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発明の名称 赤外吸収スペクトル測定装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−68857(P2007−68857A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−261133(P2005−261133)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
代理人 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
発明者 園田 純子 / 内藤 智
要約 課題
皮膚表面における薬剤・化粧料・分泌物等の付着量を簡便に且つより正確に測定可能な赤外吸収スペクトル測定装置及び赤外吸収スペクトルの測定方法を提供することを目的とする。

解決手段
赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置であって、皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段を備えることを特徴とする赤外吸収スペクトル測定装置。
特許請求の範囲
【請求項1】
赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置であって、皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段を備えることを特徴とする赤外吸収スペクトル測定装置。
【請求項2】
さらに補正された赤外吸収スペクトルに基づいて試料の種類及び量を解析するための演算手段を備えてなる請求項1記載の装置。
【請求項3】
吸光度の変動を補正する演算手段が、赤外光ファイバープローブを試料が存在しない皮膚に接触した場合に得られる赤外吸収スペクトルをA(ω、0)、赤外光ファイバープローブを試料に接触した場合に得られる赤外吸収スペクトルをA(ω、∞)、試料が存在する皮膚に接触した場合に得られる赤外吸収スペクトルをA(ω、t)としたとき、下記式(1):
【数1】



を最もよく満たすように、α、β、tを適宜変化させて、試料の付着厚さtを決定することにより、赤外光ファイバープローブと皮膚との接触面積の変化による吸光度の変動を補正するものである請求項1又は2記載の赤外吸収スペクトル測定装置。
【請求項4】
赤外光ファイバープローブのエバネッセント波のしみ込み深さ(dp)を、以下の(i)〜(iv)の手順に基づいて算出するものである請求項3記載の装置。
(i)エバネッセント波しみ込み深さが既知の赤外吸収スペクトル測定装置を用いて、二層以上の層状構造を有する試料の赤外吸収スペクトルを測定する。
(ii)上記赤外吸収スペクトルの特定吸収帯間の吸光度比と、上記装置のエバネッセント波しみ込み深さの関係を求める。
(iii)同一の試料について、(i)と同様に赤外光ファイバープローブにより測定し、(ii)と同様に当該赤外吸収スペクトルの特定吸収帯間の吸光度比を算出する。
(iv)(ii)と(iii)の関係より、赤外光ファイバープローブのエバネッセント波のしみ込み深さを算出する。
【請求項5】
ポータブル型である請求項1〜4記載のいずれか1項記載の赤外吸収スペクトル測定装置。
【請求項6】
赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置により皮膚表面上の試料の赤外吸収スペクトルを測定し、得られたスペクトルデータを、前記皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段により補正処理することを特徴とする赤外吸収スペクトルの測定方法。
【請求項7】
補正処理が赤外吸収スペクトル測定装置と一体化したデータ処理装置によりなされる請求項6記載の測定方法。
【請求項8】
補正処理が赤外吸収スペクトル測定装置から独立したデータ処理装置によりなされる請求項6記載の測定方法。
【請求項9】
スペクトルデータを記録媒体又は通信回線を介してデータ処理装置に入力するものである請求項7記載の測定方法。
【請求項10】
赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置により皮膚表面上の試料の赤外吸収スペクトルを測定する場合において、得られたスペクトルデータを、前記皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段により補正処理することを特徴とする赤外吸収スペクトルの補正方法。
【請求項11】
データ処理装置に対して、赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置により測定されたスペクトルデータについて、前記皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算処理を実行させるための赤外吸収スペクトルの補正プログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚表面における薬剤・化粧料・分泌物等の付着量を定量するための赤外吸収スペクトル測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚表面における薬剤・化粧料・分泌物等の付着量を的確に把握することは、医薬品・化粧品・洗浄剤等の開発を行う上で非常に重要である。1990年頃には、皮膚表面付着物を直接的に測定する手法として、高屈折率物質でできたクリスタル(IRE)を皮膚表面上の試料に接触させた状態で、IR−ATR法により赤外吸収スペクトルを測定することが行われていた。
【0003】
近年、中赤外光ファイバー(カルコゲナイトファイバー)や塩化銀製の中赤外光ファイバー(PIRファイバー)が開発され、これらがIR−ATR測定に用いられるようになった。特に、PIRファイバーはカルコゲナイトファイバーよりも曲げ易く、折れにくく、かつ材質自体に毒性がないという特長を有することから、PIRファイバー自体をIREとして使うIR−ATR測定が可能となり(特許文献1)、その簡便さと測定の自由度の高さから、現在急速に普及しつつある。
【0004】
PIRファイバー自体をIREとして使う当該IR−ATR測定法は、顔、頸、前腕等、任意の皮膚表面における薬剤・化粧料等の試料付着量を測定する場合に有用であるが、皮膚表面は凹凸のある構造をもち、光ファイバープローブの接触圧や皮膚の粘弾性によって、試料とIREとの接触面積が一定ではないことから正確に測定できるとは言い難い。
【特許文献1】特開平7−12715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、皮膚表面における薬剤・化粧料・分泌物等の付着量を簡便に且つより正確に測定可能な赤外吸収スペクトル測定装置及び赤外吸収スペクトルの測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、PIRファイバーで試料が付着した皮膚の赤外吸収スペクトルを測定した場合、皮膚単独の赤外吸収スペクトルを差し引いても、皮膚表面付着試料単独のスペクトル(差スペクトル)が得られないため、皮膚表面付着物量を定量的に見積もることができないことを実験的に見出した。そして、用いる赤外光ファイバープローブごとにエバネッセント波のしみ込み深さを決定し、皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正することにより、皮膚表面における試料の付着量を簡便に且つより正確に測定できることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置であって、皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段を備えることを特徴とする赤外吸収スペクトル測定装置に係るものである。
【0008】
また本発明は、赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置により皮膚表面上の試料の赤外吸収スペクトルを測定し、得られたスペクトルデータを、前記皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段により補正処理することを特徴とする赤外吸収スペクトルの測定方法に係るものである。
【0009】
また本発明は、赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置により皮膚表面上の試料の赤外吸収スペクトルを測定する場合において、得られたスペクトルデータを、前記皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段により補正処理することを特徴とする赤外吸収スペクトルの補正方法に係るものである。
【0010】
また本発明は、データ処理装置に対して、赤外光照射部から照射された赤外光及び試料からの反射光を導くための赤外光ファイバーを有し、当該赤外光ファイバーの一部を光ファイバープローブとする皮膚表面上の試料を測定するための赤外吸収スペクトル測定装置により測定されたスペクトルデータについて、前記皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算処理を実行させるための赤外吸収スペクトルの補正プログラムに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の装置又は方法を用いることにより、皮膚表面における薬剤・化粧料・分泌物等の付着量を簡便に且つより正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に本発明の赤外吸収スペクトル測定装置の構成概略図を示す。1は赤外光を発生照射するための赤外光照射部であり、2は赤外光を導くための赤外光ファイバーであり、3は赤外光を皮膚表面上の試料と接触させるための赤外光ファイバープローブ部であり、4は試料及び皮膚から反射した赤外光を検出するための検出部である。5は演算部であり、吸光度の変動を補正する演算手段が備えられている。具体的には、パーソナルコンピュータ等のデータ処理装置である。
【0013】
赤外光照射部1から赤外光ファイバー2を通して赤外光ファイバープローブ部3に赤外光が導かれ、赤外光ファイバープローブと試料との界面で全反射した赤外光が再び赤外光ファイバーにより検出部4に導かれ、演算部5において、赤外吸収スペクトルの歪を補正して赤外吸収スペクトルが算出され、必要に応じて当該スペクトルに基づき皮膚表面付着試料の種類及び量を解析される。
【0014】
本発明の赤外光ファイバー2としては、KRS−5で形成されたものや、AgClとAgBrの混晶で形成されたもの、AgCl単独のもの、あるいはAgBr単独のもの等を利用することができる。
【0015】
赤外光ファイバープローブ部3としては、試料への接触部が図2aに示すような湾曲したものや図2bに示すような四角いもの、あるいは図2cに示すような尖ったもの又はファイバーをコイル状に巻いたもの等を用いることができる。赤外光ファイバープローブ部は皮膚に接触させる部分のみファイバーが露出していれば良く、それ以外の部分は各種カバーで覆われていてもよい。
【0016】
赤外光照射部1としては、一般の赤外分光器の赤外光照射部と同様な構造が挙げられる。即ち、赤外光源と干渉計を組み合わせたものや、赤外光源と分光器を組み合わせたものが挙げられる。
【0017】
上記の構成からなる本発明の装置は、図3に示すように、赤外光照射部と検出器が一体化したものであることが好ましい。また、ポータブル型装置として使用する場合は、耐振動性に優れていることや、バッテリーで駆動することが好ましい。
【0018】
本発明装置によって測定される試料としては、皮膚に塗布若しくは付着又は皮膚から分泌されることにより皮膚上に存在する物質、例えば薬剤、化粧料、洗浄剤、皮脂、汗、汚れが挙げられ、赤外吸収スペクトルが測定可能な有機物質であれば特に限定されることはない。
【0019】
演算部5における、演算手段は、測定波数によるエバネッセント波しみ込み深さの変動及び皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化により生ずる吸光度の変動を補正し、赤外吸収スペクトルの歪みを回避するものである。以下に、この演算手段について説明する。
一般に、平面上における二層の試料を測定した場合、上層の赤外吸収スペクトルは、下記式(2)で与えられ、一方、下層の赤外吸収スペクトルは、式(3)となり、上層及び下層を合わせた場合の赤外吸収スペクトルは上層、下層それぞれの単独のスペクトルから導き出されるAs(t)及びAb(t)の和となる。
【数1】


【0020】
しかし、赤外光ファイバープローブを用いて測定した場合には、試料とプローブの接触面積が一定ではなく、赤外光ファイバープローブと標準の皮膚、赤外光ファイバープローブと標準の試料、及び赤外光ファイバープローブと(皮膚+試料)の接触面積は、ファイバープローブの形状や、皮膚や試料との接触の仕方によって変動する。
本発明においては、下記式(1):
【数2】



を導入し、皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動の補正を行う。
【0021】
ここで、エバネッセント波のしみ込み深さ(dp)は、全反射面への入射角に依存することが知られている。装置に固定のIR−ATR装置のIREや、カルコゲナイトファイバーに接続されたIREの場合は、IREの形状等より全反射面への入射角は容易に決定され、エバネッセント波のしみ込み深さを算出することができる。しかし、赤外光ファイバー自体をIREとして使う場合、赤外光ファイバープローブ部の曲率によって入射角は大きく変動するので、エバネッセント波のしみ込み深さを理論的に算出することは困難である。そこで、層状構造を持つフィルム等を、エバネッセント波のしみ込み深さ既知のIRE及び、エバネッセント波のしみ込み深さ未知のPIRファイバープローブで測定し、各スペクトルにおける上層及び下層に由来する吸収帯の吸光度比と、エバネッセント波のしみ込み深さの関係から、当該のファイバープローブのエバネッセント波のしみ込み深さを導出する。
【0022】
すなわち、以下の(i)〜(iv)の手順に基づいて、個々の赤外光ファイバープローブのエバネッセント波のしみ込み深さを算出する。
(i)エバネッセント波しみ込み深さが既知の赤外吸収スペクトル測定装置を用いて、二層以上の層状構造を有する試料の赤外吸収スペクトルを測定する。
(ii)上記赤外吸収スペクトルの特定吸収帯間の吸光度比と、上記装置のエバネッセント波しみ込み深さの関係を求める。
(iii)同一の試料について、(i)と同様に赤外光ファイバープローブにより測定し、(ii)と同様に当該赤外吸収スペクトルの特定吸収帯間の吸光度比を算出する。
(iv)(ii)と(iii)の関係より、赤外光ファイバープローブのエバネッセント波のしみ込み深さを算出する。
【0023】
具体的には、以下のようして、赤外光ファイバープローブのエバネッセント波のしみ込み深さを算出することができる。
1)層状構造を有する試料(例えば積層フィルム)のIR−ATRスペクトルを、エバネッセント波のしみ込み深さdp(λ)が、ATRクリスタルの屈折率をn1、試料の屈折率をn2、入射角度をθ、観測波長をλとした場合に、下記式(4):
【数3】



で算出される既知のIR−ATR装置(例えば、a)ATRクリスタルの材質ZnSe、入射角度45°、b)材質Ge、入射角度60°、c)材質Ge、入射角度45°)を用いて測定する。
2)次に、積層フィルムの下層に特徴的な吸収と、上層に特徴的な吸収のピーク面積あるいはピーク高さの比を算出する。
3)1)で得られたエバネッセント波のしみこみ込み深さと、2)で得られた比との関係をプロットする。さらにそのプロットから、近似直線あるいは曲線を得る。
4)赤外光ファイバープローブで、1)と同じ積層フィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、2)と同様にピーク面積あるいはピーク高さの比を算出する。そして、3)で得られた関係から、赤外光ファイバープローブのしみこみ込み深さを算出する。
【0024】
以下に、本発明の皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算手段の手順をまとめて示す。
1)まず、しみ込み深さdp(λ)が既知のIR−ATR装置を用いて、層状構造をもった物質を測定する。このとき、IR−ATR装置は、しみ込み深さが違うタイプのものを少なくとも二種類以上使って測定する。
2)次に、それぞれの測定結果について、上層、下層由来の吸収帯の面積あるいは強度比を算出する。
3)ある波長λ1でのしみ込み深さに対して、2)で得られた比をプロットする。そして、それらのプロットについて近似式を描く。
4)赤外光ファイバープローブを用いて、同様に層状構造をもった物質の赤外吸収スペクトル測定をおこない、上層、下層由来の吸収帯の面積あるいは強度比を算出する。
5)3)で得られた近似式を用いて、4)で得られた結果より赤外光ファイバープローブの波長λ1でのしみ込み深さdp(λ1)を導出する。
6)5)で求めた、波長λ1でのしみ込み深さdp(λ1)より、
【数4】



となる。従って、
【数5】



と算出されることより、各測定波長でのdp(λ)は、
【数6】



と求まる。
7)皮膚単独の赤外光ファイバープローブを用いた赤外吸収スペクトル測定を行い、A(λ,0)を得る。同様に試料単独の赤外光ファイバープローブを用いた赤外吸収スペクトル測定を行い、A(λ,∞)を得る。
8)皮膚に試料を塗布して、赤外光ファイバープローブを用いた赤外吸収スペクトル測定を行い、A(λ,t)を得る。
9)6)で得られたdp(λ)と、7)及び8)で得られたA(λ,0)、A(λ,∞) 、A(λ,t)を、前記した式(1):
【数7】



に適用する。
その後A(λ,t))が最も良く表現できる3つの未知変数(試料の塗布厚さtと、係数α、β)の組み合わせを、最小二乗法を用いて算出する。
【0025】
上記により吸光度が補正され、皮膚表面上に存在する試料の赤外吸収スペクトルが得られる。斯かる赤外吸収スペクトルに基づき、試料の種類及び量を解析するための演算手段を設けることにより、試料の種類及び量を算出することが可能となる。
斯かる演算手段としては、公知の解析方法、例えば、Visual Basic、C言語、JavaScriptなどが挙げられる。
【0026】
以上、本発明装置における演算手段について説明したが、本発明の赤外吸収スペクトルの測定方法及び赤外吸収スペクトルの補正方法においては、上記演算手段により行われる補正処理は、赤外吸収スペクトル測定装置と一体化されたデータ処理装置によって行う場合の他、該赤外吸収スペクトル測定装置から独立した(繋がっていない)データ処理装置によって行う場合のいずれをも包含する。すなわち、例えば前記演算手段を備えていない赤外吸収スペクトル装置を用いて赤外吸収スペクトルを得た後、この赤外吸収スペクトルデータを、フレキシブルディスク等の記録媒体、或いは通信回線を介して、該赤外吸収スペクトル測定装置とは独立し、前記皮膚と赤外光ファイバープローブとの接触面積の変化による吸光度の変動を補正する演算処理を実行させるための補正プログラムを備えたデータ処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)に入力して、補正処理させることもできる。
【実施例】
【0027】
1.ファイバープローブのエバネッセント波のしみ込み深さの決定
上層がポリエチレン、下層がナイロンの二層膜について、IREがGe(入射角30°)、Ge(入射角45°)、Ge(入射角60°)、ZnSe(入射角45°)であるIR−ATR装置を用いて測定した。このとき、上層がIREと接触するように測定をおこなった。次に得られたスペクトルからナイロン由来のアミドIの吸収(6.06μm)のピーク面積をアルキル由来のCH変角振動の吸収(6.90μm)のピーク面積で割り、前記[数4]により算出されるしみ込み深さdp(λ1)と対応してプロットさせ、直線により近似した。なお、このときのλ1としては、アミドIとCH変角振動の吸収波長の平均値である、6.48μmを用いることとした。このプロット及び近似直線を図4に示す。同様に二層膜について光ファイバープローブを用いた赤外吸収スペクトル測定をおこない、同じくアミドIとCH変角振動のピーク面積比を算出したところ、0.034となった。従って、図4の近似式から、しみ込み深さは測定波長が6.48μmのときで0.65μmとなった。
【0028】
2.フィッティング
皮膚上にグリセリンを薄く塗布して、前述の測定波長が6.48μmのときのしみ込み深さが0.65μmと決定された光ファイバープローブを用いた赤外吸収スペクトル測定をおこない、得られた赤外吸収スペクトルをスペクトル1(図5)とする。二層膜をIR−ATR測定した場合の、上層、下層それぞれの吸収は以下の1式、2式で導出される。そこで、何も塗布していない状態の皮膚について光ファイバープローブを用いた赤外吸収スペクトル測定をおこなった(図6)。次に同様にグリセリンだけについて光ファイバープローブを用いた赤外吸収スペクトル測定をおこなった(図7)。それぞれの赤外吸収スペクトルより、1,2式を用いて皮膚上にグリセリンが塗布されている場合の、皮膚とグリセリンそれぞれ単独の赤外吸収スペクトルを導出し(皮膚:スペクトル2、グリセリン:スペクトル3)、それらの和(スペクトル2+スペクトル3)が、スペクトル1に近づくように、係数α、β、塗布厚さtを変えてフィッティングをおこなった。フィッティングの結果を図8に示す。図8ではtが0.2μmとなった。これより、皮膚上をグリセリンが平均して0.2μmの厚さで被覆していることが分かった。
【0029】
【数8】


【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の赤外吸収スペクトル測定装置の構成概略図である。
【図2】中赤外光ファイバープローブ部の構成図である。
【図3】ポータブル型装置の概略図である。
【図4】4種類の赤外吸収スペクトルからナイロン由来のアミドIのピーク面積をアルキル由来のCH変角振動のピーク面積で割った値(面積比)と、しみ込み深さをプロットし、直線により近似したグラフである。
【図5】皮膚上に塗布されたグリセリンを、光ファイバープローブ(しみ込み深さ:測定波長が6.48μmのときに0.65μm)を用いて測定したときの赤外吸収スペクトル(スペクトル1)である。
【図6】何も塗布されていない皮膚を、光ファイバープローブ(しみ込み深さ:測定波長が6.48μmのときに0.65μm)を用いて測定とたときの赤外吸収スペクトル(スペクトル2)である。
【図7】グリセリンを、光ファイバープローブ(しみ込み深さ:測定波長が6.48μmのときに0.65μm)を用いて測定したときの赤外吸収スペクトル(スペクトル3)である。
【図8】スペクトル1と、スペクトル1に対して所定のフィッティングを行なったときの結果を示すスペクトル(フィティング値)である。
【符号の説明】
【0031】
1 赤外光照射部
2 中赤外光ファイバー
3 中赤外光ファイバープローブ部
4 検出部
5 演算部




 

 


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