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発明の名称 発熱具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−61338(P2007−61338A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−250903(P2005−250903)
出願日 平成17年8月31日(2005.8.31)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
発明者 沖坂 浩一 / 大橋 一男
要約 課題
使用中における反りの発生を防止し得る発熱具を提供すること。

解決手段
発熱具1は、適用対象物に近い側に位置する層と、適用対象物から遠い側に位置する層とを接合して形成された扁平な袋状の収容体3内に、発熱材料2が収容されてなる。これら両層のうちの少なくとも一方が通気性を有する。両層は、それらの周縁部に両層の非接合部11が形成されるように、閉じた形状の接合部4によって接合されている。適用対象物から遠い側に位置する層が、多孔性フィルム3aと繊維シート3dとを積層した複合シートから構成されている。繊維シート3dは、その30℃相対湿度50%における寸法を基準としたときの30℃相対湿度98%における伸長率が1%以下である。
特許請求の範囲
【請求項1】
適用対象物に近い側に位置する層と、適用対象物から遠い側に位置する層とを接合して形成された扁平な袋状の収容体内に、酸素との接触により発熱可能な非酸化性金属を含む発熱材料が収容されてなる発熱具であって、これら両層のうちの少なくとも一方が通気性を有し、
前記の両層は、それらの周縁部に両層の非接合部が形成されるように、閉じた形状の接合部によって接合されており、
適用対象物から遠い側に位置する層が、多孔性フィルムと繊維シートとを積層した複合シートから構成されており、該繊維シートは、その30℃相対湿度50%における寸法を基準としたときの30℃相対湿度98%における伸長率が1%以下である発熱具。
【請求項2】
適用対象物から遠い側に位置する前記の層が、前記接合部の外方に延出して延出部を形成しており、
該延出部は、発熱具を適用対象物へ固定するための固定部を有している請求項1記載の発熱具。
【請求項3】
適用対象物から遠い側に位置する層が、ポリエチレンテレフタレート繊維の不織布、ポリプロピレン繊維の不織布、ポリエチレンテレフタレートとポリオレフィンとの複合繊維の不織布、又はポリプロピレンとポリオレフィンとの複合繊維の不織布の何れか1種以上と前記多孔性フィルムとの複合シートとから構成されている請求項1又は2記載の発熱具。
【請求項4】
適用対象物に近い側に位置する層が、ポリオレフィンフィルム、又はポリオレフィンフィルムを含む2層以上の積層フィルムを有する請求項1ないし3の何れかに記載の発熱具。
【請求項5】
適用対象物に近い側に位置する層が、水蒸気透過性又は水蒸気不透過性で且つ水透過性のポリオレフィンフィルム、又はポリオレフィンフィルムを含む2層以上の積層フィルムを有する請求項4載の発熱具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非酸化性金属が酸素と接触して発熱する熱を利用した発熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
適用対象物に近い側に位置する層と、適用対象物から遠い側に位置する層とを接合して形成された扁平な袋状の収容体内に、酸素との接触により発熱可能な非酸化性金属を含む発熱材料が収容されてなる発熱具においては、適用対象物から遠い側に位置する層には、不織布への印刷性・着色性の観点から、通気性を有する多孔性フィルムとナイロン不織布との積層体が広く用いられている。しかしこの発熱具は、その使用時に、適用対象物の反対側に向けて反りを発生するという問題点を有している。特に、適用対象物から遠い側に位置する層が、多孔性フィルムとナイロン不織布との積層体から構成されており、該積層体が発熱体収容部から外側に延長され、その延長部に固定手段を有する場合には、前記の反りが著しい。
【0003】
適用対象物の反対側に反るという問題点に対し、発熱材料を扁平な収納袋に収納してなる発熱体において、該収納袋の一面と他面との収縮率を異ならせたものが知られている。例えば、収納袋における装着対象物に向き合う面の収縮率を、外気に向き合う通気面の収縮率よりも大きくした発熱体が提案されている(特許文献1参照)。この発熱体は、発熱に起因する発熱体の反りを防止して、発熱体のフィット性を高め、装着の違和感を低減することを目的としている。
【0004】
また、通気性包材として熱による伸縮度が小さいものを用い、粘着用包材として熱による伸縮度が大きいものを用いてなる収納袋を用いた発熱体も提案されている(特許文献2参照)。この発熱体は、熱を利用して発熱体を積極的に通気性包材側に凹ませて湾曲状態とし、発熱体を身体の湾曲部や屈曲部にフィットさせることを目的としている。
【0005】
このように、前記の発熱体は何れも収納袋の素材として、熱によって収縮するものを用いている。そのような素材は、発熱体に用いられている通常の素材に比較して高価なものとなりがちであり、経済性の点から有利なものとは言えない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−265513号公報
【特許文献2】特開2000−83986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る発熱具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、適用対象物に近い側に位置する層と、適用対象物から遠い側に位置する層とを接合して形成された扁平な袋状の収容体内に、酸素との接触により発熱可能な非酸化性金属を含む発熱材料が収容されてなる発熱具であって、これら両層のうちの少なくとも一方が通気性を有し、
前記の両層は、それらの周縁部に両層の非接合部が形成されるように、閉じた形状の接合部によって接合されており、
適用対象物から遠い側に位置する層が、多孔性フィルムと繊維シートとを積層した複合シートから構成されており、該繊維シートは、その30℃相対湿度50%における寸法を基準としたときの30℃相対湿度98%における伸長率が1%以下である発熱具を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発熱具によれば、使用中における反りの発生を容易に且つ経済的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の発熱具の一実施形態の平面図が示されている。図2及び図3はそれぞれ、図1におけるII−II線断面図及びIII−III線断面図である。本実施形態の発熱具1は使用者の身体に固定されて使用されるものである。固定とは、発熱具1を肌に直接固定する場合のみならず、発熱具1を下着に固定する場合も包含する。
【0011】
発熱具1は縦長の扁平な形状をしている。発熱具1は、発熱材料2及び該発熱材料2を収容する収容体3を備えている。収容体3は扁平であり、閉じた形状の接合部4が形成されるように複数のシート材を貼り合わせ、該接合部4の内部に閉じた空間を形成した袋状のものである。この閉じた空間が発熱材料の収容部5になっている。
【0012】
図2及び図3に示すように、収容体3は、適用対象物から遠い側に位置する多孔性フィルム3aと繊維シート3dとを積層した複合シート10を有している。該多孔性フィルム3aは水蒸気透過性で且つ水不透過性であることが好ましい。また収容体3は、適用対象物に近い側に位置するフィルム3bを有している。複合シート10とフィルム3bとは接合部4において互いに接合されている。発熱具1の装着感を高める観点から、図2に示すように、フィルム3bの外面には風合いや肌触りの良好なシート材料である不織布や織布等の繊維シート3cが配されている。また、発熱具1の風合いを高める観点から、多孔性フィルム3aの外面には、不織布や織布等の繊維シート3dが配されている。多孔性フィルム3aと繊維シート3dとは、容易に剥離しないような接合方式で積層された通気性を有する複合シート10になっている。一方、フィルム3bと繊維シート3cは、それらの周縁で接合されており、当該周縁よりも内部の位置では非接合状態になっている。多孔性フィルム3a及び繊維シート3dとが積層された複合シート10は、発熱具1の使用時に、使用者の肌から遠い側に位置する通気層として作用するものである。一方、フィルム3b及び繊維シート3cの側が肌と対向するように使用者の身体に固定される。なお、本実施形態においては、適用対象物に近い側に位置する層であるフィルム3bは、通気性フィルム又は難通気性フィルムのどちらでもよい。また、繊維シート3cは風合いや肌触りの点から配されていることが好ましいが配されていなくてもよい。
【0013】
収容体3は、長手方向に延びる側縁S1及びS2を有している。また幅方向に延びる端縁E1及びE2を有している。一方の側縁S1は、収容体3の縦中心線に対して外向きの凸状となるような曲線形状をしている。他方の側縁S2は、縦中心線に向かう内向きの凸状となるような曲線形状をしている。端縁E1,E2はそれぞれ外向きの凸状となるような曲線形状をしている。これら側縁S1,S2及び端縁E1,E2は滑らかに連接しており、収容体全体としてみると湾曲した長円形となっている。このような形状を有する収容体を備えた発熱具1は、図4に示すように、人体の肩部に取り付ける場合のフィット性が高いものとなる。この場合、図4に示すように、側縁S2が首に近い側に位置し、側縁S1が首から遠い側に位置するように発熱具1を取り付ける。
【0014】
図3に示すように、複合シート10とフィルム3b及び繊維シート3cとは、それらの周縁部に両層の非接合部11が形成されるように、閉じた形状の接合部4によって接合されている。接合部4は、例えばヒートシールや接着剤で形成される。このように形成された接合部4は一般に硬くなることから、該接合部を発熱具の最外周部に形成すると、使用時に該接合部が皮膚に直接触れて、その硬さ故に使用者に不快感を与える。このため本実施形態においては、接合部4の外側に非接合部11が形成されている。非接合部11は、接合部4の全体を取り囲むように連続的に形成されている必要はない。本実施形態において非接合部11は、発熱具1における側縁S1,S2の位置に主として形成される。
【0015】
図1及び図2に示すように、複合シート10は、収容体3の長手方向において、収容部5を囲繞する接合部4から外方に延出して、延出部としての一対の耳部6,6を形成している。耳部6は、接合部4寄りに位置する基部6aと、先端寄りに位置し且つ基部6aと連接する先端部6bとから構成されている。
【0016】
各先端部6bにおける多孔性フィルム3aの面上、即ち肌に近い側の面上には、発熱具1を使用者の身体に固定するための固定部7が設けられている。固定部7は、発熱材料2の収容部5よりも外方の位置(周縁部)に設けられている。固定部7は2カ所設けられている。各固定部7は、収容体3において、固定部間の距離が最も遠くなる位置に設けられている。このように固定部7を設けることで、発熱具1を使用者の身体に固定した場合、使用者の動作に起因して生じる発熱具1と身体との間の隙間が変化しやすくなり、違和感が発生しづらくなる。
【0017】
固定部7としては、発熱具1を使用者の身体に固定可能な様々な手段を用いることができる。典型的には、先端部6bに粘着剤を施すことによって固定部7を形成することができる。粘着剤としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを用いることができる。例えばゴム系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は非転着性であることが好ましい。
【0018】
発熱材料2の収容部5と固定部7との間の位置、即ち耳部7の基部6aは伸長可能になっている。基部6aは、2つの固定部7,7を結ぶ方向、つまり縦中心線の方向に伸長可能になっている。本実施形態においては、基部6aに多数のスリット8を形成することによって基部6aを伸長可能にしてある。詳細には次の通りである。
【0019】
基部6aにおいて、各スリット8は発熱具1の縦中心線と交差する方向に延びている。これによって、発熱具1をその長手方向に引っ張ると、スリット8が開口して基部6aが伸長する。その結果、例えば図4に示すように発熱具1を使用者の身体に取り付けた場合、使用者の動作に基部6aが追従して伸長し、使用者につっぱり感を与えにくくなる。また固定部7が身体から外れにくくなる。図1においては、スリット8は、発熱具1の縦中心線と直交する方向に延びているが、スリット8が縦中心線と交差していれば直交する必要はない。尤も、基部6aの伸長性を考慮すると、スリット8と縦中心線とのなす角度は直角に近いほど好ましい。
【0020】
基部6aに伸長性を付与するためには、基部6aにスリット8を形成することに代えて、耳部6を、複合シート3aの延出部から形成せず、複合シート3aとは別材のシートから構成し、該別材のシートして伸長性のあるものを用いればよい。例えばシートとしてエラストマーシートを用いればよい。
【0021】
本実施形態では、使用者の肌から遠い側に位置する複合シート10において、繊維シート3dとして、その30℃相対湿度50%における寸法を基準としたときの30℃相対湿度98%における伸長率(以下、伸長率と略す)が1%以下のものを用いている。伸長率は、次の方法で測定される。
【0022】
30℃相対湿度50%の環境下で、繊維シート3dを約15cm×約15cmの正方形に裁断する。その四辺の寸法を測定した後、繊維シート3dを30℃相対湿度98%の環境下で6時間放置する。放置後の四辺の寸法を再び測定し、その測定結果より下式によって伸長率を算出する。
【0023】
30℃相対湿度98%の伸長率=((30℃相対湿度98%の寸法)−(30℃相対湿度50%の寸法))/(30℃相対湿度50%の寸法)×100
【0024】
伸長率は繊維シート3dの縦方向及び横方向で測定し、それらのうちの大きい方の値を採用する。繊維シート3dとして、伸長率がこの範囲のものを用いることによって、発熱具1の使用時、即ち発熱時に、発熱具1に反りが発生することを効果的に防止し得ることが判明した。先に述べた特許文献1に記載の技術においては、収容体(収納袋)の素材として、熱によって収縮するものを用いることで発熱体に反りが発生することを防止しているのに対して、本実施形態においては、繊維シート3dの伸長率をコントロールすることで発熱具1に反りが発生することを防止している。繊維シート3dの伸長率をコントロールすることは、熱収縮をコントロールすることに比較して容易であり、また安価な手段で実現できるので、本実施形態の発熱具1は、先に述べた特許文献1に記載の技術よりも有利である。
【0025】
発熱具1に反りが発生する原因を本発明者らは次のように考えている。発熱具1はその保存中、発熱が起こらないようにするために、酸素バリア性の高い包装袋内に密封されている。その間に発熱材料2に含まれている水分が揮発して、包装袋体内は相対湿度100%近い高湿度環境となる。複合シート10を構成する繊維シート3dの高湿度下での伸長率が、ナイロン等のポリアミド系繊維のように高いものである場合、複合シート10には繊維シート3dによる伸びよとする力が加わっている。この状態下、包装袋を破って発熱具1を取り出すと、発熱具1は包装袋内の高湿度環境から低湿度環境に置かれ、繊維シート3dは収縮を開始する。また、発熱具1が発熱を開始すると、収容体3が加熱されて、包装袋内の高湿度環境で吸湿していた繊維シート3dから水分が蒸発する。その結果、繊維シート3dが収縮する。その収縮によって複合シート10が繊維シート3d側に変形し反りが生じ、その結果、発熱具1は適用対象物に対し反対側に反りを生じる。特に本実施形態の発熱具1においては、接合部4の外側に形成されている非接合部11及び耳部6,6における反りが著しい。この理由は、非接合部11及び耳部6,6はその端部がテンションフリーな状態になっているので、反りが生じることを規制するものが何も存在しないからである。上述の原因に鑑み、本実施形態においては複合シート10の構成シートである繊維シート3dの高湿度下での伸長率を制限して発熱具1に反りが発生することを防止している。
【0026】
なお、発熱具1に反りが発生することを防止するには、使用者の肌に近い側に位置するフィルム3bよりも、使用者の肌から遠い側に位置する複合シート10の方が重要である。この理由は、通常、フィルム3bは複合シート10の反りを妨げるほど大きな剛性をもっておらず、また、本実施形態においては、接合部4の外側に設けられた非接合部11、耳部6,6では複合シート10を構成する繊維シート3dの湿度に対する伸長・収縮挙動が反りの現象の発現に直接影響するためである。
【0027】
複合シート10の反りを防止するためには、複合シート10を構成する繊維シート3dの伸長率は先に述べた通り1%以下とし、好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%以下とする。伸長率はその値が小さいほど好ましいので、その下限値は0%となる。尤も、伸長率が0%である材料は現実的ではなく、伸長率が0.05%程度に低ければ、本発明の効果は十分に奏される。
【0028】
繊維シート3dの伸長率を前記の範囲内とするためには、吸湿性が低く、伸長・収縮に対する湿度の影響が小さい材料を用いることが望ましい。この観点から、例えばナイロンに代表されるポリアミド系のような、吸湿性が高く、伸長・収縮に対する湿度の影響が大きい樹脂よりも、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、又はそれらのポリオレフィンとの複合繊維のような、吸湿性が低く、伸長・収縮に対する湿度の影響が小さい樹脂からなる繊維を用いることが好ましい。具体的には、多孔性フィルム3aをポリエチレンやポリプロピレンの多孔性シートから形成することが好ましく、また繊維シート3dを、ポリエチレンテレフタレート繊維の不織布、ポリプロピレン繊維の不織布、ポリエチレンテレフタレートとポリオレフィンとの複合繊維の不織布、又はポリプロピレンとポリオレフィンとの複合繊維の不織布から構成することが好ましい。ヒートシール性の観点から、ポリプロピレンに比べ融点の高いポリエチレンテレフタレートの方が、高温・高速度条件でシール可能なのでより好ましい。
【0029】
繊維シート3dは、その伸長率が先に述べた範囲であれば、その坪量に特に制限はない。発熱具1の種々の用途を考えた場合、繊維シート3dはその坪量が15〜100g/m2、特に20〜60g/m2であることが好ましい。
【0030】
複合シート10の透湿度(JIS Z0208)は、100〜400g/m2・24hr、特に150〜300g/m2・24hrであることが好ましい。
【0031】
本実施形態の発熱具1においては、適用対象物に近い側に位置する層であるフィルム3bは、ポリオレフィンフィルム、又はポリオレフィンフィルムを含む2層以上の積層フィルムを有することが好ましい。
【0032】
本実施形態においては、フィルム3bが、水蒸気不透過性で且つ水不透過性のフィルムであることによって、適用対象物から遠い側に位置する層のみが通気性を有していてもよい。また、フィルム3bが水蒸気透過性で且つ水不透過性のフィルムであることによって、適用対象物に近い側に位置する層及び適用対象物から遠い側に位置する層の双方が通気性を有していてもよい。フィルム3bが水蒸気透過性である場合、その透湿度(JIS Z0208)は、100〜450g/m2・24hr、特に150〜350g/m2・24hrであることが好ましい。
【0033】
フィルム3bが水蒸気不透過性で且つ水不透過性のフィルムを有するフィルムである場合、発熱具1を身体に取り付けた状態で使用者が動作をすると、その動作に起因して、発熱具1と身体との間の隙間が変化する。発熱具1は両面通気性のものなので、発熱具1と身体との間の隙間が変化するとその変化に応じてフィルム3b側、即ち肌に近い側に位置する層側から発熱具1へ流入する空気の量が変化する。その結果、発熱具1の発熱温度が変化してゆらぎが生じる。その結果、従来の発熱体と異なり、本実施形態の発熱具1によれば温度に対して身体が馴化しづらく、長時間にわたり温感を使用者に実感させることができる。従来の発熱体においては、使用中の発熱温度の振れを極力小さくすることに努力が払われていたので、発熱温度が十分であっても、使用時間の経過と共にその温度に対して身体が馴化し、温感が実感されなくなることが多い。なお、本実施形態の発熱具1が身体に密着してしまうと、肌に近い側に位置する層側からの空気の流入が遮断されて発熱反応が低下ないし停止して発熱温度が低下してしまう懸念がある。しかし発熱具1は、肌から遠い側に位置する層側からの空気の流入が常に確保されているので、発熱温度の低下の懸念はない。
【0034】
収容具3に収容される発熱材料2としては、発熱シートを用いることができる。或いは発熱粉体を用いることもできる。発熱シートは、被酸化性金属を含み、更に反応促進剤、繊維状物、電解質及び水を含んでいる。発熱粉体は、被酸化性金属を含み、更に反応促進剤、保水剤、電解質及び水を含んでいる。
【0035】
好ましい発熱シートは、60〜90重量%の被酸化性金属、5〜25重量%の反応促進剤及び5〜35重量%の繊維状物を含む成形シートに、該成形シート100重量部に対して、1〜15重量%の電解質を含む電解質水溶液が30〜80重量部含有されて構成されている。このような発熱シートの好ましい製造方法としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法が挙げられる。一方、好ましい発熱粉体は、30〜80重量%の被酸化性金属、1〜25重量%の反応促進剤、3〜25重量%の保水剤、0.3〜12重量%の電解質、20〜60重量%の水から構成されている。発熱シートや発熱粉体を構成する各種材料としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを用いることができる。また、前記の特開2003−102761号公報に記載の材料を用いることもできる。
【0036】
発熱材料2は、接合部4で囲繞された収容部5の面積に対し、0.05〜0.4g/cm2の充填割合で充填されていることが好ましい。発熱材料2の充填割合がこの範囲内であれば、発熱材料2が過度に薄くならず、放熱を抑制でき所望の温度を得ることができる。また、この範囲内であれば、蓄熱量が過度に大きくならず、熱を人体に速やか拡散することができ、火傷等が起こることを防止し得る。所望の温度を維持し、また熱を速やかに人体に拡散するためには、発熱材料2の充填割合は、特に0.07〜0.3g/cm2、とりわけ0.1〜0.2g/cm2であることが好ましい。
【0037】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図4においては発熱具1を、使用者の肩部に適用した例を示したが、本発明の発熱具の適用部位はこれに限られない。例えば、腰部、頸部、腕や脚の関節、腹部などに本発明の発熱具を適用できる。また適用対象物は人体に限られず、他の物であってもよい。
【0038】
また前記実施形態においては、固定部7が収容部5よりも外方の位置のみに設けられていたが、これに加えて固定部を収容部上に設けてもよい。
【0039】
また前記実施形態においては、収容部5と固定部7との間に伸長部位が設けられていたが、発熱具の形状や具体的な用途によっては該伸長部位を設けなくてもよい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。実施例に先立ち、以下の試験例1及び2を行った。
【0041】
〔試験例1〕
(1)ナイロン不織布(坪量40g/m2)、(2)多孔質ポリエチレンフィルム(厚み70μm)、(3)ナイロン不織布(坪量40g/m2)と多孔質ポリエチレンフィルム(厚み70μm)との複合シート、(4)ポリエチレンテレフタレート不織布(坪量40g/m2)、(5)ポリエチレンテレフタレート不織布(坪量40g/m2)と多孔質ポリエチレンフィルム(厚み70μm)との複合シート、(6)ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)との複合繊維不織布(坪量35g/m2)、(7)ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)との複合繊維不織布(坪量35g/m2)と、多孔質ポリエチレンフィルム(厚み70μm)との複合シートを各5枚用意し、30℃相対湿度50%の環境下で約15cm×約15cmの正方形に裁断した。その四辺の寸法を測定した後、それらを30℃相対湿度98%及び30℃相対湿度20%の環境下で6時間放置した。放置後の四辺の寸法を再び測定し、各シートの寸法変化の大きい方向の各環境下での伸長率を下記式から求めた。表1に結果を示す。マイナスの符号が付いている場合、収縮したことを表す。ナイロン不織布は湿度の影響を受け、寸法変化が激しいが、ポリエチレンテレフタレート不織布及びポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)との複合繊維不織布は湿度の影響がほとんどみられなかった。
【0042】
30℃相対湿度98%の伸長率=((30℃相対湿度98%の寸法)−(30℃相対湿度50%の寸法))/(30℃相対湿度50%の寸法)×100
30℃相対湿度20%の伸長率=((30℃相対湿度20%の寸法)−(30℃相対湿度50%の寸法))/(30℃相対湿度50%の寸法)×100
【0043】
【表1】


【0044】
〔試験例2〕
試験例1における(3)ナイロン不織布と多孔質ポリエチレンフィルムとの複合シート、(5)ポリエチレンテレフタレート不織布と多孔質ポリエチレンフィルムとの複合シート、(7)ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)との複合繊維不織布と、多孔質ポリエチレンフィルムとの複合シートを、30℃相対湿度50%の環境下で約10cm×約10cmの正方形に裁断した。それらを30℃相対湿度98%の環境に6時間放置した。次いで、30℃相対湿度50%及び30℃相対湿度20%の環境に移し、15分後のシートの反りを目視で観察した。表2に結果を示す。
【0045】
【表2】


【0046】
表2中の凹凸は不織布側を上にした時の形状を示す。表2から明らかなように、30℃相対湿度98%の伸長率が大きいナイロン不織布と多孔質ポリエチレンフィルムとの複合シートは、湿度の影響を受け、反りを発生する。すなわち、相対湿度98%の環境では不織布側の反対(適用物側)に反りを生じているが、それを、低湿度の環境に移すと反りの方向が反転し、不織布側(適用物の反対方向)に反りを発生する。30℃相対湿度98%の伸長率が小さいポリエチレンテレフタレート不織布と多孔質ポリエチレンフィルムとの複合シート、及びポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)との複合繊維不織布と、多孔質ポリエチレンフィルムとの複合シートの場合、反りの発生が無かった。
【0047】
〔実施例1〕
<スラリーの配合>
・繊維状物:パルプ繊維(NBKP、製造者:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Mackenzie」、CSF140ml)8重量%
・被酸化性金属:鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」)84重量%
・反応促進剤:活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)8重量%
【0048】
前記原料組成物固形分(繊維状物、被酸化性金属及び反応促進剤の合計)100重量部に対し、カチオン系凝集剤であるポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC(株)製、商品名「WS4020」)0.7重量部およびアニオン系凝集剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬(株)製、商品名「HE1500F」)0.18重量部を添加した。更に、水(工業用水)を、固形分濃度が12重量%となるまで添加してスラリーを得た。
【0049】
<抄紙条件>
前記スラリーを用い、抄紙ヘッドの直前で0.3重量%に水希釈し、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。
【0050】
<脱水・乾燥条件>
成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し、含水率が5重量%以下になるまで乾燥した。乾燥後の坪量は450g/m2、厚さは0.45mmであった。このようにして得られた成形シート(発熱中間成形体)の組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄84重量%、活性炭8重量%、パルプ8重量%であった。
【0051】
<電解質水溶液添加条件>
得られた成形シートを3枚重ね合わせてから、下記電解質水溶液を所定量含浸させて発熱シートを作製した。発熱シートの水分含量及び発熱シートにおける各成分の配合割合を表3に示す。
【0052】
<電解液>
電解質:精製塩(NaCl)
水:工業用水
電解液濃度:5重量%
【0053】
【表3】


【0054】
<収容体への収容>
図1ないし図3に示す発熱具を製造した。複合シート10として、試験例1の(5)の複合シート、即ちポリエチレン製の多孔質透湿性フィルム3aの外面に、坪量40g/m2のポリエチレンテレフタレート系不織布3dをラミネートしたものを用いた。この複合シート10は、その透湿度が150g/m2・24hrであった。フィルム3bとして透湿度340g/m2・24hrのポリエチレン製の多孔質透湿性フィルムを用いた。フィルム3bの外面には、坪量40g/m2のポリエチレンテレフタレート系不織布3cを配した。このようにして得られた収容体の中に、5.5cm×10cmの寸法の発熱シート(10.7g)を収容した。これにより、図1ないし図3に示す発熱具を得た。接合部4で囲繞された収容部5の面積は75cm2であり、発熱シートの充填割合は0.14g/cm2であった。
【0055】
〔比較例1〕
実施例1で用いたポリエチレンテレフタレート系不織布3dに代えて、同坪量のナイロン不織布を用いた複合シート(試験例1の(3)の複合シート)を用いた以外は実施例1と同様にして発熱具を得た。
【0056】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた発熱具を酸素ガスバリア性の高い材料であるアルミニウム箔がラミネートされたに入れて密封し、30℃、50%RHの環境下に2日間保管した。このとき、袋内の湿度は98%RHであった。同環境下において、袋を開封し発熱具を取り出して発熱を開始させた。袋から取り出して15分後の発熱具の反り具合を目視観察した。その結果、実施例1の発熱具では、反りが観察されなかった。非接合部における反りも観察されなかった。これに対し、比較例1の発熱具では、多孔質透湿性フィルム3a及びナイロン不織布3dの側が内側となるように発熱具に反りが生じていた。特に非接合部及び耳部における反りが著しかった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の発熱具の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1に示す発熱具の使用形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 発熱具
2 発熱シート
3 収容体
3a 多孔性フィルム
3b フィルム
4 接合部
5 収容部
6 耳部
7 固定部
8 スリット
10 複合シート
11 非接合部




 

 


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