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発明の名称 イネの農業化学処理方法及び該処理を施された種もみ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−23048(P2007−23048A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2006−247754(P2006−247754)
出願日 平成18年9月13日(2006.9.13)
代理人 【識別番号】100062007
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 義雄
発明者 フランソワ・コリオ / キン−スー・フアン / ジル・ミユサール / マイケル・ピラート
要約 課題
播種後に植物を持続的に且つ有効に保護するためにイネまたはイネ繁殖体を害虫に対して処理する方法を提供する。

解決手段
イネまたはそれらの繁殖体に、長期持続作用を有し得る、即ち発芽後の生長期植物にも存続し得る浸透性を有する、有機リン殺虫剤以外の殺虫剤を有効量施用することを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
イネまたはイネ繁殖体を播種後に持続的に且つ有効に保護するために害虫に対して処理する方法であって、前記イネまたはそれらの繁殖体に、長期持続作用を有し得る、即ち発芽後の生長期植物にも存続し得る浸透性を有する、有機リン殺虫剤以外の殺虫剤を有効量施用することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記植物の繁殖体を前記殺虫剤を使用し、該繁殖体が該殺虫剤をその内部に含むように処理することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
種もみを処理することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
播種後1ケ月間、好ましくは2ケ月間、前記種もみに他の対害虫処理を実施しないことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記種もみの処理を、下記式(I)の殺虫剤を用いて実施することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
1−[フェニル(X)]−3−シアノ−4−[R−S(O)]−5−R−ピラゾール (I)
〔式中、Xは、ハロゲン原子、または、1〜4個の炭素原子を含むと共に必要によっては1つまたは複数のハロゲン原子、特にフッ素、塩素もしくは臭素で置換されている、フェニル環の4位にあるアルキルもしくはアルコキシ基(以降はこれをハロアルキル及びハロアルコキシと略記する)を表わし、
は、1〜4個の炭素原子を含むと共に必要によっては1つまたは複数のハロゲン原子、特にフッ素、塩素もしくは臭素で置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を表わし、
は、
・水素、
・ハロゲン原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキルもしくはハロアルキル基、
・2〜5個の炭素原子を有し、メチレン基が未置換でも1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい直鎖または分枝鎖アルコキシメチレンアミノ基、
・基R−S(O)(ここで、RはRのいずれかの意味を有する)、
・アミノ基、または
・アミノ基−NR(ここでR及びRは同一でも異なってもよく、水素原子、最高5個の炭素原子を含むアルキル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アルカノイル、ハロアルカノイル、アルコキシカルボニルもしくはハロアルコキシカルボニル基、またはホルミル基であるか、或いはR及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5−もしくは6員環イミドを形成する)
であり、
nは、整数0、1または2を表わし、
pは、整数1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、より好ましくは3を表わす〕
【請求項6】
前記種もみの処理を、
Xが、フェニル環の2もしくは6位にあるハロゲン原子またはフェニル環の4位にあるハロアルキルもしくはハロアルコキシ基を表わし、
が、アルキルまたはハロアルキル基を表わし、
が、水素もしくはハロゲン原子またはアミノ基を表わす
式(I)の殺虫剤を用いて実施することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記種もみの処理を、式(I)の生成物が1−[2,6−ジクロロ−4−CFフェニル]−3−シアノ−4−CFS(O)−5−NHピラゾールである式(I)の殺虫剤を用いて実施することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
イネ繁殖体及びそこから生じる苗に、害虫の攻撃に対する予防及び必要によっては治療処理を行なう方法であって、イネ繁殖体(その表面または内部)に、請求項5から7のいずれか一項に記載の記載の殺虫有効成分を施用することからなる方法。
【請求項9】
イネ繁殖体及びそこから生じる苗に、害虫の攻撃に対する予防及び必要によっては治療処理を行なう方法であって、イネ繁殖体(その表面または内部)に、有効成分としての請求項1から5のいずれか一項に記載の記載の殺虫剤と、農業上容認可能なビヒクルと、必要によっては農業上容認可能な界面活性剤とを含む殺虫剤組成物を施用することからなる方法。
【請求項10】
殺虫有効成分を含む水性製剤中に浸漬するかまたは前記水性製剤を含浸させることからなる群から選択される作業を実施することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項11】
米粒または種もみを作物に被害を与える害虫から長期間保護し、且つ前記米粒または種もみを、それらが生み出す植物に長期持続性保護を与え得るようにする方法であって、前記米粒を請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を使用して処理することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記種もみを、処理すべき種もみの重量の15〜300%、好ましくは20〜30%の量の、殺虫有効成分を含む水性製剤と接触させることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記米粒中に取り込まれる殺虫有効成分の量が、3〜100g/q、好ましくは6〜25g/qであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記種もみが、それと接触させた水性殺虫製剤の90〜100%、好ましくは95〜100%を吸収することを特徴とする、米粒、特に多量の米粒を処理するための請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記製剤が、100pm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下の水溶度を有する有効成分を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の種もみの処理に使用される水性製剤。
【請求項16】
前記殺虫剤が懸濁液であることを特徴とする請求項15に記載の水性製剤。
【請求項17】
それ自体が浸透性殺虫剤の飽和溶液からなる少なくとも1つの液相を含む水溶液からなり、更に、浸透剤、即ち浸透性を有する殺虫剤の米粒への浸透を促進する他の成分をも含み得ることを特徴とする請求項15または16に記載の水性製剤。
【請求項18】
殺虫有効成分と、農業上容認可能なビヒクルと、必要によっては農業上容認可能な界面活性剤とを含むことを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項19】
請求項1から14のいずれか一項に記載の殺虫剤が含浸された種もみ。
【請求項20】
請求項15から18のいずれか一項に記載の水性製剤が湿潤及び含浸された、並びに/または前記水性製剤中に浸漬された種もみ。
【請求項21】
請求項15から18のいずれか一項に記載の水性製剤に浸漬された及び/または該水性製剤が含浸された、必要によっては袋詰めされている米粒群。
【請求項22】
前記種もみが、既に発芽しているか及び/または既に最初の幼根を有する穀粒の形態であることを特徴とする請求項19から21のいずれか一項に記載の米粒群。
【請求項23】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を使用して処理されていることを特徴とする長期間処理された米粒群。
【請求項24】
請求項15から18のいずれか一項に記載の製剤によって飽和されている、請求項19から23のいずれか一項に記載の米粒もしくは種もみ群。
【請求項25】
3〜100g/q、好ましくは6〜25g/qの殺虫有効成分を含むことを特徴とする請求項19から24のいずれか一項に記載の米粒もしくは種もみ群。
【請求項26】
米粒の生長基質と、請求項15から18のいずれか一項に記載の製剤とを含む育苗箱。
【請求項27】
10〜300kg/ha、好ましくは20〜200kg/haの播種に相当する量の種子を含むことを特徴とする請求項26に記載の育苗箱。
【請求項28】
1/300〜1/100ha、好ましくは1/200haの処理に相当することを特徴とする請求項26に記載の育苗箱。
【請求項29】
種もみを請求項19から25のいずれか一項に従って播種するイネ育成方法。
【請求項30】
発芽後1ケ月間、好ましくは発芽後2ケ月間、(種もみまたはそれから生じた植物のいずれにも)他の対害虫処理をせず(即ち他の殺虫剤処理をせず),より好ましくは播種後2ケ月以上他の殺虫剤処理をしないことを特徴とする請求項29に記載のイネ育成方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機リン殺虫剤以外の殺虫性生成物を使用してイネ(rice crops)を処理する新規の方法、特に、茎せん孔性害虫(ラテン語でChilo spp.)及びウンカ(plant hoppers)(ラテン語でNilparvata lugens)と称される寄生虫や、ゾウムシ(ラテン語でLissorhoptrus oryzophilus)のような他の寄生虫に対してイネを処理する新規の方法に係わる。有利なことに、特に線虫Aphelencoides besseyi及びイネハモグリバエ(mining fly)Hydrellia philippinaといった他の寄生虫も本発明の方法によって駆除される。
【背景技術】
【0002】
イネは、多数の病害及び特に上述のごとき虫害によって攻撃される。水稲の場合、使用し得る処理生成物が水田の水を汚染し易いことから、かかる害虫を駆除するには極めて独特の問題がある。研究は、イネを寄生虫に対して有効に且つ強硬に処理すると同時に、水汚染をほぼ最少限に減らすことを目指して行われている。これら2つの要求は相互に対立するため、かかる問題を解決する上での困難は特に大きい。汚染を少なくするために処理回数を減らせば保護品質は低下し、保護品質を向上するために処理回数を増やせば汚染も増大する。このように、唯一可能な解決策が相互に対立するが故に、上記問題に対する明らかな解決策はない。
【0003】
水汚染を回避する問題は、稲作の場合では、益虫または水生動物を含む有益及び有利な種々の種を稲作用水が含んでいることから、それだけ困難となる。これらの有益種に害を与えることなく、有害種を撲滅することが必要である。
【0004】
市販されていたり文献に記載されている殺虫剤は多数あるが、上述の問題に対する満足の行く解決策は実質的にない。
【発明の開示】
【0005】
上述の問題の全部または一部を解決し得る、潅漑米作法に従うイネ苗を育成する新規の方法が見い出された。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、播種後に植物を持続的に且つ有効に保護するためにイネまたはイネ繁殖体(rice propagation materialまたはproduct)を害虫に対して処理する方法であって、前記イネまたは好ましくはその繁殖体に、長期持続作用を有し得る、即ち発芽後の生長期植物にも存続し得る浸透性を有する、有機リン殺虫剤以外の殺虫剤を有効量施用することを特徴とする方法に係わる。使用する繁殖物質は種もみ、即ち米粒であるのがより好ましい。使用する殺虫性物質は後述するものであるのが有利である。
【0007】
本発明の別の態様によれば、本発明は、イネまたはイネ繁殖体を害虫に対して処理する方法であって、播種後1ケ月間、好ましくは2ケ月間、イネに他の対害虫処理を実施しないことを特徴とする方法に係わる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、本発明は、イネ繁殖体及びそこから生じる苗に、害虫の攻撃に対する予防及び必要によっては治療処理を行なう方法であって、イネ繁殖体(その表面または内部)に、長期持続作用を有し得る浸透性の殺虫剤有効成分を施用することからなる方法に係わる。使用する殺虫性物質は後述するものであるのが好ましい。
【0009】
本発明の別の態様によれば、本発明は、イネ繁殖体及びそこから生じる苗に、害虫の攻撃に対する予防及び必要によっては治療処理を行なう方法であって、イネ繁殖体(その表面または内部)に、有効成分として上述のごとき殺虫剤と、農業上容認可能なビヒクルと、必要によっては農業上容認可能な界面活性剤とを含む殺虫剤組成物を施用することからなる方法に係わる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、本発明は、長期持続作用を有し得る(即ち発芽後の生長期植物にも存続し得る)浸透性の殺虫剤を有効量その内部に含む種もみを播種する稲作方法に係わる。本発明のこの態様によれば、イネを水田に直接播種することができるが、育苗箱内に播種してもよい。かかる育苗箱は小さな箱であり、種もみまたは繁殖体の発芽を制御したり、このように得られた幼若な種もみを、移植するまでの生長早期の間育成するために使用される。
【0011】
別の態様によれば、本発明は、米粒または種もみを作物に被害を与える害虫から長期間保護し、且つ米粒または種もみを、それらが生み出す植物に長期持続性保護を与え得るようにする方法であって、前述の殺虫剤を含む水性製剤中に米粒等を浸漬(immerse,bathe,soakまたはsteep)するかまたは米粒等に水性製剤を含浸(inpregnate,wet)させることを特徴とする方法に係わる。
【0012】
上述の種々の態様において、本発明の保護に必要な有効成分の有効量は、一般に3〜200g/q(イネ繁殖体1クウィンタル(quintal)当たり、好ましくは種もみ1クウィンタル当たりの有効成分のg数。種もみの重量は浸潤及び/または含浸前に測定したもの)、好ましくは3〜100g/q、より好ましくは6〜25g/qであるが、かかる値は、種もみの内部または表面に有効に付着した有効成分の量を表わす。
【0013】
本発明は更に、長期持続作用を有し得る浸透性の殺虫剤が含浸された種もみに係わる。
【0014】
本発明は更に、長期持続作用を有し得る、即ち発芽後の生長期植物にも存続し得る浸透性の殺虫剤を含む水性製剤が浸潤または含浸された及び/または前記水性製剤中に浸漬された種もみに係わる。
【0015】
種もみを含浸するための上記水性製剤は、特性がかなり多様となり得るが、実際には、上述のごとく、要求される有効量の有効成分が種もみ中に取り込まれることを保証し得るよう規定される。本発明に使用される製剤は、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、サスポエマルジョン(suspoemulsion)など、種々のタイプのものとし得る。本発明に使用される製剤は、必須成分として、有効成分と水とを含む。必要によってはこれらに加えて、農業化学製剤に使用される他の常用成分、例えば欧州特許出願第295,117号に記載のものを含むことができる。しかしながら、上記欧州特許出願に記載の組成物のなかで、種もみ含浸により適しているものを選択することが好ましい。例えば、浸透剤を使用することは、殺虫有効成分の前記種もみ中への浸透を促進するのに特に適当となり得る。本発明に使用される水性製剤は別の非水性液相を含むこともできる。
【0016】
一般に実用化される本発明の第1の実施態様によれば、本発明に使用される水性製剤は、例えば溶液、懸濁液、乳化可能な濃厚液、エマルジョン、サスポエマルジョン、ゲル、粘性液体、湿潤性粉末、分散性顆粒など、それ自体は公知の任意のタイプのものである濃縮製剤を水で希釈することにより得られる。本発明に使用される希釈製剤は、種もみが吸収した有効成分の量に対して後述する値、及び種もみが吸収したかまたは吸収し得る水性製剤の量によって決定される有効成分含有量を有する。この濃度または希釈度は、所望の含浸速度に従って、また許容される流出量(即ち種もみよって吸収されなかった製剤の量)に従って(流出量がゼロであるのが好ましいことは後で判る)、広い範囲で変化し得る。
【0017】
本発明の特定の変形態様によれば、上述の水性製剤は更に、その上または中で種もみが発芽し、更に苗が生長し得る、有意な量の土壌、配合土または基質/ビヒクルを含む。本発明のこの態様によって、米粒の発芽及びその生長のための育苗箱(nursery box)を作製することができる。この場合、本発明において水性製剤とされている製剤は、殺虫有効成分を含む水を極めて高い含有率で含む育成土壌またはビヒクルである。この土壌は、特に欧州特許出願第295,117号に記載のごとき標準土壌処理に従って容易に製造され得るような、単なる殺虫剤で処理された土壌ではなく、害虫駆除が土壌またはビヒクルに作用するだけでなく、種もみの発芽及び生長から生じたイネにも作用する程度に高い量の上述の殺虫有効成分で、土壌と接触している種もみが含浸されるのに十分な水及び殺虫剤を含む土壌またはビヒクルであることは全く明らかである。
【0018】
本発明は更に、
・生長基質(この基質は一般に、天然または再構成土壌または配合土からなり、通常はクレー、砂、結合剤及び肥料を含む);
・種もみ;
・上述の殺虫有効成分を有効含有量含む種もみを生成するのに十分な量の水及び殺虫有効成分
とを含む育苗箱に適用される。後者の成分(水+有効成分)は、表現を変えれば、本明細書に記載の水性製剤である。
【0019】
育苗箱の大きさは通常は、耕作地1ヘクタール当たり100〜300箱、好ましくは200箱に相当するよう選択される。かかる箱は、10〜300kg/ha、好ましくは20〜200kg/haの播種に相当する量の種もみを含む。
【0020】
本発明においては、任意のタイプの水性製剤及び種々の特性の浸透性殺虫有効成分を使用することができるが、水にほとんど溶解しない、例えば水溶度が100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下の有効成分(及びそれを含む製剤)を使用することが好ましい。先に挙げた溶解度は、種々の可溶化剤または界面活性剤の作用下に起こり得る可溶化を考慮しない場合の、温度20〜30℃における有効成分の固有溶解度である。低溶解度の殺虫有効成分を使用する本発明の処理の利点は、処理の有効性がより一貫しており(特に播種後に有効成分が、雨水または潅漑水によって種もみまたは苗から流出されない)、且つより持続性がある(主に同じ理由により、即ち殺虫有効成分が拡散しないで種もみ内またはその近辺でより一貫した作用を与える)ことである。この殺虫有効成分が比較的不溶性なことから、殺虫有効成分が含浸された種もみを生成する本発明の処理は比較的長時間(例えば1日以上、実際は2日以上)を要したり(その処理は、個々の活性成分の種もみへの親和性に応じて10分〜1日の間、またはそれより長い間続けられる)、適量の有効成分が処理すべき種もみの近辺に残留する限りは、種もみ処理に使用される水性製剤の特性は(その特性及び含有量において)広範囲に変化し得ることになる。
【0021】
殺虫有効成分は水に難溶性であるが、本発明の種もみ処理用製剤は、極めて低い一定量の有効成分を溶液状態で含む。これが米粒に吸収されると、殺虫剤の非可溶化部分が再溶解する。即ち、相互平衡によって、当初は溶液状態でなかった殺虫剤が水相中に移行し、更に米粒内に移行し得る。逐次放出に相当するこの態様で、殺虫剤を含む米粒が、不溶性殺虫剤を含む溶液からでも懸濁液または他の製剤からでも得ることができる。
【0022】
上述の水性製剤は、それ自体が浸透性殺虫剤の飽和溶液からなる少なくとも1つの液相を含む水溶液で構成されているのが好ましく、更にこの水溶液は、浸透剤、即ち浸透性を有する殺虫剤の米粒への浸透を促進する物質のような他の成分を含み得る。
【0023】
本発明は更に、上述のごとき水性殺虫性製剤中に並べて浸漬された、及び/または該製剤が含浸された米粒群にも係わる。即ち、本発明は更に、上述のごとき水性殺虫性製剤中に浸漬されたまたは該製剤が含浸された(特に育苗箱入りまたは袋詰めの形態の)米粒群に係わる。処理すべき種もみの量及び吸収時間に対する水溶液の量及びその濃度が適正化されると、米粒を水性製剤中に、かかる米粒が全ての水性製剤の90〜100%、好ましくは95〜100%を吸収するまで浸漬することができる。本発明の方法のこの変形態様は、廃棄すべき製剤が残らないので特に有利である。実際、製剤の一部が種もみと接触したが種もみによって吸収されなかったとしても、それを再使用することはできず、廃棄せねばならない。本発明のこの変形態様は、汚染を抑制することに多いに貢献する。
【0024】
本発明は更に、種もみが既に発芽した米粒の形態である米粒群に係わる。即ち本発明は、米粒が既に最初の幼根を有し、同時に式(I)の殺虫剤を含む上述のごとき水性製剤中に浸漬された、または該製剤が含浸されている米粒群に係わる。
【0025】
本発明は更に、米粒または種もみを作物に被害を与える害虫から長期間にわたり保護し、且つ米粒または種もみを、それらが生み出す植物に長期持続性保護を与え得るようにする方法であって、米粒が、式(I)の殺虫剤を含む上述の水性製剤中に浸漬されたかまたは該製剤が含浸されていることを特徴とする方法に係わる。
【0026】
上述のごときイネ繁殖体、好ましくは種もみを処理する種々の方法において、処理すべき種もみ(またはイネ繁殖体)に直接接触させる水性製剤の量は、通常は処理すべき種もみの重量の15〜300%、好ましくは20〜200%である。先の範囲外の値は、大きくても小さくても使用することはできるが、実質的な利点も特別の利点もない。特定の実施態様によれば、使用する製剤の量は、米粒群が吸収し得る水性製剤の最大量に等しい。この最大量は種々の要因に応じて、特に温度及び処理される特定の種もみの特性または種類に応じて変化し得る。この量は、前記種もみの重量の約25〜100%であることが多い。
【0027】
更に別の態様によれば、本発明は、浸透性であり且つ長期持続作用を有する殺虫剤を含む水性液を前以て浸潤または含浸させたイネ繁殖体(または天然または人工種もみ)を使用することからなる、イネ(または種もみもしくはイネ繁殖体)を繁殖させる方法に係わる。
【0028】
既に提案したようなまたはこれから提案するような本発明の種々の態様〔即ち、イネ繁殖体、処理後の米粒、処理後に発芽した米粒、浸漬した米粒群、種もみ処理方法、治療または予防処理方法、イネ育成方法、イネ繁殖方法、及び本発明の目的に適した殺虫剤製剤〕は、下記式(I)のピラゾールである適当な浸透性を有する殺虫剤を有効量用いて実施される:
1−[フェニル(X)]−3−シアノ−4−[R−S(O)]−5−R−ピラゾール (I)
〔式中、Xは、ハロゲン原子、または、1〜4個の炭素原子を含むと共に必要によっては1つまたは複数のハロゲン原子、特にフッ素、塩素もしくは臭素で置換された、フェニル環の4位にあるアルキルもしくはアルコキシ基(以降はこれをハロアルキル及びハロアルコキシと略記する)を表わし、
は、1〜4個の炭素原子を含むと共に必要によっては1つまたは複数のハロゲン原子、特にフッ素、塩素もしくは臭素で置換されたアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を表わし、
は、
・水素原子、
・ハロゲン原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキルもしくはハロアルキル基、
・2〜5個の炭素原子を有し、メチレン基が未置換であっても1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい直鎖または分枝鎖アルコキシメチレンアミノ基、
・基R−S(O)(ここで、RはRのいずれかの意味を有する)、
・アミノ基、または
・アミノ基−NR(ここでR及びRは同一でも異なってもよく、水素原子、最高5個の炭素原子を含むアルキル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アルカノイル、ハロアルカノイル、アルコキシカルボニルもしくはハロアルコキシカルボニル基、またはホルミル基であるか、或いはR及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5−もしくは6員環イミドを形成する)
であり、
nは、整数0、1または2を表わし、
pは、整数1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、より好ましくは3を表わす〕。
【0029】
置換基は以下の意味を有するのが好ましい:
Xは、フェニル環の2もしくは6位にあるハロゲン原子またはフェニル環の4位にあるハロアルキルもしくはハロアルコキシ基を表わし、
は、アルキルまたはハロアルキル基を表わし、
は、水素もしくはハロゲン原子またはアミノ基を表わす。
【0030】
式(I)の生成物は、
1−[2,6−ジクロロ−4−CFフェニル]−3−シアノ−4−CFS(O)−5−NHピラゾール
であるのがより好ましい。
【0031】
本発明は更に、(種もみを被覆しているだけではなく)種もみに浸潤または含浸している、好ましくは種もみを飽和している状態の式(I)の有効成分を含む米粒、即ち種もみにも係わる。
【0032】
本発明の変形態様によれば、米粒は、有効成分が含浸された乾燥粒である。本発明の別の変形態様によれば、米粒は、式(I)の有効成分を含む溶液または懸濁液中に浸漬された、好ましくはそれで飽和された湿潤粒、場合によっては浸潤粒である。
【0033】
本発明は更に、有効量の式(I)の生成物を含む組成物で処理された種もみを播種する、イネを育成する方法であって、発芽後1ケ月間、好ましくは発芽後2ケ月間は(種もみまたはそれから生じる植物のいずれにも)他の対害虫処理はしない(即ち他の殺虫剤処理をしない)方法に係わる。本発明の方法の有効性は、ほとんどの場合、播種後2ケ月以上別の殺虫処理を必要としないほど十分であることが理解される。
【0034】
上述の殺虫剤を用いて種もみ処理を実施する原理自体は、種もみを処理するためのみ公知であって、播種後に植物を持続的に且つ有効に保護する手段としてはそうではなかった。
【0035】
本発明は更に、イネ繁殖体及びそれから生じる苗に、害虫攻撃に対する予防及び必要によっては治療処理を行なう方法であって、イネ繁殖体、好ましくは種もみ(その表面及び内部)に、有効成分1−[2,6−ジクロロ−4−CFフェニル]−3−シアノ−4−CFSO−5−NHピラゾールと、農業上容認可能なビヒクルと、必要によっては農業上容認可能な界面活性剤とを含む殺虫剤組成物を施用することからなる方法にも係わる。
【0036】
更に別の態様によれば、本発明は、イネ(またはその種もみもしくはイネ繁殖体)の繁殖方法であって、有効成分1−[2,6−ジクロロ−4−CFフェニル]−3−シアノ−4−CFSO−5−NHピラゾールを用いて前以て処理したイネ繁殖体(または種もみ)を使用することからなる方法にも係わる。この有効成分は、実際は、期待される結果を生むのに有効な量である。前記有効成分を使用する処理は、イネ繁殖体の表面または内部に、有効成分1−[2,6−ジクロロ−4−CFフェニル]−3−シアノ−4−CFSO−5−NHピラゾールと、農業上容認可能なビヒクルと、必要によっては農業上容認可能な界面活性剤とを含む殺虫剤組成物を施用することからなる。
【0037】
非限定的な以下の実施例によって本発明を説明し、本発明がどのように使用され得るかを示す。
【実施例】
【0038】
実施例1及び2
500g/lの1−[2,6−ジクロロ−4−CFフェニル]−3−シアノ−4−CFSO−5−NHピラゾールを含む濃縮組成物を水で希釈することにより得た水性製剤を使用し、種もみを処理した。2つの実施例は、寄生虫発生の程度及び特性だけが異なった。
【0039】
種もみを100リットルの水性殺虫剤組成物中に24時間、組成物が種もみの内部及び表面に完全に吸収されるまで浸漬した。濃縮製剤を希釈するために加えた水の量は、下記の表に示した種もみによって吸収された有効成分の量から推定した。
【0040】
種もみを発芽させ、通常条件下で収穫まで生長させた。種々の生長段階で、植物及び寄生虫に関する測定を実施した。株は、通常は20〜50の分げつ(rice stem)を含む。
【0041】
以下の結果が認められた。
【0042】
略語DASは“播種後(days after sowing)”を意味する。
【0043】
実施例1の結果
【0044】
【表1】


発生線虫はAphelencoides besseyi種であった。
【0045】
実施例2の結果
【0046】
【表2】


イネハモグリバエはHydrellia philippinaであった。
【0047】
上記表は、本発明の適用の結果が総じて優れていることを示している。




 

 


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