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発明の名称 清掃用ウエットシート
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−151821(P2007−151821A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−351116(P2005−351116)
出願日 平成17年12月5日(2005.12.5)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
発明者 静野 聡仁 / 早瀬 妙子 / 奥田 富美子 / 塩野目 博信 / 石川 賢司
要約 課題
髪の毛や固形ゴミを始めとするダストの捕集性能が高く、また清掃時の摩擦抵抗が低い清掃用ウエットシートを提供すること。

解決手段
ウエットシート10は、繊維ウエブ11a,11bを水流交絡させて形成された繊維集合体11を具備し、繊維集合体11に水性洗浄剤が含浸されてなる。繊維集合体11の少なくとも一面が、繊維集合体11の構成繊維の交絡によって形成された多数の凸部22と、凸部22を取り囲む形状の凹部21とを有する。繊維集合体11の前記一面は、サンドペーパー(粒度1200番)に対する静摩擦抵抗値が900〜2500cNである。
特許請求の範囲
【請求項1】
繊維ウエブを水流交絡させて形成された繊維集合体を具備し、該繊維集合体に水性洗浄剤が含浸されてなり、
前記繊維集合体の少なくとも一面が、該繊維集合体の構成繊維の交絡によって形成された多数の凸部と、該凸部を取り囲む形状の凹部とを有し、
前記繊維集合体の前記一面は、サンドペーパー(粒度1200番)に対する静摩擦抵抗値が900〜2500cNである清掃用ウエットシート。
【請求項2】
各凸部の面積が1〜15cm2であり、凹部の面積率が10〜70%である請求項1記載の清掃用ウエットシート。
【請求項3】
前記水性洗浄剤の含浸率が、含浸前のウエットシートに対して100〜500重量%であり、
400gf/100cm2荷重下での該水性洗浄剤の放出量が0.001〜0.02g/100cm2である請求項1又は2記載の清掃用ウエットシート。
【請求項4】
前記繊維集合体の内部に網状シートが配されており、該繊維集合体の構成繊維が網状シートに交絡している請求項1ないし3の何れかに記載の清掃用ウエットシート。
【請求項5】
前記凸部内に、複数の小凸部及び小凹部が形成されている請求項1ないし4の何れかに記載の清掃用ウエットシート。
【請求項6】
前記繊維集合体が、親水性の合成繊維を含む請求項1ないし5の何れかに記載の清掃用ウエットシート。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として繊維材料からなる清掃用ウエットシートに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維材料からなり水性洗浄剤が含浸された清掃用ウエットシートは、水性洗浄剤が含浸されていない清掃用ドライシートと異なり、構成繊維の交絡状態を低くして繊維を緩く絡ませただけでは、繊維の絡み合いに起因する髪の毛などのダストの捕集性能を高めることが容易でない。この理由は、洗浄剤によって構成繊維間の相互作用が強くなり、繊維の自由度が低下する傾向にあるからである。また、シートから清掃対象面に放出された洗浄剤の界面張力によってダストが清掃対象面に付着しやすくなる傾向にあるからである。これらの傾向は、ワイパーなどの清掃道具にシートを装着して使用した場合に顕著になる。
【0003】
清掃用ウエットシートに対する別の課題として、洗浄剤の過剰放出の防止がある。洗浄剤が過剰に放出されると、それに起因して清掃時の摩擦抵抗が高まり、清掃の操作性を低下させる可能性がある。
【0004】
以上のような課題に対して、本出願人は先に、繊維絡合で形成された不織布からなり、その表面層のサンドペーパー(粒度1200番)に対する静摩擦抵抗値が、900〜2500cNである低絡合状態になっている清掃用ウエットシートを提案した(特許文献1参照)。このウエットシートは、エンボス加工を施して形成された菱形形状の凹凸模様を有している。エンボス加工による凹凸模様の形成は、清掃対象面との接触面積を低減させ清掃時のシートの操作性を高めることを目的としている。
【0005】
このウエットシートとは別に本出願人は、繊維ウエブを水流交絡させて形成された繊維集合体及び網状シートを具備し、該繊維集合体から構成される多数の凹凸部を有するシートであって、前記水流交絡によって前記繊維ウエブの構成繊維間が絡合していると共に該構成繊維と前記網状シートとが絡合して両者が一体化されている嵩高シートも提案した(特許文献2参照)。この嵩高シートは、フローリングの溝、家具や電化製品の凹凸面に存するダストの捕集性に優れたものである。しかし特許文献2には、洗浄剤の放出量の制御を始めとするウエットシートに要求される各種特性についての記載はない。
【0006】
【特許文献1】特開2001−269300号公報
【特許文献2】特開2001−336052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前述した従来技術のシートよりも更に性能が向上した清掃用ウエットシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、繊維ウエブを水流交絡させて形成された繊維集合体を具備し、該繊維集合体に水性洗浄剤が含浸されてなり、
前記繊維集合体の少なくとも一面が、該繊維集合体の構成繊維の交絡によって形成された多数の凸部と、該凸部を取り囲む形状の凹部とを有し、
前記繊維集合体の前記一面は、サンドペーパー(粒度1200番)に対する静摩擦抵抗値が900〜2500cNである清掃用ウエットシートを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の清掃用ウエットシートは、髪の毛や固形ゴミを始めとするダストの捕集性能が高いものである。また、清掃時の摩擦抵抗が低く、操作性が良好なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の清掃用ウエットシートの一実施形態の斜視図が示されている。図2は、図1におけるII−II線断面図である。本実施形態のウエットシート10は、主として繊維材料から構成されている繊維シートに水性洗浄剤が含浸されてなるものである。ウエットシート10は、繊維ウエブの水流交絡で形成された繊維集合体11と、繊維集合体11の内部に配された網状シート12とから構成されている。繊維集合体11と網状シート12とは、水流交絡によって繊維集合体11の構成繊維が網状シート12と絡合し、両者が一体化している。
【0011】
繊維集合体11はその構成繊維の絡合のみによって形成されていることが好ましい。こうすることで、熱可塑性樹脂からなる繊維を融着することで結合した繊維集合体と異なり、ウエットシート10は肌触りが良くなり、髪の毛や細かなダスト等の汚れの捕集性及び保持性に優れるようになる。
【0012】
清掃用ウエットシート10は、凹部21及び凸部22を有している。凸部22は、凹部21によって取り囲まれている。図1に示すように、凹部21は菱形の格子状の形状をしている。凹部21の菱形格子は、ウエットシート10の平面方向にわたって連続している。凸部22は凹部22の各格子内にそれぞれ位置している。凹部21は連続した閉じた形状をしているので、凸部22は、凹部21によって区画され個々独立している。凸部22は、凹部21の菱形格子の格子内の形状に対応した菱形をしている。尤も、凸部21を取り囲む凹部22は必ずしも連続した閉じた形状をしていなくてもよい。例えば凸部21を取り囲む見掛けの凹部22の面積に対して、30%未満、特に10%未満の面積率で、凹部21が一部欠落して不連続の閉じた形状をなしていてもよい。
【0013】
凹部21及び凸部22は、それらの繊維密度及び厚みによって区別される。具体的には、凹部21は、凸部22に比較して繊維密度が大きく且つ厚みが小さくなっている。一方、凸部22は、凹部21に比較して繊維密度が小さく且つ厚みが大きくなっている。その結果、ウエットシート10においては、その少なくとも一方の面側において、厚みの大きな凸部22と、厚みの小さな凹部21とが形成されている。これら凹部21及び凸部22が形成されていることで、ウエットシート10の少なくとも一面は凹凸形状を有し、該シート10は嵩高な構造になっている。
【0014】
厚みの大きな凸部22内には、複数の小凸部31及び小凹部32が形成されている。小凸部31は、凸部22を構成する繊維集合体が、凸部22の一方の面側から他方の面側に突出して形成されている。そして小凸部31間に小凹部32が位置している。その結果、凸部22は全体として凹凸形状となっている。
【0015】
小凸部31は、それぞれ略同じ大きさで、やや細長い幅狭な山型形状をしており、規則的に設けられている。小凸部31は小凹部32によって区切られた個々独立した形状をしているが、シート10の幅方向及び/又は長手方向に関し、一部がつながって連続体となっていても良い。
【0016】
このようにウエットシート10は、厚みが大きく凸状となっている凸部22と厚みが小さく凹状となっている凹部21とを有し、更に凸部22が小凸部31及び小凹部32を有するという二重の凹凸構造となっている。厚みの大きな凸部22においては、繊維自由度が高くなっている。その結果、フローリングの溝や凹凸面に対する汚れの清掃性に優れ、パン粉等の比較的大きな汚れの捕集性及び保持性に優れたものとなる。また、髪の毛や細かなダスト等の汚れの捕集性および保持性に優れたものとなる。
【0017】
また、繊維密度の小さな凸部22が、閉じた形状をしており且つ繊維密度の大きな凹部21によって取り囲まれていることで、凸部22における繊維自由度を高めつつ、凸部22における繊維の毛羽立ちや繊維の抜けを効果的に防止することができる。
【0018】
凹部21が、凸部22よりも繊維密度が高いことは先に述べた通りであるが、凹部21の繊維密度それ自体は0.020〜0.65g/cm3、特に0.035〜0.50g/cm3であることが、繊維自由度の高い凸部22における繊維の毛羽立ちや繊維の抜けを効果的に防止する点から好ましい。一方、凸部22の繊維密度は、凹部21の繊維密度よりも低いことを条件として、0.005〜0.65g/cm3、特に0.01〜0.40g/cm3であることが、ダスト捕集性の向上の点から好ましい。
【0019】
上述の繊維の毛羽立ち及び繊維の抜け並びに繊維自由度に関連して、繊維集合体11の構成繊維の繊維長は20〜100mm、特に30〜70mmであることが、繊維自由度を高めつつ、繊維の毛羽立ち及び繊維の抜けを防止する観点から好ましい。繊維集合体11が複数の繊維を含む場合には、それらの繊維の平均繊維径が前記の範囲内であることが好ましい。
【0020】
凹部21及び凸部22の繊維密度は、次の方法で測定される。ウエットシート10から所定の面積の凹部21及び凸部22をそれぞれレーザー厚み計で50mmの長さ測定し、極大点10ケ所の平均を計算し厚みとする。また、重量を測定し、測定された重量を面積で除して坪量を算出する。測定された厚みと、算出された坪量とから繊維密度を算出する。算出された繊維密度の平均値を、本発明における繊維密度と定義する。
【0021】
凸部22は、凹部21よりも厚みが大きくなっている。従ってウエットシート10の表面のうち、清掃対象面と接触するのは主として凸部22となり、凹部21は清掃対象面に接触しづらい状態になっている。その結果、ウエットシート10と清掃対象面との接触面積が低減するので、ウエットシート10を、例えば液が含浸されたウエットタイプの清掃用シートとして用いる場合に、拭き取り時の抵抗が小さくなる。この観点から、凸部22はその厚みが1.0〜5.0mm、特に1.2〜4.0mmであることが好ましい。一方、凹部21はその厚みが0.1〜1.5mmであることが好ましい。
【0022】
凸部22に比較して、凹部21は清掃対象面に接触しづらい状態になっているが、清掃に関与する領域となっている。特に、パンくずや菓子くずなどの比較的大きなダストを捕集しやすい。この理由は、(イ)凹部21と清掃対象面との間に、比較的大きなダストを包囲する空間が形成されること、及び(ロ)凹部21は、繊維密度が高くなってはいるものの、繊維の絡合のみによって形成されているので、ダストの絡み取り性を有していることによるものである。これに対して、例えば特許文献1に記載されているようなヒートエンボス加工によって形成された凹部は、繊維どうしが融着した状態になっているので、ダストの絡み取り性を有していない。つまり、清掃に関与する領域とはなっていない。
【0023】
凹部21及び凸部22の厚みは、次の方法で測定される。ウエットシート10から所定の面積の凹部21及び凸部22をそれぞれレーザー厚み計で50mmの長さ測定し、極大点10ケ所の平均を計算しこの平均値を、本発明における厚みと定義する。
【0024】
凹部21と凸部22の面積比は、拭き取り時の抵抗に影響を及ぼす。即ち、凸部22の面積が凹部21の面積に比較して過大になると、凸部22の接触面積が増大しすぎて、拭き取り時の抵抗が大きくなってしまう。一方、凹部21の面積が凸部22の面積に比較して過大になると、繊維自由度の高い凸部22の面積が少なくなりすぎて、ダストの絡み取り性が低下する傾向にある。また、液の含浸性や、含浸された液の徐放性も低下する傾向になる。これらのことを勘案すると、凹部21の面積率は10〜70%、特に20〜60%であることが好ましく、凸部22の面積率は30〜90%、特に40〜80%であることが好ましい。また凸部22の個々の面積は、1〜15cm2、特に2〜10cm2であることが好ましい。
【0025】
本実施形態における凸部22は、前述した通り菱形をしているが、凸部22の形状はこれに限られない。尤も、凸部22は、あまりに異方性の大きな形状でないことが好ましい。異方性が大きい形状とは、凸部22を横切る線のうち、凸部22を横切る部分の長さが最も長くなる線(この線を縦方向最長横断線という)における当該横切る部分の長さ(この長さを縦方向最大横断長Lmという)と、縦方向最長横断線と直交する線のうち、凸部22を横切る部分の長さが最も長くなる線(この線を横方向最長横断線という)における当該横切る部分の長さ(この長さを横方向最大横断長Ltという)との比Lm/Ltが10以上であることをいう。
【0026】
ウエットシート10においては、凸部22の繊維自由度が高いことは既に述べた通りであるが、その繊維自由度、即ち繊維交絡状態の程度に関し、本実施形態においては、静摩擦抵抗値を採用することができる。静摩擦抵抗値は、図3に示す方法で測定される。即ち、サンドペーパー(3M社製耐水ペーパー Techno sander 粒度1200番)100を張り付けた、底面が10cm×10cmの重り(サンドペーパーを含む全重量400g)101を、水平な台102上にしっかりと固定された、水性洗浄剤の含浸されたウエットシート10(200mm×280mm)表面に、サンドペーパー100のサンド面がウエットシート10に対面するように載置する。ウエットシート10はその凹凸面が、サンドペーパー100のサンド面に対向するようにする。重りの側面に糸103を取り付け、この糸103の他端を滑車104を介して引張試験機(オリエンティック社製、RTM−25)のロードセル105に取り付ける。引張試験機を作動させ、重り101を500mm/minの速度で 水平に30mm移動させ、その際の初期の最大静摩擦抵抗値を測定し、これをウエットシート10の繊維交絡度の指標とする。測定は、ウエットシート10の製造工程におけるシートの流れ方向(MD)と幅方向(CD)について実施する。サンドペーパーは1回の測定ごとに新しいものに交換する。
【0027】
水性洗浄剤の含浸されたウエットシート10においては、繊維が低交絡状態、即ち、繊維1本1本の自由度が高い状態である程、繊維がサンドペーパーに引っかかるために、静摩擦抵抗値は高い値を示す傾向が認められる。
【0028】
繊維交絡状態の指標となるウエットシート10の静摩擦抵抗値は、900〜2500cNである。900cN未満であると、髪の毛や綿ボコリの良好な絡み取り性が得られにくい。2500cNを超えるとシートの表面強度が弱くなって繊維が床板のバリ等に引っかかり、繊維が脱落し易くなり、またモップの操作性が重くなる。髪の毛・綿ボコリの絡み取り性とウエットシート10の表面強度、モップの操作性を両立する観点からは、静摩擦抵抗値は1100〜2200cN、特に1200〜2000cNの範囲が好ましい。ウエットシート10のMD及びCDの何れの方向においても静摩擦抵抗値が前記範囲内であることが最も好ましいが、少なくとも何れか一方の方向における静摩擦抵抗値が前記範囲内であれば十分である。
【0029】
ウエットシート10における凸部22が小凸部31及び小凹部32を有していることは先に述べた通りであるが、この小凸部31及び小凹部32は、繊維集合体11に対して施した水流交絡による構成繊維の再配列・再絡合により形成されている。それによって小凸部31及び小凹部32はそれ自身でその形態を保持している。従って、小凸部31及び小凹部32は荷重に対してへたり難いものとなっている。小凸部31及び小凹部32が形成されることに起因して、ウエットシート10の見掛け厚みは、小凸部31及び小凹部32が形成される前の繊維集合体11の厚みよりも大きくなる。
【0030】
「繊維の再配列・再絡合により形成されている」とは、水流交絡により一度弱く絡合された繊維集合体が凹凸賦形部材上で再度水流交絡されることにより、繊維が該賦形部材の凹凸部に沿って配列し直し、再び絡合されることをいう。
【0031】
小凸部31及び小凹部32は、繊維集合体11が厚さ方向に屈曲様になることで形成されている。そして、屈曲様の繊維集合体11に形成された多数の屈曲部が小凸部31及び小凹部32にそれぞれ相当する。前述の通り小凸部31及び小凹部32は繊維の再配列によって形成されているが、その場合、高圧水の圧力によって、小凸部31の構成繊維が小凹部32の方へ流れ込むことに起因する繊維の分配は極めて低い程度に抑えられている。尚、繊維の分配が更に進むと、小凸部31のあったところに孔があいてしまう。繊維の分配が起こらないように繊維集合体11を屈曲様とさせるには、例えば水流交絡の際に加えられるエネルギーを調整すればよい。
【0032】
ウエットシート10においては、その凹部21が多数の小凸状部41を有している。小凸状部41は略ドーム状をなしており、その内部は中空になっている。小凸状部41は凹部21の全域にわたって規則的に形成されている。小凸状部41は、その厚み(高さ)が、凸部22の厚み(高さ)よりも小さくなっている。凹部21に小凸部状41を形成することで、凹部21におけるダスト捕集性をより高められるという利点がある。
【0033】
平面視したとき、小凸状部41はその形状が円形であり、その直径は0.5〜5mm、特に1〜3mmであることが好ましい。また、小凸状部41は、1cm2の面積内に平均して1〜10個、特に2〜6個存在していることが好ましい。
【0034】
次に、ウエットシート10を構成する繊維集合体11及び網状シート12について説明する。繊維集合体11は、繊維ウエブの水流交絡によりその構成繊維同士が絡合して形成された不織布状のものである。繊維集合体11は、好ましくは構成繊維の絡合のみによって形成されているので、構成繊維の融着や接着のみによって形成されているウエブと比べてその構成繊維の自由度が大きい。このため、その構成繊維による髪の毛や細かなダスト等の汚れの捕集性および保持性に優れると共に肌触りが良い。
【0035】
繊維集合体11を構成する繊維としては、例えば、本出願人の先の出願に係る米国特許第5,525,397号明細書の第4欄3〜10行に記載の繊維が使用できる。繊維集合体11は、繊度は5dtex以下の繊維を50重量%以上、特に3.5dtex以下の繊維を70重量%以上含んでいることが、ウエットシート10に孔あきが発生することの防止、十分な嵩高さの発現及び維持の点から好ましい。また、髪の毛の汚れの捕集性及び保持性に優れることからも好ましい。繊維集合体11の坪量、構成繊維の繊維長は、加工性、コスト等を総合的に勘案して清掃用ウエットシートの用途に応じて決定される。繊維集合体11の坪量は30〜100g/m2 、特に40〜70g/m2であることが、ウエットシート10に孔あきが発生することの防止、十分な嵩高さの発現、及び嵩高さの維持の点から好ましい。繊維集合体の表面物理的特性を向上させ、またダストの捕集性を向上させ得る界面活性剤や潤滑剤を、繊維集合体に賦与してもよい。
【0036】
繊維集合体11は親水性繊維、例えばセルロース繊維やポリアクリロニトリル繊維を含むことが好ましい。セルロース繊維としては、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットンの繊維などが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、親水性の合成繊維を用いることも好ましい。親水性の合成繊維を用いることで、シート10は、含浸された洗浄剤の保持性を高めつつ、セルロース繊維だけを使用した場合に比べて嵩高となり、清掃性、操作性、風合いが一層良好になる。親水性の合成繊維としては、アクリル繊維や、繊維油剤などの親水化剤による処理で親水化されたポリエチレンテレフタレート繊維などを用いることが好ましい。親水化処理の方法としては、親水化剤による表面付着処理や練り込みなどが挙げられる。親水化剤としては、一般的な繊維用界面活性剤などを用いることができる。親水化剤は、初期親水性能だけでなく耐久親水性能があることが好ましい。初期親水性及び耐久親水性の評価法としては、綿玉法(初期親水性:カードウェブ1.0gを丸め、直径7cmの玉状にし、静かに水面に置いてから綿玉が完全に沈むまでの秒数。耐久親水性:浴比1:200の純水(綿玉1gに対して純水を200g用いる)で30分間振とう機で振とう後、乾燥した綿で初期親水性と同様の評価を行い秒数を求める)などが挙げられる。そして、この方法で測定された初期親水性が0.1〜20秒、耐久親水性が0.2〜30秒であることが好ましい。親水性の度合いとしては、JIS L1907 5.1.2に規定されるバイレック法で、シート10の縦方向及び横方向ともに、10分後の吸い上げ高さが2mm以上あることが好ましい。
【0037】
また、繊維集合体11は異形断面を有する繊維を含むことが好ましい。具体的には、毛管力によって水性洗浄剤を保持することが可能な形状の異形断面を有する繊維を含むことが好ましい。これによって、繊維が保持し得る洗浄剤の量が高まり、繊維集合体全体としての洗浄剤の含浸量を高めることができる。前記の異形断面形状としては、例えばC字形、Y字形、中空、β字形が挙げられる。
【0038】
繊維集合体の内部に配されている網状シート12は、全体として矩形の格子状に形成された樹脂製のネットである。網状シート12は、その通気度が0.1〜1000cm3/(cm2・sec)あることが好ましい。この範囲の通気度であれば網状シート12としてネット以外に、不織布、紙、フィルム等を用いることもできる。繊維集合体11はその構成繊維間で絡合しているのみならず、繊維集合体11の構成繊維が網状シート12と絡合及び/又は融着していることが好ましい。これによってウエットシート10の引っ張り強度が向上している。網状シート12がネットである場合、その線径は好ましくは50〜600μm、更に好ましくは75〜350μmである。また、線間距離は好ましくは2〜30mm、更に好ましくは4〜20mmである。網状シート12の構成材料としては、例えば、米国特許第5,525,397号明細書の第3欄39〜46行に記載の材料が使用できる。なお、網状シート12の構成材料として熱収縮性のものを用いることは妨げられない。尤も網状シート12は、熱収縮性でないか、又は熱収縮性であるとしても140℃で3分間加熱した後の熱収縮率が3%以下の低熱収縮性であることが好ましい。
【0039】
ウエットシート10は、その坪量が40〜200g/m2 、持に50〜100g/m2 であることが、シートに適度な厚手感が賦与されると共に、加工適性の向上が図られる点から好ましい。また、液の含浸性が十分となる点からも好ましい。
【0040】
ウエットシート10に含まれる水性洗浄剤としては、25℃での粘度が20〜30000mPa・sのものを用いることが好ましい。この範囲の粘度の水性洗浄剤を用いることにより、(1)清掃初期に床に放出される水性洗浄剤の量が低減されて、清掃の最初から最後までの水性洗浄剤の放出量が均一になり、(2)広い面積の被清掃面に対する清掃持続性が向上し、(3)清掃初期でも水性洗浄剤の放出量が低いので、ウエットシートの清掃対象面に対する摩擦抵抗値が低下し、(4)清掃初期でも水性洗浄剤の放出量が低いので、ウエットシート表面の繊維自由度が大きく、髪の毛や綿ボコリを繊維によって絡み取って保持するという利点がある。詳細には、水性洗浄剤の粘度が20mPa・s未満であると、清掃初期に床に放出される水性洗浄剤の量を低減させにくいことがある。30000Pa・sを超えると、水性洗浄剤をシートに含浸することが困難になる場合がある。清掃初期の水性洗浄剤放出量の低減及びシートへの水性洗浄剤の含浸工程でのハンドリング性を一層向上させる点から、前記粘度は100〜1000mPa・s、特に300〜800mPa・sであることがより好ましい。粘度はブルックフィールド型粘度計を用いて測定される。使用ローター及び回転数は、水性洗浄剤の粘度に応じて適宜変更する。
【0041】
水性洗浄剤は、水不溶性の固体粒子を実質的に含んでいないことが好ましい。水性洗浄剤に水不溶性の固体粒子が配合された場合、清掃対象面にその固体粒子が残留し、二度拭きを要することがある。ただし、不純物等として微量、例えば0.1重量%程度まで含まれていても差し支えはない。
【0042】
水性洗浄剤は水を媒体とし、界面活性剤、アルカリ剤、増粘剤及び水溶性溶剤を含有することが好ましい。水性洗浄剤に含有される各成分はすべて実質的に水溶性であることが好ましい。水性洗浄剤中に含有される不揮発残留成分については、10重量%以下であることが清掃後の仕上がり性の面で好ましく、特に5重量%以下、とりわけ1重量%以下であることが好ましい。
【0043】
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の何れもが用いられ、特に洗浄性と仕上がり性の両立の面から、ポリオキシアルキレン(アルキレンオキサイド付加モル数1〜20)アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エーテル、アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)グリコシド(平均糖縮合度1〜5)、ソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エステル、及びアルキル(炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖)グリセリルエーテル等の非イオン活性剤並びにアルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドカルボキシベタイン、アルキルアミドスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン等のアルキル炭素数8〜24の両性界面活性剤が好適に用いられる。界面活性剤は、水性洗浄剤中に、0.01〜1.0重量%、特に0.05〜0.5重量%含有されることが、洗浄性及び被清掃面の仕上がり性の面で好ましい。
【0044】
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、硫酸水素ナトリウム等のアルカリ性の硫酸塩、第1リン酸ナトリウム等のリン酸塩、酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア、モノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリン等が挙げられ、特に感触とpHの緩衝性の点でモノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリンが好ましい。アルカリ剤は、水性洗浄剤中に、0.01〜1重量%、特に0.05〜0.5重量%含有されることが、洗浄性及び感触の面で好ましい。
【0045】
増粘剤としては、天然多糖類、セルロース系高分子及びデンプン系高分子等の半合成高分子、ビニル系高分子及びポリエチレンオキシド等のその他合成高分子、粘土鉱物等の水溶性高分子が挙げられる。特にベタツキ感、ヌルツキ感の低いポリアクリル酸系増粘剤若しくはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体系増粘剤又はこれらの混合物が好ましい。これらアクリル酸系増粘剤は、ナトリウム塩の状態で粘性を発現するのが好ましい。増粘剤は、水性洗浄剤中に、0.01〜2重量%、特に0.02〜1重量%含有されることが、被清掃面の仕上がり性の点で好ましい。
【0046】
水溶性溶剤としては、1価アルコール、多価アルコール及びその誘導体から選ばれる1種以上のものが好適である。特に仕上がり性の点から蒸気圧267Pa(2mmHg)以上のものが好ましい。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましい。水溶性溶剤は、水性洗浄剤中に、1〜50重量%、特に1〜20重量%含有されることが、臭い及び皮膚刺激性の低減の点から好ましい。
【0047】
水性洗浄剤には、前述の成分に加えて除菌剤を含有させることもできる。これによって、水性洗浄剤に、洗浄効果に加えて除菌効果を付与することができる。除菌剤としては、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、第4級アンモニウム塩、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ナトリウム、天然除菌剤等が挙げられ、特に配合安定性と除菌性能の点から、第4級アンモニウム塩、天然除菌剤のポリリジン等が好ましく用いられる。除菌剤は、水性洗浄剤中に、0.005〜2重量%、特に0.01〜1重量%含有されることが、除菌効果と皮膚刺激性低減とのバランスの点から好ましい。
【0048】
更に、水性洗浄剤には必要に応じ、香料、防黴剤、色素(染料、顔料)、キレート剤、ワックス剤等を含有させることもできる。
【0049】
水性洗浄剤の媒体である水は、水性洗浄剤中に、50〜99.9重量%、特に80〜99重量%含有されることが、被清掃面の仕上がり性の点から好ましい。
【0050】
清掃性能や洗浄剤の徐放性を考慮すると、水性洗浄剤の含浸率は、含浸前のウエットシート10に対して100〜500重量%であることが好ましい。清掃性の一層の向上の点から、水性洗浄剤の含浸率は200〜400重量%であることがより好ましい。水性洗浄剤のシート10への含浸率は、水性洗浄剤を含浸させてそのままの状態またはマングル処理等で過剰の水性洗浄剤を除去した後、シート10の重量に対して無荷重下で測定される。
【0051】
前記の範囲の含浸率になっているウエットシート10は、400gf/100cm2荷重下での水性洗浄剤の放出量が0.001〜0.02g/100cm2、特に0.001〜0.01g/100cm2、とりわけ0.002〜0.01g/100cm2であることが好ましい。この範囲の放出量とすることで、シミ汚れの除去性が良好になり、またモップ状の清掃道具にウエットシート10を装着して清掃するときの操作性を良好にできる。洗浄剤放出量は、図4に示す方法で測定される。即ち、水性洗浄剤が所定量含浸されてなるウエットシート10を、圧縮すること無く100×100mmの大きさに裁断する。110×110mmの大きさのアクリル板200の上に、このウエットシート10を載置する。底面が100×100mmの大きさの重り201(400g)をウエットシート10の上に載せて1分間放置した後、重り201及びウエットシート10を取り去って、アクリル板200の上に放出された洗浄剤の量を天秤で速やかに測定する。
【0052】
次に、図1及び図2に示すウエットシート10の好ましい製造方法を、図5を参照しながら説明する。本実施形態のウエットシート10の製造方法においては、網状シート12の各面に上層繊維ウエブ11a及び下層繊維ウエブ11bをそれぞれ重合する重合工程と、水流交絡によって繊維ウエブ11a及び11bの構成繊維間を絡合させて繊維集合体を形成すると共に該構成繊維を網状シート12と絡合させて、これらが一体化された積層体13を形成する交絡工程と、該積層体13に凹凸を付与する凹凸賦与工程とが、この順で進行する。
【0053】
図5に示す製造装置50は、重合部60、交絡部70、凹凸賦与部80及び脱水部90に大別される。重合部60は、繊維ウエブ1la及び1lbをそれぞれ製造するカード機61及び62と、繊維ウエブl1a及びl1bの繰り出しロール63,63と、網状シートの繰り出しロール64とを備えている。交絡部70は、周面が透水性になっているドラム71と、ドラム71の周面に向けて高圧水流を噴射するようになっている複数の第1のウォータージェットノズル72とを備えている。凹凸賦与部80は、周面が透水性になっているドラム81と、ドラム81の周面に向けて高圧水流を噴射するようになっている複数の第2のウォータージェットノズル82とを備えている。脱水部はサクションボックス91を備えている。
【0054】
図6には、凹凸賦与部80の要部が拡大して示されている。ドラム81の周面には、多数の凹凸部を有する第1パターニング部材83が、該周面に沿って設置されている。第1パターニング部材83の上には、多数の開孔を有する第2パターニング部材84が、ドラム81の周面に沿って設置されている。
【0055】
凹凸賦与部80における第1パターニング部材83について、図7(a)〜図7(c)を参照しながら更に説明する。図7(a)は第1パターニング部材83の要部拡大平面図であり、図7(b)は図7(a)におけるb−b線断面図であり、図7(c)は図7(a)におけるc−c線断面図である。第1パターニング部材83は、直線状の線状材83aとスパイラル状の線状材83bとから構成されている。直線状の線状材83aは、その横断面が例えば円形や楕円形であり、その複数本が等間隔で互いに平行に位置するように配列されている。また直線状の線状材83aは同一平面上に位置するように配列されていことが好ましい。そして、隣り合う2本の直線状の線状材83aに1本のスパイラル状の線状材83bが巻き付いている。隣り合うスパイラル状の線状材83bの巻きの方向及び巻きのピッチは何れも同じになっている。スパイラル状の線状材83bは、同一径の円形断面を有する二本の線状材を並列・一体化させた横断面形状を有するものである。勿論、一本又は三本以上の線状材を用いてもよい。そして、スパイラル状の線状材83bは、その横断面においてこの二本の線状材の中心を結ぶ線が、該スパイラル状の線状材83bの何れの位置においても直線状の線状材83aと平行になるように巻かれている。スパイラル状の線状材83bは、その横断面が円形でも楕円形でもよい。両線状材83a,83bは金属や合成樹脂から構成されている。
【0056】
図7(c)に示すように、スパイラルの線状材83bは、その巻きの軸方向からみて、楕円形を描くように巻かれている。この場合、楕円の長軸が、直線状の線状材83aの配列面と平行となるように、スパイラル状の線状材83bは巻かれる。スパイラル状の線状材83bは、円形や三角形を描くように巻かれてもよい。
【0057】
図7(b)に示すように、スパイラル状の線状材83bは、直線状の線状材83aの配列面83cを基準面として、その上面側に多数の最高部83dを有しており、一方その下面側に多数の最低部83eを有し、これによって第1パターニング部材83は多数の凹凸部を有している。第1パターニング部材83における凸部は、図7(b)中、符号83fで示される位置、即ち、前記最高部83d及びその近傍の位置である。一方、第1パターニング部材83における凹部は、図7(b)中、符号83gで示される位置、即ち、隣り合う2つの最高部83d間の位置である。
【0058】
第1パターニング部材83における隣り合う直線状の線状材83a間の間隔ap は、製造されるウエットシート10における凸部31の長さを決定する。また、スパイラル状の線状材83bにおける巻きの1周期長(ピッチ)bp が、製造されるウエットシート10における凸部31のピッチを決定し、スパイラル状の線状材83bの横断面の幅bd が凸部31の幅を決定する。更に、スパイラル状の線状材83bにおける巻きの径(楕円の短径)bh が、製造されるウエットシート10の凸部22における厚みを決定する。
【0059】
直線状の線状材83aの幅ad は好ましくは0.5〜5mm、更に好ましくは1〜3mmであり、ピッチap は好ましくは2〜20mm、更に好ましくは3〜15mmである。また、スパイラル状の線状材83bの幅bd は好ましくは0.5〜10mm、更に好ましくは1〜6mmであり、巻きのピッチbp は好ましくは1〜12mm、更に好ましくは2〜7mmである。更にスパイラル状の線状材83bの巻きの径(短径)bh は好ましくは3〜18mm、更に好ましくは5〜15mmである。両線状材83a,83bにおける各値が前記範囲内であることによって、得られるウエットシート10の凸部22に十分な凹凸形状を賦与できる。第1パターニング部材83は、ある程度の厚みがあることが好ましく、具体的にはその厚みが3〜25mm、特に5〜15mmであることが、十分に高い嵩高さを賦与し得る点、及び凹凸賦与の際のエネルギー効率の点から好ましい。
【0060】
図8には、凹凸賦与部80における第2パターニング部材84が示されている第2パターニング部材84は、菱形の格子状をした板状体である。格子によって取り囲まれた部分は菱形の開孔84aになっている。つまり第2パターニング部材84は多数の開孔84aを有している。この開孔84aとは別に、格子の部分には、多数の透孔84bが規則的に設けられている。透孔84bは、開孔84aよりも小さなサイズになっている。第2パターニング部材84は、例えばステンレス等の金属やプラスチックから構成されている。耐久性を考慮すると金属製であることが好ましい。
【0061】
このような構成の製造装置50において、先ず、重合部60におけるカード機61,62の各々から連続的に繊維ウエブ1la及びl1bがその繰り出しロール63、63を介してそれぞれ繰り出される。一方、カード機61,62の間には網状シート12のロール12aが配設され、ロール12aの繰り出しロール64から網状シート12が繰り出される。そして網状シート12の両面に、繊維ウエブ1la及び1lbがそれぞれ重ね合わされて重合体65が形成される。
【0062】
交絡部70において、重合体65は透水性ドラム71の周面に抱かれた状態下に、第1のウォータージェットノズル72から噴出される高圧のジェット水流によって交絡処理される。これによって、重合体65中の繊維ウエブ1la,1lbの構成繊維間が絡合されて繊維集合体が形成される。これと共に該構成織維が網状シート12と絡合して、これらが一体化された積層体13が得られる。この積層体13は、網状シート12を内部に含むスパンレース不織布である。この場合、積層体13における繊維集合体を構成する繊維は低絡合状態であることが好ましい。その絡合状態は交絡係数で表して0.05〜2N・m/g、特に0.2〜1.2N・m/gであることが好ましい。積層体13における繊維集合体を構成する繊維の絡合状態をこの範囲でコントロールすることにより、後述する凹凸賦与部80における凹凸賦与時に穴空きなどを生ずること無く、明瞭な凹凸形状が賦与された清掃用ウエットシートを得ることができる。そして、この清掃用ウエットシートを例えば清掃用シートとして使用すると、髪の毛などの繊維状ダストを良好に捕集・保持することができる。
【0063】
交絡係数は構成繊維間の絡合状態を表す尺度であり、一体化された積層体13の繊維集合体11における、その繊維配向に対する垂直方向の応力−ひずみ曲線の初期勾配で表され、その値が小さいほど繊維間の絡合が弱いといえる。このとき、繊維配向とは引張強度試験時の最大点荷重値が最大となる方向であり、応力は引張荷重をつかみ幅(引張強度試験時の試験片幅)及び繊維集合体11の坪量で割った値であり、ひずみは伸び量を示す。
【0064】
なお図5においては、重合体65の一方の面のみに高圧のジェット水流が噴射されて交絡処理が行われたが、これに代えて重合体65の各面にジェット水流を噴射して、各面から交絡処理を行ってもよい。
【0065】
積層体13は、凹凸賦与部80において、第1パターニング部材83上に第2パターニング部材84が設置された凹凸賦形部材上に配される。該賦形部材上に配された状態下に、積層体13に向けて、第2のウォータージェットノズル82から高圧のジェット水流が噴射されて該積層体13が部分的に加圧される。この状態を図9に示す。図9に示すように、積層体13のうち、第2パターニング部材84の開孔84a(図8参照)内において露出している第1パターニング部材83の凹部内に、積層体13における繊維集合体の一部が突出する。突出する部分は、第1パターニング部材83の凹部83g(図7参照)上に位置する部分である。その結果、突出した部分は凹部83gに対応する小凹部32となる。凸部83f(図7参照)上に位置する部分は突出されず、小凸部31とる。このようにして、小凸部31及び小凹部32を有する凸状の凸部22が形成される。繊維集合体が突出して凸部22が形成されることで、凸部22はその繊維密度が、ジェット水流の噴射前よりも低くなる。
【0066】
一方、積層体13のうち、第2パターニング部材84上に位置する繊維集合体は、高圧のジェット水流の噴射を受けても、その突出が第2パターニング部材84によって規制される。尤も、第2パターニング部材84に形成された透孔84b(図8参照)の部分においては、高圧のジェット水流の噴射によって繊維集合体が突出する。このようにして、小凸状部41を多数有する凹部21が形成される。繊維集合体の突出が規制される凹部21は、その繊維密度がジェット水流の噴射前と殆ど変化しない。
【0067】
以上の通りの操作によって、凹凸形状が賦与された繊維シート10aが得られる。凸部22における小凸部31の形状等は、第1パターニング部材83の種類や、交絡部70及び凹凸賦与部80おける高圧ジェット水流によって繊維集合体に加わる絡合エネルギーに応じて決定される。この絡合エネルギーはウォータージェットノズルのノズル形状、ノズルピッチ、水圧、ノズル段(本)数及びラインスピード等の条件によってコントロールされる。
【0068】
得られた繊維シート10aは、脱水部90に設置されたサクションボックス91によって脱水され、更に乾燥されて巻き取られる。繊維シート10aは連続したシート状態となっており、これをロール状に巻き取ってもよいし、必要な長さに切断してもよい。最後に、繊維シート10aに対して所定の配合組成を有する洗浄剤が所定量含浸されて、目的とするウエットシート10が得られる。なお、繊維シート10aにおける凹凸賦与された凸部22の繊維集合体11の交絡係数は、凹凸賦与前の交絡係数と同程度であること、即ち0.05〜2N・m/g、特に0.2〜1.2N・m/gであることが好ましい。
【0069】
以上の通り、本製造方法によれば、第1パターニング部材83及び第2パターニング部材84として種々のものを組み合わせて用いることによって、所望の凹凸形状が賦与されたウエットシート10を容易に得ることができる。
【0070】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては繊維集合体11の一方の面にのみ凹凸賦形が施されて凹部21及び凸部22が形成されたが、これに代えて繊維集合体11の各面に凹凸賦形を施すことで、繊維集合体11の各面に凹部21及び凸部22を形成してもよい。
【実施例】
【0071】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
【0072】
〔実施例1〕
図5ないし図8に示す製造装置を用いて図1及び図2に示すウエットシートを製造した。用いた原料は以下の表1に示す通りである。また、水性洗浄剤は、水/エタノール/2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール/ドデシルグルコシド(縮合度1.4)/増粘剤(カーボポールETD2020、日光ケミカル社製)=93.73/6/0.1/0.1/0.07(重量比)からなるものであった(粘度:500mPa・s/25℃)。カーボポールETD2020はアクリル酸・メタクリル酸アルキル(炭素数10〜30)共重合体である。水性洗浄剤の不揮発残留成分は0.17%であった。水性洗浄剤の含浸率は350重量%とした。得られたシートについて、上述の方法で静摩擦抵抗値及び400gf/100cm2荷重下での水性洗浄剤の放出量を測定した。また、髪の毛の捕集率、ワイパーの操作性、表面の毛羽抜け防止性、洗浄剤の1畳目の放出量を、以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0073】
〔髪の毛の捕集率〕
クイックルワイパー〔花王(株)製〕に、凹凸形状が外方を向くようにシートを装着した。30cm×60cmのフローリング(松下電工製 ウッディタイルMT613T)上に約10cmの髪の毛を5本散布し、その上にシートを乗せて一定のストローク(60cm)で2往復清掃してシートに捕集された髪の毛の本数を測定した。この操作を連続6回実施して、30本中何本の髪の毛が捕集されたかを測定した。捕集された髪の毛の数を30で除し、これに100を乗じて、その値を髪の毛の捕集率(%)とした。
【0074】
〔ワイパーの操作性〕
クイックルワイパー〔花王(株)製〕に、凹凸形状が外方を向くようにシートを装着して、フローリング板(松下電工製 ウッデイタイルEタイプ KER501)を片手で拭き始める時のワイパーの操作性を以下の基準で評価した。
○:片手で軽く拭け、押してから引く際のターン時にもワイパーの清掃部ヘッドが浮かない。
○〜△:片手で軽く拭けるが、ターン時にもワイパーの清掃部ヘッドが若干浮くことがある。
△:ワイパーを押し始める時に力が必要で、ワイパーの清掃部ヘッドが若干浮くことがある。
×:ワイパーを押し始める時に非常に力が必要で、さらにターン時には清掃部ヘッドが逆さにひっくり返ることがある。
【0075】
〔表面の毛羽抜け防止性〕
シートにおける凹凸形状が形成されている面に対し機械的に摩擦試験を行い、脱落した繊維の量より、以下の基準で評価を行った。
○:ほとんど脱落せず問題ない。
△:若干脱落する。
×:かなり脱落する。
【0076】
〔洗浄剤の1畳目の放出量〕
花王(株)製のクイックルワイパーに、凹凸形状が外方を向くようにシートを装着してフローリングを6畳拭き続けた時の1畳あたりに放出される洗浄液量を測定した。1畳拭くごとにシートを清掃部ヘッドから外してその重量を測定することで洗浄液量を測定した。清掃方法は約90cmの距離を1往復拭くのを1ストロークとし、それを1畳の長手方向(180cm)に2列、短手方向(90cm)に4列拭いて1畳の清掃を完結した。
【0077】
〔比較例1〕
第2パターニング部材を用いない以外は実施例1と同様にしてシートを得た。このシートには凹部21は形成されていない。得られたシートについて、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】


【0079】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1のシートは、比較例1のシートに比して、髪の毛の捕集率が高く、ワイパーの操作性が良好であり、繊維の毛羽立ちや繊維の抜けが生じにくいことが判る。また、洗浄剤の徐放性が高いことも判る。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の清掃用ウエットシートの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】静摩擦抵抗値の測定方法を示す模式図である。
【図4】洗浄剤の放出量の測定方法を示す模式図である。
【図5】図1に示す清掃用ウエットシートを製造するための好適な装置を示す模式図である。
【図6】図5における凹凸賦与部の要部を拡大して示す模式図である。
【図7】図5の凹凸賦与部における第1パターニング部材を示す図である。
【図8】図5の凹凸賦与部における第2パターニング部材を示す図である。
【図9】図6に示す凹凸賦与部による凹凸賦形の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0081】
10 清掃用ウエットシート
11 繊維集合体
11a,11b 繊維ウエブ
12 網状シート
21 凹部
22 凸部
31 小凸部
32 小凹部
41 小凸状部




 

 


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