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発明の名称 スナップボタン及び雌スナップの加工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−105179(P2007−105179A)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
出願番号 特願2005−298079(P2005−298079)
出願日 平成17年10月12日(2005.10.12)
代理人 【識別番号】100067817
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 基弘
発明者 長谷川 建二
要約 課題
雄スナップと雌スナップ間の結合力及び分離抵抗を高く保ちつつ、特定の方向から比較的外しやすくしたスナップボタンを提供する。

解決手段
雌スナップ(2)がばねリング(21)とリング収容部(22)とを備えたスナップボタンにおいて、リング収容部(22)の一部にその上部(22a)の高さを低くした低上部(23)を設け、この低上部(23)に対応するリング収容部(22)の内部空間部分を上下方向に狭い狭空間部(s)とする。ばねリング(21)は、狭空間部(s)において、低上部(23)とリング収容部底部(22c)との間で押着固定される。低上部(23)は、リング収容部(22)の全周において、スナップボタンを外す際につかむ生地片(t’)の個所(引っ張り点)から最も近い部分に設けられる。
特許請求の範囲
【請求項1】
凸部(10)を有する雄スナップ(1)と、凸部(10)を係合及び脱係合可能に受け入れる凸部受入れ部(20)を有する雌スナップ(2、2’)とからなり、前記凸部(10)は、先端付近の大径部(11)と、この大径部(11)から外径が次第に縮小してなる小径部(12)とを有し、前記雌スナップ(2、2’)は、雄スナップ凸部(10)の凸部受入れ部(20)への係合時に、凸部(10)の大径部(11)によって内径が弾性的に拡張させられて該大径部(10)を通過させた後、復元方向に縮小して前記小径部(12)に対応するリング状弾性部材(21)と、このリング状弾性部材(21)を、リング中心を向く内側側部を開放して収容するリング収容部(22、22’)とを備えるスナップボタンにおいて、
リング収容部(22、22’)の凸部受入れ側上部(22a)の高さを部分的に低くした低上部(23、23’)を設け、この低上部(23、23’)に対応するリング収容部(22、22’)の内部空間部分(s)を、該低上部対応内部空間部分(s)以外のリング収容部内部空間に比べて上下方向に狭まくしたことを特徴とするスナップボタン。
【請求項2】
前記低上部(23、23’)に対応するリング収容部内部空間部分(s)の上下方向間隔は、リング状弾性部材(21)の厚さに等しい請求項1に記載のスナップボタン。
【請求項3】
前記低上部(23)はリング状弾性部材(21)をリング収容部(22)の底部(22c)に対し押圧して固定する請求項1に記載のスナップボタン。
【請求項4】
前記雌スナップ(2、2’)における低上部(23、23’)を、リング収容部(22、22’)の全周のうち、雌スナップ(2、2’)又は雄スナップ(1)が固定される生地部材(t、t’)における、雄スナップ(1)と雌スナップ(2、2’)とを脱係合させる際に指でつかむ個所に最も近くなる部分に設ける請求項1〜3のいずれか一に記載のスナップボタン。
【請求項5】
凸部(10)を有する雄スナップ(1)と、凸部(10)を係合及び脱係合可能に受け入れる凸部受入れ部(20)を有する雌スナップ(2)とからなり、前記凸部(10)は、先端付近の大径部(11)と、この大径部(11)から外径が次第に縮小してなる小径部(12)とを有し、前記雌スナップ(2)は、雄スナップ凸部(10)の凸部受入れ部(20)への係合時に、凸部(10)の大径部(11)によって内径が弾性的に拡張させられて該大径部(11)を通過させた後、復元方向に縮小して前記小径部(12)に対応するリング状弾性部材(21)と、このリング状弾性部材(21)を、リング中心を向く内側側部を開放して収容するリング収容部(22)とを備えるスナップボタンにおける雌スナップ(2)の加工方法であって、
下方に突出する隆起部(33)を底部に有するダイ(30)を雌スナップ(2)に対し相対的に押し付けることにより、ダイ(30)の隆起部(33)によってリング収容部(22)の凸部受入れ側上部(22a)の高さを部分的に低くした低上部(23)を設け、この低上部(23)に対応するリング収容部(22)の内部空間部分(s)を、該低上部対応内部空間部分(s)以外のリング収容部内部空間に比べて上下方向に狭まくすることを特徴とする雌スナップの加工方法。
【請求項6】
凸部(10)を有する雄スナップ(1)と、凸部(10)を係合及び脱係合可能に受け入れる凸部受入れ部(20)を有する雌スナップ(2)とからなり、前記凸部(10)は、先端付近の大径部(11)と、この大径部(11)から外径が次第に縮小してなる小径部(12)とを有し、前記雌スナップ(2)は、雄スナップ凸部(10)の凸部受入れ部(20)への係合時に、凸部(10)の大径部(11)によって内径が弾性的に拡張させられて該大径部(11)を通過させた後、復元方向に縮小して前記小径部(12)に対応するリング状弾性部材(21)と、このリング状弾性部材(21)を、リング中心を向く内側側部を開放して収容するリング収容部(22)とを備えるスナップボタンにおける雌スナップ(2)を生地部材(t’)に取り付けるにあたり、
生地部材(t’)の上方に、雌スナップ(2)を、下方に突出する隆起部(33)を底部に有する取付けダイ(30)に保持させ、下方に、雌スナップ(2)を生地部材(t’)に固定するための雌スナップ固定部材(26)を固定部材支持台(40)上に配置し、
次いで、取付けダイ(30)を固定部材支持台(40)に向かって相対的に移動させて、雌スナップ(2)と雌スナップ固定部材(26)とを生地部材(t’)を挟んで互いに突き合わせ、雌スナップ固定部材(26)又は雌スナップ(2)の一部(27)を生地部材(t’)を貫通させた後、雌スナップ(2)又は雌スナップ固定部材(26)に変形係止させて雌スナップ(2)を生地部材(t’)に固定すると共に、取付けダイ(30)の隆起部(33)によってリング収容部(22)の凸部受入れ側上部(22a)の高さを部分的に低くした低上部(23)を設け、この低上部(23)に対応するリング収容部(22)の内部空間部分(s)を、該低上部対応内部空間部分(s)以外のリング収容部内部空間に比べて上下方向に狭まくすることを特徴とする雌スナップの加工方法。
【請求項7】
前記雌スナップ(2)における低上部(23、23’)を、リング収容部(22)の全周のうち、雌スナップ(2)又は雄スナップ(1)が固定される生地部材(t、t’)における、雄スナップ(1)と雌スナップ(2)とを脱係合させる際に指でつかむ個所に最も近くなる部分に設ける請求項5又は6に記載の雌スナップの加工方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の雄スナップ及び雌スナップからなるスナップボタンと、雌スナップの加工方法に関し、特に、雌スナップにリング状弾性部材が付加されたスナップボタンと、リング状弾性部材付き雌スナップの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雄スナップの凸部を雌スナップの凸部受入れ部に係合及び脱係合させるスナップボタンは、衣類、袋物等の合わせ目に広く使用されている。スナップボタンの用途のうちには、雄スナップと雌スナップの間に特に強い結合力及び分離抵抗が要求されるものがあり、その一例として、運動、体型補正等のための女性用ボディースーツにおける股部の合わせ目が挙げられる。この合わせ目を前後からなす二つのスーツ生地部の一方に雄スナップが、他方に雌スナップがそれぞれ固定され、スーツ使用時において、各スーツ生地部を介して雄スナップには前方(又は後方)への、雌スナップには後方(又は前方)への横引き力がかかる。そのため、雄スナップと雌スナップ間の結合力及び分離抵抗が弱いと、スーツ使用時にスーツ股部の雄・雌スナップが外れてしまう。これを防ぐため、雌スナップにリング状弾性部材を付加して上記結合力及び分離抵抗を高めたスナップボタンが、例えば、米国特許第2,314,751号明細書、実開昭62−7207号公報等に開示されている。
【0003】
上記リング状弾性部材は、雄スナップ凸部を雌スナップ凸部受入れ部へ係合させる際、凸部先端付近の大径部によって内径が弾性的に拡張させられて該大径部を通過させた後、復元方向に縮小して凸部の小径部を保持するように作用する。
【0004】
しかしながら、リング状弾性部材を付加して雌スナップの雄スナップに対する結合力及び分離抵抗を高めた場合、ボディースーツを脱ぐ際にその股部の雄・雌スナップを外すために必要な力が大きくなりすぎ、スーツが非常に脱ぎにくいという問題があった。
【特許文献1】米国特許第2,314,751号明細書
【特許文献2】実開昭62−7207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、雄スナップと雌スナップ間の結合力及び分離抵抗を高く保ちつつ、特定の方向から比較的外しやすくしたスナップボタンと、このようなスナップボタンにおける雌スナップを得るための雌スナップの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題を解決するため、凸部を有する雄スナップと、凸部を係合及び脱係合可能に受け入れる凸部受入れ部を有する雌スナップとからなり、前記凸部は、先端付近の大径部と、この大径部から外径が次第に縮小してなる小径部とを有し、前記雌スナップは、雄スナップ凸部の凸部受入れ部への係合時に、凸部の大径部によって内径が弾性的に拡張させられて該大径部を通過させた後、復元方向に縮小して前記小径部に対応するリング状弾性部材と、このリング状弾性部材を、リング中心を向く内側側部を開放して収容するリング収容部とを備えるスナップボタンにおいて、リング収容部の凸部受入れ側上部の高さを部分的に低くした低上部を設け、この低上部に対応するリング収容部の内部空間部分を、該低上部対応内部空間部分以外のリング収容部内部空間に比べて上下方向に狭まくしたことを特徴とするスナップボタンが提供される。
【0007】
本発明に係るスナップボタンでは、雌スナップのリング収納部の一部(複数部分を含む)に高さを低くくした底上部を設け、この低上部に対応するリング収納部内部空間部分の上下間隔を狭めたことにより、少なくとも該狭空間部分でリング状弾性部材の移動が制限されることとなる。この作用に基づき、本スナップボタンは、リング収納部内部空間内においてリング状弾性部材の移動が全く制限されない従来のリング状弾性部材付き雌スナップを含むスナップボタンに比べ、特定方向(後述)から雌・雄スナップが比較的外しやすくなる。
【0008】
上記雄スナップ及び雌スナップの材質としては、金属等が好ましく用いられる。
【0009】
リング状弾性部材は、雄スナップの凸部との係わり合いにより内径を弾性的に拡大及び縮小(復元)可能な金属、又は樹脂、ゴム等の非金属材料からなる部材であり、例えば、C字型リング、連続した環状リング等として形成され得る。
【0010】
本発明において、リング収容部において低上部を設ける部分は、リング収容部の360度全域でなければよく、従って、リング収容部の上部には必ず高低が生じる。好ましくは、雌スナップにおける低上部は、リング収容部の全周のうち、雌スナップ又は雄スナップが固定される生地部材における、雄スナップと雌スナップとを脱係合させる際に指でつかむ個所(引っ張り点)に最も近くなる部分(引っ張り点からの引っ張り力が生地部材を介して直接的にかかる部分)に設けられる。該引っ張り点は、生地部材上において指でつかむ個所がばらつきつつもある範囲に集中する場合の該範囲の中心である。このような指でつかむ個所が集中する範囲が複数認められる用途では、リング収容部において低上部も複数設けられ得る。
【0011】
本発明に係るスナップボタンの用途の一例である女性用ボディースーツの股部においては、スーツを脱ぐために該股部のスナップボタンを外す際、手でつかむ(雌スナップが固定された)生地部材の個所(引っ張り点)と、この個所を引っ張る方向とがほぼ一定である。この場合、雌スナップのリング収容部の全周のうち、上記引っ張り点に最も近い部分、すなわち、引っ張り点とリング中心とを結ぶ直線上に来る部分に低上部を設け、該低上部に対応するリング収容部の内部空間部分(狭空間部)を上下方向に狭くする。これにより、上記引っ張り点から所定の引っ張り方向(図4の矢印A参照)に雌スナップが固定された生地部材を引くことにより、雌スナップが雄スナップから外れやすくなること、及び、耐横引き力(スーツ使用時にかかる横引き力に対する離脱抵抗)が従来のスナップボタンと同程度であることが実験で確認できた(表1及び2参照)。
【0012】
本発明では、前記低上部に対応するリング収容部内部空間部分(狭空間部)の上下方向間隔を、リング状弾性部材の厚さ(断面直径)に等しくすることができる。この場合、狭空間部においてリング状弾性部材は上下方向に全く移動できなくなる。
【0013】
本発明ではまた、前記低上部がリング状弾性部材をリング収容部の底部に対し押圧して固定するようにすることができる。この場合、狭空間部でのリング状弾性部材の固定により、リング状弾性部材は狭空間部以外のリング収容部内部空間、特に狭空間部の直径方向反対側でも上下方向に移動しにくくなる。
【0014】
別の本発明によれば、凸部を有する雄スナップと、凸部を係合及び脱係合可能に受け入れる凸部受入れ部を有する雌スナップとからなり、前記凸部は、先端付近の大径部と、この大径部から外径が次第に縮小してなる小径部とを有し、前記雌スナップは、雄スナップ凸部の凸部受入れ部への係合時に、凸部の大径部によって内径が弾性的に拡張させられて該大径部を通過させた後、復元方向に縮小して前記小径部に対応するリング状弾性部材と、このリング状弾性部材を、リング中心を向く内側側部を開放して収容するリング収容部とを備えるスナップボタンにおける雌スナップの加工方法であって、下方に突出する隆起部を底部に有するダイを雌スナップに対し相対的に押し付けることにより、ダイの隆起部によってリング収容部の凸部受入れ側上部の高さを部分的に低くした低上部を設け、この低上部に対応するリング収容部の内部空間部分を、該低上部対応内部空間部分以外のリング収容部内部空間に比べて上下方向に狭まくすることを特徴とする雌スナップの加工方法が提供される。なお、上記ダイを押し付ける工程は、生地に固定した雌スナップ又は生地に固定していない雌スナップに対して行うことができる他、雌スナップの生地への取付け時に行うこともできる。
【0015】
更に別の本発明によれば、凸部を有する雄スナップと、凸部を係合及び脱係合可能に受け入れる凸部受入れ部を有する雌スナップとからなり、前記凸部は、先端付近の大径部と、この大径部から外径が次第に縮小してなる小径部とを有し、前記雌スナップは、雄スナップ凸部の凸部受入れ部への係合時に、凸部の大径部によって内径が弾性的に拡張させられて該大径部を通過させた後、復元方向に縮小して前記小径部に対応するリング状弾性部材と、このリング状弾性部材を、リング中心を向く内側側部を開放して収容するリング収容部とを備えるスナップボタンにおける雌スナップを生地部材に取り付けるにあたり、生地部材の上方に、雌スナップを、下方に突出する隆起部を底部に有する取付けダイに保持させ、下方に、雌スナップを生地部材に固定するための雌スナップ固定部材を固定部材支持台上に配置し、次いで、取付けダイを固定部材支持台に向かって相対的に移動させて、雌スナップと雌スナップ固定部材とを生地部材を挟んで互いに突き合わせ、雌スナップ固定部材又は雌スナップの一部を生地部材を貫通させた後、雌スナップ又は雌スナップ固定部材に変形係止させて雌スナップを生地部材に固定すると共に、取付けダイの隆起部によってリング収容部の凸部受入れ側上部の高さを部分的に低くした低上部を設け、この低上部に対応するリング収容部の内部空間部分を、該低上部対応内部空間部分以外のリング収容部内部空間に比べて上下方向に狭まくすることを特徴とする雌スナップの加工方法が提供される。かかる方法により、雌スナップを生地部材に取り付けると同時にリング収容部に低上部を設けることができる。
【0016】
本発明において、前記雌スナップにおける低上部を、リング収容部の全周のうち、雌スナップ又は雄スナップが固定される生地部材における、雄スナップと雌スナップとを脱係合させる際に指でつかむ個所(引っ張り点)に最も近くなる部分に設けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るスナップボタンでは、リング状弾性部材を付加して結合力及び分離抵抗を高めた雌スナップのリング収容部の一部に、高さが低い低上部を設けて該低上部に対応するリング収容部内の空間部分を上下方向に狭い狭空間部とし、かかる低上部及び狭空間部を、雌スナップ又は雄スナップが固定された生地部材においてスナップボタンを外す際に指で引っ張る個所の最も近くに配置することにより、上記個所からの引っ張りによりスナップボタンが従来スナップと比較して外しやすくなる。その一方、生地部材を介して雄スナップ及び/又は雌スナップにかかる横引き力に対する離脱抵抗すなわち使用時のスナップ結合力は従来スナップと同程度に維持される。
【0018】
本発明に係る雌スナップの加工方法では、上記利点を有する雌スナップを容易に形成することができ、更に、雌スナップの生地部材への取付けと同時にリング収容部に低上部を加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1及び2は、本発明の一実施形態に係るスナップボタンを構成する一対の雄スナップ1及び雌スナップ2をそれぞれ示す斜視図である。図3は、女性用のボディースーツの股部の合わせ目に適用した雄スナップ1と雌スナップ2の係合状態を示す(後述する低上部23及び狭空間部sを通る)縦断面図である。雄・雌スナップ1、2は金属製であり、それぞれ生地片t、t’の裏側から金属製の雄スナップ固定部材14及び雌スナップ固定部材26(図3等参照)によって生地片t、t’上に固定されている。なお、生地片t、t’は前後(図3において左右)に延びてボディースーツ本体に連結されている。
【0020】
雄スナップ1は従来のものと同様であり、基部13から同心状に突出する凸部10を有し、凸部10の外径は、先端付近で最大となって大径部11をなし、大径部11から基端側へ向かって次第に縮小して小径部12をなす。
【0021】
雌スナップ2は、リング状弾性部材としての、リングの一部が破断された金属製でC字型のばねリング21と、ばねリング21を収容するリング収容部22と、周縁部24とを備え、ばねリング21及びリング収容部22の円周方向内側の空間(開口)が、雄スナップ1の凸部11を係合及び脱係合可能に受け入れる凸部受け入れ部20となる。リング収容部22は、図3に示すように、縦断面がほぼ半円形状に凸部10の受入れ側から連続する上部22aと外側側部22bと底部22cとを有し、リング中心を向く内側側部が開放されている。リング収容部22の一部には、上部22aの高さを凹状に低くした低上部23が形成されており、低上部23に対応するリング収容部22の内部空間は、低上部23対応部分以外のリング収容空間に比べて上下方向に狭い狭空間部sとなっている。更に、狭空間部sにおいて、ばねリング21は、低上部23と底部22cとの間に挟み付けられてここで圧着固定されている。
【0022】
ばねリング21の基本的な動作は次のようになる。すなわち、雄スナップ1の凸部10を雌スナップ2の凸部受入れ部20に係合させる際、ばねリング21は、凸部大径部11によって内径が拡張させられて大径部11を通過させ、その後、内径が復元方向に縮小して凸部小径部12を保持する(図3)。凸部10を凸部受入れ部20から脱係合させる場合、ばねリング21の内径は、凸部小径部12から大径部11へと次第に拡大する。この凸部着脱時のばねリング21の拡縮変形は、ばねリング21が上述のように狭空間部sで低上部23と底部22c間に圧着固定されているため、狭空間部sでは生じず、狭空間部s以外のリング収容空間で生じ、特に狭空間部sと直径方向反対側の空間部分(以下、単に「反対側空間部」という。)s1でリング21の変形量が最も大きくなる。
【0023】
図4は、ボディースーツを脱ぐ際、その股部の雄・雌スナップ1、2を外すため、雌スナップ2が固定された生地片t’を矢印A方向に引っ張り始めている状態を示す雄・雌スナップ1、2の縦断面図である。本例のボディースーツでは、その股部の雄・雌スナップ1、2を外す際、必ず生地片t’の自由端部付近を指でつかんでA方向(ばねリング21の中心を中心とする反時計回り方向)に引くようになり(以下、指で引く個所を「引っ張り点」という。)、この生地片t’を引く力は、雌スナップ2のリング収容部22及びばねリング21の全周において引っ張り点から最も近い低上部23及び狭空間部s対応部分に直接的に作用して、この作用部分から雌スナップ2を水平(雄スナップ1側の生地片tを水平とする)に対し若干斜めにしながら雄スナップ凸部10から下方に外そうとする。換言すれば、当該ボディースーツ股部は、雄・雌スナップ1、2を外す際の引っ張り点及び引っ張り方向Aが予め分かっており、生地片t’に対して雌スナップ2を取り付ける際に、リング低上部23及び狭空間部sが上記のように引っ張り点から最も近く、引っ張り力が直接的に作用する個所に来るように設定される。
【0024】
上記実施形態に係るスナップボタンと、従来のスナップボタン(雌スナップのリング収容部に低上部23及び狭空間部sが設けられていない点以外は本形態スナップボタンと全く同様のもの。)とについて、上記引っ張り点から方向Aへの生地片の引っ張りによる雄・雌スナップ間の脱係合時の引っ張り荷重(N)を、本形態スナップ及び従来スナップをランダムにそれぞれ20個ずつ選んで測定した。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】


【0026】
表1より、本形態スナップボタンは、従来のスナップボタンに比べ、A方向からより小さい引っ張り力で雌スナップ2が雄スナップ1から離脱することが分かる。これは、本形態スナップボタンでは、雌スナップ2の狭空間部sでばねリング21の移動が制限され、反対側空間部s1側でばねリング21が拡張するのに対し、従来スナップでは、リング収納部内でばねリングが自由に動いてしまうことに起因すると考えられる。なお、本形態スナップの脱係合動作は次のようになると考えられる。
【0027】
本実施形態に係るスナップボタンでは、図4に示すように生地片t’を引っ張り点(生地片t’の自由端部付近)から方向Aに引くと、この引っ張り力が生地片t’を介して、リング収容部22の全周において引っ張り点から最も近い低上部23部分に伝わり、この部分から雌スナップ2が下方に引き下げられるようになり、雌スナップ2は、水平に対し斜めになって雄スナップ1の凸部10から外れようとする。この際、本実施形態では、低上部23とは直径方向反対側にあって雌スナップ2において最も上方に位置する周縁部24の頂部(C点)が雄スナップ1の基部13に接して当該傾斜の支点となる。ばねリング21は、狭空間部sにおいて上述したように低上部23とリング収容部底部22cとの間で固定されているため、狭空間部s側では径方向外側に変位せず、低上部23側リング収容部22と一体的に凸部10の軸方向下方へと引き下げられ、これに応じて、反対側空間部s1側でばねリング21が半径方向外側に開いて行き、雌スナップ2が雄スナップ1から外れる。
【0028】
上記本形態スナップボタンと上記従来スナップボタンについて、生地片を介して雌スナップに横引き力を作用させて(図3のB方向)雄・雌スナップ間が脱係合する際の横引き荷重(N)を、各スナップ20個ずつ選んで測定した結果を表2に示す。
【0029】
【表2】


【0030】
表2から、本形態スナップと従来スナップとで耐横引き力に差がなく、従って、雌スナップ2のリング収容部22に低上部23及び狭空間部sを設けたことによって、ボディスーツの使用時に雄・雌スナップ1、2間が外れやすくなるようなことは全くないことが分かる。
【0031】
次に、本発明に係る雌スナップの加工方法として、雌スナップ2を生地片t’に固定する工程を説明する。図5は、雌スナップ(リングソケット)2を生地片t’に固定する直前の状態を示す断面説明図である。この状態において、雌スナップ2は、生地片t’の上方において取付けダイ30の底部中央の凸部31を凸部受入れ部20に受け入れ、ばねリング21が凸部31を保持してダイ30に付けられている。また、生地片t’の下方には、雌スナップ固定部材26が、ダイ30と同心状の支持台40上に配置される。図6はダイ30の底部の平面図であり、該底部において、凸部31の外側に雌スナップ2のリング収容部上部22a及び周縁部24にそれぞれ対応する部分32、34があり、リング収容部上部対応部分32の全周のうちの一部に、下方に凸となる隆起部33が形成されている。次いで、ダイ30を降下させると、図7に示すように、雌リング固定部材26の加締め部27が生地t’を貫通した後、雌スナップ2の周縁部24底部にある環状開口25内に入り込んだ後、周縁部24内で加締められ、これによって雌スナップ2が生地片t’上に固定される。これと同時に、ダイ30の隆起部33がリング収容部22の上部22aの一部を押し下げて、低上部23及び狭空間部sを形成する。更に、リング収容部22において低上部23及び狭空間部sを形成する部分は、生地片t’が最終的にボディースーツ本体に取り付けられた際に、上述したように引っ張り点に最も近い個所に来るように設定される。
【0032】
以上の工程では、雌スナップ2を生地片t’に固定する際に雌スナップ2のリング収容部22に低上部23を設けたが、これら生地片t’への固定と低上部23の形成とを独立に行うこともできる。例えば、図8に示すように、生地片t’に雌スナップ固定部材26によって既に取り付けられた状態の雌スナップ2に対し、上述したような隆起部33を有するダイ30(便宜的に上記取付けダイと同じ番号を用いる。)を降下させて、雌スナップ2のリング収容部22に低上部23を形成することができる。
【0033】
次に、本発明に係るスナップボタンの別の実施形態を説明する。この別形態の雌スナップは、上記雌スナップ2のリング収容部22における低上部23及び狭空間部sとほぼ同様の低上部(23)及び狭空間部(s)を有するものの(力がかかっていない状態の当該別形態の雌スナップの縦断面は図3と同じであるため、低上部及び狭空間部について便宜的に図3の参照番号をカッコ付きで用いる。)、低上部(23)がばねリング21をリング収容部底部22cとの間で圧着固定はせず、低上部(23)及び底部22cがばねリング21に単に接するか接しない程度である点で雌スナップ2と異なっている。従って、狭空間部(s)の上下方向間隔はばねリング21の厚さ(断面直径)に等しい。
【0034】
図9は雌スナップの更に別の形態を示し、この雌スナップ2’は、リング収容部22’の低上部23’が、凹状に窪むのではなく、二つの切れ目23”間の部分(23’)を下方に押し曲げて形成される。
【0035】
本発明に係るスナップボタンの用途としてボディースーツの股部を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、雄・雌スナップ間に比較的高い結合力及び分離抵抗が要求されるものであって、雄・雌スナップ間を外す際の引っ張り点及び引っ張り方向がほぼ決まっているものに対し有効に適用することができる。また、本スナップボタンは、雌スナップのリング収容部における低上部及び狭空間部に向く(近い)引っ張り点からは比較的外しやすく、低上部及び狭空間部以外のリング収容部部分に向く引っ張り点からは比較的外しにくくなるため、方向により脱係合力が異なるような新たなスナップボタンの用途が開発され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るスナップボタンにおける雄スナップを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスナップボタンにおける雌スナップを示す斜視図である。
【図3】雄スナップと雌スナップの係合状態を示す、低上部及び狭空間部を通る縦断面図である。
【図4】図3の状態からスナップボタンを外すため、雌スナップ側の生地片をA方向に引っ張り始めている状態を示す図3と同様の縦断面図である。
【図5】雌スナップを生地片に取り付ける直前の状態を示す断面説明図である。
【図6】取付けダイの底面図である。
【図7】雌スナップを生地片に取り付けた状態を示す断面説明図である。
【図8】生地片に取り付けられている雌スナップに対しダイを押し付ける直前の状態を示す断面説明図である。
【図9】雌スナップの更に別の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 雄スナップ
10 凸部
11 大径部
12 小径部
2、2’ 雌スナップ
20 凸部受入れ部
21 ばねリング
22 リング収容部
22a (リング収容部の)上部
22c (リング収容部の)底部
23、23’ 低上部
s 狭空間部
t、t’ 生地片
30 取付けダイ
33 隆起部




 

 


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