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発明の名称 隠しスライドファスナー用スライダー
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−54176(P2007−54176A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−241433(P2005−241433)
出願日 平成17年8月23日(2005.8.23)
代理人 【識別番号】100091948
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 武男
発明者 槻 慶一 / 岩瀬 裕一
要約 課題
例えば、座席シートなどのシートカバーに適用されてスライドファスナーの閉鎖時に強力な横引き力が加わっても、スライダーにエレメントを円滑に導入できるような隠しスライドファスナーのスライダーを提供する。

解決手段
隠しスライドファスナー用のスライダー(100) は、下翼板(101) の左右側縁に沿って一対の逆L字形断面をもつ第1フランジ(102,103) を有するとともに、同下翼板(101) の一端中央部に立設された略楕円形の水平断面をもつ案内柱(104) を有している。一対の第1フランジ(102,103) の上板部分(102a,103a) の間の楔状空間には、前記案内柱(104) の上面に一体に形成された矩形領域(105a)と楔状領域(105b)とを有し、前記案内柱(104) の外周に沿って外側に張り出した第2フランジ(105) を備えている。この第2フランジ(105) の肩口側端部の下面高さを他の領域の高さより高く設定するとともに、周面に後口側に向けて段階的にテーパ角(α1 〜α5) が漸増するテーパ面(105c)を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
相対する側縁部がU字状に屈曲固定され、同側縁部の折り曲げ端縁の外側表面に沿って多数の噛合エレメントが取着された一対のファスナーストリンガー(FS)の各噛合エレメント(E) を係脱する隠しスライドファスナー用のスライダー(100) であって、
同スライダー(100) は、同スライダー(100) の摺動方向に直交する左右側縁部に沿って立設する逆L字形断面からなる一対の第1フランジ(102,103) をもつ下翼板(101) と、同下翼板(101) の摺動方向の一端中央部に立設された案内柱(104) と、前記一対の第1フランジ(102,103) の上板部分(102a,103a) の間に配され、前記案内柱(104) の上面に一体に形成された矩形領域(105a)と同矩形領域(105a)から摺動方向に延在する楔板領域(105b)とを有し、前記案内柱(104) の外周に沿って外側に張り出した第2フランジ(105) とを備えてなり、
前記第2フランジ(105) の周面の、左右の前記第1フランジ(102,103) の左右の前記上板部分(102a,103a) の案内柱側端面を通る直線Lと交わる部分の少なくとも案内柱(104) 側の外側領域に、下端から上方に向けて拡がるテーパ面(105c)が形成されてなり、
前記テーパ面(105c)の上端稜線部(Eg)が前記第1フランジ(102,103) の前記上板部分(102a,103a) の上面より低く、且つ下翼板(101) の上面と前記上板部分(102a,103a) の下面との間の高さ(H) よりも高く設定されてなる、
ことを特徴とする隠しスライドファスナー用スライダー。
【請求項2】
前記テーパ面(105c)の上端稜線部(Eg)は、前記直線Lの楔板領域(105b)側の第2フランジ部分の上端稜線部(Eg)と前記下翼板(101) の上面との間の高さ(H5)が最も小さく、
前記直線Lの楔板領域(105b)側と反対側の端面にかけての前記テーパ面(105c)の上端稜線部(Eg)は、下翼板(101) の上面との間の高さ(H5 〜H1) が段階的に漸増するように設定されてなる請求項1記載の隠しスライドファスナー用スライダー。
【請求項3】
前記テーパ面(105c)が、第2フランジ(105) の周方向に複数段に変化するテーパ角( α1 〜α5)を有し、同第2フランジ(105) の前記直線Lの近傍のテーパ角( α1)が最も大きく、同直線Lから案内柱側の端部にかけてテーパ角(α3,α2,α1)が漸次小さく設定されてなる請求項1又は2に記載の隠しスライドファスナー用スライダー。
【請求項4】
前記第1フランジ(102,103) の上面と第2フランジ(105) の上面とが同一平面上にあり、少なくとも前記直線Lよりも楔板領域(105b)側の前記第2フランジ(105) の下面は前記第1フランジ(102,103) の下面よりも下方に配されてなる請求項1記載の隠しスライドファスナー用スライダー。
【請求項5】
前記複数段の各テーパ角( α1 〜α5)は0°〜90°の範囲で段階的に順次変化させてなる請求項3記載の隠しスライドファスナー用スライダー。
【請求項6】
前記第1フランジ(102,103) の上板部分(102a,103a) と前記第2フランジ(105) との間にY字状のテープ案内通路(GP)が形成され、前記第2フランジ(105) の矩形領域(105a)の長辺延長線により内外部分に区分けされた第1フランジ(102,103) の内側部分の縁部下面が段差を介して外側部分の下面よりも薄肉に形成されてなる請求項1記載の隠しスライドファスナー用スライダー。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドファスナーの閉鎖時には、その開閉具であるスライダーの本体が外部に表出しないタイプの隠しスライドファスナー用のスライダーに関し、特にスライドファスナーの閉鎖時において強い横引き力が作用しても、円滑なスライダー操作を可能にする隠しスライドファスナー用のスライダーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の隠しスライドファスナーは女性用の被服類に多く使われていたが、近年は他分野の例えば自動車や列車の座席シートなどに進出するようになった。座席シートは、予めフレームに一体に形成されたクッション体にシートカバーが被覆される。このとき、シートカバーの寸法はクッション体の大径寸法よりも小さくして、クッション体を圧縮状態で被覆し、外観形状に生じる緩みや変形などの発生を極力抑制するようにしている。また、着座時の人体などの荷重分布にも容易に対応するように弾性変形しても、座席から離れると確実に原形に戻るようにして形崩れを防いでいる。
【0003】
シートカバーは、通常、天然皮革や合成皮革、或いは様々な構造をもつ編織物などからなる表皮層と、ポリウレタン発泡体シートなどからなる薄い弾性中間層と、極めて細い糸条を使って編成又は織成して得られる薄手の編織物などからなる裏面基布層とがラミネート加工などによって積層一体化されたシートから構成される。通常は、これらのシートを座席シートの形状に合わせて複数枚からなるシート片を裁断し、これらのシート片を組み合わせて立体的に縫製してシートカバーを製作する。しかしながら、シートカバーの全体を縫製により製作すると、複雑な外観形状をもつ座席のクッション体にシートカバーを被覆できない場合が多発する。そこで従来は、予め未縫製部分を作っておき、クッション体に被覆したのち前記未縫製部分を手縫いにて縫製していた。
【0004】
しかしながら、この手縫いによる縫製では、縫製作業員の技能の差により完成品に品質や縫製時間に差が生じやすい。そこで、近年では手縫いを排除すべく、シートカバーの縫製部の一部、例えば玉縁部に沿ってスライドファスナー、特にスライダー本体が外側に表出しない隠しスライドファスナーが使われることが多くなった。その結果、全ての縫製をミシンによりできるようになり、技能の差に基づく従来の不具合が大幅になくなり生産効率も一段と向上した。
【0005】
この隠しスライドファスナーは、例えば特公昭50−25855号公報(特許文献1)にも開示されているように、スライダー胴体の下翼板のスライダー摺動方向に直交する側縁には、各側縁に沿って逆L字断面をもつ左右一対の第1フランジが立設されている。この一対の第1フランジは平面視で平行な直線部と、同直線部に続き互いが離間するように屈曲しながら拡開する拡開部とを有している。前記下翼板の拡開側の端部には略楕円形の水平断面をもつ案内柱が上方に向けて垂直に立設されている。この案内柱の上面には第2フランジが一体に形成されるとともに、同第2フランジの上面には摺動方向に延在する門型の引手取付柱が一体に形成されている。この引手取付柱には引手が摺動方向の前後に回動自在に取り付けられる。第2フランジは前記案内柱の周面を囲むようにして外側に延設された略矩形状板部と、同矩形状板部に続いて前記第1フランジの上記直線部の間に向けて延設された先端を先鋭に形成した楔状の板部とからなる。ここで、案内柱側の端部開口を肩口といい、案内柱とは反対側の開口を後口という。
【0006】
前記第1フランジと前記案内柱及び第2フランジにより形成される空間が噛合エレメント列の案内通路となり、第1フランジと第2フランジとの間に形成される間隙がファスナーテープの案内間隙となる。一方、かかる構成を備えたスライダーが挿通されるファスナーストリンガーは、噛合頭部を内側にして多数の噛合エレメントが2本一対のファスナーテープの対向側縁に沿って、それぞれ縫製などにより取り付けられる。こうして得られる一対のファスナーストリンガーの各エレメント取付縁部を噛合エレメントの噛合頭部が外側に突出するように、同エレメント取付縁部に沿ってU字状に折り曲げられ、熱セットなどによりその折曲げ形状が固定される。こうした構造をもつ一対のファスナーストリンガーを、上記スライダーの肩口からエレメントの噛合頭部を向かい合わせるとともにファスナーテープの折返し部分を上記第1及び第2フランジ間のテープ案内間隙から外側に延出させてスライダーを挿通する。
【特許文献1】特公昭50−25855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の構成を備えたスライダーを挿通して得られる従来の隠しスライドファスナーにあって、特に上述ような自動車などの座席シートのシートカバーに適用して、最後に同隠しスライドファスナーを閉鎖するとき、シートカバーがクッション体の外形寸法より小さく形成されているため、スライダーの近傍のファスナーストリンガーには強力な横引き力が加わる。この強力な横引き力は、上述のような隠しスライドファスナーに特有の構造によって噛合エレメント列を立ち上がらせる。特に、従来のスライダーには案内柱の肩口側の端面から左右側面にかけて、ほぼ第1フランジと同等肉厚の第2フランジが延在している。
【0008】
この第2フランジの肩口付近の部分にて横引き力を受けながら肩口へと導入される各エレメントは、ファスナーテープのテープ面に対して略直角となるまで立ち上がる。各エレメントの連結部がスライダーの下翼板の上面に載るまでは、同エレメントは先にスライダーのエレメント案内通路に導入されて、第1フランジ、案内柱及び第2フランジの上板部分との接触により傾倒姿勢とされている先行エレメントによる傾倒させる力と、スライダーの摺動操作に基づくファスナーテープTの相対的な引張力との影響を受ける。そのため、各エレメントの連結部がスライダーの下翼板の上面に載ると僅かに傾倒するが、その傾倒が少ないため、往々にしてエレメントの連結部が前記第1フランジと第2フランジとの間に挟み込まれてしまい、スライダーの摺動を不可能にする。ここで無理にスライダーを摺動させようとすると、横引き力によるエレメントを損傷させるばかりでなく、ファスナーテープの折曲げ縁を裂断しかねない。
【0009】
本発明は、こうした従来の不具合を解消すべくなされたものであり、具体的には例えば座席シートなどのシートカバーに適用されてスライドファスナーの閉鎖時に強力な横引き力が加わっても、円滑なスライダーの摺動操作を可能にした隠しスライドファスナーのスライダーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、本発明の主要な構成である相対する側縁部がU字状に屈曲固定され、同側縁部の折り曲げ端縁の外側表面に沿って多数の噛合エレメントが取着された一対のファスナーストリンガーの各噛合エレメントを係脱する隠しスライドファスナー用のスライダーであって、同スライダーは、同スライダーの摺動方向に直交する左右側縁部に沿って立設する逆L字形断面からなる一対の第1フランジをもつ下翼板と、同下翼板の摺動方向の一端中央部に立設された案内柱と、前記一対の第1フランジの上板部分の間に配され、前記案内柱の上面に一体に形成された矩形領域と同矩形領域から摺動方向に延在する楔板領域とを有し、前記案内柱の外周に沿って外側に張り出した第2フランジとを備えてなり、前記第2フランジの周面の、左右の前記第1フランジの左右の前記上板部分の案内柱側端面を通る直線Lと交わる部分の少なくとも案内柱側の外側領域に、下端から上方に向けて拡がるテーパ面が形成されてなり、前記テーパ面の上端稜線部が前記第1フランジの前記上板部分の上面より低く、且つ下翼板の上面と前記上板部分の下面との間の高さよりも高く設定されてなることを特徴とする隠しスライドファスナー用スライダーにより効果的に達成される。
【0011】
好適な実施態様によれば、前記テーパ面の上端稜線部は、前記直線Lの楔板領域側の第2フランジ部分の上端稜線部と前記下翼板の上面との間の高さが最も小さく、前記直線Lの楔板領域側と反対側の端面にかけての前記テーパ面の上端稜線部は、下翼板の上面との間の高さが段階的に漸増するように設定される。また好適には前記テーパ面が、第2フランジの周方向に複数段に変化するテーパ角を有し、同第2フランジの前記直線Lの近傍のテーパ角が最も大きく、同直線Lから案内柱側の端部にかけてテーパ角が漸次小さく設定される。更に、前記第1フランジの上面と第2フランジの上面とが同一平面上にあり、少なくとも前記直線Lよりも楔板領域側の前記第2フランジの下面は前記第1フランジの下面よりも下方に配されるとよい。前記複数段の各テーパ角は0°〜90°の範囲で段階的に順次変化させるとよい。
【0012】
前記第1フランジの上板部分と前記第2フランジとの間にY字状のテープ案内通路が形成され、前記第2フランジの矩形領域の長辺延長線により内外部分に区分けされた第1フランジの内側部分の縁部下面が段差を介して外側部分の下面よりも薄肉に形成されこともある。
【作用効果】
【0013】
上述のとおり、隠しスライドファスナー用のスライダーにおける案内柱側(肩口側)の案内柱の上面に一体に形成された矩形板部と同矩形板部から摺動方向に延在する楔板部とを有する第2フランジのうちで、下翼板の左右から立ち上がる逆L字断面をもつ左右の前記第1フランジの左右の前記上板部分の案内柱側端面を通る直線Lと交わる部分の少なくとも肩口側の外側領域に、下端から上方に向けて拡がるテーパ面が形成されている。このテーパ面の上端稜線部は前記第1フランジの前記上板部分の上面より低く、且つ下翼板の上面と前記上板部分の下面との間の高さよりも高く設定されている。そのため、例えば、自動車などの座席シートを被覆するシートカバーに取付けられた隠しスライドファスナーでは、同ファスナーを閉鎖しようとするとき、ファスナーテープには極めて強い横引き力が働くため、肩口から下翼板、案内柱、第1フランジ及び第2フランジにより形成されたエレメント案内通路に順次導入される噛合エレメントは、肩口から離間した位置ではファスナーテープのテープ面に対して略平行であった姿勢が、肩口に近づくに連れてエレメントの連結部が上となり、噛合頭部が下となってエレメント取付部が逆さまの状態で、テープ面に対して直角に立ち上がった姿勢となる。
【0014】
従来のスライダーでは第2フランジの肩口端部付近も後口側端部も、その下面と下翼板との間の寸法は変わらない。そのため、肩口側の下翼板に載ったエレメントは先行してエレメント通路内に入ったエレメント及びテープの引張力と傾倒させようとする力の影響を受けて僅かに傾倒はするものの、完全には傾倒しないままに第2フランジと干渉し合いながら第2フランジへと導入が続けられ、肩口の部分へと立ち上がったままの状態でエレメントの連結部から脚部の間が第1フランジの上板部分と第2フランジの間の間隙に挟み込まれ、スライダーの動きを止めてしまうことが多い。
【0015】
これに対して、本発明によるスライダーは、上述のごとき下翼板に対する第2フランジの肩口側のテーパ面の上端稜線部の高さを後口のそれよりも高く設定しているため、たとえエレメントが僅かな傾倒姿勢で下翼板上に載っても第2フランジと干渉することがなくなり、第2フランジのテーパ面に案内されてエレメント案内通路に導入される。この導入の間に、テーパ面による案内と、先行エレメント及びファスナーテープの引張力によるエレメントを傾倒させようとする力との総合的な影響を受けて、エレメント連結部が第2フランジの下面に潜ろうとする姿勢へと徐々に傾く。一旦、エレメント案内通路内に導入されたエレメントは、下翼板の上板部分と第2フランジとによって傾倒姿勢が確保されて、相対的にスライダーのエレメント案内通路内を円滑に進むようになる。そのため、従来のようにエレメントの噛合頭部や脚部が下翼板の上板部分と第2フランジとの間に挟まれることがなくなり、エレメントの破損やファスナーテープの裂断などの発生が防止され、スライダーの円滑な摺動操作によって隠しスライドファスナーを支障なく閉鎖させることができる。
【0016】
また、更に前記テーパ面の上端稜線部は、前記直線Lの楔板領域側の第2フランジ部分の上端稜線部と前記下翼板の上面との間の高さが最も小さく、前記直線Lの楔板領域側と反対側の端面にかけての前記テーパ面の上端稜線部は、下翼板の上面との間の高さが段階的に漸増するように設定される。また好適には前記テーパ面が、第2フランジの周方向に複数段に変化するテーパ角を有し、同第2フランジの前記直線Lの近傍のテーパ角が最も大きく、同直線Lから案内柱側の端部にかけてテーパ角が漸次小さく設定される。かかる構成により、上述のようにスライダーのエレメント案内通路内に円滑に導入されたエレメントは、その噛合頭部が第2フランジの前記テーパ面に案内されて後口に向かう途中で段階的に第2フランジの楔板領域の下面へと導かれて水平に近い噛合姿勢とされ、第2フランジの楔板領域の先端を越えた直後に相手方のエレメントと完全に噛合して後口へと案内される。
【0017】
このとき、第1フランジの上面と第2フランジの上面とを同一平面上に配するとともに、前記第2フランジの少なくとも前記第1フランジの上板部分と対向する領域の下面を前記第1フランジの下面よりも下方に配し、同時にそのテーパ面を前記第1フランジの上板部分の下面を含む平面との交差線から下方に形成すると、エレメント案内通路を相対的に移動するエレメントの傾倒姿勢が安定して維持され、続く相手方との噛合が円滑且つ確実になされるようになる。
【0018】
前記多段に変化するテーパ角を肩口側の端部から後口側の端部にかけて、0°〜90°の範囲で段階的に順次漸増させると、肩口から案内通路に導入されたエレメントはテーパ面にエレメントの噛合頭部が摺接しながら立ち姿勢から次第に順次大きく傾倒する姿勢へと変わりながら円滑に後口へと導かれ、円滑に且つ確実な噛合を実現する。第2フランジの周面に形成されるテーパ面は、スライダーの成形と同時に形成する。その成形をしやすくすべく、第1フランジの上板部分を前記第2フランジの矩形板部の長辺延長線をもって内外部分に区分けし、その区分けされた上板部分の内側領域の下面を段差を挟んで外側領域の下面よりも薄肉に形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の代表的な実施形態を図示実施例に基づいて具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施例を示している。図1は同実施例に係る隠しスライドファスナー用のスライダーを肩口側の斜め上方から見た斜視図である。本実施例のスライダー100にあっても、従来と同様に、左右の側縁に沿って立設された逆L字断面の第1フランジ102,103を備えた下翼板101と、同下翼板101の肩口側端部に前記第1フランジ102,103と同方向に立設された水平断面が略楕円形状の案内柱104と、同案内柱104の上面に同案内柱104の周面から外側に延出して一体に形成された第2フランジ105と、同第2フランジ105の上面にスライダー100の摺動方向に延在する門型の引手取付柱106と、一端部の環状部107aを介して前記引手取付柱106に回動自在に支持された引手107とを備えている。
【0020】
前記下翼板101は、肩口端縁から案内柱104のほぼ肩口側半部に沿って漸次拡幅されたのち、前記案内柱104の後口側半部に沿って漸次縮幅され、同案内柱の後口側端を越えるあたりから後口端縁までを同一幅としている。かかる形状を有する下翼板101の左右側縁に第1フランジ102,103がスライダー100の摺動方向に沿って立設される。この第1フランジ102,103は鏡面対称の形状を有し、上板部分102a,103aと、側壁部分102b,103bとからなる横断面が逆L字状の部材からなり、その後口側の左右側壁部分102b,103bは平行領域102b,103bとされている。前記左右の側壁部分102b,103bは前記上板部分102a,103aの肩口側端部に対応する領域を欠落させている。
【0021】
また本実施例にあっては、前記案内柱104の後口側半部から後口に向けて突出する楔状平面を有するランド部101aが下翼板101の上面に形成されている。上記第2フランジ105は全体が平板状であり、前記案内柱104の肩口側端縁及び左右側縁の周面に沿って形成される矩形領域105aと、前記矩形領域105aに続いて案内柱104の後口側端縁から先鋭な先端を後口に向けて一体に延設された楔状領域105bとを備えている。
【0022】
こうした構成を備えた本実施例に係るスライダー100の、前記下翼板101の上面に形成された前記ランド部101aの周辺領域と、案内柱104と、第1フランジ102,103と、第2フランジ105との間にY字状のエレメント案内通路GPが形成される。図示例によれば、左右一対の前記第1フランジ102,103の上面と第2フランジ105の上面とは同一平面内にある。一方、第1フランジ102,103の各上板部分102a,103aの下面と第2フランジ105の下面とは同一平面上になく、第1フランジ102,103の各上板部分102a,103aの下面の方が第2フランジ105の下面よりも上方にある。換言すると、第1フランジ102,103の各上板部分102a,103aの肉厚が第2フランジ105の肉厚よりも薄く形成されている。また、左右一対の前記第1フランジ102,103の各上板部分102aの内側側面と前記第2フランジ105の周側面との間には図示せぬファスナーテープが挿通できる間隙Dを有している。
【0023】
かかる基本構成を備えた本実施例の隠しスライドファスナー用スライダー100にあっては、更に本発明の最も特徴とする構成を備えている。すなわち、上記第2フランジ105の周縁部が従来と異なる構成を備えている。これを図4及び図5を参照しながら、具体的に説明する。図4は引手取付柱106を排除したときの第2フランジ105を斜め上方から見た斜視図である。また、図5、図6及び図7は、それぞれが図4におけるV-V 線、VI-VI 線、VII-VII 線に沿った矢視断面図である。
【0024】
図4に基づいて、第2フランジ105の全体の形状を簡単に説明すると、第2フランジ105は上述のとおり平面視で案内柱104の上面部分は矩形領域105aと同矩形領域105aから後口側に延びる楔状領域105bをもつ板材からなる。その周側面には、図4に示すように、丁度、案内柱104の肩口端から後口側端まで5段階にテーパ角を変わたテーパ面105cが形成されている。ただし、以下に述べる本実施例におけるテーパ面105cの形状やテーパ角αは、この例に限定されるものではなく、隠しスライドファスナーの仕様により多様に変更できるものである。本発明におけるテーパ面105cは、第2フランジ105の上面よりは低い位置に上端稜線部Egを有しており、すべて案内柱104の周面及びランド部101aに向けて下傾斜している。
【0025】
同図によれば、案内柱104の肩口端からほぼ案内柱104の半部より少ない部分にかけては、上記テーパ面105cの前記上端稜線部Egと下翼板101の上面との間の高さH1が最も高く且つフランジ厚みが最も薄肉T1である第1テーパ面105c−1とされている。この第1テーパ面105c−1に続く、第2フランジ105の後口端側の第2テーパ角α2は第1テーパ角α1よりも徐々に立ち上げられ、更に続く後口端側の第3テーパ角α3(図示省略。)は第2テーパ角α2よりも徐々に立ち上げられ、これが繰り返されて楔上領域105bの先端部の第5テーパ角α5(図示省略。)となる。この第5テーパ角α5は殆ど傾斜がなく0°に近い。また同時に、前記テーパ面105c及び第2フランジ105の肉厚T1〜T5(T3、T5は図示省略。)も、テーパ角αの変化に応じて順次大きくされている。ただし、本実施例では第2フランジ105の第4及び第5番目の肉厚T4,T5は同一厚さとしている。従って、テーパ面105cの前記上端稜線部Egと下翼板101の上面との間の高さH1〜H5(H3、H5は図示省略。)は、H1>H2>H3>H4(=H5)の関係で順次低くなっている。
【0026】
ここで、本実施例では左右の第1フランジ102,103の上板部分102a,103aの各肩口側端面を結ぶ直線L(図1及び図4)よりも肩口端側の第2フランジ105の周面は、図4〜図6に示すように第1〜第4のテーパ面105c−1〜105c−4にむかうにつれてテーパ角αを、肉厚Hと同様に第1〜第4テーパ角α1〜α4と大きくなしている。しかし、前記テーパ面105cは後述するように前記直線L(図1及び図4)よりも肩口端側の第2フランジ105の周面に形成すれば足りる場合もある。
【0027】
本実施例の第2フランジ105について更に具体的に説明すると、第2フランジ105の周面は肩口側端から矩形板状領域105aの半部までは最も薄いほぼ同一の肉厚T1であるが、以降の案内柱104の後口側端部付近まで肉厚がT2〜T3と漸次増加しており、同時に第2フランジ105の下面まで形成される下傾斜するテーパ角α1〜α3も段階的に大きくしている。このことは、同じく図5〜図7からも理解できるとおり、下翼板101のエレメント案内面GSから第2フランジ105の肩口端部側のテーパ面105c−1〜105c−3の上記上端稜線部Egまでの高さH1〜H3が、案内柱104の後口側端付近から楔状領域105bにかけての下翼板101の上面との間の高さH4,H5よりも高くなることを意味している。なお、本実施例では第2フランジ105の肩口側端部の肉厚T1を薄くすると同時に、そのテーパ角α1を他のテーパ角α2及びα3よりも小さくしてテーパ面105cを形成しているが、このテーパ角α1は排除してもよい。すなわち、テーパ角α1は0°としてもよい。
【0028】
第2フランジ105の周面形状を、以上のように形成することにより、従来のように、隠しスライドファスナーの閉鎖のためのスライダー操作時に、ファスナーテープに特に強力な横引き力が加わっても、第1フランジ102,103の各上板部分102a,103aと、第2フランジ105との間の間隙DにエレメンEが挟み込まれることがなくなり、スライダー100を円滑に摺動操作できるようにする。これを図8及び図9に基づいて詳しく説明する。
【0029】
図9は下翼板101のエレメント案内面から第2フランジ105を見たときの断面図であり、図10はスライダー100の第1フランジ102手前の噛合エレメントE1と先行してエレメント案内通路GPに導入されたエレメントE2の立ち姿勢の変化を示す説明図である。これらの図から理解できるように、スライダー100の肩口側前方の左右ファスナーストリンガーFSは、ファスナーテープに対する強力な横引き力により大きく開いた状態にあり、このとき噛合エレメントEは噛合頭部EHを上方(図9の手前側)に向けてファスナーテープのテープ面に対して直角に近い姿勢で立ち上がっている。
【0030】
スライダー100の閉鎖方向(図9の上方)の摺動操作により、連続するエレメントEは順次スライダー100の下翼板101のエレメント案内面GSに載る。このときエメント案内面GSに載ったエレメントE1には相変わらず強力な横引き力が加わっているが、先行してスライダー100のエレメント案内通路GPに導入されているエレメントE2は第1及び第2フランジ102,103;105によって傾倒姿勢が強制され、そのためファスナーテープにも横引き力に対抗する力が働き、スライダー100の肩口から離れているエレメントEと比べると大きく傾倒しようとしている。ここで、従来のスライダーのように第2フランジの肉厚が肩部側から後口側まで全て同じである場合には、下翼板のエレメント案内面から第2フランジの下面までの高さが低く、傾倒しようとする前記エレメントE1の傾倒姿勢では、その噛合頭部EHと第2フランジとが干渉してしまい、噛合頭部EHが第2フランジの下面に案内されないまま、第1フランジと第2フランジとの間隙に進入し、挟み込まれてしまう。
【0031】
その点、本実施例によるスライダー100であれば、第2フランジ105の肩口側端部の下面が切除されて薄肉に形成されているため、傾倒が僅かである前記エレメントE1の噛合頭部EHはスライダー100の摺動とともに第2フランジの下面へと導かれ、エレメント案内通路GPへと円滑に導入される。図11はエレメント案内通路GPに導入された瞬間の第1フランジの上板部分の肩口側端面を通る横断面図を示している。同図に示すように、第2フランジ105の少なくとも第1フランジ102,103と対向する領域から楔状領域105bの面の下面には、上述のような関係をもつテーパ角α2,α3のテーパ面105cを段階的に形成しておけば、エレメント案内通路GPに導入されたエレメントEはそのテーパ面105cに円滑に導かれながら噛合に必要な所要の傾倒姿勢へと確実に移行させることができ、最終的には第2フランジ105の楔状領域105bの下面へと導かれるため好ましい。図11において、符号Tはファスナーテープを示す。
【0032】
なお、本実施例にあっては、図3及び図8に示すように第1フランジ102,103の上板部分102a,103aの平行領域PEには、その対向する側縁部の下面を段部102c,103cを介して直線状に切除した薄肉部102d,103dを形成している。前記薄肉部102d,103dは、図8に示すように、第2フランジ105の矩形状領域105aの左右側縁の各延長線に沿って第1フランジ102,103の上板部分102a,103aを内外領域に2分したときの内側領域に相当する。この薄肉部102d,103dは前記第2フランジ105の周面のテーパ面105cを形成するために必要なスライダー成形時の図示せぬ挿入型との干渉を避けるがためである。
【0033】
図12は本発明の第2実施例に係る隠しスライドファスナー用のスライダーを一部切除して示す肩口側の斜め上方から見た斜視図である。この実施例では、第2フランジ105の肩口側端面を案内柱104の同端面と面一に形成するとともに、同端面を除く第2フランジ105の周面に沿って同一テーパ角αのテーパ面105cを連続して形成している点で第1実施例と異なっている。その他の構成は上記第1実施例と実質的に変わるところがない。そのため、この実施例において第1実施例と実質的に異ならない部材には同一の符号を付している。この第2実施例によっても、上記第1実施例と同等の作用効果が期待できる。なお、この実施例にあっては、前記テーパ面105cを上記直線Lまでの間で止め、続く楔状領域105bの先端まではテーパ面105cを形成しないままでもよい。
【0034】
図13は、本発明の第3実施例に係る隠しスライドファスナー用のスライダーを一部切除して示す肩口側の斜め上方から見た斜視図である。この実施例では、第2フランジ105の肩口側端面から上板部分102a,103aの案内柱側端面を結ぶ直線Lの位置までの肉厚を漸次増加させるとともに、引き続きその肉厚をもって楔状領域105bの先端までの肉厚を前記肩口側の肉厚よりも厚くしている。更に、その肉薄部の側面にテーパ角α1が漸増してテーパ角α3となる連続するテーパ面105cを形成するとともに、同肉薄部から楔状領域105bの先端までは連続する上記テーパ角α3をもつテーパ面105cを形成している。この実施例にあっても、第2フランジ105の上記直線Lから案内柱側端面まで小さなテーパ角α1〜α3のテーパ面に形成するとともに、第1フランジ105の下翼板101のエレメント案内面GSから肩口側端面側の下面までの高さHを他の領域より高くしているため、上記第1実施例と同等の作用効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施例に係る隠しスライドファスナー用のスライダーを肩口側の斜め上方から見た斜視図である。
【図2】同スライダーの一部を切除して肩口側の斜め下方から見た部分斜視図である。
【図3】同スライダーの要部を後口側から見た正面図である。
【図4】同スライダーの引手取付柱を切除したときの第2フランジの外観形状を模式的に示す肩口側から見た斜視図である。
【図5】図4のV-V 線に沿った矢印方向の断面図である。
【図6】図4のVI-VI 線に沿った矢印方向の断面図である。
【図7】図4のVII-VII 線に沿った矢印方向の断面図である。
【図8】同スライダーの半部の一部を拡大して示す下翼板のエレメント案内面から見た水平断面図である。
【図9】同スライダーを下翼板のエレメント案内面から見た噛合エレメントの挙動説明図である。
【図10】同スライダーの半部の一部を拡大して示す肩口側から見たときの噛合エレメントの挙動説明図である。
【図11】同スライダーのエレメント通路中に導入されるときのスライドファスナーの半部の状態を示す横断面図である。
【図12】本発明の第2実施例に係る隠しスライドファスナー用スライダーの要部を肩口側の斜め上方から見た部分斜視図である。
【図13】本発明の第3実施例に係る隠しスライドファスナー用スライダーの要部を肩口側の斜め上方から見た部分斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
100 スライダー
101 下翼板
101a ランド部
102,103 左右の第1フランジ
102a,103a 上板部分
102b,103b 側壁部分
102c,103c 段部
102d,103d 薄肉部
104 案内柱
105 第2フランジ
105a 矩形領域
105b 楔状領域
105c テーパ面
105c-1〜105c-5 第1〜第5テーパ面
106 引手取付柱
107 引手
107a 環状部
T ファスナーテープ
FS ファスナーストリンガー
E 噛合エレメント
EH 噛合頭部
D 間隙
L 左右上板部分の先端面を結ぶ直線
α1〜α5 第1〜第5テーパ角
T1〜T5 肉厚
H1〜H5 高さ
Eg テーパ面の上端稜線部
GP エレメント通路
GS エレメント案内面
PE 平行領域




 

 


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