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パンツ型使い捨ておむつ - 花王株式会社
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発明の名称 パンツ型使い捨ておむつ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−29507(P2007−29507A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−218567(P2005−218567)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
発明者 豊島 晴子 / 佐々木 純
要約 課題
おむつの着用中に着用者の動作等に起因するおむつのずれ落ちが起こりづらいパンツ型使い捨ておむつを提供すること。

解決手段
レッグ開口部の周縁部に配されたレッグ部弾性部材は、股下部Cの腹側部A寄りに固定された腹側弾性部材82と背側部B寄りに固定された背側弾性部材81とからなり、腹側弾性部材82が固定された領域182と背側弾性部材81が固定された領域181との間の領域183に配されておらず、吸収性コアの両側縁近傍に、側部立ち上げ用の弾性部材が長手方向に沿って配され、該吸収性コアの両側部が、おむつ着用時に起立するようになされており、おむつを着用したときに、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位に当接する領域91の装着圧がウエスト開口部の装着圧よりも高くなるようになされている。
特許請求の範囲
【請求項1】
吸収性コアを有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌当接面側に位置して該吸収性本体を固定している外装体とを具備し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、
一対の前記レッグ開口部それぞれの周縁部にレッグ部弾性部材が配され、該レッグ部弾性部材は、外装体の股下部の腹側部寄りに固定された腹側弾性部材と、該股下部の背側部寄りに固定された背側弾性部材とからなり、該レッグ部弾性部材は、外装体の長手方向における前記腹側弾性部材が固定された領域と前記背側弾性部材が固定された領域との間の領域に配されておらず、
前記吸収性コアの長手方向の両側縁近傍に、側部立ち上げ用の弾性部材が長手方向に沿って配され、該吸収性コアの両側部が、おむつ着用時に起立するようになされており、
おむつを着用したときに、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位に当接する領域の装着圧がウエスト開口部の装着圧よりも高くなるようになされているパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記領域は、おむつの腹側部及び背側部のそれぞれにおいて前記ウエスト開口部と前記レッグ開口部との間に位置し、腹側部及び背側部それぞれにおける該領域の装着圧が1.1〜2.5kPaとなされている、請求項1記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記吸収性コアは、少なくとも股下部において、中央吸収体と該中央吸収体の両側方に位置する一対のサイド吸収体とに分離しており、前記側部立ち上げ用の弾性部材が、一対の該サイド吸収体それぞれの外側縁近傍に配されている請求項1又は2記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記外装体は、股下部における両側縁の形状が、外方に向けて凹の略円弧状とされており、展開状態のおむつにいては、おむつの股下部の全域において、吸収性本体の両側縁よりおむつ幅方向外方に延出している請求項1〜3の何れかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記外装体に、おむつ幅方向に離間させて一対の廃棄用テープが設けられている請求項1〜4の何れかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ型使い捨ておむつにおいて、ウエスト開口部とレッグ開口部との間に、おむつの幅方向に延びる弾性部材を配したものが知られている。例えばおむつの少なくとも腹側が、コアの前端縁を境とする上下各最大20mmの範囲で画成される第1胴周り域と、該第1胴周り域とレッグ開口部との間に画成される第2胴周り域とを有し、第1胴周り域における弾性部材の各々の配列間隔寸法を、第2胴周り域における弾性部材の各々の配列間隔寸法よりも小さくしたパンツ型使い捨ておむつが提案されている(特許文献1参照)。このおむつは、第1胴周り域及び第2胴周り域における一定面積の当たりの面圧を実質的に等しくしつつ、肌に対する密着性に関し、第1胴周り域を第2胴周り域よりも良好にすることで、おむつの着用感を損なうことなく漏れを防止しようとするものである。
【0003】
また弾性部材の配設間隔を、レッグ開口部に向かうに連れて漸次狭くなるようにすることで、着用者の胴部腰骨の上部に強い収縮力が働くようにしたパンツ型使い捨ておむつも知られている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしこれらのおむつでは、着用中におむつがずれ落ちて外観が低下し、またずれ落ちに起因して着用者が動きにくくなるおそれがある。また、ウエスト開口部に強い締め付け圧が加わるので、おむつを着用させにくくなるおそれがある。
【0005】
また、パンツ型使い捨ておむつとして、レッグ部弾性部材を、レッグ開口部の周縁中央部に存在させないおむつが記載されている(特許文献3参照)。しかし、このおむつも、着用中におむつがずれ落ちやすく、また、ウエスト開口部に強い締め付け圧が加わるので、おむつを着用させにくくなるおそれがある。
【0006】
【特許文献1】特開平9−84826号公報
【特許文献2】実開平6−421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、吸収性コアを有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌当接面側に位置して該吸収性本体を固定している外装体とを具備し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、一対の前記レッグ開口部それぞれの周縁部にレッグ部弾性部材が配され、該レッグ部弾性部材は、外装体の股下部の腹側部寄りに固定された腹側弾性部材と、該股下部の背側部寄りに固定された背側弾性部材とからなり、該レッグ部弾性部材は、外装体の長手方向における前記腹側弾性部材が固定された領域と前記背側弾性部材が固定された領域との間の領域に配されておらず、前記吸収性コアの長手方向の両側縁近傍に、側部立ち上げ用の弾性部材が長手方向に沿って配され、該吸収性コアの両側部が、おむつ着用時に起立するようになされており、おむつを着用したときに、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位に当接する領域の装着圧がウエスト開口部の装着圧よりも高くなるようになされているパンツ型使い捨ておむつを提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、おむつの着用中に着用者の動作等に起因するおむつのずれ落ちが起こりづらい。特におむつの股下部のだぶつきが起こりづらい。従って、着用状態のおむつの外観を良好に保つことができる。おむつのずれ落ちに起因して着用者の動作が妨げられることもない。またおむつに配されている弾性部材が着用者の身体を過度に締め付けることが防止され、着用感が良好になる。またレッグ開口部に脚を通すときに、レッグ開口部の周縁部に脚が引っ掛りにくく、装着が容易である。また吸収性コアの側縁部が起立して着用者の鼠蹊部に良好に沿うため、ずれ落ちにくいこととも相俟って、着用中における尿や便の漏れの発生が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明について、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施形態の使い捨ておむつ1(以下、単におむつ1ともいう)は、いわゆるパンツ型のおむつであり、図1〜図6に示すように、液透過性の表面シート2と液保持性の吸収性コア4とを有する吸収性本体5を具備し、更に、吸収性本体5の非肌当接面側に外装体10を具備する。
このおむつ1は、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側に配される背側部Bと、その間に位置する股下部Cとに区分される。図2に示すように、展開状態(各部の弾性部材を伸張させ平面状に拡げた状態、図2に示す状態)のおむつにおいて、その両側縁が凹状とされた領域であり、該両側縁それぞれが、レッグ開口部の周縁を形成する。腹側部A及び背側部Bは、展開状態のおむつ1において、股下部Cの前後に位置し、おむつ着用時においては、腹側部Aが着用者の腹側に配され、背側部Bが着用者の背中側に配される。
【0011】
尚、本明細書において、「非肌当接面側」とは、吸収性本体などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面側である。また、「肌当接面側」とは、各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面側である。
【0012】
吸収性本体5は縦長矩形形状をなし、その長手方向を、おむつの長手方向に一致させて、腹側部Aから背側部Bに亘るように、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により前記外装体10の幅方向中央部に接合されている。
外装体10は、腹側部Aに位置する部分の両側縁部と背側部Bに位置する部分の両側縁部とが、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されており、これにより一対のサイドシール部が形成されている。また、その接合によって、おむつ1に、ウエスト開口部7及び一対のレッグ開口部8,8が形成されている。
おむつ1の上述の構成は、従来公知のおむつと同様である。
【0013】
おむつ1における吸収性コア4は、図2に示すように、中央吸収体41と中央吸収体41の両側方に対称的に設けられた一対のサイド吸収体42,42とを具備し、中央吸収体41と一対のサイド吸収体42,42とはそれぞれ少なくとも股下部において分離している。サイド吸収体42の長手方向一方部及び長手方向他方部は、それぞれ、中央吸収体41の長手方向一方部(腹側部)F及び長手方向他方部(背側部)Rで連設している。従って、中央吸収体41と一対のサイド吸収体42,42との間には、それぞれ、刳り貫かれた形状の切離部43,43が形成されている。吸収性コア4は、サイド吸収体42,42が少なくとも股下部Cに配されるように、おむつ1に配される。吸収性コア4は、サイド吸収体42,42が股下部Cに配されると共に、中央吸収体41の長手方向一方部Fが腹側部Aに位置するように配されている。
尚、長手方向一方部F、長手方向中央部M、長手方向他方部Rは、図3に示す状態の吸収性コア4において、その長手方向の全長を略3等分するように3領域に区分したときの各領域である。
【0014】
中央吸収体41は、T字型の上部吸収体411と、上部吸収体411より大きい砂時計型の下部吸収体412とからなる。上部吸収体411は、下部吸収体412の長手方向一方部Fから長手方向中央部Mに亘って下部吸収体412の肌当接面側に重ね合わされている。一対のサイド吸収体42,42は、下部吸収体412と一体的に形成されている。上部吸収体411及び下部吸収体412は、何れも、パルプ繊維等の繊維成分と高吸収性ポリマーとの混合積繊物からなる。吸収性コア4は、その全体が、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなる透水性の被覆シート(図示せず)で被覆されている。
【0015】
おむつ1においては、図2に示すように、一対のサイド吸収体42,42それぞれの外側縁42a,42aの近傍に、各サイド吸収体立ち上げ用の弾性部材9が長手方向に沿って配されている。弾性部材9は、おむつ1の幅方向においては、サイド吸収体42と吸収性本体4の両側縁との間に配されており、おむつ1の長手方向においては、おむつの腹側部Aと背側部Bとの間に亘るように、より具体的には、吸収性コア4の長手方向の略全長に亘るように配されている。弾性部材9は隣接する表面シート2に伸張状態で接合されており、おむつ着用時には、該弾性部材9が収縮することにより各サイド吸収体42,42が起立するようになされている。
【0016】
吸収性本体5の長手方向の両側には、図2、図4及び図5に示すように、一対の防漏カフ6,6が形成されている。防漏カフ6は、それぞれ、おむつ長手方向に延びるように形成されている。防漏カフ6は、吸収性本体5に接合された防漏カフ形成用シート60、防漏カフ形成用シート60の自由端近傍に伸長状態で固定された防漏カフ形成用の弾性部材61を備えている。
おむつ1においては、防漏カフ形成用シート60として、所定幅の帯状の撥水性シート1枚を、その長手方向に沿う折り曲げ線で二つ折りして、相対向する層間をホットメルト型接着剤又は部分的な熱シール若しくは超音波シール等で接合した2層構造のシートを用いており、防漏カフ形成用の弾性部材61は、この2層構造シートの層間に伸張状態で固定されている。
防漏カフ6は、図4に示すように、その長手方向の両端部において、自由端側がおむつ幅方向外向きに折り返された態で、表面シート2(吸収性本体5の肌当接面)に固定されている。
【0017】
おむつ1においては、図4及び図5に示すように、表面シート2が、吸収性コア4の肌当接面4a側の全域、吸収性コア4の幅方向両側縁部4b,4bの全域及び吸収性コア4の非肌当接面4c側のおむつ幅方向両側部近傍を被覆している。表面シート2の両側端部21,21は、それぞれ更に中央吸収体41の非肌当接面側の一部も被覆している。また、おむつ1における吸収性本体5は、吸収性コア4の非肌当接面4c側の全域を被覆する液不透過性の裏面シート3を有し、裏面シート3は、吸収性コア4と、吸収性コア4の非肌当接面4c側のおむつ幅方向両側部近傍を被覆する表面シート2との間に挟持固定されている。
【0018】
表面シート2は、その両側端部21,21において、裏面シート3及び防漏カフ形成用シート60にヒートシール等の接合手段により接合固定されて、本体接合固定部67,67を形成している。本体接合固定部67は、図5に示すように、サイド吸収体42の内側縁における最内側点(サイド吸収体42において最も幅方向内方に位置する部分)よりおむつ幅方向内方にある。本体接合固定部67は、ヒートシール、高周波シール、超音波シール、ホットメルト型の接着剤等の公知の接合手段を用いて、防漏カフ形成用シート60と表面シート2の側端部21と裏面シート3とを接合することにより形成されている。
【0019】
吸収性コア4の肌当接面4a側を被覆する表面シート2と、吸収性コア4の非肌当接面側4c側を被覆する裏面シート3とは、図5に示すように、股下部において吸収性コア4の切離部43を通して接合されて表裏面接合部22を形成している。尚、切離部43には、前記被覆シート(図示せず)が存しているため、表面シート2及び裏面シート3は、該被覆シートを介して接合されている。
【0020】
外装体10の肌当接面側には、防漏カフ形成用シート60及び吸収性本体5が順次接合されている。外装体10と防漏カフ形成用シート60とが接合固定された接合固定部13の幅方向外方端は、本体接合固定部67よりおむつ幅方向外方に位置している。
【0021】
外装体10は、図2、図4及び図5に示すように、少なくとも二枚の不織布、即ち外層不織布11と該外層不織布11の内面側に配された内層不織布12とを有している。外層不織布11はおむつ1の外面をなし、内層不織布12は外層不織布11の内面側に、ホットメルト粘着剤等の接着剤によって接合されている。外層不織布11は、内層不織布12の前後端縁(長手方向の両端縁)よりそれぞれ延出した延出部を有し、延出した部分が吸収体本体5側に折り返されている。折り返された外層不織布11は、吸収体本体5の前後端部上(即ち吸収体本体5の前後端部における表面シート2上)を被覆している。
【0022】
外装体10における前後端部には、図6に示すように、前後端縁に沿って、複数のウエスト部弾性部材71、71がその幅方向に亘り配されている。各ウエスト部弾性部材71、71は、外層不織布11と内層不織布12とによって伸張状態で挟持固定されている。各ウエスト部弾性部材71、71は、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを互いに接合(接合部分)させたときに、両弾性部材71、71の端部同士が重なるように配されているか、両接合部分まで両弾性部材71、71の端部が連続配置されている。これによって、図1に示すように、おむつ1のウエスト開口部7の付近には実質的に連続したリング状のウエストギャザーが形成される。
【0023】
一対のレッグ開口部8,8それぞれの周縁部を形成する、股下部Cにおける外装体10の両側部には、それぞれの側縁部に沿ってレッグ部弾性部材が配されている。各レッグ部弾性部材は、外層不織布11と内層不織布12との間に配されており、所定の接合手段によって、両不織布11、12に伸張状態で固定されている。各レッグ部弾性部材は、図6に示すように、外装体の股下部Cの腹側部A寄りに固定された腹側弾性部材82と、該股下部Cの背側部B寄りに固定された背側弾性部材81とからなり、該レッグ部弾性部材(レッグ開口部の周縁部に沿って配された弾性部材)は、外装体の長手方向における、腹側弾性部材82が固定された領域182と背側弾性部材81が固定された領域181との間の領域183に配されていない。レッグ部弾性部材が配されていない領域183は、股下部における外装体の最小幅部の近傍に位置することが好ましく、また、展開状態のおむつの長手方向において5〜15cm程度の長さに亘っていることが好ましい。他方、領域181及び領域182は、それぞれ、展開状態のおむつの長手方向において3〜10cm程度の長さに亘っていることが好ましい。
腹側弾性部材82の腹側部A側の端部は、腹側部Aの側縁の位置において終端しており、背側弾性部材81の背側部B側の端部は、背側部Bの側縁の位置において終端している。各弾性部材81,82は、おむつ1のレッグ開口部の周縁部における、前記領域183部分を除く部分にレッグギャザーを形成している。
【0024】
おむつ1においては、おむつ1の腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるウエスト開口部7とレッグ開口部8との間に、おむつ1の幅方向に延びる弾性部材が多数配されている。弾性部材が配されることによって、ウエスト開口部7とレッグ開口部8との間には、図6に示すように、おむつ1の幅方向に延在する第1領域91と第2領域92とが形成されている。第1領域91には第1弾性部材91aが配されており、第2領域92には第2弾性部材92aが入れている。第1領域91はウエスト開口部7とレッグ開口部8との間に位置し、第2領域92は第1領域91とレック開口部との間に位置している。
【0025】
第1弾性部材91a及び第2弾性部材92aは何れも外層不織布11と内層不織布12とによって伸張状態で挟持固定されている。第1弾性部材91aは、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを互いに接合させたときに、腹側部Aの第1弾性部材91aと背側部Bの第1弾性部材91aとの端部同士が重なるように配されているか、両接合部分まで各弾性部材91a、91aの端部が配置されている。第2弾性部材92aについても同様である。
【0026】
第1弾性部材91a及び第2弾性部材92aは何れも、おむつ1の左右両側縁(即ち外装体10の左右両側縁)と吸収性コア4の左右両側縁との間に亘って延在している。そして、吸収性コア4が存在している部位には、第1弾性部材91a及び第2弾性部材92aは何れも実質的に存在していない。その結果、第1領域91及び第2領域92に形成されるギャザーは、おむつ1の左右両側縁と吸収性コア4の左右両側縁との間に位置しており、吸収性コア4が存在する位置にはギャザーが実質的に形成されていない。これにより、装着状態においても吸収性コア4が存在している部位は、第1弾性部材91a及び第2弾性部材92aの収縮により外装体10が縮むことがなく、おむつ1は外観的にも、また吸収性能的にも良好なものとなる。
【0027】
本実施形態のおむつ1における各弾性部材としてはそれぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、伸縮性不織布又はホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)、帯状(平ゴム)、ネット状(網状)又はフィルム状に形成したものが好ましく用いられる。
【0028】
本実施形態のおむつ1においては、第1領域91におけるおむつ1の着用時の圧力が1.1〜2.5kPaとなされている。第1領域91は、おむつ1を着用したときに着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位(以下、腸骨領域ともいう)に当接する部位に好ましくは形成されている。腸骨稜及び上前腸骨棘は解剖学の用語である。腸骨稜とは図7において15で示される部位であり、上前腸骨棘とは同図において16で示される部位である。従来、パンツ型おむつの着用中のずれ落ちを防止するためには、特に幼児用のパンツ型使い捨ておむつの着用中のずれ落ちを防止するためには、ウエスト開口部に配設する弾性部材の締め付け圧を高くして、該ウエスト開口部によってパンツ型おむつを着用者の身体に密着させることが有効であると考えられてきた(例えば、先に述べた特許文献2参照)。しかし本発明者らの検討の結果、パンツ型おむつの着用中のずれ落ちを効果的に防止するためには、ウエスト開口部の締め付け圧を高くするよりも、着用者の腸骨領域に対応するおむつの部位の締め付け圧を従来よりも高めることが有効であることが見出された。この理由は、着用者、特に幼児は、その身体的な特徴として腹まわりが張り出しているので、当該張り出している腹まわりに当接するウエスト開口部の締め付け圧を高くすると、その締め付け圧が高い故にウエスト開口部が次第に絞り込まれて、腹まわりが細くなる部位にまで該ウエスト開口部がずれ下がってくるからである。
【0029】
図8は赤ちゃんの体を円錐に見立てた状態を示している。図中、θはウエスト部(点A)における接線に対する垂線と、体の中心に向かう水平線のなす角度を表し、Fは弾性体の締め付け力を示し、PはFに起因する摩擦力を示し、f1はFに起因するズレ落ち力を示し、f2は垂直抗力を示している。ここで、f1=Fsinθであり、またP=νN=νf2=νFcosθ(νは摩擦係数を表す)であるから、点Aにおける下方に向くずれ落ち力Zは次式で表される。
Z=f1−P=Fsinθ−νFcosθ=F(sinθ−νcosθ)
この式から、ウエスト部がずれ落ちの生じる状態にある場合、締め付け力(F)が大きい程ずれ落ち力が大きくなることが理解できる。
【0030】
前述した通り、第1領域91におけるおむつ1の着用時の圧力は1.1〜2.5kPaである。第1領域91におけるおむつ1の着用時の圧力が1.1kPa未満であると、おむつ1の第1領域91を着用者の腸骨領域に固定することが困難となり、その結果おむつ1がずれ落ちてしまい、着用状態でのおむつ1の外観が非常に低下してしまう。特に、おむつ1の股下部Cでのだぶつきが顕著になってしまい、また尿および便の漏れの原因となる。一方、第1領域91におけるおむつ1の着用時の圧力が2.5kPa超であると、着用者の身体を過度に締め付けてしまうほか、おむつ1の装着操作が困難になってしまう。おむつ1のずれ落ちを一層効果的に防止し、また着用状態でのおむつ1の外観やおむつ1の装着操作を一層向上させる観点から、第1領域91におけるおむつ1の着用時の圧力は1.1〜2.0kPaであることが好ましく、1.2〜1.8kPaであることが更に好ましい。
【0031】
第1領域91におけるおむつ1の着用時の圧力は、例えば第1弾性部材91aの素材や太さ、伸長率、或いは配設間隔を調整することでコントロールすることができる。
【0032】
第1領域91におけるおむつ1の着用時の圧力は、周長が500mmの円筒におむつ1を装着し、装着圧測定装置((株)エイエムアイ・テクノ製の接触圧測定器(AMI3037−2))によって測定される。具体的な測定法は以下の通りである。
【0033】
〔第1領域91の圧力の測定方法〕
φ=15mmのエアパックを用い、ウエスト開口部の先端部にエアパックの中心が位置するようにセットし、装着圧(P1)を測定する。エアパックをセットするおむつ幅方向の位置は、おむつの左右両側縁と吸収性コア4の左右両側縁とのほぼ中心とする(図6中、Eの位置)。続いておむつ1の長さ方向に5mmエアパックの中心を移動させ装着圧(P2)を測定する。同様に5mm間隔で測定を行い、P3,P4,P5,・・・,Pnを得る。P1ないしPnの測定は外装体10におけるウエスト開口部からレッグ開口部までの左右両側部どうしが互いに接合されている範囲にわたって行う。P1ないしPnは腹側部において、左右2点ずつ計4点測定を行う。これらの平均値を腹側部の装着圧とする。同様に背側部においても、計4点測定を行い、平均値を背側部の装着圧とする。P1からPnの値において1.1〜2.5kPaに連続的に該当する部位間の距離を第1領域91の幅とする。例えば、P3からP6までが該当する場合、領域の幅=(6−3)×5=15mmとする。またその時の第1領域91の中心は測定点3と測定点6の中点とする。
【0034】
円筒の周長を500mmとした理由は、本実施形態のおむつ1を着用する主たる対象者である幼児の腹まわりの長さの平均がおおよそ500mmであることによる。なお、ここで言う腹まわりの長さは、幼児の姿勢が変化した時の腹まわりの周長の変化を考慮し、立位および座位で測定した腹まわりの平均値である。成人用のおむつの場合には、周長500mmの円筒に代えて、周長850mmの円筒を用いる。
【0035】
着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位には一定の幅があり、当該幅の範囲内でおむつ1の第1領域91を当該部位に固定することで、おむつ1のずれ落ちを効果的に防止することができる。この観点から、本実施形態のおむつ1においては、第1領域91の幅(つまり、おむつ1の長手方向に沿う第1領域91の長さ)W1を12〜35mmとしている。この幅W1が20〜35mm、特に25〜30mmであると、おむつ1のずれ落ちを一層効果的に防止することができ、また着用状態でのおむつ1の外観やおむつ1の装着操作(はかせやすさ等)を一層向上させることができる。
【0036】
おむつ1を着用した状態で、第1領域91が着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位に当接するようにするためには、おむつ1の寸法と着用者の体格との関係が重要である。例えばパンツ型おむつの主たる着用対象者である幼児を考えた場合、おむつ1の展開状態において、腹側部Aの第1領域91の中心位置(おむつ1の長手方向に沿う中心位置)とおむつ1の長手方向中心線CLとの間の距離K1を180〜230mmとし、且つおむつ1の展開状態において、背側部Bの第1領域91の中心位置(おむつ1の長手方向に沿う中心位置)とおむつ1の長手方向中心線CLとの間の距離K2を180〜230mmとすることで、第1領域91を着用者の腸骨領域に首尾良く当接させることができる。この値はパンツおむつの主たる着用対象者である幼児約350人の身体計測を実施して決定されたものである。具体的には図9に示すように、上前腸骨棘の水平位置高さにある腹側部左右中心点を上前腸骨棘高前中心とし、背側部を上前腸骨棘高後中心とすると、上前腸骨棘高前中心から股下を経由し上前腸骨棘高後中心までの長さを上前腸骨棘高前後長とし、この上前腸骨棘高前後長におむつの材料による厚み等を考慮した必要長を加えて得られた数値を二分したものである。当該距離K1およびK2を185〜220mm、特に195〜215mmとすることで、第1領域91を着用者の腸骨領域に一層首尾良く当接させることができる。
成人用のおむつの場合には、当該距離K1およびK2を300〜350mm、特に305〜335mmとすることで、第1領域71を着用者の腸骨領域に一層首尾良く当接させることができる。
【0037】
第1領域91は腹側部A及び背側部Bに存在するが、腹側部A及び背側部Bにおける装着時の圧力は全く同じである必要はない。即ち、腹側部A及び背側部Bにおける第1領域91の装着時の圧力が1.1〜2.5kPaであることを満たせば、弾性体の素材、太さ、伸長率、配設間隔は腹側部A及び背側部Bにおいて異なっていてもよい。しかし、腹側部A及び背側部Bの第1領域91の構成が過度に異なると、外装体10における長手方向前後端部の左右両側部どうしが互いに接合されている部位が、装着時において前後いずれかにずれてしまい、おむつ1の外観に不具合が生じることがある。そこで、腹側部A及び背側部Bにおける第1領域91の装着時の圧力の大きい方をA、小さい方をBとした時、(A−B)/Aの比が30%以内であることが好ましい。
【0038】
本発明において、おむつ1の長手方向中心線CLとは、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とが実質的にずれることなく互いに接合されている場合においては、おむつ1の展開状態におけるA1、B1の中点を通るおむつ幅方向に沿う直線のことをいう(図6参照)。これと異なり、例えば図10(a)及び(b)に示すように、腹側部Aの両側縁A1,A2が、背側部Bの両側縁B1’,B2’と接合されておらず、両側縁B1’,B2’よりも長手方向内方の位置であるB1,B2において接合されている場合においては、B1,B2からB1’,B2’にかけての領域をないものと仮定した上で、前述と同様に、おむつの長手方向中心線を定める。
【0039】
なお、おむつ1の展開状態における外装体10の全長L(図6参照)は任意に設定可能であるが、おむつ装着時および使用後の「すっきり感」および「ずれ落ち防止性」を考慮すると、幼児用のおむつにおいては、470〜540mmに設定することが好ましく、「装着時の安心感」を考慮すると、おへそを完全にカバーすることが望ましく、その観点から490〜580mmに設定することが好ましい。成人用おむつにおいては、780〜830mmに設定することが好ましく、おへそを完全にカバーする観点から800〜880mmに設定することが好ましい。
【0040】
先に述べた通り、本実施形態におむつ1においては、主として、第1領域91に配された第1弾性部材91aによる締め付け力によっておむつ1を着用者の身体に固定している。換言すれば、従来のパンツ型おむつと異なり、ウエスト開口部7に配された弾性部材による締め付け力は、本実施形態のおむつ1においては、おむつ1を着用者の身体に固定するための主たる手段ではない。逆にウエスト開口部7の締め付け力を高くしてしまうと、おむつ1のずれ落ちが助長されてしまうことが本発明者らによって確認されている。この観点から、本実施形態のおむつ1においては、おむつ着用時のウエスト開口部7の圧力は、従来のパンツ型おむつのそれよりも低い値である0.3〜1.2kPaとなされている。この圧力は、おむつ着用時の第1領域91の圧力の平均値よりも0.5〜1.0kPa低いことが好ましい。また、おむつ着用時のウエスト開口部7の圧力を前記範囲内とすることで、おむつ1の着用時にウエスト開口部7を拡開しやすくなり、装着操作を行いやすくなるという利点もある。なおウエスト開口部7の圧力が0.3kPa未満であると、装着する前のおむつ1の自然長が大きくなり、衣服として見たときの見映えが悪い等の不具合が生じることがある。
【0041】
おむつ着用時のウエスト開口部7の圧力が、より好ましくは0.4〜1.0kPa、更に好ましくは0.4〜0.8kPaとなされていると、おむつ1のずれ落ちを一層効果的に防止することができる。ウエスト開口部7の圧力は、先に述べた第1領域91の圧力と同様の方法によって測定することができる。即ち、おむつ1のウエスト開口部7に周長500mmの円筒を挿入(装着)し、ウエスト開口部の先端部よりおむつ長手方向に15mmの位置に装着圧測定装置のエアパックの中心を位置させ装着圧を測定する。測定は円周方向に50mm間隔にて10点行い、その平均値をもってウエスト開口部の圧力とする。図10(a)及び(b)に示すように、腹側のウエスト開口部の端縁の位置と、背側のウエスト開口部の端縁の位置とがずれている場合は、腹側と背側とが重なっている領域のうち、最も端部寄りの位置をもってウエスト開口部とする。ウエスト開口部7の圧力は、例えばウエスト部弾性部材71の素材、太さや伸長率、或いは配設間隔を調整することでコントロールすることができる。尚、ウエスト開口部7の圧力が第1領域91の圧力の範囲に入る場合は、当該位置は第1領域91に含まれるものとする。成人用のおむつの場合には、周長500mmの円筒に代えて、周長850mmの円筒を用いる。
【0042】
本実施形態のおむつ1においては、おむつ着用時の、第1領域91、ウエスト開口部7及びレッグ開口部6以外の領域、例えば第1領域91とレッグ開口部6との間に位置する第2領域92の圧力が好ましくは0.2〜0.8kPa、更に好ましくは0.3〜0.6kPaになされている。これによって、おむつ1を着用者の身体に適度な圧力で密着させることができ、液漏れを効果的に防止することができる。第2領域92は、おむつ1を着用した場合に、着用者の腸骨領域の下側の領域(下腹部)に当接する。第2領域92の幅(つまり、おむつ1の長手方向に沿う第2領域92の長さ)W2は40〜70mm、特に45〜65mmであることが好ましい。
【0043】
これに関連して、おむつ1においては、おむつ着用時の、ウエスト開口部7、第1領域91及び第2領域92の圧力を比較したときに、第1領域91の圧力が最も高く、次いでウエスト開口部7の圧力が高く、第2領域92の圧力が最も低いことが好ましい。各部位の圧力にこのような序列を設けることで、着用中のおむつ1のずれ落ちが効果的に防止されるのみならず、おむつ1が着用者の身体に違和感なく密着し、液漏れが効果的に防止される。
【0044】
本実施形態のおむつ1は、幼児用のおむつである場合、おむつの展開状態において、中央吸収体41の両側縁41a,41aから各サイド吸収体42の外側縁42aまでの距離K3(図3参照)が30〜55mmであることが好ましく、35〜50mmであることがより好ましく、前記距離K1(図6参照)と前記距離K3との比(K1/K3)及び前記距離K2(図6参照)と前記距離K3との比(K2/K3)がそれぞれ3.3〜7.7であることが好ましく、4.0〜6.6であることがより好ましい。
他方、本実施形態のおむつ1が、成人用のおむつである場合、おむつの展開状態において、中央吸収体41の両側縁41a,41aから各サイド吸収体42の外側縁42aまでの距離K3(図3参照)が50〜80mmであることが好ましく、55〜75mmであることがより好ましく、前記距離K1(図6参照)と前記距離K3との比(K1/K3)及び前記距離K2(図6参照)と前記距離K3との比(K2/K3)がそれぞれ3.5〜7.0であることが好ましく、4.0〜6.4であることがより好ましい。
【0045】
K1、K2及びK3を、上記の条件を満たすように設定することで、図11に示すように、おむつ着用時に、起立したサイド吸収体42を、股間部においてヨレ曲がったり、肌から離れさせたりすることなく、着用者の鼠蹊部に良好にフィットさせることができ、サイド吸収体43の存在による股間部の垂れ下がりを効果的に防止することができるため、おむつのずれ落ちが防止できる。
【0046】
漏れ防止性を向上させる従来の技術として、股下部における吸収性コア4を、中央吸収体41とその両側に位置するサイド吸収体43とから構成し、そのサイド吸収体42を着用時に起立させる技術は知られていたが、従来のおむつにおいては、そのような構成が、おむつのずれ落ちを助長していたことを本発明者らは知見した。本発明者らは、更に、K1、K2及びK3が上記の条件を満たすようにすることで、そのようなずれ落ちの助長を防止でき、更に尿を吸収したときの股間部の垂れ下がりも防止できることを知見した。本おむつ1においては、K1、K2及びK3を上記の条件を満たすように設定することで、サイド吸収体42によるずれ落ちの助長及び吸液時の股間部の垂れ下がりを効果的に防止することができる。
【0047】
サイド吸収体42によるずれ落ちの助長及び吸液時の股間部の垂れ下がりを一層防止する観点から、前記距離K3は、35〜50mm、特に35〜45mmがより好ましく、前記比(K1/K3)及び前記比(K2/K3)は、それぞれ、3.6〜6.6、特に4.0〜6.6がより好ましい。
成人用のおむつである場合には、前記距離K3は、55〜75mm、特に60〜70mmであることが好ましく、前記比(K1/K3)及び前記比(K2/K3)は、それぞれ、4.0〜6.4、特に4.3〜5.8であることが好ましい。
尚、前記距離K3は、おむつの長手方向中心線CL上において測定する。
【0048】
サイド吸収体42によりずれ落ちが助長されるのを一層防止する観点から、中央吸収体41のおむつ長手方向中心線CL上における幅W(図3参照)は、幼児用のおむつにおいては、好ましくは35〜55mm、更に好ましくは40〜50mmであり、成人用のおむつにおいては、好ましくは45〜65mm、更に好ましくは50〜60mmである。また、前記距離K3と前記幅Wとの比(K3/W)は、好ましくは0.6〜1.4、更に好ましくは0.7〜1.1である。また、長手方向中心線CL上における吸収性コア4の幅(K3×2+W)は、幼児用おむつについては、好ましくは100〜150mm、更に好ましくは100〜140mmであり、成人用おむつについては、好ましくは190〜220mm、更に好ましくは190〜210mmである。
【0049】
起立したサイド吸収体42の先端部が、サイド吸収体42の長手方向の広い範囲に亘って、着用者の鼠蹊部に良好にフィットするようにし、ずれ落ちの助長を一層防止する観点から、股下部Cにおける中央吸収体41とサイド吸収体42との間の切離部43は、図3に示すように、吸収性コア4の長手方向の中央部付近において最も幅が広くなっており、長手方向の前後端それぞれに向かって、その幅が漸次減少する形状であることが好ましく、図3に示すように、サイド吸収体42の内側縁が直線状で、中央吸収体41の両側縁が、その長手方向の中央部付近においては直線状ないしやや湾曲した円弧状で、その長手方向の前後端それぞれに向かって漸次、サイド吸収体42の内側縁に近づくような形状であることがより好ましい。サイド吸収体42の全長L1(図3参照)は、170〜220mm、特に175〜210mmであることが好ましい。
【0050】
本実施形態のおむつ1の各部を構成する材料としては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限無く用いることができる。例えば、表面シート2としては、親水性且つ液透過性の不織布や、開孔フィルムを用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性の材料や撥水性の材料を用いることができる。液不透過性の材料としては、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができ、撥水性の材料としては、撥水性不織布等を用いることができる。撥水性不織布としては、後述する防漏カフ形成用シートの形成材料としての不織布と同様のものを用いることができる。
【0051】
吸水性コア4としては、パルプ繊維、連続繊維(トウ)等からなる繊維集合体、又は繊維集合体と吸水性ポリマーとからなるもの(吸水性ポリマーと繊維材料との混合積繊物)等を用いることができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。吸収性コア4を構成する繊維としては、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース等の親水性繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル、ポリアミド等の縮合系繊維等を用いることできる。吸水性ポリマー及び繊維は、それぞれ一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
防漏カフ形成用シートとしては、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド等からなる多層構造の複合不織布、スパンボンド不織布、ヒートボンド不織布、エアスルー不織布等を用いることができ、柔軟性、耐水性などの点から、スパンボンドとメルトブローンとからなる多層構造の不織布が好ましく、坪量は12g/m2程度が好ましい。防漏カフ形成用シートは、JIS L1092(1998年度)繊維製品の防水性試験方法における、耐水度試験(低水圧法)に準じて測定した耐水圧が好ましくは3cm以上であり、より好ましくは5cm以上である。耐水圧の測定の際には、水を入れた水準装置を10±0.5cm/minの速度で上昇させ、試験片の裏側に3カ所から水が出たことを目視にて観察し、その時点の水位を測定する。尚、試験片の取り付けが完了したら遅滞なく測定する。
【0053】
本実施形態のおむつ1によれば、第1領域91が、着用者の腸骨領域に良好にフィットして、おむつのずれ落ちを効果的に防止する一方、起立したサイド吸収体(吸収性コアの両側部に相当)が着用者の鼠蹊部に良好にフィットして、該サイド吸収体によるずれ落ちの助長が起こりにくいので、おむつの着用中に着用者の動作等に起因するおむつのずれ落ちが起こりづらい。従って、着用状態のおむつの外観を良好に保つことができ、おむつのずれ落ちに起因して着用者の動作が妨げられることもない。またウエスト弾性部材等によらずに、ずれ落ちが効果的に防止されるので、おむつに配されている弾性部材が着用者の身体を過度に締め付けることが防止することができ、着用感が良好になる。
股下部Cに位置する外装体10の両側部にレッグ部弾性部材が配されていない領域183が形成されており、またレッグ開口部に脚を通すときに、レッグ開口部の周縁部に脚が引っ掛りにくく、装着が容易である。また吸収性コアの側縁部が起立して着用者の鼠蹊部に良好に沿うため、ずれ落ちにくいこととも相俟って、着用中における尿や便の漏れの発生が抑制される。
【0054】
また、おむつ1における外装体10は、図2及び図6に示すように、股下部Cにおける両側縁の形状が、外方に向けて凹の略円弧状とされており、展開状態のおむつにいては、おむつの股下部Cの全域において、吸収性本体5の両側縁よりおむつ幅方向外方に延出している。
【0055】
また、おむつ1における外装体10の背側部Bの非肌当接面には、おむつ幅方向に離間させて一対の廃棄用テープ18,18が設けられている。図1には、廃棄用テープ18の摘み部分のみが示されている。廃棄用テープ18は、長手方向に折り畳んだ状態で設けられており、使用時には、おむつ幅方向と同方向に伸長させ、伸長方向の先端付近に設けられた粘着部を、丸めた状態のおむつの適当な箇所に止着することで、使用後のおむつをコンパクト且つ衛生的な状態に固定し、衛生的に廃棄することができる。廃棄用テープ18としては、各種公知のものを用いることができ、粘着部に代えて、機械的ファスナーからなる止着部を備えたものや、伸長性のテープ基材を用いたもの等を用いることもできる。
【0056】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されるものではない。
また、吸収性コア4として、股下部Cで中央吸収体41とサイド吸収体42とに分離されていないものを用い、該吸収性コア4の両側部を、該吸収性コア4の両側縁近傍に配した弾性部材9により起立させるようにしても良い。
【0057】
また、吸収性コアは、図12に示すような構成のものであってもよい。図12中、符号44は、吸収性コア41を被覆するティッシュペーパー(台紙)であり、図12においては、吸収性コア4の肌当接面側を被覆する部分を除去して示してある。尚、図12に示す吸収性コア4は、排泄ポイント近傍に多層構造を有しないが、上述したおむつ1と同様に、これらの吸収性コア4の中央吸収体41部分を2層構造等の多層構造とすることもできる。
図12(a)に示す吸収性コア4は、中央吸収体41と一対のサイド吸収体42が一体的に形成された単層の吸収体から構成されている。図12(b)に示す吸収性コア4は、サイド吸収体42が中央吸収体41の長手方向一方部で連接されているが、長手方向他方部で連設されておらず、切離部43の長手方向他端部が開放している。図12(c)に示す吸収性コア4は、サイド吸収体42が中央吸収体41と連設しておらず、切離部43の長手方向両端部が開放している。
【0058】
吸収性コア4の側部立ち上げ用の弾性部材9の配置位置は、収縮して吸収性コアの側部を立ち上げることができればよく、その配置位置は、吸収性コア4の肌当接面側の面と表面シート2との間、吸収性コア4の非肌当接面側の面と、該面側に折り返された表面シート2との間等であっても良い。
【0059】
また、上述したおむつ1においては腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを互いに接合してサイドシール部を形成したが、これに代えて、ホック、ボタン、面ファスナーなどの各種係合部材で予め係合させて、パンツ型の形状となしてもよい。また腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2との接合又は係合位置は、身体の真横の位置に限られず、身体のやや前寄り又は後寄りの位置であってもよい。更に、上述したおむつ1においては外装体10を外層及び内層不織布12,13から構成したが、外装体の材料はこれに限られず、例えば不織布と撥水性シートとの積層シートであってもよい。また、外装体10は、腹側部A及び背側部Bにおいては多層構造とし、股下部においては単層構造とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の本実施形態としてのパンツ型おむつの斜視図である。
【図2】図1に示すおむつをサイドシール部で切り離して展開し、各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態について一部破断して示す平面図である。
【図3】図1に示すおむつにおける吸収性コアを示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のC−C断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面を模式的に示す横断面図である。
【図5】図2のCL線に沿う断面を模式的に示す横断面図である。
【図6】図2における外装体の展開状態を示す平面図である。
【図7】腸骨を示す説明図である。
【図8】着用者のウエスト部におけるずれ落ち力の算出方法を示す説明図である。
【図9】上前腸骨棘高前後長の測定方法を示す説明図である。
【図10】図10(a)は本発明のおむつの別の実施形態を示す斜視図であり、図10(b)は図10(a)に示すおむつの展開状態を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施形態の着用状態を示す模式的半断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態における吸収性コアを示す平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性コア
41 中央吸収体
411 上部吸収体
412 下部吸収体
42 サイド吸収体
43 切離部
5 吸収性本体
6 防漏カフ
60 防漏カフ形成用シート
61 防漏カフ形成用の弾性部材
7 ウエスト開口部
8 レッグ開口部
81 背側弾性部材
82 腹側弾性部材
9 サイド吸収体立ち上げ用の弾性部材
10 外装体
A 腹側部
B 背側部
C 股下部





 

 


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