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発明の名称 細胞変態方法、細胞変態装置及びそれを用いた治療装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−151731(P2007−151731A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−349255(P2005−349255)
出願日 平成17年12月2日(2005.12.2)
代理人 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
発明者 鈴木 和拓 / 成瀬 雄二郎 / 舟木 英之 / 板谷 和彦 / 内古閑 修一
要約 課題
有害細胞を物理的衝撃により死滅させることができる細胞変態方法、細胞変態装置及び治療装置を提供する。

解決手段
細胞変態装置1において、ダイヤフラムとして使用され、有害細胞にナノ粒子を加えた混合媒液を表面上に保持するマイクロディッシュ2と、マイクロディッシュ2に対して離間しかつ対向して配置され、マイクロディッシュ2との間にバイアスを印加してマイクロディッシュ2を振動させ、有害細胞にナノ粒子を衝突させ細胞を破壊する交流電圧供給体3とを備える。更に、細胞変態装置1は、加熱体4、インダクタ5を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合する工程と、
前記ナノ粒子に対して、振動エネルギ及び熱エネルギを与えて、前記有害細胞に前記ナノ粒子を衝突させることで、前記有害細胞を破壊する工程と、
を備えることを特徴とする細胞変態方法。
【請求項2】
前記ナノ粒子に対して、さらに電界エネルギを与えることを特徴とする請求項1に記載の細胞変態方法。
【請求項3】
前記有害細胞を破壊する工程は、撥水性被膜上で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の細胞変態方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子は、10nm〜100nmの範囲内の粒径を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の細胞変態方法。
【請求項5】
有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合させた混合媒液を保持する媒液保持手段と、
前記混合媒液に振動を印加する振動印加手段と、
前記混合媒液に熱を加える媒液加熱手段と、
を備えたことを特徴とする細胞変態装置。
【請求項6】
前記振動印加手段は、前記媒液保持手段に離間して配置された導電性を備えた基板で構成され、前記媒液保持手段と前記基板との間に交流バイアスを印加することを特徴とする請求項5に記載の細胞変態装置。
【請求項7】
前記混合媒液に磁場を印加する磁場印加手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の細胞変態装置。
【請求項8】
前記混合媒液に、電磁波を照射する電磁波照射手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の細胞変態装置。
【請求項9】
前記媒液保持部手段における前記混合媒液を保持するに表面には、撥水性被膜が設けられていることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の細胞変態装置。
【請求項10】
内視鏡と、
前記内視鏡へ照明光を供給する光源装置と、
前記内視鏡に連結され、前記内視鏡の先端部を駆動する第1の駆動部と、
前記内視鏡の前記先端部に設けられた治療部と、を有し、
前記治療部は、細胞変態装置と、前記細胞変態装置を前記内視鏡の撮像方向に駆動する第2の駆動部と、を備え、
前記細胞変態装置は、有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合させた混合媒液を保持する媒液保持手段と、前記混合媒液に振動を印加する振動印加手段と、前記混合媒液に熱を加える媒液加熱手段と、を備えたことを特徴とする治療装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞変態方法、細胞変態装置及びそれを用いた治療装置に関し、特に、生体に悪影響を及ぼす有害細胞を破壊する細胞変態方法、細胞変態装置及びそれを用いた治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスや細菌によって誘発される肺炎、敗血症等の細菌性疾患に対しては、ペニシリン(Penicillin)、バンコマイシン(Vancomycin)、メチシリン(Methicillin)等の生化学的な抗生物質の投与が有効である。しかしながら、この種の抗生物質においては、副作用が生じる問題点、多剤耐性菌が発現する問題点、薬品間の相互作用による副作用が生じる問題点が指摘されている。また、この種の抗生物質は、バクテリアには有効であるが、ウイルスには有効でないというような問題点も指摘されている。
【0003】
一方、生体から取り出した細胞の構造、状態若しくは機能を効率良く変化させる方法として、細胞を含む流体を収納する機械振動部と、この機械振動部に収納された流体中の振動子の質量と流体の減衰摩擦係数に基づいた固有の周波数の振動を振動子に印加する機械振動印加手段とを備えることを特徴とする細胞変態装置が、特許文献1に開示されている。ここで、細胞の構造等を変化させるとは、具体的には、細胞の核に存在するDNA(deoxyribonucleic acid)を取り出して遺伝子組み替えを行うこと、人工的に生成されたRNA(ribonucleic acid)や蛋白質を細胞質に注入して細胞分裂を制御したりウイルスへの抵抗力を高めたりすること等が含まれる。
【0004】
また、腫瘍細胞等の癌細胞のみを選択的に加熱して破壊するか、あるいは体液を濾過して癌細胞のみを選択的に除去する方法として、発熱体に癌細胞に対して選択的に結合する抗体等で構成されたリガンドを付着させた発熱素子を付着した状態で、この発熱素子に電磁波を照射させて、発熱素子を誘導加熱し癌細胞を破壊する癌治療装置が、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2005−102619号公報
【特許文献2】特開2004−290351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した生体への生化学的な抗生物質の投与は生体への副作用が懸念されるばかりか、多剤耐性菌の発現の可能性が高い。このため、このような多剤耐性菌を死滅させるには、新たな抗生物質の開発や新たな抗生物質の生体への投与を余儀なくされていた。
【0006】
また、上記特許文献1には、技術分野において、ウイルスや細胞を見分けて破壊する旨の記載はされているが、具体的には、効率良く細胞の構造、状態、機能等の変化を行う手法が開示されているに留まり、細胞の破壊については具体的に記載されていない。
【0007】
更に、上記特許文献2には、癌細胞の細胞膜又は細胞壁の表面に発熱素子を吸着させて加熱により細胞破壊を起こす作用を用いているが、細胞によっては耐熱性の高い癌細胞もあり、すべての癌細胞を効果的に破壊するには限界がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、生体に悪影響を及ぼす有害細胞を破壊する細胞変態方法、細胞変態装置及びそれを用いた治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態に係る細胞変態方法は、有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合する工程と、ナノ粒子に対して、振動エネルギ及び熱エネルギを与えて、有害細胞にナノ粒子を衝突させることで、有害細胞を破壊する工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の実施の形態に係る細胞変態装置は、有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合させた混合媒液を保持する媒液保持手段と、混合媒液に振動を印加する振動印加手段と、混合媒液に熱を加える媒液加熱手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の実施の形態に係る治療装置は、内視鏡と、内視鏡へ照明光を供給する光源装置と、内視鏡に連結され、内視鏡の先端部を駆動する第1の駆動部と、内視鏡の先端部に設けられた治療部と、を有し、治療部は、細胞変態装置と、細胞変態装置を内視鏡の撮像方向に駆動する第2の駆動部と、を備え、細胞変態装置は、有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合させた混合媒液を保持する媒液保持手段と、混合媒液に振動を印加する振動印加手段と、混合媒液に熱を加える媒液加熱手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生体に悪影響を及ぼす有害細胞を破壊することができる細胞変態方法、細胞変態装置及びそれを用いた治療装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[細胞変態装置]
本発明に係る細胞変態装置は、有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合させた混合媒液を保持する媒液保持手段と、混合媒液に振動を印加する振動印加手段と、混合媒液に熱を加える媒液加熱手段とを備えている。
【0015】
有害細胞とは、生体に悪影響を及ぼす細胞であって、核を持ち細胞分裂の際に染色体構造を生ずる真核細胞、構造的に区別できる核を持たない原核細胞の双方を含む意味において使用される。具体的には、生体から摘出した癌細胞、腫瘍等の細胞(真核細胞)、ウイルス、バクテリア等の細菌の細胞(原核細胞)のいずれも「有害細胞」に含まれる。
【0016】
ナノ粒子は、例えば、10nm〜100nmの範囲内の粒径を有する微粒子体であり、具体的には、金(Au)、シリコン(Si)等を実用的に使用することができる。
【0017】
媒液保持手段は、混合媒液を保持することができ、混合媒液に、振動、加熱、磁場等を与えることができれば、その素材、形状等は、限定されない。媒液保持手段は、例えば、マイクロディッシュ、シリコン基板、石英基板等で構成されている。
【0018】
媒液保持部手段における前記混合媒液を保持する表面上には撥水性被膜が設けられていることが好ましい。媒液保持部手段には、混合媒液を滴下するので、ウェットな環境下での電気的な短絡という不具合を排除し、静電気力駆動による励振状態を安定にかつ確実に作り出すことができる。
【0019】
振動印加手段は、混合媒液に少なくとも振動エネルギを与えることができれば、その手段、装置、構成等には限定されない。ここでいう振動エネルギとは、上下左右方向にナノ粒子が振動するエネルギのことを指す。
【0020】
振動印加手段は、媒液保持手段に離間して配置された電圧供給体で構成されていることが好ましい。このように、媒液保持手段と電圧供給体との間に交流バイアスを印加させることで媒液保持手段を振動させてナノ粒子に振動エネルギを与えることができる。
【0021】
媒液加熱手段は、混合媒液に熱エネルギを加えることができれば、その手段、装置、構成等には限定されない。ここでいう熱エネルギとは、上記振動印加手段により与えたナノ粒子の振動エネルギを増加させるエネルギであり、例えば、ナノ粒子が発熱するエネルギのことを指す。
【0022】
このように、本発明に係る細胞変態装置は、ナノ粒子に対して、振動エネルギと熱エネルギを与えることで、ナノ粒子が振動エネルギにより所定の方向に振動し、熱エネルギによりその振動が加速されるため、強い加速力で有害細胞に衝突させることができ、有害細胞を破壊することが可能となる。
【0023】
本発明に係る細胞変態装置は、混合媒液に磁場を印加する磁場印加手段をさらに備えていることが好ましい。磁場印加手段は、混合媒液に磁場を印加することができれば、その手段、装置、構成等には限定されない。磁場印加手段は、例えば、インダクタで構成されている。このように、混合媒液に磁場を印加することで、前記振動印加手段および媒液加熱手段により加速されたナノ粒子の方向性を所定の方向に制御することができる。そのため、より多くのナノ粒子を有害細胞に衝突させることができるため、有害細胞を破壊する確率が増加する。
【0024】
本発明に係る細胞変態装置は、混合媒液に電磁波を照射する電磁波照射手段を、さらに備えていることが好ましい。電磁波照射手段は、混合媒液に電磁波を照射することができれば、その手段、装置、構成等には限定されない。電磁波照射手段は、例えば、発光素子等で構成されている。これにより、振動印加手段及び媒液加熱手段で加速されたナノ粒子に、さらに高い熱エネルギ(光エネルギ)を与えることができるため、さらに、強い加速力で有害細胞に衝突させることができ有害細胞を破壊することが可能となる。
【0025】
次に、本発明に係る細胞変態装置について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る細胞変態装置の要部斜視図、図2は、図1に示す細胞変態装置の全体の斜視図、図3は、図1に示す細胞変態装置のF3−F3切断線で切った要部断面図である。
【0026】
図1から図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る細胞変態装置1は、ダイヤフラムとして使用され、有害細胞にナノ粒子を加えた混合媒液を表面上に保持することが可能な媒液保持手段としてのマイクロディッシュ2と、マイクロディッシュ2に離間しかつ対向して配置された電圧供給体としての基板11とを備えている。言い換えれば、マイクロディッシュ2は、基板11に設けられた凹形状のキャビティ22に離間しかつ対向して、行列状(格子状)に規則的に複数配列されている。なお、ここでいうマイクロディッシュ2とは、図2及び図3に示されたマイクロディッシュ2のうち一つの単位のことを指す。すべてのマイクロディッシュ2は、同一の平面形状により構成され、かつ同一の断面構造を備えている。
【0027】
マイクロディッシュ2と基板11とは交流電圧供給源30に接続されている。細胞変態装置1は、マイクロディッシュ2と基板11との間に交流バイアスを印加してマイクロディッシュ2を振動させる振動印加手段を備えている。
【0028】
マイクロディッシュ2は、図3に示すように、区画された絶縁体12と、この絶縁体12の表面上の活性層13と、この活性層13の表面上の第1の配線16と、この第1の配線16上の層間絶縁膜17及び18と、この層間絶縁膜18の表面上の第2の配線20と、この第2の配線20上の保護膜21と、更に保護膜21の表面上にコーティングされた撥水性被膜23とを備えている。
【0029】
複数配列された各々のマイクロディッシュ2は、その周縁に機械的に連結された第1のメカニカル支持体13A及び16Aにより支持され、第1のメカニカル支持体13A及び16Aは、第2のメカニカル支持体13B及び20Bに各々連結されている。第2のメカニカル支持体13B及び20Bは、最終的には基板11の表面上の周辺領域において支持されている。
【0030】
一方の第1のメカニカル支持体13Aは活性層13を利用してそれと同一層において構成され、他方のメカニカル支持体16Aは第1の配線16を利用してそれと同一層において構成されている。第2のメカニカル支持体13B及び20Bはメカニカル支持体13A及び16Aと同様に構成されており、一方の第2のメカニカル支持体13Bは活性層13を利用してそれと同一層において構成され、他方の第2のメカニカル支持体20Bは第2の配線20を利用してそれと同一層において構成されている。
【0031】
このように、マイクロディッシュ2は、第1のメカニカル支持体13A及び16Aと、第2のメカニカル支持体13B及び20Bと、基板11の周辺領域とで連結されて支持されているので、基板11の表面に対して垂直方向および左右方向において励振可能な(振動可能な)メカニカルダイヤフラムとして機能する。すなわち、交流電圧供給源30から基板11及びマイクロディッシュ2とに交流バイアスが供給され、基板11とマイクロディッシュ2との間に交流バイアスが印加されると、静電気力が発生し、基板11の表面に対して垂直方向および左右方向においてマイクロディッシュ2が励振する。
【0032】
マイクロディッシュ2内の活性層13には、p型不純物を注入若しくは拡散して形成したアノード領域14と、このアノード領域14の表面部分にn型不純物を注入若しくは拡散して形成したカソード領域15とのpn接合により構成されたダイオードが構成されている。アノード領域14は、第1のメカニカル支持体13Aと、機械的な接続だけでなく電気的にも接続され、第1のメカニカル支持体13Aは、基板11の外部に配設されている直流電圧供給源31に接続されている。これにより、アノード領域14に順方向電流が供給される。
【0033】
カソード領域15はその直上において配設された第1の配線16に電気的に接続され、この第1の配線16には接続孔配線19を通して第2の配線20が電気的に接続されている。第2の配線20は、直流電圧供給源31に電気的に接続されており、アノード領域14に供給された順方向電流を帰還させる。すなわち、活性層4は、順方向電流を流して熱を発生させ、マイクロディッシュ2を局所的に加熱する加熱体4としての機能を備えている。図4(A)に示すように、加熱体4は、順方向電流を流すことにより、マイクロディッシュ2の温度を上昇させることができる。図中、データAは順方向電流を無限大に流し続けた場合の上昇温度を示し、データBは1msecの間において順方向電流を流した場合の上昇温度を示す。
【0034】
第1のメカニカル支持体13A及び16Aは、マイクロディッシュ2の周縁に対して一定間隔において離間しその周縁に沿って延在しており、更に、第1のメカニカル支持体13A及び16Aは、インダクタ5として機能する。詳細に図示していないが、第1のメカニカル支持体13A上には第1のメカニカル支持体16Aが配設されており、電気的に接続されている。第2のメカニカル支持体13Bは層間絶縁膜17、18を介して配設されており、層間絶縁膜17、18の間には、それらの延在方向において絶縁膜に一定間隔で設けられた接続穴を通して電気的に接続されている。加熱体4を加熱する際、第1のメカニカル支持体13A及び16Aには順方向電流が流れるので、例えば、第1のメカニカル支持体13A及び16Aを中心としてその周囲であってマイクロディッシュ2の領域にまで及ぶ磁界が発生する。本実施の形態において、インダクタ5の巻数が1.5程度になるように、マイクロディッシュ2の一端に連結された第1のメカニカル支持体13Aはマイクロディッシュ2の3辺に沿って巻き回され、マイクロディッシュ2の他端に連結された第1のメカニカル支持体13Aはマイクロディッシュ2の3辺に沿って巻き回されている。図4(B)には、インダクタ5において順方向電流を流した場合に真空中に生成される磁束密度と巻数との関係を示す。図中、データN1.5は巻数が1.5、データN3は巻数が3、データN4.5は巻数が4.5、データ6は巻数が6である。基本的には、巻数に大差はなく、順方向電流の電流量に比例して磁束密度が高くなる。
【0035】
基板11には半導体基板、特にシリコン単結晶基板を実用的に使用することができる。絶縁体12にはシリコン酸化膜を実用的に使用することができ、この絶縁膜12はBOX(buried oxide)層として働く。活性層13には半導体活性層、特にシリコン単結晶層又はシリコン多結晶層を実用的に使用することができる。すなわち、細胞変態装置1は、基板11、絶縁膜12、活性層13で構成されたSOI(silicon on insulator)基板により構成されている。細胞変態装置1の平面形状は正方形若しくは長方形により構成されている。なお、この細胞変態装置1の平面形状は、正方形及び長方形を含む方形状に限定されるものではなく、円形状、楕円形状、五角形以上の多角形形状のいずれであってもよい。
【0036】
第1の配線16には、受動素子や能動素子の電極に使用されるゲート材、具体的にはシリコン多結晶膜、シリコンと高融点金属との化合物膜若しくは高融点金属膜の単層、又はシリコン多結晶膜上に化合物膜若しくは高融点金属膜を積層した複合層を実用的に使用することができる。
【0037】
第2の配線20には、第1の配線16に比べて抵抗値の小さい金属材、具体的にはアルミニウム合金膜を実用的に使用することができる。アルミニウム合金膜は、アロイスパイクを抑制するシリコン(Si)やマイグレーションを抑制する銅(Cu)を添加したアルミニウム膜である。
【0038】
なお、第1の配線16と第2の配線20との間は、層間絶縁膜17及び18に配設された接続孔内に埋設された接続孔配線19を通して電気的に接続されている。層間絶縁膜17及び18、保護膜21のそれぞれには、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、又はそれらを組み合わせた複合膜を実用的に使用することができる。
【0039】
撥水性皮膜23は、例えば、撥水性を備えたシリコーン等で構成され、その表面上に滴下される媒液の接触角を高め、滴下状態の混合溶媒をマイクロディッシュ2の表面上において励振させることができる性質を備えている。撥水性皮膜23は、例えば、C8134SiCl3ガスとH2Oガスとの混合ガス雰囲気中に細胞変態装置1を置くことによって、形成することができる。
【0040】
必ずしもここで例示した寸法に限定されるものではないが、本実施の形態に係る細胞変態装置1において、1つのマイクロディッシュ2は平面の1辺の長さを20μmとする正方形形状において構成される。更に、1つのマイクロディッシュ2とそれを支持する第1のメカニカル支持体13A及び16A(及びインダクタ5)とを配設する領域は平面の1辺の長さを30μmとする正方形状において構成されている。この後者の長さはマイクロディッシュ2の配列間隔に相当する。
【0041】
[第1の細胞変態方法]
次に、本発明に係る細胞変態方法について、図面を用いて詳細に説明する。図5は、細胞変態方法を説明するための真核細胞の構造並びにナノ粒子の誘導状態を示す概念図、図6は、細胞変態方法を説明するための原核細胞の構造並びにナノ粒子の誘導状態を示す概念図、図7は、細胞変態方法を説明するための細胞変態装置の模式図、図8(A)は、細胞変態方法を説明するための混合媒液中のナノ粒子を示すモデル図、図8(B)は、細胞変態方法を説明するための混合媒液中における温度境界層の流速と温度との関係を示す図である。
【0042】
本実施の形態に係る細胞変態方法は有害細胞が含まれる媒液にナノ粒子を混合する工程と、ナノ粒子に対して、振動エネルギ及び熱エネルギを与えて、有害細胞にナノ粒子を衝突させることで、有害細胞を破壊する工程とを備えている。すなわち、本発明は、有害細胞にナノ粒子を加えた混合媒液を生成し、このナノ粒子に振動エネルギ及び熱エネルギを与えて、有害細胞にナノ粒子を衝突させて物理的作用により有害細胞を破壊する方法である。
【0043】
前述したように「有害細胞」とは、生体に悪影響を及ぼす細胞であって、核を持ち細胞分裂の際に染色体構造を生ずる真核細胞、構造的に区別できる核を持たない原核細胞の双方を含む意味において使用される。具体的には、生体から摘出した癌細胞、腫瘍等の細胞(真核細胞)、ウイルス、バクテリア等の細菌の細胞(原核細胞)のいずれも「有害細胞」に含まれる。
【0044】
図5に示すように、例えば、真核細胞40は細胞質401の周囲を細胞膜402により覆う構造を有している。図6に示すように、例えば、原核細胞41は、細胞質411の周囲を細胞膜412により覆い、更に細胞膜412の周囲を細胞壁413により覆う構造を有している。
【0045】
前述したようにナノ粒子は、例えば、10nm〜100nmの範囲内の粒径を有する微粒子体であり、具体的には、金(Au)、シリコン(Si)等を実用的に使用することができる。混合媒液内のナノ粒子に振動エネルギ及び熱エネルギを与える際には、撥水性被膜上で行うことが好ましい。撥水性被膜表面は、ウェットな環境下での電気的な短絡という不具合を排除し、効率的に振動エネルギ及び熱エネルギを与えることができる。
【0046】
以上示したように、ナノ粒子に振動エネルギ及び熱エネルギを与えることで、有害細胞を貫通、又は、有害細胞内にナノ粒子を取り込むことができ、結果的に、有害細胞を破壊することが可能となる。
【0047】
ナノ粒子に振動エネルギを与える手段は、混合媒液を保持する媒液保持手段を振動させることで達成される。また、ナノ粒子に熱エネルギを与える手段は、混合媒液を保持する媒液保持手段を加熱させ、混合媒液自体を加熱すればよい。なお、混合媒液自体を加熱すると、ナノ粒子は、細胞40の細胞膜402又は細胞41の細胞壁413に向かって選択的にかつ精密にナノ粒子45が誘導される現象を下記に示す。
【0048】
細胞40の細胞膜402又は細胞41の細胞壁413に向かって選択的にかつ精密にナノ粒子45が誘導される現象を下記に示す。
【0049】
例えば、図6に示す原核細胞41であるバクテリアの細胞壁413はペプチドグリカンといわれる物資から生成され、その分子構造は糖鎖構造にテトラペプチドとペンタグリシンとが重なり合った構造である。このような分子構造を有する細胞壁413においては、ガラス転移温度を境にして「吸着」状態か「非吸着」状態かが急激に変化する。細胞41の付近を通過するナノ粒子45の温度が摩擦熱に伴い上昇すれば、ナノ粒子45の周囲の温度も上昇し、この温度上昇を受けて細胞壁413が「吸着」状態に変化し、この細胞壁413に選択的にかつ精密にナノ粒子45が誘導され、細胞壁413にナノ粒子45が衝突する。なお、細胞壁413にナノ粒子が衝突する際には、振動エネルギに摩擦熱による熱エネルギが付与された加速状態で行われるため、細胞壁413を突き破るないしは、図5、図6に示すような、細胞壁413に取り込まれる状態となると考えられる。
【0050】
ナノ粒子45の精密な温度制御は、図8(A)に示すモデルを参照にしつつ、以下に説明する熱伝導方程式を解くことにより実現することができる。
【0051】
ナノ粒子45の内部の温度分布T(r)は、ナノ粒子45が球対称であるため、パラメータAとBとを未知数として、下記(1)式により表される。なお、パラメータaはナノ粒子45の半径、パラメータA、Bはそれぞれ任意定数である。
【数1】


【0052】
ナノ粒子45の表面に生成される温度境界層(流れのない淀み領域(stagnant layer))の温度分布T(r)は、下記(2)式により表される。なお、パラメータbは混合媒液50中の不流層の幅、パラメータC、Dはそれぞれ任意定数である。
【数2】


【0053】
熱伝導理論に基づいて、下記(3)式に示すように「ナノ粒子45内部において発生するエネルギ総量(左辺)」は「ナノ粒子45の表面から逸脱する(流れ出る)エネルギの総量(右辺)」に等しくなる。(3)式中、左辺はナノ粒子45の表面の温度勾配に表面積と熱伝導率λを乗じた値である。右辺は磁界のエネルギ発生率g(単位体積/単位時間当たり)に体積を乗じた値である。
【数3】


【0054】
上記(3)式と全く同じ物理現象の表現であるが、数学的には温度境界層の温度分布関数式Tはr=a においても成立する必要がある。上記(3)式はナノ粒子45の内部の温度分布Tのr=aにおいて成立するが、ナノ粒子45の外部においては混合媒液50中の熱伝導率λを用い、下記(4)式として表される。
【数4】


【0055】
温度境界層の外側においては、下記(5)式に示す流れ温度Tfが境界条件として使用される。
【数5】


【0056】
温度分布関数TとTとはr=aにおいて連続になる必要があり、下記(6)式に示すように表される。
【数6】


【0057】
上記(3)式から(6)式を連立することにより、下記(7)式に示すナノ粒子45の温度T(a)を導き出すことができる。
【数7】


【0058】
図8(B)は上記(7)式に基づき作成された温度境界層の流速と温度との関係を示すグラフである。ナノ粒子45が細胞40又は41に捕獲され(細胞膜402又は細胞壁413に衝突し入り込み)、ナノ粒子45の周囲において混合媒液50の流れが少ないと(流速が小さいと)、ナノ粒子45の表面に温度境界層が生成され、温度境界層からナノ粒子45に向かって温度上昇率が高くなる。この結果、ナノ粒子45の周辺の混合媒液50の温度が上昇し、細胞40の細胞膜402又は細胞41の細胞壁413を溶解し(熱による物理的衝撃を与え)、細胞40又は41が破壊される。また、ナノ粒子45の熱による急激な体積膨張により細胞40の細胞膜402又は細胞41の細胞壁413に損傷を与え若しくは破壊し(体積膨張による物理的衝撃を与え)、細胞40又は41が破壊される。更に、細胞膜402又は細胞壁413が損傷や破壊されたことにより、細胞40の細胞質401又は細胞41の細胞質411の内圧(例えば、20Pa)が働き、細胞40又は41は内部から自爆し破壊される。
【0059】
このように、ナノ粒子45には、振動エネルギ及び熱エネルギが与えられるため、細胞40又は41を破壊することができる。例えば、前述した細胞変態装置1の加熱体4(ダイオード)に対して直流電圧供給源31により電流を供給することで、マイクロディッシュ2が加熱されるため、ナノ粒子45の加速をより大きくすることができ、細胞膜402及び細胞壁413を突き破る、又は、細胞膜402及び細胞壁413内に取り込むことが可能となる。さらに、例えば、図5及び図6に示すような細胞膜402及び細胞壁413にナノ粒子45が取り込まれている状態の場合であっても、ナノ粒子45の周囲の混合媒液50の温度上昇、ナノ粒子45の急激な体積膨張を促進し、細胞40又は41を破壊することができる。
【0060】
また、ナノ粒子45には更に磁界エネルギを与えることが好ましい。例えば、図2に示す細胞変態装置1の加熱体4に直流電圧を供給することにより、同時にインダクタ5に電流が流れ、このインダクタ5により混合媒液50に磁界を発生させることができる。これにより、ナノ粒子45がさらに加速されて細胞膜402又は細胞壁413に衝突し、細胞膜402又は細胞壁413を貫通する力が増加する。更に加えて、ナノ粒子45が磁界に順応して、所定の方向にナノ粒子45が加速されるため、ナノ粒子45の細胞膜402又は細胞壁413に対して衝突する回数が増加するため、より一層、細胞40又は41を破壊する確率を増加することができる。
【0061】
(実施例1)
最初に、図7に示すように、有害細胞40又は41を含む媒液にナノ粒子45を加えた混合媒液50を生成し、この混合媒液50を前述した細胞変態装置1のマイクロディッシュ2の表面上に滴下した。
【0062】
次に、交流電圧供給源30から交流電圧を基板11に供給し、この基板11とマイクロディッシュ2との間に交流バイアスを印加した。交流バイアスが印加されると、図7に示すように、静電気力によって基板11の表面に対して垂直方向及び左右方向に上下左右にマイクロディッシュ2が振動した。これにより、ナノ粒子に、振動エネルギを付与した。
【0063】
さらに、直流電圧供給源31から直流電流を細胞変態装置1の加熱体4に供給し、マイクロディッシュ2を加熱させた。これにより、ナノ粒子に、熱エネルギ及び電界エネルギを付与した。
【0064】
得られた混合媒液50を採取し、光学顕微鏡により、有害細胞40又は41の状態を観察したところ、図5、図6に示すように細胞膜402又は細胞壁413にナノ粒子45が入り込んだ状態であることが確認された。
【0065】
(比較例1)
最初に、図7に示すように、有害細胞40又は41を含む媒液にナノ粒子45を加えた混合媒液50を生成し、この混合媒液50を前述した細胞変態装置1のマイクロディッシュ2の表面上に滴下した。
【0066】
次に、交流電圧供給源30から交流電圧を基板11に供給し、この基板11とマイクロディッシュ2との間に交流バイアスを印加した。交流バイアスが印加されると、図7に示すように、静電気力によって基板11の表面に対して垂直方向及び左右方向に上下左右にマイクロディッシュ2が振動した。これにより、ナノ粒子に、振動エネルギを付与した。
【0067】
その後、マイクロディッシュ2を加熱させずに、得られた混合媒液50を採取し、光学顕微鏡により、有害細胞40又は41の状態を観察したところ、有害細胞40又は41には変化が見られなかった。
【0068】
(比較例2)
最初に、図7に示すように、有害細胞40又は41を含む媒液にナノ粒子45を加えた混合媒液50を生成し、この混合媒液50を前述した細胞変態装置1のマイクロディッシュ2の表面上に滴下した。
【0069】
次に、交流電圧供給源30から交流電圧を印加せずに、直流電圧供給源31から直流電流を細胞変態装置1の加熱体4に供給し、マイクロディッシュ2を加熱させた。これにより、ナノ粒子に、熱エネルギ及び電界エネルギを付与した。
【0070】
得られた混合媒液50を採取し、光学顕微鏡により、有害細胞40又は41の状態を観察したところ、有害細胞40又は41には変化が見られなかった。
【0071】
[細胞変態装置の製造方法]
次に、前述の図1乃至図3に示す細胞変態装置1の製造方法を説明する。
【0072】
最初に、図9に示すように、基板11、絶縁体12及び活性層13が積層をなすSOI基板を準備する。このSOI基板は、例えば、シリコン単結晶基板の表面からイオン注入により内部に酸素イオンを注入し、熱処理することで、シリコン単結晶基板の所定の深さの位置に絶縁層12を形成することで製造される。なお、SOI基板は貼り合わせ方式により製造してもよい。
【0073】
図10に示すように、マイクロディッシュ2の形成領域となる、活性層13の所定の位置にp型不純物を注入し、アノード領域14を形成し、引き続きアノード領域14にn型不純物を注入し、カソード領域15を形成する。このアノード領域14及びカソード領域15を形成することにより、ダイオードが生成され、活性層13に加熱体4を形成することができる。
【0074】
次に、図11に示すように、加熱体4(活性層13)の表面上に第1の配線16、層間絶縁膜17、18、接続孔配線19、第2の配線20、保護膜21のそれぞれを順次形成する。
【0075】
次に、図12に示すように、最上層の保護膜21からSOI基板の絶縁体12まで、基板11の表面をエッチングストッパとして使用し、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを併用してパターンニングを行い、マイクロディッシュ2、第1のメカニカル支持体13A及び16A、第2のメカニカル支持体13B及び20Bを形成する。エッチング技術には反応性イオンエッチング(RIE)技術を実用的に使用することができる。第1のメカニカル支持体13A及び16Aを形成する工程と同時にインダクタ5を形成することができる。
【0076】
図13に示すように、基板11の中央部分つまりマイクロディッシュ2が複数配列された領域において、基板11の表面部分をエッチング技術を利用して除去し、キャビティ22を形成する。エッチング技術には、XeF2ガス若しくは異方性エッチャント(例えば、KOH、TMAH等)を用いた等方性エッチング技術を実用的に使用することができる。
【0077】
そして、前述の図3に示すように、マイクロディッシュ2の少なくとも表面に撥水性被膜23をコーティングする。これら一連の製造工程が終了すると、本実施の形態に係る細胞変態装置1を完成させることができる。
【0078】
[第2の細胞変態方法]
本実施の形態の第2の細胞変態方法は、前述の細胞変態装置1及び第1の細胞変態方法の具体的応用例を説明するものである。
【0079】
最初に、図14に示すように、生体8の有害細胞42を抽出する。ここで、「生体8」とは人間の患者という意味において使用される。また、「有害細胞42」とは生体8から摘出した癌、腫瘍等の病巣の細胞、生体8からの摘出に関係ないウイルス、バクテリア等の細胞を含む意味において使用される。なお、生体8は必ずしも人間に限るものではなく、犬、猫等の動物、植物等であってもよい。
【0080】
次に、抽出された有害細胞42にナノ粒子45を加えた混合媒液50を生成する。これは、前述の第1の細胞変態方法と同様である。引き続き、混合媒液50において、有害細胞42にナノ粒子45を衝突させ、有害細胞42を破壊するとともに、この有害細胞42を破壊する情報を取得する。すなわち、第1の細胞変態方法において細胞40又は41を破壊するプロセスを実行し、有害細胞42が破壊されるに至る、ナノ粒子45の種類や数量、マイクロディッシュ2の振動条件、加熱体3の加熱条件、インダクタ5の磁気発生条件等の有害細胞破壊情報を調べる。
【0081】
次に、有害細胞42を摘出した生体8内に注射、服用等によりナノ粒子45を注入し、前述した細胞変態装置1を生体8に接触させて、取得した有害細胞情報に基づいて、細胞変態装置1を作動させることで、第1に説明した現象により、生体8内の有害細胞42を破壊することができる。
【0082】
[実施の形態の効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る細胞変態方法によれば、有害物質42特に生体8に対する有害細胞42を物理的衝撃により破壊し、根本的に死滅させることができるので、副作用が無く、多剤耐性菌の発現が無い、全く新しい細胞変態方法を提供することができる。
【0083】
更に、本実施の形態によれば、細胞変態方法を実現する細胞変態装置1の構成が、メカニカルなダイヤフラム、基板11と兼用する交流電圧供給体3、ダイオードにより形成された加熱体4、ダイヤフラムの第1のメカニカル支持体13A、16Aや加熱体4の配線と兼用するインダクタ5等を備えた極めてシンプルで、一つの装置で振動エネルギ、熱エネルギ、磁界エネルギを同時に加えることができる優れた構造を備えている。また、細胞変態装置1において、メカニカルな振動、ジュール熱による加熱、インダクタ5による磁場の発生を実現することができるので、その条件は制御できるため、様々な種類の細胞の破壊メカニズム、破壊条件を効率良く取得することができる。細胞変態方法並びに細胞変態装置1においては、テーラーメード医療分野への応用を実現することができる。
【0084】
更に、本実施の形態によれば、生体8内で生息する有害なバクテリアの病巣を予め、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査装置や光検出により特定し、ナノ粒子45を服用の後、細胞変態装置1を特定された部位(患部)に接触させて臨床レベルにより得られた細胞破壊の条件(レシピ)を再び適応することにより、疾病の治療にも応用することができる。
【0085】
更に加えて、本実施の形態によれば、少なくとも1つのマイクロディッシュ2、加熱体4及びインダクタ5を備えた生体8内に服用可能な微小サイズを有する細胞変態装置1を製作し、生体8内で生息する有害なバクテリアの病巣を予め特定した後、ナノ粒子45の服用に併せて微小サイズを有する細胞変態装置1を生体8内の病巣の付近に接触させて、前述の物理的衝撃により病巣の有害細胞42をナノ粒子45により破壊し、疾病の治療を行うことができる。微小サイズを有する細胞変態装置1は服用によって生体8内の病巣まで誘導する手法の他に、生体8の外部から内部の病巣まで外科的手術により直接誘導してもよい。微小サイズを有する細胞変態装置1において、電源供給は、マイクロバッテリィを使用することができ、他にもインダクタ5をアンテナとして使用し、外部からの電波により電力を発生することができる。
【0086】
[細胞変態装置を用いた治療装置]
図15(A)は、前述した細胞変態装置1を用いた治療装置の概念図、図15(B)は、治療装置の要部拡大図である。
【0087】
本発明に係る治療装置100は、検査部の観察画像を得るために固体撮像素子(図示せず)が内蔵された内視鏡101と、この内視鏡101へ照明光を供給する光源装置102と、内視鏡101に連結された制御部103と、内視鏡101の先端部104に設けられた治療部105とを備えている。
【0088】
先端部104は、例えば、上下左右方向に湾曲可能な湾曲部を有し、この湾曲部は、可撓性を有する柔軟な可撓部106を介して内視鏡本体107に接続されている。
【0089】
制御部103は、内視鏡101の先端部104で撮像される観察画像を表示する表示部108と、内視鏡101の先端部104の湾曲部を上下左右に駆動させて制御する図示しない第1の駆動部を備えている。
【0090】
治療部105は、内視鏡101の先端部104に取り付けられ、内視鏡101の撮像方向に上下駆動する第2の駆動部110と、第2の駆動部110に接続された細胞変態装置1とを備えている。図示しない第1の駆動部及び第2の駆動部110の駆動は、駆動制御部109により制御することが可能となっている。さらに、細胞変態装置1のマイクロディッシュ2上には、ナノ粒子45を含む媒液がカプセル111になって接着されて設けられている。
【0091】
次に、本発明の治療装置100を用いた治療方法を説明する。
【0092】
内視鏡101の先端部104に取り付けられた細胞変態装置1のマイクロディッシュ2上にナノ粒子45を含むカプセル111を接着させて、人間の口から先端部104を挿入する。挿入後、制御部103に映し出される喉内の撮像画像に基づいて、例えば、腫瘍等の位置を確認する。その後、その位置まで駆動制御部109により先端部104を駆動させた後、駆動制御部109により、治療部105の第2の駆動部110を駆動させて、細胞変態装置1のマイクロディッシュ2上に接着されたカプセル111を腫瘍に接触させて、カプセル111を破裂させて、ナノ粒子を露出させる。その後は、前述したような細胞変態方法に従い腫瘍の細胞を破壊する。
【0093】
なお、ここでは内視鏡の先端に細胞変態装置1を取り付けるという実施形態を示したが、特に、これに限定されるものではない。例えば、カテーテル等の先端部に同様に細胞変態装置1を取り付けて、血管内に挿入し、血管内に、服用、又は、注射したナノ粒子を混入することで、血管内の有害細胞を破壊することが可能となる。
【0094】
(その他の実施の形態)
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、変更可能である。例えば、前述の実施の形態に係る細胞変態装置1は、細胞の破壊状態を直接観察することができる顕微鏡や、細胞の破壊情報を即座に取得し電子データ化することができる電子機器例えばパーソナルコンピュータを備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態に係る細胞変態装置の要部斜視図である。
【図2】図1に示す細胞変態装置の全体の斜視図である。
【図3】図1に示す細胞変態装置のF3−F3切断線で切った要部断面図である。
【図4】(A)図1に示す加熱体の順方向電流とマイクロディッシュの温度上昇との関係を示す図、(B)図1に示すインダクタの順方向電流と磁束密度との関係を示す図である。
【図5】実施の形態に係る細胞変態方法を説明するための真核細胞の構造並びにナノ粒子の誘導状態を示す図である。
【図6】細胞変態方法を説明するための原核細胞の構造並びにナノ粒子の誘導状態を示す図である。
【図7】細胞変態方法を説明するための細胞変態装置の模式図である。
【図8】(A)細胞変態方法を説明するための混合媒液中のナノ粒子を示すモデル図、(B)細胞変態方法を説明するための混合媒液中における温度境界層の流速と温度との関係を示す図である。
【図9】実施の形態に係る細胞変態装置の製造方法を説明する第1の工程断面図である。
【図10】実施の形態に係る細胞変態装置の製造方法を説明する第2の工程断面図である。
【図11】実施の形態に係る細胞変態装置の製造方法を説明する第3の工程断面図である。
【図12】実施の形態に係る細胞変態装置の製造方法を説明する第4の工程断面図である。
【図13】実施の形態に係る細胞変態装置の製造方法を説明する第5の工程断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る第2の細胞変態方法を説明する概念図である。
【図15】(A)本発明の実施の形態に係る治療装置の概念図、(B)治療装置の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0096】
1 細胞変態装置
2 マイクロディッシュ
3 交流電圧供給体
30 交流電圧供給源
31 直流電圧供給源
4 加熱体
5 インダクタ
8 生体
11 基板
12 絶縁体
13 活性層
13A、16A 第1のメカニカル支持体
13B、20B 第2のメカニカル支持体
14 アノード領域
15 カソード領域
16 第1の配線
18 接続孔配線
20 第2の配線
22 キャビティ
23 撥水性被膜
40、41 細胞
401、411 細胞質
402、412 細胞膜
413 細胞壁
42 有害細胞
45 ナノ粒子
50 混合媒液
100 治療装置
101 内視鏡
102 光源装置
103 制御部
104 先端部
105 治療部
106 可撓部
107 内視鏡本体
108 表示部
109 駆動制御部
110 第2の駆動部
111 カプセル




 

 


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