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発明の名称 防水性スライドファスナー
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−97840(P2007−97840A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−291745(P2005−291745)
出願日 平成17年10月4日(2005.10.4)
代理人 【識別番号】100091948
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 武男
発明者 松本 敏
要約 課題
ファスナーテープからの蝶棒の脱落を防止し、またテープ先端部にほつれや傷みが生じるのを防ぐことができる防水性スライドファスナーを提供する。

解決手段
帯状芯材表面に防水層を有する一対のファスナーテープの対向する平面的なエレメント取付縁部に沿って複数のファスナーエレメントが列設され、その一対のファスナーテープの平面的な一端部に蝶棒及び箱棒が対向して固着一体化され、前記ファスナーエレメントに挿通されたスライダーを有するとともに、前記蝶棒のテープ端側の一部側面からテープ表裏両面に延在して一体に固着された蝶棒固定部材を有する防水性スライドファスナーにあって、前記ファスナーテープの表裏面に一体に固着された前記蝶棒固着部材の端部が、前記ファスナーテープの蝶棒固着側先端面をテープ表裏面を跨いで被覆一体化してなることを特徴とする防水性スライドファスナーが提供される。
特許請求の範囲
【請求項1】
帯状芯材の表面を被覆する防水層を有する一対の防水性ファスナーテープ(2,2')の対向する平面的なエレメント取付縁部(3)に沿って複数のファスナーエレメント(21)が列設され、その一対のファスナーテープ(2,2')の前記ファスナーエレメント(21)が存在しない平面的な一端部の表裏両面に蝶棒(9)及び箱棒(10)が対向して固着一体化され、前記ファスナーエレメント(21)に挿通されたスライダー(7)を有するとともに、前記蝶棒(9)のテープ端側の一部側面からファスナーテープ(2,2')の表裏両面に延在して一体に固着された蝶棒固定部材(12)を有する防水性スライドファスナー(1)にあって、
前記ファスナーテープ(2,2')の表裏面に一体に固着された前記蝶棒固着部材(12)の端部が、前記ファスナーテープ(2,2')の蝶棒固着側先端面をテープ表裏面を跨いで被覆一体化してなる
ことを特徴とする防水性スライドファスナー。
【請求項2】
前記蝶棒固定部材(2,2')が、テープ長さ方向において前記蝶棒(9)よりも短く形成されてなることを特徴とする請求項1記載の防水性スライドファスナー。
【請求項3】
前記ファスナーテープ(2,2')の前記蝶棒(9)と前記蝶棒固定部材(12)とが配される領域に、少なくとも1つの貫通孔(16)が形成されてなり、
前記テープ表裏面に固着された前記蝶棒(9)及び前記蝶棒固定部材(12)が、前記ファスナーテープ(2,2')の貫通孔(16)を介して設けられた連結部(28)によって表裏面間で連結されてなることを特徴とする請求項1記載の防水性スライドファスナー。
【請求項4】
前記蝶棒(9)のファスナーエレメント側の端部側の表裏両面に、前記ファスナーテープの表裏面と平行に所定の間隙を設けて外側に向けて延設された上下の板材(19a,19b)を有し、
前記上下板材(19a,19b)間の前記間隙は、前記箱棒が固着されたファスナーテープ(2')の厚さよりも大きく形成され、前記ファスナーエレメント(21)の噛合時に、前記上下板材間の間隙が前記箱棒側のファスナーテープの一部端縁を収容することを特徴とする請求項1に記載の防水性スライドファスナー。
【請求項5】
前記蝶棒(9)のファスナーエレメント側の端部に配されたファスナーテープ(2)の端部の一部が前記間隙内に突出して形成され、同間隙内に突出する長さが、前記ファスナーエレメント(21)の噛合時に、同間隙から突出するファスナーテープ(2)の端面が、対向する前記箱棒(10)を固着された側のファスナーテープ(2')の端面と密着する長さであることを特徴とする請求項4記載の防水性スライドファスナー。
【請求項6】
前記蝶棒(9)に配設する前記下側の板材(19b)が、前記蝶棒(9)のファスナーエレメント側の端部からテープ長さ方向の所定長さに渡って形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の防水性スライドファスナー。
【請求項7】
前記蝶棒(9)のテープ端側の前記蝶棒固定部材が存在しない側面に、前記蝶棒固定部材よりも小さな脚部(20)が配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の防水性スライドファスナー。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナーテープがエラストマー樹脂などからなる防水層でコーティングされた防水性スライドファスナーに関し、具体的には、織成又は編成した帯状芯材の表面に防水層を形成したファスナーテープに開離嵌挿具を取り付けた防水性スライドファスナーにあって、開離嵌挿具の蝶棒がファスナーテープから脱落することを効果的に防止できる防水性スライドファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
防水性スライドファスナーを製造する際には、先ず、繊維で織成又は編成した帯体を芯材として、この芯材の全面を天然ゴムや合成ゴム、或いは各種合成樹脂によるエラストマー樹脂で被覆することにより、防水層が形成されたファスナーテープを作製し、このファスナーテープの一側縁部に沿って表裏両面に跨るようにして合成樹脂製のファスナーエレメントを射出成形等により成形一体化することによって、一対のファスナーストリンガーを作製している。このような防水層が形成されたファスナーストリンガーは、例えばその表面に水が付着しても、帯状芯材に水が染み込むことを防ぐことができる。
【0003】
また、この得られた一対のファスナーストリンガーの一方には、そのエレメント列にスライダーを挿通した後、開離嵌挿具として、ファスナーストリンガーのファスナーエレメント列の下端に連続して形成される箱棒と、同箱棒と一体成形される箱体を取り付ける。さらに、他方のファスナーストリンガーには、そのファスナーエレメント列の下端に連続するように蝶棒が取り付けられる。そして、この箱棒及び箱体を取り付けたファスナーストリンガーと、蝶棒を取り付けたファスナーストリンガーとを組み合せることにより、防水性スライドファスナーが作製される。
【0004】
このような防水性スライドファスナーに関して、例えば特開2005−237577号公報(特許文献1)には、ファスナーテープとファスナーエレメントとの間の固着強度とスライドファスナーの防水性能とを向上させるとともに、スライダーの摺動操作をより軽快に行うことが可能となる防水性スライドファスナーが開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示されている防水性スライドファスナー50は、例えば図21に示すように、帯状芯材に防水層を形成した一対の防水性ファスナーテープ55の対向するエレメント取付縁部51に沿って複数のファスナーエレメント61が一体成形された一対のファスナーストリンガー52と、そのファスナーエレメント61を噛合離脱させるスライダー(不図示)とを備えた防水構造を有するスライドファスナー50であって、以下のような特徴を有している。
【0006】
即ち、ファスナーテープ55に一体成形される各ファスナーエレメント61は、噛合頭部62、首部63、胴部64、肩部65、及び胴部64からファスナーテープ55の内側に向けて延出する脚部66を有し、前記噛合頭部62、首部63、胴部64、肩部65及び脚部66は、ファスナーテープ55の表裏面側に形成された上下半部からなり、前記半部同士は前記ファスナーテープ55のエレメント取付縁部51に形成された貫通孔54を介して連結部67により連結一体化されている。これにより、各ファスナーエレメント61をファスナーテープ55の所定箇所に強固に固着させることができる。
【0007】
また、エレメント取付縁部51の端縁53は、ファスナーエレメント61の首部63を越えて延出され、また噛合頭部62の上下半部間には間隙が形成されていて、ファスナーエレメント61の噛合時には、対向する一対のファスナーテープ55の端面同士が互いに密接するように構成されている。これにより、ファスナーエレメント61を噛合した際に水等がファスナーテープ55の表側から裏側に侵入することを防いでいる。
【0008】
更に、特許文献1に記載の防水性スライドファスナー50は、ファスナーエレメント61における各肩部65及び脚部66の各半部が、首部63及び胴部64の各半部よりもファスナーテープ表裏面に直交する方向の肉厚が薄く形成されている。また、脚部66の上下半部が、スライダーの摺動方向に所要の間隔をおいて2つ以上形成されている。
【0009】
これにより、ファスナーエレメント61に沿ってスライダーを摺動させる際に、スライダーの上下フランジ部はファスナーエレメント61における脚部66の上下半部で摺動案内されるため、スライダーのフランジ部がファスナーエレメント61の脚部66と摺接する摺接面積が小さくなる。その結果、スライダーの摺動操作時における摺動抵抗を低減させて、スライダーの摺動操作を軽快にすることが可能となる。更に、特許文献1によれば、前記ファスナーエレメント61に脚部66を設けることにより、ファスナーテープ55に対するファスナーエレメント61の固着強度を増大できるとしている。
【0010】
ところで、例えば衣服等の開閉部分に一般的に用いられるような、ファスナーテープに防水層が形成されてない通常タイプの開離嵌挿具付のスライドファスナーにおいては、ファスナーテープの柔軟性が高いため、開離嵌挿具の操作、即ち蝶棒を箱体に挿入する操作が行い難い。このため、開離嵌挿具の操作の円滑化を図るために、例えばファスナーテープの開離嵌挿具近傍に補強用リブ等の補強部材を取り付けることによって、ファスナーテープの先端部を補強してテープ形態を安定化させることが知られている。
【0011】
例えば、特開2004−283299号公報(特許文献2)では、芯紐が織り又は編み込まれたエレメント取付縁部を有するファスナーテープを織成又は編成し、同織成又は編成された一対のファスナーテープの対向するエレメント取付縁部に沿って複数のファスナーエレメントが列設され、このファスナーエレメントにスライダーが挿通され、更に一対のファスナーテープの一端部に蝶棒、箱棒、箱体からなる開離嵌挿具が取り付けられたスライドファスナーにあって、以下のような特徴を有する開離嵌挿具付きスライドファスナーが開示されている。
【0012】
即ち、特許文献2に記載の開離嵌挿具付きスライドファスナーは、ファスナーテープの少なくとも1面に開離嵌挿具と一体成形された補強部が設けられ、同補強部が開離嵌挿具に連接した内側部分と、同内側部分から延設した外側部分とからなり、これら内側部分と外側部分とが複数のリブによって構成されていることに特徴を有している。
【0013】
このような開離嵌挿具付きスライドファスナーであれば、柔軟なファスナーテープの一端部が前記補強部により補強されてその形態が安定しているため、例えば開離嵌挿具の蝶棒を他方のファスナーストリンガーに設けた箱体に挿入させる際に、ファスナーテープの補強された端部を保持して、蝶棒の箱体への挿入操作を安定して行うことができる。更に、特許文献2のスライドファスナーは、ファスナーストリンガーの端部に対して折曲または捻転力が働いても、内側部分のリブが外力を有効に分散させることができ、また補強部を容易に変形させることができるため、同補強部の破損を防ぐことができるとしている。
【0014】
一方、例えば上述した防水性スライドファスナーにおいては、ファスナーテープがエラストマー樹脂で被覆されて作製されていることにより、ファスナーテープ自体の形態が比較的安定している。このため、前記特許文献2のような複数のリブから構成される補強部やその他の補強部材等を防水性スライドファスナーの開離嵌挿具近傍に設けなくても、蝶棒の箱体への挿入操作等を安定して行うことが可能である。むしろ、補強部材等を設けてファスナーテープの剛性を高めてしまうと、却ってファスナーテープの柔軟性が大きく損なわれて、蝶棒を箱体へ挿入する際にファスナーテープを適切に変形させることができず、蝶棒の円滑な挿入操作が妨げられる恐れがあった。このため、一般的に、防水性スライドファスナーの端部には補強部材等が設けられることはなく、開離嵌挿具のみが取り付けられていた。
【特許文献1】特開2005−237577号公報
【特許文献2】特開2004−283299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
防水性スライドファスナーは、その防水性を確保するために、前述のようにファスナーテープが予めエラストマー樹脂で被覆されている。このため、ファスナーエレメントや蝶棒等の開離嵌挿具をファスナーテープのエレメント取付縁部に射出成形した際に、ファスナーテープが樹脂コーティングされてないような一般的なスライドファスナーに比べて、ファスナーエレメント等の樹脂材料がテープ内部にまで浸透しにくいことから、ファスナーエレメントや開離嵌挿具のファスナーテープへの固着強度が低くなるという問題があった。
【0016】
また、特許文献1に記載されているような防水性スライドファスナーは、その防水性を高めるために、対向するファスナーテープのエレメント取付縁部側の端面同士が、ファスナーエレメントの噛合時に互いに密着するように構成されており、これにより、水などがスライドファスナーの表側から裏側に染み込むことを防いでいる。しかしその一方で、このような防水性スライドファスナーは、ファスナーテープの端面同士を十分に密着させるという構成上、エレメント取付縁部に芯紐が設けられていない。このため、前記特許文献1のような防水性スライドファスナーは、ファスナーエレメントをエレメント取付縁部に強固に固着させるために、前記のようにエレメント取付縁部に貫通孔を形成し、同貫通孔を介してファスナーエレメントの上下半部を連結部によって一体に固着させることが必要とされた。
【0017】
しかし、ファスナーテープの一端部に取り付けられる蝶棒は、その形状が細長いためにファスナーテープ端縁からの蝶棒取り付け幅が狭い。その上、ファスナーテープにおける蝶棒固着側先端領域は、蝶棒を射出成形した際にファスナーテープ先端部(特に角部)が蝶棒の外面に露出しないように、その一部が予め切断されて切り落とされているため、蝶棒とファスナーテープとの接触面積(固着面積)は非常に小さいものとなっていた。
【0018】
また、蝶棒はその肉厚も比較的薄いことから、蝶棒自体(特にファスナーテープを挟持している部位(溝))が変形しやすくなっており、また、蝶棒は、スライドファスナーの使用時にファスナーエレメントに比べて引張り応力やねじり等を受けやすい。
【0019】
従って、エレメント取付縁部に芯紐が設けられてない防水性スライドファスナーにおいては、蝶棒の固着強度が低い上に、その使用時に蝶棒が応力やねじりを受けることによって蝶棒のファスナーテープを挟持している部位が変形して広がってしまうため、蝶棒がファスナーテープから脱落しやすいという問題があった。また、蝶棒の脱落を防ぐために、例えば蝶棒自体を大きく且つ厚肉に形成することが考えられるが、この場合、ファスナーテープの柔軟性が損なわれて、蝶棒の箱体への挿入操作を円滑に行うことができなくなることがあった。
【0020】
更に、従来の防水性スライドファスナーは、蝶棒の挿入操作が繰り返して行なわれると、ファスナーテープの蝶棒固着側先端面がスライダーの肩口と接触したり、また、ファスナーテープの先端領域がスライダーのフランジと擦れることから、ファスナーテープに被覆した防水層が磨り減ってテープのほつれや傷みが発生し易くなり、結果として、スライドファスナーの防水性の低下を招くといった問題もあった。
【0021】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、本発明の具体的な目的は、ファスナーテープからの蝶棒の脱落を防止するとともに、テープ先端部にほつれや傷みが生じるのを防ぎ、更に、蝶棒の箱体への挿入操作を円滑に行うことが可能な防水性スライドファスナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明により提供される防水性スライドファスナーは、基本的な構成として、帯状芯材の表面を被覆する防水層を有する一対の防水性ファスナーテープの対向する平面的なエレメント取付縁部に沿って複数のファスナーエレメントが列設され、その一対のファスナーテープの前記ファスナーエレメントが存在しない平面的な一端部の表裏両面に蝶棒及び箱棒が対向して固着一体化され、前記ファスナーエレメントに挿通されたスライダーを有するとともに、前記蝶棒のテープ端側の一部側面からファスナーテープの表裏両面に延在して一体に固着された蝶棒固定部材を有する防水性スライドファスナーにあって、前記ファスナーテープの表裏面に一体に固着された前記蝶棒固着部材の端部が、前記ファスナーテープの蝶棒固着側先端面をテープ表裏面を跨いで被覆一体化してなることを最も主要な特徴とするものである。
【0023】
また、本発明における防水性スライドファスナーは、前記蝶棒固定部材が、テープ長さ方向において前記蝶棒よりも短く形成されていることが好ましい。
更に、本発明の防水性スライドファスナーは、前記ファスナーテープの前記蝶棒と前記蝶棒固定部材とが配される領域に、少なくとも1つの貫通孔が形成されてなり、前記テープ表裏面に固着させる前記蝶棒及び前記蝶棒固定部材が、前記ファスナーテープの貫通孔を介して設けられた連結部によって表裏面間で連結されていることが好ましい。
【0024】
本発明の防水性スライドファスナーにおいては、前記蝶棒のファスナーエレメント側の端部側の表裏両面に、前記ファスナーテープの表裏面と平行に所定の間隙を設けて外側に向けて延設された上下の板材を有し、前記上下板材間の前記間隙は、前記箱棒が固着されたファスナーテープの厚さよりも大きく形成され、前記ファスナーエレメントの噛合時に、前記上下板材間の間隙が前記箱棒側のファスナーテープの一部端縁を収容することが好ましい。
【0025】
また、前記蝶棒のファスナーエレメント側の端部に配されたファスナーテープの端部の一部が前記間隙内に突出して形成され、同間隙内に突出する長さが、前記ファスナーエレメントの噛合時に、同間隙から突出するファスナーテープの端面が、対向する前記箱棒を固着された側のファスナーテープの端面と密着する長さであることが好ましい。
【0026】
更に、前記蝶棒の裏面に配設する前記下板が、前記蝶棒のファスナーエレメント側の端部からテープ長さ方向の所定長さに渡って形成されていることが好ましい。
更にまた、前記蝶棒のテープ端側の前記蝶棒固定部材が存在しない側面に、前記蝶棒固定部材よりも小さな脚部が配設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る防水性能を有するスライドファスナーは、ファスナーテープの平面的な一端部に固着させる蝶棒のテープ端側の一部側面から、ファスナーテープの表裏両面に蝶棒固定部材が延在して固着され、この蝶棒固着部材の端部が、テープ表裏面を跨ぐようにしてファスナーテープの蝶棒固着側先端面を被覆している。このように蝶棒固定部材をファスナーテープの蝶棒固着側先端面を跨いでテープ先端部の表裏両面に蝶棒と一体成形して固着させることにより、蝶棒及び蝶棒固定部材とファスナーテープとの固着面積を拡大して、蝶棒のファスナーテープに対する固着強度を高めることができる。更に、例え蝶棒が応力やねじりを受けた場合でも、蝶棒固着部材がファスナーテープの蝶棒固着側先端面を跨いでテープ表裏面に固着されているため、蝶棒及びテープ端部を変形させにくくすることができる。このため、防水性スライドファスナーのファスナーテープから蝶棒が脱落することを効果的に防ぐことができる。
【0028】
即ち、前記特許文献2に記載されているような従来のスライドファスナーにおいて、開離嵌挿具と一体成形される補強部等は、前述のようにファスナーテープ端部の形態を安定化させ、開離嵌挿具の蝶棒を箱体に安定して挿入させるために設けられているが、本発明において蝶棒と一体成形される蝶棒固定部材は、ファスナーテープと蝶棒との固着強度を高めて、蝶棒のファスナーテープからの脱落を防ぐために設けられるものであって、その構成も目的も全く異なるものである。
【0029】
更に、蝶棒固定部材は、ファスナーテープの蝶棒固着側先端面を跨ぐように設けられているため、ファスナーテープの先端部が蝶棒固定部材によって包み込まれるように保護されている。このため、蝶棒の箱体への挿入操作が繰り返し行なわれても、テープ先端部にほつれや傷みが発生することを防いで、スライドファスナーの優れた防水性能を維持することができる。
【0030】
また、本発明の防水性スライドファスナーにおいては、蝶棒固定部材が、テープ長さ方向において蝶棒よりも短く形成されている。これにより、蝶棒の上端部から蝶棒固定部材の上端にかけて、ファスナーテープが露呈する領域が蝶棒側部側に存在する。このようにファスナーテープが露呈する領域を蝶棒固定部材の上方に設けることにより、蝶棒固定部材をテープ表裏面に固着しても、ファスナーテープの柔軟性が大きく損なわれず、ファスナーテープの変形やたわみを許容することができる。このため、蝶棒を箱体へ挿入する際にファスナーテープを適切に変形させて、蝶棒の挿入操作を容易に且つ円滑に行うことが可能となる。
【0031】
更に、本発明の防水性スライドファスナーは、ファスナーテープの蝶棒及び蝶棒固定部材が配される領域に、少なくとも1つの貫通孔が形成されており、この貫通孔を介して、テープ表面及び裏面に設けた蝶棒及び蝶棒固定部材が連結部によって表裏間で連結一体化されている。これにより、蝶棒及び蝶棒固定部材の固着強度を一層高めることができる。
【0032】
特に、本発明の防水性スライドファスナーは、蝶棒固定部材が蝶棒と一体成形されていることにより、前記貫通孔をファスナーテープの端部及び端縁から離れたテープ内側領域に形成することができる。即ち、例えば従来の防水性スライドファスナーでは、蝶棒固定部材が設けられてなく、また蝶棒自体も細長い形状をなしていることから、前記貫通孔をファスナーテープに形成しようとしても、テープ端部又は端縁から非常に近い位置にしか形成することができなかった。このため、蝶棒が引張り応力やねじりを受けた際に、ファスナーテープ自体が切れてしまい、蝶棒が抜け落ちやすかった。しかし、本発明は、上記のように貫通孔をファスナーテープの内側領域に形成することができるため、ファスナーテープが切れることが無く、蝶棒がファスナーテープから脱落することをより確実に防止することができる。
【0033】
更にまた、本発明の防水性スライドファスナーは、前記蝶棒の表面に、対向する前記ファスナーテープの表面側に向けて延出する上側の板材(上板)と、前記蝶棒の裏面に、対向する前記ファスナーテープ及び前記箱棒の裏面側に向けて延出する下側の板材(下板)とが配設されており、これら上板と下板との間には所定の間隙が形成されている。これにより、箱棒側のファスナーストリンガーにおいて、エレメント列の下端に設けたファスナーエレメントからファスナーテープの端縁を延出させておき、ファスナーエレメントの噛合時には、箱棒側ファスナーテープの一部端縁を蝶棒の上板と下板との間に形成した間隙に挿入し、収容することができる。このように前記間隙に箱棒側のファスナーテープの端縁を挿入することより、ファスナーエレメントを噛合したときに対向するファスナーストリンガー間に生じる隙間を低減し、スライドファスナーの防水性能の向上を図ることができる。
【0034】
また、前記蝶棒のエレメント側端部にはテープ挟持溝部が形成されており、このテープ挟持溝部を介してファスナーテープが上下板材の間隙内へ突出している。これにより、ファスナーエレメントを噛合したときに、ファスナーエレメントが取り付けられている領域だけでなく、蝶棒のテープ挟持溝部が形成されている領域でも、この蝶棒から突出させたファスナーテープの端面と、前記蝶棒の上板と下板との間に形成した間隙に挿入した箱棒側ファスナーテープの端面とを互いに密着させることができるため、スライドファスナーの防水性能を更に向上させることができる。
【0035】
更に本発明では、蝶棒の裏面に、箱棒の裏面側に向けて延出する下板が、蝶棒のエレメント側端部から所定長さに渡って形成されていることにより、同下板によって水などがスライドファスナーの表側から裏側に侵入することを防ぐことができるため、防水性能のより一層の向上を図ることができる。
【0036】
更にまた、本発明の防水性スライドファスナーは、蝶棒のテープ端側の前記蝶棒固定部材が存在しない側面に脚部が配設されている。これにより、ファスナーエレメントに挿通されたスライダーを摺動するときに、ファスナーテープ表面を被覆する防水層がスライダーのフランジとの接触により磨り減りることを防ぐことができる。また、この蝶棒のテープ端側に形成する脚部を、蝶棒固定部材よりも小さくし、間隔を開けて複数配設することにより、脚部を設けた領域のファスナーテープを剛直にすることなく、ファスナーテープを容易に変形させることができる。従って、蝶棒を箱体へ挿入する際には、ファスナーテープを適切に変形させて、蝶棒の挿入操作を容易に且つ円滑に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、具体的な実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図1は、本実施例に係る防水性スライドファスナーの全体を示す平面図であり、図2は蝶棒を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した斜視図であり、図8は、箱棒及びは箱体を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した斜視図である。
【0038】
図1に示した防水性スライドファスナー1は、エラストマー樹脂がコーティングされた一対のファスナーテープ2,2’の一側縁部である平面的なエレメント取付縁部3に沿って、複数のファスナーエレメント21が列設されてファスナーエレメント列を形成し、更にファスナーテープ2,2’のファスナーエレメント列の一端部には止部5がそれぞれ設けられて、ファスナーストリンガー6,6’が構成されている。
【0039】
この一対のファスナーストリンガー6,6’のファスナーエレメント列には、ファスナーエレメント21を噛合離脱させるスライダー7が挿通されている。更に、一方のファスナーストリンガー6の下端部には、ファスナーエレメント21に連続する形で開離嵌挿具8を構成する蝶棒9が固着一体化されている。また、他方のファスナーストリンガー6’の下端部には、ファスナーエレメント21に連続する形で開離嵌挿具8を構成する箱棒10が固着一体化され、更にこの箱棒10の下方部に箱体11が成形一体化されて取り付けられている。
【0040】
前記ファスナーテープ2,2’は、従来と同様に繊維製織物や編物からなる帯状の芯材の全面に、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン、塩化ビニール、ポリアミド、高密度ポリスチレン等のような天然又は合成ゴム材料や各種の合成樹脂からなるエラストマー樹脂材料を被覆して防水層を形成することにより作製されている。
【0041】
このファスナーテープ2,2’におけるエレメント取付縁部3には芯紐が設けられておらず、エレメント取付縁部3が平面的に形成されている。またエレメント取付縁部3の各エレメント成形部位には、それぞれファスナーエレメント21の溶融状態にある原料樹脂が通過できる程度に十分な大きさをもつエレメント固着用貫通孔30が形成されている。
【0042】
ここで、先ず前記蝶棒9が固着一体化されるファスナーストリンガー6について、図2〜図7を参照しながらより具体的に説明する。
本実施例において、ファスナーテープ2のエレメント取付縁部3に列設される各ファスナーエレメント21は、例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性合成樹脂を射出成形することによりテープ2に固着一体化されており、また、前記特許文献1の防水性スライドファスナーに採用されているファスナーエレメントと本質的に同様の構成を有している。
【0043】
即ち、各ファスナーエレメント21は、図3に示したように、エレメント幅方向に僅かに長い長円形状を呈する噛合頭部22と、同噛合頭部22に首部23を介して連続する平面視で略六角形状を呈する胴部24と、前記首部23と胴部24との間に渡って左右に延設される翼状の肩部25と、前記胴部24からエレメントの長さ方向に二本に分岐して延設される脚部26とから構成されている。
【0044】
このうち、首部23、胴部24、肩部25及び脚部26は、ファスナーテープ2のエレメント取付縁部3に密着固定されている。また、首部23及び胴部24のファスナーテープ表裏面に直交する方向の肉厚は最も厚く、肩部25及び脚部27は、首部23及び胴部24の1/3程度の肉厚で形成されている。このような構成を有する複数のファスナーエレメント21が、エレメント取付縁部3に列設されていることにより、スライダーを摺動させたときに摺動抵抗を小さくして、ファスナーテープ2を傷めることなく、スライダーの摺動操作を軽快に行なうことが可能となる。
【0045】
また、脚部26が胴部24から二本に分岐して延設されていることにより、ファスナーエレメント21の射出成形時に、金型がファスナーテープ2を二本の脚部26間に存在する隙間にて押さえて固定することができるため、テープ2に撓みを生じさせることなく、ファスナーエレメント21をテープ2に安定して成形一体化させることができる。
【0046】
前記ファスナーエレメント21において、噛合頭部22、首部23、胴部24、肩部25及び脚部26は、ファスナーテープ2を挟んでテープ表面側半部と裏面側半部とで対称的な形状に形成されている。また、ファスナーエレメント21は、ファスナーテープ2に形成したエレメント固着用貫通孔30を介して、テープ表面側と裏面側の胴部24が連結部27によって連結されており、テープ表面側半部と裏面側半部が一体に構成されている。
【0047】
また、ファスナーテープ2のエレメント取付縁部3の端縁は、ファスナーエレメント21の首部23を越えて所定の長さで延出させている。更に、ファスナーテープ2のファスナーエレメント21が存在しない平面的な一端部には、蝶棒9と、この蝶棒9の一部側面からファスナーテープ2に延在する蝶棒固着部材12とが、ファスナーテープ2の表裏両面に固着一体化されている。これら蝶棒9及び蝶棒固着部材12は、前記ファスナーエレメント21と同様の熱可塑性合成樹脂を射出成形することにより、ファスナーテープ2に一体に固着されている。
【0048】
本実施例においては、ファスナーテープ2における蝶棒9の固着側先端領域の一部分が、蝶棒9を射出成形した後にファスナーテープ2が蝶棒9の外面に露出しないようにするため、予め切断されて切り落とされている。また、ファスナーテープ2の蝶棒9及び蝶棒固着部材12が固着される領域には、3つの固着用貫通孔16が予め形成されており、テープ表面側及び裏面側の蝶棒9及び蝶棒固定部材12は、3つの固着用貫通孔16を介して設けられた連結部28によって表裏面間で連結されている。これにより、蝶棒9及び蝶棒固着部材12は、優れた固着強度でファスナーテープ2に固着させることができる。
【0049】
蝶棒9と一体成形されている蝶棒固着部材12は、ファスナーテープ2の蝶棒固着側先端面を被覆するようにテープ2の表裏面を跨いで形成されており、ファスナーテープ2の蝶棒固着側先端部は蝶棒固着部材12によって包み込まれた状態となっている。これにより、成形一体化した蝶棒9及び蝶棒固着部材12と、ファスナーテープ2との固着面積が広くなるため、ファスナーテープ2に対する蝶棒9及び蝶棒固着部材12の固着強度が著しく高まり、ファスナーテープ2が応力やねじりを受けた場合でも、蝶棒9がファスナーテープ2から脱落することを防止することができる。
【0050】
更に、このように蝶棒固着部材12がテープ2の表裏面を跨いで形成されていれば、ファスナーテープ2の蝶棒固着側先端部が蝶棒固着部材12で保護されて露呈することがないため、テープ2先端部にほつれや傷みが発生するのを防ぐことができるとともに、ファスナーテープ2から蝶棒固着部材12が剥離することも防止することができる。
【0051】
前記蝶棒固着部材12は、図4に示すように、蝶棒9の側面から延在する肉厚の薄い薄肉部13と、同薄肉部13から連接したリブ14とを有しており、また、これら薄肉部13及びリブ14は、テープ長さ方向において蝶棒9よりも短く形成されている。このように蝶棒固着部材12を蝶棒9よりも短く形成することにより、蝶棒9の上端部までに渡る蝶棒固定部材12の上方領域36でファスナーテープ2を露呈させることができる。これにより、例えば蝶棒9を箱体11へ挿入する際には、ファスナーテープ2の変形やたわみを許容してファスナーテープ2を適切に変形でき、蝶棒の挿入操作を容易に且つ円滑に行うことができる。
【0052】
このとき、蝶棒固着部材12の長さは、蝶棒9の長さの60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下に設定する。一方、蝶棒固着部材12のテープ幅方向の大きさは、製品の使用目的等に応じて任意に選択することができるが、蝶棒9のファスナーテープ2に対する固着強度等を考慮すると、蝶棒9の幅方向における平均的な大きさの1.5倍以上5倍以下、特に2倍以上4倍以下程度となるようにすることが好ましい。
【0053】
また、図4に示したように、蝶棒9とリブ14とには、それぞれファスナーテープ2まで達する円形の孔部15が設けられているが、この孔部15は、蝶棒9及び蝶棒固着部材12を射出成形する際に、テープ押さえ部材がファスナーテープ2を押さえていることによって形成されたものである。更に、蝶棒固着部材12の薄肉部13には、2つの矩形状孔部17が設けられている。
【0054】
この孔部17は、孔部15と同じく、テープ押さえ部材がファスナーテープ2を押さえることにより形成されたものであり、矩形状に限らず円形に形成しても良い。また、孔部17は、孔部15に比べて大きく形成されており、これは射出成形時にテープ押さえ部材が広い面積でファスナーテープ2を押さえ、ファスナーテープ2の変位を確実に防ぐためである。
【0055】
前記蝶棒9において、ファスナーエレメント側の端部側表面には、対向するファスナーテープ2’の表面側に向けて延出する上板19aが配設され、一方蝶棒9の裏面には、ファスナーテープ2’及び10箱棒の裏面側に向けて延出する下板19bとが配設されている。
【0056】
蝶棒9に設けた上板19aは、ファスナーエレメント21の噛合頭部22及び首部23の形状と同様の形状に形成されている。また、下板19bは、蝶棒9のファスナーエレメント側端部から蝶棒9のおよそ半分の位置に渡って形成されており、更に下板19bのファスナーエレメント側端部には凹部が形成されている。一方、以下で説明する箱棒10の表面のファスナーエレメント側の端部には、蝶棒9の上板19aを係止するための凹部が形成されている。これにより、ファスナーエレメント21を噛合させたときに、蝶棒9の上板19a及び下板19bの上端部と、箱棒側のファスナーテープ2’のエレメント列下端に固着したファスナーエレメント21及び箱棒10の上端部とを互いに係合させることができる。
【0057】
この蝶棒9において、図6に示すように、上板19aと下板19bとの間には、所定の間隙が形成されており、ファスナーエレメント21の噛合時に、この上下板19a、19b間の間隙に、対向する前記箱棒側のファスナーテープ2’の端縁が入り込めるように構成されている。また、蝶棒9において、ファスナーエレメント21側の端部には、ファスナーテープ2を挟み込むためのテープ挟持溝部18が形成されており、ファスナーテープ2は、このテープ挟持溝部18を通って蝶棒9からテープ幅方向に飛び出すように延出し、ファスナーテープ2の端縁が前記上板及び前記下板間の間隙に露出するように構成されている。
【0058】
蝶棒9の蝶棒固着部材12が存在しないテープ端側の側面には、蝶棒9よりも肉厚の薄い脚部20が設けられている。このような脚部20を設けることにより、以下で詳述するように、スライダーを摺動させたときに、スライダーのフランジと接触し、スライダーのフランジがファスナーテープ2を被覆する防水層に接触する頻度を低減することができ、スライダーのフランジとの接触による防水層の磨り減りを防ぐことができる。
【0059】
また、この脚部20は、蝶棒固定部材12よりも小さく、また所定の間隔を開けて複数配設されている。これにより、脚部20を配設しても、この脚部20を設けた領域におけるファスナーテープの柔軟性を確保することができるため、蝶棒を箱体へ挿入する際に蝶棒の挿入操作を容易に且つ円滑に行うことが可能となる。
更に、蝶棒9には段差部29が設けられており、蝶棒9を箱体11に挿入した際に、この段差部29が箱体11と当接して蝶棒9の位置決めがなされる。
【0060】
次に、前記箱棒10及び箱体11が固着一体化されるファスナーストリンガー6’について、図8〜図12を参照しながら説明する。
ファスナーストリンガー6’において、ファスナーテープ2’のエレメント取付縁部3に列設される各ファスナーエレメント21は、前記蝶棒9を固着したファスナーストリンガー6に列設した前記ファスナーエレメント21と同様のものであり、ファスナーテープ2’に形成したエレメント固着用貫通孔30を介して、テープ表面側と裏面側の胴部24が連結部27によって連結されて、テープ表面側半部と裏面側半部が一体に構成されている。
【0061】
また、ファスナーストリンガー6’においても、ファスナーテープ2’のエレメント取付縁部3の端縁は、ファスナーエレメント21の首部23を越えて所定の長さで延出させている。更に、ファスナーテープ2’のファスナーエレメント21が存在しない一端部には、前述のようにファスナーエレメント21に連続する形で箱棒10が固着され、更にこの箱棒10の下方部に箱体11が箱棒10と成形一体化されて取り付けられている。
【0062】
更に、ファスナーテープ2’における箱棒10及び箱体11の固着側先端領域の一部分が、箱棒10及び箱体11の外面からファスナーテープ2’が露出しないように、予め切断されて切り落とされている。ファスナーテープ2’の箱棒10及び箱体11が固着される領域には、2つの固着用貫通孔16が予め形成されており、箱棒10及び箱体11は、固着用貫通孔16を介して設けられた連結部28によってテープ表裏面間で連結されている。これにより、箱棒10及び箱体11は、優れた固着強度でファスナーテープ2’に固着させることができる。
【0063】
このファスナーストリンガー6’において、厚肉に形成されている箱体11は、図10に示すように、ファスナーテープ2’の所定領域を安定して挟持している。このような厚肉の箱体11は、応力やねじりを受けた場合でも変形しにくく、ファスナーテープ2’が箱体11から外れにくいため、例えば前記蝶棒9の場合のような固着部材等を形成しなくても、箱棒10及び箱体11がファスナーテープ2’から脱落することを防止することができる。この箱体11には、蝶棒9を箱体11に挿入する際に蝶棒9を挿し込むための蝶棒差込孔33が形成されている。なお、箱棒と箱体とを別体で成形し、後に箱棒と箱体とを溶着して一体化するものであっても良い。この場合、箱棒には蝶棒と同様な固着部材を形成することが好ましい。
【0064】
また、箱棒10は、図11に示したように、箱棒10の裏面側において、箱棒10の蝶棒9と対向する側面側に形成される厚さの薄いくぼみ部34と、所定の肉厚で形成される隆起部35とが設けられている。この箱棒10の裏面側にくぼみ部34が設けられていることにより、以下で詳述するように、ファスナーエレメント21の噛合時に、蝶棒9に形成した下板19bを入り込ませて、箱棒10と蝶棒9の下板19bとを表裏方向で重なり合わせることができる。なお、このくぼみ部34の幅及び長さは、蝶棒9に形成した下板19bの寸法に対応して設定することができる。
【0065】
更に、図11に示したように、箱棒10に設けられている孔部15は、箱棒10及び箱体11をファスナーテープ2’に射出成形する際に、テープ押さえ部材がファスナーテープ2’を押さえることによって、結果的に形成されたものである。また、箱棒10のテープ端側の側面には、肉厚の薄い脚部20が設けられている。
【0066】
そして、箱棒10及び箱体11を固着したファスナーストリンガー6’に対して、蝶棒9及び蝶棒固着部材12を固着したファスナーストリンガー6を装着するには、先ず図13に示すように、スライダー7を箱体7の上端面に接触するように摺動させて保持した状態にする。
【0067】
次に、図14(a)に示すように、ファスナーストリンガー6’のファスナーテープ2を撓ませながら、ファスナーストリンガー6に固着した蝶棒9をスライダー7のガイド溝31へ挿入するとともに、蝶棒固着部材12の薄肉部13をスライダー7のフランジ32間に挿入する。
【0068】
更に引き続き、図14(b)に示すように、蝶棒9の段差部29が箱体11に当接するまで、蝶棒9を箱体11の蝶棒差込孔33へ挿入する。このとき、ファスナーストリンガー6におけるファスナーテープ2の先端部が蝶棒固定部材12によって包み込まれるように保護されているため、例えファスナーテープ2の先端面がスライダー7の肩口に接触し、またファスナーテープの先端領域がスライダー7のフランジ32と擦れたとしても、ファスナーテープ2の先端部にほつれや傷みが発生することを防ぐことができる。
【0069】
また、蝶棒固着部材12の長さが蝶棒9よりも短くされており、蝶棒固着部材12の上方領域36でファスナーテープ2が露呈し、更に蝶棒9の各脚部20は所定の間隔を開けて小さく配設されているので、蝶棒9を箱体11の蝶棒差込孔33へ挿入する際に、図14(b)に示したように、ファスナーテープ2を容易に撓ませることができ、蝶棒9の挿入操作を容易に且つ円滑に行うことができる。
【0070】
上記のようにして蝶棒9を箱体11の蝶棒差込孔33へ挿入した後、スライダー7を引き上げ摺動させることにより、図15に示したように、ファスナーストリンガー6,6’のファスナーエレメント21を互いに噛合させるとともに、蝶棒9の上板19a及び下板19bの上端部と、箱棒側のファスナーテープ2’のエレメント列下端に固着したファスナーエレメント21と箱棒10の上端部とを互いに係合させることができる。
【0071】
このとき、蝶棒9及び箱棒10にはそれぞれ脚部20が配設されており、また各ファスナーエレメント21にも二本に分岐した脚部26が配設されているため、スライダー7を摺動させるとき、脚部20、26がスライダー7のフランジ32と接触し、フランジ32がファスナーテープ2と直接接触することを防ぐことができる。従って、フランジ32がファスナーテープ2に被覆した防水層を磨り減らしたり、またファスナーテープ2を傷付けたりすることを防止でき、スライドファスナー1の防水性能低下を防ぐことができる。
【0072】
また、上記のように対向するファスナーストリンガー6,6’のファスナーエレメント21を噛合させることにより、ファスナーエレメント21が列設されている領域において、ファスナーテープ2,2’のエレメント取付縁部3,3側の端面同士を互いに密着させることができる。
【0073】
更に、本実施例では、蝶棒9のテープ挟持溝部18を介してファスナーテープ2が蝶棒9の側面から上板19aと下板19bとの間の間隙に延出しているため、図16に示したように、ファスナーエレメント21の噛合時には、蝶棒9から延出しているファスナーテープ2の端面と、これと対向するファスナーテープ2’の端面とを互いに密着させることができる。
【0074】
更にまた、ファスナーエレメント21を噛合させた時は、蝶棒9の裏面に配設した下板19を、図17に示したように箱棒10の裏面側に形成したくぼみ部34に入り込ませ、下板19と箱棒10のくぼみ部34とを対面させることにより、下板19と箱棒10とが表裏方向に重なり合い、蝶棒9と箱棒10との間に形成された隙間を塞ぐことができる。また、好適には、下板19と箱棒10のくぼみ部34とを当接させ、蝶棒9と箱棒10との間の隙間を密閉するのが良い。
【0075】
このように本実施例の防水性スライドファスナー1は、ファスナーエレメント21の噛合時に、ファスナーエレメント21が列設されている領域だけでなく、蝶棒9からファスナーテープ2を延出させている領域でもファスナーテープ2,2’の端面同士を密着させるとともに、蝶棒9に配設した下板19で蝶棒9と箱棒10間の隙間をふさぐことができる。これにより、本実施例の防水性スライドファスナー1は、ファスナーエレメント21の噛合時に、従来のものに比べてファスナーストリンガー6,6’間に生じる隙間を小さくし、その密着領域を拡大させることができるため、スライドファスナー1の防水性能を非常に高めることができる。
【0076】
以上に説明したように、本実施例の防水性スライドファスナー1は、蝶棒固着部材12を設けて蝶棒9とファスナーテープ2との固着強度を高めたため、ファスナーテープ2が応力やねじりを受けた場合でも、蝶棒9がファスナーテープから脱落することを防止できる。また、蝶棒固着部材12が蝶棒固着側のファスナーテープ先端部を包み込むようにして保護しているため、蝶棒9の箱体11への挿入操作が繰り返し行われても、ファスナーテープ2の先端部にほつれや傷みが発生することを防ぐことができる。更には、上述のようにスライドファスナー1の防水性能を向上できるといった優れた作用効果も得ることができる。
【0077】
なお、上記実施例では、防水性スライドファスナーの一端部に固着される開離嵌挿具が、蝶棒、箱棒、箱体によって構成されている場合について主に説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明と実質的に同様の構成を有する限り多様な変更が可能である。
【0078】
例えば、本発明は、前記実施例のように、箱体、箱棒、蝶棒から構成される通常タイプの開離嵌挿具を備えた防水性スライドファスナーだけでなく、例えば、逆開き可能な防水性スライドファスナーにも適用することができる。この逆開き可能な防水性スライドファスナーとは、例えば図19に示したように、ファスナーテープの一端部に蝶棒及び箱棒が対向して固着一体化されるとともに、箱体が備えられずに、ファスナーエレメントに通常のスライダーの他に逆開き用スライダーが更に挿通された防水性スライドファスナーである。
【0079】
以下、この逆開き可能な防水性スライドファスナーについて、図19を参照しながら具体的に説明する。なお、この図19及び以下で説明する図20においては、前記実施例に係る防水性スライドファスナー1と同様の構成を有する部材については、同じ符合を用いて表すことによってその説明を省略することとする。
【0080】
図19に示した逆開き可能な防水性スライドファスナー41は、ファスナーテープ2’の一端部に箱棒42が固着一体化されており、箱体となる部材が形成されていない。また、対向するファスナーテープ2,2’のエレメント取付縁部に列設されたファスナーエレメント21には、スライダー7が挿通されるとともに、同スライダー7と反対向きに配設される逆開き用スライダー43が挿通される。これにより、スライダー7と逆開き用スライダー43の両方でファスナーエレメント21を噛合離脱させることができる。
【0081】
このような逆開き可能な防水性スライドファスナー41において、ファスナーテープ2の一端部に固着した蝶棒9の一部側面からファスナーテープ2に延在する蝶棒固着部材12が、前記実施例と同様に、ファスナーテープ2の蝶棒固着側先端面を被覆するように跨いでファスナーテープ2の表裏両面に固着一体化されている。なお、この蝶棒固着部材12は、テープ長さ方向において蝶棒9よりも短く形成されている。
【0082】
これにより、逆開き可能な防水性スライドファスナー41は、前記実施例の防水性スライドファスナー1と同様の効果を奏することができる。即ち、前記蝶棒固着部材12を備えた逆開き可能な防水性スライドファスナー41であれば、蝶棒9及び蝶棒固着部材12とファスナーテープ2との固着強度が高められるため、ファスナーテープ2が応力やねじりを受けた場合でも、蝶棒9がファスナーテープから脱落することを防止できる。また、蝶棒固着部材12が蝶棒固着側のファスナーテープ先端部を包み込むようにして保護しているため、ファスナーテープ2の先端部にほつれや傷みが発生することを防ぐことができる。
【0083】
更に、本発明においては、逆開き可能な防水性スライドファスナーの箱棒側にも、蝶棒固着部材12と同様の固着部材を、箱棒のテープ端側の一部側面からファスナーテープの表裏両面に延在して一体に固着させることができる。
【0084】
例えば図20に示したように、ファスナーテープ2’の一端部に固着した箱棒42の一部側面からファスナーテープ2’に延在する蝶棒固着部材12’が、ファスナーテープ2’の表裏両面に固着一体化されている。この箱棒42と一体成形されている蝶棒固着部材12’は、ファスナーテープ2’の箱棒固着側先端面を被覆するようにテープ2’の表裏面を跨いで形成されており、ファスナーテープ2’の箱棒固着側先端部は箱棒固着部材12’によって包み込まれた状態となっている。
【0085】
この蝶棒固着部材12’は、箱棒42の側面から延在する肉厚の薄い薄肉部13’と、同薄肉部13’から連接したリブ14’とを有しており、また、これら薄肉部13’及びリブ14’は、テープ長さ方向において箱棒42よりも短く形成されている。
【0086】
即ち、逆開き可能な防水性スライドファスナーは、前述のように箱体が設けられていないため、箱棒が引張り応力やねじりを受けることにより蝶棒がファスナーテープから脱落し易くなる恐れがある。従って、図20に示したように箱棒固着部材12’を箱棒42と成形一体化してテープ表裏面に固着させることにより、ファスナーテープ2’に対する箱棒42の固着強度を著しく高めて、箱棒42がファスナーテープ2’から脱落することを防止することができる。
【0087】
また、箱棒固着部材12’が箱棒固着側のファスナーテープ先端部を包み込むようにして保護しているため、ファスナーテープ2’の先端部にほつれや傷みが発生することを防ぐこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、ファスナーテープがエラストマー樹脂などからなる防水層でコーティングされ、一対のファスナーテープの一端部に蝶棒及び箱棒が対向して固着一体化された防水性スライドファスナーに有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の防水性スライドファスナーの全体を示す平面図である。
【図2】蝶棒を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した斜視図である。
【図3】蝶棒を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した正面図である。
【図4】図3に示したIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【図5】図3に示したV−V線に沿った矢視断面図である。
【図6】図3に示したVI−VI線に沿った矢視断面図である。
【図7】蝶棒を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した背面図である。
【図8】箱棒及びは箱体を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した斜視図である。
【図9】箱棒及びは箱体を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した正面図である。
【図10】図9に示したX−X線に沿った矢視断面図である。
【図11】図9に示したXI−XI線に沿った矢視断面図である。
【図12】箱棒及びは箱体を取り付けた側のファスナーストリンガーの要部を示した背面図である。
【図13】蝶棒をスライダーに挿入する時の状態を模式的に示す模式図である。
【図14】(a)は、蝶棒をスライダーに挿入した時の状態を模式的に示す模式図であり、(b)は、蝶棒を箱体の蝶棒差込孔へ挿入した時の状態を模式的に示す模式図である。
【図15】ファスナーエレメントが噛合した時の状態を模式的に示す模式図である。
【図16】図15に示したXVI−XVI線に沿った矢視断面図である。
【図17】図15に示したXVII−XVII線に沿った矢視断面図である。
【図18】ファスナーエレメントが噛合した時の状態をテープ背面側から模式的に示す背面図である。
【図19】逆開き可能な防水性スライドファスナーの構成を模式的に示す模式図である。
【図20】逆開き可能な防水性スライドファスナーの変形例の構成を模式的に示す模式図である。
【図21】(a)は、従来の防水性スライドファスナーの噛合部を中心に示す平面図であり、(b)は、同防水性スライドファスナーにおけるファスナーストリンガーの1つのファスナーエレメントを拡大して示す平面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 防水性スライドファスナー
2,2’ ファスナーテープ
3 エレメント取付縁部
5 止具
6,6’ ファスナーストリンガー
7 スライダー
8 開離嵌挿具
9 蝶棒
10 箱棒
11 箱体
12 蝶棒固着部材
12’ 箱棒固着部材
13,13’ 薄肉部
14,14’ リブ
15 孔部
16 固着用貫通孔
17 縫製用孔部
18 テープ挟持溝部
19a 上板
19b 下板
20 脚部
21 ファスナーエレメント
22 噛合頭部
23 首部
24 胴部
25 肩部
26 脚部
27,28 連結部
29 段差部
30 エレメント固着用貫通孔
31 ガイド溝
32 フランジ
33 蝶棒差込孔
34 くぼみ部
35 隆起部
36 蝶棒固着部材の上方領域
41,41’ 逆開き可能な防水性スライドファスナー
42 箱棒
43 逆開き用スライダー
50 防水性スライドファスナー
51 エレメント取付縁部
52 ファスナーストリンガー
53 端縁
54 貫通孔
55 ファスナーテープ
61 ファスナーエレメント
62 噛合頭部
63 首部
64 胴部
65 肩部
66 脚部
67 連結部




 

 


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