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発明の名称 嵩高清掃物品及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−209657(P2007−209657A)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
出願番号 特願2006−34977(P2006−34977)
出願日 平成18年2月13日(2006.2.13)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
発明者 森 一雄 / 赤井 弘幸
要約 課題
エンボス加工により嵩高に賦形されており、強度及び保形性に優れ、清掃対象が乾いていても濡れていても安定した清掃を行うことができる嵩高清掃物品及びその効率的な製造方法を提供すること。

解決手段
嵩高清掃物品は、セルロース系繊維を主体として構成され、カルボキシル基を有するバインダーを含有し、エンボス加工により多数の凹凸が形成された繊維シートに、二価及び/又は三価の金属イオンを含む水性薬剤を含浸させてなり、厚みが1.0〜3.0mmで耐水性を有する。嵩高清掃物品の製造方法は、セルロース系繊維を主体として構成され、カルボキシル基を有するバインダーを含有する繊維シートに、該繊維シートの水分含有率が10〜200重量%の状態でエンボス加工を施し、それと同時に又はその直後に該シートを乾燥させ、乾燥後の該シートに、二価及び/又は三価の金属イオンを含む水性薬剤を含浸させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
セルロース系繊維を主体として構成され、カルボキシル基を有するバインダーを含有し、エンボス加工により多数の凹凸が形成された繊維シートに、二価及び/又は三価の金属イオンを含む水性薬剤を含浸させてなり、0.3kPa荷重下の厚みが1.0〜3.0mmであり、耐水性を有する嵩高清掃物品。
【請求項2】
セルロース系繊維を主体として構成され、カルボキシル基を有するバインダーを含有する繊維シートに、該繊維シートの水分含有率が10〜200重量%の状態でエンボス加工を施し、それと同時に又はその直後に該繊維シートを乾燥させ、乾燥後の該繊維シートに、二価及び/又は三価の金属イオンを含む水性薬剤を含浸させる、嵩高清掃物品の製造方法。
【請求項3】
エンボス加工前の前記繊維シートの坪量が30〜150g/m2であり、製造される嵩高清掃物品の0.3kPa荷重下の厚みが1.0〜3.0mmである請求項2記載の嵩高清掃物品の製造方法。
【請求項4】
前記エンボス加工が、互いに噛み合い形状となっている凹凸部を有する一対のエンボスロールを用いて行われる請求項2又は3記載の嵩高清掃物品の製造方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高清掃物品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維シートからなる清掃物品が、床やトイレ、キッチン等の清掃用に用いられている。また、このような清掃物品は、嵩高である方が、使い勝手が良く、拭き取り効果に優れている。
パルプ等を主体とした繊維からなる紙を嵩高にする方法としては、彫刻したロール間で押圧するエンボス法がある。紙のエンボス法は、抄造途中の湿紙にエンボスを行うウェットエンボス法と、紙を抄造してからエンボスを行うドライエンボス法に大別できる。ウェットエンボス法は、抄紙機上で紙が乾燥されるまでの間にエンボスを行う方法(特許文献1参照)である。特許文献1には、エンボス賦形を行った湿紙を乾燥工程で乾燥することが記載されている。しかし通常抄造時に湿紙に含まれる多量の水分を乾燥させるためには、ヤンキードライヤーや多筒式ドライヤー表面に強く湿紙を接触させて熱効率を良くする必要があり、そのような乾燥方法においては嵩高なエンボスの賦形は不可能であった。
【0003】
一方ドライエンボス法は、一旦抄造して乾燥させた紙にエンボスを行う方法であり、最も一般的である。しかしパルプ等を主体とした繊維からなる紙にエンボスを行った場合、エンボスによる賦形時に繊維間結合の破壊や繊維の破断が生じて紙の強度、エンボスの保形性(嵩の維持)が低下する。
熱融着性繊維を混抄したり、熱可塑性又は熱融着性バインダーを添加したりして、熱エンボス加工により繊維間を熱接着すれば、強度や保形性が向上するが、熱融着性繊維の使用は、製造コストが上昇する。
【0004】
ところで、本出願人は先に、湿式抄紙によって製造され且つカルボキシル基を有する水溶性バインダーを含有する水解紙に、多価金属イオンと有機溶剤を必須成分として含有する水性清浄薬剤を含浸させてなる水解性清掃物品を提案した(特許文献2参照)。この水解性清掃物品は、清掃作業に耐え得る強度を有し、使用後には、トイレ等への水洗廃棄が可能である。この水解性清掃物品においても、エンボス加工を施した場合には、紙の強度やエンボスの保形性が低下しやすいため、エンボス加工により充分に嵩高化することが困難であった。また、この水解性清掃物品は、良好な水解性を有し多量の水に接すると強度が低下するため、乾いている場所や、濡れていてもその範囲や程度が小さい場合には好ましく用い得る反面、濡れている場所の清掃には適さないものであった。
また、一般に紙の強度を向上させる場合、紙力増強剤としてカルボシキメチルセルロースを添加する方法が知られており、更にアルミニウムイオン等の金属イオンを添加した場合、カルボシキメチルセルロースと結合し、更に強度向上することが知られている(特許文献3参照)。水解紙では、特許文献2にカルボシキメチルセルロースとアルミニウムイオン、鉄イオン、銅イオン及びスズイオンを添加した場合、水解しにくくなり強度が向上することが見い出されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−260397号公報
【特許文献2】特開平2−149237号公報
【特許文献3】特開昭63−282398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、エンボス加工により嵩高に賦形されており、強度及び保形性に優れ、清掃対象が乾いていても濡れていても安定した清掃を行うことができる嵩高清掃物品及びその効率的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、セルロース系繊維を主体として構成され、カルボキシル基を有するバインダーを含有し、エンボス加工により多数の凹凸が形成された繊維シートに、二価及び/又は三価の金属イオンを含む水性薬剤を含浸させてなり、0.3kPa荷重下の厚みが1.0〜3.0mmであり、耐水性を有する嵩高清掃物品を提供することによって前記目的を達成したものである。
【0008】
また本発明は、セルロース系繊維を主体として構成され、カルボキシル基を有するバインダーを含有する繊維シートに、該繊維シートの水分含有率が10〜200重量%の状態でエンボス加工を施し、それと同時に又はその直後に該繊維シートを乾燥させ、乾燥後の該繊維シートに、二価及び/又は三価の金属イオンを含む水性薬剤を含浸させる、嵩高清掃物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エンボス加工により嵩高に賦形されており、強度及び保形性に優れ、清掃対象が乾いていても濡れていても安定した清掃を行うことができる嵩高清掃物品及びその効率的な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には本発明の一実施形態としての嵩高清掃物品1の斜視図が示されている。
本実施形態の嵩高清掃物品1は、第1の面1a及び第2の面1bを有しており、一方の面側から他方の面側に突出して形成された多数の凸部2,2・・を有している。凸部2は、嵩高清掃物品1の長手方向X及び幅方向Yの各方向に列をなすように一定の間隔で配置されており、千鳥格子状の配置パターンをなしている。凸部2,2・・間には、それぞれ凹部3,3・・が形成されており、やはり千鳥格子状の配置パターンをなしている。これによって嵩高な嵩高清掃物品はその全体が三次元形状となっている。
【0011】
嵩高清掃物品1は、その嵩高さによって特徴付けられている。嵩高清掃物品1の厚みT1、即ち第1の面1aにおける凸部2の頂点から、第2の面1bにおける凸部2の頂点までの距離は、水性薬剤が含浸された0.3kPa荷重下で、好ましくは1.0〜3.0mmであり、より好ましくは1.2〜2.5mm、さらに好ましくは1.3〜2.0mmである。この範囲の厚みとすることで、清掃物品が嵩高となり雑巾のような厚手感が出せるとともに、良好な強度を維持することができる。具体的には、厚みが1.0mm未満であると、従来の清掃用シートに対して顕著な厚み感の向上が実感できず、やや拭きづらく、汚れの裏抜けといった点でも不安感を使用者に与える。一方、3.0mmを超えると清掃物品1の丈夫さが損なわれたり、収納容器が大きくなったりし、使い捨てを前提とした用途では不経済である。嵩高清掃物品1の厚みT1は前述の通り0.3kPa荷重下で測定される。この荷重は、非常に小さく、嵩高清掃物品1の見かけの厚みに近似される。
【0012】
嵩高清掃物品1は、嵩高であることに加えて、該清掃物品1を手に持ち清掃する場合、手で該清掃物品1を押さえつけても厚みが維持される保持性を有することが必要である。本発明では手で押さえた力を1.0kPaと想定している。この保持性は、前記水性薬剤が含浸されている状態での嵩高清掃物品の1.0kPa荷重下で測定された厚みT2が0.9mm以上であることによって達成されることとなる。T2は0.9mm以上であり、好ましくは1.0mm以上、特に1.2mm以上であることが手を添えてしっかり拭き掃除する際のふきやすさや汚れの裏抜けを防止する観点から好ましい。T2の上限値については、T1を上回ることはない。
【0013】
嵩高清掃物品1は、前述のT1とT2との比T2/T1(以下、この比を厚み比という)が0.8以上であることが、嵩高エンボス形状の維持の面から好ましい。厚み比が0.8未満となると目的とした嵩高エンボス形状の保持性が得られず、手で押すと潰れやすく、布のような弾力感や安心感が得られない。厚み比は好ましくは0.85以上となっている。厚み比の上限値に特に制限はなく、1に近いほど保持性(嵩の維持性)が良くなることを意味する。
【0014】
なおT2及びT1の値は水性薬剤の含浸量及び配合組成に大きな影響を受けない。本発明においてはT2及びT1の測定条件に水性薬液の含浸量を含めていない。もしT2及びT1の測定条件に水性薬液の含浸量を含める場合には、本発明における典型的な含浸量である、繊維シートの乾燥重量の2倍とすることが適切である。
【0015】
嵩高清掃物品1は、セルロース系繊維を主体として構成され、エンボス加工により多数の凹凸が形成された繊維シートに、二価及び/又は三価の金属イオンを含む水性薬剤を含浸させてなる。
嵩高清掃物品1を構成する繊維シートは、水性薬剤を含浸させる前の坪量が30〜150g/m2であることが、エンボス加工の容易、経済性の観点から好ましい。また、繊維シートは、セルロース系繊維を主体として構成されており、バインダーとしてカルボキシル基を有するバインダーを含有している。
【0016】
繊維シートを構成するセルロース系繊維は、繊維長が好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下、一層好ましくは5mm以下のものが用いられる。
セルロース系繊維は、重量平均繊維長で0.5mm〜3.0mmのパルプ繊維を主体に用いる。さらに、風合いを良好にする観点から平均繊維長4.0〜7.0mm程度のレーヨン繊維や合成繊維を混抄することもできる。
セルロース系繊維としては、例えばパルプ、コットン等の天然繊維やレーヨン等の半合成繊維等が挙げられる。これらの繊維は一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。叩解度を変えてフィブリル化した繊維を用いることもできる。パルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)等の漂白された木質パルプ、その他麻等由来のパルプ、化学処理を施してアルカリ膨潤したマーセル化パルプ、螺旋構造を有する化学架橋パルプ、微小繊維状セルロースを用いることもできる。
混抄する合成繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系繊維やポリエステル系等の合成繊維、ポリ乳酸からなる合成繊維等が挙げられる。
繊維シートには、バインダーを除いてセルロース系繊維が70〜100重量%、特に80〜100重量%含まれていることが好ましい。
【0017】
嵩高清掃物品1は、繊維シートを構成するセルロース系繊維同士を結合させるバインダーとして、カルボキシル基を有するバインダーを含んでいる。カルボキシル基を有するバインダーとしては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸メタクリル酸共重合体、アクリル酸又はメタアクリル酸とアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルとの共重合体又はその塩、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。特にカルボシキメチルセルロース(CMC)は良好に用いることができる。
CMCは、水溶性又は水膨潤性である。CMCの添加量は、繊維シートの乾燥状態の重量に対して、1〜30重量%、特に2〜15重量%となるように添加されることが、嵩高性の維持、耐水性の発現、経済性の観点から好ましい。
【0018】
CMCは、水性薬剤に含まれる三価の金属イオンによって架橋されており、この架橋されたCMCが、結合剤として機能し、嵩高清掃物品1が多量の水と接触してもセルロース系繊維の結合が維持される。これにより、嵩高清掃物品1は、耐水性を有するものとなっている。
水性薬剤中の水分含量は、手肌への刺激性等の観点から、30〜95重量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%、更に好ましくは60〜95重量%である。
【0019】
CMCは、そのエーテル化度が0.8〜1.2、特に0.85〜1.1であると水溶性となる。この水溶性CMCは、25℃における1重量%水溶液の粘度が10〜40mPa・s、特に15〜35mPa・sであり、同温度における5重量%水溶液の粘度が2500〜4000mPa・s、特に2700〜3800mPa・sであり、更に60℃における5重量%水溶液の粘度が1200mPa・s以下となる。水溶性CMCは、スプレーなどによって繊維シートに添加する場合には、加熱することで粘度低下をすることができ、そのハンドリング性の面から好適である。
【0020】
水性薬剤は水を媒体として、前述した二価及び/又は三価の金属イオンを供与する水溶性金属塩が配合されてなるものである。また水溶性有機溶剤も添加することができる。
二価又は三価の金属イオンとしては、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、アルミニウムイオン(Al3+)、銅イオン(Cu2+)、スズイオン(Sn2+)等が挙げられる。水性薬剤中でこのような金属イオンを供与し得る水溶性金属塩としては、塩化物イオン、水酸化物イオン、酸化物イオン、硫化物イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、その他クエン酸等の有機酸との化合物及びその水和物等が挙げられる。特に好ましく用いられるものは、硫酸鉄、硫酸アルミニウム及びその水和物等である。水溶性の二価及び三価の金属塩は、一種を単独で用いても良いし、二価及び/又は三価の2種以上の金属イオンを供与し得る2種以上の金属塩を併用することもできる。
繊維シートに含浸させる前の水性薬剤中の二価及び/又は三価の金属イオンを供与する水溶性二価及び/又は三価の金属塩を1〜5重量%濃度で含有する組成のものが、バインダーを不溶化してシートの充分な強度を発現させる点から好ましい。
【0021】
水溶性有機溶剤としては、具体的にはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール等のグリコール類、これらグリコール類とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールとのモノ又はジエーテル、前記グリコール類と低級脂肪酸とのエステル、グリセリンやソルビトール等の多価アルコールが挙げられる。水性薬剤中における水溶性有機溶剤は、単独または2種類以上の混合でも用いられることができ、その濃度は好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは5〜40重量%、一層好ましくは10〜30重量%である。
【0022】
水性薬剤にはこれらの成分に加えて必要に応じ界面活性剤、殺菌剤、キレート剤、漂白剤、消臭剤、香料などを配合して、該水性薬剤の清掃性能を高めてもよい。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の何れもが用いられ、特に洗浄性と仕上がり性の両立の面から、ポリオキシアルキレン(アルキレンオキサイド付加モル数1〜20)アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エーテル、アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)グリコシド(平均糖縮合度1〜5)、ソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エステル、及びアルキル(炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖)グリセリルエーテル等の非イオン界面活性剤並びにアルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドカルボキシベタイン、アルキルアミドスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン等のアルキル炭素数8〜24の両性界面活性剤が好適に用いられる。
【0023】
水性薬剤は、十分な清拭効果が発現する点から、嵩高清掃物品の重量(乾燥基準)に対して好ましくは100〜500重量%含浸され、更に好ましくは100〜300重量%含浸される。また、水性薬剤は、水分濃度が60〜90重量%であり且つ水溶性有機溶剤の濃度が8〜35重量%であるものが好ましい。
【0024】
嵩高清掃物品1の湿潤強度は、抄紙機の流れ方向(Machine Direction、略してMD)で300cN/25mm以上、MDとの直角方向(Cross machine Direction、略してCD)で100cN/25mm以上であることが清掃時の丈夫さの観点から好ましい。MD方向については、更に好ましくは400cN/25mm以上、一層好ましくは500cN/25mm以上である。CD方向については、更に好ましくは150cN/25mm以上、一層好ましくは200cN/25mm以上である。
【0025】
再び図1に戻ると、凸部2はほぼ半球の形状をしている。凹部3についても同様である。本実施形態の嵩高清掃物品1は、その両面が同様な性能を有することが好ましい。この観点から、第1の面1aにおける凸部2の形状及び間隔は第2の面1bのそれと略同様であることが好ましい。また第1の面1aに存する凸部2は、第2の面1bに存する凹部3と表裏の関係にあり、同様に第1の面1aに存する凹部3は、第2の面1bに存する凸部2と表裏の関係にあることが好ましい。更に、凸部2の形状は、凹部3の形状を反転したものであることが好ましい。
【0026】
エンボスパターンに限定はない。エンボス加工後の紙が嵩高になるものであればよい。特に凹凸状のスチールマッチエンボスは嵩高になりやすい。この凹凸状のスチールマッチエンボスでは、ロール表面に均一に且つ規則的に凹凸が存在し、2つのロール間で一方のロールの凸部ともう一方の凹部がかみあっている。この凹凸状のパターンは、凸部と凹部の繰り返しであり、凸部と凹部のピッチは3.5〜14.0mmが好ましく、更に5.0〜10.0mmが好ましい。また、凸部頂点と凹部頂点の差(溝深さ)は好ましくは1mm〜5mm、更に好ましくは1.5mm〜4.5mm、一層更に好ましくは2mm〜4mmであることが、嵩高清掃物品1を嵩高にする観点から好ましい(図2参照)。
【0027】
凸部2は、嵩高清掃物品1の一面において、10cm×10cmの正方形の領域を考えた場合、該面の何れの位置においても、該領域中に平均して50〜850個、特に100〜600個形成されていることが好ましい。凸部2の個数をこの範囲内とすることにより、凸部2と凹部3とがバランスよく配されるので、本実施形態の嵩高清掃物品1は、清掃用として使用される場合、汚れの除去性に一層優れたものとなる。嵩高清掃物品における凸部2及び凹部3は、エンボスロールの彫刻パターンに応じてそれらの形状や配置を自由に設計できる。
【0028】
次に、嵩高清掃物品1の好ましい製造方法について説明する。
嵩高清掃物品1は、セルロース系繊維を主体として構成され、CMCを含有する繊維シートに、該繊維シートの水分含有率が10〜200重量%の状態でエンボス加工を施し、それと同時に又はその直後に該繊維シートを乾燥させ、乾燥後の該繊維シートに、二価及び/又は三価の金属イオン及び有機溶剤を含む水性薬剤を含浸させることで得られる。
【0029】
セルロース系繊維を主体として構成され、CMCを含有する含有する繊維シートは種々の方法にて製造される。例えば、抄紙原料であるパルプ分散液中に水溶性バインダーと水溶性バインダーのパルプ繊維への定着剤を添加して、所定量の水溶性バインダーを含有する水解紙原反を製造することが知られているが(特開平3−193996号公報)、その水溶性バインダーとしてCMCを用いる。また、パルプ分散液からシートをフォーミングし、プレス脱水あるいは半乾燥した後にCMCを噴霧乾燥あるいは塗工乾燥して、所定量のCMCを含有する繊維シートを製造することも可能である。本製造方法における繊維シートは、水性薬剤を含浸される前は、実質的に水分散可能なものである。すなわち、多量の水に繊維シートを入れて攪拌した場合には、繊維がばらばらの状態に分散する。
更に上述の湿式抄紙法ではなく、パルプ繊維を用いて水を使わず乾式で解繊して、ウェブを形成した後、CMCを噴霧あるいは塗工し、その後乾燥して繊維シートを製造することも可能である。いわゆるエアレイド製法である。
【0030】
図3にはCMCを含有する繊維シートの製造に好ましく用いられる製造装置の一例の概略図が示されている。図3に示す製造装置(湿式抄造機)は、フォーマーと、ワイヤーパートと、第1ドライパートと、スプレーパートと、第2ドライパートとを備えて構成されている。フォーマーは、調製装置(図示せず)から供給された完成紙料を所定の濃度に調節してワイヤーパートへ供給するものである。図示しない調製装置は、パルプ繊維等の原料を離叩解する装置と、離叩解された原料にサイズ剤、顔料、紙力増強剤、漂白剤、凝集剤等の添加剤を添加する添加装置とを備え、嵩高清掃物品の特性に応じた所定濃度の原料からなる紙料を完成紙料として調製するように構成されている。また、パルプスラリーにバインダーを混合することも可能である。ワイヤーパートは、フォーマーから供給された完成紙料を抄き網に湿紙として形成するものである。第1ドライパートは、ワイヤーパートにおいて形成された湿紙を乾燥させるものである。スプレーパートは、第1ドライパートで乾燥された紙にバインダーを噴霧するものである。第2ドライパートは、スプレーパートでバインダーが噴霧され湿潤状態になっている紙を乾燥させるものである。
【0031】
フォーマー4から供給された完成紙料がワイヤーパートにおいて抄造され、ワイヤー5上に湿紙が形成される。湿紙は、ワイヤーパートに設置されているサクションボックス6による吸引によって水分が除去され、所定の水分率となされる。次いで湿紙は、第1ドライパート7に導入されて乾燥される。第1ドライパート7はスルーエアードライヤー(以下、TADという)から構成されている。TADは、周面が通気性を有する回転ドラム8と、該回転ドラム8をほぼ気密に覆うフード9とを備えている。TADにおいては、所定温度に加熱された空気がフード9内に供給されるようになされている。加熱された空気は回転ドラム8の外側から内部に向けて流通する。湿紙は、図3中、矢印方向に回転する回転ドラム8の周面に抱かれた状態で搬送される。TAD内を搬送されている間、湿紙にはその厚み方向へ加熱空気が貫通し、それによって湿紙は乾燥され紙となる。
【0032】
第1ドライパート7で得られた紙には、スプレーパートにおいてバインダーを含む水溶液が噴霧される。スプレーパートは第1及び第2ドライパート7,14間の位置である。両ドライパート7,14は、コンベアを介して連結されている。
【0033】
コンベアは、それぞれ矢示方向に回転する上コンベアベルト10と下コンベアベルト11とを備えている。コンベア10は、第1ドライパート7のTADによって乾燥されて紙をこれら両ベルト10,11間に挟持した状態で第2ドライパート14へ搬送するように構成されている。上コンベアベルト10の下流側の折り返し端には真空ロール12が配置されている。真空ロール12は、上コンベアベルト10の裏面に紙を吸着させ、その吸着状態下に上コンベアベルト10を搬送させるようになっている。
【0034】
図3に示すように、スプレーパートはスプレーノズル13を備えている。スプレーノズル13は第2ドライパート14の下方で且つ真空ロール12に対向するように配設されている。スプレーノズル13は、真空ロール12に向けてバインダーを含む噴霧液を噴霧して、紙に該噴霧液を添加(外添)するものである。
【0035】
スプレーパートにおいてバインダーが供給された後、紙は第2ドライヤーパート14へ搬送される。第2ドライヤーパート14はヤンキードライヤーから構成されている。噴霧液が噴霧されて湿潤状態となっている紙は、フード16内に設置されたヤンキードライヤーの回転ドラム15の周面に抱かれた状態で搬送される。回転ドラム15に抱かれて搬送されている間に紙の乾燥が進行する。
【0036】
ヤンキードライヤーの出口にはドクターブレード17が設置されている。ドクターブレード17は、紙にクレープをかけながら、ヤンキードライヤーの回転ドラム15から紙を剥離させるものである。これによって紙にクレープがかけられる。次いで紙は、一旦ワインダー(図示せず)に巻き取られてロールとなされる。
【0037】
一方、CMCが繊維状で、水溶性ではなく、水膨潤性を有するものである場合、繊維状のCMCを含有する繊維シートも種々の方法にて製造することが可能である。例えば、パルプ分散液中に所定量の水膨潤性である繊維状のバインダーを添加し、湿紙をフォーミングし、乾燥して繊維シートを得ることが知られている(特開平4−370300号公報、特開平2−74694号公報)。また、湿式抄紙法ではなく、エアレイド法にてパルプ繊維と水膨潤性の繊維状バインダーの混合繊維原料を乾式解繊して、ウェブを形成した後、乾燥して繊維シートを製造することが可能である。
【0038】
さらに、上述の方法を組み合わせることによって、水溶性のCMCと水膨潤性のCMCの両方を含有する繊維シートを製造することも可能である(以下、前述の各種繊維シートを原料紙ともいう)。
【0039】
原料紙は、引き続く工程において、又は一旦ロールの形で保管された後に再度水が添加されて、嵩高エンボスによる凹凸賦形が施されると同時、あるいはその直後に乾燥が施されて、多数の凹凸部を有する嵩高な嵩高清掃物品と成される。このような製法は、例えば、図4に示すような嵩高凹凸賦形と同時に乾燥ができるヒートエンボス装置によって行われる。図4に示すエンボス装置は、一対のエンボスロール18,18を有している。各エンボスロール18は、その周面に多数の凹凸を有し且つ互いに噛み合い形状となっている。各エンボスロール18は、図4中矢印で示す方向に回動している。各エンボスロール18は金属製であり、所定温度に加熱可能なように加熱手段(図示せず)が取り付けられている。エンボスロールは加熱する上で金属製が好ましいが、エンボス材質としては、金属製以外に片方のロールをゴム、紙製を用いても良い。エンボスロール18,18の上流側には、スプレーノズル19が設置されている。スプレーノズル19からは、原料紙に向かって水が散布されるようになっている。
【0040】
図4に示すように、原料紙は、ロール(図示せず)から巻き出され、スプレーノズル19から散布された水によって湿潤状態になった後にエンボス装置へ送られる。エンボス装置においては、原料紙が一対のエンボスロール18,18間で挟圧されてエンボス加工される。先に述べた通り、各エンボスロール18は互いに噛み合う構造となっているので、両ロール18によって挟圧された原料紙には、ロール18に施された凹凸形状に対応する凹凸形状が付与される。つまり、原料紙はスチールマッチエンボス加工される。更に、加熱されたエンボスロール18によって原料紙に含まれている水が乾燥除去されて新たな繊維間結合ができあがる。これによって目的とする多数の凹凸形状を有する嵩高な嵩高清掃物品が得られる。
【0041】
図5には、スチールマッチエンボス加工されている状態の原料紙が模式的に示されている。この状態での原料紙は、水が噴霧されて湿潤している。つまり、構成繊維間の水素結合が弱まっている。この理由によって、原料紙の構成繊維20は、外力を受けて、つまりスチールマッチエンボスの凹凸パターンに沿って再配置できる状態になっている。従って、原料紙がエンボスロール18,18間を通過すると、エンボスロール18の凹凸パターンに合わせて繊維が再配置して、原料紙が凹凸賦形される。これと共にエンボスロール18による加熱によって湿潤した原料紙から水が乾燥除去される。この結果、再配置した繊維構造において、再度繊維間の水素結合、バインダーによる繊維間の再結合が構築される。このようにして得られた嵩高な繊維シートにおいては、特に凸部2の側壁(或いは凹部3の側壁)に破れが生じにくくなる。このようにして、凹凸形状の保形性に優れ、且つ強度低下の少ない、凹凸賦形された繊維シートを得ることができる。
【0042】
本製造方法と異なり、一般的な乾燥状態の紙を湿潤させずにそのままエンボスロール18,18によって凹凸賦形しようとすると、構成繊維間の水素結合が維持された状態で、垂直方向に大きく変形が加わるために、図6に示すように繊維間の結合が破壊あるいは繊維そのものが切断されて、凸部の側壁(或いは凹部の側壁)に破れが生じてしまう。その結果、得られた紙には一旦凹凸部が形成されるものの、該凹凸部は外力が加わると容易に潰れてしまうことになる。また、得られた繊維シートは、凹凸賦形前に比べて強度が大幅に低下してしまうことになる。
【0043】
原料紙への凹凸賦形を首尾良く行う観点から、エンボスロール18,18間に導入される前に紙に噴霧される水の量は、原料紙の乾燥重量に対して10〜200重量%とすることが必要であり、10〜130重量%、特に10〜50重量%、とりわけ10〜40重量%であることが好ましい。原料紙には一般に予め5〜10重量%程度の水分が含有されており、それも合わせて原料紙中の水分率が10重量%未満であると、繊維間水素結合を弱めたりバインダー(CMC)の膨潤や溶解を十分なものにできず、凹凸パターンに沿った繊維の充分な再配置が起こらない。また200重量%超になると、乾燥するための負荷が大きいものとなり、経済性に劣ることとなる。一方、原料紙を十分に乾燥させる点から、エンボスロール18,18の加熱温度は150〜250℃であることが好ましい。なお原料紙の乾燥の程度は原料紙の搬送速度等に依存する場合があるが、搬送速度が上がるとエンボスロールの熱だけでは充分に原料紙を乾燥することができなくなる。そこで、図7に示すように熱エンボスロールの径を大きくすることでシートの接触時間を長くして乾燥しやすくしたり、図8に示すようにエンボスロール18,18を覆うフード23を設置し、フード23の一部から所定温度に加熱された空気21が供給され、更にその加熱された空気がフードの一部から排気22として排出される構造にすることで乾燥能力をアップすることが可能である。エンボスロール18,18で凹凸賦形したシートを簡単に剥離するためには、剥離剤を水と同時に添加することが好ましい。剥離剤としては、高級脂肪酸、ポリエチレンワックス、シリコンオイル、鉱物油、その他界面活性剤を配合した溶液等が挙げられる。
【0044】
一方、別の方法として、CMCを含有せず且つ実質的に水分散可能な繊維を含むシートを、湿紙抄紙法やエアレイド法により製造し、その工程内でCMCの水溶液を噴霧等によって添加して、CMCを含有するシートとするとともに、かつ所定水分を含んだウェット状態にし、次いでこの状態の繊維シートにエンボス加工を施し、それと同時に又はその直後に乾燥させることでも、所望の物性を有する凹凸賦形された繊維シートを得ることができる。図9では、乾式抄紙中にフォーマー24より乾燥した短繊維を開繊しながらバキュームコンベアー25に吸引してウェブを形成し、スプレーノズル13にCMC水溶液を噴霧し、エンボス装置18でエンボス加工を行う。そしてエアースルードライヤー7にて乾燥する。なお図9における符号は、図3における符号と同様の部材を示している。また、図9に示す方法に関して特に説明しない点については、先に述べた製造方法に関する説明が適宜適用される。
【0045】
また、CMCを含有しない繊維のシートを製造した後に、図4に示すようなエンボス装置にて、CMCを溶解した水溶液をスプレー添加することによっても、同様の特性を有する、
凹凸賦形された繊維シートを得ることが可能である。
【0046】
上述のようにして凹凸賦形された繊維シートは、使い勝手の良いサイズに切断し、その切断された繊維シートに対して、上述した水性薬剤の含浸処理を行う。
この繊維シートに対する水性薬剤の含浸処理の方法は、繊維シートに対して、水性薬剤をスプレー塗布、コーター塗布する方法や、繊維シートを水性薬液に漬け込み、場合によってはマングル等で絞る方法等が挙げられる。
このようにして、嵩高清掃物品が得られる。
【0047】
以上の通り、本製造方法では、所定水分含有率下でエンボス加工を施すとともに乾燥すること、あるいはエンボス加工の直後に乾燥することで、紙に破れを生じさせることを軽減し、凹凸形状の保形性に優れ且つ強度低下が少ない、凹凸賦形された繊維シートを形成することができる。このように、賦形された繊維シートが、凹凸形状の保形性に優れ且つ強度低下の少ないものであることに加え、該繊維シートに含浸させた水性薬剤中の三価の金属イオンが、CMCと架橋構造を形成してCMCが不溶化することによって、水性薬剤が含浸された状態(以下、湿潤状態ともいう)下において嵩高な凹凸形状が維持されるのみならず、比較的多量の水と接触した状態下においても、その強度や嵩高な凹凸形状が比較的安定に保持される。
そのため、乾いている場所の清掃を行う場合の作業性や拭き取り効果に優れているのみならず、濡れている場所を清掃し、嵩高清掃物品が比較的多量の水と接触した状況で使用しても、嵩高清掃物品が水解しないため、濡れている場所の清掃や乾いている場所の一部が水で濡れているような場合においても、効率よく清掃を行うことができる。
【0048】
嵩高清掃物品1は、耐水性を有する。即ち、比較的多量の水と接触した状況でも水解しない。嵩高清掃物品の耐水性を有するか否かは、例えばJIS P 4501−1993(トイレットペーパー)に規定されるほぐれやすさを測定することにより判断することができる。ほぐれやすさの値が100秒以上である場合には、水解性が劣り耐水性を発現している。耐水性の程度は、測定したほぐれやすさの値が300秒以上であると好ましく、濡れた清掃面でも清拭することができる。
【0049】
嵩高清掃物品1は、例えば対物用としてトイレ、洗面所、台所など水回りの清掃物品、対人用としては、おしり拭き、介護用からだ拭き、メーク落し用シートとしても好適に用いられる。嵩高清掃物品1は、清掃対象が、乾いていても水で濡れていても好適に清掃可能である。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば嵩高清掃物品は単層構造のものに限られず複数枚のマルチプライからなる多層構造であってもよい。多層構造である場合には、少なくとも表層の紙に二価及び/又は三価の金属イオンで架橋されたCMCが含有されていることが好ましく、何れの層の紙にも二価及び/又は三価の金属イオンで架橋されたCMCが含有されていることがより好ましい。
【実施例】
【0050】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
【0051】
〔実施例1〜8〕
図3の湿式抄紙機を用いて、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)100%の紙料を抄紙して湿紙を得た。湿紙を第1乾燥機であるスルーエアードライヤー7で水分率を4重量%まで乾燥させた。得られた紙を一対のプラスチック製コンベア間10,11に挟持して搬送し、5%溶液で60℃、1000mP・sであるCMC(エーテル化度0.9、日本製紙製)バインダー液をスプレーノズル13にて噴霧した。CMCの添加量は、紙の重量に対して4.8%であった。CMCが添加された紙を、第2乾燥機としてのヤンキードライヤー14で乾燥させた後、ドクターブレード17によってクレープ加工を行いった。これによって坪量40g/m2のCMC添加紙を作製した。CMC添加紙を2枚積層して坪量80g/m2の2プライ構造の繊維シート(原料紙)を作製した。
【0052】
2プライ構造の繊維シートを巻き出し、図4に示すスプレーノズル19を用いて水を噴霧した。水が噴霧された繊維シートの水分量は、加熱乾燥式水分計(エー・アンド・デイ製MX−50)にて水分率を測定した。水塗布した繊維シートの水分率は、乾燥した繊維シートの重量に対する水分量で表1に示す通りであった。水が噴霧された繊維シートを、図4に示す一対のエンボスロール18,18間に導入した。エンボスロールは、その周面に多数の凹凸を有し且つ互いに噛み合い形状となっている。エンボスは溝深さ2mm、ピッチ7mmのものを用いて行った。各エンボスロール18は表1に示す温度に加熱されていた。繊維シートは一対のエンボスロール18,18間で挟圧されて凹凸賦形された。エンボス間のクリアランスは、各温度下でエンボスに通した繊維シートの厚みが2mmになるように設定した。また、繊維シートに含まれている水がエンボスロール18の熱によって除去された。このようにして嵩高に凹凸賦形された繊維シートを得た。
【0053】
次に、凹凸賦形された繊維シートに、下記処方を有する水性薬剤A〜Dを含浸させ、嵩高清掃物品を得た。含浸量は、含浸前の繊維シートの乾燥重量の2倍とした。
【0054】
〔水性薬剤A(実施例1,5,6,7の場合)〕
・アルキルグルコシド 0.2%
・エタノール 5%
・プロピレングリコール 5%
・硫酸アルミニウム〔Al2(SO43〕 1%
・水 バランス
【0055】
〔水性薬剤B(実施例2、比較例3の場合)〕
・アルキルグルコシド 0.2%
・エタノール 5%
・プロピレングリコール 5%
・硫酸アルミニウム〔Al2(SO43〕 3%
・水 バランス
【0056】
〔水性薬剤C(実施例3の場合)〕
・アルキルグルコシド 0.2%
・エタノール 5%
・プロピレングリコール 5%
・硫酸鉄〔Fe2(SO43〕 1%
・水 バランス
【0057】
〔水性薬剤D(実施例4の場合)〕
・アルキルグルコシド 0.2%
・エタノール 5%
・プロピレングリコール 5%
・硫酸鉄〔Fe2(SO43〕 3%
・水 バランス
【0058】
〔水性薬剤E(実施例8の場合)〕
・硫酸アルミニウム〔Al2(SO43〕 3%
・水 バランス
【0059】
〔比較例1,2〕
凹凸賦形された繊維シートを得るところまでは実施例と同様とした。この繊維シートに、下記処方を有する水性薬剤F又はGを含浸させて、嵩高清掃物品を得た。含浸量は、含浸前の繊維シートの乾燥重量の2倍とした。水性薬剤Fは、二価の金属イオンを含む処方である。水性薬剤Gは、金属イオンを含まない処方である。
【0060】
〔水性薬剤F(比較例1、4の場合)〕
・アルキルグルコシド 0.2%
・エタノール 5%
・プロピレングリコール 5%
・塩化カルシウム(CaCl2) 3%
・水 バランス
【0061】
〔水性薬剤G(比較例2の場合)〕
・アルキルグルコシド 0.2%
・エタノール 5%
・プロピレングリコール 5%
・水 バランス
【0062】
〔比較例3〕
CMC添加紙の2プライ構造の坪量80g/m2の繊維シートを作製するところまでは実施例1〜4と同様とした。この繊維シートに対して別工程にてエンボスを行う時に水を噴霧せず且つ加熱されていないエンボスロール18,18間を通してエンボス加工を行った。エンボス加工後の繊維シートに対して、実施例2と同様に、乾燥重量の2倍量の水性薬剤Bを含浸させて嵩高清掃物品を得た。
【0063】
〔比較例4〕
繊維シートに対してエンボス加工を行うところまでは比較例3と同様に行った。エンボス加工後の繊維シートに対して、比較例1と同様にして、乾燥重量の2倍量の水性薬剤Fを含浸させて嵩高清掃物品を得た。尚、比較例3及び4で得られた清掃物品は、本発明に要求される嵩高性を備えていないものであるが便宜上嵩高清掃物品と称する。
【0064】
〔性能評価〕
各実施例及び各比較例で得られた嵩高清掃物品の厚みT1(0.3kPa荷重下)及び水性薬剤を含浸した嵩高清掃物品の厚みT2(1.0kPa荷重下)をそれぞれ測定した。これらの値に基づき厚み比T2/T1を算出した。また、湿潤強度(破断強度)をそれぞれ以下の方法で測定した。更に、嵩高清掃物品の耐水性、並びに乾いた清掃面及び濡れた清掃面を清拭するときの使い易さを、以下の方法で評価した。これらの結果を表1に示す。
【0065】
〔強度(破断強度)〕
MD方向の破断強度については、試料をMD方向に100mm、CD方向に25mm切り出し、MD方向が引っ張り方向となるように、チャック間距離50mmで引張試験機(ORIENTEC製テンシロンRTA−100)に取り付ける。引張速度300mm/minで試料を引っ張り、破断したときの強度を破断強度とする。CD方向の破断強度については、試料をCD方向に100mm、MD方向に25mm切りだし、CD方向が引っ張り方向となるように、チャック間距離50mmで引張試験機に取り付ける。その後はMD方向の破断強度と同様の方法で測定を行う。
【0066】
〔耐水性〕
紙の重量(水性薬剤の重量は含まない)が0.3gとなるように、嵩高清掃物品を正方形に裁断し、測定サンプルとして用いた。その他は、トイレットペーパーのほぐれやすさ試験(JIS P4501)に基づいて測定した。測定した時間(秒)の値に基づき以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
○:測定時間が300秒以上であり、耐水性が良好である。
△:測定時間が100〜200秒以上であり、耐水性が不十分である。
×:測定時間が100秒未満であり、耐水性がない。(水解性を有する。)
【0067】
〔乾いた清掃面の清掃のし易さ〕
得られた水性薬剤を含浸した凹凸賦形された繊維シートは、シートの大きさを150mm×130mmに切り、4つ折りに折り畳んで嵩高清掃物品として清掃した。清掃は、タイル(タイルの大きさ2cm×2cm)の床で行った。清掃時は乾いた床で行った。
(評価基準)
○:充分に嵩高くて拭き易く、破れも生じなかった。
△:破れは生じないが、嵩高さが不十分で拭きにくい。
×:破れが生じ、拭きにくい。
【0068】
〔濡れた清掃面の清掃のし易さ〕
得られた水性薬剤を含浸した凹凸賦形された繊維シートは、シートの大きさを150mm×130mmに切り、4つ折りに折り畳んで嵩高清掃物品として清掃した。清掃は、タイル(タイルの大きさ2.5mm×2.5mm)の床で行った。床に水を3g/0.36m2(床面積60cm×60cm)撒いて濡れた状態で清掃を行った。
(評価基準)
○:充分に嵩高くて拭き易く、また耐水性があり、破れも生じなかった。
△:耐水性があり破れは生じないが、嵩高さが不十分で拭きにくい。
×:耐水性が不十分で破れ、拭きにくい。
【0069】
【表1】


【0070】
表1に示す結果から明らかなように、実施例の嵩高清掃物品は、エンボス加工により嵩高に賦形されており、強度及び保形性に優れ、清掃対象が乾いていても濡れていても安定した清掃を行うことができる。また水塗布して繊維シートの水分量を多くして加工した方が、水性薬剤を含浸した嵩高清掃物品の厚み比、強度も向上している。一方、比較例1は、水性薬剤が二価の金属イオンを含む処方であり、若干厚み比や強度も低下している。比較例2は金属イオンを含まない処方であるため、更に厚み比や強度も低下する。比較例1,2は耐水性が不十分であり、清掃対象が濡れている場合に、破れが生じやすいことが判る。比較例3,4は、十分な凹凸賦形されていないため嵩高が低下し、清掃対象が乾いている場合も乾いている場合も清掃の作業性が悪い。更に比較例4は、水性薬剤が金属イオンを含まない処方であるため、比較例1と同様に、耐水性が不十分で、破れが生じやすいことが判る。また実施例8では、硫酸アルミニウムの水溶液でも十分な湿潤強度、耐水性、清掃時の使い易さを発現する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の好適な製造方法に基づき製造された嵩高清掃物品の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】エンボスロールの要部拡大図である。
【図3】繊維シートの抄造装置を示す模式図である。
【図4】エンボス装置を示す模式図である。
【図5】凹凸賦形の状態を示す模式図である。
【図6】乾燥時の凹凸賦形の状態を示す模式図である。
【図7】エンボス装置を示す模式図である。
【図8】エンボス装置、熱風装置を示す模式図である。
【図9】乾式抄紙(エアレイド抄紙)でのエンボス加工を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
1 嵩高清掃物品
2 凸部
3 凹部
4 フォーマー
5 ワイヤー
6 サクションボックス
7 スルーエアードライヤー(TAD)
8 回転ドラム
9 フード
10 上エンベアベルト
11 下エンベアベルト
12 真空ロール
13 スプレーノズル
14 ヤンキードライヤー
15 回転ドラム
16 フード
17 ドクターナイフ
18 (熱)エンボスロール
19 スプレーノズル
20 繊維
21 加熱空気
22 排気
23 フード
24 フォーマー
25 バキュームコンベアー
26 ワイヤー




 

 


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