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発明の名称 貝殻を原料とする高分散性炭酸カルシウム粉末とその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−63080(P2007−63080A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−252767(P2005−252767)
出願日 平成17年8月31日(2005.8.31)
代理人 【識別番号】100088719
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 博史
発明者 成田 榮一 / 佐藤 徳一
要約 課題
天然貝殻を原料として製造された炭酸カルシウム粉末とその製造方法を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
焼成貝殻粉末を水中または炭酸アルカリ水溶液中で水熱処理して再析出させた高結晶性の炭酸カルシウム粉末であって、炭酸カルシウム純度95%以上であり、粒径1.5μm以下の範囲において最大分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が25%以上であることを特徴とする炭酸カルシウム粉末。
【請求項2】
炭酸カルシウム純度98%以上であって、粒径0.3μm〜1.0μmの範囲において最大分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が30%以上である請求項1に記載する炭酸カルシウム粉末。
【請求項3】
粉末X線回折による相対回折強度において、炭酸カルシウムの最大ピーク強度が他のピーク強度の5倍以上である高結晶性を有する請求項1または2に記載する炭酸カルシウム粉末。
【請求項4】
貝殻がホタテ、カキ、ホッキ、アワビ、ムラサキガイ、アサリ、ハマグリの1種または2種以上の組み合わせたものである請求項1〜3の何れかに記載する炭酸カルシウム粉末。
【請求項5】
400〜650℃で焼成して有機物を除去した焼成貝殻粉末を、水中に懸濁させて水熱処理することによって炭酸カルシウムを再析出させ、純度95%以上、粒径0.3μm〜1.μmの範囲において最大分布ピークを有し、該分布ピークの分布頻度が25%以上の炭酸カルシウム粉末を製造することを特徴とする炭酸カルシウム粉末の製造法。
【請求項6】
請求項5の製造方法において、貝殻の焼成温度が400℃以上または650℃以上であって、焼成貝殻粉末を炭酸アルカリ水溶液に懸濁させて水熱処理し、炭酸カルシウムを再析出させる炭酸カルシウム粉末の製造法。
【請求項7】
焼成貝殻粉末の懸濁液を密封反応容器に入れ、140〜260℃に加熱して水熱処理を行う請求項5または6の何れかに記載する炭酸カルシウム粉末の製造方法。
【請求項8】
撹拝翼付きオートクレープ反応容器に、貝殻粉末量3〜35質量%の焼成貝殻粉末懸濁液を入れ、140〜260℃で、3〜72時間、水熱処理を行う請求項5〜7の何れかに記載する炭酸カルシウム粉末の製造方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体や環境にやさしい天然貝殻を原料として製造された炭酸カルシウム粉末とその製造方法に関し、本発明の炭酸カルシウム粉末は、高純度および高結晶性であると共に粒径が均一な微細粉末であり、分散性に優れ、食品や医薬品の添加物などに利用することができる。
【背景技術】
【0002】
貝殻は一般に炭酸カルシウムと少量のコラーゲンなどのタンパク質が交互に層状に重なった構造を持つ無機・有機複合材料であり、この炭酸カルシウムの結晶形態は貝の種類によつてカルサイト、アラゴナイト、もしくはその混合物などである。また、貝殻の炭酸カルシウムは天然石灰石に比べてその基本粒子径が小さく、鉄やアルミニウムなどの金属イオンの含有量が低いことも大きな特徴である。
【0003】
近年、食用貝類の水揚げ高は年ごとに増加傾向にあり、その中でもホタテ貝とカキ貝の水揚げ高は年間約50万トンにも上り、従って、廃棄される貝殻も急激に増大している。この廃棄貝殻は現状では山積みのまま放置されている例がほとんどであり、悪臭や水質汚染の原因となっている。このため、効果的な焼却処分法や資源としての有効な利用が強く望まれている。
【0004】
廃棄貝殻の用途としては、これまで養殖用の増殖礁、水質浄化剤、肥料、土壌改良剤、家畜飼料、乾燥剤、排煙脱硫材、建築壁材、ブロック材、セメント原料などへの利用が提案され、一部実施されているが、食品添加物や医薬品添加物など、より高度な利用例は少ない。その主な原因は、従来の炭酸カルシウム粉末は粒子径が大きく、しかも純度が低いことにある。従来の物理的(機械的)粉砕法によって貝殻を粉砕すると、いずれの方法でも数μm以下に粉砕することは難しいことが知られている。また、物理的粉砕方法では炭酸カルシウムの純度を高くすることは原理的に難しい。
【0005】
一方、従来、廃棄ホタテ貝殻を850℃の高温で焼成し、有機物を除去すると共にカルシウム分を酸化カルシウム(CaO)とし、この炭酸カルシウムと水からなる石灰乳液に炭酸ガスを導入して非晶質炭酸カルシウムを得る方法が報告されている(特許文献1)。また、貝殻をアルカリ水溶液中で、加圧加熱条件下に粉砕処理することによって原料貝殻に由来する形態(鱗片状や針状)を有する炭酸カルシウムを得る方法が報告されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2001−26419号公報
【特許文献2】国際公開WO2003/000592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された製造方法は、貝殻の炭酸カルシウムを酸化カルシウムに変化させた後に、再びこれを炭酸カルシウムにするので、貝殻の焼成温度が高く、エネルギー効率が低い。しかも、この炭酸カルシウム粉末は分散性が悪いうえに純度も低く96%程度であり、結晶化度も低い。また、二酸化炭素ガスの回収・吹き込みが必要であり、貝殻の炭酸イオンの利用効率を上げることが難しいなどの問題点もある。一方、特許文献2の製造方法は、貝殻のタンパク質を分解して、本来,、貝殻に存在する炭酸カルシウムの基本粒子を剥離して回収するものであるが、タンパク質が分解したアミノ酸を含んでいるために得られる炭酸カルシウムの純度が低く、しかも機械的粉砕によって貝殻由来の形態を有する粒子にするので粒径が10μm程度と比較的大きい。
【0007】
さらに、比較的低温で焼成した廃棄ホタテ貝殻を塩酸で溶解し、塩化カルシウム水溶液を得たのち、常圧下で炭酸アルカリ溶液を添加したり、二酸化炭素ガスを吹き込んだりする炭酸カルシウムの製造法が報告されているが、大量に発生する廃酸や塩水溶液の後処理が必要であり、また、炭酸アルカリや二酸化炭素ガスをおのおの必要とし、得られた炭酸カルシウムの粒子径も大きく、粒度も不均一であるなど問題が多い。
【0008】
本発明は、廃棄天然貝殻を原料として製造した炭酸カルシウム粉末について、従来の上記問題を解決したものであり、従来技術では製造できなかった高純度で均一な粒径を有する微細な分散性に優れた高結晶性の炭酸カルシウム粉末とその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の構成を有する炭酸カルシウム粉末とその製造方法に関する。
(1)焼成貝殻粉末を水中または炭酸アルカリ水溶液中で水熱処理して再析出させた高結晶性の炭酸カルシウム粉末であって、炭酸カルシウム純度95%以上であり、粒径1.5μm以下の範囲において最大分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が25%以上であることを特徴とする炭酸カルシウム粉末。
(2)炭酸カルシウム純度98%以上であって、粒径0.3μm〜1.0μmの範囲において最大分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が30%以上である上記(1)に記載する炭酸カルシウム粉末。
(3)粉末X線回折による相対回折強度において、炭酸カルシウムの最大ピーク強度が他のピーク強度の5倍以上である高結晶性を有する上記(1)または(2)に記載する炭酸カルシウム粉末。
(4)貝殻がホタテ、カキ、ホッキ、アワビ、ムラサキガイ、アサリ、ハマグリの1種または2種以上の組み合わせたものである上記(1)〜(3)の何れかに記載する炭酸カルシウム粉末。
(5)400〜650℃で焼成して有機物を除去した焼成貝殻粉末を、水中に懸濁させて水熱処理することによって炭酸カルシウムを再析出させ、純度95%以上、粒径0.3μm〜1.5μmの範囲において単一の分布ピークを有し、該分布ピークの分布頻度が25%以上の炭酸カルシウム粉末を製造することを特徴とする炭酸カルシウム粉末の製造法。
(6)上記(5)の製造方法において、貝殻の焼成温度が400℃以上または650℃以上であって、焼成貝殻粉末を炭酸アルカリ水溶液に懸濁させて水熱処理し、炭酸カルシウムを再析出させる炭酸カルシウム粉末の製造法。
(7)焼成貝殻粉末の懸濁液を密封反応容器に入れ、140〜260℃に加熱して水熱処理を行う上記(5)または(6)の何れかに記載する炭酸カルシウム粉末の製造方法。
(8)撹拝翼付きオートクレープ反応容器に、貝殻粉末量3〜35質量%の焼成貝殻粉末懸濁液を入れ、140〜260℃で、3〜72時間、水熱処理を行う上記(5)〜(7)の何れかに記載する炭酸カルシウム粉末の製造方法。
【0010】
〔発明の具体的な説明〕
本発明の炭酸カルシウム粉末は、焼成した貝殻の粉末を水中または炭酸アルカリ水溶液中で水熱処理して再析出させた高結晶性の炭酸カルシウム粉末であって、炭酸カルシウム純度95%以上、粒径1.5μm以下の範囲において最大分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が25%以上であることを特徴とするものであり、好ましくは、炭酸カルシウム純度98%以上、粒径0.3μm〜1.0μmの範囲において単一の分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が30%以上である炭酸カルシウム粉末である。
【0011】
本発明に使用される天然貝殻としては、特に限定されず、例えば、ホタテ、カキ、ホッキ、アワビ、ムラサキイガイ、アサリ、ハマグリなどの貝殻が挙げられる。これらの貝殻の付着物を除き、洗浄・乾燥したものは、一般に約5質量%のタンパク質を含み、他の成分はほとんど炭酸カルシウムである。また、これらの天然貝殻は、通常、鉄やアルミニウムなどの金属イオンを含むが、天然石灰石に比べるとその量は少ない。
【0012】
本発明の製造方法によれば、まず水洗乾燥した貝殻を焼成して、表面に付着している有機物や残留貝肉および貝殻を構成しているコラーゲンなどのタンパク質を燃焼除去する。貝殻を焼成処理することによって貝殻を粉砕しやすくなり、比表面積が増大して、後の水熱処理において反応性が高まる。焼成温度は高いほど、これら有機成分が減少するので望ましいが、完全に酸化カルシウムになるまで焼成する必要はない。およそ400℃〜650℃で1〜3時間焼成すれば良い。この程度の焼成条件で焼成すれば、貝殻の炭酸カルシウムはそのまま残り、一方、貝殻中の有機物は燃焼除去される。なお、貝殻を700℃以上の高温で焼成して得られる酸化カルシウムも、炭酸カルシウム水溶液に懸濁させて水熱処理することによって利用することができる。
【0013】
次いで、焼成貝殻を粉砕する。粉砕手段はボールミル、ロールミル、チューブミル、ジェットミルなど細かく粉砕できるものであればよい。一般に、粒子径が細かいほど後の水熱処理における反応性が高くなるので、そのほうが好ましい。また、焼成処理と粉砕処理は何れを先に行っても良く、あるいは同時に行っても良い。
【0014】
粉砕した焼成貝殻粉末を水に懸濁し、その懸濁液を水熱処理する。この場合、水の代わりに炭酸ナトリウムや炭酸カリウムのような炭酸アルカリ水溶液を用いてもよい。また、貝殻を酸化カルシウムになるまで焼成した場合は、炭酸アルカリ水溶液を用いることが必要である。
【0015】
水熱処理条件としては、密封反応容器を用いた場合には、120℃以上に加熱すればよいが、反応効率を高めるには、140℃〜260℃が良く、160℃〜200℃がより好ましい。この水熱処理では加圧操作を施す必要はなく、密封状態での加熱による自然発生圧で十分である具体的には、容器内の圧力は反応懸濁液の充填量で異なるものの、おおよそ数百キロパスカル(kPa)になるが、とくに調整する必要はない。
【0016】
水熱処理装置の材質や構造は限定されない。上記加熱温度の密封加熱に耐えられるものであればよい。なお、ステンレス製容器でも溶出金属イオンは無視しうる量であるが、食品や医薬品の添加物に利用する場合には樹脂で内張りした容器を用いることが好ましい。また、内部の反応物を水熱処理中に攪拌もしくは振とうできる掻き混ぜ手段を有する装置が反応速度を増大させる観点から好ましい。具体的には、例えば、攪拌翼付きオートクレーブ反応容器に、貝殻粉末量3〜35質量%の焼成貝殻粉末懸濁液を入れ、140〜260℃で、3〜72時間、水熱処理を行うと良い。
【0017】
焼成した貝殻粉末の懸濁液を水熱処理することによって、貝殻中の炭酸カルシウムが徐々に溶解し、懸濁液のpHが上昇するが、炭酸カルシウムがしだいに過蝕和状態になるため新たな炭酸カルシウムの核が発生し、これに溶出した炭酸カルシウムが再析出して成長する。この炭酸カルシウムの溶解・析出が水熱処理の間中繰り返され、粒子径が均一で微細な炭酸カルシウム粒子が得られる。
【0018】
また、水熱処理の際に貝殻に含まれる他の金属イオンも溶出するが、過飽和度が小さいため、析出炭酸カルシウム中に取り込まれる量は少なくなる。このため、本来少ない金属イオン量が析出した炭酸カルシウムではさらに減少して炭酸カルシウムの純度が向上する。また、この水熱処理では酸や特別な化学薬品を使用しないので、廃液の量は少なく、その後処理も必要ない。
【0019】
この水熱処理が貝殻に対して効果的であるのは、貝殻が常温・常圧下で貝の生理作用によつて形成されたものであり、石灰石などの鉱物質炭酸カルシウムよりも生成期間が格段に短く、また反応性が高いことにある。天然石灰石は地殻の続成作用をきわめて長い期間受けて結晶化が進んだ炭酸カルシウムが主成分であり、本発明のような温和な水熱処理条件では上記のような溶解・析出反応は円滑に進まない。すなわち、本発明の製造方法は、バイオミネラリゼーションにより生成した反応性の高い炭酸カルシウムであるという貝殻の特色を利用したものである。
【0020】
以上のように、本発明の製造方法では、水熱条件下で貝殻のカルシウムイオンと炭酸イオンが溶解し、その過程で新たにカルサイト型の炭酸カルシウム粒子を析出させることを特色としている。従って、貝殻に含まれているカルシウムイオンと炭酸イオンの両方をそのまま利用でき、しかも少量共存する金属イオンは溶出したまま懸濁液中に残るので、再析出した炭酸カルシウムの純度が高い。具体的には、炭酸カルシウム純度95%以上、好ましくは98%以上である。
【0021】
また、原料の貝殻粉末に含まれる炭酸カルシウムは溶出して再析出するので、原料粉末よりも格段に粒子径が小さい微細な炭酸カルシウム粉末を得ることができ、しかも、本発明の炭酸カルシウム粉末は、粒子径が均一であって、水中などに分散させたときに、凝集が極めて少なく、分散性が格段に優れる。具体的には、レーザ式粒度分布測定法において、水に分散させた本発明の炭酸カルシウム粉末は、粒径1.5μm以下の範囲において最大分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が25%以上であり、好ましくは、粒径0.3μm〜1.0μmの範囲において最大分布ピークを有し、該ピークの分布頻度が30%以上の炭酸カルシウム粉末である。
【0022】
さらに、本発明の炭酸カルシウム粉末は高い結晶性を有する。具体的には、例えば、粉末X線回折による相対回折強度において、本発明の炭酸カルシウム粉末は、炭酸カルシウムの結晶性を示す最大ピーク強度が他のピーク強度の5倍以上であり、従来の炭酸カルシウム粉末に比べて高い結晶性を有する。因みに、従来の炭酸カルシウム粉末の最大ピーク強度は他のピーク強度の2〜3倍程度であり、本発明の炭酸カルシウム粉末に比べて結晶性が格段に低い。
【0023】
また、本発明の製造方法は、貝殻に含まれる炭酸カルシウムを一段の水熱処理操作で効率よく得る再析出させることができ、従って、製造工程の管理が容易であり、しかも特別な化学薬品を必要とせず、簡便な水熱反応を用いるため廃液は少なく、その後処理が不要である。水熱反応後、ろ過もしくは遠心分離によって固体生成物を分別し、これを洗浄、乾燥等を行うことにより、微細な高純度・高分散性の炭酸カルシウムを得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る炭酸カルシウムの製造方法によれば、原料としては天然貝殻のほかに水もしくは炭酸アルカリ水溶液を用いるだけであり、特別な化学原料は一切使用せず、高純度であって粒子径が均一な微細で優れた分散性を有する炭酸カルシウム粉末を得ることができる。また、本発明の製造方法は簡便な水熱処理によって共存金属イオンの含有量を減少させることができると云う特色もある。さらに、本発明の製造方法は廃液量も少なく、特別な後処理も必要としない。
【0025】
本発明の炭酸カルシウム粉末は、このように含有金属イオンの量が少なく、粒子径が均一な微細粉末であり、水中に良く分散するので、従来は使用し難かった食品や医薬品などの添加物として利用することができる。また、従来用途である紙、プラスチック、ゴム、塗料、あるいは不織布などの無機質フイラーとしても高い性能を発揮することができる。
【0026】
また、本発明の炭酸カルシウム粉末は高純度であり、かつ結晶性が高いので、電子部品材料に用いることができる。結晶性が低いものは電子部品材料に適しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の実施例を比較例と共に示す。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
〔実施例1〕
北海道サロマ湖産の水洗乾燥したホタテ貝殻をまず約600℃で焼成し、その焼成貝殻を機械的に粉砕した(粗砕後、ジェットミル粉砕、粒子径3〜6μm)。この焼成貝殻粉末を水中に分散させ、17質量%の貝殻粉末懸濁液を調製した。これを撹拝翼付きのオートクレープ容器に入れ、160℃で48時間、密封状態で攪拌しながら水熱処理を施した。反応後に得た懸濁液を濾過して固体生成物を分別し、これをさらに洗浄して乾燥した。得られた粉末の固体生成物は、粉末X線回折測定によればカルサイト型炭酸カルシウムの単一相であった(図1)。
この炭酸カルシウム粉末について、ICP分析によって化学組成を分析したところ、表1に示すように、Ca含有量が多く、CaCO3換算で98.7%であった。また、他の金属イオンの含有量は水熱処理前の原料に比べて全て減少しており、簡便な水熱処理により純度も一段と向上することが明らかとなった。
【0029】
さらに、この炭酸カルシウム粉末について粒子径を測定したところ、水熱処理する前の原料粉末(3〜6μm)に比べて何れも小さく、走査型電子顕微鏡観察では0.4〜0.8μmであった(図2)。また、レーザ式粒度分布測定法では、水熱反応時間によって粒度分布頻度が異なり、反応時間と共に粒子径は小さくなり、粒度分布は狭くなることがわかった(図3)。具体的には、(イ)水熱反応12時間の粉末は0.6〜0.9μmの粒径範囲に分布頻度のピークを有し、そのピーク高さは30%以上であり、(ロ)水熱反応24時間の粉末は0.4〜0.8μmの粒径範囲に分布頻度のピークを有し、そのピーク高さは30%以上であり、(ハ)水熱反応48時間の粉末は0.4〜0.6μmの粒径範囲に分布頻度のピークを有し、そのピーク高さは45%以上であった。
【0030】
〔実施例2〕
北海道サロマ湖産の水洗乾燥ホッキ貝殻をまず約900℃で焼成し、その焼成貝殻を機械的に粉砕した(粗砕後、ジェットミル粉砕、粒子径3〜6μm)。得られた粉砕物を0.5mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液に分散させ、35質量%の貝殻懸濁液を調製した。これを実施例1で用いたオートクレープ容器に入れ、180℃で48時間、密閉状態で撹拝しながら水熱処理を行った。反応後に得られる懸濁液をろ過して固体生成物を分別し、これをさらに洗浄したのち、乾燥した。
得られた粉末の固体生成物は、粉末X線回折測定によれば図1と同じカルサイト型の
炭酸カルシウムであり、走査型電子顕微鏡観察による粒子径は0.6〜0.8μmであった。レーザ式粒度分布測定法による粒子径は実施例1のものとほぼ同様であった。また、ICP分析による化学組成分析の結果は表1とほぼ同じであった。
【0031】
【表1】


【0032】
〔比較試験〕
実施例1と同様にして本発明の炭酸カルシウム粉末を製造し、この結晶性を粉末X線回折によって調べた。一方、ホタテ貝殻を原料とし、従来の常温・常圧合成法によって比較試料の炭酸カルシウム粉末を製造した。この比較試料の結晶性を粉末X線回折によって調べた。これらの粉末X線回折図を図4に示した。図示するように、本発明の炭酸カルシウム粉末は、炭酸カルシウムの最大回折ピーク強度(30°付近)が他の回折ピーク強度の5倍以上であり、高い結晶性を有する。一方、比較試料の炭酸カルシウムの最大回折ピーク強度(30°付近)は他の回折ピーク強度の2〜3倍程度であり、本発明の炭酸カルシウムに比べて結晶性が格段に低い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明実施例1の炭酸カルシウムの粉末X線回折図である。
【図2】本発明実施例1の炭酸カルシウムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明実施例1の炭酸カルシウムの粒度分布図である。
【図4】本発明の炭酸カルシウムと従来の炭酸カルシウムの粉末X線回折図である。




 

 


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