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発明の名称 キッチン用椅子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−44449(P2007−44449A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−248730(P2005−248730)
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
代理人
発明者 佐藤 稔 / 幸松 良昌 / 小林 千尋 / 勝川 由美子
要約 課題
キッチンにおける調理や食器洗いなどの諸作業を快適に行うことのできるユニバーサルデザイン上の観点で優れたキッチン用椅子を提供する。

解決手段
着座部20と、当該着座部20に連結された脚部40と、当該脚部40の下端に備わった車輪付きのキャスタ100を有するキッチン用椅子1であって、キッチン用椅子1が、着座部20への着座者の非着座時において車輪130の回転を抑制する回転抑制部115,135を有し、回転抑制部115,135による車輪の回転抑制が座面への着座者の着座動作中に徐々に解除されるようになっている。
特許請求の範囲
【請求項1】
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向所定間隔隔てて形成されたストッパ受け用突出部と、前記キャスタ本体に形成された凸状のストッパとからなり、
着座者の非着座時に前記ストッパ受け用突出部が前記ストッパに干渉して前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記ストッパ受け用突出部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパが前記ストッパ受け用突出部を乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少するようになったことを特徴とするキッチン用椅子。
【請求項2】
前記ストッパ受け用突出部は前記車輪に固定して形成され、前記ストッパは前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴とする、請求項1に記載のキッチン用椅子。
【請求項3】
前記ストッパ受け用突出部は前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなり、前記ストッパは前記キャスタ本体に固定して形成された凸状体からなることを特徴とする、請求項1に記載のキッチン用椅子。
【請求項4】
前記ストッパ受け用突出部は前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなり、前記ストッパも前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴とする、請求項1に記載のキッチン用椅子。
【請求項5】
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向全周にわたって形成された回転抑制溝であって当該回転抑制溝の前記車軸に向かう溝外周壁面に凹凸部が連続的に形成された弾性体からなる回転抑制溝と、前記キャスタ本体に形成され、前記回転抑制溝に選択的に係合する凸状のストッパからなり、
着座者の非着座時に前記回転抑制溝の凹部に前記ストッパが嵌まり込んで前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記回転抑制溝の凹凸部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパが前記回転抑制溝の凸部を変形させた状態で乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少することを特徴とするキッチン用椅子。
【請求項6】
前記ストッパは前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴とする、請求項5に記載のキッチン用椅子。
【請求項7】
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向全周にわたって形成された回転抑制溝であって当該回転抑制溝の前記車軸周りの溝外周壁面に凹凸部が連続的に形成された回転抑制溝と、前記キャスタ本体に形成され、前記回転抑制溝に選択的に係合する凸状のストッパからなり、
着座者の非着座時に前記回転抑制溝の凹部に前記ストッパが嵌まり込んで前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記回転抑制溝の凹凸部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパが前記回転抑制溝の凸部を乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少することを特徴とするキッチン用椅子。
【請求項8】
前記ストッパは前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴とする、請求項7に記載のキッチン用椅子。
【請求項9】
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向全周にわたって形成された回転抑制溝であって当該回転抑制溝の溝外周壁面に凹凸部が連続的に形成された回転抑制溝と、前記キャスタ本体に形成され、前記回転抑制溝の形成方向に合わせて円弧をなして前記回転抑制溝に一部が選択的に係合する板状のストッパからなり、
着座者の非着座時に前記回転抑制溝の凹部に前記ストッパの一部が変形状態で係合して前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記回転抑制溝の凹凸部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパの変形状態が回復しながら前記回転抑制溝の凸部を乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少することを特徴とするキッチン用椅子。
【請求項10】
前記回転抑制部によって前記車輪に及ぼされる回転抑制力が前記座面への着座者の着座前で最大値になるとともに、着座動作中に減少し、着座後にゼロ又は最低値となることを特徴とする、請求項1乃至請求項9の何れかに記載のキッチン用椅子。
【請求項11】
前記弾性部材が前記スライダに作用する付勢力の総和が196Nに前記椅子の重さを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項10の何れかに記載のキッチン用椅子。
【請求項12】
前記座面の高さが約600mmとなることを特徴とする、請求項1乃至請求項11の何れかに記載のキッチン用椅子。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンにおける調理作業や水洗い作業において利用可能なキッチン用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、台所にはいわゆるシステムキッチンを備えることが多くなっている。かかるシステムキッチンはその収納スペースの確保や水洗い用のシンクを備える必要上、さらには使用者が調理作業中に周囲のガスレンジやオーブン、電子レンジなどの調理機器を頻繁に利用する関係上、立った姿勢のままでのキッチン作業を可能にする構造をとるために、キッチンカウンタ自体がある程度の高さを有することが一般的である。また、近年の日本人の平均身長の伸びに伴ってキッチンカウンタ自体の高さも例えば850mm程度まで高くなっている。
【0003】
このようなカウンタ自体がある程度の高さを有するキッチンカウンタの傍らに立ったままで調理や洗い物を長時間行うことは高齢者にとっては辛いので、座面の高さが高く座面の一部に腰掛けても立ったままの姿勢とあまり変わらない姿勢を確保することのできるキッチン用椅子が用いられることがある。しかしながら、このようなキッチン用椅子をキッチンフロアの定位置において腰掛けたままでは、調理作業中にキッチンカウンタ周囲のガスレンジやオーブン、電子レンジなどの周辺調理機器を利用する際に無理に腰を曲げたり手を伸ばしたりして身体に負担がかかる。また、これに加えて、キッチン用椅子を無理に傾けたりして椅子ごと転倒するおそれもある。
【0004】
一方、キッチン用椅子としてではなく一般的なテーブル高さの低い事務机や勉強机に利用される椅子の利便性を高めるために、かかる椅子の脚の下端部にキャスタを備えた構造が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1に記載された椅子用キャスタは、支持ヨークと、支持ヨークの一側部に設けられた収納筒と、支持ヨークの一部を貫通する受け孔と、受け孔に貫通した連結ピンを介して設けられた車輪を備えている。そして、受け孔近傍からは制動部材が突出して設けられ、この制動部材は車輪の車軸周面に常時押し付けられて車輪の車軸の周面に対して押圧力を常に作用させている。これによって、キャスタ自体の回転力を弱めて椅子が不用意に後方に移動してしまうのを防止している。
【0006】
一方、特許文献2に記載の椅子用キャスタは、上壁と側壁を連結したフレームと、側壁に沿って昇降可能なスライダと、上壁とスライダを離間する方向に付勢するスプリングと、スライダに対して水平方向のシャフトを介して回転自在な車輪を備えている。また、この車輪の内側には歯車部が形成され、フレームにスライダが接近したときに歯車部に爪が係合するようになっている。そして、このような構成によって人が座っていない状態では車輪を回転可能とすることで椅子を容易に移動させることができる。一方、人が座ると、スプリングの押圧力に抗してフレームが下降し、歯車部に爪が係合して車輪の回転がロックされ、着座時において椅子を移動できないようになっている。
【特許文献1】特開平10−81105号公報(2−3頁、図1)
【特許文献2】特開平9−315104号公報(2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キッチン用椅子は上述したようにその座面の高さが高く、人が腰掛けると重心位地が高くなる。そのため、特許文献1に記載したようないわゆる常時半制動型のキャスタをキッチン用椅子に適用した場合、着座者が椅子に腰掛けた状態においても回転抑制力が常に働いている。一方、調理に加えて調理器具を出し入れしたり加熱調理器やシンクを使ったりするために、椅子に腰掛けたままキッチンカウンタに対して平行に移動する場合がある。しかしながら、冷蔵庫やオーブン、電子レンジなどの周辺調理機器を利用するためにキッチン用椅子に腰掛けたままでこの椅子を移動させようとすると、椅子が傾いて着座者が転倒するおそれがある。また、例えば天ぷらの衣作り中では手が汚れており、手でキッチンカウンタを押して椅子を自由に移動させることもできない。
【0008】
また、キッチンフロアは一般的にフローリングとなっており滑りやすく、また食器洗いなどによって床が濡れてさらに滑りやすくなっていることが多い。そのため、特許文献1に記載したようないわゆる常時半制動型のキャスタを備えたキッチン用椅子では、この椅子に腰掛ける前においてもキャスタが半制動状態でキッチンフロア上を滑りやすくなる。そのため、座面の高さが高いキッチン用椅子に着座者が腰掛ける際に、着座者の体重が座面に対して斜めに作用してしまい、着座動作中にキッチン用椅子がキッチンフロア上を滑ったりずれたりして着座者が転倒するおそれもある。
【0009】
一方、特許文献2に記載したようなキャスタを備えた椅子は、人が腰掛けていない状態では床上を自在に移動できる一方、人が腰掛けると床上を容易に移動できないようになっている。そのため、このような椅子は一度椅子に腰掛けると長時間一定の姿勢での作業を伴う例えば勉強机や事務机と組み合わせて利用するとその機能を発揮できるであろうが、このような椅子をキッチン用椅子として利用した場合、上述したようにキッチン用椅子に着座者が腰掛ける際に着座動作中にキッチン用椅子がキッチンフロア上を滑ったりずれたりして着座者が転倒するおそれがある。また、椅子に腰掛けたままでオーブンや電子レンジなどの周辺調理機器を利用するために椅子を自在に移動させることができず、椅子を無理に移動させようとするとキッチン用椅子がキッチンフロア上を急に滑ったりして着座者が転倒するおそれもある。
【0010】
本発明の目的は、キッチンにおける料理の下ごしらえ、調理や食器洗いなどの諸作業を快適に行うことのできるユニバーサルデザイン上の観点で優れたキッチン用椅子であって着座者の着座動作中に車輪の回転抑制力を徐々に減少させるキッチン用椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明にかかるキッチン用椅子は、
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向所定間隔隔てて形成されたストッパ受け用突出部と、前記キャスタ本体に形成された凸状のストッパとからなり、
着座者の非着座時に前記ストッパ受け用突出部が前記ストッパに干渉して前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記ストッパ受け用突出部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパが前記ストッパ受け用突出部を乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少するようになったことを特徴としている。
【0012】
座面に着座者が腰掛ける前はキャスタの車輪の回転が抑制され、着座者が座面に腰掛ける着座動作に応じてこの回転抑制が解除されるので、キッチン用椅子に腰掛ける直前にキャスタの車輪の回転やキッチンフロア上での滑りによってキッチン用椅子が急に移動することがなく、安心して腰掛けることができる。また、一旦腰掛けた後はキャスタの回転抑制が解除されるので、着座者がキャスタを介してキッチンフロア上を自由に移動できるようになる。そのため、キッチンカウンタ上での料理の下ごしらえ作業やシンクでの食器洗い作業、ガスレンジでの調理作業の他に電子レンジやオーブンなどの周辺調理機器を利用する場合にその都度キッチン用椅子から立ち上がる必要がなくなる。すなわち、調理に伴う一連の作業をキッチン用椅子に腰掛けたまま行うことができ、これら一連の作業を腰や脚、腕などに負担をかけずに行うことが可能となる。また、安心して腰掛けることができるので、椅子から立ったり座ったりを頻繁に繰り返す場合であっても、キッチン用椅子を安全に使用することができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載のキッチン用椅子は、請求項1に記載のキッチン用椅子において、
前記ストッパ受け用突出部は前記車輪に固定して形成され、前記ストッパは前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴としている。
【0014】
ストッパを回転可能なローラとすることで、着座者の着座動作中においてストッパがストッパ受け用突出部を徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載のキッチン用椅子は、請求項1又は請求項2に記載のキッチン用椅子において、
前記ストッパ受け用突出部は前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなり、前記ストッパは前記キャスタ本体に固定して形成された凸状体からなることを特徴としている。
【0016】
ストッパ受け用突出部を回転可能なローラとすることで、着座者の着座動作中においてストッパがストッパ受け用突出部を徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載のキッチン用椅子は、請求項1に記載のキッチン用椅子において、
前記ストッパ受け用突出部は前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなり、前記ストッパも前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴としている。
【0018】
ストッパとストッパ受け用突出部を回転可能なローラとすることで、着座者の着座動作中においてストッパがストッパ受け用突出部を徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0019】
また、本発明の請求項5に記載のキッチン用椅子は、
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向全周にわたって形成された回転抑制溝であって当該回転抑制溝の前記車軸に向かう溝外周壁面に凹凸部が連続的に形成された弾性体からなる回転抑制溝と、前記キャスタ本体に形成され、前記回転抑制溝に選択的に係合する凸状のストッパからなり、
着座者の非着座時に前記回転抑制溝の凹部に前記ストッパが嵌まり込んで前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記回転抑制溝の凹凸部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパが前記回転抑制溝の凸部を変形させた状態で乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少することを特徴としている。
【0020】
かかる構成によっても、請求項1と同様の効果を奏する。すなわち、座面に着座者が腰掛ける前はキャスタの車輪の回転が抑制され、着座者が座面に腰掛ける着座動作に応じてこの回転抑制が解除されるので、キッチン用椅子に腰掛ける直前にキャスタの車輪の回転やキッチンフロア上での滑りによってキッチン用椅子が急に移動することがなく、安心して腰掛けることができる。また、一旦腰掛けた後はキャスタの回転抑制が解除されるので、着座者がキャスタを介してキッチンフロア上を自由に移動できるようになる。そのため、キッチンカウンタ上での料理の下ごしらえ作業やシンクでの食器洗い作業、ガスレンジでの調理作業の他に電子レンジやオーブンなどの周辺調理機器を利用する場合にその都度キッチン用椅子から立ち上がる必要がなくなる。すなわち、調理に伴う一連の作業をキッチン用椅子に腰掛けたまま行うことができ、これら一連の作業を腰や脚、腕などに負担をかけずに行うことが可能となる。また、安心して腰掛けることができるので、椅子から立ったり座ったりを頻繁に繰り返す場合であっても、キッチン用椅子を安全に使用することができる。
【0021】
特に、着座者の着座動作中においてストッパが弾性体からなる回転抑制溝の凸部を変形させた状態で徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部が車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0022】
また、本発明の請求項6に記載のキッチン用椅子は、請求項5に記載のキッチン用椅子において、
前記ストッパは前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴としている。
【0023】
ストッパを回転可能なローラとすることで、着座者の着座動作中においてストッパが回転抑制溝の凸部を徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部が車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0024】
また、本発明の請求項7に記載のキッチン用椅子は、
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向全周にわたって形成された回転抑制溝であって当該回転抑制溝の前記車軸周りの溝外周壁面に凹凸部が連続的に形成された回転抑制溝と、前記キャスタ本体に形成され、前記回転抑制溝に選択的に係合する凸状のストッパからなり、
着座者の非着座時に前記回転抑制溝の凹部に前記ストッパが嵌まり込んで前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記回転抑制溝の凹凸部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパが前記回転抑制溝の凸部を乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少することを特徴としている。
【0025】
かかる構成によっても、請求項1及び請求項5と同様の効果を奏する。すなわち、座面に着座者が腰掛ける前はキャスタの車輪の回転が抑制され、着座者が座面に腰掛ける着座動作に応じてこの回転抑制が解除されるので、キッチン用椅子に腰掛ける直前にキャスタの車輪の回転やキッチンフロア上での滑りによってキッチン用椅子が急に移動することがなく、安心して腰掛けることができる。また、一旦腰掛けた後はキャスタの回転抑制が解除されるので、着座者がキャスタを介してキッチンフロア上を自由に移動できるようになる。そのため、キッチンカウンタ上での料理の下ごしらえ作業やシンクでの食器洗い作業、ガスレンジでの調理作業の他に電子レンジやオーブンなどの周辺調理機器を利用する場合にその都度キッチン用椅子から立ち上がる必要がなくなる。すなわち、調理に伴う一連の作業をキッチン用椅子に腰掛けたまま行うことができ、これら一連の作業を腰や脚、腕などに負担をかけずに行うことが可能となる。また、安心して腰掛けることができるので、椅子から立ったり座ったりを頻繁に繰り返す場合であっても、キッチン用椅子を安全に使用することができる。
【0026】
また、本発明の請求項8に記載のキッチン用椅子は、請求項7に記載のキッチン用椅子において、
前記ストッパは前記車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラからなることを特徴としている。
【0027】
ストッパを回転可能なローラとすることで、着座者の着座動作中においてストッパがストッパ受け用突出部を徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0028】
また、本発明の請求項9に記載のキッチン用椅子は、
座面と、当該座面に連結された脚部と、当該脚部に備わった車輪付きのキャスタを有するキッチン用椅子であって、
前記キャスタは、キャスタ本体と、前記キッチン用椅子の脚に取り付けられるキャスタ取り付け部と、前記キャスタ本体に沿って前記キャスタ取り付け部方向に所定量スライド可能なスライダと、当該スライダに車軸を介して取り付けられた車輪と、前記キャスタ本体と車輪に取り付けられかつ前記車輪の回転を選択的に抑制する回転抑制部と、前記キャスタ本体と前記スライダ間に介装され、前記スライダを前記キャスタ取付け部と離間する方向に付勢する弾性部材を備え、
前記回転抑制部は、前記車輪の側面に周方向全周にわたって形成された回転抑制溝であって当該回転抑制溝の溝外周壁面に凹凸部が連続的に形成された回転抑制溝と、前記キャスタ本体に形成され、前記回転抑制溝の形成方向に合わせて円弧をなして前記回転抑制溝に一部が選択的に係合する板状のストッパからなり、
着座者の非着座時に前記回転抑制溝の凹部にストッパの一部が変形状態で係合して前記車輪の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に前記回転抑制溝の凹凸部が前記ストッパに干渉することなく前記車輪を回転自在とさせ、かつ着座者の着座動作中において前記ストッパの変形状態が回復しながら前記回転抑制溝の凸部を乗り越えることで前記回転抑制部が前記車輪に及ぼす回転抑制力が徐々に減少することを特徴としている。
【0029】
かかる構成によっても、請求項1、請求項5、及び請求項7と同様の効果を奏する。すなわち、座面に着座者が腰掛ける前はキャスタの車輪の回転が抑制され、着座者が座面に腰掛ける着座動作に応じてこの回転抑制が解除されるので、キッチン用椅子に腰掛ける直前にキャスタの車輪の回転やキッチンフロア上での滑りによってキッチン用椅子が急に移動することがなく、安心して腰掛けることができる。また、一旦腰掛けた後はキャスタの回転抑制が解除されるので、着座者がキャスタを介してキッチンフロア上を自由に移動できるようになる。そのため、キッチンカウンタ上での料理の下ごしらえ作業やシンクでの食器洗い作業、ガスレンジでの調理作業の他に電子レンジやオーブンなどの周辺調理機器を利用する場合にその都度キッチン用椅子から立ち上がる必要がなくなる。すなわち、調理に伴う一連の作業をキッチン用椅子に腰掛けたまま行うことができ、これら一連の作業を腰や脚、腕などに負担をかけずに行うことが可能となる。また、安心して腰掛けることができるので、椅子から立ったり座ったりを頻繁に繰り返す場合であっても、キッチン用椅子を安全に使用することができる。
【0030】
特に、着座者の着座動作中においてストッパの変形状態が回復しながら回転抑制溝の凸部を徐々に乗り越えるようになるので、回転抑制部が車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0031】
また、本発明の請求項10に記載のキッチン用椅子は、請求項1乃至請求項9の何れかに記載のキッチン用椅子において、
前記回転抑制部によって前記車輪に及ぼされる回転抑制力が前記座面への着座者の着座前で最大値になるとともに、着座動作中に減少し、着座後にゼロ又は最低値となることを特徴としている。
【0032】
キッチン用椅子への着座動作に伴って回転抑制力がこのように変化することで、着座者がキッチン用椅子に腰掛ける前にはキッチン用椅子がキッチンフロア上で定位置を保つとともに、着座後には着座者がキャスタを介してキッチン用椅子をキッチンフロア上で自在に移動させることができるようになる。
【0033】
また、本発明の請求項11に記載のキッチン用椅子は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載のキッチン用椅子において、
前記弾性部材が前記スライダに作用する付勢力の総和が196Nに前記椅子の重さを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であることを特徴としている。
【0034】
スライダに作用する弾性体の付勢力の総和がこのような値となることで、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者がキッチン用椅子に腰掛けた場合でも回転抑制部による車輪の回転抑制を確実に解除することができ、本発明に係るキッチン用椅子の作用を発揮させることができる。
【0035】
また、本発明の請求項12に記載のキッチン用椅子は、請求項1乃至請求項11の何れかに記載のキッチン用椅子において、
前記座面の高さが約600mmとなることを特徴としている。
【0036】
このような高さのキッチン用椅子を用いることで、キッチンフロア上に立ったままに近い姿勢でキッチン用椅子に腰掛けることができ、上述した本発明に特有の作用に加えて調理用の下ごしらえや食器洗いに伴う一連の作業が行い易くなる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によると、キッチンにおける料理の下ごしらえ、調理や食器洗いなどの諸作業を快適に行うことが可能なユニバーサルデザイン上の観点で優れたキッチン用椅子であって着座者の着座動作中に車輪の回転抑制力を徐々に減少させるキッチン用椅子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の第1の実施形態にかかるキッチン用椅子について説明する。本発明の第1の実施形態にかかるキッチン用椅子1は、図1に示すようにある程度の高さを有するシステムキッチンSKに好適に利用される。かかるシステムキッチンSKはキッチンカウンタKCとキッチンの壁(図示せず)に備え付けられたウォールキャビネットを有している。そして、キッチンカウンタKCはその下部にニースペースが確保されるとともに引き出し付きの多数の収納スペースが備わっている。
【0039】
また、キッチンカウンタKCの上部には食器洗い用のシンクや調理に伴う食材の下ごしらえ用のカウンタスペース、及び調理用のガスコンロが備わっている。
【0040】
一方、ウォールキャビネットには例えば電子レンジ、レンジフード、及び各種の収納スペースが備わっている。また、ここでは図示ないがオーブンなどの周辺調理機器もキッチンカウンタKCの周囲に配置されている。
【0041】
かかるキッチンカウンタKCの高さは従来技術でも説明したように例えば850mmとある程度の高さを有している。このような高さを有するシステムキッチンSKに利用される本発明の第1の実施形態にかかるキッチン用椅子1について以下に図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
本発明の第1の実施形態にかかるキッチン用椅子1は、図2に示すように円形をなし座面である着座部20と、着座部を高さ調整可能に支持する支柱部30と、支柱部30の下端に放射状に延在した5本の脚部40と、各脚部40の端部上側に結合され各脚部端部を連結するリング状の足掛け部50と、各脚部40の端部下側に備わったキャスタ100を有している。
【0043】
なお、着座部20には着座面に向かって折り畳み可能な簡易な構造の背凭れ部21が備わっている。また、着座部20は、キッチン作業を行い易いように適度な硬さのクッション材とこれを覆う滑り難い表皮とを備えている。
【0044】
また、支柱部30にはガススプリングが内蔵されるとともに着座部20の下部にはこのガススプリングのガス圧を利用して座面の高さ調整を可能とする高さ調整用レバー(図示せず)が備わっている。そして、背凭れ部21を倒すとともに、高さ調整用レバーを握ってキッチン用椅子1の座面の高さを低くした状態で図1に示したキッチンカウンタKCのニースペースにこのキッチン用椅子1を収容できるようになっている。
【0045】
続いて、このキッチン用椅子1に備わったキャスタ100について説明する。なお、各キャスタ100は互いに同等の構成を有している。また、以下の説明における上下方向や左右方向、水平方向、鉛直方向の記載は、このようなキャスタ100を備えたキッチン用椅子1をキッチンフロア上に普通においた状態を基準とした方向である。
【0046】
なお、ここで、図3は図2に示した第1の実施形態にかかるキッチン用椅子の非着座時におけるキャスタを車軸140に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図4は図3に示したキャスタ100の側面図である。また、図5は図2に示したキッチン用椅子の着座時におけるキャスタ100を、車軸140に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図6は図5に示したキャスタの側面図である。
【0047】
キャスタ100は、図3乃至図6に示すような双輪キャスタをなし、キャスタ本体110と、キャスタ本体110の上面から突出したキャスタ取り付け部120と、キャスタ本体110の両側面に備わった車輪130と、車輪130を連結する車軸140と、車軸140に備わったスライダ150と、キャスタ本体内に収容されたスプリング160を有している。
【0048】
キャスタ本体110は、例えばナイロンなどの強度と成型性に優れた樹脂でできており、図3及び図5に示すように厚さの薄い直方体のブロック形状を有している。そして、キャスタ本体上面の一方の端部付近には、キャスタ100を脚部40(図2参照)に対して水平方向に回転可能なまま連結する例えばステンレス鋼(SUS)や鉄などの金属でできたシャフト状のキャスタ取り付け部120が当該キャスタ本体110に一部を挿入した状態で備わっている。また、キャスタ本体110の内部には水平方向の断面で見て四隅が広がった異型矩形形状のスライダ収容部110a(図3及び図5参照)が形成されている。
【0049】
なお、スライダ収容部110aの上端面110bからはスプリング160を支持する凸状のスプリング支持部(図示せず)が下方に延出している。
【0050】
また、キャスタ本体110の車輪130が備わる両側面には、図4及び図6に一部を示すように、その上下方向を長手方向とする長孔状の車軸貫通孔113が形成されている。なお、車軸貫通孔113は、車軸140のキャスタ本体長手方向における移動量を規制することで、キャスタ本体内のスライダ150の移動量を規制する役目を果たしている。また、車軸貫通孔113の開口部上方には、図3及び図5に示すように、回転ローラ取り付け部114を介して車輪と相対回転可能とする回転ローラ(ストッパ)115が回動自在に備わっている。なお、回転ローラ取り付け部114はここでは詳細には示さないがスライダ150にネジ等の締結具で固定され、かつ円柱状突出部の周方向に嵌合リブが形成されている。また、回転ローラ115にはこの嵌合リブに嵌合する嵌合溝が形成されて、回転ローラ115が回転ローラ取り付け部114から抜け落ちないようになっている。また、回転ローラ取り付け部114及び回転ローラ115は、成形性及び摺動性に優れかつ十分な強度を有する例えばPOM(ポリアセタール)等でできている。
【0051】
車軸140は、例えばステンレス鋼(SUS)や鉄などの金属でできたシャフトからなり、図3及び図5に示すように、その長手方向中央部に車軸140に対して相対回転可能なスライダ150を備えるとともにその両端部に車軸140に対して相対回転可能な車輪130を備えている。
【0052】
車輪130は、例えばナイロンなどの合成樹脂でできており、その外周方向外側がキッチンフロアと車輪130との滑りをなくすために全周にわたってウレタンゴムで覆われている。また、車輪130の内側側面、すなわち、キャスタ本体との向き合う面には、その内周全周にわたって円柱状のストッパ受け用突出部135が周方向所定間隔隔てて突出形成されている。この隣り合うストッパ受け用突出部同士の形成間隔は、着座者が椅子に着座していない状態で回転ローラ115の周面が各ストッパ受け用突出部135に挟まれて回転ローラ115が隣り合うストッパ受け用突出部間で殆ど動かない程度の間隔である(図4参照)。すなわち、これらの図から分かるように、回転ローラ115とストッパ受け用突出部135とで回転抑制部を構成し、隣り合うストッパ受け用突出部間に回転ローラ115が係合することで、車輪130の回転を抑制するようになっている。
【0053】
スライダ150は例えばナイロンなどの樹脂でできており、図3及び図5に示すように、直方体形状をなし車軸140が貫通するスライダ本体と、当該スライダ本体の上面四隅から上方に向かって延出したスライダガイド(図示せず)を備えている。そして、このスライダガイドは、キャスタ本体110のスライダ収容部110aの水平方向断面で見て四隅に形成されたガイド収容部に沿ってスライドし、スライダ150をキャスタ本体内において上下方向に滑らかに移動させる役目を果たしている。
【0054】
スプリング160は、図3及び図5に示すように、スライダ収容部110aの上面凸部(図示せず)に一端が嵌合され、他端がスライダ本体の上面に押し付けられている。なお、スライダガイドは上述の通りスライダ収容部110aの四隅に収容されるようになっており、キャスタ本体内でのスライダ150の移動時にスプリング160とスライダガイドが干渉しないようになっている。
【0055】
スプリング160は、キッチン用椅子1に着座者が腰掛けていない場合に車軸140を車軸貫通孔113の長孔下端部に押し付けるとともにキャスタ本体110の回転ローラ115を車輪130の隣り合うストッパ受け用突出部間に係合させる付勢力を有している。
【0056】
具体的には、例えば5つのキャスタ100を備えたキッチン用椅子1の場合では、5つのスライダ150に作用する付勢力の総和は、ほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加算した値とほぼ等しいかそれ以下となっている。
【0057】
これによって、キッチン用椅子1に人が腰掛けていない状態ではスプリング160の付勢力によってキャスタ本体110の回転ローラ115が車輪130の上方に位置する隣接したストッパ受け用突出部間に係合することで、キッチン用椅子1がキャスタ100を介してキッチンフロア上を移動しないようになっている。
【0058】
また、キッチン用椅子1に人が腰掛けると、腰掛け動作に応じてスプリング160が着座者の体重によって徐々に圧縮され、スライダ150と車軸140がキャスタ本体内のスライダ収容部110aを上方に向かって相対的に移動するようになっている。
【0059】
図44は、着座移動中の大腿部の角度とキッチン用椅子1の座面垂直下方に作用する荷重を示した図である。このような腰掛け動作中においては、着座者の着座移動に応じてキッチン用椅子の座面下方に作用する荷重が徐々に大きくなるので、図4に示すように隣り合うストッパ受け用突出部間に挟まれた回転ローラ115がこの突出部間から徐々に抜け出して一方のストッパ受け用突出部135をゆっくりと乗り越えて隣接するストッパ受け用突出部間に移動する。これによって、椅子使用者の着座動作に伴って車輪130の回転抑制力が一度に解除されることなく連続的に減少する構造となっている。
【0060】
なお、図45は、着座前から着座動作を経て着座後に至るまでの回転抑制力の変化を示した説明図である。第1の実施形態においては、上述の通り同図の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されないようになっている。
【0061】
そして、キッチン用椅子1に完全に腰掛けると、図5及び図6に示すように車輪130のストッパ受け用突出部135に回転ローラ115が接触することがなくなり、この状態で車輪130が回転ローラ115によって回転を阻害させることがなく自由に回転できるようになる。
【0062】
続いて、このような構成を有するキッチン用椅子1の実際の使用方法及び作用について詳細に再確認する。まず、キッチンカウンタKCのニースペースに収容されたキッチン用椅子1を図1に示すようにキッチン作業の行い易い位置までに引き出す。そして、キッチン用椅子1の背凭れ部21(図2参照)を起こすとともに、高さ調整用レバーを握ってキッチン用椅子1の座面を例えば高さ600mm程度まで高さ調整する。なお、キッチン用椅子1をキッチンカウンタKCのニースペースから引き出す際においても、キッチン用椅子1の座面を椅子使用者が手である程度押すことによって、後述する着座動作と同様に車輪の回転抑制力をある程度弱めることができるので、座面を手で押してキャスタ100の車輪130を徐々に回転させながらキッチン用椅子1を移動させることが可能である。
【0063】
上述の通り、座面が高さ600mm程度と椅子使用者がキッチンカウンタ付近に立った状態に近い姿勢を保てる程度の高さにキッチン用椅子1の座面を調整した後、キッチン用椅子1に腰掛ける。この腰掛ける前のキッチン用椅子1のキャスタ100は、図4に示すように回転ローラ115が車輪130のストッパ受け用突出部間に挟まれており、キャスタ100の車輪130が殆ど回転しないようになっている。これによって、例えば着座者が座面の前半分に腰掛けるような着座動作をとって着座者の臀部が座面に対して斜めに力を作用させても、キッチン用椅子1がキッチンフロア上を急に滑り出すことはない。キッチンフロアは、例えばフローリングでできていたり食器洗い作業などによって濡れていたりするので、一般的に滑りやすくなっていることが多いが、本実施形態にかかるキッチン用椅子1は着座者が座面に臀部を接触させる瞬間においてはキャスタ100の車輪130が未だ回転を拘束されて動かない状態になっているので、このような腰掛ける瞬間におけるキッチン用椅子1の逃げを防止することができる。
【0064】
続いて、座面に接触した臀部を座面に更に押し付けてキッチン用椅子1に十分に腰掛けると、この着座動作に合わせてキャスタ本体内に収容したスプリング160が圧縮してスライダ150がキャスタ本体内のスライダ収容部上面に向かって相対的に移動し始める。このスライダ150の移動中には、スライダガイドが上述したようにスプリング160と干渉しないようになっている。また、スライダ本体の上面四隅から延在した4つの細長のスライダガイドがキャスタ本体110の各ガイド収容部に沿って移動するようになっているので、スライダ150がキャスタ本体110のスライダ収容部内でせったりすることがなく、スライダ150がキャスタ本体内を滑らかに相対移動する。
【0065】
このように、スライダ150がキャスタ本体内のスライダ収容部110aを若干相対移動した状態においては、回転ローラ115がそのカム作用によってストッパ受け用突出部間から僅かに離れ、一方のストッパ受け用突出部135を乗り越えて隣接するストッパ受け用突出部間に移動し易くなる。すなわち、図45の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されることはない。このように回転抑制部として回転ローラ115を使用しているので、キャスタ100に作用するブレーキ力が緩やかに低下するようになり、危険性が少なくなる。これによって、着座者は着座動作中にキッチン用椅子1のキャスタ100の車輪130が徐々に動き出すことを察知することができる。その結果、キッチン用椅子1への着座動作中に回転抑制力が急に解除されてキッチン用椅子1がいきなり移動し始めるのを回避することができ、着座者がキッチン用椅子1に安心して腰掛けることができる。
【0066】
続いて、着座者が臀部を更に押し付けてキッチン用椅子1に完全に腰掛けると、図5及び図6に示すように車軸140がキャスタ本体110に備わった車軸貫通穴113の長孔上端部に達してキャスタ本体内のスライダ収容部内において上方に向かったスライダ150のキャスタ本体110に対する相対移動が停止する。
【0067】
そして、図5及び図6に示すような状態にまで回転ローラ115が達すると、もはや回転ローラ115はストッパ受け用突出部間に係合することがなくなり、車輪130が自在に回転するようになる。これによって、着座者がキッチン用椅子1に腰掛けたまま、例えばその足先を用いてキッチン用椅子ごとキッチンフロア上を自在に移動することが可能となる。これによって、料理の下ごしらえ中にオーブンに入れた他の料理を取り出したり電子レンジに別の料理を入れるような様々なキッチン作業をキッチン用椅子1から立ち上がりしたりすることなく腰掛けたままの姿勢で行うことが可能となる。
【0068】
なお、本実施形態においては、5つのスプリング160が5つのスライダ150に作用する付勢力の総和がほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であるので、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者がキッチン用椅子1に腰掛けた場合でも車輪130の回転抑制を確実に解除することができる。
【0069】
また、上述したキッチン用椅子1は、回転ローラ115とストッパ受け用突出部135からなる回転抑制部が車輪130の内側に形成されているので、椅子使用中にゴミがこの回転抑制部に詰まりにくく、また椅子使用者の衣服がこの回転抑制部に挟み込まれるようなこともない。
【0070】
このようなキッチン用椅子1を用いてキッチン作業を行った後、椅子使用者はキッチン用椅子1から降りて背凭れ部21をたたむとともに高さ調整用レバーを握ってキッチン用椅子1の高さを低くし、座面を手で押さえてキャスタ100の車輪130を徐々に回転させながらキッチンカウンタKCのニースペースにキッチン用椅子1を収容してキッチン作業を終える。
【0071】
続いて、上述した実施形態にかかるキッチン用椅子の2つの変形例について説明する。なお、この変形例に関して上述した第1の実施形態にかかるキッチン用椅子1と同様の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0072】
なお、ここで、図7は第1の変形例にかかるキッチン用椅子のキャスタ101を非着座時において車軸140に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図8は図7に示したキャスタ101の側面図である。また、図9はこの変形例にかかるキッチン用椅子のキャスタ101を着座時において車軸140に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図10は図9に示したキャスタ101の側面図である。また、図11は図7乃至図10に示したキャスタ101に備わる車輪131の斜視図である。また、図12は図11に示した車輪131の中心軸線を含む鉛直方向断面図である。
【0073】
かかるキッチン用椅子の第1の変形例は、図7及び図9に示すように、ストッパ受け用突出部が車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラ137とこのローラ137を支持するローラ支持部136からなる。一方、ストッパ受け用突出部に干渉して車輪131の回転を阻止するストッパは円柱状のストッパ116としてキャスタ本体111に突出形成されている。このようにストッパ受け用突出部に回転可能なローラ137を備えた構成としても、ローラ137のカム作用によって着座者の着座動作中においてストッパ116がストッパ受け用突出部のローラ137を徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部(ストッパ116とローラ137)が車輪131に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる(図8及び図10を対比して参照)。
【0074】
続いて、かかるキッチン用椅子の第2の変形例について説明する。ここで、図13は第2の変形例にかかるキッチン用椅子のキャスタ102を非着座時において車軸140に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図14は図13に示したキャスタ102の側面図である。また、図15はこの変形例にかかるキッチン用椅子のキャスタ102を着座時において車軸140に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図16は図15に示したキャスタ102の側面図である。また、図17は図13乃至図16に示したキャスタ102に備わる車輪132の斜視図である。また、図18は図17に示した車輪132の中心軸線を含む鉛直方向断面図である。
【0075】
これらの図に示すように、この第2変形例においては、ストッパ受け用突出部が車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラ139とこれを支持するローラ支持部138とからなり、かつストッパも車輪の回転方向に合わせて回転可能なローラ118とこれを支持するローラ支持部117とからなる。
【0076】
ストッパとストッパ受け用突出部にそれぞれ回転可能なローラ118,139をそれぞれ備えることで、これらローラ118,139の相互のカム作用によって着座者の着座動作中においてストッパがストッパ受け用突出部を徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部が車輪に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0077】
続いて、本発明の第2の実施形態にかかるキッチン用椅子について説明する。なお、この第2の実施形態に係るキッチン用椅子の構造は、そのキャスタ200の部分を除いて第1の実施形態にかかるキッチン用椅子1の構造と同等であるので、キャスタ200の構造についてのみ図面に基づいて説明する。また、このキャスタ200に関して第1の実施形態のキャスタ100と同等の構造については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また、各構成要素の材質も、第1の実施形態にかかるキャスタ100に対応しているので、その記載を一部省略する。
【0078】
本発明の第2の実施形態にかかるキッチン用椅子のキャスタ200は、図19乃至図24に示すようにキャスタ本体210と、キャスタ本体210を貫通するように備わったキャスタ取り付け部220と、キャスタ本体210の両側面に備わった車輪230と、車輪230を連結する車軸240と、車軸240に備わったスライダ250と、キャスタ本体内に収容されたスプリング260を有している。
【0079】
キャスタ本体210は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。また、キャスタ本体210の車輪230が備わる両側面には、第1の実施形態と同様の車軸貫通孔213が形成されている(図20、図21、及び図23参照)。また、車軸貫通孔213の開口部上方には、第1の実施形態と同様に、回転ローラ取り付け部214を介して車輪と相対回転可能とする回転ローラ215が回動自在に備わっている。また、車軸240は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。
【0080】
車輪230は、例えばナイロンなどの合成樹脂でできており、その外周方向外側がキッチンフロアと車輪230との滑りをなくすために全周にわたってナイロン又はウレタンゴムで覆われている。また、車輪230の内側側面、すなわちキャスタ本体との向き合う面には、その内周全周にわたって車輪230の外周面とは異なるエラストマーやゴムなどの弾力性に優れた材質でできた回転抑制溝235が形成されている。なお、これらそれぞれ材質の異なる車輪外側と車輪内側とは二色成型又は嵌め込みによって一体化して形成されている。また、回転抑制溝235の外周壁には、図20に示すように凹凸部が全周にわたって交互に連続的に形成されている。そして、この凹凸部の凹部235aに上述した回転ローラ215が係合することで、車輪230の回転を抑制するようになっている。
【0081】
スライダ250は第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。また、スプリング260は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。なお、スプリング260は、キッチン用椅子に着座者が腰掛けていない場合に車軸240を車軸貫通孔213の長孔下端部に押し付けるとともにキャスタ本体210の回転ローラ215を車輪230の回転抑制溝235の凹部235aに係合させる付勢力を有している。
【0082】
具体的には、例えば5つのキャスタ200を備えたキッチン用椅子の場合では、第1の実施形態と同様に、5つのスライダ150に作用する付勢力の総和は、ほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加算した値とほぼ等しいかそれ以下となっている。
【0083】
これによって、キッチン用椅子に人が腰掛けていない状態では回転ローラ215がスプリング260の付勢力によってキャスタ本体210の回転ローラ215が車輪230の回転抑制溝235の上方に位置する凹部235aに係合することで、キッチン用椅子がキャスタ200を介してキッチンフロア上を移動しないようになっている(図20参照)。
【0084】
また、キッチン用椅子に人が腰掛けると、腰掛け動作に応じてスプリング260が着座者の体重によって徐々に圧縮され、スライダ250と車軸240がキャスタ本体内のスライダ収容部210aを上方に向かって相対的に移動するようになっている。
【0085】
本実施形態においても、着座移動中の大腿部の角度とキッチン用椅子の座面垂直下方に作用する荷重を示した図44から分かるように、このような腰掛け動作中においては、着座者の着座移動に応じてキッチン用椅子の座面下方に作用する荷重が徐々に大きくなるので、図20に示すように回転抑制溝235の凹部235aに係合した回転ローラ215が、図21に示すように、弾力性を有する回転抑制溝の凸部235bを回転ローラ215の進む方向に圧縮するように変形させる。凸部235bが変形することによって、回転ローラ215の乗り越え時に凸部235bの乗り越え高さが低くなることによって、回転抑制溝235の凹部235aから回転ローラ215が徐々に抜け出して凸部235bをゆっくりと乗り越えて隣接する凹部235aに移動する。これによって、図45に示すように椅子使用者の着座動作に伴って回転抑制力が一度に解除されることなく連続的に減少する構造となっている。
【0086】
なお、この第2の実施形態においても、図45の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されないようになっている。
【0087】
そして、キッチン用椅子に完全に腰掛けると、図23に示すように車輪230の回転抑制溝235の凸部235bにも回転ローラ215が接触することがなくなり、この状態で車輪230が回転ローラ215によって回転を阻害させることがなく自由に回転できるようになる。
【0088】
このような構成を有するキッチン用椅子によっても、第1の実施形態のキッチン用椅子と同様の作用を発揮する。以下、この作用を詳細に再確認する。着座者が腰掛ける前のキッチン用椅子のキャスタ200は、図20に示すように回転ローラ215が車輪130の回転抑制溝235の凹部235aに係合しており、キャスタ200の車輪230が回転しないようになっている。これによって、例えば着座者が座面の前半分に腰掛けるような着座動作をとって着座者の臀部が座面に対して斜めに力を作用させても、キッチン用椅子がキッチンフロア上を急に滑り出すことはない。キッチンフロアは、例えばフローリングでできていたり食器洗い作業などによって濡れていたりするので、一般的に滑りやすくなっていることが多いが、この第2の実施形態にかかるキッチン用椅子は着座者が座面に臀部を接触させる瞬間においてはキャスタ200の車輪230が未だ回転を拘束されて動かない状態になっているので、このような腰掛ける瞬間におけるキッチン用椅子の逃げを防止することができる。
【0089】
続いて、座面に接触した臀部を座面に更に押し付けてキッチン用椅子に十分に腰掛けると、この着座動作に合わせてキャスタ本体内に収容したスプリング260が圧縮してスライダ250がキャスタ本体内のスライダ収容部上面に向かって相対的に移動し始める。このスライダ250の移動中には、スライダガイド(図示せず)が上述したようにスプリング260と干渉しないようになっている。また、スライダ250の上面四隅から延在した4つの細長のスライダガイドがキャスタ本体210の各スライダ収容部210aに沿って移動するようになっているので、スライダ250がキャスタ本体210のスライダ収容部内でせったりすることがなく、スライダ250がキャスタ本体内を滑らかに相対移動する。
【0090】
このように、スライダ250がキャスタ本体内のスライダ収容部210aを若干相対移動した状態においては、図20に示す回転ローラ215が回転抑制溝235の凹部底面から僅かに離れ、図21に示すように、その横の凸部235bを変形させながら乗り越えて隣接する凹部235aに移動し易くなる。すなわち、図45の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されることはない。このように回転抑制部が回転ローラ215と弾力性のある回転抑制溝235から構成されているので、キャスタ200に作用するブレーキ力が緩やかに低下するようになり、危険性が少なくなる。これによって、着座者は着座動作中にキッチン用椅子のキャスタ200の車輪230が徐々に動き出すことを察知することができる。その結果、キッチン用椅子への着座動作中に回転抑制力が急に解除されてキッチン用椅子がいきなり移動し始めるのを回避することができ、着座者がキッチン用椅子に安心して腰掛けることができる。
【0091】
そして、図23に示すような状態にまで回転ローラ215が達すると、もはや回転ローラ215は回転抑制溝235の凹凸部と係合することがなくなり、車輪230が自在に回転するようになる。これによって、着座者がキッチン用椅子に腰掛けたまま、例えばその足先を用いてキッチン用椅子ごとキッチンフロア上を自在に移動することが可能となる。これによって、料理の下ごしらえ中にオーブンに入れた他の料理を取り出したり電子レンジに別の料理を入れたりするような様々なキッチン作業をキッチン用椅子から立ち上がることなく腰掛けたままの姿勢で行うことが可能となる。
【0092】
なお、この第2の実施形態においても、5つのスプリング260が5つのスライダ250に作用する付勢力の総和がほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であるので、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者がキッチン用椅子に腰掛けた場合でも車輪230の回転抑制を確実に解除することができる。
【0093】
また、上述したキッチン用椅子は、その回転抑制部が車輪230の内側に形成されているので、椅子使用中にゴミが回転抑制部に詰まりにくく、また椅子使用者の衣服がこの回転抑制部に挟み込まれるようなこともない。
【0094】
なお、上述した第2の実施形態にかかるキッチン用椅子のキャスタのストッパは、回転抑制溝235が変形可能な弾性体でできていれば、回転ローラ215であることは必ずしも必要とされず、単なる円柱状の突起部をなしていても同様の効果を奏することができる。
【0095】
続いて、本発明の第3の実施形態にかかるキッチン用椅子について説明する。なお、この第3の実施形態に係るキッチン用椅子の構造は、そのキャスタ300の部分を除いて第1の実施形態にかかるキッチン用椅子の構造と同等であるので、キャスタ300の構造についてのみ図面に基づいて説明する。また、このキャスタ300に関して第1の実施形態のキャスタ100と同等の構造については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また、各構成要素の材質も、第1の実施形態にかかるキャスタ100に対応しているので、その記載を省略する。
【0096】
なお、ここで、図25は本発明の第3の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタ300を非着座時において車軸340に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図26は図25に示したキャスタ300の側面図である。また、図27はこの第3の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタ300を着座時において車軸340に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図28は図27に示したキャスタ300の側面図である。また、図29は図25乃至図28に示したキャスタ300に備わる車輪の斜視図である。
【0097】
本発明の第3の実施形態にかかるキッチン用椅子のキャスタ300は、図25乃至図29に示すようにキャスタ本体310と、キャスタ本体310を貫通するように備わったキャスタ取り付け部320と、キャスタ本体310の両側面に備わった車輪330と、車輪330を連結する車軸340と、車軸340に備わったスライダ350と、キャスタ本体内に収容されたスプリング360を有している。
【0098】
キャスタ本体310は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有しているが、第1の実施形態と異なる点として、キャスタ本体側面の車軸340より下方に車輪330の内側面に向かって円柱状のストッパ315が突出形成されている。
【0099】
車軸340は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。車輪330は、例えばナイロンなどの合成樹脂でできており、その外周方向外側がキッチンフロアと車輪330との滑りをなくすために全周にわたってウレタンゴムで覆われている。また、車輪330の内側側面、すなわちキャスタ本体との向き合う面には、その内周全周にわたって回転抑制溝335が形成されている。また、この回転抑制溝335の車軸周りの外周壁には、図26及び図28に示すように凹凸部が全周にわたって交互に連続的に形成されている。そして、この凹凸部の凹部335aに上述したストッパ315が係合することで、車輪330の回転を抑制するようになっている。
【0100】
スライダ350は第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。また、スプリング360は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している
なお、スプリング360は、キッチン用椅子に着座者が腰掛けていない場合に車軸340を車軸貫通孔313の長孔下端部に押し付けるとともにキャスタ本体310のストッパ315を車輪330の回転抑制溝335の凹部335aに下方から押し付ける付勢力を有している。
【0101】
具体的には、例えば5つのキャスタ300を備えたキッチン用椅子の場合では、第1の実施形態と同様に、5つのスライダ350に作用する付勢力の総和は、ほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加算した値とほぼ等しいかそれ以下となっている。これによって、キッチン用椅子に人が腰掛けていない状態ではストッパ315がスプリング360の付勢力によってキャスタ本体310のストッパ315が車輪330の回転抑制溝335の上方に位置する凹部335aに係合することで、キッチン用椅子がキャスタ300を介してキッチンフロア上を移動しないようになっている。
【0102】
また、キッチン用椅子に人が腰掛けると、腰掛け動作に応じてスプリング360が着座者の体重によって徐々に圧縮され、スライダ350と車軸330がキャスタ本体内のスライダ収容部310aを上方に向かって相対的に移動するようになっている。
【0103】
着座移動中の大腿部の角度とキッチン用椅子の座面垂直下方に作用する荷重を示した図44から分かるように、このような腰掛け動作中においては、着座者の着座移動に応じてキッチン用椅子の座面下方に作用する荷重が徐々に大きくなるので、図26に示すように回転抑制溝335の凹部335aに係合したストッパ315が回転抑制溝335の凹部335aから徐々に抜け出してゆっくりと凸部335bを乗り越えて隣接する凹部335aに移動する。これによって、図45に示すように椅子使用者の着座動作に伴って回転抑制力が一度に解除されることなく連続的に減少する構造となっている。
【0104】
図45の説明図から分かるように、本実施形態においては、上述の通り同図の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されないようになっている。
【0105】
そして、キッチン用椅子1に完全に腰掛けると、図28に示すように車輪330の回転抑制溝335の凸部335bにもストッパ315が接触することがなくなり、この状態で車輪330がストッパ315によって回転を阻害させることがなく自由に回転できるようになる。
【0106】
このような構成を有するキッチン用椅子によっても、第1の実施形態のキッチン用椅子と同様の作用を発揮する。以下、この作用を詳細に再確認する。着座者が腰掛ける前のキッチン用椅子のキャスタ300は、図26に示すようにストッパ315が車輪330の回転抑制溝335の凹部335aに係合しており、キャスタ300の車輪330が回転しないようになっている。これによって、例えば着座者が座面の前半分に腰掛けるような着座動作をとって着座者の臀部が座面に対して斜めに力を作用させても、キッチン用椅子がキッチンフロア上を急に滑り出すことはない。キッチンフロアは、例えばフローリングでできていたり食器洗い作業などによって濡れていたりするので、一般的に滑りやすくなっていることが多いが、この第3の実施形態にかかるキッチン用椅子は着座者が座面に臀部を接触させる瞬間においてはキャスタ300の車輪330が未だ回転を拘束されて動かない状態になっているので、このような腰掛ける瞬間におけるキッチン用椅子の逃げを防止することができる。
【0107】
続いて、座面に接触した臀部を座面に更に押し付けてキッチン用椅子に十分に腰掛けると、この着座動作に合わせてキャスタ本体内に収容したスプリング360が圧縮してスライダ350がキャスタ本体内のスライダ収容部上面に向かって相対的に移動し始める。
【0108】
このように、スライダ350がキャスタ本体内のスライダ収容部310aを若干相対移動した状態においては、図26に示すストッパ315が回転抑制溝335の凹部底面から僅かに離れ、その横の凸部335bを乗り越えて隣接する凹部335aに移動し易くなる。すなわち、図45の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されることはない。このようにストッパ315と回転抑制溝335とから回転抑制部が構成されているので、キャスタ300に作用するブレーキ力が緩やかに低下するようになり、危険性が少なくなる。これによって、着座者は着座動作中にキッチン用椅子のキャスタ300の車輪330が徐々に動き出すことを察知することができる。その結果、キッチン用椅子への着座動作中に回転抑制力が急に解除されてキッチン用椅子がいきなり移動し始めるのを回避することができ、着座者がキッチン用椅子に安心して腰掛けることができる。
【0109】
そして、図28に示すような状態にまでストッパ315が達すると、もはやストッパ315は回転抑制溝335の凹凸部と係合することがなくなり、車輪330が自在に回転するようになる。これによって、着座者がキッチン用椅子に腰掛けたまま、例えばその足先を用いてキッチン用椅子ごとキッチンフロア上を自在に移動することが可能となる。これによって、料理の下ごしらえ中にオーブンに入れた他の料理を取り出したり電子レンジに別の料理を入れたりするような様々なキッチン作業をキッチン用椅子から立ち上がることなく腰掛けたままの姿勢で行うことが可能となる。
【0110】
なお、この第3の実施形態においても、5つのスプリング160が5つのスライダ350に作用する付勢力の総和がほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であるので、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者がキッチン用椅子に腰掛けた場合でも車輪130の回転抑制を確実に解除することができる。
【0111】
また、上述したキッチン用椅子も、その回転抑制部(回転抑制溝335とストッパ315)が車輪330の内側に形成されているので、椅子使用中にゴミが回転抑制部に詰まりにくく、また椅子使用者の衣服がこの回転抑制部に挟み込まれるようなこともない。
【0112】
続いて、上述した第3の実施形態にかかるキッチン用椅子の変形例について説明する。なお、この変形例に関して上述した第3の実施形態にかかるキッチン用椅子と同様の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0113】
なお、ここで、図30はこの第3の実施形態の変形例にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタ301を非着座時において車軸340に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図31は図30に示したキャスタの側面図である。また、図32はこの第3の実施形態の変形例にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタ301を着座時において車軸340に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図33は図32に示したキャスタ301の側面図である。また、図34は図33のキャスタ本体311、車軸340、及び回転ローラ317の周辺を示した一部拡大図である。
【0114】
かかるキッチン用椅子の変形例は、図30に示すように、ストッパ315の代わりに車輪331の回転方向に合わせて回転可能な回転ローラ317とこの回転ローラ317を支持するローラ支持部材316を備えている。このように、ストッパ315の代わりに回転可能な回転ローラ317を備えることで、回転ローラ317のカム作用によって着座者の着座動作中において回転ローラ317が回転抑制溝336の凸部336bを徐々に乗り越えるようになり、回転抑制部(回転抑制溝336と回転ローラ317)が車輪331に及ぼす回転抑制力を徐々に減少させることができる。
【0115】
続いて、本発明の第4の実施形態にかかるキッチン用椅子について説明する。なお、この第4の実施形態に係るキッチン用椅子の構造は、そのキャスタ400の部分を除いて上述した実施形態にかかるキッチン用椅子の構造と同等であるので、キャスタ400の構造についてのみ図面に基づいて説明する。また、このキャスタ400に関して第1の実施形態のキャスタ100と同等の構造については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また、各構成要素の材質も、第1の実施形態にかかるキャスタ100に対応しているので、その記載を省略する。
【0116】
なお、ここで、図35は本発明の第4の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタ400を非着座時において車軸440に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図36は図35に示したキャスタ400の側面図である。また、図37は図36に示したストッパ周辺の拡大図である。また、図38はこの第4の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタ400を、着座動作中において示した側面図である。また、図39は図38に示したストッパ周辺の拡大図である。また、図40はこの第4の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタ400をキッチン用椅子への着座時において車軸440に沿って鉛直方向に切断した断面図である。また、図41は図40に示したキャスタ400の側面図である。また、図42は図41に示したストッパ周辺の拡大図である。
【0117】
本発明の第4の実施形態にかかるキッチン用椅子のキャスタ400は、これらの図に示すようにキャスタ本体410と、キャスタ本体410を貫通するように備わったキャスタ取り付け部420と、キャスタ本体410の両側面に備わった車輪430と、車輪430を連結する車軸440と、車軸440に備わったスライダ450と、キャスタ本体内に収容されたスプリング460を有している。
【0118】
キャスタ本体410は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有しているが、第1の実施形態と異なる点として、車軸貫通孔413の開口部上方に回転抑制溝435の形成方向に合わせて円弧をなしてこの回転抑制溝435の凹部435aに一部が選択的に係合する板状のストッパ415が形成されている。
【0119】
車軸440は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。車輪430は、例えばナイロンなどの合成樹脂でできており、その外周方向外側がキッチンフロアと車輪430との滑りをなくすために全周にわたってウレタンゴムで覆われている。また、車輪430の内側側面、すなわちキャスタ本体との向き合う面には、その内周全周にわたって回転抑制溝435が形成されている。また、この回転抑制溝435の外周壁には、図36に示すように凹凸部が全周にわたって交互に連続的に形成されている。そして、着座者の非着座時に回転抑制溝435の凹部435aに円弧状のストッパ415の一部が変形状態で嵌ることで車輪430の回転を阻止するとともに、着座者の着座時に回転抑制溝435の凹凸部がストッパ415に干渉することなく車輪430を回転自在とさせている。また、着座者の着座動作中においてはストッパ415の変形状態が回復しながら回転抑制溝435の凸部435bを乗り越えることでストッパ415と回転抑制溝435からなる回転抑制部が車輪430に及ぼす回転抑制力が徐々に減少するようになり、車輪430の回転を抑制させている。
【0120】
スライダ450は第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。また、スプリング460は、第1の実施形態と同様の材質でできており、同様の構成を有している。なお、スプリング460は、キッチン用椅子に着座者が腰掛けていない場合に車軸440を車軸貫通孔413の長孔下端部に押し付けるとともにキャスタ本体410のストッパ415を車輪430の回転抑制溝435の凹部435aに変形させたまま嵌める程度の付勢力を有している。
【0121】
具体的には、例えば5つのキャスタ400を備えたキッチン用椅子の場合では、第1の実施形態と同様に、5つのスライダ450に作用する付勢力の総和は、ほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加算した値とほぼ等しいかそれ以下となっている。これによって、キッチン用椅子に人が腰掛けていない状態ではストッパ415がスプリング460の付勢力によってキャスタ本体410のストッパ415の一部が車輪430の回転抑制溝435の上方に位置する凹部435aに変形したまま嵌ることで、キッチン用椅子がキャスタ400を介してキッチンフロア上を移動しないようになっている。
【0122】
また、キッチン用椅子に人が腰掛けると、腰掛け動作に応じてスプリング460が着座者の体重によって徐々に圧縮され、スライダ450と車軸430がキャスタ本体内のスライダ収容部410aを上方に向かって相対的に移動するようになっている。
【0123】
着座移動中の大腿部の角度とキッチン用椅子の座面垂直下方に作用する荷重を示した図44から分かるように、このような腰掛け動作中においては、着座者の着座移動に応じてキッチン用椅子の座面下方に作用する荷重が徐々に大きくなるので、図36及び図37に示すように回転抑制溝435の凹部435aに係合したストッパ415の変形が図38及び図39に示すように回復しつつ回転抑制溝435の凸部435bに乗り上げながら、回転抑制溝435の凹部435aから徐々に抜け出してゆっくりと凸部435bを乗り越えて隣接する凹部435aに移動する。これによって、図45に示すように椅子使用者の着座動作に伴って回転抑制力が一度に解除されることなく連続的に減少する構造となっている。
【0124】
すなわち、図45に示すように、本実施形態においても、上述の通り同図の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されないようになっている。
【0125】
そして、キッチン用椅子に完全に腰掛けると、図41及び図42に示すように車輪430の回転抑制溝435の凸部435bにもストッパ415が接触することがなくなり、この状態で車輪430がストッパ415によって回転を阻害させることがなく自由に回転できるようになる。
【0126】
このような構成を有するキッチン用椅子によっても、第1の実施形態のキッチン用椅子と同様の作用を発揮する。すなわち、着座者が腰掛ける前のキッチン用椅子のキャスタ400は、図36及び図37に示すようにストッパ415が車輪430の回転抑制溝435の凹部435aに係合しており、キャスタ400の車輪430が回転しないようになっている。これによって、例えば着座者が座面の前半分に腰掛けるような着座動作をとって着座者の臀部が座面に対して斜めに力を作用させても、キッチン用椅子がキッチンフロア上を急に滑り出すことはない。キッチンフロアは、例えばフローリングでできていたり食器洗い作業などによって濡れていたりするので、一般的に滑りやすくなっていることが多いが、本実施形態にかかるキッチン用椅子は着座者が座面に臀部を接触させる瞬間においてはキャスタ400の車輪430が未だ回転を拘束されて動かない状態になっているので、このような腰掛ける瞬間におけるキッチン用椅子の逃げを防止することができる。
【0127】
続いて、座面に接触した臀部を座面に更に押し付けてキッチン用椅子に十分に腰掛けると、この着座動作に合わせてキャスタ本体内に収容したスプリング460が圧縮してスライダ450がキャスタ本体内のスライダ収容部上面に向かって相対的に移動し始める。
【0128】
このように、スライダ450がキャスタ本体内のスライダ収容部410aを若干相対移動した状態においては、図36及び図37に示すストッパ415が回転抑制溝435の凹部435aに押え付けられて変形していた状態から図38及び図39に示すように変形を回復させてその隣の凸部435bを乗り越えて隣接する凹部435aに移動し易くなる。すなわち、図45の一点鎖線(a)又は実線(b)に示すように回転抑制力が着座動作の少なくとも前半か着座動作中全体にわたって連続的に減少し、点線(c)に示すように回転抑制力がいきなり解除されることはない。このように回転抑制部がストッパ415と回転抑制溝435とで構成されているので、キャスタ400に作用するブレーキ力が緩やかに低下するようになり、危険性が少なくなる。これによって、着座者は着座動作中にキッチン用椅子のキャスタ400の車輪430が徐々に動き出すことを察知することができる。その結果、キッチン用椅子への着座動作中に回転抑制力が急に解除されてキッチン用椅子がいきなり移動し始めるのを回避することができ、着座者がキッチン用椅子に安心して腰掛けることができる。
【0129】
そして、図38に示すような状態にまでストッパ415が達すると、もはやストッパ415は回転抑制溝435の凹凸部と係合することがなくなり、車輪430が自在に回転するようになる。これによって、着座者がキッチン用椅子1に腰掛けたまま、例えばその足先を用いてキッチン用椅子ごとキッチンフロア上を自在に移動することが可能となる。これによって、料理の下ごしらえ中にオーブンに入れた他の料理を取り出したり電子レンジに別の料理を入れたりするような様々なキッチン作業をキッチン用椅子1から立ち上がることなく腰掛けたままの姿勢で行うことが可能となる。
【0130】
なお、この第4の実施形態においても、5つのスプリング460が5つのスライダ450に作用する付勢力の総和がほぼ196Nに椅子の重さ約100Nを加えた合計値とほぼ等しいかそれ以下であるので、例えば体重40Kg程度の比較的体重の軽い着座者がキッチン用椅子に腰掛けた場合でも車輪430の回転抑制を確実に解除することができる。
【0131】
また、上述したキッチン用椅子は、その回転抑制部(回転抑制溝435とストッパ415)が車輪430の内側に形成されているので、椅子使用中にゴミが回転抑制部に詰まりにくく、また椅子使用者の衣服がこの回転抑制部に挟み込まれるようなこともない。
【0132】
以上、説明したキッチン用椅子は、その座面の高さを調整可能であったが、必ずしもこのように高さ調整機構を備える必要はなく座面の高さを約600mm程度に固定しておいても良い。
【0133】
なお、本実施形態において上述した回転抑制溝435の代わりに第1の実施形態のストッパ受け用突出部135を車輪に形成しても同様の作用を発揮することは可能である。
【0134】
又、図43には第4の実施例の変形例を示している。本変形例は第4の実施例において、回転抑制溝435の幅(図43中の記号W)とストッパ415の厚さ(図43中の記号T)を調整して、キッチン用椅子への着座動作中の回転抑制力の解除が徐々に行われる度合いを調整しているものである。すなわち、第4の実施例(図41)に比べて、本変形例における回転抑制溝435の幅Wを小さくしてストッパ415の係合量を小さくし、又ストッパ415の厚さTを厚くしてストッパ415の剛性を高めて変形量を小さくすることで、ブレーキの解除の度合いを早めている。従って、回転抑制溝435の幅(図43中の記号W)とストッパ415の厚さ(図43中の記号T)を前述した様に適宜、調整することで、着座動作時の始動性を高めることができ、例えば、着座者が着座部に極端に偏った体重をかけた場合であっても、椅子の移動性を阻害せずに利用できるなど、目的に応じてブレーキが徐々に解除される度合いを調整することが出来る。
【0135】
続いて、以上説明した各実施形態及びその変形例にかかるキッチン用椅子の特有の作用効果について、図46に示す比較表を用いて確認する。同図に示す比較表は、キャスタの備わらない椅子と、キャスタが備わって常に移動可能な椅子と、キャスタが備わっているが座面に座らないときのみキャスタの車輪が回転する椅子と、キャスタが備わっているがキャスタの車輪の動きを常に悪くした椅子を比較例とし、上述した実施形態及びその変形例にかかるキッチン用椅子を発明品として比較した比較表である。
【0136】
なお、従来技術で説明した特許文献1のキャスタは、キャスタの動きが常に半制動状態になって上述したキャスタの車輪の動きが常に悪い椅子のキャスタに相当する。また、特許文献2に記載したキャスタは、キャスタが備わっているが座面に座らないときのみキャスタの車輪が回転する椅子のキャスタに相当する。
【0137】
図46に示す本発明品と他の構成を備えた椅子との比較から、本発明品は腰掛けるときに椅子が動かず、腰掛けた後に椅子が動くようになっているので、フローリングになっていたり食器洗い作業などによって濡れていたりすることが多い特別な事情を有するキッチンフロアに本発明品にかかるキッチン用椅子を備えた場合に最も腰掛け易いことが比較表の左側欄から分かる。
【0138】
また、キッチン作業の場合、事務机用の椅子や勉強机用の椅子などのように着座した後に椅子に長時間座ったままになることがなく、食材の下ごしらえやガスレンジなどの調理作業に加えて、オーブンや電子レンジなどへの料理の出し入れなど様々な作業を行う必要があるため、キッチン用椅子に腰掛けたままこれら一連のキッチン作業を行うことのできる本発明品が特にキッチン用椅子としてその機能上適していることが比較表の右側欄から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の第1の実施形態乃至第4の実施形態及びこれらの変形例にかかるキッチン用椅子が使用されるシステムキッチンと、第1の実施形態にかかるキッチン用椅子を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるキッチン用椅子の斜視図である。
【図3】図2に示した第1の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタを非着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図4】図3に示したキャスタの側面図である。
【図5】図2に示したキッチン用椅子の着座時におけるキャスタを車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図6】図5に示したキャスタの側面図である。
【図7】図3に示したキッチン用椅子への非着座時におけるキャスタの変形例を車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図8】図7に示したキャスタの側面図である。
【図9】図3に示したキッチン用椅子の変形例にかかるキャスタを着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図10】図9に示したキャスタの側面図である。
【図11】図7乃至図10に示したキャスタに備わる車輪の斜視図である。
【図12】図11に示した車輪の中心軸線を含む鉛直方向断面図である。
【図13】図3に示したキッチン用椅子の更なる変形例のキャスタを非着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図14】図13に示したキャスタの側面図である。
【図15】図3に示したキッチン用椅子の更なる変形例のキャスタを着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図16】図15に示したキャスタの側面図である。
【図17】図13乃至図16に示したキャスタに備わる車輪の斜視図である。
【図18】図17に示した車輪の中心軸線を含む鉛直方向断面図である。
【図19】本発明の第2の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタを非着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図20】図19に示したキャスタの側面図である。
【図21】図19に示した着座動作中のキャスタの側面図である。
【図22】図19に示したキャスタを着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図23】図22に示したキャスタの側面図である。
【図24】図19乃至図23に示した車輪の中心軸線を含む鉛直方向断面図である。
【図25】本発明の第3の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタを非着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図26】図25に示したキャスタの側面図である。
【図27】本発明の第3の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタを着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図28】図27に示したキャスタの側面図である。
【図29】図25乃至図28に示したキャスタに備わる車輪の斜視図である。
【図30】本発明の第3の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタの変形例を非着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図31】図30に示したキャスタの側面図である。
【図32】本発明の第3の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタの変形例を着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図33】図32に示したキャスタの側面図である。
【図34】図33のキャスタ本体、ストッパ、及び車軸の周辺を示す一部拡大図である。
【図35】本発明の第4の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタを非着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図36】図35に示したキャスタの側面図である。
【図37】図36に示したストッパ周辺の拡大図である。
【図38】本発明の第4の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタを着座動作中において示した側面図である。
【図39】図38に示したストッパ周辺の拡大図である。
【図40】本発明の第4の実施形態にかかるキッチン用椅子に備わるキャスタを着座時において車軸に沿って鉛直方向に切断した断面図である。
【図41】図40に示したキャスタの側面図である。
【図42】図41に示したストッパ周辺の拡大図である。
【図43】本発明の第4の実施形態の変形例である。
【図44】着座者の大腿部の曲げ角度とキッチン用椅子の座面にかかる荷重及び椅子の逃げ力を示した図である。
【図45】着座前から着座動作を経て着座後に至るまでの回転抑制力の変化を示した図である。
【図46】本発明の実施形態とその変形例にかかるキッチン用椅子である発明品とそれ以外のキャスタなしの椅子やキャスタ付きの椅子、常に動きの悪いキャスタを備えた椅子を比較した評価比較表である。
【符号の説明】
【0140】
1 キッチン用椅子
20 着座部
21 背凭れ部
30 支柱部
40 脚部
50 足掛け部
100,101,102,200,300,301,400 キャスタ
110,111,112,210,310,311,410 キャスタ本体
110a,210a,310a,410a スライダ収容部
110b 上端面
113,213,313,413 車軸貫通孔
114,214 回転ローラ取り付け部
115,215 回転ローラ
116 ストッパ
117 ローラ支持部
118 ローラ
120,220,320,420 キャスタ取り付け部
130,131,132,230,330,331,430 車輪
135 ストッパ受け用突出部
136,138 ローラ支持部
137,139 ローラ
235,335,336,435 回転抑制溝
235a,335a,336a,435a 凹部
235b,335b,336b,435b 凸部
140,240,340,440 車軸
150,250,350,450 スライダ
160,260,360,460 スプリング
315,415 ストッパ
316 ローラ支持部材
317 回転ローラ




 

 


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