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発明の名称 ダニ抗原含有組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−60918(P2007−60918A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−247688(P2005−247688)
出願日 平成17年8月29日(2005.8.29)
代理人 【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
発明者 高橋 尚士 / 山本 美奈 / 厳原 美穂 / 有村 昭典 / 高木 滋樹
要約 課題
病理学的にヒトのアトピー性皮膚炎に類似した病状を呈する適切なアトピー性皮膚炎動物モデルを提供すること、および再現性、容易性、コスト性、発症率などの点に優れた、該アトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法を提供すること。

解決手段
ダニ抗原および軟膏基剤を含有してなるダニ抗原含有組成物、該ダニ抗原含有組成物をヒトを除く哺乳動物に連続的に投与してアトピー性皮膚炎を発症させることを特徴とするアトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法、ならびに、該方法により作製されたアトピー性皮膚炎動物モデル。
特許請求の範囲
【請求項1】
ダニ抗原および軟膏基剤を含有してなる、ダニ抗原含有組成物。
【請求項2】
アトピー性皮膚炎動物モデル作製用である、請求項1記載のダニ抗原含有組成物。
【請求項3】
前記ダニ抗原がヒョウヒダニ抗原である、請求項1または2記載のダニ抗原含有組成物。
【請求項4】
前記軟膏基剤がワセリンである、請求項1〜3いずれか記載のダニ抗原含有組成物。
【請求項5】
前記ワセリンが親水ワセリンである、請求項4記載のダニ抗原含有組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載のダニ抗原含有組成物を、ヒトを除く哺乳動物に連続的に投与してアトピー性皮膚炎を発症させることを特徴とする、アトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法。
【請求項7】
ダニ抗原含有組成物を投与する前に、ヒトを除く哺乳動物にドデシル硫酸ナトリウムを投与することを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
ヒトを除く哺乳動物がNC/Ngaマウスである、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
請求項6〜8いずれか記載の方法により作製されたアトピー性皮膚炎動物モデル。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダニ抗原含有組成物、該ダニ抗原含有組成物を用いたアトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法、および該作製方法により作製されたアトピー性皮膚炎動物モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アトピー性皮膚炎の患者は急増していると言われている。これらの原因としては、食生活の変化、ストレス、生活環境の悪化等が推定されている。また、ダニ、黄色ブドウ球菌、カビ等がアトピー性皮膚炎の発症因子および悪化因子の一例であることが検証されつつある。このようにアトピー性皮膚炎は様々な原因で発症、悪化していると考えられているが、未だその原因や病態に関しては不明な点も多い。そのため、アトピー性皮膚炎の病態の解明、適切なアトピー性皮膚炎治療薬の開発、評価のために、適切なアトピー性皮膚炎動物モデルが望まれている。
【0003】
現在知られているアトピー性皮膚炎動物モデルとして、例えば、特許文献1には、へアレスマウスの背部に、2,4,6−トリニトロ−1−クロロベンゼンを連続的に投与し、ドライスキンを起させたことを特徴とする、アトピー性皮膚炎動物モデルが開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、NC/Ngaマウスの背部に、コナヒョウヒダニ精製抗原を含む水溶液を連続的に投与し、アトピー性皮膚炎を起させた動物モデルが報告されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−166568号公報
【非特許文献1】アレルギー50(12)1152−162(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記のような、例えば2,4,6−トリニトロ−1−クロロベンゼンを用いて作製したアトピー性皮膚炎動物モデルにおいては、該化合物が日常生活では存在しない物質であるため、ヒトが実際に患うアトピー性皮膚炎の原因、悪化因子とは考えられず、そのため、該動物モデルのアトピー性皮膚炎の病態がヒトのものに類似したものであるかどうかは不明であるという欠点があった。
【0007】
また、例えば、コナヒョウヒダニ精製抗原を含む水溶液を用いたアトピー性皮膚炎動物モデルにおいては、アトピー性皮膚炎の発症率が低く、また、再現性、容易性、手間、コスト性等において欠点があった。
【0008】
本発明は、前述のような状況を鑑みてなされたものであり、従って、本発明は、病理学的にヒトのアトピー性皮膚炎に類似した病状を呈する適切なアトピー性皮膚炎動物モデルを提供することを目的とする。また、再現性、容易性、コスト性、発症率などの点に優れた、該アトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を繰り返したところ、NC/Ngaマウスの皮膚に、親水ワセリンとコナヒョウヒダニ精製抗原を混合した軟膏を塗布することにより、高い発症率で、病理学的にヒトのアトピー性皮膚炎に酷似したアトピー性皮膚炎動物モデルを得ることができることを発見した。
【0010】
即ち、本発明は、
[1] ダニ抗原および軟膏基剤を含有してなる、ダニ抗原含有組成物;
[2]アトピー性皮膚炎動物モデル作製用である、[1]記載のダニ抗原含有組成物;
[3] 前記ダニ抗原がヒョウヒダニ抗原である、[1]または[2]記載のダニ抗原含有組成物;
[4] 前記軟膏基剤がワセリンである、[1]〜[3]いずれか記載のダニ抗原含有組成物;
[5] 前記ワセリンが親水ワセリンである、[4]記載のダニ抗原含有組成物;
[6] [1]〜[5]いずれか記載のダニ抗原含有組成物を、ヒトを除く哺乳動物に連続的に投与してアトピー性皮膚炎を発症させることを特徴とする、アトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法;
[7] ダニ抗原含有組成物を投与する前に、ヒトを除く哺乳動物にドデシル硫酸ナトリウムを投与することを特徴とする、[6]記載の方法;
[8] ヒトを除く哺乳動物がNC/Ngaマウスである、[6]または[7]記載の方法;ならびに
[9] [6]〜[8]いずれか記載の方法により作製されたアトピー性皮膚炎動物モデル
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、病理学的にヒトのアトピー性皮膚炎に類似したアトピー性皮膚炎動物モデルを提供することができる。また、再現性、容易性、コスト性、発症率などの点に優れた、該アトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のダニ抗原含有組成物は、ダニ抗原および軟膏基剤、好ましくはワセリンを含有してなることを1つの大きな特徴とする。
【0013】
本発明のダニ抗原含有組成物は軟膏基剤、好ましくはワセリンを含有することから、該組成物は軟膏状となる。本発明のアトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法(以下、単に本発明の作製方法と称する場合がある)においては、このような軟膏状のダニ抗原含有組成物をアレルギー誘発物質として、動物、例えばマウスの背部等に塗布する。そのため、従来の液状のダニ抗原含有水溶液を使用する方法では塗布時、塗布後のダニ抗原のロスが大きかったのに対して、本発明においてはダニ抗原を、少ないロスで、長期にわたって安定してマウスの背部等に付着させることができることから、マウスをより高率で発症させることができるという優れた効果を奏すると考えられる。
【0014】
また、本発明の作製方法は、軟膏状のダニ抗原含有組成物を使用することによって、従来の液状のものを使用するよりも容易にマウスの皮膚に塗布することができることから、容易性に優れ、また、決まった量を設定して塗布することができるため、再現性に優れる。また、液状のものよりもダニ抗原のロスが少ないために、コスト性も高い。
【0015】
また、本発明においては、アレルギー誘発物質として、ヒトのアトピー性皮膚炎の誘発因子の1つであると言われているダニ抗原を使用するため、ヒトのアトピー性皮膚炎に類似した病状を呈する、適切なアトピー性皮膚炎動物モデルを提供することができるという優れた効果も奏する。
【0016】
本発明において、アトピー性皮膚炎動物モデルとして使用される動物としては、ヒトを除く哺乳動物であり、好ましくはマウスであり、より好ましくはNC/Ngaマウスである。NC/Ngaマウスは、アトピー性皮膚炎動物モデルとして従来使用されているものを使用すればよく、例えば、日本チャールスリバー(株)等の実験動物販売会社から入手可能である。なお、本発明で使用されるNC/Ngaマウスの週齢については、5週齢以降が好ましく、8週齢以降がより好ましい。
【0017】
本発明において使用されるダニ抗原としては、ヒョウヒダニ抗原が好ましい。該ヒョウヒダニ抗原としては、例えば、コナヒョウヒダニ虫体精製抗原、コナヒョウヒダニ排泄物由来抗原、ヤケヒョウヒダニ虫体精製抗原、ヤケヒョウヒダニ排泄物由来抗原等が挙げられ、これらの中では、コナヒョウヒダニ虫体精製抗原およびコナヒョウヒダニ排泄物由来抗原が好ましい。コナヒョウヒダニ虫体精製抗原およびコナヒョウヒダニ排泄物由来抗原は、例えば、ササら(Sasa,M.et al.,Jpn.J.Exp.Med.,40:p367-382,1970)の方法により調製することができる。
【0018】
本発明における軟膏基剤としては、軟膏状を呈することができるものであれば特に限定されないが、皮膚に対して薬理学的な影響をほとんど及ぼさない、塗布しやすく長期にわたって皮膚に付着しやすい等の観点から、ワセリンが好ましい。ワセリンとしては、白色ワセリンや黄色ワセリン等のワセリンそのものであっても、親水ワセリン等のワセリン含有製剤であってもよいが、これらの中では、水溶性である前記ダニ抗原を効率的に皮膚から浸透させることができるという観点から、親水ワセリンが特に好ましい。なお、ここで親水ワセリンとは、親水性の化合物を含有しているワセリンであればよく、例えば、サラシミツロウ80g、ステアリルアルコールまたはセタノール30g、コレステロール30g、および白色ワセリン860gを混合することによって得ることができる。混合方法としては、特に限定されないが、例えば、ステアリルアルコールまたはセタノール、サラシミツロウ、および白色ワセリンを水浴上で加温して溶かしてかき混ぜ、これにコレステロールを添加して、完全に溶けるまでかき混ぜた後、加温をやめ、固まるまでよくかき混ぜるという方法が挙げられる。
【0019】
本発明のダニ抗原含有組成物中におけるダニ抗原と軟膏基剤の含有比としては、発症に必要なダニ抗原量と、マウスの皮膚に均一に塗布するために適当なワセリン量の観点から、重量比で、ダニ抗原:軟膏基剤=2:1〜1:5000が好ましく、1:5〜1:500がより好ましく、1:50〜1:100が更に好ましい。
【0020】
本発明のダニ抗原含有組成物は、例えば、ダニ抗原と軟膏基剤を前記のような所望の割合で混合することによって得ることができる。混合方法は特に限定されず、例えば、ダニ抗原と軟膏基剤を薬さじで適量づつ秤り取り、プラスチック容器などの中で攪拌することによって混合することができる。
【0021】
上記のようにして得られた本発明のダニ抗原組成物は、例えば、アトピー性皮膚炎動物モデルの作製のために好ましく使用することができる。本発明において、アトピー性皮膚炎動物モデルの作製は、前記ダニ抗原含有組成物を、例えばNC/Ngaマウスに連続的に投与することによって、該NC/Ngaマウスにアトピー性皮膚炎を発症させることにより行われる。以下、NC/Ngaマウスを用いた場合のアトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法について説明する。
【0022】
NC/Ngaマウスへの本発明のダニ抗原含有組成物の投与は、例えば、マウスの皮膚に該ダニ抗原含有組成物を塗布することにより行うことができる。塗布する部位としては特に限定されるものではないが、塗布のし易さ、塗布できる量等の観点からは、背部が好ましい。また、マウスへの投与量を増やす観点から、更に耳介等の別部位への塗布を同時に行うこともできる。マウスの皮膚への該ダニ抗原含有組成物の塗布は、例えば、マウスの背部の毛をバリカンやシェーバーを用いて剃毛し、剃毛された背部に該ダニ抗原含有組成物を塗付することによって行うことができる。
【0023】
前記の「連続的な投与」とは、NC/Ngaマウスへ、前記ダニ抗原含有組成物を数回にわたって、それぞれおよそ一定の日数を空けて投与することをいい、投与頻度としては、ダニ抗原による経皮的な感作および皮膚炎の惹起を安定して行なう観点から、週に1〜2回程度が好ましい。また、合計の投与回数としては特に限定されるものではなく、使用するダニ抗原含有組成物のダニ抗原含有量等に応じて、所望のアトピー性皮膚炎が発症されるように、適宜回数を設定して行えばよい。
【0024】
1回の投与あたりの前記ダニ抗原含有組成物の投与量としては、皮膚に残存しやすい程度の量であり、皮膚にまんべんなく塗布できる量であり、また、無駄のない量であるという観点から、NC/Ngaマウスの皮膚に対して0.0005〜0.05g/cmが好ましく、0.001〜0.01g/cmがより好ましい。なお、投与1回あたりのダニ抗原含有組成物中のダニ抗原の量としては、安定してマウスを発症させる観点から、0.001〜1mg/cmが好ましく、0.01〜0.5mg/cmがより好ましい。
【0025】
なお、NC/Ngaマウスが通常有する皮膚のバリアを破壊し、ダニ抗原を皮膚内に浸透させやすくする目的から、前記ダニ抗原含有組成物の連続的な投与を開始する前に、ドデシル硫酸ナトリウムを該NC/Ngaマウスのダニ抗原含有組成物塗布対象部位へ塗布しておくことが好ましい。NC/Ngaマウスへのドデシル硫酸ナトリウムの塗付量としては、例えば、4%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液として、該NC/Ngaマウスの皮膚に対して1〜100μl/cmが好ましく、5〜50μl/cmがより好ましい。
【0026】
なお、ダニ抗原含有組成物の投与前、投与中、および投与後のNC/Ngaマウスの飼育は、例えば、クリーン度100〜1000環境下またはSPF環境下で、1ケージあたり5匹で行うことができる。また、ケージ、飲料水、床敷きはオートクレーブ滅菌したものを、飼料はγ線滅菌したものを用いることが好ましい。
【0027】
以上のような方法によって、本発明のアトピー性皮膚炎動物モデルを得ることができる。アトピー性皮膚炎の成立の有無については、肉眼で皮膚炎を観察することによって、また、血清中の総IgEまたは特異的IgE値の上昇度合い等によって判断することができる。また、皮膚の組織学的検討において、炎症性細胞の浸潤等によって確認を行うことも可能である。
【実施例】
【0028】
以下に、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0029】
実施例1 2%Dfb含有親水ワセリンの調製およびNC/Ngaマウスへの塗付
NC/Ngaマウスの背部毛をバリカンで毛刈りした後、電気シェーバーで剃毛(10cm)した。該剃毛部に4%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液をマイクロチップで1匹あたり150μl塗布した後、乾燥させた。また、ササら(Sasa,M.et al.,Jpn.J.Exp.Med.,40:p367-382,1970)に記載の方法により調製したコナヒョウヒダニ虫体精製抗原(Dfb)100mgを、親水ワセリン4.9g(白色ワセリン 4.2 g,サラシミツロウ 0.4 g,ステアリルアルコール 0.15 g,コレステロール 0.15 g)と混合し、軟膏状の本発明のダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有親水ワセリン)を調製した。該組成物中のダニ抗原の量が1mg/匹となるように、得られたダニ抗原含有組成物を前記マウスの剃毛部に1匹あたり0.05g塗付した。該塗付はエーテル麻酔下で、週に2回の頻度で9回(計30日間)、連続して行った。NC/Ngaマウスの飼育はクリーン度100〜1000環境下、1ケージあたり5匹で行い、ケージ、飲料水、床敷きはオートクレーブ滅菌したもの、飼料はγ線滅菌したものを用いた。
【0030】
比較例1 2%Dfb含有水溶液の調製およびNC/Ngaマウスへの塗付
比較例として、コナヒョウヒダニ虫体精製抗原(Dfb)100mgを水4.9gと混合し、水溶液状のダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有水溶液)を調製した。得られた水溶液状のダニ抗原含有組成物を塗付する以外は、実施例1と同様にNC/Ngaマウスを処理した。
【0031】
試験例1 皮膚炎症状スコアおよび発症率の評価
実施例1および比較例1で調製されたそれぞれのダニ抗原含有組成物を塗付したNC/Ngaマウスについて、アトピー性皮膚炎の皮膚炎症状の違いおよび発症率の違いを調べた。実施例1または比較例1で調製されたダニ抗原含有組成物を塗付したNC/Ngaマウスを、それぞれ実施例群、比較例群とした。なお、ダニ抗原含有組成物のかわりに水のみを塗布し、後は実施例1と同様に処理したNC/Ngaマウスを、対照群とした。以下の皮膚炎症状スコアに基づいて、個体ごとにアトピー性皮膚炎の症状の程度を評価した。該評価はそれぞれの試験群あたり20匹で行い、各個体の皮膚炎症状スコアの平均値を計測した。結果を表1に示す。
【0032】
<皮膚炎症状スコア>
0:無症状
1:表皮剥離、発赤
2:浮腫
3:か皮(びらん・潰瘍)が塗付部の1/4未満
4:か皮(びらん・潰瘍)が塗付部の1/2未満
5:か皮(びらん・潰瘍)が塗付部の1/2以上
【0033】
また、各試験群におけるアトピー性皮膚炎の発症率を、各試験群における総個体数のうちスコア3以上の皮膚炎症状を示した個体数の割合(%)として求めた。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】


【0035】
表1に示すとおり、実施例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有親水ワセリン)を塗付された実施例群は、比較例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有水溶液)を塗付された比較例群および水のみを塗付された対照群と比較して、明らかに症状の程度の高い皮膚炎症状スコア、および高い発症率を有していた。このことから、本発明のダニ抗原含有組成物は、より高率にNC/Ngaマウスにアトピー性皮膚炎を発症させることができることがわかった。
【0036】
試験例2 皮膚組織の組織学的観察
試験例1において、実施例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有親水ワセリン)を投与され、皮膚炎症状スコアとしてスコア3以上を呈したアトピー性皮膚炎NC/Ngaマウスについて、背部の皮膚組織の組織学的観察を行った。該アトピー性皮膚炎NC/Ngaマウスから背部の皮膚組織を採取し、中性ホルマリンで固定し、パラフィン包埋した後、薄切した。該薄切切片に対してHE染色を行い、顕微鏡下で観察した。結果を図1に示す。
【0037】
実施例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有親水ワセリン)を投与されたアトピー性皮膚炎NC/Ngaマウスは、図1に見られるように、表皮、真皮ともに肥厚していることが観察された。また、真皮、皮下脂肪に細胞(マクロファージ、リンパ球、好中球、好酸球)の浸潤が見られ、かつ繊維の束が太くなり、繊維化がおこっていることが観察された。これらの症状は全てヒトのアトピー性皮膚炎にも特徴的な現象であることから、本発明によれば、ヒトのアトピー性皮膚炎に極めて類似した特徴を有するアトピー性皮膚炎動物モデルを作製できることが明らかとなった。
【0038】
試験例3 血清中IgE量の測定
実施例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有親水ワセリン)または比較例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有水溶液)をそれぞれ塗付し、実施例1と同様に処理したNC/Ngaマウスについて、それぞれのマウスの眼窩静脈より採取した血清中に存在するIgE量を、塗布開始後28日目に、サンドイッチELISA法により定量した。また、陰性対照として、ダニ抗原含有組成物の代わりに親水ワセリンのみを塗付し、後は実施例1と同様に処理したNC/Ngaマウスについても、同様に血清中IgE量を測定した。結果を図2に示す。
【0039】
実施例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有親水ワセリン)を塗布したNC/Ngaマウスにおいては、比較例1で調製されたダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有水溶液)を塗付したものと比較して血清中IgE量が有意に上昇することが明らかとなった。血清中のIgE量の上昇はヒトのアトピー性皮膚炎の診断基準の1つとなっていることから、本試験例の結果により、本発明の方法が効率的なアトピー性皮膚炎動物モデルの作製方法であることが明らかとなった。
【0040】
試験例4 既存薬の効果確認試験
本発明のアトピー性皮膚炎動物モデルにおいて、既存のヒト用アトピー性皮膚炎治療剤(既存薬)が及ぼす効果を確認した。本試験例において、既存薬としては、リンデロン−DP(塩野義製薬株式会社製)、および、プロトピック(藤沢薬品工業株式会社製)を使用した。
【0041】
週に2回、合計3〜4週間の投与を行う以外は実施例1と同様の処理を行い、アトピー性皮膚炎NC/Ngaマウスを得た。得られたマウスのうち、試験例1に記載の皮膚炎症状スコア3以上を2週間連続して維持したアトピー性皮膚炎の慢性化したマウスを、以下の処理に使用した。
【0042】
前記ダニ抗原含有組成物の塗布を中止し、リンデロン−DPまたはプロトピック各100mgを、それぞれ週に2回の頻度で、2週間連続して塗布した(それぞれ、リンデロン−DP群、プロトピック群)。また、比較のために、同様に週に2回の頻度で2週間、皮膚炎治療薬の基剤のみを継続して塗布したマウス(基剤群)と、2週間の間何も塗布せず、無処置のままのマウス(無処置群)とを準備した。
【0043】
試験例1に記載の皮膚炎症状スコアに基づき、各群の個体ごとにアトピー性皮膚炎の症状の程度を経時的に評価した。該評価は、各群あたり9〜10匹で行い、各個体の皮膚炎症状スコアの平均値を経時的に記録した。結果を図3に示す。
【0044】
基剤群および無処置群は、投与開始後2週間を経過しても3以上の皮膚炎症状スコアを維持したのに対して、リンデロン−DP群およびプロトピック群においては、塗布開始直後から明らかな皮膚炎症状の緩和が観察された。
【0045】
また、各薬剤塗布開始後13日目のリンデロン−DP群、プロトピック群、ダニ抗原組成物群の各マウスについて、試験例2と同様の方法を用いて背部皮膚組織の組織学的観察を行った。結果を図4に示す。
【0046】
リンデロン−DP群およびプロトピック群では、基剤群と比較して表皮および真皮の肥厚が抑制され、真皮に浸潤している炎症性細胞の減少が観察された。また、リンデロン−DP群およびプロトピック塗布群では、基剤群と比較して、マスト細胞の減少、特に脱顆粒したマスト細胞の明らかな減少が確認された。
【0047】
本試験例の結果により、本発明のアトピー性皮膚炎動物モデルは、既存のヒト用アトピー性皮膚炎治療剤に対して感受性を示すことが明らかとなり、薬効の面でもヒトのアトピー性皮膚炎に類似した性質を有するものであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明により得られるアトピー性皮膚炎動物モデルは、皮膚炎症状の特徴がヒトのアトピー性皮膚炎の特徴と極めて類似しており、皮膚外用剤に対する反応特性も一致していることが確認された。このため、本発明により得られるアトピー性皮膚炎動物モデルは、アトピー性皮膚炎治療薬のスクリーニング等に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明のダニ抗原含有組成物(2%Dfb含有親水ワセリン)を塗布したNC/Ngaマウスの、背部皮膚組織のHE染色像である。
【図2】図2は、各ダニ抗原含有組成物を塗付したNC/Ngaマウスの、血清中IgE量の推移を示すグラフである。
【図3】図3は、各既存薬を塗布したアトピー性皮膚炎NC/Ngaマウスの、皮膚炎症状スコアの変化を示すグラフである。
【図4】図4は、各既存薬塗布後のアトピー性皮膚炎NC/Ngaマウスの、背部皮膚組織のHE染色像である。




 

 


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