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発明の名称 吸収性物品の吸収体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−54279(P2007−54279A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242923(P2005−242923)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
発明者 小山 貴夫
要約 課題
立体的形状に変形しても不規則なシワが発生しにくく、吸収容量を維持ないし向上させつつ装着感の向上を図ることができる吸収性物品の吸収体を提供すること。

解決手段
2層以上の吸収材41,46からなり、実質的に縦長の形状を有する、吸収性物品の吸収体4であって、第1吸収材41と第1吸収材より肌当接面側に位置する第2吸収材46とを具備し、第1吸収材41及び第2吸収材46は、それぞれ、長手方向の両側部に切込部42,43,47,48を有し、且つ第1吸収材の切込部42,43と第2吸収材の切込部47,48とがそれぞれの少なくとも一部において重なって閉鎖用開口領域40,45を形成しており、閉鎖用開口領域40,45の縁部から該縁部に直交する方向の吸収体内部方向に向かって吸収材の層数が増加するようにされている。
特許請求の範囲
【請求項1】
2層以上の吸収材からなり、実質的に縦長の形状を有する、吸収性物品の吸収体であって、第1吸収材と第1吸収材より肌当接面側に位置する第2吸収材とを具備し、第1吸収材及び第2吸収材は、それぞれ、長手方向の両側部に切込部を有し、且つ第1吸収材の切込部と第2吸収材の切込部とがそれぞれの少なくとも一部において重なって閉鎖用開口領域を形成しており、閉鎖用開口領域の縁部から該縁部に直交する方向の吸収体内部方向に向かって吸収材の層数が増加するようになされている、吸収性物品の吸収体。
【請求項2】
各吸収材の平均坪量が600g/m2以下であり、吸収体の平均坪量が250〜700g/m2である請求項1記載の吸収性物品の吸収体。
【請求項3】
閉鎖用開口領域の相対向する一対の縁部の両方が、第1吸収材の切込部の縁部又は第2吸収材の切込部の縁部により形成されている請求項1又は2記載の吸収性物品の吸収体。
【請求項4】
閉鎖用開口領域の相対向する一対の縁部の少なくとも一方が、第1吸収材の切込部の縁部により形成され、該閉鎖用開口領域の該一方の縁部から3〜20mm離間した位置に、第2吸収材の切込部の縁部が位置している請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品の吸収体。
【請求項5】
閉鎖用開口領域が、吸収体の長手方向に離間した複数個所に形成されており、各閉鎖用開口領域を形成する第1及び第2切込部の開放端が、何れも該吸収体の長手方向の一方の端部側に向いている請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品の吸収体。
【請求項6】
使い捨ておむつの吸収体であり、該吸収体をその長手方向の全長を3等分して腹側部、中央部及び背側部に区分したときの、腹側部及び/又は背側部に前記閉鎖用開口領域が形成されている請求項1〜5の何れかに記載の吸収性物品の吸収体。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の吸収性物品の吸収体を具備する吸収性物品。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつの吸収体は、おむつの製造工程においては、平面的な形状をなしており、おむつ使用時に、各部の弾性部材の収縮作用により立体的な形状とされるのが一般的である。しかし、立体的な形状となる際に、吸収体に不規則なシワが生じて、装着感が悪化することがある。
特に、充分な吸収容量を確保するために2層以上の吸収材を積層してなる吸収体において装着感の悪化の程度が大きい。
【0003】
特許文献1には、着用者の腹側に配される部分の吸収体に折曲案内部を形成した使い捨ておむつが記載されており、該公報には、折曲案内部を有する吸収体を着用者の胴部に密着させる手段についての記載がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−275236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のおむつは、折曲案内部を有する吸収体を胴部に密着させた際に吸収体にシワが生じる恐れがあり、特に吸収容量を高めるために吸収材の坪量を高めたり、複数の吸収材を重ね合わせたりした場合には、吸収体のシワによる違和感は大きいものとなり、装着感の低下は免れない。また、吸収体に発生する不規則なシワは、防漏効果の低減にもつながるためその抑制が求められている。
【0006】
従って、本発明の目的は、立体的な形状に変形しても不規則なシワが発生しにくく、吸収容量を維持ないし向上させつつ、装着感の向上を図ることのできる、吸収性物品の吸収体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2層以上の吸収材からなり、実質的に縦長の形状を有する、吸収性物品の吸収体であって、第1吸収材と第1吸収材より肌当接面側に位置する第2吸収材とを具備し、第1吸収材及び第2吸収材は、それぞれ、長手方向の両側部に切込部を有し、且つ第1吸収材の切込部と第2吸収材の切込部とがそれぞれの少なくとも一部において重なって閉鎖用開口領域を形成しており、閉鎖用開口領域の縁部から該縁部に直交する方向の吸収体内部方向に向かって吸収材の層数が増加するようになされている、吸収性物品の吸収体を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品の吸収体は、立体的な形状に変形しても不規則なシワが発生しにくく、吸収容量を維持ないし向上させつつ、装着感の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本実施形態の吸収性物品の吸収体4は、図1〜図3に示すように、使い捨ておむつ、特にパンツ型の使い捨ておむつに好ましく用いられる吸収体である。
吸収体4は、図3及び図4に示すように、2層以上の吸収材からなり、実質的に縦長の形状を有している。
吸収体4は、第1吸収材41と、吸収体4の厚み方向において第1吸収材41より肌当接面側に位置する第2吸収材46とを具備し、第1吸収材41及び第2吸収材46は、それぞれ、長手方向の両側部に2対の切込部42,43,47,48を有し、且つ第1吸収材41の切込部42,43と第2吸収材46の切込部47,48とがそれぞれの少なくとも一部において重なって閉鎖用開口領域40,45を形成しており、各閉鎖用開口領域40,45の縁部から該縁部に直交する方向の吸収体内部方向に向かって吸収材41,46の層数が増加するようにされている。尚、第1吸収材41及び第2吸収材46それぞれの長手方向は、吸収体4の長手方向と同じ方向(図4において上下方向)とする。
【0010】
本実施形態の吸収体4について、より詳細に説明する。
本実施形態の吸収体4における閉鎖用開口領域40,45は、図4(a)に示すように、吸収体4を、該吸収体4の長手方向の全長Lを3等分して腹側部4A、中央部4C及び背側部4Bに区分したときの、腹側部4A及び背側部4Bにそれぞれ一対形成されている。
吸収体4の長手方向の一方の側部に形成された閉鎖用開口領域40,45と他方の側部に形成された閉鎖用開口領域40,45とは、吸収体4の長手方向に延びる中央線に対して左右対称に形成されている。
【0011】
腹側部4Aに形成された閉鎖用開口領域40は、概ね、図5(a)中に散点状のドットを付して示す領域であり、第1吸収材41に形成された切込部42〔図4(b)参照〕の一部と、第2吸収材46に形成された切込部47〔図4(c)参照〕の一部とが、吸収体4の厚み方向に重なって形成されている。従って、閉鎖用開口領域40には、第1吸収材41及び第2吸収材46の何れも存在しない。
閉鎖用開口領域40は、図5に示すように、相対向する一対の縁部401,402を有し、図5(b)に示すように、一方の縁部401は、第1吸収材の切込部の縁部421により形成され、他方の縁部402は、第1吸収材の切込部の縁部421及び第2吸収材の切込部の縁部471により形成されている。
【0012】
閉鎖用開口領域40の前記一方の縁部401側においては、図5(b)に示すように、前記縁部401から該縁部401に直交する方向(吸収体の平面視において吸収体が延びる方向に直交する方向)の吸収体内部方向〔図5(b)の左方向〕に向かって吸収材の層数が増加している。即ち、吸収体4の前記縁部401近傍は、第1吸収材41のみからなるが、該縁部401から該縁部401に直交する方向に所定幅L1離間した部位には、第2吸収材46の縁部471が位置しており、それより先は、吸収材の層数が2層となっている。
【0013】
背側部4Bに形成された閉鎖用開口領域45は、概ね、図6(a)中に散点状のドットを付して示す領域であり、第1吸収材41に形成された切込部43〔図4(b)参照〕の一部と、第2吸収材46に形成された切込部48〔図4(c)参照〕の一部とが、吸収体4の厚み方向に重なって形成されている。従って、閉鎖用開口領域45には、第1吸収材41及び第2吸収材46の何れも存在しない。
閉鎖用開口領域45は、図6に示すように、相対向する一対の縁部401,402を有し、図6(b)に示すように、何れの縁部401,402も、第1吸収材の切込部の縁部431により形成されている。閉鎖用開口領域45においては、相対向する何れの縁部401,402側においても、第1吸収材の切込部の縁部431の位置よりも第2吸収材の切込部の縁部481が後退した位置に位置しており、その結果、何れの縁部401,402側においても、縁部から該縁部に直交する方向の吸収体内部方向に向かって吸収材の層数が増加している。
【0014】
本実施形態の吸収体4は、例えば上述した使い捨ておむつ1に組み込まれて用いられると、該おむつ1が、弾性部材の収縮作用等により、図1に示すような立体的な形状に変形することに伴って、図5(c)及び図6(c)に示すように、腹側部4Aの閉鎖用開口領域40及び背側部Bの閉鎖用開口領域45がそれぞれ閉鎖され、該吸収体4も立体的な形状に変形する。ここでいう閉鎖には、閉鎖用開口領域が完全あるいはほぼ完全に閉じる場合のみならず、閉鎖用開口領域の相対向する一対の側縁間の距離が短くなる場合も含まれる。
【0015】
本実施形態の吸収体4によれば、閉鎖用開口領域40及び45を有するため、吸収体4が、吸収性物品に配された弾性部材の収縮作用等により、各閉鎖用開口領域又はその近傍において屈曲して容易に立体形状に変形する。そして、そのように変形しても、図5(c)及び図6(c)に示すように、閉鎖用開口領域を挟んで存在する、第1吸収材41又は第2吸収材46の縁部同士がぶつかることが防止されるため、吸収体4に不規則なシワが生じることを防止でき、着用者等に違和感を与えることを防止することができる。第1吸収材41の切込部の縁部が、第2吸収材46の切込部の縁部より後退した位置に位置している場合には、吸収体4が立体形状に変形した際に第2吸収材46の縁部同士がぶつかりやすい状態になるが、ぶつかっても、吸収材の層数がすくない部分がぶつかるため、吸収体4に不規則なシワが生じることを防止でき、着用者等に違和感を与えることを防止することができる。
【0016】
本発明における閉鎖用開口領域は、本実施形態における前記閉鎖用開口領域40,45のように、相対向する一対の縁部401,402の一方又は両方の側において、第2吸収材46の切込部の縁部が、第1吸収材41の切込部の縁部より後退した位置に位置していることが好ましく、前記閉鎖用開口領域45のように、相対向する一対の縁部401,402の両方の側において、第2吸収材46の切込部の縁部が、第1吸収材41の切込部の縁部より後退した位置に位置していることがより好ましい。
【0017】
また、本発明における閉鎖用開口領域は、本実施形態における前記閉鎖用開口領域45のように、相対向する一対の縁部401,402の何れもが、第1吸収材の切込部の縁部431により形成されているか、又は、相対向する一対の縁部401,402の何れもが、第2吸収材の切込部の縁部により形成されていることが、吸収体のシワを一層防止する観点から好ましい。
【0018】
また、本発明における閉鎖用開口領域は、本実施形における前記閉鎖用開口領域40のように、閉鎖用開口領域の相対向する一対の縁部401,402のうちの一方の縁部401側のみにおいて、第1吸収材の切込部の縁部421の位置と第2吸収材の切込部の縁部471の位置とが、閉鎖用開口領域の該縁部401に直交する方向にずれている場合、そのずれ幅L1〔図5(b)参照〕は、3〜20mmであることが好ましく、6〜15mmであることがより好ましい。
他方、本実施形における閉鎖用開口領域45のように、閉鎖用開口領域の相対向する一対の縁部401,402のうちの何れの縁部401側においても、第1吸収材の切込部の縁部431の位置と第2吸収材の切込部の縁部481の位置とが、閉鎖用開口領域の該縁部401,402それぞれに直交する方向にずれている場合、そのずれ幅L2〔図6(b)参照〕は、3〜20mmであることが好ましく、3〜12mmであることがより好ましい。
【0019】
閉鎖用開口領域の縁部から3mm〜20mm離間した位置に第2吸収材の切込部の縁部が位置すると、閉鎖用開口領域の閉鎖性とシワの発生防止の両方を同時に達成することが容易となる。3mm以上とすることにより、閉鎖時に第2吸収材の切込部縁部同士がぶつかり合って、シワが発生することを確実に防止でき、20mm以下とすることにより、おむつ等の着用時における、閉鎖用開口領域の閉鎖性が悪化することを防止することができる。
【0020】
本発明の吸収体においては、吸収体が2層以上の吸収材からなるため、吸収容量の維持ないし向上を図りつつ、吸収体に不規則なシワが生じることを防止することができる。即ち、単一の吸収材からなる吸収体に切込部を入れた場合には、その坪量の増大とともに、吸収体が立体形状とされたときに、切込部近傍にシワが発生しやすくなり、装着感の低下は免れない。本発明では、吸収体を複数の層に分け、それぞれにおける切込部の形状を変化させ、それらを重ねて閉鎖用開口領域を形成することにより、吸収容量の維持ないし向上を図りつつ、吸収体のシワの発生を抑制することができる。
【0021】
本実施形態の吸収体4においては、各吸収材41,46の平均坪量が600g/m2以下であり、且つ吸収体の平均坪量が250〜700g/m2であることが好ましい。
各吸収材41,46それぞれの平均坪量を600g/m2以下とすることにより、閉鎖用開口領域が閉鎖したときに吸収材にシワが発生し、該シワが装着感等に悪影響を及ぼすことを防止することができる。各吸収材41,46の平均坪量は、500g/m2以下であることがより好ましい。各吸収材41,46の平均坪量の下限値は、特に制限されるものではないが、吸収容量確保の点からは、60g/m2以上、特に90g/m2以上とすることが好ましい。
吸収体の平均坪量が250g/m2未満の場合は、本発明の技術を用いなくともシワの程度が小さく違和感も少ないが、使い捨ておむつのように、比較的吸収容量が要求される吸収性物品の吸収体については充分な吸収容量を確保することが難しくなる。他方、吸収体の平均坪量を700g/m2以下とすることにより、吸収容量は十分確保できると共に、吸収体の柔軟性の低下により閉鎖用開口領域の閉鎖性が低下し、装着感とともに吸収体の肌への密着性が低下することを防止することができる。吸収体の平均坪量は、350〜600g/m2であることが、十分な吸収容量を確保しつつ優れた装着感と吸収体の肌への密着性を容易に実現できることからより好ましい。
【0022】
各吸収材41,46の平均坪量は、各吸収材毎に、面積及び重量を測定し、重量を面積で除して算出する。
吸収体の平均坪量は、各吸収材の重量の総和を各吸収材が積層されて形成された積層物の外縁部で囲まれた面積で除して算出する。
【0023】
また、吸収体4は、第2吸収材41の平均坪量が、第1吸収材47の平均坪量よりも小さいことが、閉鎖用開口領域40,45の閉鎖時に、第2吸収材の切込部の縁部同士がぶつかってシワが生じても、その程度が小さく、違和感等の不都合が防止することができるので好ましい。
また、第2吸収材の切込部の縁部同士がぶつかった際のシワの程度を抑制するためには、第2吸収材の剛性を低下させておくことが好ましく、その手段としては第2吸収材を、吸収性ポリマーを含まない繊維組成物(パルプ、レーヨン、アセテートトウ等の繊維組成物あるいは、それらの組み合わせ)から構成することが好ましい。
【0024】
吸収体を構成する吸収材としては、パルプ繊維等の繊維の積繊物やパルプ繊維等の繊維と高吸水性ポリマーとの混合積繊物あるいはパルプ繊維等の積繊物の間に高吸水性ポリマーを散布したもの等、あるいは、それらにアセテートトウなどの繊維を含ませたり、紙や不織布等を組み合わせたりしたもの等を用いることができる。切込部42,43,47,48は、第1及び第2吸収材の一部を切除して形成したり、繊維の積繊物や高吸収性ポリマーとの混合積繊物を積繊する際に、切込部に相当する箇所に繊維等が堆積しないようにすることにより形成することができる。吸収体4は、繊維の積繊物や繊維と高吸水性ポリマーとの混合積繊物等からなる吸収材を、それぞれ、あるいは複数を積層したものであり、第1吸収材、第2吸収材以外の吸収材を含んでいても良い。吸収体4は、柔軟な薄紙や不織布等で被覆してもよく、閉鎖用開口領域にそのような柔軟な薄紙等が存在するものであっても良いが、吸収体4に不規則なシワが生じることを防止する観点から、薄紙等が閉鎖用開口領域の形状におおよそ沿うように切り取られていることが好ましい(切り取りという手段でなくても結果としてそのような形状になっていれば良い)。
【0025】
本実施形態の吸収体4においては、一対の閉鎖用開口領域40,40と一対の閉鎖用開口領域45,45とが、吸収体4の長手方向に離間して形成されており、図4(b)及び図4(c)に示すように、各閉鎖用開口領域40,40,45,45を形成する切込部42,43,47,48の開放端42a,43a,47a,48aが、何れも該吸収体4の長手方向の一方の端部(背側部側の端部)4E側(図4中の下方)に向いている。
閉鎖用開口領域を形成する総ての切込部を、それらの開放端が、吸収体の長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側に向くように形成することにより、吸収体の生産性が向上し、従来設備の大幅な改造を必要とすることなく比較的簡易で安価に製造することができる。切込部の一方が腹側方向、他方が背側方向を向いている場合には、生産時に進行方向と反対側に向いた切込部周辺において、風圧によって吸収体の一部に折れ千切れ等が発生しやすく、生産効率の低下を招く恐れがある。
【0026】
本実施形態の吸収体4は、図1〜図3に示すように使い捨ておむつ1に組み込まれて使用される。使い捨ておむつ1に組み込まれた状態において、吸収体4の前記閉鎖用開口領域45は、着用者の臀部付近に当接する部位に位置し、前記閉鎖用開口領域40は、着用者の腹部付近に当接する部位に位置している。
着用者の臀部又は腹部付近は、着用者の胴周り方向の曲率が大きい部位であるため、吸収体を着用者の肌に沿わせようとした場合には吸収体に不規則なシワが発生しやすい。吸収体4の腹側部4A又は背側部4B、特にその両者に閉鎖用開口領域を形成することで、吸収体のシワの発生を防止しつつ、おむつ着用時の装着感を効果的に向上させることができる。
【0027】
腹側部4Aの閉鎖用開口領域40は、不規則なシワの発生を防止しつつ、吸収体4を、脚周りないし下腹部の肌面形状に沿った曲面形状に変形させる観点から、その長手方向中心線L40と、吸収体4の長手方向中心線又はそれに平行な直線L4とのなす角度のうち鋭角の角度θ1〔図5(a)参照〕が、5〜30°であることが好ましく、より好ましくは5〜20°である。
背側部4Bの閉鎖用開口領域45は、不規則なシワの発生を防止しつつ、吸収体4を、脚周りないし臀部の肌面形状に沿った曲面形状に変形させる観点から、その長手方向中心線L45と、吸収体4の長手方向中心線又はそれに平行な直線L4とのなす角度のうち鋭角の角度θ2(図6(a)参照〕が30〜80°であることが好ましく、より好ましくは30〜60°である。
臀部と腹部の形状の違いを考慮すると、吸収体のフィット性向上、装着感向上の観点から、背側部4Bの閉鎖用開口領域45の前記角度θ2の値が、腹側部4Aの閉鎖用開口領域40の前記角度θ1の値よりも大きいことが好ましい。
尚、閉鎖用開口領域の長手方向中心線は、図6(a)に示すように、閉鎖用開口領域の切込部深さ方向の先端点P上に頂角の頂点403を有すると共に閉鎖用開口領域の相対向する一対の縁部401,402それぞれの上に底角の頂点404,405を有し、且つ一対の縁部401,402それぞれと2つの等辺とが交差しない、できるだけ大きな2等辺三角形を想定した場合に前記頂角を2等分する直線とする。閉鎖用開口領域の長手方向中心線が複数存在する場合は、それぞれについて測定する。閉鎖用開口領域の切込部深さ方向の先端付近が曲線ではなく直線であった場合は、直線を形成する線の長さを2等分する点を先端点Pとして長手方向中心線を引く。
【0028】
腹側部4Aの閉鎖用開口領域40の長さは、不規則なシワの発生を防止しつつ、吸収体4を、脚周りないし下腹部の肌面形状に沿った曲面形状に変形させる観点から10〜100mmであることが好ましく、より好ましくは15〜50mmである。
背側部4Bの閉鎖用開口領域45の長さは、不規則なシワの発生を防止しつつ、吸収体4を、脚周りないし臀部の肌面形状に沿った曲面形状に変形させる観点から20〜120mmであることが好ましく、より好ましくは20〜70mmである。
各閉鎖用開口領域の長さは、各閉鎖用開口領域毎に上記の2等辺三角形を想定したときの該2等辺三角形の頂角の頂点と底辺(両端に底角を有する辺)との間の距離とする。
【0029】
また、背側部4Bの閉鎖用開口領域45は、該領域を閉じた際にシワの発生が少ないことから、それぞれ、該領域の切込部深さ方向の先端点Pに向かうに従って漸次幅が減少する形状であることが好ましく、特に本実施形態におけるように、平面視して略U字状ないしV字状であることが好ましい。腹側部4Aの閉鎖用開口領域40についても同様である。背側部4Bの閉鎖用開口領域45は、不規則なシワの発生を防止しつつ、吸収体4を、脚周りないし臀部の肌面形状に沿った曲面形状に変形させる観点から、開放端側の開口幅が10〜100mmであることが好ましく、より好ましくは20〜60mmである。
開放端側の開口幅は、各閉鎖用開口領域毎に上記の2等辺三角形を想定したときの該2等辺三角形の底辺(両端に底角を有する辺)の長さとする。
【0030】
図1〜図3に示した使い捨ておむつ1について説明する。
使い捨ておむつ1は、図1〜3に示すように、パンツ型の使い捨ておむつであり、図3に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及び上述した吸収体4を備えている。
おむつ1は、図2に示すように、股下部に配される股下領域C並びにその前後に位置する腹側領域A及び背側領域Bに区分することができる。また、本おむつ1は、図2に示すように、おむつ横方向に延びるおむつ中心線CLを境にして前身頃Fと後身頃Gとに区分することができる。おむつ1は、腹側部Aの両側縁部A1,A1と背側部Bの両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイド接合部23,23、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6が形成されている。
【0031】
おむつ1は、図2及び図3に示すように、吸収性本体10と、該吸収性本体10の外面(着用者とは反対側に向けられる面)側に位置して該吸収性本体10を固定している外装体20とからなる。吸収性本体10は、表面シート2、裏面シート3、これら両シート間に挟持固定された吸収体4及び自由端に糸状弾性部材11aが配された一対の立体ガード11を具備する。外装体20は、図3に示すように、少なくとも2枚のシート、即ち、おむつ1の外表面(着用者とは反対側に向けられる面)を形成している外層シート21と、該外層シート21に隣接してその内側に積層接着された内層シート22とを具備し、これら両シート間に、後述する各部の弾性部材51,61,62,71,72が、ホットメルト型接着剤等の接着剤を用いて伸張状態で固定されている。
【0032】
図2に示すように、前身頃F及び後身頃Gそれぞれのウエスト開口部近傍5A,5Bには、おむつ横方向に沿ってウエスト弾性部材51が伸張状態で配されている。そして、これらのウエスト弾性部材51により、ウエスト開口部5の周囲に、実質的にその全周に亘るウエストギャザーが形成されている。
【0033】
また、おむつ1の前身頃F及び後身頃Gそれぞれのウエスト弾性部材51よりもおむつ横方向中央線CL側(図1に示す状態においては下方側)には、おむつ幅方向の両端部におけるよりもおむつ幅方向中央部側においておむつ横方向中央線CLに近づくように、それぞれ湾曲させて、前身頃湾曲弾性部材71及び後身頃湾曲弾性部材72が配されている。おむつ1における前身頃湾曲弾性部材71及び後身頃湾曲弾性部材72は、それぞれ、おむつ幅方向に分割された状態に配されており、吸収体4の幅方向中央部と重なる部分には、実質的に存在していない。
【0034】
また、おむつ1における、着用者の脚周りに配される部位であるレッグ部60それぞれには、第1及び第2のレッグ弾性部材61,62が配されている。これらのレッグ弾性部材61,62は、股下領域において重なるか又は近接しており、これらの弾性部材により、レッグ開口部6それぞれの開口周縁部に、実質的にその全周に亘って実質的に連続するレッグギャザーが形成されている。
【0035】
おむつ1に組み込まれた状態の吸収体4は、腹側部4Aが前身頃Fに位置し、背側部4Bが後身頃Gに位置している。そして、おむつ1が図1に示すような立体形状とされたときには、腹側部4Aの閉鎖用開口領域40は、主として、上述した弾性部材71及び61の収縮作用により閉じ、背側部4Bの閉鎖用開口領域45は、主として、上述した弾性部材72及び62の収縮作用により閉じるようになされている。
このように、吸収体4は、吸収体4が組み込まれる吸収性物品に配された弾性部材の収縮作用によって各閉鎖用開口領域40,45が閉じるようにして使用されることが好ましい。尚、吸収体4の弾性部材51,61,62,71,72,71,72の形成材料としては、使い捨ておむつ等に用いられる各種公知の弾性材料を用いることができ、例えば素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ウレタン等の伸縮性の素材を広く用いることができ、例えば形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状、マルチフィラメントタイプ等の、糸状や紐状のもの、或いは帯状のもの等を用いることができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されない。
例えば、本発明の吸収性物品の吸収体は、人の肌に当接させて使用される各種の吸収性物品の吸収体として用いることができ、成人用又は幼児用のパンツ型おむつの他、いわゆる展開型(テープ止め型)の使い捨ておむつ、使い捨ておむつの肌当接面に載置されて該おむつを併用される補助吸収パッド、失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、母乳パッドの吸収体として用いることもできる。
【0037】
また、吸収体を構成する吸収材の層数は3層以上であってもよい。この場合、第1吸収材は、吸収性物品の肌当接面側から最も離れた最下層の吸収材とし、第1吸収材に隣接して第1吸収材上に重なった吸収材を第2吸収材とし、3層目以降を、順に第3吸収材、第4吸収材とする。吸収材層が3層以上である場合は、総ての層において切込部の形状が異なり(例えば3層目と4層目が同一形状で完全に重なるということがなく)、閉鎖用開口領域の相対向する一対の縁部の一方又は両方において、当該縁部から離れるに従って、吸収材の層数が段階的に増加するようになされていることが、吸収体のシワ低減の観点から好ましい。
【0038】
また、上述した実施形態の吸収体4は、腹側部4A及び背側部4Bの両方に閉鎖用開口領域40,45を有していたが、何れか一方のみに閉鎖用開口領域を有するものであってもよい。また、上述した実施形態における閉鎖用開口領域45のように、相対向する一対の縁部それぞれの側において、第1吸収材の切込部の縁部より第2切込部の縁部の位置を後退させるのに代えて、図7に示すように、一方の縁部401側においては、第1吸収材41の切込部の縁部より第2切込部46の縁部の位置を後退させ、他方の縁部側402においては、第2吸収材46の切込部の縁部より第1吸収材41の切込部の縁部の位置を後退させた構成とすることもできる。
不規則なシワの発生を防止しつつ、吸収体4を、下腹部ないし臀部の肌面形状に沿った曲面形状に変形させる観点から、閉鎖用開口領域が吸収体4の長手方向端部にも形成していることが好ましく、少なくとも吸収体4の背側部側の端部4Eに形成していることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としての吸収体を組み込んだパンツ型おむつを、その前身頃側から見た状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のパンツ型おむつの展開且つ伸張状態を示す平面図である。
【図3】図3は、図2のX−X線断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態としての吸収体を示す図であり、図4(a)は、第2吸収材側から見た状態を示す平面図、図4(b)は、第2吸収材のみを示す平面図、図4(c)は、第1吸収材のみを示す平面図である。
【図5】図4に示す吸収体の腹側部に形成された閉鎖用開口領域の詳細を示す図であり、図5(a)は、図4の一部を拡大して示す平面図、図5(b)は、図5(a)のII−II線断面図、図5(c)は、閉鎖用開口領域が閉じた状態を示す図5(b)相当図である。
【図6】図4に示す吸収体の背側部に形成された閉鎖用開口領域の詳細を示す図であり、図6(a)は、図4の一部を拡大して示す平面図、図6(b)は、図6(a)のIII−III線断面図、図6(c)は、閉鎖用開口領域が閉じた状態を示す図6(b)相当図である。
【図7】本発明の他の実施形態としての吸収体を示す図であり、吸収体の背側部及びその近傍部のみを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 パンツ型おむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4A 腹側部
4B 背側部
4C 中央部
40,45 閉鎖用開口領域
41 第1吸収材
42,43 第1吸収材の切込部
46 第2吸収材
47,48 第2吸収材の切込部
401,402 閉鎖用開口領域の相対向する一対の縁部
5 ウエスト開口部
51 ウエスト弾性部材
A 腹側領域
B 背側領域
C 股下領域
F 前身頃
G 後身頃




 

 


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