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吸収性物品 - 花王株式会社
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発明の名称 吸収性物品
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−14658(P2007−14658A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−201151(P2005−201151)
出願日 平成17年7月11日(2005.7.11)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
発明者 田中 雅仁 / 木賀田 哲行 / 長原 進介
要約 課題
陰唇間に挟んで使用され、使用後は確実に分解することにより水洗可能であり、且つ使用中には分解することがない吸収性物品を提供すること。

解決手段
本発明の吸収性物品1は、液保持性の表面シート2及び液不透過性の裏面シート3を備え、女性の陰唇間の空間に挟んで使用され、長手方向の一方の端部に、陰唇間からの取り外しを容易とする摘み部12を有し、裏面シート3と表面シート2とは、吸収体4の周囲において接合されており、摘み部12を摘んで吸収性物品1を陰唇間から取り外す操作により、裏面シート3と表面シート2との間が、少なくとも摘み部近傍13において剥離するようになされている。
特許請求の範囲
【請求項1】
表面シート、裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、
長手方向の端部に、陰唇間からの取り外しを容易とする摘み部を有し、
前記裏面シートと前記表面シートとは、前記吸収体の周囲において接合されており、前記摘み部を摘んで前記吸収性物品を陰唇間から取り外す操作により、該裏面シートと該表面シートとの間が、少なくとも該摘み部近傍において剥離するようになされている吸収性物品。
【請求項2】
前記摘み部近傍における前記裏面シートと前記表面シートとは、水溶性の接着剤及び物理的接合手段を併用して接合されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記摘み部は前記裏面シートと前記表面シートとが積層された構成を有し、該表面シートは、該摘み部近傍に前記吸収性物品の長手方向と交差する方向に延びる切断線又はミシン目を有している請求項1又は2記載の吸収性物品。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、特に女性の陰唇間に挟んで使用される吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、女性の陰唇間の空間に挟んで使用される陰唇間パッド等の小型の吸収性物品が知られている。この種の吸収性物品は、その肌当接面が直接陰唇間と密着して着用されるものであり、その防漏性が高められている。また、従来、水洗トイレで水洗可能な吸収性物品が知られている。この種の吸収性物品は、使用中の防漏性と水洗可能性とを兼ね備えており、水洗トイレに流すことができるので、その廃棄が容易となっている。陰唇間パッド等の小型の吸収性物品は、その構成部材が小型であり、構成部材数も比較的少ないため、水洗可能性を実現しやすいと考えられる。
また、使用済みの吸収性物品が水洗トイレに流されるときに配管を詰まらせないように、吸収性物品が小さい部分に分散する吸収性物品が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1において、液体透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を具備しており、表面シートと裏面シートとがその周縁部において水溶性の接着剤により接合されており、水分散性を有していて水洗可能な吸収性物品が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特表2000−501322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の吸収性物品において、表面シートと裏面シートとがその周縁部において水溶性の接着剤により接合されており、吸収性物品が水洗トイレに廃棄された場合、例え接着剤が水溶性であっても、水が接着剤にまで浸透しづらいため、表面シートと裏面シートとが剥離し難い惧れがある。また逆に、着用中に、吸収性物品が体液を吸収し湿潤状態となるため、水溶性の接着剤が溶けて表面シートと裏面シートとが剥離してしまう惧れも考えられる。
【0006】
従って、本発明の目的は、陰唇間に挟んで使用され、使用後は確実に分解することにより水洗可能であり、且つ使用中には分解することのない吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を備え、陰唇間に挟んで使用される吸収性物品であって、長手方向の端部に、陰唇間からの取り外しを容易とする摘み部を有し、前記裏面シートと前記表面シートとは、前記吸収体の周囲において接合されており、前記摘み部を摘んで前記吸収性物品を陰唇間から取り外す操作により、該裏面シートと該表面シートとの間が、少なくとも該摘み部近傍において剥離するようになされている吸収性物品を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品によれば、陰唇間に挟んで使用され、使用後は確実に分解することにより水洗可能であり、且つ使用中には分解することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の使い捨ておむつの好ましい第1実施形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0010】
本実施形態の吸収性物品1は、図1〜図3に示すように、液保持性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及び両シート間に介在された吸収体4を備え、実質的に縦長であり、女性の陰唇間の空間に挟んで使用される。本物品1は、その長手方向に沿って2つ折りにして女性の陰唇間の空間に挟んで使用されるものであり、平面状に展開した時の厚さが5.5mm以下の薄型である。本物品1は、柔らかい材質から形成されており、陰唇間における表面の形状に従って柔軟に変形し当接する。尚、この厚みは、例えばピーコック製卓上厚みゲージによって、適当な大きさの測定用プレートを載せて2.5g/cm2荷重下の厚みを測定される。
また、本実施形態の吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、長手方向の前端部に、陰唇間からの取り外しを容易とする摘み部12を有し、裏面シート3と表面シート2とは、吸収体4の周囲において接合されており、摘み部12を摘んで吸収性物品1を陰唇間から取り外す操作により、裏面シート3と表面シート2との間が、少なくとも摘み部近傍13(図1及び図2における斜線部)において剥離するようになされている。本実施形態において、摘み部近傍13は切断線21から長手方向後方寄りの所定の幅の部分である。所定の幅は、本物品1の長さの15〜100%、好ましくは20〜40%である。
【0011】
本実施形態の吸収性物品1について更に説明すると、摘み部12が本物品1の長手方向の前端部に設けられており、該前端部を身体の腹側にして本物品1が着用されることが好ましい。摘み部12は、裏面シート3が吸収体4の長手方向の前端縁から延出し、図4に示すように、裏面シート3と表面シート2とが積層された構成を有している。
【0012】
本実施形態の吸収性物品1において、表面シート2及び裏面シート3それぞれは、図2に示すように、平面視において略楕円形状であり、長手方向の前後端部それぞれが、本物品1の幅方向内側に窄まっている。また、吸収体4は、図3に示すように、表面シート2と裏面シート3との間に挟持固定されており、平面視形状が略楕円形状である。
本実施形態の吸収性物品1において、表面シート2は水解性の不織布であり、吸収体4も水解性を有している。また、裏面シート3は生分解性を有している。
【0013】
本実施形態の吸収性物品1において、表面シート2と裏面シート3とは、図2に示すように、吸収体4の周縁より延出した部分において接合されている。裏面シート3の肌当接面側の面に、水溶性のホットメルト接着剤がスパイラル塗工されており、裏面シート3の上に吸収体4及び表面シート2が載置接合されている。水溶性の接着剤は、裏面シート3の全面に塗工されている。
【0014】
また、表面シート2は、図1及び図2に示すように、摘み部12と摘み部近傍13との間に、吸収性物品1の長手方向と交差する方向に延びる切断線21を有している。切断線21は、本物品1の幅方向に沿って幅方向両端部に亘り設けられており、表面シート2は該切断線21により長手方向の前後に分離されている。表面シート2における切断線21と長手方向前端との間の部分は、裏面シート3と水溶性の接着剤及び後述するエンボス部6により接合されており、本物品1の使用時に裏面シート3から剥離しないようになされている。
切断線21は、摘み部12を持って下向きに引っ張った時に、表面シート2全体が一緒に下向きに引っ張られない様独立させておく為に重要である。切断線21に替えて、切断線に対応する位置で分離している表面シート同士を重ね合わせておくことも可能である。
【0015】
本実施形態の吸収性物品1において、裏面シート3と表面シート2とは、水溶性の接着剤及び物理的接合手段であるヒートシールを併用して接合されている。
水溶性の接着剤の塗工パターンは、周縁部を含む裏面シート3の肌当接面側の面全体に塗布されていることが好ましく、少なくとも周縁部に塗布されていることが好ましい。現実的には裏面シート3の周縁部を含む全体をカバーし、かつ本物品1を固くしない観点からは、スパイラルスプレー、スロットスプレー、適当に離間された線状パターンまたはこの組み合わせ(例えば格子模様)、ドット状パターン、等の隙間のあるパターンで裏面シート3の略全面に塗布されていることが好ましい。尚、塗工パターン自体は、全周部分と、剥離する部分とで、特に違いはない。
前記物理的接合手段であるヒートシールによるエンボス部6は、短い線状又はドット状であり、基本的に全周シール部分全体に不連続的に複数設けられている。エンボス部分と水溶性接着剤塗工部分はオーバーラップしている。詳述すると、エンボス部6において、表面シート2と裏面シート3とが、以下に説明するように部分的に融着されている。
表面シート2と裏面シート3とは、使用後に剥離させたくない領域においては、ドット状、又は緻密に連なった短い線状のパターンで、しっかり物理的に接合されている。一方、剥離させたい領域(例えば摘み部近傍13、以下同様)においては、図2に示すように、エンボス部6同士が隙間を空けて接合されている。この様に接合パターンが部位によって異なり、剥離させたい部分の非シール領域が明らかに大きくなっているところに特徴がある。
以上の接合方法によって、剥離させたい領域において、外周シールの接着は、エンボスの分布が粗い為元来弱く、下向きに強く引っ張ると分解する恐れがあるが、本願に係る陰唇間パッドでは(装着時は上向きに押しこみ、使用中は表面シート側から陰唇に挟まれて固定されており)、摘み部を持って外そうとするまでは下向きに力がかかることは殆どないため、分解の危険はない。
【0016】
本実施形態の吸収性物品1は、その使用後に身体から取り外される際、体液を吸収し湿潤状態となっており、更にそれが体温で蒸発して本物品1内部の湿度が上昇している。水溶性接着剤は、後で詳述する様に高湿度下で接着性が低下する為、摘み部近傍13における裏面シート3と表面シート2とは、吸収性物品1が陰唇間に挟まれている状態において摘み部12を下向きに85cN以上の力で引っ張った時に剥離するように接合されている。湿潤状態は、本物品1が体液をおよそ2cc程度またはそれ以上吸収している状態である。
詳述すると、摘み部近傍13における裏面シート3と表面シート2との間における水溶性の接着剤による接着状態は、初期状態で以下の2つの領域がある。即ち、(1)エンボス領域;エンボスの熱と圧力によって、水溶性接着剤が表面シート2及び/または裏面シート3の材料(例えば繊維)に食い込んで固化し、接着剤が材料を係合している領域、(2)非エンボス領域;接着剤が塗布された面(通常は裏面シート側)についており、反対側には接着剤の表面粘着力(いわゆる「表面タック力」)だけでついている領域。
(1)の接着剤が食い込んで材料間を係合している領域は、接着剤が水に晒され、現実に水溶するか形状を維持できないほど構造が弱まるまでは、その接着性を失わない。
一方、(2)の接着剤の表面タック力だけで接着している部分は、湿気も含めた微小な水分でタック力が弱まり、容易に被着体と接着剤表面との間の接着力を失う。
当該個所は容易に濡れる場所ではないが、吸液による湿度上昇や発汗(いわゆる「不感蒸泄」、蒸れた感じ)だけでも(2)非エンボス領域の接着力は大きな影響を受け、接着性を失いやすい。一方(1)エンボス領域は接着剤本体が物理的に材料に食い込んでいるため、本体が溶解しない限りは接着性を失わない。使用後にはこのような状態、即ちエンボスが密になされている剥離させたい領域では、接着力の低下は殆どなく、摘み部近傍13(エンボスがまばらな、剥離を想定した部位)では、接着力の低下が著しく、前記外力により容易に外れる状態にある。尚、非湿潤状態においては、物理的接合手段であるエンボス部6における表面シート2と裏面シート3との接合は、前記外力によって外れないことが好ましい。
【0017】
本実施形態の吸収性物品1において、水溶性を有する接着剤としては、各種公知のものが用いられるが、例えばカルボキシル基を有するアニオン性バインダ、ポリビニルアルコール、デンプンまたはその誘導体、アルギン酸ナトリウム、トラントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、プルプラン、ポリエチレンオキシド、ビスコース、ポリビニルエチルエーテル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸のヒドロキシル化誘導体、ポリビニルピロリドン/ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体等が好ましい。アニオン性バインダとしては、多糖誘導体、合成高分子、天然物が挙げられる。多糖誘導体としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、カルボキシエチルセルロース又はその塩、カルボキシメチル化デンプン又はその塩などが挙げられ、特にカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩が好ましい。合成高分子としては、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体の塩、不飽和カルボン酸と該不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体の塩などが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。これらと共重合可能な単量体としては、これら不飽和カルボン酸のエステル、酢酸ビニル、エチレン、アクリルアミド、ビニルエーテル等が挙げられる。天然物としては、ザンサンガム、ジェランガム、タラガントガム、ペクチンなどが挙げられる。この内、熱可塑性で各種の非接触塗工(スパイラルスプレー、スロットスプレー、薄膜塗工など)に適し、乾燥時の表面タックの調整が容易で、かつ湿潤時・高湿度下でタックが低下しやすいといった観点から、ポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。
水溶性の接着剤の塗工坪量は、2〜40g/m2であることが好ましく、5〜20g/m2であることがより好ましい。
また、エンボス部6のパターンは、図2に示すように、緻密なドット状でも良いし、短い線が離間されて並ぶパターンでも良い。後者の、線同士の不連続的に連なる間隔は、同様の観点及び本物品1の使用時における湿潤状態では接合が維持される観点から、線間を実測した距離が少なくとも2mm以下であることが好ましく、0.3〜1mmであることがより好ましい。また、線状である場合のエンボス部6は、その長さが1〜5mm、その幅が0.5〜2mmであり、本物品1の側縁に対し、斜線状であって、間隔を空けて配置されていることが好ましい。一方点状である場合のエンボス部6の形状は、直径1〜4mmの円形、又は正方形であることが好ましい。
【0018】
本実施形態の吸収性物品1の湿潤状態において、摘み部12を引っ張って、摘み部近傍13における裏面シート3と表面シート2とを剥離するのに必要な力(剥離強度)の測定は以下のように行われる。
まず、本物品1の表面シート2側に、生理食塩水(濃度0.9%、イオン交換水に同濃度の塩化ナトリウムを溶かした水溶液で代用可能)を駒込ピペットで2ccをゆっくり注入し吸収させて、本物品1を40℃80%RHに調整した恒温槽で60分間放置する。次いで、本物品1を、その表面シート2を上側にして、オリエンテック(株)製テンシロン引張測定機RTM−25の上側のチャックに挟む。このとき吸収性物品1全体がほぼ水平になるように保ち、挟む位置は本物品1の略中央とする。本物品1の摘み部12を装置の下側のチャック部に固定し、速度300mm/minで20mm引っ張ったときの応力を測定し、その最大値を剥離強度とする。尚、摘み部12が短くて、上記のはさみ方では下側のチャックにうまくはさめない場合、適当な方法でタブを延長してはさんでも良い。例えば、各種テープ類、紐、専用の治具などを用いても良い。ここではセロハンテープ2枚の粘着面で摘み部12を上下からはさむ様にして接着し、その延長部分をチャックで挟んで測定を行った。この場合摘み延長部はチャック中央ではなく、チャック左端にオフセットして挟まれるが、特に不都合なく測定可能であった。
上記の如く剥離強度を測定した場合に、本願の如く特定の領域に剥離領域を形成している物品においては、その領域を剥離している間は剥離部分のみで吸収性物品の分解が進行し、その剥離強度は後述の如く85cN以下となる。しかし、一旦この剥離領域から外れると、シール部が強固に接着している結果剥離強度は、直ちに増大し、少なくとも100cN以上、好ましくは300cN以上となる。このとき吸収性物品の破壊は剥離部分の引裂け以外に表面シート又は裏面シートに伸び、吸収性物品全体の変形などが各所に生じる。応力測定の波形自体もベースラインが一気に上昇する為、容易にそれとわかる。
【0019】
本実施形態の吸収性物品1について、更にまた説明すると、図1及び図3に示すように、吸収性物品1の縦中心線Cに沿って、表面シート2の肌当接面側が山となるように、裏面シート3の非肌当接面側が谷となるように、2つ折りされている。
詳述すると、本物品1は、包装状態においては、裏面シート3の非肌当接面側の面同士が重なって2つ折りされているか又は平面状に展開されて包装されている。また、使用する際には、本物品1は、図3に示すように、2つ折りされて非肌当接面側は扇形に開いている。本明細書において、2つ折りは、前述したように、非肌当接面同士が重なって2つ折りされている状態と、図3に示すように扇形に開いている状態とを含んでいる。
尚、本物品1の厚さは、本物品1を平面状に展開した状態のものである。
【0020】
本実施形態の吸収性物品1は、着用時には、図5に示すように、女性の陰唇間の空間にはさまれ、本物品1の肌当接面が該陰唇間と好ましく密着して着用される。本物品1は薄くて柔らかく、陰唇間における壁部の形状に従って柔軟に変形し当接する。本物品1は、肌当接面側における山折りの尾根部が女性の陰唇間の奥へ配されて使用されるので、排泄された体液が、該尾根部に沿って長手方向に移動するようになされており、本物品1全体で体液の吸収がなされる。また、尾根部は材料の弾性によって、図3に示すように、丸い断面を形成するので、押しこんだとき違和感や痛みを生じにくい。
本物品1を着用する際には、谷折りされている裏面シート3の非肌当接面側の面同士の間に指を挿入し本物品1を指で支持し、その状態で本物品1を陰唇間の空間に挟みこんで着用することが好ましい。
また、本実施形態の吸収性物品1の使用に際しては、体液の吸収性能をより高める観点から、下着の内側に固定して使用される通常の吸収性物品を併用することも好ましい。
【0021】
本実施形態の吸収性物品1は、その使用後に身体から取り外す際、体液を吸収し湿潤状態となっており、本物品1が陰唇間に挟まれている状態において、摘み部12を下向きに引っ張って取り外される。本物品1が女性の陰唇間に挟まれている状態から取り外されるためには、通常下向きに100cN程度の力が必要と考えられている。本物品1において、摘み部近傍13における裏面シート3と表面シート2とは、本物品1が陰唇間に挟まれている状態において摘み部12を下向きに85cN以上の力で引っ張った時に剥離するようになされている。摘み部近傍13における裏面シート3と表面シート2とが剥離した後、更に、摘み部12を下向きに引っ張り続けると、摘み部近傍13を除いた部分における表面シート2と裏面シート3とは接合されているので、本物品1が陰唇間の空間から取り外される。取り外された本物品1の前端部には、摘み部近傍13における裏面シート3と表面シート2とが剥離し開口部が形成されており、吸収体4が外部に露出している。本物品1が水洗トイレに廃棄された場合、水解性を有する吸収体4は、水洗トイレの水流に攪拌され水解しながら前記開口部から外へ出ていく。吸収体4が外へ出た後の本物品1は、表面シート2と裏面シート3とから形成されていて柔軟であり、配水管内、浄化槽又は下水道等を詰まらせる惧れがない。
本物品1は、水洗トイレにしばしば流される場合もあるが、汚物入れ等に廃棄される場合もあり、必ずしも水洗トイレに廃棄されるものではない(以下、同様)。
【0022】
本実施形態の吸収性物品1は、女性の陰唇間の空間に挟まれ陰唇部の壁部と密着して体液の漏れを防ぐ観点及びその使用後に水洗トイレに廃棄された場合、配水管内、浄化槽又は下水道等を詰まらせない観点から、本物品1は、長さ12cm、幅6cmそれぞれを超えない大きさであることが好ましい。また本物品1の構成部材は、全て以下の何れかから選択されたものであることが好ましく、本物品1の2つ折りした状態の厚さは1cmを越えないことが好ましい。即ち、平面状に展開した状態の厚さは0.5cmを越えない、水解性又は生分解性のシート部材、及び水崩壊性のウエブ(例えばフラッフパルプやレーヨン綿等)。長さ及び幅は、本物品1を平面状に展開した場合の長手方向又は幅方向それぞれの最大の値である。
【0023】
本実施形態の吸収性物品1において、表面シート2の形成材料は水流交絡法により形成された水解性の不織布である。本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄された場合、表面シート2は、更にシートを形成している繊維レベルの大きさにまで分解する性質を有していることが好ましく、少なくとも、該シート2の水解後における各部分の大きさは、浄化槽等の濾材を詰まらせない程度の大きさにまで分解することが好ましい。本明細書において、水解性は、吸収性物品1の使用中における湿潤状態では水解しないが、大量の水中に廃棄され攪拌されると速やかに細かく分解する性質を意味している。
【0024】
本実施形態の吸収性物品1において、表面シート2は、ウエブを形成し更に水流交絡法により水解する程度に交絡させ不織布化したものである。
ウエブの形成材料としては、各種公知のものを用いることができるが、以下に示す熱可塑性繊維、親水性繊維又は両者の混合繊維からウエブを形成したもの等が好ましく、特にレーヨン単独、またはレーヨンを主成分とし、これにパルプ、コットン、各種熱可塑性繊維の中から選択された繊維を混合したものが、交絡しやすく且つ本質的に親水性で吸収性を発現しやすい観点から好ましい。各繊維の繊維長は、本物品1の使用時における湿潤状態ではシートの剛性が維持される一方、使用後に水洗トイレに廃棄された場合、速やかに水解する観点から、10〜120mmであることが好ましい。
熱可塑性繊維としては、具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等の樹脂からなる合成繊維、及びこれらの複合繊維、更にこれらの繊維に耐久性親水化剤を塗布した繊維等が好ましい。
親水性繊維としては、その他、木材パルプ、セルロース繊維、各種再生セルロース繊維又はそれらの混合繊維を含む繊維等が好ましい。木材パルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、針葉樹サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)等の漂白された木質パルプ、化学処理を施してアルカリ膨潤したマーセル化パルプ、螺旋構造を有する化学架橋パルプ等が挙げられる。セルロース繊維としては、コットン繊維、黄麻、大麻、亜麻、苧麻、洋麻、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻)、ケナフ他1年草由来の繊維素材等が挙げられる。再生セルロース繊維としては、ビスコース法、銅アンモニア法、有機溶剤法により得られた繊維等が挙げられる。例えば、前述の如く、ビスコース法により形成されるレーヨン繊維等を好ましく用いることができる。
また、上記の親水性で生分解性の繊維の他、後述する生分解性を有する繊維又は生分解性を有する樹脂からなる繊維を用いて、ウエブを形成することも一層好ましい。生分解性を有するウエブとして、例えば、再表97/13920号明細書に記載のものも挙げられる。
水解性の不織布として、前記ウエブに対して、水溶性の接着剤を用いたケミカルボンド法により不織布化したものを用いることも好ましい。
また、前記水流交絡法によって不織布形成したシートに水溶性の接着剤を塗工浸透させ、結合を補強したものも好ましい。この結合補強剤としては、例えば、ポリビニルアルコールを結合補強剤として添加したもの、ポリビニルアルコールを結合補強剤として添加後、更にカルボン酸塩(水溶液)を含浸させ、乾燥させたもの、置換度0.3〜0.6、pH≧5を有するカルボキシメチルセルロース及び/又はその塩を結合補強剤として添加したもの等が上げられ、これらは少量の水分に対しては水に溶け出さず安定した結合剤として機能し、且つ水洗トイレ内で大量の水が浸透してきた場合(塩の金属架橋が外れる等の構造変化によって)直ちに結合が切れ、水解する。
【0025】
本実施形態の吸収性物品1において、水解性を有する吸収体4は、各種公知のものを用いることができるが、フラッフパルプ又はレーヨンのウエブを成型した水解性の繊維集合体、水解性紙又は水解性の不織布等が好ましい。吸収体4は、良好な吸収性の観点からは、親水性繊維から形成されていることが好ましく、良好な柔らかさの観点からは、3次元クリンプの大きい熱可塑性繊維による嵩高のウエブから形成されていることが好ましい。良好な吸収性と柔らかさを兼ね備える観点から、親水性繊維と熱可塑性繊維との質量比は、100:0〜60:40であることが好ましい。これらは混合したウエブであっても良いが、それぞれ独立した層を積層しても良い。また、各繊維の繊維長は、本物品1の使用時における湿潤状態では吸収体4の剛性が維持される一方、使用後に水洗トイレに廃棄された場合、速やかに水解する観点から、6〜120mmであることが好ましい。
【0026】
吸収体4を形成する水解紙としては、各種公知のものを用いることができるが、親水性繊維、疎水性繊維又は両者の混合繊維を含むウエブに水溶性の接着剤を添加して形成したもの等が好ましい。
吸収体4を形成する親水性繊維及び疎水性の熱可塑性繊維としては、表面シート2の材料として前述したものと同様のものが挙げられる。
また、ウエブの材料としては、各種公知のものを用いることができるが、前記水解紙の材料と同様のものを用いることが好ましい。
また、水解性の不織布としては、各種公知のものを用いることができるが、前記ウエブを、ケミカルボンド法又は水流交絡法により形成したもの等が好ましい。ケミカルボンド法においては、水溶性を有する接着剤を用いることが好ましい。
水解紙、ウエブ又は水解性の不織布を形成する繊維としては、後述する生分解性を有する繊維又は生分解性を有する樹脂からなる繊維であって、親水性を有するものを用いることが一層好ましい。生分解性を有する水解紙又は水解性の不織布として、例えば、再表97/13920号明細書に記載のものも挙げられる。
更に、吸収性を向上する観点から、高吸収性ポリマーを所定量担持させることも好ましい。具体的には、水洗トイレに廃棄後の流動性等の観点から、高吸収性ポリマーは吸収体の質量に対して0〜33質量%担持させることが好ましい。
高吸収性ポリマーには、当業者公知の各種樹脂を用いることが可能であるが、環境排出された後の生分解に配慮すると、
1)デンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩等の生分解性高分子を基本骨格とし、アクリル酸及びアクリル酸塩をグラフト重合したポリマー
2)架橋度が低くゲル強度の弱いポリアクリル酸(又はその塩)、ポリアクリル酸を少量の多価カチオンで部分中和した塩、等、経血や尿など(電解質溶液)には不溶性であるが、多量の水に晒されると水溶する合成高分子
3)デンプン、不溶化デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース及びその塩、納豆産生ポリグルタミン酸及びその架橋物など、天然物由来の高吸水性物質
等の高い生分解性を有するポリマーが特に好適に用いられる。
【0027】
また、本実施形態の吸収性物品1における裏面シート3は、生分解性を有している。本物品1が使用後に水洗トイレに廃棄された場合、該裏面シート3は、更に生分解してその形状が消失していく性質を有している。
【0028】
本実施形態の吸収性物品1において、裏面シート3は生分解性フィルムとすることが好ましい。生分解性フィルムとしては、熱可塑性で生分解性のプラスチックを押し出し成型してフィルム化したものが最も扱いやすく、好ましい材料としては、例えばポリ乳酸樹脂、或いはポリオレフィンに20〜60質量%のポリ乳酸樹脂を配合したもの、又はポリオレフィンに20〜40質量%のでんぷん、スターチ、セルロース及び/又はそれらの粉体を混合したもの、等が用いられる。その他の生分解性プラスチックについては後述する。また、裏面シート3の他の好ましい実施形態として、ケン化度の高いポリビニルアルコール(PVA)樹脂を溶融押し出しして作った水溶性フィルム、PVA,カルボキシメチルセルロース及び/またはその塩の範囲から選択されたポリマーからキャスト形成されたフィルム(水に溶かして薄く膜状に塗工して乾燥させて得られたフィルム)等の水溶性フィルム(少量の水には溶けにくく多量の水になら溶けるフィルム)、表面シート2と同様に作成された水解性不織布に、前記フィルムを組み合わせた複合材料等が好ましく使用できる。または、前述した表面シート2と同様の製法で、材料には熱可塑性樹脂からなる疎水性繊維を用いる疎水性で水解性の不織布を用いることも可能である。また、該不織布の防漏性を高める観点から、ワックスを塗布することが好ましく、特に生分解性のワックスが好ましい。該ワックスは裏面シート3の肌当接面側に塗布されていることが好ましい。
【0029】
その他の生分解性プラスチックとしては、具体的には、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合系、又は脂肪族ポリカーボネート系の樹脂から形成されるフィルムを好ましく用いることができる。該樹脂には、詳述すると、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトンとポリブチレンサクシネートとの混合物若しくは共重合物(PCL/PBS)、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバリレートとの共重合物(PHB/PHV)、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンアジペートとの混合物若しくは共重合物(PBS/PBA)、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンサクシネートとの共重合物(PET/PES)、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンアジペートとの共重合物(PBT/PBA)等の樹脂が好ましい。
また、セロハンやキトサン等の水不溶性の多糖類、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、未加硫の天然ゴム、未加硫のポリイソプレン、公知のシェラック樹脂を熱硬化させたもの、硬化させたうるしなどの天然樹脂等の多糖類、ゼラチン等のたん白質、ポリリンゴ酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等も好ましい。
前記各樹脂は、単独で又は二以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
生分解性フィルムを形成するときの製膜方法には、カレンダー法、溶融押出法、樹脂溶液又はエマルジョンを塗布後溶媒又は分散媒を蒸発させる方法等の従来からある通常の製膜方法を用いることができる。
【0031】
生分解性フィルムの厚みは、フィルム強度とフィルムの取扱い性の点及び生分解性のし易さの観点から、12〜60μmであることが好ましく、18〜35μmであることが更に好ましい。前述した様に該フィルムの強度を補強するために水解性不織布と複合して防漏性で生分解性の複合シートを形成することも可能で、このときのフィルムの好ましい厚みは10〜45μm、特に12〜30μmであり、水解性不織布の好ましい坪量は25〜45g/m2、特に30〜40g/m2である。
【0032】
また、裏面シート3として、生分解性紙若しくは生分解性の不織布にワックスを塗布したもの等が好ましい。該ワックスは、生分解性を有するものが好ましいく、また、裏面シート3の肌当接面側の面に塗布されることが好ましい。
生分解性紙又は生分解性の不織布の形成材料としては、前述した水解性不織布/水解紙と同様のものを用いることができる。
【0033】
前述した生分解性フィルム、生分解紙又は生分解性ウエブは、実用的な期間で分解する点から、生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又は6953)が、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
【0034】
生分解性を有するワックスは、各種公知のものを用いることができるが、植物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックス等が好ましい。
植物系ワックスとしては、具体的には、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。動物系ワックスとしては、具体的には、みつろう、ラノリン、鯨ろう等が挙げられる。石油系ワックスとしては、具体的には、融点が85℃以下のもの、例えば、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。また、合成ワックスであっても、生分解性を有するものは用いることができる。
【0035】
本実施形態の吸収性物品1において、生分解性を有する接着剤としては、各種公知のものが用いられるが、デンプン、ポリビニルアルコール、にかわ、ゼラチン、カゼイン、未加硫の天然ゴム、未加硫のポリイソプレン等が好ましい。
【0036】
また、必要に応じて、水溶性の接着剤に架橋剤を添加することも好ましい。架橋剤によって該接着剤が架橋して不溶化する結果、少量の水では該接着剤が溶解しなくなる。しかし大量の水中に廃棄すれば不溶化していた該接着剤が再び水に溶解するようになる。架橋剤の種類は、接着剤の種類に応じて適切なものが用いられる。例えば、接着剤が前述したCMCなどのカルボキシル基を有する水溶性の接着剤である場合には、架橋剤として多価金属イオンを用いることが好ましい。特にアルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種又は2種以上の金属イオンを用いることが、水溶性の観点及び湿潤時の接着力等の観点から好ましい。
【0037】
前述した本実施形態の吸収性物品1によれば、表面シート2及び吸収体4は水解性を有しており、裏面シート3は生分解性を有しているため、それぞれ、水洗トイレの水流による攪拌を受け、続けて小さく分解される。
また、表面シート2及び吸収体4が水解性と共に生分解性を有している場合には、繊維の大きさ以下にまで分解されるため、最終的に、浄化槽等の水洗トイレの下流において、固形物として残る割合が極めて少なく、環境により好適である。
【0038】
−7
尚、好ましい第1実施形態においては、エンボスのパターンの違いによって使用後の外周シール剥離性をコントロールしたが、パターンに替えて各種エンボス条件を変えることで、同様の効果を発現可能である。
例えば、エンボスパターン自体は全て所定の同一のパターンを用い、剥離部分である摘み部近傍13に相当する部分のみ、エンボス温度を下げる(具体的には、非剥離部分である摘み部12とエンボス部6はエンボス温度を110〜130℃とし、剥離部分は同110℃以下、好ましくは100℃以下とする)。この場合、エンボスのパターンと圧力は全周に同じようにかかる。非剥離部分では接着剤の融点程度の温度に達する為接着剤が溶融又は軟化して材に食い込むが、剥離部分では接着剤の融点に達しない為、接着剤が材に食い込まない。この結果湿潤又は高湿度下で、非剥離部では前述した係合効果が現れない為、剥離しやすくなる。
また、エンボスパターン、エンボス温度自体は同一で、摘み部近傍13部分のみエンボスの押し圧を下げる方法も可能である。この場合、当該部位の加圧は1kg(軸の押し圧)以下とし、その他の部位の加圧は20〜40kg(同)とする。この方法でも、押し圧の低い部位では、十分な圧力も温度も接着剤に伝わらない為、上と同様に接着剤の材への食いこみが起こらない。
上の2つの方法では、1対のエンボス軸では対応が不可能(同じ軸上の温度や圧を局所的に変更することは、工業的には不可能)なため、非剥離部分と剥離部分それぞれ別々のエンボス装置を用意して実施する必要がある。その分、製造コストが増加する、またエンボスを行う位置合わせも慎重を期す必要がある。そこで、異なる方法として、エンボスパターン、エンボス温度、圧力は共通だが、エンボスの雄ロールのピン高さを変え、非剥離部分は長く、剥離部分は短くするという方法がある。
好ましい実施形態として、エンボスの上下2本のロールのうち、裏面シートが当たる側のロールをフラット(受けロール)とし、表面シートが当たる側のロールを雄ロールとし、所定のエンボスパターンの凸部を有し、かつ110〜130℃の高温にする。このエンボスに相当する凸部(ピン)の高さを、例えば非剥離領域では11mm、剥離領域では10.5mmにする。ロール間のクリアランスを非剥離領域に合わせて設定した場合、他の条件を合わせても剥離領域では0.5mmの隙間ができる計算になる。実際には構成部材分の厚みもあるので、この部分でもエンボス加圧がなされパターン形成されるが、押しこみは不充分であり、上と同様接着剤の食いこみによる係合は生じない。
上記何れの方法でも、エンボスパターンに変更を加えたのと同様の部分的な剥離効果が得られる。この効果については、前述した剥離強度測定方法で確認可能である。
【0039】
次に第2及び第3実施形態の吸収性物品1を、図6及び図7を参照しながら説明する。第2及び第3実施形態について、特に説明しない点については、第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図6及び図7において、図1〜図5と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0040】
本発明の好ましい第2実施形態の吸収性物品1において、エンボスパターン及びエンボス条件は第1実施形態の非剥離領域のそれと共通である。一方、これと組み合わせる水溶性接着剤の塗工方式を図6に示す如く変えている。具体的には、摘み部近傍13の長手方向両側部(図6中の領域P)においては、水溶性で熱可塑性の接着剤をスロットスプレーで薄膜状に塗工し、それ以外の領域(摘み部12の前端部及び本物品1の摘み部近傍13を除いた領域、図6中の領域Q)ではスパイラルスプレーで線状(螺旋状)に塗工してある。好ましい塗工坪量は第1実施形態と同様であるが、ここでは何れも10g/m2で塗工してある。裏面シート3における領域Pは、図6に示すように、表面シート2における切断線21の前後に亘って形成されていることが好ましい。図6において、位置関係を明確にするため、表面シート2における切断線21を点線で示している。
この様に塗工方式を変更すると、まずスパイラルスプレー塗工された部分は、材料に含浸して係合効果を発揮する十分な太さの接着剤が存在する。なぜなら、平均すると10g/m2の塗工量でも、微視的には接着剤は線状に寄り集まって存在し、その太さは通常直径100〜200μmに達しており、材料に含浸可能な厚さ(太さ)を十分持っているからである。一方、スロットスプレーされた領域では、接着剤はほぼ均一な膜状に存在し、その厚みは微視的に見ても10μm程度しかなく、材料に含浸していくのに十分な厚みを有していない。
似たような効果は、例えば塗工形式は全面スパイラルスプレー塗工とし、剥離領域のみ坪量を変更する(一例として当該部位のみ2g/m2、その他を10g/m2)方法も可能であるが、上の様に異なる方式を併用する方が所定の接着効果を安定して発現できる。上の応用例として、まず全面に10g/m2程度のスロットスプレー塗工を施した上で、必要な場所にスパイラルスプレーをオーバーコートする方法も可能である。
尚、本物品1の摘み部近傍13及び摘み部12の長手方向中央部(図6中の2つの領域Pに挟まれた部分)において、ドット状の複数のエンボスを設けて、表面シート2と裏面シート3とを接合することも好ましい。
本実施形態の吸収性物品1によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。その効果及び剥離強度も、第1実施形態と同様にして確認できる。
【0041】
本発明の好ましい第3実施形態の吸収性物品1において、表面シート2と裏面シート3とは、外周シール部分で非水溶性の接着剤及び点状のエンボス部6により強固に接着している。一方、裏面シート3には、図7に示すように、摘み部12の根本を起点として、本物品1の長手方向の略中央に達する一連の小孔31列を有している。ここで、摘み部12の根本は、切断線21の幅方向の両端側部と対向している裏面シート3の部分である。
この小孔31は、摘みを下向きに引っ張った際に裏面シート3を引裂く引裂き誘導線であると同時に、陰唇間パッド1が吸収した経血を、下層のナプキンに伝える透液孔を兼ねている。したがってこの実施形態においては、本発明に係る吸収性物品1とは別に、補助として下着に固定して着用される生理用ナプキン(またはおりものシートなど)等を併用することが必須となる。図7において、位置関係を明確にするため、表面シート2における切断線21を点線で示している。
本実施形態においては、摘み部12を下向きに引いて本物品1を外そうとしたとき、まず摘みごと裏面シートが本物品1の長手方向の中央付近まで誘導線に沿って引裂け、誘導線がなくなったところで引裂きは停止して、次に本物品1全体が外れる。
この誘導線に沿った引裂きの強度は、第1実施形態と同様の方法で測定することが可能で、その好ましい強度も同様である。
上の好ましい第1〜第3いずれの実施形態においても、表面シート2、吸収体(又は吸収シート)4、裏面シート3は前記の材料から任意に選択して用いることができる。
その他、表面シート2は生分解性を有する液透過性のシートであっても良い。この形成材料としては、各種公知のものを用いることができるが、生分解性フィルム、生分解性紙、生分解性ウエブ又は生分解性の不織布等が好ましい。これらのシート材料には、体液を透過するように、複数の孔を設けることも好ましい。
生分解性フィルム、生分解性紙、生分解性ウエブ又は生分解性の不織布の材料としては、第1実施形態の裏面シートと同様のものが挙げられる。尚、生分解性紙等の材料としては、親水性繊維も好ましい。このような材料では、最終的に繊維の大きさ以下に分解されるため、浄化槽等の水洗トイレの下流において、固形物として残る割合が極めて少なく環境に好適である。
【0042】
同様の考え方で、表面シート2及び吸収体4を、生分解性を有する材料で構成してもよい。
吸収体4の形成材料としては、各種公知のものを用いることができるが、生分解性紙、生分解性ウエブ又は生分解性の不織布等が好ましい。
生分解性紙を用いる場合には、その材料は親水性の生分解性繊維からなるウエブに接着剤を添加して形成されているものが好ましい。親水性の生分解性繊維としては、前述した生分解性を有する繊維の中で親水性を有するものが挙げられ、具体的には、コットン繊維(綿花)、第1実施形態の水解紙の材料である親水性繊維として説明した各種繊維が用いられる。
生分解性ウエブを用いる場合には、その材料は親水性の生分解性繊維から形成されているものが好ましい。親水性の生分解性繊維としては、前記生分解性紙において前述したものが挙げられる。
生分解性の不織布は、前記生分解性ウエブに対して、ケミカルボンド法又は水流交絡法により形成したもの、熱融着性繊維を含有させてエアースルー法により形成したもの等が好ましい。ケミカルボンド法においては、生分解性を有する接着剤を用いることが好ましく、エアースルー法においては、生分解性を有する熱融着性繊維を用いることが好ましい。また、熱可塑性を有する生分解性の合成繊維のみを用いてスパンボンド法により形成したものも好ましい。
【0043】
本発明の吸収性物品は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、本発明の吸収性物品において、摘み部を摘んで吸収性物品を陰唇間から取り外す操作により、裏面シート全体が表面シートと剥離するようになされていても良い。裏面シートと表面シートとは、両シートの周囲が水溶性の接着剤及び物理的接合手段を併用して接合されていることが好ましい。この場合、裏面シートが取り外された後の陰唇間に挟まれている表面シート及び吸収体等は、陰唇間を開くことにより便器に落ち、水洗トイレに廃棄されることが好ましい。また、取り外された裏面シートは、汚物入れ等に廃棄されることが好ましく、該裏面シートは、水解性又は生分解性を有していなくても良い。
また、表面シートは、摘み部近傍に吸収性物品の長手方向と交差する方向に延びるミシン目を有していても良い。この場合、摘み部を摘んで吸収性物品を陰唇間から取り外す操作により、該ミシン目が切断されることが好ましい。
また、裏面シートの非肌当接面側に、下着等と固定するための固定用の粘着部を設けることも好ましい。特に、下着に固定する従来の吸収性物品等と併用する場合、本発明の吸収性物品は、その着用中に該粘着部を介して、下着に固定されている吸収性物品の肌当接面に固定される。そのため、本発明の吸収性物品を交換する際、下着を下ろすと共に本物品を陰唇間から外すことができるので、その交換が容易となり好適である。
【0044】
また、各実施形態において、非肌当接面における長手方向の両側部間に架け渡された保形シートを設けることも、本物品の2つ折りの形態が維持される観点から好ましい。この場合、該保形シートは、水解性及び/又は生分解性を有していることが好ましい。
また、同様に2つ折りの形態を維持する観点から、裏面シート3の非肌当接面側の面の一部同士を接着剤で固定してもよい。この固定が水溶性の接着剤でなされることが更に好ましい。
【0045】
また、各実施形態において、表面シートと裏面シートとは、物理的接合手段としてのヒートシールによる複数のエンボス部で接合されていたが、超音波シールによるエンボス部又はピン若しくは針による係合であってもよい。
また、各実施形態において、裏面シートは生分解性を有していたが、水解性を有していることも好ましく、特に、水分解性及び生分解性を有していることが好ましい。
また、第1実施形態における表面シートは、水解性の不織布であったが、水解性紙又は水解性ウエブであることも好ましい。
本発明の吸収性物品は、経血の吸収パッドであっても良いが、失禁パッド等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1実施形態の吸収性物品の平面図である。
【図3】図3は、図2のX−X線断面図である。
【図4】図4は、図2のY−Y線断面図である。
【図5】図5は、第1実施形態の吸収性物品が着用されている状態を図2のX−X線に沿って模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の吸収性物品の第2実施形態における裏面シートの接着剤の塗工方式を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明の吸収性物品の第3実施形態における裏面シートを示す平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 吸収性物品
12 摘み部
13 摘み部近傍
2 表面シート
21 切断線
3 裏面シート
31 小孔
4 吸収体
6 エンボス部
C 縦中心線





 

 


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