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発明の名称 磁気共鳴映像装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−98150(P2007−98150A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2006−333114(P2006−333114)
出願日 平成18年12月11日(2006.12.11)
代理人 【識別番号】100109900
【弁理士】
【氏名又は名称】堀口 浩
発明者 葛西 由守 / 山中 正昭
要約 課題
磁気共鳴映像装置の傾斜磁場コイルの発熱状態を予知し発熱による故障を未然
に防止する。

解決手段
本発明は、プロトコルに対応する傾斜磁場生成用電流波形に基づいて傾斜
特許請求の範囲
【請求項1】
プロトコルに対応する傾斜磁場生成用電流波形に基づいて傾斜磁場を形成する傾斜磁場コ
イルを備え、被検体の画像を撮像する磁気共鳴映像装置において、
撮像に用いる複数のプロトコルを入力するための入力手段と、
前記入力手段により入力された複数のプロトコルに基づいて前記傾斜磁場コイルから発
生すると予想される熱量を取得する熱量計算手段と、
この熱量計算手段で得られた予想熱量が前記傾斜磁場コイルにおける許容熱量の閾値よ
り大きい場合、前記入力手段により入力された複数のプロトコルの実行順序を変更可能と
する手段とを備えたことを特徴とする磁気共鳴映像装置。
【請求項2】
前記傾斜磁場コイルの温度を測定する温度計測手段と、この温度計測手段により測定され
た前記傾斜磁場コイルの温度から初期熱量を計算する手段をさらに備え、
前記熱量計算手段はこの初期熱量を用いて前記発生予想熱量を求めることを特徴とする
請求項1記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項3】
前記傾斜磁場コイルを冷却するための冷却手段をさらに備え、前記熱量計算手段は、前記
冷却手段によって排除される熱量を前記発生予想熱量から除いた残留熱量を求めることを
特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項4】
前記温度計測手段は、被検体を撮像する直前に前記傾斜磁場コイルの温度を測定すること
を特徴とする請求項2又は請求項3記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項5】
プロトコルに対応する傾斜磁場生成用電流波形に基づいて傾斜磁場を形成する傾斜磁場コ
イルを備え、被検体の画像を撮像する磁気共鳴映像装置において、
プロトコルを入力するための入力手段と、
前記傾斜磁場コイルの温度を測定する温度計測手段と、
前記入力手段により入力されたプロトコル及び前記温度計測手段により測定された前記
傾斜磁場コイルの温度に基づいて、前記傾斜磁場コイルから発生すると予想される予想熱
量を計算する熱量計算手段と、
とを備えたことを特徴とする磁気共鳴映像装置。
【請求項6】
前記傾斜磁場コイルを冷却するための冷却手段をさらに備え、前記熱量計算手段は、前記
冷却手段によって排除される熱量を前記発生予想熱量から除いた残留熱量を求めることを
特徴とする請求項5記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項7】
前記温度計測手段は、撮像中において傾斜磁場コイルの温度計測を所定の時間間隔で複数
回行うことを特徴とする請求項6記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項8】
前記温度測定手段の応答遅延量を予め記憶する手段を設け、前記熱量計算手段は、撮像中
に前記温度計測手段および初期熱量計算手段によって傾斜磁場コイルの温度計測から求め
られる熱量を初期値とし、前記温度が計測される時点から前記応答遅延量だけ遡った時点
以降の電流波形を前記電流波形記憶手段から取り出し、熱量を計算することを特徴とする
請求項7記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項9】
前記表示手段は、前記熱量計算手段によって計算される傾斜磁場コイルの残留熱量と、前
記温度計測手段によって撮像中に複数回計測して得られる傾斜磁場コイルの温度情報を時
系列的なグラフとして比較表示することを特徴とする請求項7記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項10】
第1の許容熱量の閾値を入力する閾値入力手段と、この閾値と前記残留熱量の計算結果を
比較する手段を有し、前記残留熱量の計算結果が前記第1の許容熱量の閾値を越える場合
は撮影を停止することを特徴とする請求項7記載の磁気共鳴映像装置。
【請求項11】
第2の許容熱量の閾値を入力する閾値入力手段と、この閾値と前記残留熱量の計算結果を
比較する手段を備え、前記熱量計算手段によって求められた残留熱量が前記閾値入力手段
によって設定された第2の許容熱量の閾値を超える場合は警告信号を前記表示手段によっ
て表示することを特徴とする請求項6または7記載の磁気共鳴映像装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴映像装置に係り、傾斜磁場コイルにおける発熱の状態を予測する機能
を有した磁気共鳴映像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング法は、静磁場中に置かれた被検体組織の原子核スピンに対して、
そのラーモア周波数をもつ高周波信号で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号
から画像を再構成する画像診断法である。
磁気共鳴映像装置では強力な静磁場中に置かれた傾斜磁場コイルに、大きなパルス電流
が供給されるため、この傾斜磁場コイルに機械的な歪が発生する。この歪のため、画像撮
影中に発生する大きな騒音は被験者に苦痛を与えてきた。しかしながら、近年ではこの傾
斜磁場コイルを真空構造で囲む静音化の技術が開発され、上記の騒音問題は解消されつつ
ある。
一方、磁気共鳴映像装置ではMR信号の空間的符号化を行うために、立ち上がりおよび
立ち下がり時間が数百マイクロ秒で100A〜200Aのパルス電流を傾斜磁場コイルに
供給する必要があり、この高速大電流のパルス電流のために傾斜磁場コイルは大きな熱の
発生源となる。
【0003】
この傾斜磁場コイルに発生する熱に対して従来は空冷法と水冷法を併用してこれを排除
してきた。しかしながら傾斜磁場コイルを真空の容器によって囲う真空技術の導入により
、傾斜磁場コイルに発生した熱の排除は空冷法による伝導、対流のいずれにおいても困難
となり、水冷法のみに依存するようになってきた。
【0004】
最近では傾斜磁場電源の改良によりエコープラナー法などの高速撮影法が実用化されて
きている。この高速撮影法において傾斜磁場コイルに要求される強い傾斜磁場や速いスイ
ッチングスピードを確保するために、傾斜磁場電源より傾斜磁場コイルに供給される電流
量が増加し、これに伴なって外部への漏洩磁界も増加しつつある。この漏洩磁界の低減対
策として各傾斜磁場コイルに隣接したコイルに傾斜磁場コイルの電流とは逆向きの電流を
流すアクティブシールド法や鉄板を使用した遮蔽法が一般に行われている。
【0005】
しかしながら、傾斜磁場コイルに隣接した遮蔽板には傾斜磁場からの磁界による渦電流
が発生しこれが新たな発熱の原因となるのみならず、傾斜磁場コイルの周囲の空きスペー
スをより狭くすることが発熱対策をさらに困難なものにしている。ところで傾斜磁場コイ
ルの発熱を小さくするためにはコイルの線径を太くし電気抵抗を下げることが有効であり
、一方、水冷法における放熱効率を上げるためには冷水管を太くし、単位時間当たりの流
量を多くすることが望ましい。しかしながら傾斜磁場コイル周囲の狭い空きスペースは冷
水管の内径やコイルの線径を太くすることを困難にしており、ハードウエアによる対策は
コストパフォーマンス的に限界にきている。
【0006】
一方、上記の理由により十分な冷却性能が得られない傾斜磁場コイルにおいてはその温
度を常に監視し、万一、許容値以上の温度に至る可能性のある場合には撮影を中断しなく
てはならない。従来行なわれてきた傾斜磁場コイルでの温度監視はコイルを含浸している
樹脂の表面に取り付けられた熱電対が使用されてきたが、この樹脂は電気絶縁特性に優れ
るものの熱伝導度が低いため、実際のコイルにおける発熱温度が熱電対に到達するまでに
数十秒の時間を要した。すなわちこの時間差のためにコイルの温度上昇に気づく前に装置
を故障に至らしめる場合があった。
【特許文献1】特開平10−71132号公報
【特許文献2】特開2000−23939号公報
【特許文献3】特開平6−292662号公報
【特許文献4】特開平8−56917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のように傾斜磁場コイルの性能を十分出しきる状態において発生する熱
に対して、これを冷却するための十分な冷却性能をもった水冷システムの実現が困難なこ
とと、傾斜磁場コイルにおける温度上昇を即座に検知する手段がないという従来の問題点
を解決するためになされたものであり、その目的は傾斜磁場コイルにおける温度上昇を予
知する機能を有する磁気共鳴映像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、プロトコルに対応する傾斜磁場生成用
電流波形に基づいて傾斜磁場を形成する傾斜磁場コイルとを備え、被検体の画像を撮像す
る磁気共鳴映像装置において、撮像に用いる複数のプロトコルを入力するための入力手段
と、前記入力手段により入力された複数のプロトコルに基づいて前記傾斜磁場コイルから
発生すると予想される熱量を取得する熱量計算手段と、この熱量計算手段で得られた予想
熱量が前記傾斜磁場コイルにおける許容熱量の閾値より大きい場合、前記入力手段により
入力された複数のプロトコルの実行順序を変更可能とする手段とを備えたことを特徴とす
る。
また請求項5の発明は、プロトコルに対応する傾斜磁場生成用電流波形に基づいて傾斜
磁場を形成する傾斜磁場コイルとを備え、被検体の画像を撮像する磁気共鳴映像装置にお
いて、プロトコルを入力するための入力手段と、前記傾斜磁場コイルの温度を測定する温
度計測手段と、前記入力手段により入力されたプロトコル及び前記温度計測手段により測
定された前記傾斜磁場コイルの温度に基づいて、前記傾斜磁場コイルから発生すると予想
される予想熱量を計算する熱量計算手段と、とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本発明によれば、発熱が原因で生ずるMRI撮影の中断や発熱による
装置の故障を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図6において本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は磁気共鳴映像
装置全体の概略構成を示すブロック図である。
【0011】
この磁気共鳴映像装置は、静磁場を発生させる静磁場発生部1と、静磁場に撮像断面の
位置情報を付加するための傾斜磁場発生部2と、この傾斜磁場発生部2に生ずる発熱を除
去する冷却システム10と、この傾斜磁場発生部2の熱量を計算する熱量計算部9と、R
Fパルス信号を送受信する送受信部3と、システム全体の制御を行う制御部4と、画像再
構成と画像の保存を行う再構成演算・記憶部5と、被検体11を載せる寝台8と、入力部
22および表示部21を備えている。
静磁場発生部1は、例えば超電導磁石である主磁石13と、この主磁石13に電流を供
給する静磁場電源26を備え、被検体11の周囲に強力な静磁場を形成する。
【0012】
傾斜磁場発生部2は互いに直交するX、Y及びZ軸方向の傾斜磁場コイル系14とこれ
らのコイル系に電流を供給する傾斜磁場電源25およびシールド磁場電源30とを備えて
いる。
【0013】
図1の傾斜磁場コイル系14の太枠内の部分の拡大図を図2に示す。傾斜磁場コイル系
14は2枚のフレキシブルなプリント基板35およびプリント基板37が樹脂34を挟ん
で配置され、その表面も樹脂36と樹脂38によって覆われている。一方、プリント基板
37の表面には傾斜磁場コイル31が配線されており、これらは傾斜磁場電源25に接続
され、またこの傾斜磁場コイル31の温度を測定する温度センサ39が樹脂38の表面に
装着されている。一方プリント基板35にはシールド磁場コイル32が配線され、このシ
ールド磁場コイル32はシールド磁場電源30に接続されている。また樹脂34には傾斜
磁場コイル31の発熱を抑えるための冷水管33が埋め込まれている。さらに傾斜磁場コ
イル31からの漏洩磁場を遮蔽するためのシールド板41が上記プリント基板35と並行
して設置されている。
【0014】
傾斜磁場電源25には、制御部4のシーケンス制御回路24によって傾斜磁場信号が供
給され、被検体の置かれた空間の符号化が行なわれる。すなわち、この信号に基づいて傾
斜磁場電源25からX,Y,Z軸傾斜磁場コイル系14の傾斜磁場コイル31に供給され
るパルス電流を制御することにより、X,Y,Z軸方向の傾斜磁場は合成され、互いに直
交するスライス方向傾斜磁場Gz、位相エンコード方向傾斜磁場Gx、および周波数エン
コード方向傾斜磁場Gyを任意に設定することが可能となる。
【0015】
なお各方向の傾斜磁場は静磁場に重畳され被検体に加えられる。シールド磁場電源30
は傾斜磁場コイル31から被検体に対して反対方向、すなわち外側方向に発生する磁界を
打ち消し合うために所定のパルス電流をシールド磁場コイル32に供給する。
【0016】
冷却システム10と傾斜磁場コイル系14の冷水管33とは冷却パイプ40によって結
ばれており、傾斜磁場コイル31で発生した熱は冷却管33および冷却パイプ40の内部
を流れる水などの冷却液によって冷却される。また傾斜磁場コイル系14によって暖めら
れた冷却液は冷却システム10に運ばれて所定の温度に冷却され、再び傾斜磁場コイル系
14に供給される。
【0017】
熱量計算部9は、傾斜磁場コイル31を覆う樹脂38の表面に装着された温度センサ3
9からのアナログ信号を処理してデジタル信号に変換する温度検出器28と、この傾斜磁
場コイル31の温度の値と、傾斜磁場コイル31に供給される電流波形から傾斜磁場コイ
ル31の残留熱量を計算する熱量演算回路29を備えており、さらに傾斜磁場コイル31
の許容熱量、電流波形、実測温度などの残留熱量の計算に必要なデータや熱量計算結果を
記憶する熱量記憶回路27を備えている。
【0018】
送受信部3は、被検体にRFパルスを照射するための照射コイル15、およびMR信号
を受信し信号検出するための受信コイル16が収納され、これらコイルに接続された送信
器17および受信器18を有する。ただし照射コイル15と受信コイル16は図1のよう
に分離される場合が多い。
【0019】
送信器17は後述のシーケンス制御回路24によって制御される。主磁石13の静磁場
強度によって決定される磁気共鳴周波数と同じ周波数をもち、選択励起波形で変調された
RFパルス電流によって照射コイル15を駆動し、被検体内にRFパルスを照射する。受
信器18は受信コイル16によってMR信号として受信した信号に対して中間周波変換、
位相検波、さらにはフィルタリングなどの信号処理を行ったのちA/D変換を行う。
【0020】
制御部4は主制御回路23とシーケンス制御回路24を備えている。主制御回路23は
CPUおよび記憶回路を備えており、装置全体を統括して制御する機能を有しているが、
とくにシーケンス制御回路24にパルスシーケンスの情報(例えば傾斜磁場コイル31や
照射コイル15に印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情
報)を送る機能を持っている。また熱量計算部9にて計算された傾斜磁場コイル31にお
ける発熱量のデータの表示部21への表示や、この発熱量の値が予め設定した大きさを超
えた場合の警報や撮影の中断などの制御を行う。
【0021】
シーケンス制御回路24はCPUおよび記憶回路を備えており、主制御回路23から送
られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報にしたがって傾斜磁場電源25、送
信器17、受信器18を制御する。
【0022】
再構成演算・記憶部5は再構成演算回路19と記憶回路20を備えている。再構成演算
回路19は受信器18が出力し、シーケンス制御回路24を介して送られてくるMR信号
を2次元フーリエ変換し、実空間の画像データ(MR画像)に再構成する。
【0023】
記憶回路20は再構成演算回路19によって画像再構成を行って得られたMRI画像を
記憶するための記憶回路である。寝台8は被検体11を体軸方向に移動させることが可能
であり、主磁石13の開口部に挿入可能な構造になっている。
【0024】
入力部22では操作卓上に各種のスイッチやキーボード、表示パネル、マウスなどが備
えられており、この入力部22にて操作者は患者IDやスタディデータを入力し、またプ
ロトコルの設定を行う。さらに撮影の開始、機構部の移動などの指示もこの入力部22に
て行われる。これらの制御信号は主制御回路23を介して各ユニットに送られる。
【0025】
表示部21はTVモニタとこのモニタに表示されるために各ユニットから送られてくる
信号をTVフォーマットの信号に変換する変換機能を備え、再構成されたMR画像を表示
するとともに傾斜磁場コイル31における残留熱量の予測情報が表示される。
【0026】
以下に図3〜図6を用いて第1の実施の形態について説明する。図3は本発明の第1の
実施の形態における撮影手順のフローチャートを示す。
【0027】
まず装置の出荷時もしくは据え付け時にメーカのフィールドエンジニアは傾斜磁場コイ
ル31における許容熱量を設定し、この設定値を熱量計算部9の熱量記憶回路27に保存
する。許容熱量には警告レベルQarとアボートレベルQabがある。警告レベルは操作
者に対し傾斜磁場コイル31における残留熱量が許容される熱量に対して余裕の無いこと
を警告するのみであるが、アボートレベルは撮影を継続した場合には発熱が装置の故障に
繋がる可能性があるため、撮影対象(スタディ)や撮影単位(プロトコル)の変更が必要
であることを知らせるためのものである(ステップS1)。ただしこの設定は一旦行えば
変更する必要はほとんど無い。
【0028】
なお、本明細書では、一つのパルスシーケンスからなる撮影単位を「プロトコル」、被
検体ごとの一連の撮影の流れに対応するプロトコルの集合を「スタディ」と定義する。
【0029】
次に傾斜磁場コイル31の近傍に装着された温度センサ39は撮影直前の傾斜磁場コイ
ル31の温度を計測する。この場合、温度センサ39として熱電対もしくはサーミスタな
どの半導体素子が用いられる。操作者は入力部22の操作により撮影のための設定開始を
指示すると、温度センサー39から温度検出器28へ温度データが取り込まれる。このと
き測定される温度は前の被検者のMRI撮影における残存熱量の影響を示すものであり、
以下に述べる当該被検者における傾斜磁場コイル31の残留熱量計算において初期値とし
て用いられる。熱量計算部9の温度検出器28は温度センサ39によって測定された温度
データをデジタル信号に変換し、熱量計算部9の熱量記憶回路27に一旦保存する。(ス
テップS2)。
【0030】
次に操作者は入力部22より患者IDを入力するとともにスタディの仮設定を行う。M
RI撮影におけるスタディとしては後述するように腹部一般撮影、心臓特殊撮影、頭部一
般撮影、頭部特殊撮影などがある。例えば頭部一般撮影が必要とされる被検者の患者ID
とプロトコルを入力部22より入力することによって主制御回路23はその被検者のため
の頭部一般撮影用プロトコル(撮影方法)を準備する。(ステップS3)。
【0031】
操作者は頭部一般撮影の仮設定によって主制御回路23で準備された数種類のプロトコ
ルに対して、その順番の仮設定(選択)を行う。頭部一般撮影のプロトコルとしてはT2
強調のFSE(Fast spin echo)法やT1強調のSE(spin echo)法や3次元MR
アンギオさらにはEPI(echo planar imaging)法などがあるが、各々の撮影に要す
る時間や電流の大きさやパルス密度は異なるため、その撮影時に傾斜磁場コイル31に発
生する熱量も異なる。ここでは(1)FSE、(2)SE、(3)MRA、(4)EPI
の撮影順序が入力部22において操作者により入力され、主制御回路23の記憶回路に保
存されて仮設定される(ステップS4)。
【0032】
上記プロトコルの設定が終了すると、主制御回路23は操作者によって最初のプロトコ
ルとして設定されたFSEのプロトコル情報を主制御回路23の記憶回路から読み出し、
FSEパルスシーケンスの情報に変換してシーケンス制御回路24に送る。シーケンス制
御回路24は傾斜磁場コイル31に供給されるパルス電流波形信号を形成し、熱量計算部
9における熱量記憶回路27に保存する。熱量演算回路29は、熱量記憶回路27におい
て既に保存されている撮影直前における傾斜磁場コイル31の温度と上記傾斜磁場コイル
31に供給される電流波形信号とから傾斜磁場コイル31に発生する熱量の計算を開始す
る(ステップS5)。以下にその計算方法を述べる。
【0033】
傾斜磁場コイル31において発生する熱量として、(1)傾斜磁場コイル31の電気抵
抗にて消費されるエネルギーに起因して傾斜磁場コイル31の巻線自体に発生する熱量(
J)と、(2)傾斜磁場コイル31から発生する磁界の時間的変化により、その近傍に取
り付けられたシールド板41に発生する渦電流が原因となって発生する熱量(K)とに分
類される。
【0034】
ここで、傾斜磁場電源25から3つの傾斜磁場コイル31に供給されるパルス電流の波
形をそれぞれAx(t)、Ay(t),Az(t)とすれば、それぞれの3つの傾斜磁場
コイル31は独立と考えることができるため、傾斜磁場コイル31自身から発生する熱量
J(t)は
【数1】


で示される。ただしCx,Cy,Czは電気抵抗(すなわちコイルの電気的抵抗成分)と
熱輸送おける熱抵抗成分に依存する。電気抵抗は導体部分の絶対温度(T)に比例して増
加し、チャンネルにより異なるが100〜300mΩである。熱抵抗成分は銅の熱伝導率(約360
W/m・K)や含浸樹脂の熱伝導率(0.2W/m・K)によって極端に異なり、これらによって重
層的に構成されていることから実験もしくは計算機シミュレーションによって求められる
。このような方法によって得られる常温(T0)でのCx(T0),Cy(T0),Cz
(T0)は、装置の出荷時において熱量計算部9の熱量記憶回路27に予め保存されてい
る。
【0035】
従ってシーケンス制御回路24より熱量演算回路29に上記Ax(t),Ay(t),
Az(t)が入力されれば上記(1)式は計算可能である。
【0036】
一方、シールド板41における渦電流によって発生する熱量K(t)は
【数2】


で示すことができる。ただしdx、dy、dzは熱輸送に関する抵抗成分であり、fx、
fy、fzは傾斜磁場波形を入力としてRFシールドの減衰時定数τにて規定された渦の
強度を示したものであり、詳細は特許第3110115号公報に記載されている。
【0037】
上記(1)式および(2)式で示される各々の熱量は独立であると考えられるから傾斜
磁場コイル31において発生する熱量Q1(t)は
【数3】


となる。一方、撮影直前に温度センサ39によって測定された傾斜磁場コイル31の温度
をToとすれば傾斜磁場コイル31の初期熱量Poは
【数4】


となる。ただしSは傾斜磁場コイル31の熱容量である。熱容量は概ね含浸する樹脂の比
熱(約1.4kJ/kg・K)や線材として用いる銅の比熱(0.385kJ/kg・K)のそれぞれの構成重
量から予め計算することが出来る。
【0038】
図4は傾斜磁場コイル31に与えられる電流波形を模式的に示したものであり、計算に
用いる電流データはΔt間隔でJ回のサンプリングによって得られる。
【0039】
ここで傾斜磁場コイル31の電流波形A(t)をΔt間隔でサンプリングして以下の計
算を行う場合、撮影開始からΔt後の傾斜磁場コイル31における残留熱量Qo(Δt)
と温度T(Δt)は冷却システム10による効果を無視すれば近似的に
【数5】


で示される。
【0040】
冷却システム10の入力端の冷却液温度をTin(Δt)、出力端の冷却液温度をTout
(Δt)とすればTin(Δt)=T(Δt)であり、またTout(t)は冷却システム10の
仕様によって決定され、通常は一定値(Tcとする)である。従って、この冷却システム
10によって排除される熱量Qf(Δt)は
【数6】


となる。ただしkはΔtの時間内に冷却パイプ40を流れる冷却液の量と比熱によって決
定される定数であり、いずれも冷却システム10の仕様によって一義的に決定される。
【0041】
2Δt後の傾斜磁場コイル31における残留熱量Qo(2Δt)は近似的にはΔtでの
残留熱量Qo(Δt)((5)式)から冷却システム10によって排除された熱量Qf(
Δt)(上記(6)式)を除いたものに2Δt後の新たに発生した熱量Q1(2Δt)を
加えたものとなる。すなわち
【数7】


同様にして3Δt後の残留熱量Qo(3Δt)は
【数8】


となり、このようにしてQo(4Δt)以降についても順次計算することが可能となる。

熱量演算回路29に備えられたCPUは上記の計算を繰り返し行い、その結果得られる
残留熱量Qo(Δt)〜Qo(JΔt)の計算結果を熱量演算回路29を介して熱量記憶
回路27に一旦保存し、さらにこれらの計算結果を、熱量記憶回路27に既に記憶されて
いる警告レベルQarおよびアボートレベルQabとともに主制御回路23を介して表示
部21に表示する。
【0042】
この場合J個の計算結果の中で最大値のみを表示してもよいが、後述するように残留熱
量の時間的変化をグラフとして表示した方が途中経過を知ることができ望ましい(ステッ
プS6)。
さらに、熱量演算回路29のCPUは上記計算によって得られた傾斜磁場コイル31の
残留熱量Qo(Δt)〜Qo(JΔt)と上記警告レベルやアボートレベルとの比較を行
い、その結果を表示部21に表示する。
【0043】
熱量演算回路29のCPUは熱量記憶回路27に保存されている傾斜磁場コイル31の
残留熱量Qo(Δt)〜Qo(JΔt)を読み出し、その最大値Qmaxを検出する(ステ
ップS7)。さらに熱量記憶回路27からアボートレベルQabを読み出し、Qmaxとア
ボートレベルQabとの比較を行う(ステップS8)。比較の結果、QmaxがQab以下の場
合はさらに熱量記憶回路27に保存されている警告レベルQarと比較し(ステップS9)
、Qar以下の場合は予め設定したスタディおよびプロトコルによる撮影の実行が可能であ
ることを主制御回路23を介して表示部21に表示して撮影前の熱量予測を終了し、操作
者からの撮影開始の指示を待つ(ステップS11)。
【0044】
またQmaxがQarを超える場合、熱量演算回路29は警告を主制御回路23を介して表
示部21に表示し(ステップS10)、撮影前の熱量予測を終了する(ステップS11)
。この警告表示は、計算によって得られる残留熱量と実際の撮影中における残留熱量との
間には多少の差異があるため、マージンを考慮して行われるものであり、警告表示がなさ
れた結果、実際の撮影を行うか否かの判断は操作者に委ねられる。
一方、QmaxがQabを超える場合、操作者はプロトコルの順番あるいはプロトコルの間
隔の変更を行った後(ステップS12)、ステップS5に戻って上記と同様な残留熱量の
計算を行う。
【0045】
図5はプロトコル間に撮影停止時間を設定して最大残留熱量(Qmax)をアボートレベ
ル以下に抑えた例を模式的に示したものであり、図5(a)は頭部一般撮影におけるプロ
トコルをFSE(T2強調)、SE(T1強調)、MRアンギオ(3次元)、EPIの順
番で設定した場合を示す。また各プロトコルの横幅は撮影時間の長さを、高さは傾斜磁場
コイル31に供給される電流の大きさを示している。
【0046】
一方、図5(b)は傾斜磁場コイル31における残留熱量の時間的変化を示している。
最初のプロトコルの順番設定においてMRアンギオの撮影に引き続きEPI撮影を設定し
て残留熱量計算を行った結果、EPI撮影終了時点でアボートレベルを超えるため、MR
アンギオ撮影終了時点で撮影を一旦休止し、Δα後に再開することによって残留熱量をア
ボートレベル以下に抑えることが可能となる場合である。
【0047】
図6は図5と同様に、頭部一般撮影においてプロトコルの順番を入れ替えることによっ
て最大残留熱量をアボートレベル以下に抑えた例を模式的に示すものであり、図6(a)
はプロトコルの順序を、また図6(b)はそのときの傾斜磁場コイル31の残留熱量を示
す。図6(a)は図5(a)で示したプロトコルの順番に対してSE(T1強調)とMR
アンギオ(3次元)の撮影順序を操作者が入れ替えることによって残留熱量をアボートレ
ベル以下に抑えることが可能となる。
【0048】
このようにして装置の熱量演算部29が行った傾斜磁場コイル31の発生熱量の予測計
算結果がアボートレベルを超えた場合、操作者は入力部22においてプロトコルの順番の
入れ替えやプロトコル間での撮影停止時間の再設定を行う。
【0049】
但し、プロトコルの入れ替えや停止時間の再設定を熱量計算部9の計算結果に基づき自
動的に行ってもよいが、この再設定の最終的な決定は操作者の指示に従うことが望ましい
。プロトコルの再設定の結果、相変わらず計算結果をアボートレベル以下に抑えることが
出来ない場合、操作者は入力部22においてスタディを入れ替えて残留熱量の再計算を行
う(ステップS13)。
【0050】
操作者は入力部22より別の被検者の患者IDを入力するとともにその被検者のスタデ
ィ(例えば腹部一般撮影)の再設定を行う。この患者IDとプロトコルを入力部22より
入力することによって主制御回路23はその被検者のための腹部一般撮影用のプロトコル
を準備する。操作者は腹部一般撮影の仮設定によって主制御回路23で準備された数種類
のプロトコルに対して、その順番を入力部22から入力し、主制御回路23の記憶回路に
保存して仮設定の変更を行う。
図7はスタディの順番を入れ替えることによって最大残留熱量をアボートレベル以下に
抑えた例を模式的に示すものであり、図7(a)はスタディの順序をまた図7(b)はそ
のときの傾斜磁場コイル31の残留熱量の時間的変化を示す。最初の被検者が腹部一般撮
影、2番目の被検者が心臓特殊撮影、以下頭部特殊撮影、頭部一般撮影の順番で最初のス
タディが設定された場合において、傾斜磁場コイル31の残留熱量(図7(b)に破線で
示す)が頭部特殊撮影の終了時点でアボートレベルを超えたため、頭部一般撮影と頭部特
殊撮影の順序を入れ替えることによって最大残留熱量をアボートレベル以下に抑えている

【0051】
以上述べた本発明の第1の実施の形態によれば撮影前に傾斜磁場コイル31における残
留熱量を計算から予め知ることが可能となり、またこの残留熱量を常にアボートレベル以
下に維持するためのスタディやプロトコルの設定が容易に可能となるため、発熱が原因で
生ずるMRI撮影の中断や発熱による装置の故障を撮影前の段階において未然に防止する
ことが可能となる。
【0052】
(第2の実施の形態)
次に図8および図9を用いて本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0053】
但し、図8(a)はプロトコルの順序、図8(b)は傾斜磁場コイル31の残留熱量曲線
である。
【0054】
本実施の形態は撮影中において第1の実施の形態で示した計算方法とほぼ同様な方法に
基づいて傾斜磁場コイル31の残留熱量の計算を行うものであり、撮影中に行われる傾斜
磁場コイル31の温度の実測における問題点に対してなされるものである。
【0055】
既に述べたように、従来行なわれてきた傾斜磁場コイル31での温度計測はコイルを含
浸している樹脂38の表面に熱電対を装着して行ってきた。しかしながら、この樹脂38
は熱伝導度が低いため、実際のコイル温度が熱電対に到達するまでに数十秒、すなわち1
プロトコルの撮影に要する時間と同程度の時間を要した。このため計測される傾斜磁場コ
イル31の温度と実際の温度との間には大きな時間的なズレが生じ、この測定遅延のため
操作者は傾斜磁場コイル31の熱上昇に気づくことが遅れ、装置故障を引き起こす場合が
あった。
【0056】
図8のフローチャートにおいて、まず装置の出荷時もしくは据え付け時にメーカのフィ
ールドエンジニアは許容熱容量(アボートレベル)Qabを設定し、この設定値を主制御
回路23を介して熱量計算部9の熱量記憶回路27に記憶する(ステップS20)。
【0057】
操作者はスタディとプロトコルについても入力部22において設定し、主制御回路23
を介して熱量計算部9の熱量記憶回路27に記憶する。ここでは第1の実施の形態で述べ
た頭部一般撮影のスタディにおいて、最大残留熱量が許容値以下になることが計算によっ
て予知されたプロトコルの順序と同様のT2強調のFSE、3次元MRアンギオ、T1強
調のSE、EPIの順に設定する(ステップS21〜S22)。
次に傾斜磁場コイル31の近傍に装着された温度センサ39は撮影直前の傾斜磁場コイ
ル31の温度を計測する。この場合も温度センサ39として熱電対もしくはサーミスタ等
の半導体素子が使用される。熱量計算部9の温度検出器28は温度センサ39によって得
られた撮影直前の温度をデジタル信号に変換し熱量記憶回路27に一旦保存する(ステッ
プS23)。
【0058】
以上の撮影前の条件設定が終了した時点で操作者は撮影開始コマンドを入力部22にお
いて入力し(ステップS24)、MRI撮影と傾斜磁場コイル31における熱量計算を並
行して行う。(ステップS25、ステップS26)。すなわち入力部22は入力された上
記のプロトコル情報を主制御回路23に送り、主制御回路23はこのプロトコル情報をパ
ルスシーケンスの情報(例えば傾斜磁場コイル31や照射コイル15に印加するパルス電
流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報)に変換してシーケンス制御回路
24に送る。このシーケンス制御回路24は傾斜磁場電源25や送信器17および受信器
18に対してパルスシーケンス制御信号を送る。
傾斜磁場電源25はパルスシーケンス制御信号に従って、3つの傾斜磁場コイル31に
供給されるパルス電流を設定し、スライス、位相エンコード、読み出しの各方向の傾斜磁
場強度を設定する。同様にして、送信器17は照射コイル15に供給するRFパルスの周
波数および位相について設定する。
【0059】
次に、制御部4のシーケンス制御回路24はその制御信号によって傾斜磁場発生部2を
構成する3つの傾斜磁場電源25を駆動し、傾斜磁場電源25はパルス電流を傾斜磁場コ
イル31に供給する。一方、シーケンス制御回路24の制御に従って送受信部3の送信器
17はRFパルス電流を照射コイル15に供給する。
【0060】
RFパルス電流は主磁石13の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数と同じ周
波数をもち選択励起波形で変調されている。コイル15にRFパルス電流が供給されるこ
とにより被検体11にRFパルスが照射され、このRFパルスの照射によって被検体11
の体内で発生するスピンエコー信号は、送受信部3の受信コイル16によってMR信号と
して受信される。
【0061】
受信器18はMR信号に対して中間周波変換や位相検波さらにはフィルタリングなどの
信号処理を行った後A/D変換し、さらに再構成演算・記憶部5の記憶回路20において
周波数空間の生データのまま保存される。
【0062】
再構成演算・記憶部5の再構成演算回路19は周波数空間に配置されたMR信号に対し
て2次元フーリエ変換により画像再構成を行い、この画像データを記憶回路20に一旦記
憶し、さらに主制御回路23を介して表示部21に表示する。このような動作を繰り返す
ことによって行われるMRI撮影と並行して、熱量計算部9の温度センサ39は傾斜磁場
コイル31における温度測定を所定の時間間隔で行い、その値は温度検出器28を介して
熱量演算回路29に送る。(ステップS27)。
【0063】
一方、シーケンス制御回路24は傾斜磁場コイル31に供給されるパルス電流の波形情
報を熱量演算回路29へ送る。シーケンス制御回路24には撮影が完了するまでの電流波
形情報が保存されており、この電流波形情報は熱量演算回路29を介して熱量記憶回路2
7に保存する。従って熱量演算回路29による残留熱量の計算はMRI撮影時に実際に行
う発熱測定より先行して行うことが可能である。熱量演算回路29は温度センサ39が所
定の時間間隔(Δt1)で実測定して得る傾斜磁場コイル31の温度値と、シーケンス制
御回路24から送られてくる傾斜磁場コイル31の電流波形情報とから傾斜磁場コイル3
1に発生する熱量の計算を行う。(ステップS25)。
【0064】
以下にこのときの計算方法を述べる。ここで、傾斜磁場電源25から3つの傾斜磁場コ
イル31に供給されるパルス電流の波形をそれぞれAx(t)、Ay(t),Az(t)
とすれば、傾斜磁場コイル31自身から発生する熱量J(t)は
【数9】


で示され、シーケンス制御回路24より熱量演算回路29に上記Ax(t),Ay(t)
,Az(t)が入力されれば上記(8)式は計算可能である。
【0065】
一方、シールド板41における渦電流によって発生する熱量K(t)は一般に
【数10】


で示すことができる。上記(9)式および(10)式で示される各々の熱量は独立である
と考えられるから傾斜磁場コイル31において発生する熱量Q1(t)は
【数11】


となる。ここでt=Δt1において温度センサ39によって測定された温度をTo(Δt
1)とすればこのときの傾斜磁場コイル31における初期熱量Po(Δt1)は
【数12】


となる。傾斜磁場コイル31の電流波形A(t)に対してt=Δt1を始点としてΔt間
隔でサンプリングして以下の計算を行う場合、計算開始からΔt後の傾斜磁場コイル31
における残留熱量Qo(Δt)と温度T(Δt)は冷却システム10による効果を無視す
れば近似的に
【数13】


で示される。
【0066】
次に冷却システム10の入力端の冷却液温度をTin(Δt)、出力端の冷却液温度をT
out(Δt)とすればTin(Δt)=T(Δt)であり、またTout(t)は冷却システム10
の仕様によって決定され、通常は一定値Tcである。従って、この冷却システム10によ
って排除される熱量Qf(Δt)は
【数14】


となる。ただしkはΔtの時間内に冷水管33を流れる冷却液の量と比熱によって決定さ
れる定数であり、いずれも冷却システム10の仕様によって一義的に決定される。
【0067】
次に、2Δt後の傾斜磁場コイル31での残留熱量Qo(2Δt)はΔtでの残留熱量
Qo(Δt)(上記(13)式)から冷却システム10によって排除された熱量Qf(Δ
t)(上記(14)式)を除いたものに、2Δt後の新たに発生した熱量Q1(2Δt)
を加えたものとなる。すなわち
【数15】


同様にして3Δt後の残留熱量Qo(3Δt)は
【数16】


となる。同様にしてQo(4Δt)以降についても順次計算することができる。
【0068】
次に、T=2Δt1において温度センサ39によって実測される傾斜磁場コイル31の
温度To(2Δt1)が温度検出器28を介して熱量演算回路29に入力されたならば上
記の式(12)および式(13)のΔt1を2Δt1に換え、式(9)〜式(16)の計
算をt=2Δt1を始点とした時間軸(Δt、2Δt・・・・)で再計算を行う(ステッ
プS28)。
しかしながら、従来傾斜磁場コイル31における温度計測は傾斜磁場コイル31を含浸
している樹脂38の表面に熱電対を装着して行ってきたが、この樹脂38は熱伝導度が低
いため、真の残留熱量が検出されるまでに数十秒程度の時間遅れが発生した。このため実
測値を初期値として用いて残留熱量を予測する場合には上記の時間遅れを補正する必要が
ある。
【0069】
図9は頭部一般撮影をスタディとした場合を例に補正方法を示したものであり、図9(
a)はプロトコルの順序を、また図6(b)はそのときの傾斜磁場コイル31の熱量の実
測値(温度から換算)A、補正前の計算値Bおよび補正後の計算値Cを示している。この
場合の温度計測の時間遅れΔβは実験的に求めることができ、この値は許容熱量と同様に
、装置の出荷時もしくは据え付け時にメーカのフィールドエンジニアによって設定され、
この設定値は熱量計算部9の熱量記憶回路27に保存されている。
【0070】
従って温度センサ39はt=nΔt1の最新実測値であるa点の値を温度検出器28を
介して熱量演算回路29に入力した場合、熱量演算回路29はこの最新実測値を初期値と
して、熱量計算部9の熱量記憶回路27に保存されている一連の傾斜磁場コイル電流波形
に対してΔβだけ遡って計算を実行する。このような演算を実施することによりΔβだけ
遡った補正前の計算値(b点)はc点の値に補正されて残留熱量計算が実行される。なお
補正後の計算値Cが表示された時点で補正前の計算値Bは表示部21から消去してもよい

【0071】
熱量演算回路29は上記の計算から得られる残留熱量Qo(Δt)〜Qo(JΔt)の
計算結果を熱量記憶回路27に一旦保存し、さらにこれらの計算結果は、熱量記憶回路2
7に既に記憶されている警告レベルQarおよびアボートレベルQabとともに残留熱量
の時間的変化として主制御回路23を介して表示部21にて表示する。
【0072】
熱量演算回路29はΔt1間隔で実測される傾斜磁場コイル31の温度を初期値とし、
上記計算式に基づいてΔt1間隔で残留熱量の予測計算を繰り返し行う。(ステップS2
8、ステップS33)。その過程において、操作者は表示部21に表示される傾斜磁場コ
イル31の予想残留熱量を観測し、その値が予め設定したアボートレベルを超す可能性が
有る場合は撮影停止命令を入力部22より入力する(ステップS29)。
【0073】
入力部22はこの撮影停止命令を主制御回路23に送り、主制御回路23は傾斜磁場コ
イル31へのパルス電流や照射コイル15へのパルス電流を停止して撮影を中止させる。
(ステップS30)。一方、MRI撮影が終了した時点においても計算による予想熱量が
アボートレベルを超える可能性が無い場合、主制御回路23は残留熱量の予測計算を終了
させる(ステップS31〜S32)。
【0074】
以上述べた本発明の第2の実施の形態によれば、撮影中に行われる傾斜磁場コイル31
の残留熱量計算は所定のタイミングで実測される傾斜磁場コイル31の残留熱量で校正さ
れるため、計算結果だけが一人歩きすることなく精度のよい予測が可能となる。とくに温
度センサ39における時間遅延の問題はこの計算結果によって補うことが出来るため、傾
斜磁場コイル31での許容出来ない発熱に対しては故障に繋がる前に対応することが可能
となる。
【0075】
以上、本発明の具体的な実施の形態について述べてきたが、上記の実施の形態に限定さ
れるものでは無く、変形して実施することが可能である。また表示部21にて表示される
グラフは熱量について説明したが温度に換算して行ってもよい。さらに温度センサは熱電
対について示したがこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態における磁気共鳴映像装置全体の概略構成を示す図。
【図2】本発明の傾斜磁場コイル系の横断面を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における計算手順フローチャートを示す図。
【図4】本発明の傾斜磁場コイルに供給される電流波形を示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるプロトコルの休止と傾斜磁場コイルにおける熱量の変化を示す模式図。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるプロトコルの入れ替えと傾斜磁場コイルにおける熱量の変化を示す模式図。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるスタディの入れ替えと傾斜磁場コイルにおける熱量の変化を示す模式図。
【図8】本発明の第2の実施の形態における計算手順のフローチャートを示す図。
【図9】本発明の第2の実施の形態における熱量計算値の補正方法を示す図。
【符号の説明】
【0077】
1…静磁場発生部
2…傾斜磁場発生部
3…送受信部
4…制御部
5…再構成演算・記憶部
10…冷却システム
21…表示部
22…入力部
27…熱量記憶回路
28…温度検出器
29…熱量演算回路
31…傾斜磁場コイル
33…冷水管
39…温度センサ
40…冷却パイプ




 

 


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