米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 医学 -> 株式会社東芝

発明の名称 呼吸状態判定装置、呼吸状態判定方法および呼吸状態判定プログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−14501(P2007−14501A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−198082(P2005−198082)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 鈴木 琢治 / 菅原 淳
要約 課題
睡眠中の様々な症状を判定することのできる呼吸状態判定装置を提供する。

解決手段
被験者に接触し、気道を通過する呼吸音を計測する呼吸音計測手段111と、呼吸音を周波数変換し周波数スペクトルを取得する周波数変換手段132と、周波数スペクトルから、呼吸により変化する呼吸同期成分を抽出する呼吸同期成分抽出手段134と、呼吸同期成分の周波数分布を検出する周波数分布検出手段134と、周波数分布に基づいて、被験者の呼吸状態を判定する呼吸状態判定手段138とを備えた。
特許請求の範囲
【請求項1】
被験者の気道を通過する呼吸音を計測する呼吸音計測手段と、
前記呼吸音計測手段が計測した前記呼吸音を周波数変換し周波数スペクトルを取得する周波数変換手段と、
前記周波数変換手段が取得した前記周波数スペクトルから、呼吸により変化する呼吸同期成分を抽出する呼吸同期成分抽出手段と、
前記呼吸同期成分抽出手段が抽出した前記呼吸同期成分の周波数分布を検出する周波数分布検出手段と、
前記周波数分布検出手段が検出した前記周波数分布に基づいて、前記被験者の呼吸状態を判定する呼吸状態判定手段と
を備えたことを特徴とする呼吸状態判定装置。
【請求項2】
前記被験者の正常な状態における前記呼吸同期成分の周波数分布である正常周波数分布を保持する正常周波数分布保持手段をさらに備え、
前記呼吸状態判定手段は、前記正常周波数分布保持手段が保持する前記正常周波数分布と、前記呼吸音計測手段が睡眠中の被験者において計測した呼吸音に対し前記周波数分布検出手段が検出した前記周波数分布である睡眠中周波数分布とに基づいて、前記被験者の睡眠時呼吸状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項3】
前記呼吸状態判定手段は、前記正常周波数分布に対する前記睡眠中周波数分布の周波数シフトが所定の値以上である場合に、前記呼吸状態が悪化していると判定することを特徴とする請求項2に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項4】
前記呼吸状態判定手段は、前記睡眠中周波数分布のうち所定の周波数帯における前記周波数シフトが所定の値以上である場合に、前記呼吸状態が悪化していると判定することを特徴とする請求項3に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項5】
前記正常周波数分布保持手段は、前記正常周波数分布として、前記被験者の入眠前の前記呼吸同期成分の周波数分布である入眠前周波数分布を保持することを特徴とする請求項2に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項6】
前記呼吸音計測手段は、前記被験者の入眠前の状態における入眠前呼吸音を計測し、
前記正常周波数分布保持手段は、前記呼吸音計測手段が計測した前記入眠前呼吸音に基づいて、前記周波数分布検出手段が検出した入眠前周波数分布を保持することを特徴とする請求項5に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項7】
前記呼吸音計測手段は、寝具に内蔵されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項8】
前記呼吸音計測手段は、枕に内蔵されていることを特徴とする請求項7に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項9】
前記被験者の皮膚のうち互いに異なる位置に接触し、被験者の気道を通過する呼吸音を計測する前記呼吸音計測手段を複数備え、
前記周波数変換手段は、各前記呼吸音計測手段が計測した前記呼吸音を周波数変換してそれぞれの周波数スペクトルを取得し、
前記呼吸同期成分抽出手段は、各周波数スペクトルそれぞれの前記呼吸同期成分を抽出し、
前記呼吸同期成分抽出手段が抽出した複数の前記呼吸同期成分に基づいて、複数の呼吸音検出手段のうち前記呼吸状態の判定に利用する前記呼吸音計測手段を選択する呼吸音計測手段選択手段をさらに備え、
前記呼吸状態判定手段は、前記呼吸音計測手段選択手段が選択した前記呼吸音計測手段が計測した呼吸音に基づいて、前記呼吸状態を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項10】
前記呼吸音計測手段選択手段は、前記呼吸同期成分の振幅が最大となる呼吸音計測手段を選択することを特徴とする請求項9に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項11】
各呼吸音計測手段は、互いに隣接して配置され、
隣接する2つの電極間のインピーダンス変化を検出するインピーダンス変化検出手段をさらに備え、
前記呼吸音計測手段は、前記インピーダンス変化検出手段が検出した各電極間の前記インピーダンス変化に基づいて、前記呼吸状態の判定に利用する前記呼吸音計測手段を選択することを特徴とする請求項9に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項12】
互いに隣接して配置された3以上の前記呼吸音計測手段と、
隣接する2つの電極間のインピーダンス変化を検出するインピーダンス変化検出手段と
をさらに備え、
前記呼吸音計測手段選択手段は、前記インピーダンス変化検出手段が検出した各電極間の前記インピーダンス変化に基づいて複数の呼吸音計測手段を呼吸音計測手段候補として選択し、さらに前記複数の呼吸音計測手段候補の中から、前記呼吸同期成分のうち振幅が最大となる呼吸音計測手段を選択することを特徴とする請求項9に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項13】
前記複数の呼吸音計測手段のうち、第1の呼吸音計測手段を前記被験者に押し付ける第1の押し付け部材と、
前記複数の呼吸音計測手段のうち、第2の呼吸音計測手段を被験者に押し付ける第2の押し付け部材と、
前記呼吸音計測手段選択手段が前記第1の呼吸音計測手段を選択した場合に、前記第1の押し付け部材の押し付け圧を調整する押し付け圧調整手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項14】
前記第1の押し付け部材は、エアバッグであって、
前記押し付け圧調整手段は、前記エアバッグの空気量を調整することを特徴とする請求項13に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項15】
前記エアバッグに伝わる圧力に基づいて、前記被験者の呼吸信号を計測する呼吸信号計測手段をさらに備え、
前記呼吸状態判定手段は、さらに前記呼吸信号計測手段が計測した呼吸信号に基づいて、前記被験者の呼吸状態を判定することを特徴とする請求項14に記載の呼吸状態判定装置。
【請求項16】
被験者の気道を通過する呼吸音を計測する呼吸音計測ステップと、
前記呼吸音計測ステップにおいて計測した前記呼吸音を周波数変換し周波数スペクトルを取得する周波数変換ステップと、
前記周波数変換ステップにおいて取得した前記周波数スペクトルから、呼吸により変化する呼吸同期成分を抽出する呼吸同期成分抽出ステップと、
前記呼吸同期成分抽出ステップにおいて抽出した前記呼吸同期成分の周波数分布を検出する周波数分布検出ステップと、
前記周波数分布検出ステップにおいて検出した前記周波数分布に基づいて、前記被験者の呼吸状態を判定する呼吸状態判定ステップと
を有することを特徴とする呼吸状態判定方法。
【請求項17】
被験者の呼吸状態を判定する呼吸状態判定処理をコンピュータに実行させる呼吸状態判定プログラムであって、
被験者の気道を通過する呼吸音を計測する呼吸音計測ステップと、
前記呼吸音計測ステップにおいて計測した前記呼吸音を周波数変換し周波数スペクトルを取得する周波数変換ステップと、
前記周波数変換ステップにおいて取得した前記周波数スペクトルから、呼吸により変化する呼吸同期成分を抽出する呼吸同期成分抽出ステップと、
前記呼吸同期成分抽出ステップにおいて抽出した前記呼吸同期成分の周波数分布を検出する周波数分布検出ステップと、
前記周波数分布検出ステップにおいて検出した前記周波数分布に基づいて、前記被験者の呼吸状態を判定する呼吸状態判定ステップと
を有することを特徴とする呼吸状態判定プログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の呼吸状態を判定する呼吸状態判定装置、呼吸状態判定方法および呼吸状態判定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道、自動車などの運転手の運転中の居眠りによる事故が問題となっている。その原因のひとつとして、睡眠時無呼吸症候群が関心を集めている。また、このような完全な無呼吸とまではいかなくとも、低酸素状態になることがある。これは、枕の高さが合わないことなどに起因する。
【0003】
また、いす型チャイルドシードや、ベビーカーによる子供の低酸素症も問題となっている。その他、喘息発作が睡眠時に起きやすいこと、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が、例えば米国では1600万人とも言われるように増加していることもあり、睡眠時の呼吸状態の計測に関心が集まっている。
【0004】
睡眠時の呼吸計測に関しては、低拘束である必要があり、枕やマットレスにセンサを内蔵し、心拍や呼吸数を計測する方法の研究開発が進められている。外部設置マイクにおいて、いびきなど呼吸に関する音を計測する方法も考案されている。また、体に装着した音センサにより肺音を計測し、喘息時に発生するラ音と呼ばれる音を計測する方法も検討されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−357758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように寝具に内蔵する心拍呼吸センサは、呼吸に伴う胸部の動きに伴う低周波振動(〜1Hz)を計測するものである。そのため、完全な無呼吸ではない、例えば気道閉塞状態や歯ぎしりなどの帯域の高いものを計測するのは困難である。また、外部設置マイクでは、いびきや歯ぎしりなど外部に音として現れない場合には計測できない。このため、呼吸閉塞状態による音の変化などを捉えるのは困難である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって気道閉塞状態や呼吸閉塞状態など様々な症状を判定することのできる呼吸状態判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被験者の気道を通過する呼吸音を計測する呼吸音計測手段と、前記呼吸音計測手段が計測した前記呼吸音を周波数変換し周波数スペクトルを取得する周波数変換手段と、前記周波数変換手段が取得した前記周波数スペクトルから、呼吸により変化する呼吸同期成分を抽出する呼吸同期成分抽出手段と、前記呼吸同期成分抽出手段が抽出した前記呼吸同期成分の周波数分布を検出する周波数分布検出手段と、前記周波数分布検出手段が検出した前記周波数分布に基づいて、前記被験者の呼吸状態を判定する呼吸状態判定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる呼吸状態判定装置によれば、呼吸音計測手段が、被験者に接触し、気道を通過する呼吸音を計測し、周波数変換手段が、呼吸音計測手段が計測した呼吸音を周波数変換し周波数スペクトルを取得し、呼吸同期成分抽出手段が、周波数変換手段が取得した周波数スペクトルから、呼吸により変化する呼吸同期成分を抽出し、周波数分布検出手段が、呼吸同期成分抽出手段が抽出した呼吸同期成分の周波数分布を検出し、呼吸状態判定手段が、周波数分布検出手段が検出した周波数分布に基づいて、被験者の呼吸状態を判定するので、睡眠時の呼吸に関する様々な症状を判定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる呼吸状態判定装置、呼吸状態判定方法および呼吸状態判定プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態にかかる呼吸状態判定装置10の全体構成を示すブロック図である。呼吸状態判定装置10は、被験者の皮膚に接触し、被験者の気道を通過する呼吸音を検出する複数のセンサ111〜120を備えたセンサアレイ110と、信号増幅部130と、周波数変換部132と、呼吸同期成分抽出部134と、周波数シフト検出部136と、呼吸状態判定部138と、呼吸同期成分比較部140と、センサ選択部142と、入眠前呼吸同期成分保持部150とを備えている。
【0012】
信号増幅部130は、各センサ111〜120から検出した呼吸音の信号を増幅する。周波数変換部132は、フーリエ変換などの周波数変換により、増幅後の呼吸音の信号から周波数スペクトルを得る。
【0013】
呼吸同期成分抽出部134は、周波数変換部132により得られた周波数スペクトルから呼吸同期成分を抽出する。ここで、呼吸同期成分とは、周波数変換部132により得られた周波数スペクトルのうち、被験者の呼吸に同期して変化する成分のことである。
【0014】
入眠前呼吸同期成分保持部150は、被験者の入眠前呼吸同期成分を保持しておく。具体的には、入眠前の被験者の呼吸音に対し、信号増幅部130から呼吸同期成分抽出部134の各処理により呼吸同期成分を得る。そして、これを入眠前呼吸同期成分として保持する。入眠前の呼吸状態は正常であると考えられる。そこで、このとき得られた呼吸同期成分を正常状態(健常な状態)における呼吸同期成分として保持することとしている。
【0015】
周波数シフト検出部136は、呼吸同期成分抽出部134により得られた呼吸同期成分の周波数成分の変化、すなわち周波数シフトを検出する。呼吸状態判定部138は、周波数シフト検出部136が検出した周波数シフトに基づいて、呼吸状態を判定する。
【0016】
一方、呼吸同期成分比較部140は、各センサ111〜120が検出した呼吸音の信号それぞれに対し、呼吸同期成分抽出部134が検出した呼吸同期成分を比較する。センサ選択部142は、呼吸同期成分比較部140による比較結果に基づいて、呼吸状態判定部138が呼吸判定を行う対象とする呼吸音を検出すべきセンサを複数のセンサ111〜120の中から1つ選択する。
【0017】
図2は、呼吸状態判定装置10を内蔵した枕の外観図である。図2に示すように枕のうち、被験者の頸部があたる部分は、他の部分に比べて凸状に形成されている。複数のセンサ111〜120は、この凸部において枕の横方向に一列に配置されている。
【0018】
このように、複数のセンサを備えているので、被験者が睡眠中に寝返りを打ち、被験者と所定のセンサとの接触状態が悪くなった場合であっても、そのときに接触している他のセンサにより呼吸音の信号を検出することができる。
【0019】
図3は、第1センサ111の外観図である。センサ111は、ポリミドやポリエステルなどの誘電体で形成された基板1110と、基板1110の両端に設けられた電極1112,1114とを有している。センサ111の電極方向200における厚さは、2mm程度である。また、電極1112,1114のサイズは、3cm×3cmである。なお、他のセンサ112〜130の構成は、第1センサ111の構成と同様である。のどの詰まりなどによる呼吸状態の変化を検出する観点からは、いずれの場合においても、各センサは数100Hz程度の周波数を検出可能であることが望ましい。
【0020】
また、本実施の形態にかかる各センサ111〜120はそれぞれ独立し形成されていたが、これにかえて、各センサ111〜120は一体に設けられてもよい。
【0021】
図4は、センサアレイ110等のより詳細な構成を示す図である。センサ111〜120としては、コンデンサマイクを使用し、直流のバイアス電圧を印加する。センサ選択部142には、マルチプレクサを使用する。また、信号増幅部130には、CV変換回路を使用し、電圧変換後増幅を行う。増幅後の信号は、AD変換されCPUに入力される。そして、CPUにおいて、周波数変換部132、呼吸同期成分抽出部134、周波数シフト検出部136、呼吸状態判定部138、呼吸同期成分比較部140、センサ選択部142、および入眠前呼吸同期成分保持部150の処理が行われる。
【0022】
CPUは、各センサから得られた呼吸同期成分に基づいて、センサを選択し、選択したセンサを特定するセレクト信号をマルチプレクサに入力する。マルチプレクサは、セレクト信号にしたがい所定のセンサを選択する。
【0023】
なお、センサとしては、コンデンサマイクにかえて圧力センサを使用してもよい。この場合には、例えば、交流の100kHz程度のサイン波を印加する。また、信号増幅後、印加電圧と同等の周波数で検波することにより印加周波数成分が除去された後、AD変換される。また他の例としては、信号増幅後、ローパスフィルタで印加周波数成分を除去してもよい。
【0024】
図5は、呼吸状態判定装置10における呼吸状態判定処理を示すフローチャートである。まず、予め定められたセンサ、例えば第1センサ111が検出した、睡眠中の被験者の呼吸音の信号に対する呼吸同期成分を抽出する。
【0025】
具体的には、まず、第1センサ111は、睡眠中の被験者の呼吸音の信号を検出する(ステップS100)。次に、第1センサ111から取得した呼吸音の信号は、増幅された後、周波数変換部132により周波数変換され、周波数スペクトルが得られる(ステップS102)。
【0026】
次に、呼吸同期成分抽出部134は、周波数スペクトルから呼吸同期成分を抽出する(ステップS104)。なおこのとき検出された呼吸同期成分を睡眠中呼吸同期成分と称する。
【0027】
図6は、呼吸同期成分抽出処理(ステップS104)を説明するための図である。図6に示すように、まずセンサの出力を整流積分し包絡線を求める。次に、包絡線における最大値および最小値を検出する。検出した最大値および最小値それぞれの時刻のデータを元に周波数変換し、最大値、最小値それぞれの周波数スペクトルを取得する。これらの周波数スペクトルの差分を呼吸同期成分として抽出する。
【0028】
再び説明を図5に戻す。呼吸同期成分を抽出した後(ステップS104)、抽出した呼吸同期成分の時間波形の振幅の最大値と予め設定した閾値とを比較する。振幅の最大値が閾値以上である場合には(ステップS106,Yes)、センサにおいて良好な状態で呼吸音を検出できていると判断し、このセンサをセンサ候補として保持する(ステップS108)。
【0029】
一方、振幅の最大値が閾値未満である場合には(ステップS106,No)、検出結果が適切でないと判断し、このセンサをセンサ候補とせずに、ステップS110へ進む。
【0030】
すべてのセンサ111〜120に対する呼吸同期成分の振幅の最大値と閾値との比較処理が完了していない場合には(ステップS110,No)、まだ比較処理が完了していない他のセンサにおいて呼吸音の信号を検出する(ステップS120)。次に、再びステップS102へ戻り、検出した呼吸音の信号から周波数スペクトルを得る。
【0031】
すべてのセンサに対する比較処理が完了すると(ステップS110,Yes)、ステップS108において保持されたセンサ候補の中から、呼吸同期成分の時間波形の振幅が最大となるセンサを選択する(ステップS112)。以上で、呼吸判定に利用すべきセンサを選択することができる。
【0032】
次に、周波数シフト検出部136は、選択したセンサの検出結果から得られた睡眠中呼吸同期成分と、入眠前呼吸同期成分保持部150が保持している入眠前呼吸同期成分とを比較し、入眠前呼吸同期成分に対する、選択したセンサにおける睡眠中呼吸同期成分の周波数シフトを検出する(ステップS114)。次に、呼吸状態判定部138は、周波数シフトに基づいて呼吸状態を判定する(ステップS116)。
【0033】
具体的には、選択したセンサの呼吸同期成分が最大となる周波数が、入眠前呼吸同期成分に基づいて予め設定した値を超えてシフトした場合には、呼吸が閉塞状態であると判定する。
【0034】
なお、被験者の就寝前に入眠前呼吸同期成分を検出し保持しておく。具体的には、就寝前の状態において、ステップS100〜ステップS112の処理により選択されたセンサにおける呼吸同期成分を入眠前呼吸同期成分として検出する。
【0035】
なお、本実施の形態においては、呼吸同期成分が最大となる周波数を基準としたが、呼吸同期成分が最大となる周波数にかえて、呼吸同期成分が中間値をとる周波数、すなわち中心周波数を基準としてもよい。また他の例としては、重心の周波数を基準としてもよい。
【0036】
図7−1および図7−2は、呼吸同期成分の周波数シフトを説明するための図である。図7−1は、正常な状態における呼吸同期成分を示す図である。図7−2は、呼吸状態が悪化した場合の呼吸同期成分を示す図である。このように、正常な状態において400Hz近傍に見られた呼吸同期成分のピークは、例えば高すぎる枕を使用し首に負担をかけた状態には、図7−2に示すように、より低周波数側へシフトする。すなわち、周波数シフトを検出することにより、首の負担等に起因したのどの詰まりなどの異常を検出することができる。
【0037】
なお、図7−1および図7−2に示すデータは、センサにより計測された計測音すべての周波数変換により得られた周波数スペクトルである。実際には、これと呼吸音が入っていないときの周波数スペクトルとの差分により呼吸同期成分を抽出する。
【0038】
以上の呼吸状態判定処理により得られた呼吸状態判定結果は、例えばグラフとして表示してもよい。具体的には、例えば一晩において得られた呼吸状態悪化状態の回数、積算時間などを、被験者の起床時にモニタに表示してもよい。また、他の例としては、時間帯ごとの呼吸状態悪化の回数をグラフ表示してもよい。
【0039】
図8は、実施の形態1に係る呼吸状態判定装置10のハードウェア構成を示す図である。呼吸状態判定装置10は、ハードウェア構成として、呼吸状態判定装置10における呼吸状態判定処理を実行する呼吸状態判定プログラムなどが格納されているROM52と、ROM52内のプログラムに従って呼吸状態判定装置10の各部を制御するCPU51と、呼吸状態判定装置10の制御に必要な種々のデータを記憶するRAM53と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F57と、各部を接続するバス62とを備えている。
【0040】
先に述べた呼吸状態判定装置10における呼吸状態判定プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(R)ディスク(FD)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0041】
この場合には、呼吸状態判定プログラムは、呼吸状態判定装置10において上記記録媒体から読み出して実行することにより主記憶装置上にロードされ、上記ソフトウェア構成で説明した各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0042】
また、本実施の形態の呼吸状態判定プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができる。
【0044】
そうした第1の変更例としては、実施の形態においては、ステップS106では、呼吸同期成分の時間波形の振幅の最大値と閾値とを比較したが、これにかえて、呼吸同期成分の相関関数の最大値と、相関関係に対して予め設定された閾値とを比較し、呼吸同期成分の相関関数の最大値が閾値以上である場合に、このセンサをセンサ候補として保持する(ステップS108)こととしてもよい。この場合にも、呼吸音を良好な状態で検出しているセンサをセンサ候補として選択することができる。
【0045】
また、第2の変更例としては、本実施の形態にかかる呼吸状態判定装置10は、被験者の入眠前呼吸同期成分を基準とした周波数シフトに基づいて被験者の睡眠状態を判定したが、これにかえて、被験者の呼吸音から過去に得られた呼吸同期成分を基準とした周波数シフトに基づいて、被験者の睡眠状態を判定してもよい。
【0046】
具体的には、睡眠時に当該呼吸状態判定装置10において健康状態を判定した場合に得られた呼吸同期成分を、被験者における履歴情報として保持しておく。そして、履歴情報として保持されている呼吸同期成分を基準として周波数シフトを検出してもよい。
【0047】
さらに、履歴情報として複数の呼吸同期成分が保持されている場合には、複数の呼吸同期信号の平均値や標準偏差などを算出し、算出された呼吸同期成分を基準として周波数シフトを検出してもよい。
【0048】
また、第3の変更例としては、センサにおける検出結果に基づいて、呼吸音が発生した時刻をさらに検出してもよい。そして、このときの呼吸音を取得することにより、実施の形態において説明した整流積分などの処理を省略することができる。
【0049】
また、第4の変更例としては、本実施の形態においては、振幅の最大値に基づいて、睡眠状態判定に利用するセンサを選択したが、振幅の最大値に加えて、さらに隣接するセンサ間における電気的なインピーダンス変化に基づいて、センサを選択してもよい。
【0050】
具体的には、各隣接するセンサの間の電気的なインピーダンス変化の測定結果に基づいて、被験者に接触しているセンサを第1のセンサ候補として選択する。さらに、インピーダンス変化に基づいて選択された第1のセンサ候補に対し、実施の形態において説明したように、振幅の最大値と閾値とを比較することにより、さらに第2のセンサ候補を選択する。そして、第2のセンサ候補のうち最大振幅を示すセンサを選択する。
【0051】
このように、2段階にセンサを選択することにより、センサ選択にかかる処理の高速化を図ることができる。なおここで、第1のセンサ候補は、特許請求の範囲にかかるセンサ候補に対応する。
【0052】
また、第5の変更例としては、呼吸状態判定装置10は寝具に内蔵されていればよく、枕にかえてシーツに内蔵されていてもよい。
【0053】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2にかかる呼吸状態判定装置10の外観図である。各センサ111〜120の下に複数のエアバッグ301〜310が設けられている。1つのセンサに対し、1つのエアバッグが設けられている。本実施の形態にかかるエアバッグは、特許請求の範囲に記載の押し付け部材に対応する。
【0054】
図10は、実施の形態2にかかる呼吸状態判定装置10の機能構成を示すブロック図である。実施の形態2にかかる呼吸状態判定装置10は、実施の形態1にかかる呼吸状態判定装置10の機能構成に加えて、さらにエアバッグ調整部160を備えている。エアバッグ調整部160は、センサ選択部142により選択されたセンサが搭載されているエアバッグをより膨張させる旨の指示をエアバッグに対して出力する。
【0055】
このように、呼吸判定に利用するセンサとして選択されたセンサが搭載されているエアバッグを膨張させることにより、被験者への押し付け圧を高めることができる。これにより、選択されたセンサにおける感度を向上させることができる。
【0056】
例えば、図9に示す呼吸状態判定装置10において、第1センサ111が選択されたとする。この場合には、第1センサ111が搭載されている第1エアバッグ301を膨張させる。
【0057】
なお、実施の形態2にかかる呼吸状態判定装置10のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる呼吸状態判定装置10の構成および処理と同様である。
【0058】
実施の形態2にかかる呼吸状態判定装置10の第1の変更例としては、複数のセンサが設けられていればよく、センサとエアバッグとが1対1に対応していなくてもよい。例えば、2つのセンサが、1つのエアバッグに搭載されていてもよい。
【0059】
また、第2の変更例としては、さらにエアバッグに伝わる振動を圧力センサで計測することで心拍、呼吸信号を計測してもよい。そして、心拍、呼吸判定結果と、計測結果との組み合わせによりトータルに睡眠状態を管理してもよい。
【0060】
例えば、エアバッグで得られた心拍や呼吸信号に基づいて、自律神経状態、睡眠深度、呼吸状態(無呼吸、いびき)などを計測する。さらにセンサにて、歯軋りや呼吸状態変化を計測する。そして、これらを総合的にディスプレイに表示する。
【0061】
第3の変更例としては、エアバッグに伝わる振動を圧力センサで計測し得られた呼吸信号をもとに、呼吸ピークのタイミングを検出し、図6における呼吸同期成分検出に利用してもよい。
【0062】
また、第4の変更例としては、エアバッグ調整部160は、睡眠状態判定に利用するとして選択されたセンサ以外のセンサ、すなわち感度の悪いセンサが搭載されたエアバッグを膨張させてもよい。これにより、センサ感度を向上させることができる。
【0063】
また、第5の変更例としては、センサを被験者に押し付ける観点からは、エアバッグにかえてバネなどを備えてもよい。このように、センサを押し付けることができる部材であればよく、実施の形態に限定されるものではない。
【0064】
(実施の形態3)
図11は、実施の形態3にかかる呼吸状態判定装置10の機能構成を示すブロック図である。実施の形態3に示す呼吸状態判定装置10は、呼吸同期成分比較部140およびセンサ選択部142を備えない。また、センサを1つのみ備えている。この点で、実施の形態3にかかる呼吸状態判定装置10は、他の実施の形態にかかる呼吸状態判定装置10と異なっている。
【0065】
実施の形態3にかかる呼吸状態判定装置10は、例えば、聴診器に搭載されてもよい。そして、医師や被験者が聴診器などで確認しながら測定に適した部位を探し、適切な場所にセンサを接触させた状態で、呼吸音の信号を検出する。
【0066】
このように、実施の形態3にかかる呼吸状態判定装置10は、適切なセンサを選択する処理を行う処理は行わず、1つのセンサにおける検出結果に基づいて、呼吸状態を判定する。
【0067】
なお、実施の形態3にかかる呼吸状態判定装置10のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる呼吸状態判定装置10の構成および処理と同様であるので説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態1にかかる呼吸状態判定装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】呼吸状態判定装置10を内蔵した枕の外観図である。
【図3】第1センサ111の外観図である。
【図4】センサアレイ110等のより詳細な構成を示す図である。
【図5】呼吸状態判定装置10における呼吸状態判定処理を示すフローチャートである。
【図6】呼吸同期成分抽出処理(ステップS104)を説明するための図である。
【図7−1】正常な状態における呼吸同期成分を示す図である。
【図7−2】呼吸状態が悪化した場合の呼吸同期成分を示す図である。
【図8】実施の形態1に係る呼吸状態判定装置10のハードウェア構成を示す図である。
【図9】実施の形態2にかかる呼吸状態判定装置10の外観図である。
【図10】実施の形態2にかかる呼吸状態判定装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態3にかかる呼吸状態判定装置10の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
10 呼吸状態判定装置
51 CPU
52 ROM
53 RAM
57 通信I/F
62 バス
110 センサアレイ
111〜120 センサ
130 信号増幅部
132 周波数変換部
134 呼吸同期成分抽出部
136 周波数シフト検出部
138 呼吸状態判定部
140 呼吸同期成分比較部
142 センサ選択部
150 入眠前呼吸同期成分保持部
160 エアバッグ調整部
300〜310 エアバッグ




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013