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発明の名称 コンベックス型超音波プローブおよび超音波診断装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−7262(P2007−7262A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−193985(P2005−193985)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 山下 洋八 / 細野 靖晴
要約 課題
凸状曲面を有するバッキング部材において複数のチャンネルの圧電素子から背面側に向かう超音波を十分に減衰することが可能で、かつ優れた放熱性を有し、さらに発熱の集中を緩和することが可能なコンベックス型超音波プローブを提供する。

解決手段
所望のスペースをあけて配列され、それぞれ圧電素子およびこの圧電素子上に形成される音響整合層を有する複数のチャンネルと、凸状曲面を有し、熱伝導率が70W/m・K以上の支持体と、この支持体の凸状曲面に接着されると共に、前記各チャンネルのそれぞれの圧電素子が載置され、前記チャンネルのスペースに対応する箇所に溝が形成された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層とを含むバッキング部材と、前記各チャンネルの音響整合層上に形成される音響レンズとを具備し、
特許請求の範囲
【請求項1】
所望のスペースをあけて配列され、それぞれ圧電素子およびこの圧電素子上に形成される音響整合層を有する複数のチャンネル;
凸状曲面を有し、熱伝導率が70W/m・K以上の支持体と、この支持体の凸状曲面に接着されると共に、前記各チャンネルのそれぞれの圧電素子が載置され、前記チャンネルのスペースに対応する箇所に溝が形成された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層とを含むバッキング部材;および
前記各チャンネルの音響整合層上に形成される音響レンズ;
を具備し、
前記音響吸収層の厚さをt1、前記圧電素子の厚さをt2としたとき、t1/t2=6〜20の関係を満たすことを特徴とするコンベックス型超音波プローブ。
【請求項2】
前記支持体は、金属から作られることを特徴とする請求項1記載のコンベックス型超音波プローブ。
【請求項3】
前記音響吸収層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、このエチレン−酢酸ビニル共重合体に含有された充填材とを含むことを特徴とする請求項1記載のコンベックス型超音波プローブ。
【請求項4】
前記音響吸収層は、クロロプレン系樹脂と、このクロロプレン系樹脂に含有された充填材とを含むことを特徴とする請求項1記載のコンベックス型超音波プローブ。
【請求項5】
前記充填材は、炭素繊維、炭化珪素繊維、酸化亜鉛繊維およびアルミナ繊維の群から選ばれる少なくとも1つの繊維であることを特徴とする請求項3または4記載のコンベックス型超音波プローブ。
【請求項6】
前記充填材は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、カーボンおよび窒化ボロンの群から選ばれる少なくとも1つの無機系材料粉末であることを特徴とする請求項3または4記載のコンベックス型超音波プローブ。
【請求項7】
前記音響吸収層は、厚さが2〜6mm、室温における熱伝導率が2W/mK以上、減衰率が3dB/mmMHz以上であることを特徴とする請求項1記載のコンベックス型超音波プローブ。
【請求項8】
コンベックス型超音波プローブと、この超音波プローブにケーブルを通して接続された超音波プローブ制御器とを具備し、
前記超音波プローブは、
所望のスペースをあけて配列され、それぞれ圧電素子およびこの圧電素子上に形成される音響整合層を有する複数のチャンネル;
凸状曲面を有し、熱伝導率が70W/m・K以上の支持体と、この支持体の凸状曲面に接着されると共に、前記各チャンネルの圧電素子がそれぞれ載置され、前記チャンネルのスペースに対応する箇所に溝が形成された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層とを含むバッキング部材;および
前記各チャンネルの音響整合層上に形成される音響レンズ;を備え、
前記音響吸収層の厚さをt1、前記圧電素子の厚さをt2としたとき、t1/t2=6〜20の関係を満たすことを特徴とする超音波診断装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体等に超音波信号を送受信するコンベックス型超音波プローブおよびこの超音波プローブを有する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の超音波診断装置や超音波画像検査装置は、対象物に対し超音波信号を送信し、その対象物内からの反射信号(エコー信号)を受信して対象物内を画像化するものである。この医療用の超音波診断装置や超音波画像検査装置は、超音波信号送受信機能を有するアレイ式の超音波プローブが主に用いられている。
【0003】
アレイ式の超音波プローブは、バッキング部材と、このバッキング部材上に接着され、所望のスペースをあけてアレイ状に配列された複数のチャンネルと、このチャンネル上に接着された音響レンズとを備えた構造を有する。前記複数のチャンネルは、それぞれ前記バッキング部材上に形成され、例えばジルコンチタン酸鉛(PZT)系圧電セラミク材料からなる圧電体の両面に電極を貼り付けた構造の圧電素子と、この圧電素子上に形成される音響整合層とを備える。なお、前記バッキング部材には前記各チャンネルのスペースに対応して溝が形成されている。このような超音波プローブは、診断時に前記音響レンズ側を被検体に当接させて各チャンネルの圧電素子を駆動させることにより、圧電素子前面から超音波信号を被検体内に送信する。この超音波信号は、圧電素子の駆動タイミングによる電子フォーカスおよび音響レンズによるフォーカスにより被検体内の所要位置に集束される。この時、圧電素子の駆動タイミングを制御することにより被検体内の所要範囲に超音波信号を送信することができ、被検体からのエコー信号を受信処理することにより前記所要範囲の超音波画像(断層像)が得られる。前記超音波プローブの圧電素子の駆動において、その圧電素子の背面側にも超音波信号が放出される。このため、各チャンネルの圧電素子の背面にバッキング部材を配置し、背面側への超音波信号をこのバッキング部材で吸収(減衰)して正規の超音波信号が背面側からの超音波信号(反射信号)と共に被検体内に送信される、悪影響を回避することが行われている。
【0004】
ところで、超音波診断装置のプローブは2つに大別される。1つ目は、複数のチャンネルが平板状のバッキング部材上に配列された高周波プローブや循環器用超音波プローブである。2つ目は、複数のチャンネルが凸状曲率を有するバッキング部材上に配置された腹部用コンベックス型超音波プローブである。
【0005】
特許文献1には、コンベックス型超音波プローブの製造方法が開示されている。すなわち、PZTのような圧電材料からなる圧電体の両面に電極を形成した圧電素子をバッキング部材の一部を構成するゴム板に貼り付ける。このゴム板は、曲げることが可能な1mm程度の厚さを有する。前記圧電素子上に音響整合層を接着し、この積層体を音響整合層側からダイサーで幅を50〜300μm程度にアレイ切断して複数のチャンネルを形成する。このとき、ゴム板の表面に例えば100〜200μmの深さの溝が形成される。複数のチャンネルが形成されたゴム板を凸状曲面を有する同一音響インピーダンスを有する材料のゴム板またはエポキシ樹脂板にエポキシ樹脂などを用いて貼り付ける。貼り付けられた2つのゴム板によりバッキング部材が構成される。この後、複数のチャンネルの音響整合層の上に音響レンズを接着することにより超音波プローブを製造する。
【0006】
このような超音波プローブの駆動時において、複数のチャンネルの各圧電素子からバッキング部材側に放射された超音波エネルギーはバッキング部材に吸収、減衰されるが、その際に一部は熱に変換される。例えば循環器用超音波プローブでは、各チャンネルの圧電素子が形成されるバッキング部材が平坦であるため、それら圧電素子からバッキング部材への超音波はどのチャンネルでもバッキング部材の底部で反射した後、入射経路を通って戻る。つまり、超音波エネルギーはバッキング部材上の特定のチャンネルに集中することなく分散される。このため、複数のチャンネルのうち、バッキング部材の中央部に位置するチャンネルのみが過度に発熱することはない。
【0007】
しかしながら、コンベックス型超音波プローブでは各チャンネルからバッキング部材側に放射された超音波はバッキング部材の底部で反射した後、中央部に集中的に戻る。このため、バッキング部材の中央部に位置するチャンネルが集中的に温度上昇を起こす。その結果、超音波プローブ内での感度のばらつきが生じたり、多重反射が生じたりする。甚だしい場合は、プローブ表面の音響レンズの発熱により対象物に熱的な影響を与える虞がある。
【特許文献1】特開昭57−181299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、凸状曲面を有するバッキング部材において複数のチャンネルの圧電素子から背面側に向かう超音波を十分に減衰することが可能で、かつ優れた放熱性を有し、さらに発熱の集中を緩和することが可能なコンベックス型超音波プローブを提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、前記コンベックス型超音波プローブを備えた超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、所望のスペースをあけて配列され、それぞれ圧電素子およびこの圧電素子上に形成される音響整合層を有する複数のチャンネル;
凸状曲面を有し、熱伝導率が70W/m・K以上の支持体と、この支持体の凸状曲面に接着されると共に、前記各チャンネルのそれぞれの圧電素子が載置され、前記チャンネルのスペースに対応する箇所に溝が形成された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層とを含むバッキング部材;および
前記各チャンネルの音響整合層上に形成される音響レンズ;
を具備し、
前記音響吸収層の厚さをt1、前記圧電素子の厚さをt2としたとき、t1/t2=6〜20の関係を満たすことを特徴とするコンベックス型超音波プローブが提供される。
【0011】
また本発明によると、コンベックス型超音波プローブと、この超音波プローブにケーブルを通して接続された超音波プローブ制御器とを具備し、
前記超音波プローブは、
所望のスペースをあけて配列され、それぞれ圧電素子およびこの圧電素子上に形成される音響整合層を有する複数のチャンネル;
凸状曲面を有し、熱伝導率が70W/m・K以上の支持体と、この支持体の凸状曲面に接着されると共に、前記各チャンネルの圧電素子がそれぞれ載置され、前記チャンネルのスペースに対応する箇所に溝が形成された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層とを含むバッキング部材;および
前記各チャンネルの音響整合層上に形成される音響レンズ;を備え、
前記音響吸収層の厚さをt1、前記圧電素子の厚さをt2としたとき、t1/t2=6〜20の関係を満たすことを特徴とする超音波診断装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、凸状曲面を有するバッキング部材において複数のチャンネルの圧電素子から背面側に向かう超音波を十分に減衰することが可能で、かつ優れた放熱性を有し、さらに発熱の集中を緩和することが可能で、多重反射の発生防止および各チャンネル間での感度ばらつきの抑制を図ることができ、さらに音響レンズ表面の温度を低温に保持できるコンベックス型超音波プローブを提供することができる。
【0013】
また、本発明によればチャンネル特性の揃った超音波プローブが組み込まれ、断層像の画質向上および感度向上が達成された超音波診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に実施形態を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、この実施形態に係るコンベックス型超音波プローブの部分切欠斜視図、図2は図1の超音波プローブの要部斜視図、図3は図1の超音波プローブの要部断面図である。
【0016】
コンベックス型超音波プローブ1は、バッキング部材2を備えている。このバッキング部材2は、図2および図3に示すように両端に矩形の鍔部3,3を有し、前面に凸状曲面を有する熱伝導率が70W/m・K以上の支持体4と、この支持体4の凸状曲面に配置された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層5とを有する。前記音響吸収層5は、前記支持体4の凸状曲面上に例えばエポキシ樹脂系接着剤層6により接着、固定されている。
【0017】
複数のチャンネル7は、前記バッキング部材2の音響吸収層5上にその音響吸収層5の曲面方向に沿って所望のスペース8をあけて配列されている。これらのチャンネル7は、圧電素子9と、この圧電素子9上に形成される第1音響整合層101と、この第1音響整合層101上に形成される第2音響整合層102とを有する。前記圧電素子9は、図3に示すように圧電体11、この圧電体11の両面に形成された第1、第2の電極121,122とから構成されている。前記圧電素子9の第1電極121は、前記音響吸収層5上に例えばエポキシ樹脂系接着剤層13により接着、固定されている。前記第1音響整合層101は、前記圧電素子9の第2電極122上に例えばエポキシ樹脂系接着剤層14により接着、固定されている。前記第2音響整合層102は、前記第1音響整合層101上に例えばエポキシ樹脂系接着剤層15により接着、固定されている。前記バッキング部材2の音響吸収層4には、前記複数のチャンネル7のスペース8に対応して溝16がそれぞれ形成されている。
【0018】
前記音響吸収層5の厚さをt1、前記圧電素子9の厚さをt2としたとき、t1/t2=6〜20の関係を満たすことが必要である。
【0019】
音響レンズ17は、前記複数のチャンネル7の第2音響整合層102上に例えばシリコーンゴム系接着剤からなる絶縁接着剤層(図示せず)により接着、固定されている。
【0020】
前記バッキング部材2、複数のチャンネル7および音響レンズ17は、ケース(筐体)18内に収納されている。このケース18内には、前記各チャンネル7の圧電素子9の駆動タイミングを制御する制御回路および圧電素子9に受信された受信信号を増幅するためのアンプ回路を含む信号処理回路(図示せず)が内蔵されている。前記第1、第2の電極121,122に接続されるケーブル19は、音響レンズ17と反対側のケース18から外部に延出されている。
【0021】
このような構成の超音波プローブにおいて、各チャンネル7における圧電素子9の第1、第2の電極121,122間に電圧を印加して、圧電体11を共振させることにより各チャンネル7の音響整合層(第1、第2の音響整合層101,102)および音響レンズ17を通して超音波を放射(送信)する。受信時には、音響レンズ17および各チャンネル7の音響整合層(第1、第2の音響整合層101,102)を通して受信された超音波によって各チャンネル7における圧電素子9の圧電体11を振動させ、この振動を電気的に変換して信号とし、画像を得る。
【0022】
前記バッキング部材を構成する熱伝導率が70W/m・K以上の支持体は、例えばJIS A5052P、2024のようなアルミニウム合金、JIS MT−1,MT−2のようなマグネシウム合金、JIS ZDC−2のような亜鉛合金、JIS C−1100のような銅合金等の金属から作られる。この支持体の凸状曲面は、例えば20〜100mmの曲率半径を有する。前記支持体は、単一材料で構成する場合に限らず、例えばプラスチック部材と銅シートのような金属シートとの複合材で構成してもよい。具体的には、凸状曲面を有するプラスチック部材とこの凸状曲面に形成された金属シートとにより支持体を構成してもよい。
【0023】
前記バッキング部材を構成するシート状の音響吸収層は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)またはクロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、フッ素化エラストマーのようなベース材料に充填材を分散した音響吸収組成物から作られる。特に、ベース材料は酢酸ビニルの含有率が20〜80重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
【0024】
前記充填材は、例えば繊維、織布、粉末状、フレーク状の形態で前記ベース材料に含有される。この充填材は、音響吸収層の強度、放熱性、超音波の減衰率の向上および音速の制御等に寄与する。
【0025】
前記繊維は、各種の繊維を用いることができ、例えば炭素繊維、炭化ケイ素繊維、酸化亜鉛繊維およびアルミナ繊維の群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。前記繊維は、1種類の材料から作られるものに限らず、例えばSiCの繊維の表面にCVD法でダイヤモンド膜を被覆したり、樹脂を被覆したりしてもよい。
【0026】
前記繊維の中でも特に炭素繊維が好ましい。炭素繊維としては、例えばピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維のような種々のグレードのものを用いることができる。炭素繊維は、この他にカーボンナノチューブを用いることができる。特に、密度が2.1以上、熱伝導率が100W/mK以上のピッチ系炭素繊維が好ましい。
【0027】
前記繊維は、径が20μm以下、長さが径の5倍以上であることが好ましい。径が20μm以下の繊維を含む音響吸収層は、これに取付けられた複数のチャンネルからの反射を抑制することが可能になる。また、この音響吸収層はダイシング処理時に必要とする十分な強度が付与される。長さが径の5倍以上の繊維を含む音響吸収層は、放熱性をより高めることが可能になる。例えば、厚さが3mm以上必要とされる2−5MHz用の腹部用プローブに適用した場合、その音響吸収層において有効に放熱させることが可能になる。前記繊維の長さの上限は、径の500倍にすることが好ましい。
【0028】
前記粉末状、フレーク状の充填材としては、例えば酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、カーボンおよび窒化ボロンの群から選ばれる少なくとも1つの無機系材料が挙げられる。粉末状充填材は、30μm以下、より好ましくは20μm以下の平均粒径を有することが望ましい。
【0029】
前記充填材は、前記ベース材料にこのベース材料および充填材の総量に対して20〜70体積%の量で含有されることが好ましい。前記充填材の含有量を20体積%未満にすると、この充填材量の音響吸収組成物から作られた音響吸収層は強度、放熱性、減衰率、音速を効果的に向上させることが困難になる。一方、前記充填材の含有量が70体積%を超えると、ベース材料への練り込みが困難になって、この充填材量の音響吸収組成物から所望する形状の音響吸収層を作ることが困難になる。より好ましい充填材の量(前記ベース材料にこのベース材料および前記充填材の総量に対する量)は、40〜60体積%である。
【0030】
前記音響吸収層において、さらにタングステン(W)、モリブデン(Mo)および銀(Ag)の群から選ばれる少なくとも1つの金属粉末を含有することを許容する。このような金属粉末を含む音響吸収層は、より高密度化されるため、超音波の減衰率を一層大きくすることが可能になる。なお、前記金属粉末は前記ベース材料、前記充填材および金属粉末の総量に対して10体積%以下にすることが好ましい。
【0031】
炭素繊維のような繊維が充填された音響吸収層において、充填された繊維の一部がその音響吸収層の溝間および溝と側面の間の部分に位置されることが好ましい。
【0032】
特に、前記音響吸収層は径が20μm以下、長さが径の5倍以上の繊維が20〜70体積%の量で充填され、かつその繊維は全充填量の20〜80体積%が前記音響吸収層の厚さ方向の軸に対して30°以下の角度で配列されていることが好ましい。
【0033】
前記音響吸収層は、密度が2.5以下であることが好ましい。特に、前記音響吸収層は、音響インピーダンスが2〜8MRalys、熱伝導率が5W/mK以上で、密度が2.5以下であることが好ましい。
【0034】
このような音響吸収層(ベース材料がEVA)の作製方法を図4(A),(B),図5(C),(D)を参照して説明する。
【0035】
まず、例えば酢酸ビニルの含有率が20〜80重量%のEVAを熱ロール間に投入して混練した後、充填材、さらに加硫剤および加硫促進剤等を加えて、混練、シート化して図4の(A)に示すようにシート21を形成する。シート21は、0.5〜1.0mmの厚さにすることが好ましい。ひきつづき、図4の(B)に示すように前記シート21を例えば円形に打ち抜き加工して複数枚の円形シート22を切り出す。次いで、図5の(C)に示すように切り出した円形シート22を複数枚積層して積層物23とする。この積層物23を例えば120〜180℃で加熱して円形シート22を相互に加硫(架橋)することにより、図5の(D)に示すように例えば厚さ10〜30mmの円形ブロック24を作った後、このブロック24をその円形面に対して垂直な方向から外周面の曲面に沿って切断して所望のRを有する音響吸収層素材25を切り出す。この後、目的とする寸法に裁断することにより図示しない音響吸収層を作製する。
【0036】
特に、前述した方法において音響吸収組成物としてEVACおよび径が20μm以下、長さが径の5倍以上の繊維(例えば炭素繊維)を20〜70体積%の量で含むものを用いることによって、その繊維は全充填量の20〜80体積%が厚さ方向の軸に対して30°以下の角度で配列された音響吸収層を得ることが可能になる。
【0037】
前記音響吸収層において、その側面に銅、銀のような金属からなるシールドを配置してより一層の放熱性を付与することを許容する。また、前記音響吸収層に信号用電気端子または接地用電気端子に接続するケーブルの接地極線またはシールド線を接触させてその音響吸収層からの放熱性を促進することを許容する。
【0038】
実施形態に係る超音波プローブにおいて、前記音響吸収層の厚さをt1、前記圧電素子の厚さをt2としたとき、t1/t2を6未満にすると、前記複数のチャンネルの圧電素子からその背面側に放出される超音波を十分に減衰させることが困難になり、多重反射を発生する虞がある。一方、t1/t2が20を超えると、音響吸収層から所定の熱伝導率を有する支持体への放熱性が低下し音響レンズの温度上昇、チャンネル間の感度ばらつきが大きくなる虞がある。より好ましいt1/t2は8〜15である。
【0039】
前記音響吸収層は、2〜6mmの厚さを有することが好ましい。
【0040】
前記複数のチャンネルは、前記音響吸収層上に例えば50〜200μmのピッチでスペースをあけて配列される。
【0041】
前記圧電素子を構成する圧電体は、例えばPZT系やリラクサ系などの圧電セラミックス、リラクサ系単結晶等およびこれらの材料と樹脂との複合材料から作られる。
【0042】
前記第1、第2の電極は、例えば圧電体の両面に金、銀、ニッケルの粉末を含むペーストを焼付ける、金、銀、ニッケルをスパッタリングする、または金、銀、ニッケルをメッキする等の方法により形成される。
【0043】
前記第1、第2の音響整合層は、例えばエポキシ樹脂をベースとする材料で作られる。音響整合層は、2層以上の多層に限らず、1層の形態で用いることも可能である。
【0044】
前記音響レンズは、例えばシリコーンゴム系材料から作られる。
【0045】
次に、実施形態に係る超音波プローブの製造方法を説明する。
【0046】
まず、支持体上に音響吸収層、圧電素子、第1音響整合層、第2音響整合層をこの順に積層すると共に、例えばそれらの部材間にエポキシ樹脂系接着剤をそれぞれ介在させる。音響吸収層は、例えば前述した図4の(A)、(B)、図5の(C),(D)の方法に従って作製する。つづいて、積層物を例えば120℃で1時間程度加熱し前記各エポキシ樹脂系接着剤を硬化させることにより支持体2と音響吸収層、音響吸収層と圧電素子、圧電素子と第1音響整合層、第1音響整合層と第2音響整合層を絶縁接着剤層によりそれぞれ接着、固定する。
【0047】
次いで、第2音響整合層からバッキング部材の音響吸収層に向かってダイヤモンドソーにて例えば50〜200μmの幅(ピッチ)でダイシング処理してアレイ状に複数分割し、圧電素子および第1音響整合層、第2音響整合層を有する複数のチャンネルを形成する。この時、前記複数のチャンネルのスペースに対応して溝が前記バッキング部材の音響吸収層に形成される。その後、各チャンネルの第2音響整合層に音響レンズをシリコーンゴム系接着層で接着固定し、支持体および音響吸収層からなるバッキング部材、複数のチャンネルおよび音響レンズをケース内に収納して超音波プローブを製造する。
【0048】
本発明の実施形態に係る超音波プローブを備えた超音波診断装置を図6を参照して説明する。
【0049】
対象物に対し超音波信号を送信し、その対象物からの反射信号(エコー信号)を受信して対象物を画像化する医療用の超音波診断装置(または超音波画像検査装置)は、超音波信号送受信機能を有するアレイ式のコンベックス型超音波プローブ1を備えている。この超音波プローブ1は、前述した図1〜図3に示す構造を有する。この超音波プローブ1は、ケーブル19を通して超音波診断装置本体30に接続されている。この超音波診断装置本体30には、ディスプレイ31が設けられている。
【0050】
以上説明した実施形態に係るコンベックス型超音波プローブは、凸状の曲面を有する熱伝導率が70W/m・K以上の支持体とこの支持体の曲面に配置された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層とを有するバッキング部材を備ることによって、複数のチャンネルの圧電素子の駆動により発生し、圧電素子の背面側に放射された超音波を前記バッキング部材の音響吸収層で吸収、減衰することができる。同時に、圧電素子で発生する熱および前記音響吸収層での超音波の減衰に伴って発生する熱を前記バッキング部材の良熱伝導性の支持体で外部に良好に放熱させることが可能になる。このようなチャンネル(圧電素子)の背面への超音波の放射において、さらに前記音響吸収層の厚さを圧電素子の厚さ(超音波の周波数)の関係でt1/t2=6〜20(t1:音響吸収層の厚さ、t2:圧電素子の厚さ)に規定することによって、前記音響吸収層での超音波のエネルギーを効果的に減衰できると共に発生する熱の外部に良好に放熱することができる。
【0051】
また、超音波の多重反射に関しては従来のようにバッキング部材をクロロプレンゴムのようなベース材料に繊維、粉末のような充填材を含有させた組成物のみで構成した場合、反射によりバッキング部材の中央部表面に超音波が集まって、その表面温度を上昇させる。実施形態のようにバッキング部材は、凸状曲面を有する良熱伝導率の支持体とこの支持体の凸状曲面に配置された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層とを有する構成にすることによって、圧電素子からバッキング部材に向かう超音波はどのチャンネルでも前記全体の厚さが等しい音響吸収層を通って前記凸状曲面を有する支持体で反射した後、入射経路を通って戻る。すなわち、反射超音波が音響吸収層の中央部に集中することなくその超音波入射点に分散して戻るため、音響吸収層の発熱状態を均一化できる。
【0052】
したがって、複数のチャンネルの圧電素子からその背面側のバッキング部材に放出される超音波を十分に減衰できるため、多重反射発生を防止できる。その結果、この超音波プローブが組み込まれた超音波診断装置は断層像の画質の向上が図れる。
【0053】
また、圧電素子で発生する熱および前記音響吸収層での超音波の減衰に伴って発生する熱を前記バッキング部材の良熱伝導性の支持体で外部に良好に放熱させることができ、かつ反射に伴う音響吸収層の中央部への集中を回避して音響吸収層の発熱状態を均一化できる。その結果、チャンネル間の感度ばらつきを抑制できる。また、音響レンズの中央部での過度な温度上昇を防止して音響レンズ層の表面温度を低く保持できるため、腹部用プローブへの適用が良好になる。さらに、表面温度を低く保持した超音波プローブが組み込まれた超音波診断装置は送信電圧を高めることができるため、観察可能な診断領域の距離を拡大でき、例えば人体の深部観察が可能になる。
【0054】
特に、音響吸収層において、径が20μm以下、長さが径の5倍以上の繊維が20〜70体積%の量で充填され、かつその繊維は全充填量の20〜80体積%がその厚さ方向の軸に対して30°以下の角度で配列される形態にすることによって、大きな超音波の減衰率を発現することが可能になる。すなわち、複数のチャンネルの圧電素子で発生した超音波が背面のバッキング部材に放出される際、バッキング部材の音響吸収層においてEVAのようなベース材料に充填された繊維の相当量がその厚さ方向に配列されている、つまり超音波の進行方向に配列されていると、驚くべきことに超音波がその繊維を伝達する間に効率的な減衰がなされ、結果としてより大きな減衰率を発現することが可能になる。繊維の中でも炭素繊維を選択することによってより一層大きな減衰率を発現することが可能になる。
【0055】
また、前記構成の音響吸収層は充填された炭素繊維の配列により厚さ方向および面方向の強度を釣り合わせることができるため、ダイシング処理時の応力を良好に緩和してクラック発生を防ぐことが可能になる。その結果、チャンネル不良をより効果的に防止することができる。
【0056】
さらに、前記構成の音響吸収層は繊維の充填によって放熱性をより一層向上することが可能になる。特に、繊維として炭素繊維を選択することによって放熱性をより顕著に一層向上することが可能になる。
【0057】
さらに、前記炭素繊維のような繊維の配列を規定した音響吸収層において、充填された前記繊維の一部を前記溝間および溝と側面の間の部分に位置させることによって、溝間および溝と側面の間のバッキング部材部分での折れをより効果的に防ぐことが可能になる。その結果、ダイシング処理時でのチャンネル不良をより効果的に防止することができる。
【0058】
[実施例]
以下,本発明の実施例を説明する。
【0059】
(実施例1)
まず、約70℃に加熱された熱ロール間に酢酸ビニルの配合量が50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAC)を供給して予備混練を20分間行った。つづいて、予備混練したEVAC100重量部に平均径10μm、平均長さ20mmの炭素繊維(充填材)、ジオクチルセバケイト(dioctylsebacate);加硫剤6重量部、ステアリン酸亜鉛(加硫促進剤)2重量部、カルバナワックス4重量部およびシリコン樹脂3重量部を添加し、さらに混練、シート化を20分間行って、幅400mm、厚さ0.5mmのシートとした。なお、前記炭素繊維は熱伝導率が500W/mKのピッチ系炭素繊維を用い、その炭素繊維は混練物中に50体積%の量で配合した。ひきつづき、このシートから直径100mmの円板を打ち抜いた。円板状シートを40枚積層した後、この積層物を金型に入れ、加圧下にて180℃で15分間加熱加硫を行って直径100mm、厚さ13mmの円板状ブロックを作製した。円板状ブロックを円形面に対して垂直な方向から厚さが4mmになるようにその外周面に沿ってスライスして円弧長さ70mm、幅20mm、厚さ(t1)4mmの円弧状スライス片(音響吸収層)を得た。この音響吸収層は、炭素繊維の全充填量の20体積%がその厚さ方向の軸に対して30°以下の角度で配列された構造を有していた。
【0060】
次いで、図7に示すように両端に厚さ1mm、長さ4mmの鍔部3,3を有し、前面が凸状の曲面(R=44mm)を持ち、前記鍔部3,3を含む全長(L)が70mm、幅(W)が13mmのJIS A5052Pのアルミニウム合金(熱伝導率:150W/mK)からなる支持体4を用意した。この支持体4の凸状曲面に前記円弧状の音響吸収層5(厚さ(t1):4mm)をエポキシ系接着剤で固定してバッキング部材2を作製した。なお、このバッキング部材2は前記鍔部3,3が延出される端部での前面(音響吸収層5表面)から背面までの厚さ(te)が10.5mm、中央部での前面(音響吸収層5表面)から背面までの厚さ(tc)が20.6mmであった。
【0061】
次いで、前記バッキング部材の凸状曲面を有する前面に圧電素子、エポキシ樹脂にアルミナを40体積%添加した音響インピーダンスが7.5MRalysの第1音響整合層およびエポキシ樹脂からなる音響インピーダンスが3.5MRalysの第2音響整合層をこの順序で、かつそれらの間にエポキシ樹脂系接着剤を介在し重ねた後、120℃で1時間程度加熱硬化させることにそれら部材を相互に接着した。この後、前記第2音響整合層からバッキング部材に向かって幅50μm、バッキング部材への切り込み深さ200μmになるようにダイシング処理することにより200チャンネル×2列(合計400チャンネル)を形成した。つづいて、各チャンネル上にシリコンゴムからなる音響インピーダンスが1.5MRalysの音響レンズをエポキシ樹脂系接着剤で固定して超音波プローブの模擬試験体を組み立てた。なお、圧電素子はPZT系圧電セラミックス(圧電振動子)の両面にNiからなる第1、第2の電極を形成した構造のものを用いた。
【0062】
(実施例2)
音響吸収層の厚さを5mmにした以外、実施例1と同様なバッキング部材を作製した。なお、このバッキング部材は外形寸法が実施例1と同じで、音響吸収層の厚さを5mmに厚くした分、支持体の厚さを減少させた。また、このバッキング部材を用いて実施例1と同様な超音波プローブの模擬試験体を組み立てた。
【0063】
(参照例1)
音響吸収層の厚さを2mmにした以外、実施例1と同様なバッキング部材を作製した。なお、このバッキング部材は外形寸法が実施例1と同じで、音響吸収層の厚さを2mmに薄くした分、支持体の厚さを増大させた。また、このバッキング部材を用いて実施例1と同様な超音波プローブの模擬試験体を組み立てた。
【0064】
(参照例2)
音響吸収層の厚さを9mmにした以外、実施例1と同様なバッキング部材を作製した。なお、このバッキング部材は外形寸法が実施例1と同じで、音響吸収層の厚さを9mmに厚くした分、支持体の厚さを減少させた。また、このバッキング部材を用いて実施例1と同様な超音波プローブの模擬試験体を組み立てた。
【0065】
(比較例1)
まず、約70℃に加熱された熱ロール間に酢酸ビニルの配合量が50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAC)を供給して予備混練を20分間行った。つづいて、予備混練したEVAC100重量部に平均径10μm、平均長さ20mmの炭素繊維(充填材)、ジオクチルセバケイト(dioctylsebacate);加硫剤6重量部、ステアリン酸亜鉛(加硫促進剤)2重量部、カルバナワックス4重量部およびシリコン樹脂3重量部を添加し、さらに混練した。この混練物を金型に入れ、加圧下にて180℃で15分間加熱加硫を行い、さらに外形加工を施して図8に示す実施例1と外形寸法が同じ(前記鍔部41,41が延出される端部での前面から背面までの厚さ(te)が10.5mm、中央部での前面から背面までの厚さ(tc)が20.6mmのバッキング部材42を作製した。なお、前記炭素繊維は熱伝導率が500W/mKのピッチ系炭素繊維を用い、その炭素繊維は混練物中に50体積%の量で配合した。
【0066】
また、このバッキング部材を用いて実施例1と同様な超音波プローブの模擬試験体を組み立てた。
【0067】
得られた実施例1−2、参照例1,2および比較例1のバッキング部材を構成する音響吸収層(比較例1はバッキング部材)の減衰率、バッキング部材を構成する音響吸収層(比較例1はバッキング部材)の熱伝導率を測定した。また、前記超音波プローブの模擬試験体を用いて音響レンズの温度、チャンネル間の感度ばらつきおよび多重反射を調べた。
【0068】
なお、減衰率、熱伝導率、音響レンズの温度、チャンネル間の感度ばらつきおよび多重反射は以下の方法により測定した。
【0069】
1)減衰率
減衰率は、実施例1−2、参照例1,2および比較例1のバッキング部材を構成する音響吸収層(比較例1はバッキング部材)から切り出した厚さ1.0mmの試料をプローブ(3.0MHzの測定周波数)を用いて25℃の水中法により測定した。
【0070】
2)熱伝導率
熱伝導率は、レーザフラッシュ法により測定した。測定したサンプルは厚みが1.0mmで直径が10.0mmである。
【0071】
3)音響レンズの温度
音響レンズの温度はプローブ化したレンズの表面に熱電対を貼り付け、送信電圧を100Vで空気中にて連続駆動し、30分後の表面温度を測定した。室温は20℃で行った。
【0072】
4)チャンネル間の感度ばらつき
プローブのチャンネル間の感度バラツキは各チャンネル毎の送受信感度を測定し、その平均値からのばらつきを%で表した。
【0073】
5)多重反射
多重反射の測定はプローブを用いて水中に置いたファントムを観察し、その画像から有無を確認した。
【0074】
これらの結果を下記表1に示す。なお、下記表1にはバッキング部材を支持体材料、音響吸収層の厚さ(t1)、圧電素子の厚さ(t2)およびt1/t2を併記した。
【表1】


【0075】
前記表1から明らかなように凸状曲面を有する熱伝導率が70W/m・K以上の支持体にEVAに炭素繊維を所定量含有させた全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層を固定したバッキング部材を備え、音響吸収層の厚さ(t1)と圧電素子の厚さ(t2)の比(t1/t2)が6〜20の関係を満たす実施例1,2の超音波プローブの模擬試験体は、EVAに炭素繊維を所定量含有させた実施例1,2と同寸法のバッキング部材を備えた比較例1の超音波プローブの模擬試験体に比べて音響レンズの温度を低温に保持でき、チャンネル間の感度ばらつきが小さく、さらに比較例1では多重反射が発生するが、多重反射が発生しないことがわかる。
【0076】
一方、バッキング材の音響吸収層におけるt1/t2が6未満(t1/t2=5)である参照例1の超音波プローブの模擬試験体は、音響レンズの温度を低温に保持でき、チャンネル間の感度ばらつきも多少小さいものの、多重反射が発生する。多重反射の発生は、音響吸収層の厚さが圧電素子の厚さとの相対比で薄いために、超音波の減衰が十分になされないためである。
【0077】
また、バッキング材の音響吸収層におけるt1/t2が20を超える(t1/t2=22.5)である参照例2の超音波プローブの模擬試験体は、多重反射の発生がないものの、音響レンズの温度が上昇し、それに伴ってチャンネル間の感度ばらつきも大きくなる。音響レンズの温度上昇は、音響吸収層の厚さが圧電素子の厚さとの相対比で厚いために、熱伝導性が低く、圧電素子に対する放熱性が不十分になるためである。
【0078】
(実施例3〜7)
バッキング部材の支持体、音響吸収層として下記表2に示す材料のものを用いた以外、実施例1同様なバッキング部材を作製し、さらに実施例1と同様な超音波プローブの模擬試験体を組み立てた。
【0079】
得られた実施例3〜7のバッキング部材を構成する音響吸収層の減衰率、熱伝導率、前記超音波プローブの模擬試験体による音響レンズの温度、チャンネル間の感度ばらつきおよび多重反射を実施例1と同様な測定方法により調べた。その結果を下記表2に示す。
【表2】


【0080】
前記表2から明らかなようにバッキング部材の凸状曲面を有する支持体の材料およびこの支持体に固定された全体の厚さが一様なシート状の音響吸収層の材料を変え、音響吸収層の厚さ(t1)と圧電素子の厚さ(t2)の比(t1/t2)が6〜20の関係を満たす実施例3〜7の超音波プローブの模擬試験体は、実施例1と同様に音響レンズの温度を低温に保持でき、チャンネル間の感度ばらつきが小さく、さらに多重反射が発生しない優れた特性を有することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係るコンベックス型超音波プローブの部分切欠した斜視図。
【図2】図1の超音波プローブの要部斜視図。
【図3】図1の超音波プローブの要部断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る音響吸収層の作製工程を示す斜視図。
【図5】本発明の実施形態に係る音響吸収層の作製工程を示す斜視図。
【図6】本発明の実施形態に係る超音波診断装置を示す概略図。
【図7】本発明の実施例1で用いた音響バッキング部材を示す斜視図。
【図8】比較例1で用いた音響バッキング部材を示す斜視図。
【符号の説明】
【0082】
1…コンベックス型超音波プローブ、2…バッキング部材、4…支持体、5…音響吸収層、7…チャンネル、9…圧電素子、101,102…音響整合層、16…溝、17…音響レンズ,30…超音波診断装置本体,31…ディスプレイ。




 

 


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