米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 医学 -> 株式会社東芝

発明の名称 生体光計測装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−20735(P2007−20735A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−204891(P2005−204891)
出願日 平成17年7月13日(2005.7.13)
代理人 【識別番号】100109900
【弁理士】
【氏名又は名称】堀口 浩
発明者 浦野 妙子
要約 課題
被爆リスクの無い光計測による生体内情報の測定であっても、個人差による測定ばらつきを抑制できると共に、ノイズが分別された測定精度の高い生体光計測装置の提供。

解決手段
生体内部に光を照射する光照射部2と、前記照射された光のうち前記生体内部を経由して反射された光を光信号強度として検出する複数の光検出部3と、前記光検出部3で検出された光信号強度の分散を評価し、分散が大きいと判断された光信号強度が検出された光検出部同士の位置関係から、前記検出された光信号強度のうちノイズを分類する光解析部4とが具備されたことを特徴とする生体光計測装置。
特許請求の範囲
【請求項1】
生体内部に光を照射する光照射部と、
前記照射された光のうち前記生体内部を経由して反射された光を光信号強度として検出する複数の光検出部と、
前記光検出部で検出された光信号強度の分散を評価し、分散が大きいと判断された光信号強度が検出された光検出部同士の位置関係から、前記検出された光信号強度のうちノイズを分類する光解析部とが具備されたことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項2】
前記光解析部は、前記分類されたノイズ以外の光信号強度同士の位置関係と、光信号強度の大きさから、基準値と測定値に分類することを特徴とする請求項1に記載の生体光計測装置。
【請求項3】
前記光検出部は、前記光照射部から所定の間隔で複数列配置された同距離内に位置する光検出部列で構成されており、前記検出された光信号強度の分散の評価を、前記光検出部列毎に行うことを特徴とする請求項1、又は、2に記載の生体光計測装置。
【請求項4】
前記光解析部は、前記光検出部で検出された光信号強度とその検出位置を記憶する記憶手段と、
前記光検出部で検出された光信号強度の分散を評価する分散評価手段と、
前記分散評価手段により分散が大きいと判断された光信号強度が検出された光検出部の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段により特定された光検出部同士の位置関係から、前記検出された光信号強度のうちノイズを分類する分類手段が具備されたことを特徴とする請求項1に記載の生体光計測装置。
【請求項5】
前記光検出部同士の位置関係は、前記光照射部から同距離に配置された光検出部同士で評価することを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の生体光計測装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて生体内情報を非侵襲に計測する際に使用する生体光計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の内部を診断するには様々な手法がある。その一つである光計測は、被爆の問題がなく、波長を選択することにより計測対象である化合物を選択できるという利点を有している。また、装置の小型化・低価格化を実現する構成も可能であり、他の診断装置が主として医療機関で使用されるのに対して、家庭や保健機関での使用も視野に入れて製品化が進められている。しかしながら、現状では、医療診断装置として確立しているX線、NMR(MRI)、超音波エコー、核医学(ポジトロン)の各装置と比較して、生体光計測装置の市場規模は小さい。
【0003】
この原因の一つとして、生体は光を強く散乱する性質があり、皮膚から入射した光が生体内部の情報を取得して皮膚から出射してきた場合にその部位を正確に特定することが難しい。この問題を解決するために生体内を光が伝播する様子をシミュレーションした結果を利用することが行われている。
【0004】
一般的に生体は、散乱を繰り返すうちに散乱の異方性が失われて等方散乱に近づき、平均的な光経路の断面は「バナナ状」になるとされている(図13)。その考えに基づき、光照射部から光検出部までの距離(T1、T2)から光の到達深さ(D1、D2)を限定する考え方が生体光計測で使われている。
【0005】
この考え方により、光源・検出器の間隔を2通りに設定し、近距離で表皮情報を計測し、遠距離で計測した皮下情報を補正する装置も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
しかしながら、このように計測部位を限定して解析しているにも関わらず、信号の再現性が低く、解析に耐える高品質の信号が得られていないという現状がある。
【0007】
高品質の信号が得られない原因について次に述べる。
【0008】
光源・検出器の間隔を調整してデータを計測し、ある位置での吸収体の有無や吸収強度を計測する場合、吸収のない場合の基準値が必要となる。しかしながら、対象となる生体には血管の位置や皮膚の色、皮膚状態など個人差があり、それぞれ個人に合った基準値の計測が困難である。具体的には、計測対象として注目するヘモグロビンとは別の吸収体、例えばメラニン(皮膚上の黒点)が光経路上にあると、ヘモグロビンの吸収にメラニンの吸収(この目的からするとノイズ)が加わり、この位置での吸収が大きくなっているように測定されてしまうため、ヘモグロビンの状態だけを図示したいという目的に対してこの結果は間違った解釈を与える恐れがある。また、モデルサンプルを利用して吸収体のない位置で基準値を測定する方法も、皮膚色や皮膚状態の個人差が考慮されないという問題が生じていた。
【0009】
また、ノイズの問題に対して、発光器と、少なくとも2つの発光器の周辺に同心的に設けられたほぼ環状の光検出ターミナルを備えることで環状検出器の少なくとも一部は、不可解な妨害を受けないため、センサの信号対ノイズの比を、著しく改善することができるセンサが提案されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載のセンサは、空間的に検出器を増やして、発光器から等距離にある点の信号を複数測定し、この平均を取ることで雑音による影響を軽減させることを目的としており、基準値、測定値、ノイズが平均により平滑化されてしまう可能性がある。
【特許文献1】特開2000−237195公報
【特許文献2】特表平11−507568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の問題点を鑑みてなされたもので、被爆リスクの無い光計測による生体内情報の測定で、個人差による測定ばらつきを抑制できると共に、ノイズが完全に分類された測定精度の高い生体光計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に記載の生体光計測装置は、生体内部に光を照射する光照射部と、前記照射された光のうち前記生体内部を経由して反射された光を光信号強度として検出する複数の光検出部と、前記光検出部で検出された光信号強度の分散を評価し、分散が大きいと判断された光信号強度が検出された光検出部同士の位置関係から、前記検出された光信号強度のうちノイズを分類する光解析部とが具備されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被爆リスクの無い光計測による生体内情報の測定で、個人差による測定ばらつきを無くし、ノイズが完全に分類された測定精度の高い生体光計測装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明に関わる第1の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付する。図1は、本発明に関わる生体光計測装置の一例を示す概念図、図2は、図1のA−A’方向に関わる断面図、図3は、図2の光解析部4に係る構成図である。
【0014】
本実施形態に関わる生体光計測装置1は、例えば、図1から図3に示すように、光照射部2、光検出部3、光解析部4を具備している。
【0015】
光照射部2は、図示しない制御部からの駆動信号に基づいて強度を所定の周期で変動する光を発生する発光素子、例えば、レーザダイオード5が取り付けられており、この発光素子により発光された光を生体に照射する。なお、光照射部2から照射される光の波長は、計測対象(例えば、血液、骨、脂肪、筋肉等)により適時最適な吸収されやすい帯域の光を使用することができ、また、同時に2種類以上の波長を有する光を同時に照射することもできる。なお、光照射部2は、例えば、外部にある発光素子の光源から光ファイバー等により光照射部2に導入する構成にしてもよい。
【0016】
光検出部3は、光照射部2から照射された光のうち生体内部を経由して反射された光を光信号強度として検出する光検出素子、例えば、フォトダイオード6が備え付けられている。なお、本実施形態では、光信号強度の検出としてフォトダイオードを用いた例を説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、CCDや光電子増倍管その他の光電変換機能を有する検出素子を使用することができる。
【0017】
さらに、光検出部3は光照射部2の周辺に複数配置されている。例えば、図1に示すように、光照射部2を中心として同心円状に配置されてもよく、また、その一部の光検出部3を無くして、半同心円状に複数配置させてもよい。また、図4、図5に示すように、光照射部2を中心として、上下左右4方向に光検出部3を配置させてもよく、更に、図6に示すように、上下左右4方向のみならず、斜め方向を加えた6方向に光検出部3を配置させてもよい。また、光照射部2から遠ざかる二方向に沿って光検出部3を配列されたものであってもよく、光照射部2を中心として二次元マトリックス上に光検出部3を配列させたものでもよい。さらに、これらの光検出部3同士は、等間隔でそれぞれ配置してもよく、また、異なる間隔でそれぞれ配置してもよい。
【0018】
光解析部4は、光検出部3で検出された複数の光信号強度を解析して、基準値と測定値とノイズに分類する。詳しくは、図3に示すように、光解析部4は、記憶手段101、分散評価手段102、位置特定手段103、分類手段104が具備されている。
【0019】
記憶手段101は、光検出部3で検出された光信号強度とその光検出部3の検出位置を記憶する。
【0020】
分散評価手段102は、光検出部3で検出された光信号強度の分散を評価する。ここでいう分散の評価は、図7から図9に示すように、光検出部3で検出された複数の光信号強度を用いて、例えば、ヒストグラムを用いて評価する。また、単に、検出された光信号強度の平均値、標準偏差等を算出して評価しても良い。
【0021】
このような分散の評価で検出した光信号強度の分散(ばらつき)の大きさを評価する。例えば、図7に示すように、明らかに、頻度分布から外れている値を分散が大きい場合(α)として、判断してもよい。また、図8に示すように、検出した光信号強度の平均値、及び、標準偏差を算出して、平均値±(n×標準偏差)(n=1、2、3)の範囲を設けて、その範囲外の光信号強度を分散が大きい場合(α−、α+)として判断してもよい。また、図9に示すように、2つのピークを有する場合は、ピーク毎に、それぞれ、平均値、及び、標準偏差を算出して、平均値±(n×標準偏差)(n=1、2、3)の範囲を設けて、それぞれにおいて、分散が大きい場合(α)として判断してもよい。また、図7から図9のようにヒストグラムを算出せず、単に、検出した光信号強度の平均値、及び、標準偏差を算出して、平均値±(n×標準偏差)(n=1、2、3)の範囲を設けて、分散を評価しても良い。なお、分散が大きい場合と判断されない光信号強度は、分散が小さい場合として判断される。
【0022】
位置特定手段103は、分散評価手段102で分散が大きい場合と判断された光信号強度を検出した光検出部3の位置を特定する(例えば、図10)。なお、図8に示すように、分散が大きく光信号強度が小さい場合(α−)、分散が大きく光信号強度が大きい場合(α+)の両方が検出された場合は、図10(a)に示すように、それぞれ別種として、位置を測定する。
【0023】
分類手段104は、位置特定手段103で特定された光検出部3の位置関係から、検出された光信号強度のうちノイズを分類する。
【0024】
なお、ここでいうノイズとは、計測対象としている吸収体と、計測対象としている吸収体以外の吸収体(例えば、メラニン等)の両方を経由した光信号強度、又は、特定できない他の要因により異常に大きい光信号強度を示す。
【0025】
具体的には、位置特定手段103で特定された光検出部3が複数隣接していない関係である場合、例えば、図10(b)に示すように、孤立している位置関係にある場合には、その方向には計測対象となる吸収体以外の別の吸収体、異物等が存在しているか、又は、特定できない他の要因により異常に大きい光信号強度を検出したものと判断することができ、その位置で測定された光信号強度はノイズとして分類される。
【0026】
また、位置特定手段103で特定された光検出部3が複数隣接している位置関係である場合、例えば、図10(a)に示すようにβ−、β+が複数隣接している位置関係にある場合は、その光信号強度は、基準値、又は、測定値のどちらかに分類させる。
【0027】
ここでいう基準値とは、光計測において、吸収が無い場合の光信号強度を示す。また、測定値とは、光計測において、計測対象としている吸収体(例えば、ヘモグロビン等)を、経由した光信号強度を示す。
【0028】
分散評価手段102で、分散が小さい場合として判断された光信号強度は、基準値、又は、測定値のどちらかに分類される。
【0029】
さらに、基準値、又は、測定値のどちらかに分類された光信号強度は、それぞれの光信号強度同士の大きさで、基準値、又は、測定値のどちらか一方に分類される。すなわち、光信号強度が大きい場合は、その方向には、吸収体、異物等が存在しないと判断できるため基準値として、一方、光信号強度が小さい場合には、計測対象の吸収体が存在していると判断できるため、測定値となる。
【0030】
分類手段104における、前記光検出部同士の位置関係は、前記光照射部から同距離に配置された光検出部同士で評価することが好ましい。すなわち、光照射部2から同距離に配置された光検出部3同士で分類することが好ましい。光計測では、前述したように、光照射部2から光検出部3までの距離に応じて、計測する生体内の深さが変動するため、光照射部2から同距離にある光検出部3同士、すなわち、計測した生体の同じ深さを経由した光検出部同士の位置関係で判断することで、より高精度にノイズを分類することができる。
【0031】
以上のように、第1の実施形態に係る生体光計測装置は、光検出部3で検出された光信号強度の分散を評価し、分散が大きいと判断された光信号強度が検出された光検出部同士の位置関係から、前記検出された光信号強度のうちノイズを分類する光解析部を備えていることで、基準値、測定値等を平均化することなく、ノイズのみを完全に分類することができるため、より測定精度の高い基準値、又は、測定値を分類することができる。
【0032】
さらに、ノイズ以外の光信号強度同士の位置関係と、光信号強度の大きさから、基準値と測定値に分類することで、1回の測定で、基準値と、測定値を検出して、分類することができるため、個人差によるばらつきを無くし、かつ、ノイズが完全に分類された、より測定精度の高い基準値、及び、測定値を分類することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における生体光計測装置を、図11を用いて説明する。
【0034】
本実施形態の生体光計測装置は、第1の実施形態における光解析部の分散評価手段102、位置特定手段103、分類手段104が異なるのみで、その他の部分は、第1の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0035】
本実施形態の生体光計測装置における分散評価手段102は、例えば、図11に示すように、光照射部2から所定の間隔で複数列配置された同距離内に位置する光検出部3の集合列3、3、・・・(以後、これを光検出部列という)毎に、それぞれ分散を評価する。
【0036】
分散の評価は、第1の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0037】
位置特定手段103は、第1の実施形態と同様に、分散評価手段102で分散が大きいと判断された光信号強度を検出した光検出部の位置を、それぞれ光検出部列毎に特定する。
【0038】
分類手段104は、位置特定手段103で特定された光検出部3の位置関係から、それぞれ光検出部列毎に、検出された光信号強度のうちノイズを分類する。
【0039】
具体的には、例えば、光照射部2から一番目に近い光照射部から同距離に配置された光検出部列3(以下、これを第一の光検出部列という)の光検出部で検出された光信号強度を用いて、分散を評価し、分散が大きいと判断された光信号強度が検出された光検出部同士の位置関係が、複数隣接していない関係である場合、すなわち、孤立している位置関係にある場合は、その方向には計測対象となる吸収体以外の別の吸収体、異物等が存在しているか、又は、特定できない他の要因により異常に大きい光信号強度を検出したものと判断することができ、その位置で測定された光信号強度はノイズとして分類する。
【0040】
さらに、光照射部2から二番目に近い同距離にある光検出部列3(以下、これを第二の光検出部列という)の光検出部3で検出された光信号強度を用いて、分散を評価し、第一の光検出部列と同様にノイズを分類する。
【0041】
また、位置特定手段103で特定された光検出部3が複数隣接している位置関係にある場合は、その光信号強度は、基準値、又は、測定値のどちらかに分類される。
【0042】
なお、分散評価手段102で、分散が小さい場合として判断された光信号強度は、基準値、又は、測定値のどちらかに分類される。
【0043】
さらに、基準値、又は、測定値のどちらかに分類された光信号強度は、それぞれの光信号強度同士の大きさで基準値、又は、測定値のどちらか一方に分類される。すなわち、全光検出部列でノイズとして分類された光信号強度以外の光信号強度同士でその大きさを比較し、光信号強度が大きい場合は、基準値として、一方、光信号強度が小さい場合には、測定値として分類する。
【0044】
このように、本発明の第二の実施形態に係る光計測装置は、光検出部列毎に、分散を評価して、ノイズを分類し、ノイズとして分類された光信号強度以外の光信号強度同士で比較することで、光照射部2から光検出部3までの距離に応じて、すなわち、計測する生体内の深さに応じて、例えば、第一の光検出部列は、基準値、又は、第二の光検出部列では、測定値とそれぞれ分類することが可能となり、生体の測定箇所に応じて、的確に、基準値、及び、測定値を、分類することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態における生体光計測装置を説明する。
【0046】
本実施形態の生体光計測装置は、第2の実施形態における光解析部の分類手段104が異なるのみで、その他の部分は、第2の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0047】
第3の実施形態に係る分類手段104は、第2の実施形態と同様に、位置特定手段103で特定された光検出部3の位置関係から、それぞれ光検出部列毎に、検出された光信号強度のうちノイズを分類する。
【0048】
ノイズを分類後、各光信号強度同士の大きさの比較を行わずに、測定部位における表面状態に応じて、基準値、測定値を分類する。例えば、皮膚上に血管が見えない位置を、光照射部2と第一の光検出部列3の間に配置させた場合は基準値として、また、皮膚上に血管が見える位置を、光照射部2と第一の光検出部列3の間に配置した場合は測定値として分類し、第二の光検出部列3以降で得られた光信号強度を、第一の光検出部列で分類した以外のものに分類する。これにより、光信号強度の大きさを比較すること無しに、基準値、測定値を分類するため、基準値、測定値の大きさを比較する制御回路等が無い、より安価な光計測装置を提供することができる。
【0049】
このように、第2、第3の実施形態のように、光照射部2からの距離に応じて、基準値、又は、測定値をそれぞれ設定することで、例えば、第一の光検出部列で、表皮の厚みに該当する距離に設定して測定した結果を被験体の基準値とし、第二の光検出部列を表皮の厚みよりやや大きい値に該当する距離に設定して測定した結果を毛細血管の測定値として分類することができる。
【0050】
更に、測定の際に、ヘモグロビンの吸収波長に対応させた測定波長に加えて、酸化ヘモグロビンの吸収波長に対応させた測定波長を用いると、毛細血管における血液量と酸素飽和度の両方の生体情報を得ることができる。
【0051】
また、第二の光検出部列の外側に、図示しない光照射部2から三番目に近い距離の同距離内にある光検出部(以下、これを第三の光検出部列という)を設け、この第三の光検出部列を真皮の厚みよりやや大きい値に該当する距離に設定すると、これは管状の血管中にある血液を測定することすることができ、また、静脈と動脈についても、拍動を利用することで、どちらが測定部位に存在するかが判別することができる。
【0052】
また、第一の光検出部列で検出された光信号強度を基準値として、毛細血管の深さ(0.2〜0.3mm)に対応する光照射部−光検出部の距離に設定した光検出部列(例えば、第二の光検出部列)と、動脈(場所によって1mmから数mm、1cmを超える深部にある動脈は計測対象としない)の深さに対応する光照射部−光検出部の距離に設定した光検出部列(例えば、第三の光検出部列)を用い、酸化ヘモグロビンとヘモグロビンの等吸収点である805nmをはさんで長波長と短波長のそれぞれで1波長ずつ選んだ光源(例えば760nmと840nm)に対して拡散反射光を計測する。この2波長の拡散反射光強度を光検出部毎に計測し、基準値と測定値から吸収強度を求めることができる。こうして得た相対的な血流量と酸素飽和度を動脈(供給時)と毛細血管(消費時)で比較し、体温や自覚症状など他の生体データと比較することで、体調を検査することも可能である。
【0053】
次に、本発明の実施形態に係る生体光計測装置を用いた生体光計測方法を説明する。
【0054】
例えば、図1に示すような生体光計測装置1を用いて、所望の測定部位に密着させて、光照射部2から計測対象に応じた所望の波長の光を生体内に照射する。
【0055】
次に、光照射部2から照射された光のうち生体内部を経由して反射された光を光検出部3で光信号強度として検出する。
【0056】
検出された光信号強度とその検出位置をそれぞれ記憶する。
【0057】
次に、光検出部3で検出された光信号強度の分散を評価する。
【0058】
分散の評価は、検出した光信号強度の平均値(AV)と標準偏差(σ)を算出して、例えば、AV±1σの範囲内に入る分散が小さい光信号強度をグループAとして、AV±1σの範囲外の分散が大きい光信号強度をグループBとしてそれぞれ定義する。さらに、グループBにおいて、AV+1σより大きい光信号強度がある場合は、B+、AV−1σより小さい値がある場合は、B−とそれぞれ定義する。
【0059】
分散の評価において、グループB(B+、B−を含む)と定義された光信号強度が検出された光検出部3の位置を、例えば、図12に示すように、それぞれ特定する。
【0060】
次に、特定された光検出部3の位置関係から、検出された光信号強度のうちノイズを分類する。
【0061】
例えば、図12(a)に示すように、B+、又はB−と特定された光検出部の位置が、互いに複数隣接した位置関係(3b、3c、3i、3j)となっていた場合、その特定された光信号強度は、値Bとして解析処理手段から除外される。その後、残った光信号強度から再び、平均値(AV)、及び、標準偏差(σ)を算出し、グループAとグループB(B+、B−)に分類し、グループB(B+、B−)と特定された光検出部が、再び、複数隣接した位置関係となっている場合は、値B’として解析処理手段から除外され、例えば、図12(b)に示すように、複数隣接している状態が無くなるまで同様の解析を繰り返す。
【0062】
以上の解析を繰り返し、最終的に互いに複数隣接した位置関係にないグループB(B−、B+)と特定された光検出強度は、ノイズとして分類される。
【0063】
最終的にグループAとして分類された光信号強度は、値Aとして分類され、値Aと、値Bは、それぞれの光信号強度同士の大きさで基準値であるか測定値であるかを分類する。すなわち、光信号強度が大きい値は、その方向には、吸収体、異物等が存在しないと判断できるため、これが基準値として分類され、一方、光信号強度が小さい値は、計測対象の吸収体が存在していると判断されるため、これが測定値として分類される。なお、値Bが、B、B’と複数存在する場合は、すべての値のうち、最も大きい光信号強度を基準値として、その他を測定値としてそれぞれ分類する。
【0064】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0065】
測定対象を血液とし、吸収体としてヘモグロビンを選び、装置性能を評価する際の測定対象として、下記のモデルサンプルを準備した。
【0066】
シリコーン樹脂を母材とし、散乱体(10%脂肪球分散液、製品名:イントラリピッド)と吸収体(色素)を分散させた後に硬化させ、脂肪と同じ光学定数(散乱係数10cm−1・吸収係数0.05cm−1)とした。このサンプルを2mm厚みにスライスした薄板を用意する一方、ブロック表面に幅3mm、深さ3mmの溝を作製し、この中に空気が残らないように注意しながら測定対象となるモデル血液を注入し、モデルサンプルとした。モデル血液はヘモグロビンと吸収スペクトルが一致する色素の水溶液を用いた。さらに、ブロック上に薄板を注意深く置いて空気層ができないように密着させた。
【0067】
計測に用いる生体光計測装置は、発光素子として、測定波長をヘモグロビンの吸収帯と合わせて760nmとし、発光素子として近赤外LD(波長760nm、出力20mW)、検出素子としてSiフォトダイオード、光を転送する素子として光ファイバー(500μm径)を選んだ。光検出部は、光照射部を中心とし、中心から半径2mmの円周上に6個の光検出部を等間隔で配置(第一の検出部列)し、中心から半径10mmの円周上に36個の光検出部を等間隔に配置した(第二の検出部列)構成とした。
【0068】
モデルサンプルの表面にごみや傷のない位置を選んで、この生体光計測装置を密着させて、連続光を発振させ、ファイバーで受光した光をSiフォトダイオードで検出した。光源ファイバーと受光ファイバーの中心位置に検出した光量を割り付け、第一の光検出部列で得た6データと第2の検出器列で得た36データについて、それぞれの光検出部列毎に、平均値(AV、AV)と標準偏差(σ、σ)を求め、平均値±1σの範囲(AV±σ、AV±σ)にて分散を評価し、光検出部列毎に基準値(REF 、REF)、測定値、ノイズに分類した。
【0069】
結果、第1の検出器列から得られたデータは基準値(REF)とノイズに分類され、第2の検出器列から得られたデータは基準値(REF)と測定値、ノイズに分類された。第2の検出器列に対する基準値が得られた位置と測定値が得られた位置を光検出部の番号とそれぞれ対応付けると、測定値はモデル血液が通っている溝の場所、基準値は溝がない場所に対応していることが確認された。
【実施例2】
【0070】
測定対象として健康なボランティア(男性、25歳)を選び、測定部位としては動脈と皮膚との距離が近い指先や手首内側、前腕部内側とした。
【0071】
計測に用いる生体光計測装置は、測定波長をヘモグロビンと酸化ヘモグロビンの吸収帯と合わせて760nmと840nmとし、発光素子として近赤外LD(出力20mW)、検出素子としてSiフォトダイオード、光を転送する素子として光ファイバー(200μm径)を選んだ。各LDからそれぞれファイバーで導いてきた光は切り替え器を介して順次入射光として用いた。光検出部は、光照射部を中心とし、中心から半径300μmの円周上に6個の光検出部を等間隔で配置し(第一の検出部列)し、中心から半径2mmの円周上に18個の光検出部を等間隔に配置し(第二の検出部列)、更に中心から半径4mmの円周上に36ヶのファイバーヘッドを等間隔に配置した(第3の検出部列)。
【0072】
健康なボランティア(男性、25歳)の方の皮膚上に黒点(ほくろやあざ)のない位置を選んで装置を密着させて、連続光を発振させ、ファイバーで受光した光をSiフォトダイオードで検出した。光源ファイバーと受光ファイバーの中心位置に検出した光量を割り付け、第1の検出器列で得た6データ、第2の検出器列で得た18データ、第3の検出器列で得た36データについてそれぞれ平均値(AV、AV、AV)と標準偏差(σ 、σ、σ)を求め、平均値±1σの範囲(AV±σ、AV±σ、AV±σ)にて分散を評価し、光検出部列毎に基準値(REF 、REF、REF)、測定値、ノイズに分類した。
【0073】
結果、第1の検出部列から得られたデータは基準値(REF)とノイズに、第2の検出部列から得られたデータは測定値とノイズ、第3の検出部列から得られたデータはそれぞれ基準値(REF)と測定値、ノイズに分類された。第2の検出部列から得られたデータを基準値ではなく測定値にしたのは、毛細血管が遍在していることを考慮したためであり、基準値(REF)の強度を調整したものをREFの計算値として用いた。第3の検出部列に対する基準値が得られた位置と測定データが得られた位置を光検出部の番号と対応付けると、測定値は動脈が通っている場所(超音波診断装置のドップラー測定による血流の拍動から確認)に対応していることが確認された。今回の結果では超音波画像で得られた血管径よりも少し広がって測定された。
【0074】
また、こうして得たREF、REFとそれぞれの測定データから、毛細血管と動脈での相対的な血流量と酸素飽和度を求めた。ボランティアの手を冷やし、常温に戻っていく過程で血流量を計測し、赤外カメラで計測した温度と対応させたところ、指先の温度と毛細血管の血流量の間に相関が見られた。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上、本発明によれば、被爆リスクのない光を用いて計測位置・深さを解析することができ、また、他の診断装置よりも安価な構成にする場合に、高い安全性を確保しつつ、解析に耐える高品質の信号を取得することができる生体光計測装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に関わる生体光計測装置を示す概念図
【図2】図1に示す生体光計測測定装置のA−A’方向に関わる断面図
【図3】図1に示す光解析部を説明する概念図
【図4】本発明に関わる生体光計測装置の一例を示す概念図
【図5】本発明に関わる生体光計測装置の一例を示す概念図
【図6】本発明に関わる生体光計測装置の一例を示す概念図
【図7】本発明に係わる分散評価手段の一例を示す概念図
【図8】本発明に係わる分散評価手段の一例を示す概念図
【図9】本発明に係わる分散評価手段の一例を示す概念図
【図10】本発明に係わる位置特定手段の一例を示す概念図
【図11】本発明に係わる光検出部列を説明する概念図
【図12】本発明に係わる位置特定手段の一例を示す概念図
【図13】光計測における平均的な光経路を示す断面図
【符号の説明】
【0078】
1…生体光計測装置、2…光照射部、3…光検出部、3…第一の光検出部列、3…第二の光検出部列、4…光解析部




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013