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吸収性物品 - 花王株式会社
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発明の名称 吸収性物品
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−29245(P2007−29245A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−214031(P2005−214031)
出願日 平成17年7月25日(2005.7.25)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
発明者 田中 雅仁 / 近藤 幸 / 長原 進介
要約 課題
陰唇間に安定して着用され、水洗可能な吸収性物品を提供すること。

解決手段
本発明の吸収性物品1は、吸収層10である表面シート2と吸収体4及び防漏層11である裏面シート3を備え、実質的に縦長であって、女性の陰唇間の空間に挟んで使用される。吸収層10の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であり、吸収層10と防漏層11とが、水洗トイレの水流により分離するようになされている。
特許請求の範囲
【請求項1】
吸収層及び防漏層を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、
前記吸収層の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であり、前記吸収層と前記防漏層とが、水洗トイレの水流により分離するようになされている吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収層は表面シートと吸収体とから形成されており、該表面シートと前記防漏層とが、水溶性の接着剤及び物理的接合手段を併用して接合されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
吸収層及び防漏層を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、
前記吸収層の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であり、前記防漏層の非肌当接面側の面同士が、水溶性の接着剤により部分的に接着されている吸収性物品。
【請求項4】
吸収層及び防漏層を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、
前記吸収層の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であり、前記防漏層の非肌当接面側における長手方向の両側部間に保形シートが架け渡されており、該保形シートは水解性及び/又は生分解性を有し、該保形シートにおける長手方向の両側部と前記防漏層の長手方向の両側部とが、水溶性の接着剤により接着されている吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収層は水解性及び/又は生分解性を有している請求項1〜4の何れか記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記防漏層は水解性及び/又は生分解性を有している請求項1〜5の何れか記載の吸収性物品。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、特に女性の陰唇間に挟んで使用される吸収性物品、その他小型ナプキンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、女性の陰唇間の空間に挟んで使用される陰唇間パッド等の小型の吸収性物品が知られている。この種の吸収性物品は、その肌当接面が直接陰唇間と密着して着用されるものであり、その防漏性が高められている。また、従来、水洗トイレで水洗可能な吸収性物品が知られている。この種の吸収性物品は、使用中の防漏性と水洗可能性とを兼ね備えており、水洗トイレに流すことができるので、その廃棄が容易となっている。陰唇間パッド等の小型の吸収性物品は、その構成部材が小型であり、構成部材数も少ないため、水洗可能性を比較的実現しやすいと考えられる。
【0003】
また、女性の陰唇間への確実かつ衛生的な装着を容易にする構造の陰唇間パッドが提案されている。
例えば、特許文献1には、着用者の指が挿入される指挿入用洞が反身体側面の長手方向に沿って形成されており、当該指挿入用洞の開口部が前記反身体側面の面方向に指幅方向の開口が直接的に確保される指挿入用口となっており、該指挿入用口は、着用者の陰唇間の所定の位置に当接される身体側面の部位(当接ポイント)に対応する前記反身体側面の一部分(指当接ポイント)に着用者の指先を案内するものであり、前記指当接ポイントの近傍に、前記指挿入用洞内において前記指挿入用口からの指の挿入の進行を規制する指挿入規制部が設けられている陰唇間パッドが開示されている。
【0004】
また、使用済みの吸収性物品が水洗トイレに流されるときに配管を詰まらせないように、吸収性物品が十分に小さい部分に容易に分散する吸収性物品が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献2には、水分散性で水洗可能な吸収性物品であって、液体透過性トップシートであって、好ましくはその中に一時的湿潤強力樹脂が含まれる湿式載置開孔繊維性ウエブを含み、そのトップシートは複数のフィブリルを備える身体表面をもまた有し、そのフィブリルは耐水性樹脂性材料を含む液体透過性トップシート、体液に対して不透過性なバックシートであって、好ましくはその中に一時的湿潤強力樹脂が含まれる湿式載置繊維性アセンブリを含み、バックシートの身体表面は耐水性樹脂性材料で被覆されるバックシート、該トップシートと該バックシートとの間に位置する吸収性コア、および吸収性物品を着用者の下着に除去可能に接着するための手段を含み、トップシートとバックシートとは、水溶性接着剤を用いて、少なくともその周辺部について結合されている吸収性物品が開示されている。
【0006】
【特許文献1】再表2002−94150号公報
【特許文献2】特表2000−501322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の陰唇間パッドは、陰唇間への陰唇間パッドの装着が確実かつ衛生的にされているものの、水洗可能性を有していないため、廃棄が容易でない場合がある。また、特許文献2記載の吸収性物品は、その縦中心線の両方の側のバックシートの2つの部分が互いに隣接されるように縦中心線に沿って折り曲げられて着用されるものの、その折り曲げられている状態が構造的には維持されていないため、着用中に折り曲げ状態が変形し、液漏れする惧れが考えられる。
【0008】
従って、本発明の目的は、女性の陰唇間に安定して着用され、水洗可能な吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、吸収層及び防漏層を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、前記吸収層の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であり、前記吸収層と前記防漏層とが、水洗トイレの水流により分離し、構成部材(例えば、吸収層の一部)が更に分離することによって、配水管に詰まらないようなサイズに分解するようになされている吸収性物品を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
また、本発明は、吸収層及び防漏層を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、前記吸収層の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であり、前記防漏層の非肌当接面側の面同士が、水溶性の接着剤により部分的に接着されて、水洗トイレの水流により該接着剤が溶解し、物品が柔軟で薄い平面形状に開くようになされている吸収性物品を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】
更に、本発明は、吸収層及び防漏層を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、前記吸収層の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であり、前記防漏層の非肌当接面側における長手方向の両側部間に保形シートが架け渡されており、該保形シートは水解性及び/又は生分解性を有し、該保形シートにおける長手方向の両側部と前記防漏層の長手方向の両側部とが、水溶性の接着剤により接着されて、水洗トイレの水流により接着剤が溶解し、物品が柔軟で薄い平面形状に開くようになされている吸収性物品を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸収性物品によれば、女性の陰唇間に安定して着用され、水洗可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の吸収性物品の好ましい第1実施形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態の吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、液保持性の吸収層10及び液不透過性の防漏層11を備え、実質的に縦長であって、全長が12cm以下であり女性の陰唇間の空間に挟んで使用される。吸収性物品1における吸収層10は、液透過性の表面シート2と液保持性の吸収体4とから形成されており、防漏層11は、液不透過性の裏面シート3からなる。吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、吸収層10の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起している。
また、本実施形態の吸収性物品1における吸収層10と防漏層11とは、本物品1を使用後に水洗トイレに廃棄した場合、水洗トイレの水流により、全体が分離するようになされている。尚、本物品1は、水洗トイレにしばしば流される場合もあるが、汚物入れ等に廃棄される場合もあり、必ずしも水洗トイレに廃棄されるものではない(以下、同様)。
本実施形態の吸収性物品1において、表面シート2は水解性の不織布であり、吸収体4も水解性であって、吸収層10は水解性を有している。また、防漏層11である裏面シート3は生分解性のフィルムである。
【0015】
本実施形態の吸収性物品1について詳述すると、図1及び図2に示すように、吸収体4の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、女性の陰唇間の空間に安定して挟まり易い形状を有している。該隆起している部分の高さは、図3に示すように、長手方向の一方の端部から急激に高くなり、その後長手方向の他方の端部に向け漸次傾斜しながら低くなっている。このように、本物品1における幅方向中央の隆起している部分は、長手方向において非対称的な形状を有している。
【0016】
本実施形態の吸収性物品1における表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、平面視において楕円形状である。また、吸収体4は、図2に示すように、表面シート2と裏面シート3との間に挟持固定されており、平面視形状が、表面シート2及び裏面シート3と略相似形の楕円形状である。吸収体4の非肌当接面側の面は、図4(a)に示すように、水溶性の接着剤が全面塗工パターンで塗布されて、裏面シート3と接合されていることが好ましい。本物品1が、水洗トイレに廃棄され多量の水流による攪拌を受けた場合、前記水溶性の接着剤は水に溶け、該接着剤による吸収体4と裏面シート3との間の接着状態が消失し、吸収体4と裏面シート3とは分離するようになされている。
【0017】
本実施形態の吸収性物品1は、表面シート2と裏面シート3とが、吸収体4の周縁より延出した部分において、図1及び図2に示すように、水溶性の接着剤及び物理的接合手段であるヒートシールを併用して互いに接合されている。
前記水溶性の接着剤は、吸収性物品の使用時における湿潤状態では接合状態が維持される観点から、本物品1の周縁部に連続して塗布されていることが好ましい。前記水溶性の接着剤は、周縁部を含む全体に塗布されているのが好ましく、少なくとも周縁部に塗布されているのが好ましい。本物品1が、水洗トイレに廃棄され多量の水流による攪拌を受けた場合、前記水溶性の接着剤は水に溶け、該接着剤による表面シート2と裏面シート3との間の接着剤による接着状態が消失する。
【0018】
また、前記物理的接合部であるヒートシールによるエンボス部6は、短い線状であり、本物品1の周縁部に沿って、該周縁端より内側の位置で且つ前記接着剤が塗布されている領域で不連続的に複数連なって設けられている。
詳述すると、エンボス部6において、表面シート2と裏面シート3とが、以下に説明するように部分的に融着されている。
表面シート2と裏面シート3とは、エンボスパターンとして長さ5mm、幅1mm、線間2mmの点線状のエンボスで、表面側から(温度100度以上、好ましくは110〜140度で)押し込まれたパターンで形成されたエンボス部6で物理的に接合されている。
本物品1の周縁部分における表面シート2と裏面シート3との接合は、上記のごとく水溶性の接着剤とエンボス(等の物理的接合)との両方によってなされる。
この際の物理的接合は、材料同士の加圧密着によって、水溶性の接着剤による接着効果を高めることと、加圧+加熱によって該水溶性接着剤を表面シートである不織布に浸透させ、係合効果によって接着性を高めること、の両面で接着性を高めることで、使用時に分離のおこらない吸収性物品とすることが可能となる。
ここで、周縁部の接着において、水溶性接着剤単独、あるいは物理的(例えば熱的)接着手段単独では使用に耐える十分な接着性が得られず、両者を併用することで十分な接着に達し、使用時に分離のおこらない吸収性物品とすることが可能である。
すなわち、後述するように表面シート2は水解性の不織布を用いるため、一般に(あるいは好ましく使用できるシートとして)熱融着性に乏しい。また裏面シート3は後述するごとく熱可塑性のフィルムが好ましく用いられるが、好ましい使用感を得るには後述するごとく薄くやわらかい範囲の厚み(薄い)とする必要があり、エンボスだけでは表面シート2と十分に熱融着しない。
また、水溶性接着剤は後述するごとく多様な接着剤を選択可能であるが、いずれも硬く表面タック性に乏しく、単独で十分な接着性を発現するには多量に塗布する必要があって周縁部が硬くなり、使用感を損なう。
両者を併用した場合、使用中の少量の液では周縁部のシール部分には(エンボスにより密着しているため)水分が入り込めず、一方便器に流した場合大量の液があらゆるところから侵入する結果水溶性接着剤が洗い流されてシート間の接着力が著しく低下し、水流の力でシールが容易に外れる。
【0019】
前述したような構成を有する本物品1が水洗トイレに廃棄された場合、まず表面シート2と裏面シート3とが分離し、続けて吸収体4と裏面シート3とが分離するようになされている。また、吸収体4は、表面シート2とは接合されていないので、表面シート2と裏面シート3とが分離した後、表面シート2と分離するようになされている。
このとき、表面シート2と裏面シート3とは吸収体4が分離崩壊する程度に分離すればよく、したがって完全には分離しなくともよい。
例えば、図11に示すように、裏面シート3の両側部の接着剤を非水溶性接着剤(図11中、点線で示す部分31)とし、裏面シート3の中央部分の接着剤は水溶性接着剤(図11中、実線で示す部分32)とし、本物品1の周縁にエンボスによる接合を併用した場合、両側部のエンボス接合部は水解せず、しかしながら前後方向から水流が入り込む結果吸収体の水崩壊は進行する。
その他、当該個所全面を水溶性接着剤とする場合においても、接着剤の塗工量を両側部のみ多く塗工する、或いはエンボス条件又はパターンを両側部のみ変える、等の方法で、同様の効果を発現可能である。
【0020】
本実施形態の吸収性物品1について、更に説明すると、表面シート2は、水流交絡法により形成された水解性の不織布である。本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄され、水洗トイレの水流により表面シート2と裏面シート3とが分離した後、該表面シート2は、更にシートを形成している繊維レベルの大きさにまで分解する性質を有していることが好ましく、少なくとも、該シートの水解後における各部分の大きさは、浄化槽等の濾材を詰まらせない程度の大きさにまで分解することが好ましい。本明細書において、水解性は、吸収性物品1の使用中における湿潤状態では水解しないが、大量の水中に廃棄され攪拌されると速やかに細かく分解する性質を意味している。
一方、裏面シート3は、水解性はないが、生分解性のフィルムにより形成された防漏性のシートである。このシートは単独、または一部表面シート2と接着した状態で水流に乗って流される。表面シート2と違って水流で直ちに分解はしないものの、薄く、小さく、柔らかいシートのため配管に引っかかって詰まらせる危険は小さい。そして浄化槽以降環境排出された後生分解することになる。
【0021】
本実施形態の吸収性物品1は、着用時には、図5に示すように、女性の陰唇間にはさまれ、本物品1の肌当接面が該陰唇間と好ましく密着して着用される。本物品1の吸収層10は、柔らかく、陰唇間における壁部の形状に従って柔軟に変形し当接する。本物品1における肌当接面側の幅方向中央部の尾根部が、女性の陰唇間の空間の奥へ配されて使用されるので、排泄された体液が、該尾根部に沿って長手方向に移動するようになされており、本物品1全体で体液の吸収がなされる。本物品1において、幅方向中央部の隆起している部分は、長手方向において非対称的な形状を有しているが、長手方向のどちら側を着用者の腹側又は背側にして使用するかは、各着用者の好みにより選ばれることが好ましい。
また、本実施形態の吸収性物品1の使用に際しては、体液の吸収性能をより高める観点から、下着の内側に固定して使用される通常の吸収性物品を併用することも好ましい。
【0022】
本実施形態の吸収性物品1は、女性の陰唇間に挟まれ陰唇部の壁部と密着して体液の漏れを防ぐ観点、及び、その使用後に水洗トイレに廃棄された場合、配水管内、浄化槽又は下水道等を詰まらせない観点から、各構成部材である表面シート2及び裏面シート3それぞれの大きさが、長さ12cm、幅6cm、厚さ0.4cmそれぞれを超えない大きさとなることが好ましい。長さ及び幅は、本物品1を平面状に展開した場合の各部材の長手方向又は幅方向それぞれの最大の値である(以下、同様)。尚、この厚みは、例えばピーコック製卓上厚みゲージによって、適当な大きさの測定用プレートを載せて2.5g/cm2荷重下の厚みを測定される。
また、吸収体4は、本実施形態の様にパルプを立体形状に積層した物の場合、水流で繊維状に分解していくことが好ましい。吸収体4が水解性又は生分解性のシートを積層した物の場合は、個々のシートのサイズが上記表面シート2及び裏面シート3のサイズを超えないことが好ましい。
本実施形態において、表面シート2、吸収体4又は裏面シート3それぞれは一つの部材のみから形成されているが、各構成部材が複数の部材から形成されていることも好ましく、その場合にも、各部材が水洗トイレの水流により、前述したように長さ12cm、幅6cmそれぞれを超えない大きさに分離することが好ましい。尚、これらの数値は、本物品1の各構成部材それぞれが分離した状態における寸法であり、該各構成部材が本物品1を形成している状態におけるものではない。
【0023】
本実施形態の吸収性物品1において、表面シート2は、ウエブを形成し更に水流交絡法により水解する程度に交絡させ不織布化したものである。
ウエブの材料としては、各種公知のものを用いることができるが、以下に示す熱可塑性繊維、親水性繊維又は両者の混合繊維からウエブを形成したもの等が好ましく、特にレーヨン単独、またはレーヨンを主成分とし、これにパルプ、コットン、各種熱可塑性繊維の中から選択された繊維を混合したものが、交絡しやすく且つ本質的に親水性で吸収性を発現しやすい観点から好ましい。各繊維の繊維長は、本物品1の使用時における湿潤状態ではシートの剛性が維持される一方、使用後に水洗トイレに廃棄された場合、速やかに水解する観点から、10〜120mmであることが好ましい。
熱可塑性繊維としては、具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等の樹脂からなる合成繊維、及びこれらの複合繊維、更にこれらの繊維に耐久性親水化剤を塗布した繊維等が好ましい。
親水性繊維としては、その他、木材パルプ、セルロース繊維、各種再生セルロース繊維又はそれらの混合繊維を含む繊維等が好ましい。木材パルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、針葉樹サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)等の漂白された木質パルプ、化学処理を施してアルカリ膨潤したマーセル化パルプ、螺旋構造を有する化学架橋パルプ等が挙げられる。セルロース繊維としては、コットン繊維、黄麻、大麻、亜麻、苧麻、洋麻、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻)、ケナフ他1年草由来の繊維素材等が挙げられる。再生セルロース繊維としては、ビスコース法、銅アンモニア法、有機溶剤法により得られた繊維等が挙げられる。例えば、前述の如く、ビスコース法により形成されるレーヨン繊維等を好ましく用いることができる。
また、上記の親水性で生分解性の繊維の他、後述する生分解性を有する繊維又は生分解性を有する樹脂からなる繊維を用いて、ウエブを形成することも一層好ましい。生分解性を有する水解性シートとして、例えば、再表97/13920号明細書に記載のものも挙げられる。
水解性の不織布として、前記ウエブに対して、水溶性の接着剤を用いたケミカルボンド法により不織布化したものを用いることも好ましい。
また、前記水流交絡法によって不織布形成したシートに水溶性の接着剤を塗工浸透させ、結合を補強したものも好ましい。この結合補強剤としては、例えば、ポリビニルアルコールを結合補強剤として添加したもの、ポリビニルアルコールを結合補強剤として添加後、更にカルボン酸塩(水溶液)を含浸させ、乾燥させたもの、置換度0.3〜0.6、pH≧5を有するカルボキシメチルセルロース及び/又はその塩を結合補強剤として添加したもの等が上げられ、これらは少量の水分に対しては水に溶け出さず安定した結合剤として機能し、且つ水洗トイレ内で大量の水が浸透してきた場合(塩の金属架橋が外れる等の構造変化によって)直ちに結合が切れ、水解する。
【0024】
本実施形態の吸収性物品1において、裏面シート3は、生分解性フィルムや部分的に水崩壊性とされたフィルムとするのが好ましい。生分解性フィルムとしては、熱可塑性で生分解性のプラスチックを押し出し成型してフィルム化したものが最も扱いやすく、好ましい材料としては、例えばポリ乳酸樹脂、或いはポリオレフィンに20〜60質量%のポリ乳酸樹脂を配合したもの、又はポリオレフィンに20〜40質量%のでんぷん、スターチ、セルロース及び/又はそれらの粉体を混合したもの、等が用いられる。その他の生分解性プラスチックについては後述する。部分的に水崩壊性とされたフィルムとして材料に特に制限はないが、水中で小片状に崩壊するため、複数のフィルムが一部において重なりながら裏面シートを構成するようになされており、該重なりにおいて、水溶性粘着剤や、水で粘着力が低下する接着剤を単独若しくは熱接合とともに接合されていることが好ましい。また、裏面シート3の他の好ましい実施形態として、ケン化度の高いポリビニルアルコール(PVA)樹脂を溶融押し出しして作った水溶性フィルム、PVA,カルボキシメチルセルロース及び/またはその塩の範囲から選択されたポリマーからキャスト形成されたフィルム(水に溶かして薄く膜状に塗工して乾燥させて得られたフィルム)等の水溶性フィルム(少量の水には溶けにくく多量の水になら溶けるフィルム)、表面シート2と同様に作成された水解性不織布に、前記フィルムを組み合わせた複合材料等が好ましく使用できる。または、前述した表面シート2と同様の製法で、材料には熱可塑性樹脂からなる疎水性繊維を用いる疎水性で水解性の不織布を用いることも可能である。また水解性を維持しながら裏面シート3の強度を高めるために、フィブリル化レーヨン等の微小繊維状セルロースを配合してもよい。また、該不織布の防漏性を高める観点から、ワックスを塗布することが好ましく、特に生分解性のワックスが好ましい。該ワックスは裏面シート3の肌当接面側に塗布されていることが好ましい。
【0025】
その他の生分解性プラスチックとしては、具体的には、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合系、又は脂肪族ポリカーボネート系の樹脂から形成されるフィルムを好ましく用いることができる。該樹脂には、詳述すると、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトンとポリブチレンサクシネートとの混合物若しくは共重合物(PCL/PBS)、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバリレートとの共重合物(PHB/PHV)、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンアジペートとの混合物若しくは共重合物(PBS/PBA)、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンサクシネートとの共重合物(PET/PES)、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンアジペートとの共重合物(PBT/PBA)等の樹脂が好ましい。
また、セロハンやキトサン等の水不溶性の多糖類、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、未加硫の天然ゴム、未加硫のポリイソプレン、公知のシェラック樹脂を熱硬化させたもの、硬化させた漆などの天然樹脂等の多糖類、ゼラチン等のたん白質、ポリリンゴ酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等も好ましい。
前記各樹脂は、単独で又は二以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
生分解性フィルムを形成するときの製膜方法には、カレンダー法、溶融押出法、樹脂溶液又はエマルジョンを塗布後溶媒又は分散媒を蒸発させる方法等の従来からある通常の製膜方法を用いることができる。
【0027】
生分解性フィルムの厚みは、フィルム強度とフィルムの取扱い性の点及び生分解性のし易さの観点から、12〜60μmであることが好ましく、18〜35μmであることが更に好ましい。前述した様に該フィルムの強度を補強するために水解性不織布と複合して防漏性で生分解性の複合シートを形成することも可能で、このときのフィルムの好ましい厚みは10〜45μm、特に12〜30μmであり、水解性不織布の好ましい坪量は25〜45g/m2、特に30〜40である。
【0028】
また、裏面シート3として、生分解性紙若しくは生分解性の不織布にワックスを塗布したもの等が好ましい。該ワックスは、生分解性を有するものが好ましい。また、裏面シート3の肌当接面側の面に塗布されることが好ましい。
生分解性紙又は生分解性の不織布の形成材料としては、前述した水解性不織布/水解紙と同様のものを用いることができる。
【0029】
前述した生分解性フィルム、生分解紙又は生分解性ウエブは、実用的な期間で分解する点から、生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又は6953)が、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
【0030】
生分解性を有するワックスは、各種公知のものを用いることができるが、植物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックス等が好ましい。
植物系ワックスとしては、具体的には、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。動物系ワックスとしては、具体的には、みつろう、ラノリン、鯨ろう等が挙げられる。石油系ワックスとしては、具体的には、融点が85℃以下のもの、例えば、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。また、合成ワックスであっても、生分解性を有するものは用いることができる。
【0031】
本実施形態の吸収性物品1において、水解性を有する吸収体4は、各種公知のものを用いることができるが、図2のようにフラッフパルプ又はレーヨンのウエブを中高に成型した水解性の繊維集合体、水解性紙又は水解性の不織布等が好ましい。吸収体4は、良好な吸収性の観点からは、親水性繊維から形成されていることが好ましく、良好な柔らかさの観点からは、3次元クリンプの大きい熱可塑性繊維による嵩高のウエブから形成されていることが好ましい。良好な吸収性と柔らかさを兼ね備える観点から、親水性繊維と熱可塑性繊維との質量比は、100:0〜60:40であることが好ましい。これらは混合したウエブであっても良いが、それぞれ独立した層を積層しても良く、例えば陰唇間に押しこまれる先端(中高)部分に該当するウエブを熱可塑性繊維ウエブ、下層を親水性繊維ウエブとしても良い。また、各繊維の繊維長は、本物品1の使用時における湿潤状態では吸収体4の剛性が維持される一方、使用後に水洗トイレに廃棄された場合、速やかに水解する観点から、6〜120mmであることが好ましい。
【0032】
吸収体4を形成する水解紙としては、各種公知のものを用いることができるが、親水性繊維、疎水性繊維又は両者の混合繊維を含むウエブに水溶性の接着剤を添加して形成したもの等が好ましい。吸収体4として水解紙を用いる場合、該水解紙を折り畳んで、吸収層10の幅方向中央部を隆起させることが好ましい。
吸収体4を形成する親水性繊維及び疎水性の合成繊維としては、表面シート2の材料として前述したものと同様のものが挙げられる。
また、ウエブの材料としては、各種公知のものを用いることができるが、前記水解紙の材料と同様のものを用いることが好ましい。
また、水解性の不織布としては、各種公知のものを用いることができるが、前記ウエブを、ケミカルボンド法又は水流交絡法により形成したもの等が好ましい。ケミカルボンド法においては、水溶性を有する接着剤を用いることが好ましい。
水解紙、ウエブ又は水解性の不織布を形成する繊維としては、後述する生分解性を有する繊維又は生分解性を有する樹脂からなる繊維であって、親水性を有するものを用いることが一層好ましい。生分解性を有する水解紙又は水解性の不織布として、例えば、再表97/13920号明細書に記載のものも挙げられる。
更に、吸収性を向上する観点から、高吸収性ポリマーを所定量担持させることも好ましい。具体的には、水洗トイレに廃棄後の流動性等の観点から、高吸収性ポリマーは吸収体の質量に対して0〜33質量%担持させることが好ましい。
高吸収性ポリマーには、当業者公知の各種樹脂を用いることが可能であるが、環境排出された後の生分解に配慮すると、
1)デンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩等の生分解性高分子を基本骨格とし、アクリル酸及びアクリル酸塩をグラフト重合したポリマー
2)架橋度が低くゲル強度の弱いポリアクリル酸(又はその塩)、ポリアクリル酸を少量の多価カチオンで部分中和した塩、等、経血や尿など(電解質溶液)には不溶性であるが、多量の水に晒されると水溶する合成高分子
3)デンプン、不溶化デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース及びその塩、納豆産生ポリグルタミン酸及びその架橋物など、天然物由来の高吸水性物質
等の高い生分解性を有するポリマーが特に好適に用いられる。
【0033】
本実施形態の吸収性物品1において、水溶性を有する接着剤としては、各種公知のものが用いられるが、例えばカルボキシル基を有するアニオン性バインダ、ポリビニルアルコール、デンプンまたはその誘導体、アルギン酸ナトリウム、トラントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、プルプラン、ポリエチレンオキシド、ビスコース、ポリビニルエチルエーテル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸のヒドロキシル化誘導体、ポリビニルピロリドン/ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体等が好ましい。アニオン性バインダとしては、多糖誘導体、合成高分子、天然物が挙げられる。多糖誘導体としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、カルボキシエチルセルロース又はその塩、カルボキシメチル化デンプン又はその塩などが挙げられ、特にカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩が好ましい。合成高分子としては、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体の塩、不飽和カルボン酸と該不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体の塩などが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。これらと共重合可能な単量体としては、これら不飽和カルボン酸のエステル、酢酸ビニル、エチレン、アクリルアミド、ビニルエーテル等が挙げられる。天然物としては、ザンサンガム、ジェランガム、タラガントガム、ペクチンなどが挙げられる。この内、水溶性の観点及び湿潤時の接着力等の観点に加え、スパイラルスプレー等の当業者にとって容易な溶融塗工を適用しやすい観点から、ポリビニルアルコールを主成分とする水溶性で熱可塑性の接着剤が好ましい。
【0034】
また、必要に応じて、水溶性の接着剤に架橋剤を添加することも好ましい。架橋剤によって該接着剤が架橋して不溶化する結果、少量の水では該接着剤が溶解しなくなる。しかし大量の水中に廃棄すれば不溶化していた該接着剤が再び水に溶解するようになる。架橋剤の種類は、接着剤の種類に応じて適切なものが用いられる。例えば、接着剤が前述したCMCなどのカルボキシル基を有する水溶性の接着剤である場合には、架橋剤として多価金属イオンを用いることが好ましい。特にアルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種又は2種以上の金属イオンを用いることが、水溶性の観点及び湿潤時の接着力等の観点から好ましい。また、上述の如く接着剤にポリビニルアルコールを用いる場合に、カルボン酸塩を少量配合することによって塩析効果により同様の適度な不溶化が可能である。
尚、同様に好ましく用いられる接着剤として、水溶性はないが、湿潤時低タック性の接着剤も好ましく用いることができる。
例えば、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-エチレン共重合体(SEBS)等を主成分(ベースポリマー)とし、粘着付与剤として水素添加石油樹脂を含み、更に可塑剤としてパラフィンオイル又はパラフィンワックス等を含む接着剤のうち、可塑剤成分が少なく/粘着付与剤が多く、硬く、表面タックで接着力を稼いでいるタイプの接着剤が当該目的に好適に用いられる。一例として、SEBS50質量%、可塑剤18質量%、粘着付与剤32質量%の接着剤が上げられる。この接着剤はスパイラルスプレー塗工やスロットスプレー塗工されたとき、(硬い為)材料に食いこみにくく係合効果が弱いが、表面タックが大きい(いわゆるべたべたする)ために乾燥時には強固な接着性を発現する。しかし、水素添加石油樹脂による表面タックは湿潤するとなくなるため、便器投入時にはたちまち接着力が低下する。この好ましい配合組成は、ベースポリマー50質量%以下、可塑剤20質量%以下、粘着付与剤30質量%以上であることが好ましい。
【0035】
前述した本実施形態の吸収性物品1によれば、吸収層10の幅方向中央部が着用者の肌側に向かって隆起しており、全長が12cm以下であるため、女性の陰唇間に安定して挟まれて着用されるようになされている。
また、表面シート2と裏面シート3とが水溶性の接着剤及びヒートシールを併用して接合されているため、吸収性物品1の使用時における湿潤状態では十分な接合状態が維持される。一方、使用後に水洗トイレに廃棄された場合、表面シート2と裏面シート3とに速やかに分離する。
また、表面シート2、吸収体4及び裏面シート3それぞれは水解性を有しているため、水洗トイレの水流により各構成部材に分離した後、続けて小さく分解される。
更に、表面シート2、吸収体4及び裏面シート3それぞれが水解性と共に生分解性を有している場合には、繊維の大きさ以下にまで分解されるため、最終的に、浄化槽等の水洗トイレの下流において、固形物として残る割合が極めて少なく、環境により好適である。
【0036】
次に第2〜5実施形態の吸収性物品1を、図6〜図10を参照しながら説明する。第2〜5実施形態について、特に説明しない点については、第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図6〜図10において、図1〜図5と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0037】
本発明の好ましい第2実施形態の吸収性物品1において、表面シート2及び裏面シート3それぞれは生分解性を有している。
本実施形態の吸収性物品1における表面シート2及び裏面シート3それぞれは、生分解性を有しており、本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄された場合、水洗トイレの水流により各構成部材に分離した後、表面シート2及び裏面シート3それぞれは、更に生分解してその形状が消失していく性質を有している。
【0038】
本実施形態の吸収性物品1において、生分解性を有する液透過性の表面シート2の材料としては、各種公知のものを用いることができるが、生分解性フィルム、生分解性紙、生分解性ウエブ又は生分解性の不織布等が好ましい。表面シート2のシート材料には、体液を透過するように、複数の孔を設けることが好ましい。
前述した生分解性フィルム、生分解性紙、生分解性ウエブ又は生分解性の不織布の材料としては、第1実施形態の裏面シートと同様のものが挙げられる。尚、表面シート2の生分解性の材料としては、親水性繊維も好ましい。
また、生分解性を有する防漏性の裏面シート3の材料としては、各種公知のものを用いることができるが、第1実施形態と同様のものが好ましい。
【0039】
本実施形態の吸収性物品1によれば、表面シート2及び裏面シート3それぞれは、生分解性を有しており、最終的に繊維の大きさ以下に分解されるため、浄化槽等の水洗トイレの下流において、固形物として残る割合が極めて少なく環境に好適である。
尚、この場合においても、表面シート2と裏面シート3とは、上に示した様に完全に分離しても良いが、部分的に結合していてもよい。
【0040】
本発明の好ましい第3実施形態の吸収性物品1において、表面シート2、吸収体4及び裏面シート3それぞれは生分解性を有している。
本実施形態の吸収性物品1における表面シート2、吸収体4及び裏面シート3それぞれは、生分解性を有しており、本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄された場合、水洗トイレの水流により各構成部材に分離した後、表面シート2、吸収体4及び裏面シート3それぞれは、更に生分解してその形状が消失していく性質を有している。
本実施形態の吸収性物品1において、生分解性を有する表面シート2及び裏面シート3それぞれの材料としては、各種公知のものを用いることができるが、前述した実施形態と同様のものが挙げられる。
【0041】
本実施形態の吸収性物品1において、生分解性を有する吸収体4の材料としては、各種公知のものを用いることができるが、生分解性紙、生分解性ウエブ又は生分解性の不織布等が好ましい。
生分解性紙を用いる場合には、その材料は親水性の生分解性繊維からなるウエブに接着剤を添加して形成されているものが好ましい。親水性の生分解性繊維としては、前述した生分解性を有する繊維の中で親水性を有するものが挙げられ、具体的には、コットン繊維(綿花)、第1実施形態の水解紙の材料である親水性繊維として説明した各種繊維が用いられる。
生分解性ウエブを用いる場合には、その材料は親水性の生分解性繊維から形成されているものが好ましい。親水性の生分解性繊維としては、前記生分解性紙と同様のものが挙げられる。
生分解性の不織布は、前記生分解性ウエブを、ケミカルボンド法又は水流交絡法により形成したもの、熱融着性繊維を含有させてエアースルー法により形成したもの等が好ましい。ケミカルボンド法においては、生分解性を有する接着剤を用いることが好ましく、エアースルー法においては、生分解性を有する熱融着性繊維を用いることが好ましい。また、熱可塑性を有する生分解性の合成繊維のみを用いてスパンボンド法により形成したものも好ましい。
【0042】
本実施形態の吸収性物品1によれば、表面シート2、吸収体4及び裏面シート3それぞれは、生分解性を有しており、最終的に繊維の大きさ以下に分解されるため、浄化槽等の水洗トイレの下流において固形物として残る割合が極めて少なく、環境により好適である。
【0043】
本発明の好ましい第4実施形態の吸収性物品1は、図6に示すように、吸収体4の周縁部は、表面シート2及び裏面シート3の間に延出し、表面シート2及び裏面シート3に挟まれて接合されており、吸収体4の周縁端は吸収性物品1の表面に露出している。吸収体4の平面視形状は、裏面シート3と略同形であり、吸収体4の非肌当接面側は、図4(a)に示すように、水溶性の接着剤を全面塗工パターンで塗布して、裏面シート3と接着されている。また、吸収体4の周縁部は、表面シート2の周縁部と一定の幅で且つ連続的に水溶性の接着剤により接着されている。
更に、吸収体4の周縁部は、表面シート2及び裏面シート3それぞれの周縁部と、物理的接合手段であるヒートシールによるエンボス部6により接合されている。前記物理的接合部であるヒートシールによるエンボス部6は、短い線状であり、本物品1の周縁部に沿って、該周縁端より内側の位置で不連続的に複数連なって設けられている。エンボス部6の構成及び機能等については、第1実施形態と同様である。
【0044】
本実施形態における吸収性物品1の吸収体4は、水解性を有している。吸収体4の材料としては、各種公知のものを用いることができるが、第1実施形態と同様のものが挙げられる。
本実施形態の吸収性物品1によれば、本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄された場合、吸収体4の内部に水が浸みこみ易く、吸収体4が速やかに水解するようになされている。また、表面シート2は、吸収体4を介して裏面シート3と接合されているので、吸収体4の水解により、表面シート2と裏面シート3とが分離し易くなされている。
【0045】
本発明の好ましい第5実施形態の吸収性物品1は、図7及び図8に示すように、吸収体4は非肌当接面側が開いた中空形状を有しており、防漏層11である裏面シート3も着用者の肌側に向って隆起しており、裏面シート3の非肌当接面側の面同士が、長手方向における一方の端部の接着部5において、水溶性の接着剤により部分的に接着されている。また、裏面シート3の非肌当接面側における長手方向の両側部間に保形シート7が架け渡されており、該保形シート7は水解性を有し、該保形シート7における長手方向の両側部と裏面シート3の非肌当接面における長手方向の両側部とが、水溶性の接着剤により接着されている。
【0046】
本実施形態の吸収性物品1について詳述すると、裏面シート3の非肌当接面側の面同士は、長手方向中央部において、図8(a)に示すように、非肌当接面の幅方向外側同士は互いに離れていて扇形に開いている。一方、長手方向の一方の端部においては、裏面シート3の非肌当接面側の面同士は、図8(b)に示すように、接着部5で接着されている。また、本物品1において、図9に示すように、接着部5が設けられている長手方向の端部の幅は、長手方向の他方の端部よりも狭まっている。
【0047】
本実施形態の吸収性物品1における保形シート7は、図9に示すように、平面視した形状が略2等辺台形形状であり、両側辺における上底(長さが短い方の底辺)に近い部分それぞれが幅方向外側に凸に湾曲した形状を有している。保形シート7は、長手方向において、接着部5が設けられている端部の内側から中央部に亘って、裏面シート3の非肌当接面側の面と接着されている。
また、保形シート7と裏面シート3とにより囲まれた空間の断面形状は、図8(a)に示すように、略三角形状を有している。本実施形態の吸収性物品1を着用する際には、この空間に指を挿入し本物品1を該指で支持し、そのまま本物品1を陰唇間の空間に挟みこんで着用することが好ましい。その際、裏面シート3の非肌当接面側の面同士は、接着部5において指の挿入を規制するようになされている。
【0048】
保形シート7の大きさは、本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄された場合、配水管内、浄化槽又は下水道等を詰まらせない観点から、長さ12cm、展開したときの幅6cm、同厚さ0.2cmをそれぞれ超えないことが好ましい。
また、水解性を有する保形シート7の材料としては、各種公知のものが用いられるが、前述した各実施形態において説明したものが好ましく、特に生分解性を兼ね備えていることが一層好ましい。
【0049】
本実施形態においては、少なくとも保形シート7と接着部5が水洗中に本体から外れれば、本体が小さなシート状の形態に開くため配管中に詰まりにくく、水洗可能である。この場合、表面シート2、吸収体4、裏面シート3、及び固定用接着剤は生分解性であればよい。
更に好ましくは保形シート7と接着部5だけでなく、表面シート2、吸収体4、裏面シート3がそれぞれの部材にまで分解することで、この為には固定用接着剤は前記の如く水溶性であることが必要である。
更には、各シート(又は構成要素)が水流中で水解してばらばらになることが、配管に詰まる危険が最も減って最も好ましい実施形態である。
本実施形態の吸収性物品1における水解性を有する吸収体4の材料としては、各種公知のものが用いられるが、前述した各実施形態において説明したものが好ましく、特に吸収性を有する水解紙を用いることが好ましい。
詳述すると、吸収体4は水解性シートからなる層から形成されており、該水解性シートは吸収性を有する水解紙からなり、図10に示すように、該水解紙には撥水加工が格子状に部分的に施されている。
【0050】
吸収体4には撥水剤が塗工された撥水剤塗工部41が形成されている。撥水剤塗工部41は、吸収体4の長手方向においては、その長手方向に沿ってその前後端部に連続して亘っていて、幅方向に沿って所定の間隔で設けられており、また、吸収体4の幅方向においては、その幅方向に沿ってその両端部に連続して亘っていて、長手方向に沿って所定の間隔で設けられている。また、長手方向及び幅方向それぞれに沿う各線状部同士は直交している。
吸収体4は、撥水剤塗工部41により部分的に閉じた形状を複数形成するように、撥水剤が塗工されていることが好ましい。本実施形態においては、吸収体4は、図10に示すように、撥水剤塗工部41により略矩形形状の閉じた形状を複数有している。
また、撥水剤塗工部41における撥水剤は、本物品1の使用時の湿潤状態において、吸収体4の構造を維持する観点から、吸収体4の厚さ方向全体に亘って浸みこんでいることが好ましい。
また、吸収体4は、十分な吸収性及び湿潤時の剛性を確保する観点から、その坪量が25〜200、更に好ましくは40〜150g/m2であることが好ましい。これは1枚でも、複数枚から構成されていても良い。
【0051】
撥水剤塗工部41を形成している長手方向及び幅方向それぞれに沿った線状部同士の間隔は、吸収性物品1の使用時における湿潤状態ではシートの剛性が維持される一方、使用後に水洗トイレに廃棄された場合、速やかに水解する観点から、7〜20mmであることが好ましい。また、撥水剤塗工部41を形成している長手方向及び幅方向それぞれに沿った線状部の幅は、同様の観点から、1〜5mmであることが好ましい。
尚、撥水加工の有無、及び撥水剤の塗工パターンは、適当な着色剤を含んだ水、例えばメチレンブルー0.03%水溶液等を、霧吹きによって水解性シートの表面から全面に吹きつけた時の着色を目視確認することによって、容易に確認できる。このとき、撥水加工が施された部分は液が染み込みにくい為着色が薄くなり、非加工部分は濃く着色する。
【0052】
本実施形態の吸収性物品1において、吸収体4の撥水剤塗工部41を形成する撥水剤としては、各種公知のものが用いられるが、シリコーン系オリゴマー、フッ素系オリゴマー等が好ましい。シリコーンオリゴマーとしては、具体的には、ポリジメチルシリコーンを、そのメチル基の一部をフェニル基やトリフルオロプロピル基に置換したポリメチルフェニルシリコーン、ポリフルオロシリコーン等が挙げられる。フッ素オリゴマーとしては、具体的には、パーフルオロアルキル基を含むアルコールのアクリル酸エステルのポリマー又はリン酸エステル等が挙げられる。
【0053】
本実施形態の吸収性物品1によれば、裏面シート3と保形シート7との間に指を挿入して本物品1を支持し、陰唇間の空間に挟みこんで容易に装着でき、また、陰唇間の空間に安定して着用される。
また、本物品1は、吸収体4が中空形状を有しており、本物品1が水洗トイレに廃棄された場合、水に濡れて柔軟になるようになされている。
また、裏面シート3において、非肌当接面側の面同士が水溶性の接着剤により接着されていて、且つ非肌当接面側における長手方向両側部と保形シート7とが、水溶性の接着剤により接着されているため、本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄された場合、水溶性の該接着剤それぞれが溶けて本物品1の非肌当接面側が開き、本物品1はより柔軟になるので、多量の水流による攪拌により表面シート2と裏面シート3との分離へ速やかに移行する。
また、吸収体4である水解紙は、格子状に撥水剤が塗布されているため、吸収性物品1の使用時における湿潤状態では剛性が維持される一方、使用後に水洗トイレに廃棄された場合、多量の水流による攪拌により水解するので、配水管や浄化槽等の詰まりを生じさせない。
更に、該保形シート7は、水解性を有しているため、裏面シート3と分離した後、更に小さく分解する。
【0054】
本発明の吸収性物品は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、本発明の吸収性物品の非肌当接面側に、下着等と固定するための固定用の粘着部を設けることも好ましい。特に、下着に固定する従来の吸収性物品等と併用する場合、本発明の吸収性物品は、その着用中に該粘着部を介して、下着に固定されている吸収性物品の肌当接面に固定される。そのため、本発明の吸収性物品を交換する際、下着を下ろすと共に本物品を陰唇間から外すことができるので、その交換が容易となり好適である。
また、このように従来の吸収性物品等と併用する場合、予め該吸収性物品表面に該発明品を固定するなどの方法により、陰唇間にはさまない使用形態も可能である。
【0055】
また、各実施形態において、表面シートと裏面シートとは、物理的接合手段としてヒートシールによる複数のエンボス部で接合されていたが、超音波シールによるエンボス部でも良いし、又はピン若しくは針による係合であっても良い。
また、各実施形態において、表面シート、吸収体又は裏面シートそれぞれは、水解性又は/及び生分解性を有していたが、各構成部材は、水洗トイレの水流によりそれぞれに分離すれば良く、水分解性又は生分解性を有していなくても良い。
また、各実施形態において、吸収体の非肌当接面と裏面シートとは、水溶性の接着剤が全面塗工パターンで塗布されて接着されていたが、図4(b)に示すように、水溶性の接着剤がスパイラル塗工パターンで塗布されて接着されていることも好ましい。
また、第1実施形態において、表面シート及び裏面シートそれぞれは、水解性の不織布から形成されていたが、表面シート及び裏面シートそれぞれは、水解性紙又はウエブそれぞれ単独又は2つ以上組み合わせて用いることも好ましい。
また、第6実施形態において、表面シートと裏面シートとは水洗トイレの水流により分離するようになされていたが、分離できなくても良い。例え、表面シートと裏面シートとが水洗トイレの水流により分離できなくても、裏面シートの非肌当接面同士を接着している水溶性の接着剤が水に溶け、且つ保形シートと裏面シートを接着している水溶性の接着剤が水に溶けるので、非肌当接面が開き吸収性物品は柔軟になるので、配水管等を詰まらせる惧れはない。また、表面シート及び裏面シートそれぞれは、水解性又は生分解性を有しているので、小さく分解するようになされている。
また、第6実施形態において、吸収体における撥水剤塗工部の格子状パターンは、吸収性物品の長手方向及び幅方向に沿って設けられていたが、沿っていなくても良い。
また、第6実施形態において、保形シート7は水解性を有していたが、生分解性を有していても良い。
本発明の吸収性物品は、経血の吸収パッドであっても良いが、失禁パッド等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面図である。
【図3】図3は、図1に示す第1実施形態の側面図である。
【図4】図4は、水溶性の接着剤の塗工パターンを模式的に示す平面図であり、(a)は全面塗工パターンであり、(b)はスパイラル塗工パターンである。
【図5】図5は、第1実施形態の吸収性物品が着用されている状態を図1のX−X線に沿って模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の吸収性物品の第4実施形態の図2に相当する断面図である。
【図7】図7は、本発明の吸収性物品の第5実施形態を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の吸収性物品の第5実施形態の断面図であり、(a)は図7のY―Y線断面図であり、(b)は図7のZ―Z線断面図である。
【図9】図9は、本発明の吸収性物品の第5実施形態の非肌当接面側から見た平面図である。
【図10】図10は、本発明の吸収性物品の第5実施形態における吸収体4の平面図である。
【図11】図11は、裏面シートへの接着剤の塗布パターンを示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 吸収性物品
10 吸収層
11 防漏層
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 撥水剤塗工部
5 接着部
6 エンボス部
7 保形シート





 

 


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