端指令値情報と位置F/B情報とに基づいて複数のリンク部材21毎に設けられた第1〜第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31nを制御して湾曲部14をシフト制御する。この場合、第1〜第nアクチュエータ制御ブロック内の各サーボ制御コントローラ36Aは、先端側のリンク部材21aの角度を示す操作指令値信号を予め設定された設定時間でそれぞれサンプリング行いながら基端側のリンク部材21b〜21nに順次移行する。このことにより、湾曲部14は先端側のリンク部材21aの角度が基端側のリンク部材21b〜21nにかけて順次移行するように湾曲動作する。
特許請求の範囲
【請求項1】
被検体内に挿入される挿入部の先端側に、複数のリンク部材がそれぞれ回動自在に連設された湾曲部を有する医療用具と、
前記複数のリンク部材をそれぞれ回動させて前記湾曲部を湾曲動作させるための駆動手段と、
前記複数のリンク部材の内、前記挿入部の最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度を指定する指定手段と、
前記最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度が、前記先端側から基端側に向かって順次隣り合うリンク部材のなす角度になるように移行しながら前記複数のリンク部材を回動させるように前記駆動手段を制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする医療用制御装置。
【請求項2】
前記最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度を、前記先端側から基端側に向かって順次隣り合うリンク部材のなす角度になるように移行するそれぞれの移行時間を変更する時間変更手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項3】
前記時間変更手段は、前記最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度に前記最も先端側のリンク部材を回動させるための指令信号の位相を遅らすことによって、この指令値信号を前記最も先端側のリンク部材に連結する基端側の複数のリンク部材に対し順次移行するそれぞれの移行時間を変更することを特徴とする請求項2に記載の医療用制御装置。
【請求項4】
前記指定手段により指定された前記最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度を順次移行するリンク部材を選択する選択手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度を移行した所定時間後に、逆方向となるように前記複数のリンク部材をそれぞれ回動させるように駆動手段を制御することを特徴とする請求項請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
【請求項6】
前記医療用具は、前記挿入部の先端側に前記湾曲部を有する内視鏡であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具の湾曲部に対して湾曲動作を行わせるための駆動手段を制御する医療用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療用具として内視鏡は、幅広く利用されている。内視鏡の細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、術者は、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置ができる。また、工業分野においても、作業者は、内視鏡の細長の挿入部を挿入することにより、ボイラ,タービン,エンジン,化学プラントなどの内部の傷や腐蝕などを観察したり検査することができる。
【0003】
このような内視鏡には、細長な挿入部の先端部基端側に湾曲自在な湾曲部が設けられている。前記内視鏡において、術者等の使用者は、操作部に設けられた湾曲操作レバー等の湾曲操作入力手段を操作することにより、湾曲部を湾曲動作させるための湾曲駆動手段に、前記湾曲部の湾曲方向や湾曲の速度が湾曲量として指示入力される。
【0004】
そして、前記湾曲駆動手段は、前記湾曲操作レバーによる湾曲量に基づき、前記湾曲部を構成する湾曲駒に接続された湾曲操作ワイヤを機械的に牽引又は弛緩させることにより、前記湾曲部を湾曲動作させる。
【0005】
この種の従来の内視鏡には、湾曲駆動手段として例えば内視鏡内部に内蔵したモータを電気的に回動制御してこのモータの駆動力により湾曲操作ワイヤを牽引又は弛緩して前記湾曲部を湾曲動作させる電気的湾曲駆動方式、つまり電動湾曲内視鏡がある。
【0006】
例えば、特許2917263号公報には、電動湾曲内視鏡において、前記湾曲操作ワイヤを牽引するプーリを有しこのプーリに対応するモータのトルクを内視鏡挿入部の種類に合うように設定できる制御手段等に関する技術が開示されている。
また、特許2845255号公報には、電動湾曲内視鏡において、湾曲部の全操作範囲のモータにかかる負荷を均一にできる内視鏡の湾曲操作装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特許2917263号公報
【特許文献2】特許2845255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の電動湾曲内視鏡は、湾曲入力手段を操作して指示入力される湾曲量に基づいて湾曲駆動手段であるモータを電気的に回動制御することにより、湾曲操作ワイヤを牽引又は弛緩して前記湾曲部を湾曲動作させるものである。この湾曲部には複数の湾曲駒が連接されており、湾曲時に湾曲部は湾曲部全体に渡って湾曲するといった構成であるため、例えば大腸などの管腔内に挿入する際、先端側の湾曲駒の角度が後段の湾曲駒にかけてシフトするように湾曲部を湾曲させて挿入することはできず、例えばS状結腸部への挿入については熟練した操作を要していた。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、湾曲部の先端側の角度が基端側にかけて順次シフトするように湾曲部の駆動を制御することにより、医療用具の挿入部の挿入性を向上できる医療用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の医療用制御装置は、被検体内に挿入される挿入部の先端側に、複数のリンク部材がそれぞれ回動自在に連設された湾曲部を有する医療用具と、前記複数のリンク部材をそれぞれ回動させて前記湾曲部を湾曲動作させるための駆動手段と、前記複数のリンク部材の内、前記挿入部の最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度を指定する指定手段と、前記最も先端側のリンク部材と前記最も先端側のリンク部材に連結するリンク部材との空間における角度が、前記先端側から基端側に向かって順次隣り合うリンク部材のなす角度になるように移行しながら前記複数のリンク部材を回動させるように前記駆動手段を制御する制御手段と、を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、湾曲部の先端側の角度が基端側にかけて順次シフトするように湾曲部の駆動を制御することにより、医療用具の挿入部の挿入性を向上できる医療用制御装置の実現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1乃至図13は本発明の実施例1における医療用制御装置の基本構成を説明するためのもので、図1は医療用制御装置を用いて内視鏡装置として構成した場合のシステム構成図である。
【0013】
図1に示すように、本発明に係る医療用制御装置を用いた内視鏡装置1は、挿入部先端部内に図示しない撮像手段を備え、操作部10内あるいは湾曲部14内に後述する挿入部9の湾曲部14を湾曲させるための駆動部10bを備えた医療用具としての電子内視鏡(以下、単に内視鏡)2と、前記内視鏡2に着脱自在に接続され、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、前記内視鏡2に着脱自在に接続され、前記内視鏡2の前記撮像手段を制御すると共に、この撮像手段から得られた信号を処理して標準的な映像信号を出力するビデオプロセッサ4と、前記ビデオプロセッサ4内あるいはこのビデオプロセッサ4とは別体に設けられ、前記湾曲部14を湾曲動作させるように前記内視鏡2の駆動部10bを制御するコントローラ5と、前記ビデオプロセッサ4で信号処理して得られた内視鏡画像を表示するモニタ6と、前記コントローラ5に電気的に接続される指定手段としての操作指令部7と、前記コントローラ5に電気的に接続される設定値入力手段としての設定値指令部8と、を有している。
なお、前記ビデオプロセッサ4には、図示しないVTRデッキ,ビデオプリンタ,ビデオディスク,画像ファイル記録装置などが接続できるようになっている。
【0014】
前記内視鏡2は、観察対象部位へ挿入する細長の挿入部9と、この挿入部9の基端部に連設され、ビデオスイッチや送気・送水スイッチ等の操作部10aを有する把持部12と、この把持部12の側面より延設され、図示しない撮像手段に接続する信号ケーブルや照明光を伝達するライトガイドなどを内蔵したユニバーサルコード11と、このユニバーサルコード11の端部に設けられ、前記光源装置3及びビデオプロセッサ4に着脱自在に接続されるコネクタ部12と、を有している。
【0015】
前記挿入部9は、先端に設けられた先端部13と、この先端部13の後部(被検体に挿入される挿入部9の先端側)に設けられた湾曲自在の湾曲部14と、この湾曲部14の後部に設けられ、軟性の管状の部材より形成される長尺で可撓性を有する可撓管部15とが連設されて構成している。
【0016】
前記先端部13は、撮像手段としてCCDなどの図示しない固体撮像素子及びこの固体撮像素子を駆動するための回路基板などが組み込まれた撮像部や、体腔内の観察対象部位を照明するための照明光を伝達する図示しないライトガイドなどを内蔵して構成されている。なお、前記湾曲部14の構成については後述する。
【0017】
前記コントローラ5には、接続線7bを介して前記操作指令部7が電気的に接続されている。この操作指令部7は、例えばジョイスティック7aを備えて構成されたものであり、このジョイスティック7aを操作することにより前記湾曲部14を湾曲動作させるための操作指令値信号を出力する。
【0018】
また、前記コントローラ5には、接続線8bを介して設定値指令部8が電気的に接続されている。この設定値指令部8は、例えばキーボード8aを用いて構成されたものであり、このキーボード8aによるキー操作によって、コントローラ5に対し前記湾曲部14を湾曲させるのに必要な各種設定値の入力を行う。
【0019】
次に、前記湾曲部14の構成について、図3乃至図8を参照しながら説明する。
図3及び図4はリンク構造の駆動機構を備えた湾曲部を有する挿入部先端側の概略構成を説明するもので、図3は挿入部先端側の斜視図、図4は挿入部先端側の断面図である。また、図5は駆動機構がモータ及びギアで構成された湾曲部の構成を示す断面図、図6は図5に示す湾曲部の変形例1の構成を示す断面図、図7は図5に示す湾曲部の変形例2の構成を示す断面図、図8はモータとフレシキブルシャフトとの接続構成を示す斜視図である。
【0020】
図3及び図4に示すように、前記挿入部9の湾曲部14は、被検体内に挿入される挿入部9の先端側に設けられいる。この湾曲部14は、挿入部駆動機構20を有し、この挿入部駆動機構20は、複数のリンク部材21a、21b、21c…21nが複数の関節部材20a、20b、20c…20nによってそれぞれ回動自在に連接されることにより、構成している。つまり、挿入部駆動機構20は、多関節のリンク構造を有している。
【0021】
また、前記駆動部10bは、前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21nをそれぞれ回動させるための駆動源であるモータ27(図5及び図8参照)である。
この駆動部10bであるモータ27が前記操作部10内に設けられた場合には、図8に示すようにモータ27の駆動軸27aにはジョイント30aを介してフレシキブルシャフト30が連結される。そして、このフレシキブルシャフト30は、図示しないが挿入部9内に延設され、基端部が前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21nに連結される。このことにより、それぞれのモータ27の回転力がフレシキブルシャフト30を介して、前記複数のリンク部材21にそれぞれ伝達されるようになっている。
【0022】
また、前記駆動部10bであるモータ27が挿入部9の湾曲部14内に設けられた場合には、図5に示すように、モータ27は、前記挿入部駆動機構20を構成する前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21n内にそれぞれ配設される。そして、モータ27の回転力は、前記モータ27と連結する連結ギア26等によって前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21nにそれぞれ伝達されるようになっている。
【0023】
なお、前記リンク部材21及び関節部材20の数は、図中に示す構成例に限定されるものではなく、前記内視鏡2の目的に応じて適宜その数を増減して構成することも可能である。また、前記リンク部材21aは、先端部13の最先端側に配置されたもので、このリンク部材21aの基端側には順にリンク部材21b、21c…21nが連結されるようになっている。また、これに伴い、前記関節部材20a、20b、20c…20nついても先端部13側から順にリンク部材21との間にそれぞれ配置されることになる。
【0024】
図5には前記湾曲部14の具体的な構成が示されている。
図5に示すように、前記湾曲部14の挿入部駆動機構20は、前記駆動部10bであるモータ27を前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21n内にそれぞれ配設している。
前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21nは、前記関節部材20a、20b、20c…20nであるジョイントシャフト22によってそれぞれ回動自在に連結されている。前記ジョイントシャフト22は軸部材であり、このジョイントシャフト22には、それぞれ検出手段としてのポテンショメータ23が装着されている。
【0025】
このポテンショメータ23は、ジョイントシャフト22の回転量を検出してリンク部材21の状態量検知信号として図示しない信号線を介して前記コントローラ5に出力するようになっている。
【0026】
また、前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21nの各基端側には、前記ジョイントシャフト22を回動自在に軸止した歯車24がそれぞれ固定されている。この歯車24には連結ギア26の歯車25が噛合される。この連結ギア26は、前記リンク部材21a、21b、21c…21n毎に設けられたモータ27の図示しない駆動軸と連結しており、この駆動軸の回転力は軸26aを介して前記歯車25に伝達されるようになっている。
【0027】
このことにより、モータ27の回転力が連結ギア26の軸26a及び歯車25を介して歯車24に伝達されて、この歯車24が固定されたリンク部材21を所定方向に回動させることが可能である。
【0028】
また、図5に示す湾曲部14は、各リンク部材21毎に挿入部駆動機構20を構成する、モータ27、連結ギア26,歯車24、25を有しているので、前記複数のリンク部材21a〜21nの内、指定したリンク部材21のモータ27の回転制御を行えば、前記指定されたリンク部材21のみを回転動作させることが可能である。
【0029】
なお、本実施例では、前記湾曲部14における駆動機構20を、図6に示す変形例1、あるいは図7に示す変形例2のように構成しても良い。このような湾曲部14の変形例1、変形例2を図6及び図7を参照しながら説明する。
【0030】
変形例1及び変形例2における湾曲部14は、図5に示す湾曲部14とは異なり、各リンク部材21毎にモータ27を設けずに、駆動部10bであるモータ27を操作部10内に複数設けている。そして、これらのモータ27の回転力は、これらのモータ27の駆動軸30bにジョイント30aを介してそれぞれ連結され且つ挿入部9内に延設されるそれぞれのフレシキブルシャフト30を介して、これらのフレシキブルシャフト30にそれぞれ連結している前記複数のリンク部材21a、21b、21c…21nに伝達されるようになっている。
【0031】
図6に示すように、変形例1の湾曲部14は、図5に示す挿入部駆動機構20と略同様の構成であるが、各リンク部材21毎に延設されるフレシキブルシャフト30の先端側に歯車29を設けている。
【0032】
この歯車29には、前記歯車25を逆側に設けた連結歯車28ギアが噛合する。この連結ギア28は前記リンク部材21内部に内装されており、この連結ギア28の軸29aの逆側に設けた歯車25を介して、フレシキブルシャフト30からの回転力を歯車24に伝達するようになっている。
このことにより、モータ27の回転力が、駆動軸30b、ジョイント30a、フレシキブルシャフト30、歯車29、連結歯車28、軸29a及び歯車25を介して歯車24に伝達されて、この歯車24が固定されたリンク部材21を所定方向に回動させることが可能である。
【0033】
変形例1の湾曲部14は、図5に示す湾曲部14と同様に、各リンク部材21毎に挿入部駆動機構20を構成する、フレシキブルシャフト30、連結歯車28、歯車24、25を有しているので、前記複数のリンク部材21a〜21nの内、指定したリンク部材21のモータ27の回転制御を行えば、前記指定されたリンク部材21のみを回転動作させることがで可能である。
【0034】
また、図7に示すように、変形例2の湾曲部14は、前記変形例1の挿入部駆動機構20と略同様の構成であるが、前記連結歯車28を無くし、各リンク部材21毎に延設されるフレシキブルシャフト30を各リンク部材21内部に配設するように構成している。
【0035】
前記フレシキブルシャフト30の先端側には前記歯車25が設けられている。したがって、フレシキブルシャフト30からの回転力は、前記歯車25を介して、連結歯車28等の連結部材を介さすとも直に各リンク部材21の基端側に固定された歯車24に伝達されるようになっている。このことにより、前記変形例1と同様に前記歯車24が固定されたリンク部材21を所定方向に回動させることが可能である。
【0036】
変形例2の湾曲部14は、前記変形例1と同様に各リンク部材21毎に挿入部駆動機構20を構成する、フレシキブルシャフト30、歯車24、25を有しているので、前記複数のリンク部材21a〜21nの内、指定したリンク部材21のモータ27の回転制御を行えば、前記指定されたリンク部材21のみを回転動作させることが可能である。
【0037】
次に、このような湾曲部14を有する内視鏡2を備えた内視鏡装置1の電気的な主要構成について図2を参照しながら説明する。
図2は内視鏡装置1の主要構成部分の電気的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、前記内視鏡装置1は、例えばジョイスティック7aを用いて構成される操作手段及び指定手段としての操作指令部7と、キーボード8aを用いて構成される設定値入力手段としての設定値指令部8と、前記操作指令部7からの操作指令値信号、前記設定値指令部8により設定された設定値及び前記ポテンショメータ23等からの状態量検知信号に基づいて前記駆動部10bを制御するための駆動指令値信号を出力するコントローラ5と、前記コントローラ5からの駆動指令値信号に基づいてそれぞれ回転制御されるモータ27等の駆動部10bと、この駆動部10bの回転力によって姿勢制御される湾曲部14内に設けられた挿入部駆動機構20と、を有して主要部を構成している。
【0038】
前記操作指令部7は、ジョイスティック7aを用いて前記湾曲部14の湾曲を指示するための操作手段であり、操作に基づく操作指令値信号を前記コントローラ5に出力する。また、前記操作指令部7は、前記湾曲部14を構成する前記複数のリンク部材21a〜21nの内、2次元における位置と向きを固定するリンク部材21を指定する指定手段であり、この操作に基づく前記操作指令値信号を前記コントローラ5に出力する。
【0039】
前記コントローラ5、駆動部10b及び挿入部駆動機構20を有する主要部の制御ブロック図が図9に示されている。
【0040】
図9に示すように、前記コントローラ5(図2参照)は、指令制御部5Aを有している。この指令制御部5Aには、前記操作指令部7からの操作指令値信号が供給されるようになっている。
【0041】
前記指令制御部5Aは、供給された操作指令値信号及び状態量検知信号に基づき、アクチュエータ制御ブロック31に設けられた駆動部10bを制御する操作出力値信号(駆動信号)を得るための演算処理等を行う。
【0042】
前記指令制御部5Aには、前記湾曲部14の挿入部駆動機構20を構成する複数のリンク部材21毎に設けられた複数の第1、第2…第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31nが電気的に接続されている。
【0043】
図10は図9に示す前記指令制御部5A及びアクチュエータ制御ブロック31の具体的な構成を示すブロック図である。
図10に示すように、前記指令制御部5Aは、前記操作指令部7からの操作指令値信号を入力するための入力部I/F33と、前記設定値指令部8からの設定指令値を入力するための入力部I/F34、35と、これらのI/F33〜35を介して入力された各種指令値信号に基づき、前記第1、第2、…第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31n内の駆動部10bを制御する中央処理演算装置(例えばCPU)32と、を有している。
【0044】
なお、前記入力部I/F33は、ジョイスティック7aがアナログの操作指令値信号を出力するものである場合にはこのアナログ信号の入力が可能である。また、前記入力部I/F33は、操作指令部7が他のデジタルの操作指令値信号を出力する操作手段である場合にはこのデジタル信号の入力が可能である。
【0045】
また、前記入力部I/F34は、連続的に動作するのに必要なアナログの設定値指令信号の入力が可能であり、前記入力部I/F35はパラメータ変更などのデジタルの設定指令値などの入力が可能である。前記入力部I/F34と前記入力部I/F35とは1つのI/Fとして構成しても良い。
【0046】
一方、前記アクチュエータ制御ブロック31は、高速で各種の演算処理を行うとともに、演算結果に基づき駆動指令値信号を生成し出力するデジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor で、以下、DSPと称す)36と、このDSP36からの駆動指令値信号(サーボ指令値信号)に基づき操作出力値信号(駆動信号)を生成し出力する制御指令値出力部37と、この制御指令値出力部37からの操作出力値信号に基づき回転が制御される駆動部10bであるモータ27と、このモータ27の回転位置を検出するエンコーダやリンク部材21の回転角度を検出するポテンショメータ等の検出手段であるセンサ38と、このセンサ38により検出された位置情報である状態量検知信号(位置F/B情報ともいう)を検出して前記DSP36に出力するための信号入力部39と、を有している。
【0047】
なお、本実施例では、前記駆動部10bとしてモータ27を用いているが、これに限定されることはなく、他のアクチュエータを駆動部10bとして用いるように構成しても良い。
【0048】
図11は前記アクチュエータ制御ブロックの具体的な構成を示すブロック図であり、図12は図11のサーボ制御コントローラのブロック線図を示している。
図10に示すアクチュエータ制御ブロック31において、前記DSP36は図11に示すサーボ制御コントローラ36Aを構成し、このサーボ制御コントローラ36Aは、供給されたサーボ指令値信号に基づく操作出力値信号(駆動信号)を生成し、前記制御指令値出力部37であるドライバ(アンプ)37aに出力する。なお、前記サーボ制御コントローラ36Aは、図10に示すCPU32に置き換えて構成しても良い。
【0049】
前記ドライバ37aは、供給された操作出力値信号を増幅してモータ27を回転させる。すると、このモータ27の回転により図5に示すリンク部材21は回動動作する。このとき、前記センサ38は、リンク部材21の状態量検知信号を生成し、前記信号入力部39である検知部(アンプ)39aに出力する。
【0050】
前記検知部39aは、供給された状態量検知信号を増幅して前記サーボ制御コントローラ36Aに出力する。このことにより、サーボ制御コントローラ36Aは、供給された状態量検知信号とサーボ指令値信号との比較を行いながら前記モータ27の回転制御を行うようになっている。
【0051】
この場合、前記サーボ制御コントローラ36Aは、図12に示すように、供給されたサーボ指令値信号と、前記センサ38により得られたモータ27の変位情報である状態検出信号とに基づいて、PD制御部40を用いて公知の比例・微分制御等のPD制御を行って操作出力値信号(駆動信号)を生成し、モータ27に与えることにより回転制御する。
【0052】
ところで、このような多関節のリンク構造の湾曲部14を備えた内視鏡2は、湾曲部14の先端側のリンク部材21aの角度が基端側のリンク部材21a〜21dにかけて順次シフトするように湾曲部14の駆動を制御することにより、挿入部9の挿入性を向上できるようにしている。このような湾曲部14の駆動を制御するためのの具体的な構成及び制御方法を図13乃至図16を参照しながら説明する。
【0053】
図13乃至図16は実施例1に係るサーボ制御コントローラの具体的な構成及び制御動作を説明するためのもので、図13はサーボ制御コントローラ内に含まれる運動学演算部を示すブロック図、図14はアクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図、図15は図14の制御ブロックのブロック線図、図16は図14の制御ブロックの具体的な構成を示すブロック図をそれぞれ示している。
【0054】
本実施例の指令令制御部5Aに接続されるサーボ制御コントローラ36Aは、前記湾曲部14を構成する複数のリンク部材21a〜21nの回動をそれぞれ制御する際に、後述する動的制御演算部に基づく演算処理を行うようになっている。
【0055】
具体的には、図13に示すように、前記サーボ制御コントローラ36Aには、動的制御演算部36Bが設けられている。この動的制御演算部36Bは、供給された操作指令値信号(指令値情報)に基づき、時間・周波数領域での信号処理(フィルタリング処理)を行うことで、アクチュエータ制御ブロック31に設けられた駆動部10bを制御するのに必要な操作出力値信号(駆動信号)を生成する。
【0056】
次に、前記時間・周波数領域での信号処理に基づき演算処理を行うサーボ制御コントローラ36Aの具体的な構成及びシフト制御方法について図14乃至16を参照しながら説明する。
【0057】
図14に示すように、サーボ制御コントローラ36Aは、制御ブロック41を有しており、この制御ブロック41には、先端側のリンク部材21aにおけるサーボ指令値信号を含む操作指令値信号とが供給される。
【0058】
そして、制御ブロック41は、供給された指令値信号と位置F/B信号とに基づいて、前記動的制御演算部36Bによってリンク部材21に対応する関節トルク指令値信号であるアクチュエータ制御指令信号を得るための演算処理を行い、対応する駆動部10b及び後段の制御ブロック41に出力する。
【0059】
前記制御ブロック41から出力された第1〜第Nアクチュエータ制御指令信号は、図15の指令変位情報へと接続される構成となっており、供給された指令値信号と、前記センサ38により得られたモータ27の変位情報である位置F/B信号とに基づいて、PD制御部40を用いて公知の比例・微分制御等のPD制御を行って前記アクチュエータ制御指令信号(駆動信号)を生成し、モータ27に与えることにより回転制御する。
【0060】
本実施例では、前記サーボ制御コントローラ36Aは、第1〜第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31nの数だけ設けられている。このため、コントローラ5は、前記第1〜第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31nの数だけ、複数の制御ブロック41a〜41nを有している。
【0061】
すなわち、前記指令制御部5A(図9参照)には、図14に示すように、先端側のリンク部材21aに対応した第1制御ブロック41aが接続される。
【0062】
そして、前記第1制御ブロック41aには、この第1制御ブロック41aの出力信号(第1アクチュエータ制御指令信号)を入力する二段目のリンク部材21bに対応した第2制御ブロック41bが接続される。
【0063】
そして、前記第2制御ブロック41bには、この第2制御ブロック41bの出力信号(第2アクチュエータ制御指令信号)を入力する三段目のリンク部材21bに対応した第3制御ブロック41c(図示せず)が接続される。
【0064】
以降、同様にの接続することによって、nー1段目のリンク部材21n−1に応じた第n−1制御ブロック41n−1が前段の制御ブロック41の出力信号を取り込むように接続され、そして、n段目のリンク部材21nに応じた第n制御ブロック41nが前段の第n−1制御ブロック41n−1の出力信号を取り込むように接続されるようになっている。
【0065】
なお、前記操作指令値信号は、先端側のリンク部材21aとこのリンク部材21aに連なるリンク部材21bとがなす関節角度(角度)を指示するためのもので、また、第1〜第nアクチュエータ制御指令信号についても同様に対応するリンク部材21aとこれに連なるリンク部材21とがなす関節角度(角度)を指示するためのものである。
【0066】
このような構成により、先端側のリンク部材21aを駆動する操作指令値信号(主に角度)を後段側のリンク部材21に順次時系列にて伝達することができる。
【0067】
以降、動的制御演算部36Bの内容について示す。
図16には、前記複数の第1〜第n制御ブロック41の具体的なブロック構成が示されている。
【0068】
図16に示すように、前記制御ブロック41は、サンプルホールド回路42と、記憶素子43とを有して構成される。
【0069】
前記サンプルホールド回路42は、供給された操作指令値信号をサンプリングし、サンプリングした操作指令値信号を予め設定された時間ホールドして前記記憶素子43に出力する。
【0070】
前記記憶素子43は、供給された操作指令値信号を一旦記憶し、新たに操作指令値信号が供給されると記憶している操作指令値信号をアクチュエータ制御指令信号として出力する記憶手段である。
【0071】
したがって、前記サンプルホールド回路42及び記憶素子43で構成される制御ブロック41は、前記したように第1〜第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31nの数だけ設けられているので、複数の第1〜第nサンプルホールド回路42a〜42nと複数の記憶素子43a〜43nとが図16に示すように接続される。
【0072】
つまり、先端側のリンク部材21aの操作指令値信号は、第1サンプルホールド回路42aによってサンプリングされた後、このサンプリングした操作指令値信号を予め設定された時間ホールドして前記記憶素子43aに出力される。
【0073】
そして、前記記憶素子43aに操作指令値信号が供給されると、この操作指令値信号は前記記憶素子43aに一旦記憶され、既に記憶している操作指令値信号が第1アクチュエータ制御指令信号として駆動部10bの先端側のリンク部材21aに対応するモータ27及び、後段である二段目の第2サンプルホールド回路42bに供給される。
【0074】
このことにより、前記モータ27は第1アクチュエータ制御指令信号に基づき回転が制御されることにより、先端側のリンク部材21は、前記操作指令値信号に基づく角度で回動することになる。
【0075】
次に、前記第1アクチュエータ制御指令値信号は、第2サンプルホールド回路42bによってサンプリングされた後、このサンプリングした操作指令値信号を予め設定された時間ホールドして前記記憶素子43bに出力される。
【0076】
そして、前記記憶素子43bに操作指令値信号が供給されると、この操作指令値信号は前記記憶素子43bに一旦記憶され、既に記憶している操作指令値信号が第2アクチュエータ制御指令信号として駆動部10bの二段目のリンク部材21bに対応するモータ27及び、後段である3段目(図示せず)の第3サンプルホールド回路42c(図示せず)に供給される。
【0077】
このことにより、前記モータ27が第2アクチュエータ制御指令信号に基づき回転が制御されることにより、二段目のリンク部材21bは、前記第2サンプルホールド回路42bにより予め設定された時間後に、前記操作指令値信号に基づく角度、すなわち、前記先端側のリンク部材21aと同じ角度で回動することになる。
【0078】
このように、三段目のリンク部材21c、n−1段目のリンク部材21、n段目のリンク部材21についても同様に前段のアクチュエータ制御指令信号がサンプリングされて設定時間後に記憶素子43を介してアクチュエータ制御指令信号が対応するモータ27に供給されることにより、それぞれのリンク部材21は、前記設定時間毎に時系列にて前記先端側のリンク部材21aと同じ角度で順次回動することになる。
【0079】
すなわち、前記湾曲部14は、先端側のリンク部材21aの角度がこれに連なる基端側の複数のリンク部材21b〜21nにかけて、サンプルホールドの時間分(設定時間分)毎に時系列にて順次シフトするように湾曲動作することになる。
【0080】
このような内視鏡装置1において、挿入部9を大腸に挿入する場合、術者は、挿入部9を肛門より挿入する。そして、挿入部9の先端部13がS状結腸部に到達すると、サーボ制御コントローラ36Aは先端側のリンク部材21aを操作指令部7により指定した空間における向き(角度)になるように湾曲動作させる。
【0081】
このことにより、先端側のリンク部21aは指定された角度で湾曲しているので、S状結腸部の腸壁に沿いながらさらに奥へと挿入することができる。
【0082】
そして、予め設定された設定時間(ホールド時間)後、前記先端側のリンク部材21aに連なる2段目のリンク部材21は、先端側のリンク部材21aと同じ向き(角度)に湾曲動作する。
【0083】
以降、3段目以降の複数のリンク部材21についても前記同様に、設定時間毎に時系列にて、前記先端側のリンク部材と同じ向き(角度)に順次シフトするように湾曲動作することになる。
【0084】
これにより、湾曲部14は、挿入操作に伴って、S状結腸部の形状に合うように先端側のリンク部材21aの角度が先端側から基端側にかけて順次シフトするように湾曲動作しながら挿入されることになる。
【0085】
このことにより、従来、挿入に困難を要していたS状結腸部を容易に通過させることが可能となる。よって、さらに、大腸の深部へと容易に挿入することができるので、挿入性を向上させることができる。
【0086】
なお、実施例1の内視鏡装置1では、前記湾曲部14を構成する複数のリンク部材21において、先端側のリンク部材21aの角度が基端側のリンク部材21b〜21nにかけて順次設定時間毎にシフトするように湾曲動作するが、先端側のリンク部材21aの角度ではなく、角度をシフトさせる任意のリンク部材21(対象軸ともいう)を指定し、また、前記設定時間(ホールド時間)についても任意に設定することも可能である。このような実施例1の変形例1を図17に示す。
【0087】
図17は前記実施例1の変形例1を示すブロック図である。
【0088】
図17に示すように、変形例1のコントローラ5には、選択手段としての軸選択部44と、時間変更手段としてのホールド時間設定部45と、オフセット量選択部46と、設定部47とが設けられている。
【0089】
前記軸選択部44は、角度をシフト制御する軸、つまり、任意のリンク部材21を指定し、指定信号を設定部47に出力する。すなわち、この軸選択部44を設けたことによって、角度をシフトさせる軸が先端側のリンク部材21aに限らず、他の任意の軸(リンク部材21)の角度をシフトさせることができる。
【0090】
前記ホールド時間設定部45は、前記第1〜第nサンプルホールド回路42a〜42nにおけるサンプルホールド時間(設定時間)を任意に設定可能であり、設定した設定信号を設定部47に出力する。すなわち、このホールド時間設定部45を設けたことによって、先端側から基端側にかけて順次時系列にてシフトする各リンク部材21間の動作移行時間を自由に設定することが可能となる。
【0091】
例えば、挿入部9の湾曲部14のシフト制御をゆっくりと行いながら挿入する場合には、前記ホールド時間設定部45によって前記ホールド時間(設定時間)を長くするように設定すればよい。逆に、挿入部9の湾曲部14のシフト制御を速く行いながら挿入する場合には、前記ホールド時間設定部45によって前記ホールド時間(設定時間)を短くするように設定すればよい。
前記オフセット量選択部46は、軸選択部44によって選択されたリンク部材21、あるいは操作指令部7により予め設定されたリンク部材21の向きを変更する量を選択し、オフセット指令値信号を設定部47に出力する。つまり、このオフセット量選択部46を設けたことにより、指定されたリンク部材21の向きを変更する場合には前記オフセット指令値信号に基づく量だけ、前記リング部材の向きを微妙に変化(オフセット)させて調整することができる。
【0092】
そして、前記設定部47は、前記軸選択部44からの指定信号と、前記ホールド時間設定部45からの設定信号と、前記オフセット量選択部46からのオフセット指令値信号とが供給され、これらの制御信号に基づく設定を行う。
【0093】
すなわち、前記設定部47は、前記軸選択部44からの指定信号が供給された場合には、この指定信号に基づくリンク部材21をシフト制御を開始するリンク部材21として設定する。また、前記設定部47は、前記ホールド時間設定部45からの設定信号が供給された場合には、この設定信号に基づくホールド時間になるように該当するサンプルホールド回路42のホールド時間を設定する。さらに、前記設定部47は、前記オフセット量選択部46からのオフセット指令値信号が供給された場合には、このオフセット指令値信号に基づく量だけ指定されたリンク部材の向きを変化させるように設定する。
【0094】
したがって、変形例1によれば、前記実施例1と同様に効果が得られる他に、先端側のリンク部材21aの角度が順次基端側のリンク部材21b〜21nにかけてシフト制御する各リンク部材の動作時間を任意に設定することが可能となる。また、シフト制御を開始するリンク部材21を任意に設定することができるとともに、指定したリンク部材21のオフセット量も任意に設定することが可能となる。このことにより、挿入状態に応じて最適なシフト制御を行うことが可能となり、より挿入性を向上させることができる。
【0095】
ところで、挿入部9の湾曲部14をシフト制御しながら大腸などの管腔内に挿入する場合、挿入部9の挿入量、すなわち、操作量を考慮すれば、より挿入性を向上させることが可能である。このような実施例1の変形例2を図18に示す。
【0096】
図18は前記実施例1の変形例2を示すブロック図である。
【0097】
図18に示すように、変形例2のコントローラ5には、操作量変化検知部50が設けられている。
【0098】
この操作量変化検知部50は、先端側のリンク部材21aに対する指令制御部5Aからの操作指令値信号を入力し、この操作指令値信号から先端側のリンク部材21の操作量を検出し、検出結果をサンプルホールド回路42のデータを更新するためのデータ更新信号として前記第1〜第nサンプルホールド回路42a〜42nに出力する。
【0099】
そして、前記第1〜第nサンプルホールド回路42a〜42nは、前記データ更新信号が供給されると、それぞれのデータを同時に更新する。すなわち、前記第1〜第nサンプルホールド回路42a〜42nは、先端側のリンク部材21aの操作量が変化したときに、この操作量に応じた速さでデータの更新を行うことになる。つまり、本変形例2では、先端側のリンク部材21aの操作量が変化したときに、この操作量の変化に応じて、先端側のリンク部材21aに連なる複数のリンク部材21が順次シフト制御されるようになっている。
【0100】
このことにより、時間的な依存性はなく、先端側のリンク部材21aの操作量の変化に応じたシフト制御を行うことができるので、挿入部9の挿入性を向上できる。
【0101】
なお、変形例2では、前記操作量変化検知部50による過敏な操作量の変化の検出によって、湾曲部14のシフト制御が意図的でなく行われてしまうことを防止するために、図19又は図20に示すような手段を設けても良い。
【0102】
図19は図18の操作量変化検知部の具体的な構成を示すブロック図であり、図20は図18の操作量変化検知部に不感帯幅設定部を設けた構成を示すブロック図である。
【0103】
図19に示すように、前記操作量変化検知部50は、操作指令値信号から先端側のリンク部材21aの操作変化量を算出する変化量算出部51と、この変化量算出部51の算出結果から予め設定された検知レベルで検知することによりデータ更新信号を出力する検知レンジ部52と、を有している。なお、前記検知レンジ部52は、検知レベルを任意に設定することが可能である。
【0104】
このような構成により、前記検知レンジ部52の先端側のリンク部材21aの操作変化量の検知レベルを任意に設定することができるので、湾曲部14のシフト制御が意図的に行われてしまうのを防止することが可能となり、安全性を向上できる。
【0105】
また、変形例2においては、図20に示すように、図52の検知レンジ部52の検知レンジの不感帯幅を任意に設定可能な不感帯幅設定部53を設けても良い。
【0106】
例えば、前記検知レンジ部52の検知レンジの不感帯幅を狭くしたい場合には、術者は、前記不感帯幅設定部53を操作することにより、図中矢印方向に示されている検知レンジ部52のように不感帯幅を狭くするように設定する。勿論、これとは逆に前記検知レンジ部52の不感帯幅を広くすることも可能である。
【0107】
このことにより、幅広い、先端側のリンク部材21aの操作変化量の検知を行うことができ、安全性向上に寄与できる。
【0108】
なお、前記操作量変化検知部50は、サーボ制御コントローラ36A内に設けた構成について説明したが、これに限定されるものではなく、操作指令部7内に設けて構成しても良い。
【実施例2】
【0109】
図21乃至図26は実施例2に係り、図21はアクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図、図22は図21の制御ブロックの入出力信号のゲインと周波数との特性を示すグラフ、図23は図21の制御ブロックの入出力信号の位相と周波数との特性を示すグラフ、図24及び図25は図22及び図23に示す周波数特性を得るための説明図で、図24は複素開平面において実軸上の極値と零点値とが虚軸に対して対象に設定した状態を示す図、図25は複素開平面において正負の実軸上の極値と零点値とが虚軸に対して対象に設定した状態を示す図、図26は図21の第1制御ブロックに含まれるフィルタ部を示すブロック図である。
【0110】
本実施例では、前記湾曲部14を先端側から基端側のリンク部材21にかけてシフト制御する場合に、時間で管理するのではなく、操作指令値信号の周波数に応じてシフトする動作を早く、あるいは遅くできるように制御することが可能である。すなわち、先端側から基端側へと順次伝送する操作指令値信号の周波数領域における位相をシフトさせることによって実現する。
【0111】
図21に示すように、本実施例のコントローラ5は、前記実施例1と同様に指令制御部5Aと、第1〜第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31nとを有し、第1〜第nアクチュエータ制御ブロック31a〜31nには、図14に示す接続形態と同様に複数の第1〜第N制御ブロック41A〜41Nが設けられている。
【0112】
前記第1〜第N制御ブロック41A〜41Nは、入力されるアクチュエータ制御指令信号の位相をシフトさせるための図26に示すフィルタ部54をそれぞれ有している。
【0113】
前記フィルタ部54は、入出力信号のゲインが一定で、予め設定された位相遅れを有して出力するフィルタ特性を有している。具体的には、図26に示すように、フィルタ部54は、入力信号に対し、複素開平面の有理関数(S−P/S+P :Sはラプラス演算子で、Pは極値(零点値)である)を用いた演算処理を行うことにより、ゲインが一定で予め設定された位相遅れを有する出力信号を得る。
【0114】
すなわち、図22に示すように、各制御ブロック41の入出力信号のゲインGは、図22に示すように、信号の周波数fに依存することなく一様であり、また、各入出力信号にそれぞれ位相遅れがあった場合には、これらの入出力信号の位相遅れP0は、図23に示すように、信号の周波数fに依存することなく、一様である。
【0115】
つまり、図24に示すように複素開平面において実軸(Real)上の極値○と零点値×とが虚軸(Imag)に対して対象に設定し、あるいは、図25に示すように、複素開平面において正負(+−)の実軸(Real)上の極値○と零点値×とが虚軸(Imag)に対して対象に設定することにより、図22及び図23に示すような周波数特性が得られる。
【0116】
したがって、前記フィルタ部54は、このような周波数特性を用いることにより、入出力信号のゲインが一定で、予め設定された位相遅れを有して出力するフィルタ特性を有することになる。
【0117】
このことにより、図21に示すコントローラ5では、実施例1にて用いたサンプルホールド時間によるものではなく、各第1〜第N制御ブロック41A〜41Nのフィルタ部45による入出力信号の位相遅れを用いることにより、前記実施例1と同様に複数のリンク部材21のシフト制御を行うことが可能となる。
【0118】
なお、実施例2においては、図27の変形例1に示すように、前記第1〜第N制御ブロック41A〜41Nの各フィルタ部54による入出力信号の位相遅れ量を調節して設定可能な位相変更手段として極・零点設定部55を設けて構成しても良い。
【0119】
この場合、前記極・零点設定部55は、図24及び図25に示すように、前記フィルタ部45のフィルタ特性を決定する極値と零点値とを変更し且つ設定することによって、前記第1〜第N制御ブロック41A〜41Nの出力信号の位相遅れ量を変化させる。
【0120】
このことにより、前記湾曲部14を先端側から基端側のリンク部材21にかけて位相遅れを用いてシフト制御する場合に、位相遅れ量を変化させることにより、シフトする移行時間を速く、あるいは遅くできるように制御することが可能である。
【0121】
なお、実施例2の内視鏡装置1では、前記湾曲部14を構成する複数のリンク部材21において、先端側のリンク部材21aの角度が基端側のリンク部材21b〜21nにかけて順次予め設定された位相遅れ量毎にシフトするように湾曲動作するが、この位相遅れ量を任意に変更可能であるとともに、この位相遅れ量を変更する任意のリンク部材21(対象軸ともいう)を指定することも可能である。このような実施例2の変形例2を図28に示す。
【0122】
図28は前記実施例2の変形例2を示すブロック図である。
【0123】
図28に示すように、変形例2のコントローラ5には、軸選択部44Aと、オフセット選択部56と、極・零点選択部55Aとが設けられている。
【0124】
前記軸選択部44は、位相遅れ量を変更する軸、つまり、任意のリンク部材21を指定し、指定信号を設定部47に出力する。すなわち、この軸選択部44を設けたことによって、位相遅れ量ほ変更する任意の軸(リンク部材21)を選択することができるる。
【0125】
前記オフセット選択部56は、軸選択部44Aによって選択されたリンク部材21、あるいは操作指令部7により予め設定されたリンク部材21の向きを変更する量を選択し、オフセット指令値信号を設定部47に出力する。つまり、このオフセット選択部56を設けたことにより、指定されたリンク部材21の向きを変更する場合には前記オフセット指令値信号に基づく量だけ、前記リング部材の向きを微妙に変化(オフセット)させて調整することができる。
【0126】
前記極・零点選択部55Aは、前記フィルタ部45のフィルタ特性を決定する極値と零点値とを変更することによって、前記第1〜第N制御ブロック41A〜41Nの出力信号の位相遅れ量を任意に設定可能であり、設定した設定信号を設定部47Aに出力する。すなわち、前記極・零点選択部55Aを設けたことによって、先端側から基端側にかけて入出力信号の位相遅れによって順次シフトする各リンク部材21間の動作移行時間を自由に設定することが可能となる。
【0127】
例えば、挿入部9の湾曲部14のシフト制御をゆっくりと行いながら挿入する場合には、前記極・零点選択部55Aによってフィルタ部45による前記位相遅れ量を大きくするように設定すればよい。逆に、挿入部9の湾曲部14のシフト制御を速く行いながら挿入する場合には、前記フィルタ部45によって前記位相遅れ量を小さくするように設定すればよい。なお、このような設定は、前記軸選択部44Aによって選択されたリンク部材21に対応するフィルタ部45に対し行っても良い。これにより幅広いシフト制御を行うことができる。
そして、前記設定部47Aは、前記軸選択部44Aからの指定信号と、前記オフセット選択部56からのオフセット指令値信号と、前記極・零点選択部55Aからの設定信号とが供給され、これらの制御信号に基づく設定を行う。
【0128】
すなわち、前記設定部47Aは、前記軸選択部44からの指定信号が供給された場合には、この指定信号に基づくリンク部材21を位相遅れ量を変更するリンク部材21として設定する。また、前記設定部47Aは、前記オフセット選択部56からのオフセット指令値信号が供給された場合には、このオフセット指令値信号に基づく量だけ指定されたリンク部材21の向きを変化させるように設定する。さらに、前記極・零点選択部55Aからの設定信号が供給された場合には、この設定信号に基づく位相遅れ量になるように該当するフィルタ部45の位相遅れ量を設定する。
【0129】
したがって、変形例2によれば、前記実施例2と同様に効果が得られる他に、先端側のリンク部材21aの角度が順次基端側のリンク部材21b〜21nにかけてシフト制御する各リンク部材の位相遅れによる動作時間を任意に設定することが可能となる。また、位相遅れ量を任意に設定することができるとともに、指定したリンク部材21のオフセット量も任意に設定することが可能となる。このことにより、挿入状態に応じて最適なシフト制御を行うことが可能となり、より挿入性を向上させることができる。
【0130】
なお、前記変形例2において、前記軸選択部44Aによって、位相遅れ量を変更するリンク部材21を指定するだけでなく、位相遅れを用いて角度のシフトを開始するリンク部材21(対象軸ともいう)を指定するようにしても良い。
【実施例3】
【0131】
図29は本発明の実施例3に係り、アクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図、図30乃至34は実施例3の変形例を示し、図30はシフト経路を設定する設定手段を備えたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図、図31は図30のチャンネル設定部により設定可能なチャンネルを説明するための説明図、図32はチャンネル設定部の入出力信号の一例を示す図、図33はチャンネル設定部によるチャンネル設定により用いられる置換行列を示す図、図34はチャンネル設定部により設定されたチャンネル設定例を示す図である。
【0132】
本実施例の内視鏡装置1は、実施例1の内視鏡装置を改良したもので、シフト制御を開始するリンク部材21を指定することができるとともに、この指定したリンク部材21の角度をシフトする任意のリンク部材21を選択可能に構成されている。
【0133】
図29に示すように、本実施例のサーボ制御コントローラ36Aの全体構成は、図14に示すブロック構成と略同様であるが、軸選択設定部57と、サンプルホールド回路42枚に設けられた複数のスイッチSa〜Sn、S1a〜S1nとを設けたことが異なる。
【0134】
具体的には、第1サンプルホールド回路42aに入力する操作指令値信号は、スイッチsaを介して後段の第2サンプルホールド回路42b及びスイッチsbに供給される。
【0135】
また、記憶素子43aの出力側には、スイッチS1aが設けられ、このスイッチS1aがオンすることによって、第1サンプルホールド回路42aからの出力信号が記憶素子43aを介して第1アクチュエータ制御指令信号として出力する。
【0136】
第2サンプルホールド回路42bに入力する操作指令値信号は、スイッチsbを介して後段の第3サンプルホールド回路42c(図示せず)及びスイッチSc(図示せず)に供給される。
【0137】
また、記憶素子43bの出力側には、スイッチS1bが設けられ、このスイッチS1bがオンすることによって、第2サンプルホールド回路42bからの出力信号が記憶素子43bを介して第2アクチュエータ制御指令信号として出力する。
【0138】
以降、後段のリンク部材21に対応するサンプルホールド回路42nについても同様にスイッチSnが接続されるとともに、このサンプルホールド回路42nの記憶素子43nの出力側についても同様のスイッチS1nが接続されるようになっている。
【0139】
なお、スイッチSa及びスイッチS1aは、先端側のリンク部材21aに対応するもので、スイッチSb及びスイッチS1bは、二段目のリンク部材21bに対応し、以降同様に、スイッチSn及びスイッチS1nは、n段目のリンク部材21nに対応するように設けられている。
【0140】
前記軸選択設定部57は、シフト制御を開始するリンク部材21を設定するとともに、この設定したリンク部材21の角度をシフトさせる任意のリンク部材21の設定が可能である。また、前記軸選択設定部57は、この設定された設定内容に基づき、前記スイッチSa〜Sn及びスイッチS1a〜S1nの切替えを制御するようになっている。
【0141】
この場合、前記軸選択設定部57は、設定されたリンク部材21に対応するスイッチSについてはオフし、この設定されたリンク部材21に対応する記憶素子43側に設けられたスイッチS1についてはオンするように制御することになる。
【0142】
逆に、前記軸選択設定部57は、設定されてないリンク部材21に対応するスイッチSについてはオンして後段に操作指令値信号を伝送し、同時にこの設定されたリンク部材21に対応する記憶素子43側に設けられたスイッチS1についてはオフするように制御してアクチュエータ制御指令信号の出力を停止させる。
【0143】
このような構成によれば、前記軸選択設定部57によって例えば二番目のリンク部材21bをシフト制御を開始するリンク部材21と指定し、さらに、このリンク部材21bの角度をシフトするリンク部材21を、4番目〜n段目のリンク部材21d〜21nと設定すれば、二段目のリンク部材21bの角度が4番目〜n段目のリンク部材21d〜21nにかけてシフトするように制御することが可能となる。このことにより、前記実施例1よりも挿入部9の挿入性を向上させることが可能となる。
【0144】
なお、実施例2では、図30の変形例に示すように、ネットワーク設定部61に接続されるチャンネル設定部60を各リンク部材21に対応する記憶素子43の出力側に設け、前記ネットワーク設定部61により設定された設定信号に基づき、チャンネル設定部60によってシフト制御する順序を変更するように構成しても良い。
【0145】
この場合、前記チャンネル設定部60は、前記ネットワーク設定部61により設定された設定信号、すなわち、シフト制御する順序を示す設定信号に基づき、各記憶素子43a〜43nのそれぞれの出力信号の出力経路(チャンネルともいう)を変更する。
【0146】
例えば、前記チャンネル設定部60は、図31に示すように、入力1を第1サンプルホールド回路42aの出力信号だとすると、入力1を、第1アクチュエータ制御指令信号である出力1、あるいは第2アクチュエータ制御指令信号である出力2、あるいは第3アクチュエータ制御指令信号である出力3のいずれかに出力させることが可能である。同じように、前記チャンネル設定部60は、入力2を第1アクチュエータ制御指令信号である出力1、あるいは第2アクチュエータ制御指令信号である出力2、あるいは第3アクチュエータ制御指令信号である出力3のいずれかに出力させることが可能である。以降、入力3……入力nについても同様にいずれかの出力経路(チャンネル)を介して出力させることが可能である。
【0147】
つまり、前記チャンネル設定部60においては、出力経路を変更するためのソフトウェアを用いた場合、ネットワーク設定部61からの設定信号に基づき、図33に示すように置換行列を用いることにより、チャンネルを変更することができる。
【0148】
すなわち、置換行列に対する行列演算を用いることで特別な処理を必要とすることなくチャンネル切り替えが可能となる。
【0149】
なお、図33に示す置換行列の場合は、図32に示すような入出力信号のチャンネルとなる。また、図34には、前記チャンネル設定部60によりチャンネル設定された一例が示されている。
【0150】
前記示したように、置換行列を組み合わせる演算を行うことで、任意のチャンネル変更が可能となる。
【0151】
したがって、本変形例によれば、ネットワーク設定部61及びチャンネル設定部60を設けたことにより、入出力信号の出力経路(チャンネル)を任意に設定することができるので、シフトする順序を簡単に且つ容易に変更することが可能となる。
【実施例4】
【0152】
図35乃至図38は本発明の実施例4に係り、図35は基本的なシフト制御を説明するための説明図、図36は実施例4における相対移動量に基づくシフト制御を説明するための説明図、図37は実施例4におけるアクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図、図38は図37の相対移動量変換部の具体的な構成を示すブロック図である。また、図39は実施例4の変形例1を示し、相対移動量に基づく他のシフト制御を説明するための説明図、図40は実施例4の変形例2を示し、コントローラ5及びこのコントローラ5の周辺機器における全体構成を示すブロック図である。
【0153】
本発明の内視鏡装置1は、指定されたリンク部材21の角度が順次後段側のリンク部材21にかけてシフト制御するようになっている。ここで、例えば先端側のリンク部材21aの角度が45度であり、この45度の角度が後段側のリンク部材21b〜21gにかけて順次シフト制御すると、シフトする角度が45度である絶対移動量であるのでこの45の角度が最基端側のリンク部材21gに到達した場合には、湾曲部14は、図35に示すような手順で姿勢が変化することになる。つまり、端にシフト制御するのみだと、湾曲部14は、図35に示すような姿勢となるように湾曲動作してしまうことになる。したがって、操作を行っている場合にリンクがトグロを巻く形状となり、体腔内においては患者に負担のかかる姿勢となる可能性がある。
【0154】
そこで、本実施例では、さらに湾曲部14の湾曲姿勢を考慮して挿入部9の挿入性を高めるために、前記したような絶対移動量の他に、角度をシフトするリンク部材21の角度の変化量に基づいて得られる相対的な移動量(以下、相対移動量と称す)によってそれぞれのリンク部材21の角度を制御することも可能である。
【0155】
具体的には、図37に示すように、本実施例のサーボ制御コントローラ36Aの全体構成は、前記実施例1における図14に示すブロック構成と略同様であるが、軸選択部44Bと、複数のリンク部材21に対応する複数記憶素子43a〜43nの出力側にそれぞれ設けられた複数の相対移動量変換部62a〜62nとを設けたことが異なる。
【0156】
前記軸選択部44は、前記複数の相対移動量変換部62a〜62nのオン/オフをそれぞれ制御可能である。また、前記軸選択部44は、前記実施例1と同様の図35に示すような絶対移動量に基づくシフト制御(以降、絶対移動量シフトモードと称す)を行うリンク部材21と、後述する相対移動量に基づくシフト制御(以降、相対移動量シフトモードと称す)を行うリンク部材21とを指定することが可能である。
【0157】
すなわち、前記軸選択部44は、前記絶対移動量シフトモードを実行するように指定されたリンク部材21については、対応する出力経路中の相対移動量変換部62をオフさせて記憶素子43からの出力信号をそのままアクチュエータ制御指令信号として出力させる。 一方、前記軸選択部44は、前記相対移動量シフトモードを実行するように指定されたリンク部材21については、対応する出力経路中の相対移動量変換部62をオンさせて記憶素子43からの出力信号に相対移動量変換処理を施した後、アクチュエータ制御指令信号として出力させる。
前記相対移動量変換部62は、前記軸選択部44によってオン/オフ制御されるもので、例えば入力信号であるアクチュエータ制御信号に相対移動量変換処理を施す微分回路である。
【0158】
図38に前記相対移動量変換部62の具体的な構成が示されている。
【0159】
図38に示すように、前記相対移動量変換部62は、記憶素子43からの指令値信号を取り込み、この指令値信号に対して角度の相対移動量(相対変化量)を求める相対移動量変換回路63と、この相対移動量変換回路63の出力信号を一旦記憶して出力する相対移動量記憶部64と、この相対移動量記憶部64からの相対移動量を逆方向に変換する変換部65と、この変換部65の出力信号を設定されたサンプリング時間にてサンプリングを行い、前記相対移動量変換回路63にフィードバックするサンプルホールド回路66と、を有している。
【0160】
つまり、前記相対移動量変換部62がオンすることにより、該当するリンク部材21は、操作指令値信号に基づく角度に回動した後に、その移動した相対移動量(相対変化量)である角度分、逆方向に回動、元の角度に戻るように制御されることになる。
【0161】
例えば、前記軸選択部44によって全てのリンク部材21に対し相対移動量シフトモードが指定されているものとすると、図37に示す前記相対移動量変換部62a〜62nはオンされることになる。その結果、湾曲部14は、図36に示すように、先端側のリンク部材21aから前記したように操作指令値信号に基づく角度に回動したのち、元に戻り、そして、この角度が二段側に伝達されると同時に二段目のリンク部材21bについても同様に動作し、以降の後段側のリンク部材21c〜21gについても順次同様に動作することになる。すなわち、前記湾曲部14は、あたかも先端側のリンク部材21aの角度がそのまま基端側へと移行するように湾曲動作することになる。
【0162】
したがって、本実施例によれば、前記軸選択部44により、絶対移動量シフトモードを実行するリンク部材21と、前記したような相対移動量シフトモードを実行するリンク部材21とを適宜指定すれば、より目的部材に的した湾曲動作を行うことができるので、より挿入部9の挿入性を向上させることができる。
【0163】
なお、本実施例では、前記相対移動量変換部62を改良することにより、図39の変形例1に示すように、前記湾曲部14は、あたかも操作指令値信号に基づく角度に回動したリンク部材21が順次基端側に平行移動するような湾曲動作(ロコモーション動作)を行わせることも可能である。
【0164】
また、本実施例では、前記湾曲部14の湾曲動作パターンを実行指示する手段として、ジョイスティックなどの操作指令部7によって操作するのではなく、図40の変形例2に示すように、入力部70及びパターン指令値生成部71を設けて「予め設定された運転パターンによる自動制御」が行えるような構成に構成しても良い。
【0165】
すなわち、図40に示すように、変形例2の内視鏡装置1は、さらに、指定された角度をどのような湾曲動作波形にてシフト制御するのかを選択する入力I/Fである入力部70と、この入力部70により選択した湾曲動作波形に基づくパターン信号を生成し、図10に示すCPU32に出力するパターン指令値生成部71と、前記CPU32に接続され、院内の他の操作機器、あるいは院外から遠隔操作するための通信機器に対して通信可能な通信I/F72とを設けている。
【0166】
例えば、入力部70によって正弦波を選択すると、前記湾曲部14は、指定された角度があたかも正弦波のように順次シフトしながら湾曲動作することになる。また、入力部70によって三角波を選択すると、前記湾曲部14は、指定された角度があたかも三角形の各辺を沿うように順次シフトしながら湾曲動作することになる。また、入力部70によって矩形波形を選択すると、恣意された角度があたかも矩形波形のように順次シフトしながら湾曲動作することになる。なお、前記以外の任意の波形を前記入力部70によって入力しても良い。
【0167】
このことにより、術者がジョイスティックなどの操作指令部7を操作せずとも、予め、手技に応じて最適な湾曲動作パターンを生成するための湾曲動作波形を選択し設定しておけば、自動的に手技に応じて最適な湾曲動作パターンにて湾曲部14をシフト制御することが可能となる。よって、より、挿入部9の挿入性を向上できる。
【0168】
なお、本発明に係る実施例において、マニピュレータを構成する挿入部駆動機構20を有する湾曲部14は、内視鏡2の挿入部9に設けられたものとして説明したが、前記湾曲部14は内視鏡2の挿入部9を挿通させて管腔内に対する挿入部9の挿入を補助する内視鏡挿入補助具の挿入部に設けて構成しても良い。
【0169】
以上、実施例においては、簡単のため平面動作に関する説明を実施してきたが、内視鏡においては、3次元空間での動作を行うための構成となることは言うまでもない。
【0170】
本発明は、以上述べた実施例及び変形例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明の医療用制御装置を用いて内視鏡装置として構成した場合のシステム構成図。
【図2】内視鏡装置の主要構成部分の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】リンク構造の駆動機構を備えた湾曲部を有する挿入部先端側の斜視図。
【図4】リンク構造の駆動機構を備えた湾曲部を有する挿入部先端側の断面図。
【図5】駆動機構がモータ及びギアで構成された湾曲部の構成を示す断面図。
【図6】図5に示す湾曲部の変形例1の構成を示す断面図。
【図7】図5に示す湾曲部の変形例2の構成を示す断面図。
【図8】モータとフレシキブルシャフトとの接続構成を示す斜視図。
【図9】コントローラ、駆動部及び挿入部駆動機構部を有する主要部部の制御ブロック図。
【図10】図9に示す前記指令制御部及びアクチュエータ制御ブロックの具体的な構成を示すブロック図。
【図11】アクチュエータ制御ブロックの具体的な構成を示すブロック図。
【図12】図11のサーボ制御コントローラのブロック線図。
【図13】実施例1に係るサーボ制御コントローラ内に含まれる運動学演算部を示すブロック図。
【図14】アクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図。
【図15】図14の制御ブロックのブロック線図。
【図16】図14の制御ブロックの具体的な構成を示すブロック図。
【図17】実施例1の変形例1を示すブロック図。
【図18】実施例1の変形例2を示すブロック図。
【図19】図18の操作量変化検知部の具体的な構成を示すブロック図。
【図20】図18の操作量変化検知部に不感帯幅設定部を設けた構成を示すブロック図。
【図21】実施例2に係るアクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図。
【図22】図21の制御ブロックの入出力信号のゲインと周波数との特性を示すグラフ。
【図23】図21の制御ブロックの入出力信号の位相と周波数との特性を示すグラフ。
【図24】複素開平面において実軸上の極値と零点値とが虚軸に対して対象に設定した状態を示す図。
【図25】複素開平面において正負の実軸上の極値と零点値とが虚軸に対して対象に設定した状態を示す図。
【図26】図21の第1制御ブロックに含まれるフィルタ部を示すブロック図。
【図27】実施例2の変形例1を示すブロック図。
【図28】実施例2の変形例2を示すブロック図。
【図29】本発明の実施例3に係るアクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図。
【図30】実施例3の変形例を示し、シフト経路を設定する設定手段を備えたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図。
【図31】図30のチャンネル設定部により設定可能なチャンネルを説明するための説明図。
【図32】チャンネル設定部の入出力信号の一例を示す図。
【図33】チャンネル設定部によるチャンネル設定により用いられる置換行列を示す図。
【図34】チャンネル設定部により設定されたチャンネル設定例を示す図。
【図35】本発明の実施例4に係る基本的なシフト制御を説明するための説明図。また、図39は実施例4の変形例1を示し、相対移動量に基づく他のシフト制御を説明するための説明図。
【図36】実施例4に係る相対移動量に基づくシフト制御を説明するための説明図。
【図37】実施例4に係るアクチュエータ制御ブロック毎に設けられたサーボ制御コントローラ全体構成を示すブロック図。
【図38】図37の相対移動量変換部の具体的な構成を示すブロック図。
【図39】実施例4の変形例1を示し、相対移動量に基づく他のシフト制御を説明するための説明図。
【図40】実施例4の変形例2を示すブロック図。
【符号の説明】
【0172】
1…内視鏡装置、
2…内視鏡、
3…光源装置、
4…ビデオプロセッサ、
5…コントローラ、
6…モニタ、
5A…指令制御部、
7…操作指令部、
7a…ジョイスティック、
8…設定値指令部、
9…挿入部、
10…操作部、
10b…駆動部、
13…先端部、
14…湾曲部、
20…挿入部駆動機構(マニピュレータ)、
20a〜20n…関節部材、
21a〜21n…リンク部材、
22…ジョイントシャフト、
23…ポテンショメータ、
24、25…歯車、
26…連結ギア、
27…モータ、
28…連結歯車、
30…フレシキブルシャフト、
31…アクチュエータ制御ブロック、
31a〜31n…アクチュエータ制御ブロック、
36A…サーボ制御コントローラ、
36B…運動学演算部、
37…制御指令値出力部、
37a…ドライバ、
38…センサ、
39…信号入力部、
39a…検知部、
40…PD制御部、
41、41a〜41n…制御ブロック、
42、42a〜42n…サンプルホールド回路、
43、43a〜43n…記憶素子、
44、44A、44B…軸選択部、
45…ホールド時間設定部、
46…オフセット量選択部、
47、47A…設定部、
50…操作量変化検知部、
51…変化量算出部、
52…検知レンジ部、
53…不感帯幅設定部、
54…フィルタ部、
55…極・零点設定部、
55A…極・零点選択部、
56…オフセット選択部、
57…軸選択設定部、
60…チャンネル設定部
61…ネットワーク設定部、
62、62a〜62n…相対移動量変換部、
63…相対移動量変換回路、
64…相対移動量記憶部、
65…変換部、
70…入力部、
71…パターン指令値生成部。




 

 


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